釜石ラグビー人財育成専門員として着任した佐伯悠さん(右)、野田武則市長

釜石・ラグビー人財育成プロジェクト始動 専門員に元釜石SW佐伯さん

釜石ラグビー人財育成専門員として着任した佐伯悠さん(右)、野田武則市長

釜石ラグビー人財育成専門員として着任した佐伯悠さん(右)、野田武則市長

 

 ラグビーの普及や選手の育成・強化に向けた釜石市の取り組み「ラグビー人財育成プロジェクト」が動き出した。1日、子どもたちの指導などを担う専門員として、釜石シーウェイブス(SW)RFC元選手の佐伯悠さん(36)が着任した。ジュニア世代から高校まで切れ目ない選手の育成によりトップ選手輩出を目指し、ラグビーに関わる人材育成の基盤づくりが狙い。新しい「ラグビーのまち」の実現を目指す。

 

 佐伯さんは神奈川県横浜市出身。関東学院大卒業後、2007年に釜石SWに入団した。東日本大震災があった11年に主将になり、3年間チームをけん引。19年に退団した。日本ラグビー協会と日本スポーツ協会が認定するA級コーチ、ワールドラグビーが認定する資格(レベル2)を保有。仕事の都合で戻った神奈川県で高校生の指導に携わってきた。

 

 今回、会社を退職して専門員に転身した佐伯さん。「釜石には大きな恩がある。持てる力を還元できれば。ラグビーの楽しさを伝え、一人でも多くの子どもたちが関わってもらえるようにしたい」と意気込む。

 

現役時代の佐伯さん(中央) 2015年9月12日 釜石SW対ヤクルトレビンズ(写真:Grafica Inc. 西条佳泰)

 

 辞令を交付した野田武則市長は「ラグビーワールドカップのレガシー(遺産)を守りながら、ラグビーのまちを発展させたい。頑張ってほしい」と期待した。

 

 専門員の任用は、第6次市総合計画(21~30年度)で掲げる重点施策の一つ、「ラグビーのまち・釜石」を推進するため。市内の公的機関やスポーツ団体などでつくる協議会内に、教育関係者も交えた専門委員会を設置する方針で、佐伯さんは専門委の事務局業務を担う。プロジェクトに関する業務では、釜石SWが運営するSWジュニアや中学生対象のアカデミーと連携しながら競技の普及、全国大会出場を目標とした技術強化に向けた施策などを検討する。

思い思いのポイントで釣り竿を伸ばし、引きを待つ=4日午前11時ごろ

甲子川でアユ釣り解禁 市内外からの太公望で活気づく

今シーズンのアユ釣りが解禁された甲子川

今シーズンのアユ釣りが解禁された甲子川

 

 釜石市の甲子川で4日、アユ釣りが解禁された。この日を待ちわびていた太公望たちは、早朝から各ポイントで長い竿(さお)を繰り出し、1年ぶりの引きの感触を味わった。9月中旬ごろまで楽しめる。

 

 例年、7月の第1日曜日が解禁日となる甲子川。今年は天候にも恵まれ、市内外から集まった釣り人らが日の出とともに釣り糸を垂れた。多くが友釣りで、水流を見極めながら狙ったポイントにおとりアユを泳がせ、野アユが掛かるのを待った。

 

思い思いのポイントで釣り竿を伸ばし、引きを待つ=4日午前11時ごろ

思い思いのポイントで釣り竿を伸ばし、引きを待つ=4日午前11時ごろ

 

 河川漁協のない甲子川では、甲子川鮎釣協力会(安久津吉延会長)に寄せられる協力金や市の助成金などによって稚アユの放流が行われており、今年は5月11日に支流の小川川を含め約300キロの稚魚を放流。解禁日には、大きいもので20センチほどに成長した姿が見られた。

 

体長約20センチの立派なアユに大満足の笑顔

体長約20センチの立派なアユに大満足の笑顔

 

 甲子川のアユは、2016年に岐阜県で開かれた「清流めぐり利き鮎会」の味比べでグランプリに輝いた実績がある。解禁日は県内陸部からの釣り客も多く、「ここは川の水がきれい。日本一の味にも期待」と話す人も。

 

 北上市の菅原謙一さん(66)は、仲間と午前3時40分ごろ現地入り。解禁から10時半ごろまでに約10匹を釣り上げた。「17、18センチぐらいが多い。まずまずのスタート。午前8時前後がよく釣れた」と成魚の手応えを満喫。早めの昼食を取り、後半戦に備えた。

 

盛岡市の釣り名人も甲子川のアユ釣りを満喫

盛岡市の釣り名人も甲子川のアユ釣りを満喫

 

 大槌町の岩間拓さん(42)はアユ釣り歴約20年。甲子川の解禁日には毎年足を運ぶといい、「日が照って水温が上がってきた。昨年よりも(釣果は)いいよう」。午前11時時点で「ちょうど20匹。今晩のおかず」と頬を緩めた。

 

 「ここ2年、天然遡上(そじょう)が少ない」と話すのは釜石市平田の油木由峰さん(50)。解禁日に釣り上げたのも放流アユ。「水量がもっと欲しい。一雨降れば、魚も遡上してくると思う」と期待。アユ釣りのピークは梅雨が明けて気温が上昇してくる8月。20センチ以下の魚も成長し、大きいものは26、27センチぐらいになるという。

 

 県内の主要河川のアユ釣りは1日から順次解禁。釜石市内ではこの後11日に、鵜住居川で解禁される(鵜住居川漁協の組合員証か遊漁券必要)。

高速バス「釜石仙台線」の出発式でテープカットし、運行再開を歓迎する関係者

釜石-仙台間より近く~県交通高速バス、新路線で運行再開

高速バス「釜石仙台線」の出発式でテープカットし、運行再開を歓迎する関係者

高速バス「釜石仙台線」の出発式でテープカットし、運行再開を歓迎する関係者

 

 県交通(盛岡市、本田一彦会長)は2日、新型コロナウイルス感染症の影響で運休していた高速バス「釜石仙台線」の運行を再開した。従来は内陸の東北自動車道を通っていたが、三陸沿岸道路(三陸道)を走るルートに変更。所要時間は片道3時間10分で、これまでより約30分短縮となる。同日、釜石市鈴子町のJR釜石駅前で出発式があり、関係者が第1便の乗客を見送った。

 

 「釜石仙台線」は1日1往復。往路は午前6時44分に野田町の同社釜石営業所を出発し、仙台駅前に同9時54分着。復路は午後4時10分仙台駅前発で、釜石営業所に同7時20分に着く。釜石市内で停車するのは小佐野駅前、釜石駅前、上中島のバス停留所。運賃は片道大人3300円(8月31日までのキャンペーン中は2900円)、小学生以下1650円。定員は当面36人とする。

 

新ルートでの運行が始まった「釜石仙台線」のバスに乗り込む市民ら

新ルートでの運行が始まった「釜石仙台線」のバスに乗り込む市民ら

 

 遠野市などを経て東北自動車道を通る従来ルートは年間約8000人が利用していたが、コロナ禍で利用者が大幅に減少し、昨年8月17日から運休していた。再開に当たっては、今年3月に宮城県気仙沼市内が開通し、仙台市までつながった三陸道の利用を検討。所要時間の短縮が見込まれ、無料区間が長く高速料金も割安になるなど、「三陸道を使わない手はない」と新たなルートでの運行、コロナ収束後を見据えた「布石」として再開を決めた。

 

 出発式で、本田会長は「地域の役に立ちたいと考えてきた。時間短縮のメリットを感じてもらい、観光、ビジネスにも利用してほしい」とあいさつ。野田武則市長は「バス利用者の利便性向上、地域活性化につながることを期待する」と歓迎した。

 

 第1便に乗り込んだ上中島町の会社員鈴木和弘さん(28)は「以前も時々利用していた。仙台までの時間が短くなり、近くなった感じがする。高齢者や学生など、長距離運転が難しい人たちも利用しやすくなると思う」と運行再開を喜んでいた。

橋野鉄鉱山フラワーガーデン ラベンダー観賞会

橋野鉄鉱山フラワーガーデン ラベンダー観賞会

橋野鉄鉱山フラワーガーデン ラベンダー観賞会

 

橋野町振興協議会が育てたおよそ700株のグロッソラベンダーが見頃を迎えます。橋野町振興協議会と栗橋地区まちづくり会議の共催による「ラベンダー観賞会」を開催します。

日時

2021年7月17日(土)〜18日(日)
10時〜15時

場所

橋野鉄鉱山フラワーガーデン(橋野鉄鉱山インフォメーションセンターとなり)
岩手県釜石市橋野町2-6

内容

グロッソラベンダーを自由に観賞してください。
一束300円での販売と刈り取り体験も行います。(牛乳瓶ほどのサイズ)
※時間外でも観賞できます。

 

ラベンダー鑑賞会

問い合わせ

橋野町振興協議会 TEL 090-4639-3225

橋野町振興協議会

橋野町振興協議会

問い合わせ:TEL 090-4639-3225 / FAX 0193-57-2212 / 〒026-0041 岩手県釜石市橋野町34-13-12

半年の無病息災を願い、カヤの輪をくぐる参拝者

半年の平穏、健康祈り輪をくぐる 尾崎神社で夏越の大祓

半年の無病息災を願い、カヤの輪をくぐる参拝者

半年の無病息災を願い、カヤの輪をくぐる参拝者

 

 釜石市の尾崎神社(佐々木裕基宮司)で6月30日、夏の無病息災を願う「夏越(なごし)の大祓(おおはらい)」の神事が行われた。約30人が集まり、一年の半分が過ぎる日に災厄を振り払い、残り半年の平穏や健康を祈った。

 

 この神事はこれまで半年を振り返って心身を清め、これから迎える夏の暑さや季節の変化にも心を強く持って向かう契機とする。参拝者は「切麻(きりぬさ)」と呼ばれる四角い紙を体に振りかけて身を清めた後、カヤでできた直径約2メートルの茅(ち)の輪をそれぞれの願いを込めてくぐった。

 

 地元の三浦光子さん(79)、萬キヨさん(85)は「健康で元気に過ごせるようにと思って参加。気持ちがスーと軽くなった感じ。早くコロナが収束して好きなように外出したいね」と願った。

 

 佐々木宮司は「上半期の災いを託してもらえたら。体をご自愛し、暑い夏を元気に乗り切って、来年に続く日々が平穏であることを願う」と参拝者に語り掛けていた。

 

さまざまな願いがつづられた短冊で彩られた七夕飾り

さまざまな願いがつづられた短冊で彩られた七夕飾り

 

 今年は本殿に七夕のササ飾りを設置。「健康で過ごせますように」「コロナに勝!」などと願い事が書き込まれた短冊が揺らめいている。7月7日まで設置予定。訪れた人にも思いをつづってもらえるよう、短冊が用意されている。

集荷したウメを計量する浜千鳥の社員。「実の出来もいい」と手応えを感じていた

おいしい梅酒の原料に~釜石のウメ集荷「出来は、程よい」

今季2回目となる集荷会に収穫したウメの実を持ち込む生産者ら

今季2回目となる集荷会に収穫したウメの実を持ち込む生産者ら

 

 釜石市、大槌町のウメ生産者らでつくる釜石地方梅栽培研究会(前川訓章会長、22会員)は6月28日、2021年度総会と集荷会を栗林町の栗橋地区基幹集落センターで開いた。今年は気温が高めだったものの適度な降雨量もあり、ウメの実の出来はまずまず。梅酒の原料として地元の酒造会社浜千鳥(新里進社長)に提供しており、最終的な集荷量は3トン超と見込む。

 

 総会には約20人が出席した。事務局を務める浜千鳥によると、昨年の青梅集荷実績は1529キロ(前年対比37・7%)で、出荷者は16人(うち会員12人)。前年産の青梅を使った梅酒の出荷量は1万1100本(720ミリリットル入り)だった。

 

 本年度は計4回の集荷会、せん定や病害防除を学ぶ栽培講習会、会員ほ場の見学などを計画。良質なウメの栽培や安定した生産の確保を目指す。また、生産者勧誘と生産面積の拡大運動、梅酒製造後のウメの実(漬梅)を利用した商品開発と試験販売に向けた取り組みも進めることにしている。

 

 今年の集荷は、この日が2回目。生産者は丸々とした青緑の実を持ち込み、次々に計量した。3~4月の気候が穏やかだったのに加え、5~6月には適度に雨が降り、粒の大きさも「程よい」と生産者ら。栗林町の兼業農家小笠原房子さん(71)は約20本を育てており、「商品になるものだから、いいのを選んだ。こうして買ってもらってありがたい」と、今回は約25キロを出荷した。

 

集荷したウメを計量する浜千鳥の社員。「実の出来もいい」と手応えを感じていた

集荷したウメを計量する浜千鳥の社員。「実の出来もいい」と手応えを感じていた

 

 浜千鳥の梅酒製造のため、地元産ウメの一括集荷が行われるようになって10年超。遊休農地の利活用、出荷先確保など農業振興につながる要素は大きいが、生産者の高齢化も進んでいて、安定供給を維持するのは難しい。前川会長(75)は「昨年は近年にない凶作だったが、今年はいい手応え。自然が相手で大変な面もあるが、熱い気持ちを持ち続け、より良いものをつくっていきたい」と前を向いた。

 

 昨年収穫したウメを使った梅酒は数量限定で販売中。今年から「家飲み」需要を見込み、300ミリリットル入りも売り出している。

フルートの佐々木勤子さんらと届けた「ユーミン・オールディーズ」。女声合唱でよみがえる名曲の数々に観客も大喜び

アンサンブル・ル・シエル 歌い込んだハーモニー2年ぶりに披露

合唱用の飛沫(ひまつ)防止マスクを着用して歌うアンサンブル・ル・シエルのメンバー

合唱用の飛沫(ひまつ)防止マスクを着用して歌うアンサンブル・ル・シエルのメンバー

 

 釜石市の女声合唱グループ「アンサンブル・ル・シエル」(中村玲代表)は6月20日、大町の市民ホールTETTOで7回目のコンサートを開いた。新型コロナウイルス感染拡大の影響で昨年は中止したため、2年ぶりの開催。観客約50人が美しい歌声とハーモニーに酔いしれ、コロナ禍を忘れる心潤うひとときに笑顔を広げた。

 

 指導者の木下佳子さんの指揮で、賛助出演を含む12人のメンバーが1年間温めてきたプログラムを届けた。オープニングを飾ったのは、髙田三郎作曲の「雅楽の旋法による聖母賛歌」。クリスチャンで、女声合唱のための典礼聖歌を数多く残している髙田氏の代表作をア・カペラで歌い上げた。

 

 ア・カペラは相澤直人作品選集からも。谷川俊太郎、工藤直子、みなづきみのり作詩の7曲を聞かせ、祈りや希望が染み入る曲に観客が聞きほれた。最後は松任谷由実のヒット曲をメドレーで送る「ユーミン・オールディーズ」(信長貴富編曲)。ゲストの佐々木洋子さんのピアノ、佐々木勤子さんのフルートと共演し、にぎやかなステージで締めくくった。佐々木さんらは合唱の合間に楽器演奏でも魅了した。

 

フルートの佐々木勤子さんらと届けた「ユーミン・オールディーズ」。女声合唱でよみがえる名曲の数々に観客も大喜び

フルートの佐々木勤子さんらと届けた「ユーミン・オールディーズ」。女声合唱でよみがえる名曲の数々に観客も大喜び

 

素晴らしい歌声に盛んな拍手を送る観客

素晴らしい歌声に盛んな拍手を送る観客

 

 大渡町の女性(69)は「よくここまで練習されて。聞いていて涙がにじんだ。やっぱりコーラスっていいなあと思ってね」。自身も合唱団体に所属しており、「コロナが落ち着いたら、自分たちも活動していきたい」と心待ちにした。

 

 2013年に結成した同グループは年に1回のコンサートを継続してきた。昨年はコロナ禍で中止の判断を下したが、今年は観客、出演者、会場形態とあらゆる面を考慮した感染防止策を講じて開催。振り付け、衣装替えなどの演出もなくし、公演時間も通常より短縮した。

 

 「直前まで開催できるか不安だったが、無事にできて何より。音楽を聞く機会がなかったお客様が少しでも楽しみ、鬱々(うつうつ)とした気分を晴らしてもらえたなら幸い」と中村代表(38)。メンバーの約半数は市外在住のため、全員そろっての練習がなかなかできなかったというが、発表できた喜びにメンバーは充実の表情を見せた。

タクシー・運転代行利用キャンペーン

タクシー・運転代行利用キャンペーンについて

タクシー・運転代行利用キャンペーン

 

釜石市では、夜間の地域交通の利用を促進するため、20時~24時に乗車し、料金が1,500円以上の場合に1,000円の割引を行うキャンペーンを7月1日から実施します。

 

新型コロナウイルス感染症への対策には十分にご注意いただいたうえで、ぜひキャンペーンをご利用ください。

 

キャンペーンチラシ[PDF:962KB]

この記事に関するお問い合わせ
釜石市 産業振興部 商工観光課 商工業支援係
〒026-8686 岩手県釜石市只越町3丁目9番13号
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釜石市

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全国の支援者のリモート参加動画を上映しながら演奏した「ひょっこりひょうたん島」主題歌

フルートがつなぐ絆強く 震災から10年の釜石で約束のコンサート

県内外のプロ、アマチュア奏者で結成したフルートオーケストラ。小学5年生から70代までが集った

県内外のプロ、アマチュア奏者で結成したフルートオーケストラ。小学5年生から70代までが集った

 

 フルートがつなぐ約束~10年と100日コンサート~(同実行委主催)が6月19日、釜石市大町の市民ホールTETTOで開かれた。東日本大震災から10年を機に、県内外のフルート奏者がオーケストラを結成。次の10年を見据え、歩み始めた被災地に音楽の力で希望をもたらした。6月20日は北上市のさくらホールでも演奏した。

 

 同コンサートを発案したのは、花巻市在住のフルート奏者・牧野詩織さん(37)。子どものころから師事してきた釜石市の山﨑眞行さん(70)が2011年3月11日の同震災で被災。力になりたいと、同年6月18、19日、山﨑さんを招いたチャリティーコンサートを遠野、花巻両市で開催したことがきっかけだった。

 

 当時、コンサートが開かれたのは発災から100日目。「現地が落ち着いたら、もう一度コンサートをやろう」。10年後という目標を立てた牧野さん。4人で演奏したコンサートは10年の時を経て、牧野さんら県内のプロ奏者10人にアマチュア奏者などが加わった総勢約30人のオーケストラでよみがえった。

 

 山﨑さんのソロ、牧野さんと山﨑さんの2重奏などアンサンブルのステージに続き、音域の異なる大小さまざまなフルートを用いたオーケストラの演奏が披露された。注目は、この日が初演となった「それは不死鳥のごとく~2本のフルートとオーケストラの為の~」。作曲家岩岡一志さんが実行委から委嘱され、同コンサートのために書き下ろした作品で、震災犠牲者の慰霊、復興への畏敬の念、未来への願いなどが込められた。

 

岩岡一志さん作曲の「それは不死鳥のごとく」では山崎鮎子さん(釜石市)と大泉穂さん(久慈市)がソリストを務めた

岩岡一志さん作曲の「それは不死鳥のごとく」では山崎鮎子さん(釜石市)と大泉穂さん(久慈市)がソリストを務めた

 

 オーケストラは、岩岡さんが編曲した連作交響詩「我が祖国」第2曲モルダウ(スメタナ)も演奏。最後は復興支援ソング「花は咲く」で観客115人と心を通わせた。

 

 一関市の小山健一さん(66)は「フルートの音色で表現されたモルダウの世界観が素晴らしかった。震災10年目にして、こういう形でコンサートが聞けるのは感慨深い。釜石まで来たかいがありました」。オーケストラには高校生の孫小山颯矢君(17)が参加しており、「孫の成長も見られて良かった」と喜んだ。

 

 実行委はコンサート実現のためのクラウドファンディングも実施。釜石の特産品プレゼントを絡めた支援企画に213人が協力した。エンディングでは支援者からのメッセージを上映。アンコールの「ひょっこりひょうたん島」主題歌は、全国のリモート参加者の動画を背景に演奏した。

 

全国の支援者のリモート参加動画を上映しながら演奏した「ひょっこりひょうたん島」主題歌

全国の支援者のリモート参加動画を上映しながら演奏した「ひょっこりひょうたん島」主題歌

 

 牧野さんは「この10年で音楽仲間の輪が広がり、今回のコンサートにも多くの人たちが共感し参加してくれた。これを機に県内の子どもたちが音楽や芸術に触れられる場が増え、新たな可能性が開かれていけば」と願う。

警報が流れると、児童生徒はその場でしゃがみ込んだり、カバンで頭を覆ったりして身を守った

命を守る行動確認 鵜住居小と釜石東中、下校時に合同避難訓練

津波避難階段を上って避難する鵜住居小と釜石東中の児童生徒

津波避難階段を上って避難する鵜住居小と釜石東中の児童生徒

 

 釜石市鵜住居町の鵜住居小(堀村克利校長、児童146人)と釜石東中(米慎司校長、生徒97人)は6月24日、地震と津波を想定した下校時合同避難訓練を実施した。東日本大震災時に中学生が小学生の手を引き、率先して高台に避難した両校。いつかまた起こりうる津波に備え、自分の命を守るための適切な行動を確認した。

 

 日本海溝沿いを震源とするマグニチュード(M)9・1の地震が発生したとの想定。スクールバスや自転車、徒歩で下校途中に防災行政無線から地震と大津波を知らせる警報が流れると、児童生徒はしゃがんで低い体勢を取ったり、持っていたカバンなどで頭を守った後、近くの指定避難場所などに向かった。

 

警報が流れると、児童生徒はその場でしゃがみ込んだり、カバンで頭を覆ったりして身を守った

警報が流れると、児童生徒はその場でしゃがみ込んだり、カバンで頭を覆ったりして身を守った

 

 このうち日向・新川原地区の子どもたちは、長内集会所近くにある高さ19メートルの三陸道管理施設に続く80段超の階段を急ぎ足で上った。「もう少しだよ」などと中学生や小学校高学年の児童が他の子に声を掛ける姿も見られた。

 

高台を目指し階段を駆け上がる子どもたち。命を守る行動を体験しながら確認した

高台を目指し階段を駆け上がる子どもたち。命を守る行動を体験しながら確認した

 

 鈴木龍雅君(鵜住居小1年)は「サイレンも階段も怖かった。体験してみて、どう行動すればいいか、分かった。少し安心できた」とうなずいた。

 

 鵜住居周辺地域の指定避難場所(津波災害緊急避難場所)は、両校の校庭を含め36カ所ある。訓練は登下校中に地震に遭遇したり、警報が鳴ったとしても逃げられるように各自が避難先を把握すること、それぞれの状況に応じて「どう行動すれば、より早く、安全に、近くにある高台に避難できるか」を考えてもらうのが狙い。子どもたちは数ある選択肢から判断する力を鍛える機会にもした。

 

菅原悠汰君(釜石東中1年)は「もし本当に災害が起こったらパニックになると思うけど、今日みたいに落ち着いて判断し、行動したい」と意識を高めた。

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広報かまいし2021年7月1日号(No.1763)

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【P1-3】
新型コロナワクチンについて

【P4-5】
市税・使用料などの納付方法について
健康診査のお知らせ

【P6-7】
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災害時におけるタイムラインについて

【P8】
タクシー・運転代行利用キャンペーン
事業再構築補助金 他

【P9-11】
まちのお知らせ

【P12】
各種イベント情報 

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