サンタもストリートラグビーでラグビーのまちを元気に!

今年も「サンタが100人やってきた」〜年の瀬の街にプレゼント、ストリートラグビーも楽しむ

今年も被災地に「夢」と「希望」を与えたボランティアサンタ

今年も被災地に「夢」と「希望」を与えたボランティアサンタ

 

 東日本大震災から9度目のクリスマスを前に、全国からボランティアサンタ約80人が釜石に集結。被災地支援を行う遠野市のNPO法人遠野まごころネット(佐藤正市理事長)が21日、恒例の「サンタが100人やってきた!」の活動を展開し、釜石、大槌両市町の子どもらにプレゼントを届けて交流した。

 

 釜石市大町広場で開催した出発式で佐藤理事長は、活動を始めたきっかけを改めて紹介。被災した陸前高田市の女児が「(クリスマスに)何が欲しい?」との問いかけに「おうちとママ」と答えたという、あるブログが発端だったことを明かした。事業は企業、団体、個人からの寄付金で成り立っており、今年も式の中で協力企業が目録を贈呈した。寄付金はプレゼントの現地購入などに充てられ、地元経済支援にもつなげる。

 

 2012年から協力を続けるイオングループは、各社の従業員らが寄せた募金など総額約110万円を寄付。サンタとして26人が現地活動にも尽力した。イオン九州の奥田佳奈さん(29)は釜石初訪問。「足を運べてありがたい。九州の元気、明るさを少しでも届けられたら」と願った。イオン九州は16年に発生した熊本地震の被災地で〝まごころサンタ〟活動も展開。「最も被害の大きかった益城町では間もなく仮設団地の集約が始まる。少しずつ復興が進んでいるよう」と両被災地の歩みを重ねた。

 

 サンタは甲子町のこすもす公園、市球技場、大槌町のおしゃっちを訪問。約400個の菓子やミカンのプレゼントを子どもらに手渡し、遊びやサッカーで楽しい時間を共有した。

 

 同NPOで初代理事長を務め、今年7月から4代目として再び指揮を取る佐藤正市さん(70)は「ボランティア自らが企画し事業化してきたことが9年も続いている。全国から駆け付けてくれる皆さんには感謝しかない。子どもたちが夢を見るお手伝いができたら」と思いを新たにした。野田武則市長は「10年目の来年は市も協力して何らかの盛り上げを図りたい」との意向を示した。

 

サンタもストリートラグビーでラグビーのまちを元気に!

サンタもストリートラグビーでラグビーのまちを元気に!

 

 この日はイオンタウン釜石の屋外スペースに設置されている専用フィールドで、関係機関が主催する「サンタとストリートラグビー体験会」も開かれた。〝100人サンタ〟とのコラボイベントで、ボランティアサンタも盛り上げに一役買った。

 

 自前のひげを蓄え、100人サンタに8年連続参加の小林裕さん(68)=東京都中野区=は、ストリートラグビー初体験。「格好だけはつけて…」と見事なトライを決めた。ラグビーワールドカップはテレビで観戦。釜石鵜住居復興スタジアムには建設中の時に見に行った。「釜石がラグビーで元気になってきているのはいいこと。完成したスタジアムにも行ってみたい。復興が進むのを見るのはボランティアの楽しみでもある」と声を弾ませた。

 

(復興釜石新聞 2019年12月25日発行 第853号より)

 

復興釜石新聞

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洞関町内会創立40周年、住みよい町づくり あらためて誓い合う〜転入者急増、地域の風景様変わり

洞関町内会創立40周年、住みよい町づくり あらためて誓い合う〜転入者急増、地域の風景様変わり

洞関町内会の40周年を祝った住民ら

洞関町内会の40周年を祝った住民ら

 

 釜石市甲子町洞泉、関沢の住民らで組織する洞関町内会(菊池秀明会長、320会員)が創立40周年を迎え、15日、洞関地区コミュニティ消防センターで記念式典を開いた。約40人が出席。町内会の功労者らを表彰し、今後の町内会活動の充実、発展を誓い合った。

 

 物故者に黙とうをささげ開会。菊池会長は、新仙人峠道路の開通や東日本大震災後の人口増など40年の地域の変化を振り返り、「転入した新会員が町内会に溶け込めるよう取り組みを続けている。生活環境の整備、高齢化や自然災害の対策などを進め、住みよい町内会づくりにまい進したい」とあいさつした。

 

 功労者表彰では、企業会員として会の発展に貢献してきた五菱工業(千葉護社長)を特別表彰。副会長や会計、監事として長年、町内会活動を支えてきた佐々木貞友さん、佐々木緋紗子さんを表彰し、労をねぎらった。

 

 来賓として出席した野田武則市長は「この地域は(合併前の)甲子村でも中心的役割を担っていた。誇りを持って地域づくりに取り組んでほしい」と祝辞。長年にわたる地域活動の功績をたたえる感謝状を町内会に贈った。

 

野田武則市長から感謝状を受け取った菊池秀明会長(左)

野田武則市長から感謝状を受け取った菊池秀明会長(左)

 

 同町内会は1980年に設立(195会員)。10周年以降、新仙人峠道路建設に伴う用地買収や移転が始まり、地域の風景は大幅に様変わりした。97年には待望のコミュニティ消防センターが落成。地域活動の拠点施設として活用されている。

 

 2011年の東日本大震災では、持ち寄った食材で被災者のために炊き出しを実施。震災後は休耕田や空き地に宅地が造成され、転入者が急増した。町内会は震災前から80増の320会員に拡大。班編成も見直した。今年3月には東北横断道路釜石秋田線が開通し、釜石の西の玄関口としての役割も期待される。

 

 50周年に向け、「生活雑排水処理や未舗装、狭い道路の改良、希薄化した地域コミュニティー再生も課題。住民の協力を得て一つ一つ解決していければ」と菊池会長。

 

(復興釜石新聞 2019年12月18日発行 第851号より)

 

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トライアスロンの普及に尽力、東北を代表する大会に拡大〜岩手県体育協会、小林格也さんに功労賞

トライアスロンの普及に尽力、東北を代表する大会に拡大〜岩手県体育協会、小林格也さんに功労賞

表彰式で贈られた盾を手に受賞を喜ぶ小林格也さん

表彰式で贈られた盾を手に受賞を喜ぶ小林格也さん

 

 公益財団法人岩手県体育協会(達増拓也会長)の本年度表彰で、岩手県トライアスロン協会顧問の小林格也さん(80)=釜石市只越町=が「功労賞」を受賞した。釜石はまゆりトライアスロン国際大会を立ち上げるなど、本県におけるトライアスロン競技の普及・発展に尽力してきたことが高く評価された。小林さんは受賞を励みに、「競技のさらなる普及を」と意気込む。

 

 県体協の功労賞は「本県スポーツの普及振興に多大な業績をあげ、その功績が顕著な人」に贈られる。本年度は市町村体育協会推薦の13人、競技団体推薦の21人が受賞し、先月、盛岡市で表彰式が行われた。

 

 1986年、47歳で競技を始めた小林さんは、87年に県内の競技者と岩手県トライアスロンクラブを発足。地元釜石の競技人口を増やそうと仲間を集め、同好会も作った。釜石では競技自体、ほとんど知られていない中、全国大会開催を目指し、89年に釜石トライアスロン協会を設立(会長就任)。90年、鵜住居町根浜海岸を主会場とする第1回大会にこぎつけた。

 

 3回目からは国際大会として外国人選手も招き、出場者350人規模に拡大。第7回大会には史上最多の430人もの申し込みを記録した。小林さんは93年に設立された県協会でも会長を務め、同大会を東北を代表するレースに育て上げた。

 

 2010年までに21回を数えた大会は、11年の東日本大震災で中断を余儀なくされたが、翌年から復活への取り組みをスタート。15年には22回大会を実現し、16年の岩手国体では、正式競技となったトライアスロンの成功にも貢献した。

 

 同功労賞は所属団体の役員を20年以上務める功績者(故人含む)らが対象。小林さんは釜石協会会長として09年にも受賞しており、今回が2回目の表彰。「1回もらっているので驚いた。今回は震災を乗り越え、活動を継続していることも評価されたのでは」と推測。トライアスロンは国内で大会が開かれるようになって40年に満たない、歴史としてはまだ新しいスポーツ。「普及には時間がかかる。大会を継続することが何より重要。震災後、東北6県の大会は参加者が減った。課題を克服しながら次の世代につなげていきたい」と小林さん。

 

 震災復興10年目となる来年は、根浜海岸の砂浜再生事業が完了する見込み。「今まで以上の大会ができるよう、受け入れをしっかり頑張っていく。小・中学生のちびっこトライアスロンもいずれ復活できたら」。5年後に迎える30回大会を見据え、記念誌発行のため、津波で失った記録の収集にも努める。

 

 本年度の同功労賞は釜石市体育協会推薦で、熊倉扶美雄さんも受賞している。

 

(復興釜石新聞 2019年12月18日発行 第851号より)

関連情報 by 縁とらんす
釜石はまゆりトライアスロン大会
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めざせ東京パラリンピック〜“わたしの夢”応援プロジェクト”、乙武さんとエール交換

めざせ東京パラリンピック〜“わたしの夢”応援プロジェクト”、乙武さんとエール交換

トークを繰り広げた乙武洋匡さん、斎藤由希子さん、萩野真世さん、村田奈々さん(左から)

トークを繰り広げた乙武洋匡さん、斎藤由希子さん、萩野真世さん、村田奈々さん(左から)

 

 「輝け!!未来へ!!東北のパラの星」と題したトークイベントが14日、釜石市の釜石東中体育館で開かれた。一般社団法人チームスマイル(東京都)が行う東日本大震災復興支援活動「“わたしの夢”応援プロジェクト」の一環で、同法人と釜石まちづくり会社が主催。「五体不満足」がベストセラーとなった作家の乙武洋匡さんが、来年の東京パラリンピック出場を目指す東北出身の女子アスリートらに話を聞いた。

 

 宮城県気仙沼市出身で、陸上の世界大会投てき3種目で優勝実績のある斎藤由希子さん(SMBC日興証券)、同仙台市出身で、車いすバスケットボール女子日本代表として国際大会に出場している萩野真世さん(アビームコンサルティング)、釜石市在住で、国内水泳大会で多数優勝している村田奈々さん(釜石市役所)がゲスト。

 

 観客約50人を前に各競技のデモンストレーションを実施。希望者が砲丸投げや車いすバスケを体験し、障害者スポーツへの理解を深めた。トークでは、競技を始めたきっかけや競技生活を送る上での苦労、ルールや見所などを語った。

 

 萩野さんは、障害の度合いによる選手の持ち点の合計が5人で14点以下になるようにチーム編成する車いすバスケの特徴的ルールを紹介。現在、国内大会は男女混合、国際大会は男女別で戦っており、各チームでの役割の違いに「いろいろな目線、状況に応じた対応力が養われる」とメリットを示した。

 

 左腕の肘から先が義手の斎藤さんは、中学の陸上部で健常者と共に競技を始め、東北大会で活躍。高校から障害者の大会にも出場し、大学生の時に日本記録をマークしたが、ライバルのいない大会に物足りなさを感じることも。「健常者と一緒の大会で、もっと上を目指していけば、いつか障害者の世界でトップに立てる」とパラリンピックを目指す決意を固めたという。

 

 高校時代に下肢機能障害を負った村田さんは20代前半から本格的に水泳に挑戦。現在、11歳の娘を育てながら競技を続ける。「娘は時に励まし、時に厳しい言葉をくれる頼もしいコーチ。遠征が続くと寂しい思いをさせてしまうが、できるだけ2人の時間は作るようにしている」。災害時に離れている場合は「お互いを信じて行動する」ことも確認し合っているという。

 

 来年の東京パラに、斎藤さんはやり投げでの出場を、萩野さんは女子日本代表12人に選ばれることを目指している。「今日のイベントが競技場に足を運ぶきっかけになれば。パラは知れば知るほど面白い。興味を持って見ていただけたら」、村田さんは「身近にパラ選手がいることを知ってもらえた。東京パラの盛り上がりが終息しないよう、私たち選手もさらに頑張っていきたい」とし、応援を呼び掛けた。

 

 先天性四肢欠損の乙武さんは、最新鋭の技術を搭載したロボット義足で、1年半前から歩く練習を重ねていることを明かした。「できない、足りないことを嘆くのではなく、できることで頑張っている3人から学ぶ点は多い。釜石はワールドカップで、ラグビーという強みが一段と強化された。釜石だからこそできることで、地域を盛り上げていただけたら」と期待した。

 

(復興釜石新聞 2019年12月18日発行 第851号より)

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釜石鵜住居復興スタジアム年末イベント〜『うのスターライト2020』We Will Meet Again One Team One Kamaishi〜

釜石鵜住居復興スタジアム年末イベント〜『うのスターライト2020』We Will Meet Again One Team One Kamaishi〜

釜石鵜住居復興スタジアム年末イベント〜『うのスターライト2020』We Will Meet Again One Team One Kamaishi〜

 

「2019大晦日 釜石鵜住居復興スタジアムイルミネーション」開催!!

釜石市では、ラグビーワールドカップ2019™が盛会裏に終了できたことに対する感謝の気持ちの発信と、10月13日に台風19号により中止となり、現在実施検討している「カナダvナミビア戦」等による、より一層盛り上がる2020年になることを祈願し釜石鵜住居復興スタジアムのメイングラウンドをライトアップした「うのスターライト2020」を開催します。また当日は、ライトアップのほか、ラグビーワールドカップ2019非売品グッズの先着プレゼントや甘酒のお振る舞いなどもございますので、皆様お誘いあわせのうえご来場願います。

 

日時

令和元年12月31日(火)18:00~令和2年1月1日(水)日の出時刻

場所

釜石鵜住居復興スタジアム
※来場者プレゼント、お振舞は、メインスタンド中央ステージで実施します。

実施内容

(1)グラウンド中央のメインスタンド前にチューブライトを用いてライトアップ
(2)来場者先着300名にラグビーワールドカップ2019非売品グッズをプレゼント
(3)スタジアムツアー
1回目:令和元年12月31日(火)20:20~
2回目:令和2年1月1日(水)1:00~
3回目:令和2年1月1日(水)4:00~
(4)甘酒・カップそばのお振舞
甘酒は『浜千鳥』の酒粕と『仙人秘水』を使用したこの日限りの特別な甘酒を『道の駅 釜石仙人峠』と『釜石鉱山株式会社』さまのご厚意により提供致します。

協力

道の駅 仙人峠(釜石振興開発株式会社)・釜石鉱山株式会社

後援

釜石市、釜石市教育委員会ほか

その他

(1)お車でお越しの際は、西側駐車場を御利用願います。
(2)メインスタンド、バックスタンドのみ一般開放します。

この記事に関するお問い合わせ
釜石市 ラグビーワールドカップ2019推進本部
〒026-0031 岩手県釜石市鈴子町22-1(シープラザ釜石内)
電話:0193-27-8420 / Fax 0193-31-1170 / メール
元記事:http://www.city.kamaishi.iwate.jp/shisei_joho/shokai/rugby_city/detail/1234291_3208.html
釜石市

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「ラグビー神社を建立する会」の発足式

「ラグビー神社」釜石に、建立する会が発足〜新しい物語つくる聖地へ、東京・丸の内から無償譲渡で移設

「ラグビー神社を建立する会」の発足式

「ラグビー神社を建立する会」の発足式

 

 ラグビーワールドカップ(W杯)の試合会場となった釜石市鵜住居町の釜石鵜住居復興スタジアムの隣接地に「ラグビー神社」が建立されることになり、13日、市民有志による「建立する会」が発足した。W杯大会期間中に東京・丸の内に設置され、ラグビーファンの人気スポットとなった「丸の内ラグビー神社」の社殿を三菱地所から無償で譲り受け、移設。来年4月から参拝できるよう整備する。有志は「W杯釜石開催の感動的なストーリーを継承する聖地となり、来訪者の増加も見込める」と期待を込める。

 

 大町の情報交流センター釜石PITで開かれた「建立する会」の発足式には、趣旨に賛同した市民ら約30人が参加。会の代表を務めることになった中田義仁さん(51)は「ラグビー、釜石を愛する多くのファンと新しい物語をつくっていきたい」と呼び掛けた。

 

来訪者の増加に期待を寄せる「建立する会」の有志

来訪者の増加に期待を寄せる「建立する会」の有志

 

 鵜住居地区復興まちづくり協議会の会長で、会の監事を務める佐々木憲一郎さん(52)は「(W杯が)終わった後が本当の勝負。ぜひ、このプロジェクトを成功させたい」とエールを送った。

 

 「丸の内ラグビー神社」は、ラグビーとゆかりの深い京都「下鴨神社」境内の「雑太社(さわたしゃ)」の祭神をまつり、W杯期間中は国内外から大勢のファンが参拝した。

 

 釜石への移設費用は約300万円を見込み、このうち半分は地元の法人・団体から寄付を募る。残りの150万円はインターネット上で資金を募るクラウドファンディング(https://ishiwari.iwate.jp/user/IswQ0262176)で来年2月上旬までに調達する計画で、今月9日からこれまでに全国から110万円余りが寄せられているという。

 

 寄付について問い合わせは同会(shrine.unostadium@gmail.com)へ。

 

(復興釜石新聞 2019年12月18日発行 第851号より)

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釜石シーウェイブスRFC選手紹介2019 第13弾『マイケル・フィッツジェラルド選手』

釜石シーウェイブスRFC選手紹介2019 第13弾『マイケル・フィッツジェラルド選手』

釜石シーウェイブスRFC選手紹介2019 第13弾『マイケル・フィッツジェラルド選手』

 

マイケル・フィッツジェラルド選手(所属先:日本製鉄(株)釜石製鉄所)プロフィール
2019年加入/1987.02.08生(32歳)/197cm/115kg/ニュージーランド ワンガヌイ出身 ワンガヌイ高校卒
 
●ラグビーを始めたきっかけ:5歳の時、父が地元のクラブチームを紹介してくれた事がきっかけ
●ポジションの遍歴:LO、FL
●ニックネーム:フィッツ
●趣味:釣り
●好きな食べ物:ラムシャンク(すね肉)
●釜石のオススメ:ラグビー
●出身地のオススメ:釣り、ゴルフ
●試合前のルーティンワーク:音楽を聴く
●ストロングポイント:ディフェンス、タックル、ワークレート
●サポーター、ファンへメッセージ:私と私の家族を温かく迎えてくれた釜石の皆さんありがとうございます。そして、いつも応援ありがとうございます。

 

インタビュー日:2019年11月19日(釜石シーウェイブスRFCクラブハウス)
通訳:釜石シーウェイブスRFC 通訳・普及担当 マヘ トゥビさん
企画・編集:釜石まちづくり株式会社
取材・文:市川 香織(釜石まちづくり株式会社)
写真:西条 佳泰(株式会社Grafica)

 

暖かく迎え入れてくれました

 

釜石シーウェイブスRFC選手紹介2019 第13弾『マイケル・フィッツジェラルド選手』

 

ーー日本のチームでプレーするのは初めてですか?なぜ日本でプレーしようと?

 

フィッツジェラルド選手:

はい、初めてです。日本のラグビーの情報は、日本でプレーしているニュージランド出身の選手から色々と聞いていて、自分も日本でプレーしてみたいと思っていました。そして今回、SWからオファーを頂き、釜石でプレーする事を決めました。
 
それから、SWに来る前の4年間はイングランドのチーム(レスター・タイガース:2015年~2019年)でプレーしていたのですが、日本はイングランドよりもニュージランドに近いので、それも日本でプレーする事を決めた大きな理由の一つでした。

 

ーー来る前にチームの情報は?

 

フィッツジェラルド選手:

そうですね、日本でプレーしている友達に教えてもらいました。北の方にある小さなまちで、冬は寒いだろう・・・という事も聞きましたけど、釜石に来る前にいたイングランドも寒い地域でしたから、それに比べたら、釜石はまだ寒さは厳しくないかもしれませんね。

 

釜石シーウェイブスRFC選手紹介2019 第13弾『マイケル・フィッツジェラルド選手』

2019.9.15 ヤマハ発動機ジュビロ戦 @釜石市球技場

 

ーー実際に加入して、チームについての印象は?

 

フィッツジェラルド選手:

とても良いチームですね!皆、暖かく迎え入れてくれました。自分自身もこのチームに合っていると思います。
まだ、日本語があまり分からないので、日本人選手が話してくれる内容の全てを理解する事は出来ないのですが、でも、とてもフレンドリーな雰囲気を感じます。

 

ーー日本人選手は、試合中のコミュニケーションに必要な英語は話せる感じですか?

 

フィッツジェラルド選手:

そうですね、何人か話せる選手もいますし、私に分かりやすいように話してくれます。ですので、私も日本語を話せるようになりたいですね。でも、日本語は難しいですね(笑)。

 

ーーちなみに、ロッカールームで隣の選手はどなたですか?

 

フィッツジェラルド選手:

隣は将利(星野選手)で、目の前がオスカ(村田選手)ですね。
オスカは色々と手伝ってくれます。彼は、日本語と英語、両方話せますからね。

 

ワンガヌイと釜石は似ています

 

釜石シーウェイブスRFC選手紹介2019 第13弾『マイケル・フィッツジェラルド選手』

2019.11.16 コカ・コーラレッドスパークス戦 @釜石鵜住居復興スタジアム

 

ーー今年6月に加入。釜石で暮らしてみてどうですか?

 

フィッツジェラルド選手:

ふるさとのワンガヌイは人口4万人の、海が近い小さな町です。どこか釜石と似ています。
釜石には、妻と子供2人と来ているんですが、夏に何度か家族と一緒に、根浜などの海に遊びにも行きました。家族も、釜石での暮らしは順調です。上の子は今5歳で、市内の幼稚園に通っているんですよ。

 

ーーチームに加入してここまでスムーズに来ていますか?

 

フィッツジェラルド選手:

はい、スムーズに来ていると思います。そろそろ半年になるので、色々と慣れてきましたし、チームにフイットする事を一番に考えて取り組んでいます。

 

釜石シーウェイブスRFC選手紹介2019 第13弾『マイケル・フィッツジェラルド選手』

2019.11.23 九州電力キューデンヴォルテクス戦 @釜石鵜住居復興スタジアム

 

ーー加入されてすぐに、トップリーグカップ(TLC)に出場されましたね。

 

フィッツジェラルド選手:

そうですね、最初の試合は来て1週間くらいでしたから、すぐでしたね。

 

ーーSWにとっては、昇格を目指しているトップリーグの格上チームと対戦するカップ戦でしたが、どうでしたか?

 

フィッツジェラルド選手:

チームにとってはいい経験になったカップ戦だったと思います。
三菱重工相模原には勝利をあげましたし、とても良かったと思います。

 

ーー日本ラグビーとニュージランドやイングランドのラグビーとの違いはどんな所だと感じますか?

 

フィッツジェラルド選手:

日本は、とてもスピードがあり展開が早いプレーが多いですね。向こうは、どちらかというとフィジカルを前面に出したプレーが多いですね、身体が大きい選手が多いので。その代わり、スピードはスローだと思います。

 

一般の人をリフトしたのは初めてでした!

 

釜石シーウェイブスRFC選手紹介2019 第13弾『マイケル・フィッツジェラルド選手』

 

ーーアジア日本で初めての開催となった、RWC™。期間中はどのように過ごしていましたか?

 

フィッツジェラルド選手:

フィジー対ウルグアイ戦をスタジアムで観たほかに、釜石のファンゾーンに4、5回行きました。会場には、子供たちが楽しむことが出来るアクティビティスペースもあったので、子供たちはそこで遊んで、大人たちは試合を観るという事が出来て、とても良い空間でした。
あと、屋台の食べ物も良かったですね!特に気に入ったのは、グリルした豚肉です。美味しかったです。

 

ーー母国チーム(ニュージランド代表)の戦いについては?

 

フィッツジェラルド選手:

残念ながら準決勝でイングランドに負けてしまいましたが、試合の内容を振り返ると、イングランドがやはりとてもいいプレーをしていましたね。でも、そこまで、ニュージランドもとても良い闘いをしたと思います。

 

ーーファンゾーンでは、SWはラグビー体験を担当されました。

 

フィッツジェラルド選手:

体験した皆さんも喜んでくれていたようですし、良かったと思います。私はラインアウト体験を担当したんですけど、ラグビー選手以外の一般の人をリフトしたのは初めてで(笑)。私も楽しかったです!

 

釜石シーウェイブスRFC選手紹介2019 第13弾『マイケル・フィッツジェラルド選手』

2019.9.15 ヤマハ発動機ジュビロ戦 @釜石市球技場

 

ーーSWは地元に根付いたチームを目指し、地域との交流やボランティア活動を積極的に行っていますが、そういう場所へも参加されましたか?

 

フィッツジェラルド選手:

台風19号による災害が起きたあと、チームでボランティア活動をしました。ファンゾーン周辺の泥を土嚢に詰めたり、被害に遭った住宅へ行き、片付けの手伝いをしてきました。

 

ーーボランティア活動は、これまで所属されたチームでもされて来ましたか?

 

フィッツジェラルド選手:

そうですね。ニュージランドのチームにいた時は、釜石と同じ様に“そのまちのチーム”という感じで地域とも近いので、今回と同じ内容ではありませんがボランティア活動はよくしていました。イングランドのチームの時は、あまり機会はありませんでしたね。

 

地域の子どもたちを大切に

 

釜石シーウェイブスRFC選手紹介2019 第13弾『マイケル・フィッツジェラルド選手』

 

ーープレー(ラグビーキャリア)する上で、大切にしている事は?

 

フィッツジェラルド選手:

まずは自分のベストを出す事、そして、その地域の子どもたちを大切にする事ですね。

 

ーーSWにはジュニアチームがあるので、ぜひ指導しに行ってあげてください。

 

フィッツジェラルド選手:

たまに、自分の子供と散歩しながら、ジュニアチームの練習の様子を見にいったりしていますが、機会があればそうしたいですね。

 

ーー上の5歳のお子さんはもうラグビーをされていますか?

 

フィッツジェラルド選手:

いえ、まだです。でも、たぶんやると思います。

 

チームにとっては、ハードでタフなシーズンになると思います

 

釜石シーウェイブスRFC選手紹介2019 第13弾『マイケル・フィッツジェラルド選手』

2019.11.16 コカ・コーラレッドスパークス戦 @釜石鵜住居復興スタジアム

 

ーーリーグ開幕戦。先日のコカ・コーラ戦を振り返っての感想を教えてください。

 

フィッツジェラルド選手:

引き分けは本当に残念でした、トップリーグカップ(TLC)で負けていたので、勝ちたかったですね。でも、チームにとってポジティブなプレーもたくさんありましたので、それはとても良かったと思います。あと少しの所で勝てた試合だったかもしれないですけど、引き分けになってしまいました。だから、さらにチームはステップアップしていかなければいけないですね。

 

ーー次戦まで準備期間は短いですけれど、チームの課題を調整しながらですね。

 

フィッツジェラルド選手:

そうですね、マイボールキープ、それからオフサイドとラックのところ、もう少しテンポ速くボールをきれいに出すなど、そういう点に気を付けながら修正して行きたいです。

 

釜石シーウェイブスRFC選手紹介2019 第13弾『マイケル・フィッツジェラルド選手』

2019.9.15 ヤマハ発動機ジュビロ戦 @釜石市球技場

 

ーー今シーズンはどんなシーズンにしたいですか?

 

フィッツジェラルド選手:

一つでも多くの試合に勝てるようにして行きたいのと、出来るだけリーグの上位争いに絡んで行けるようにしたいです。でも、どのチームも簡単に勝てる相手ではないので、勝つ事は容易ではないと思います。
チームにとっては、ハードでタフな難しいシーズンになるとは思いますが、そこを乗り越えて良いシーズンにして行きたいと思います。

 
 
 

SWが参戦する、トップチャレンジリーグは、年が明けても続きます。残りはあと2戦。一つでも多くの勝利をつかみ取って欲しいですね!

 

2019 ジャパンラグビートップチャレンジリーグ

第6節 01月11日(土) 14:00 ヤンマースタジアム長居
対 近鉄ライナーズ
第7節 01月19日(日) 11:30 秩父宮ラグビー場
対 清水建設ブルーシャークス

 
※今シーズンは、上下リーグとの入替戦は行われません。
 
詳細は、釜石SW公式サイトでご確認ください。
http://www.kamaishi-seawaves.com/

新しい体育館で熱い試合を見せたビッグブルズ(赤)

釜石市民体育館 こけら落とし、岩手ビッグブルズ 勝利で飾る〜釜石出身 澤口選手 貢献、今季初の10連勝に沸く

新しい体育館で熱い試合を見せたビッグブルズ(赤)

新しい体育館で熱い試合を見せたビッグブルズ(赤)

 

 1日に一般利用を開始した釜石市鵜住居町の市民体育館で14、15の両日、“こけら落とし”となる日本プロバスケットボール男子Bリーグ3部(B3)の公式試合が行われた。盛岡市に拠点を置く「岩手ビッグブルズ」のホームゲームで、石川県の金沢武士団(かなざわサムライズ)を相手に2連勝。津波被災地に新設された新たなスポーツ拠点のオープンを鮮やかな勝利で飾り、チームも今季初の10連勝に沸いた。

 

 14日は午後2時の試合開始を前に、釜石商工高虎舞委員会がオープニングパフォーマンス。野田武則釜石市長が歓迎のあいさつをした。会場には常設の2階観客席のほか、コートを囲む1階席も設けられ、市内外から訪れた1117人が観戦を楽しんだ。

 

 試合は3点シュートや速攻、リバウンドなどで着実に得点を重ねるブルズが終始リード。地元ファンの熱い声援も後押しし、今季最高の108得点で金沢(68点)を下した。

 

 試合ではブルズの専属チアが多彩なパフォーマンスを披露。ハーフタイムにはラグビーの釜石シーウェイブスRFCの選手らが、ラインアウトやタックルのプレー体験で子どもらを喜ばせた。

 

ハーフタイムに行われたラグビー体験も人気

ハーフタイムに行われたラグビー体験も人気

 

 平田ミニバス少年団の団員はゴール近くの1階席で観戦。阿部愛華さん、山﨑玲來さん、田畑愛羽さん(いずれも平田小5年)は「テレビと違い、生で見るダンク(シュート)は迫力満点。こんな近くで観戦したのは初めて。自分たちもここで試合をやってみたい」と大喜び。

 

 虎舞を披露した植田麗緒奈さん(釜石商工高1年)は「こけら落としに参加できてうれしい。バスケ部なので、プロの試合は一つ一つのプレーが勉強になる」と感激。新しい体育館の完成に「自分たちもスポーツで釜石を盛り上げられたらいいな」と話した。

 

 遠野市の多田剛さん(31)は家族で観戦。「明るくてきれいな体育館。先週、息子がここでバスケの試合をする予定だったが、インフルエンザの流行でお預けとなった」。息子の蒼人君(宮守小5年)は、ブルズが開く週1回のバスケスクールに通っていて、教わっている澤口誠選手(釜石市出身)は憧れの存在。「今日は100点超えですごかった。僕も澤口選手みたいに点を取れるようになりたい」と目標を掲げた。

 

果敢なプレーで観客を沸かせた澤口誠選手。釜石市民も大興奮

果敢なプレーで観客を沸かせた澤口誠選手。釜石市民も大興奮

 

 震災があった2011年にプロリーグ入りしたブルズは、試合やボランティア活動で被災者に力を与えてきた。今回の試合も選手それぞれが特別な思いを持って臨んだ。

 

 澤口選手(28)は地元釜石での試合は中学校以来。同級生には震災で家を失った友人もいる。甚大な被害があったこの場所で試合をし、勝利を届けられたことに「地元の人たちも勇気づけられたのではないか。スポーツできる環境がやっと整った。プロ選手を呼んだり、どんどんスポーツに関わってほしい」と願った。

 

 ブルズは次節(21、22日)、所沢市民体育館で埼玉ブロンコスと対戦する。

 

(復興釜石新聞 2019年12月18日発行 第851号より)

 

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「希望のピアノ」を喜ぶ唐丹小高学年の児童と「唐丹希望基金」の高舘代表(左)

澄んだ音色に広がる笑顔、「希望のピアノ」唐丹小・中に〜唐丹希望基金から贈り物

「希望のピアノ」を喜ぶ唐丹小高学年の児童と「唐丹希望基金」の高舘代表(左)

「希望のピアノ」を喜ぶ唐丹小高学年の児童と「唐丹希望基金」の高舘代表(左)

 

 東日本大震災で校舎を失った唐丹小(佐々木康人校長、児童44人)と唐丹中(菊地正道校長、生徒32人)の支援を続ける「唐丹希望基金」(高舘千枝子代表)は12日、両校兼用の体育館で使用するグランドピアノ1台を寄贈した。児童・生徒全員が「希望のピアノ」を囲み、澄んだ音色に笑顔を広げた。

 

 体育館で行われた贈呈式で、菊地校長は「唐丹の子どもに新しいピアノを―と支援した全国の人たちの思いを忘れてはいけない。大切に使おう」と呼び掛けた。

 

 矢巾町から訪れた高舘代表(70)は「以前のピアノが使えないという話を聞き、今年6月から募金を始めた。唐丹出身者の東京唐丹町会、釜石市の姉妹都市である東京都荒川区のみなさんや、全国の570人以上の方々が協力してくださった。唐丹の子どもたちが元気に勉強し、立派な大人になるよう願う」と期待を述べた。

 

 唐丹小児童会長の岩澤優真君(6年)は「きれいな音色に合わせて、きれいな声で合唱練習します」、唐丹中生徒会長の久保翔太君(2年)は「ピアノに合わせて心を込めて歌い、多くの人に感謝の気持ちを伝えたい」と喜びを語った。

 

 寄贈されたグランドピアノはヤマハ製。側面に「希望のピアノ」とサインされた。児童らが鍵盤に触れ、「前のピアノより音がきれい」と期待を膨らませた。

 

 唐丹町片岸地区にあった唐丹小は震災の津波で校舎や体育館が壊れ、ピアノも使えなくなった。小白浜地区にあった唐丹中も地震で校舎が使用不能に。小学校は震災の翌年度から平田小で間借り授業。中学生は地震に耐えた体育館を仕切った教室で学んだ。12年12月、小白浜地区に両校の仮設校舎が完成、移転した。17年4月から、現在の本設校舎で共に学ぶ。

 

 これまで体育館にあったピアノは震災後に東京芸大が支援したが、耐用年数を過ぎて楽器の機能を失った。

 

 震災後に唐丹教育支援プロジェクトを立ち上げ「唐丹希望基金」として支援を継続する元教員の高舘代表らが全国の仲間に呼び掛け、ピアノに特化した支援金を募った。これまでの支援金総額は3千万円以上に上るが、物品を贈るのは今回のピアノが初めて。

 

 「この9年の間に子どもや地域の人たちの心が柔らかくなったと感じる。ピアノを贈るのは、いい記念になった。感無量」と高舘代表。募金活動は本年度で終えるが、管理している積立金を運用した支援活動は今後もしばらく続けるという。

 

 来年3月の唐丹中の卒業式後、両校PTAが中心となり「唐丹希望基金への感謝のつどい」を開く。

 

(復興釜石新聞 2019年12月14日発行 第850号より)

 

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信仰の対象として大事にされている「荒川熊野権現御神楽」

郷土愛育む伝統の舞、釜石市郷土芸能祭〜次世代継承の願い込め、市内外から5団体出演

大船渡市三陸町越喜来に伝承される「浦浜念仏剣舞」

大船渡市三陸町越喜来に伝承される「浦浜念仏剣舞」

 

 第24回釜石市郷土芸能祭(市、市教委主催)は8日、大町の市民ホールTETTOで開かれた。市内から「橋野鹿踊り」「箱崎虎舞」など4団体、特別出演として大船渡市三陸町の「浦浜念仏剣舞」が出演。約450人が各地に継承される伝統の舞を堪能した。

 

 開演に先立ち、同祭実行委の川原清文委員長は「郷土芸能は地域に根差した伝統文化であり財産。郷土愛を育むことにもつながる」とあいさつした。

 

 トップを飾った「荒川熊野権現御神楽」は唐丹町の荒川町内会(雲南幹夫会長)が伝承する。1187(文治3)年に海上安全、火防などの守護神として紀州熊野から分霊を勧請した「荒川鎮座熊野神社」の信仰とともに今に至る。毎年小正月の時期に地域住民の厄をはらう門打ちを続けている。

 

 同祭出演は22年ぶり4回目。神の使いとされる御獅子が悪魔をはらう御神楽舞、地の守舞など4演目を総勢約40人で披露した。文化部長の久保正春さん(67)は「地域になくてはならないもの。人が少なくなり大変だが、何とか後継者を育てていきたい」と願った。

 

信仰の対象として大事にされている「荒川熊野権現御神楽」

信仰の対象として大事にされている「荒川熊野権現御神楽」

 

 「“正調”釜石浜唄、釜石小唄」として両曲の踊りを披露したのは、瓦田季子さん(81)率いる「瓦田会」の5人。同浜唄は大正時代、釜石に入港した船頭衆が歌っていた九州の浜節からヒントを得て、尾崎神社の山本茗次郎宮司(当時)ら町の名主が作詞。お座敷唄として親しまれてきた。

 

 浜町「幸楼」で73年間、芸者として浜唄を歌い継いできた藤間千雅乃さんは2016年に他界(享年89)。藤間さんの弟子で、さまざまな場で浜唄を踊っていた木皿宏子さんも翌17年に亡くなった(享年76)。

 

 2人の遺志を継ぎ、踊りの伝承に励む瓦田さんは、13年の同祭にも藤間さんらと出演。「浜唄は釜石が誇る大事な文化の一つ。多くの人に知ってほしい」と願う。初舞台を踏んだ岩鼻千代美さん(46)は「継承への意欲を持つ若者が現れるよう、次世代につないでいきたい」と思いを新たにした。

 

藤間さんらの思いを継ぎ釜石浜唄を踊る「瓦田会」

藤間さんらの思いを継ぎ釜石浜唄を踊る「瓦田会」

 

 県の無形民俗文化財に指定される「浦浜念仏剣舞」は、江戸時代中期に始まったと推測される。疫病や津波などで何度も途絶えたが、1972(昭和47)年に浦浜青年会が復活させ、保存会も結成された。同祭では舞台上に東日本大震災犠牲者を慰霊する塔婆を立て「念仏踊り」を披露したほか、悲しみを吹き飛ばすような荒々しい踊りが特徴の「長刀(なぎなた)」「高館(たかだち)」も見せた。

 

 初めて足を運んだ大平町の70代女性は「最高でした。大船渡の念仏剣舞は興味深かった。釜石の芸能もなかなか見られないので、来て良かった」と声を弾ませた。

 

 同祭は1977年にスタート。これまで市内59芸能が披露されている。2006年からは市外団体の特別出演も。近年は、ほぼ隔年度で開かれている。

 

(復興釜石新聞 2019年12月14日発行 第850号より)

関連情報 by 縁とらんす
第24回釜石市郷土芸能祭
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釜石祈りのパークを視察するインドネシア・アチェ州の関係者ら

津波からの復興共有、インドネシア・アチェ関係者 釜石視察〜防災教育に理解深める

釜石祈りのパークを視察するインドネシア・アチェ州の関係者ら

釜石祈りのパークを視察するインドネシア・アチェ州の関係者ら

 

 インドネシア・スマトラ島最北端にあるアチェ州のバンダ・アチェ市にあるアチェ津波博物館の関係者らが7日、釜石市鵜住居町の「うのすまい・トモス」を視察した。アチェ市では来年度から、JICA(国際協力機構)の草の根技術協力事業を活用し、地域住民参加型津波防災活動の導入プロジェクトがスタート。この活動に一般社団法人根浜MIND(マインド)が協力し、釜石での研修が計画されていることから、事前訪問で復興まちづくりへの住民の関わりや防災教育の取り組みについて理解を深めた。

 

 同博物館のハフニダール館長(43)、同州観光文化局のズルキフリ・ダウ次官(48)ら6人は祈りのパーク、いのちをつなぐ未来館を見学。復興事業の着手までに約4年かかっているが、復興まちづくりに市民が関わり協議する場がいくつも設けられたことに関心を示した。

 

いのちをつなぐ未来館も見学した

いのちをつなぐ未来館も見学した

 

 同州は2004年12月のスマトラ沖大地震・インド洋津波で、死者・行方不明者が約24万人に上るなど甚大な被害を受けた。発災から15年を経て、地域住民の防災意識の低下が課題。09年に開館した同博物館も震災伝承や資料のデジタル化などに課題があるという。

 

 日本は地震や津波被害が多いが、同州ではスマトラ沖地震以前の災害は80年前。一部の地域に津波の教訓を盛り込んで歌い継がれている叙事詩「スモン(津波)」があるが、多くの住民は忘れているという。

 

 「だから同じ被害を繰り返す。だからこそ語り継ぐことが大事」。防災市民憲章に明記された「語り継ぐ」の文字の前で、6人は「これ、いいね」と口をそろえた。

 

 ハフニダール館長は「てんでんこ、スモン。短い言葉で人々が思い出し、素早い避難につながるという共通性を感じる。この事業を通じ、教訓伝承、防災を学ぶ場としての機能を充実させたい」と期待した。

 

 同プロジェクトで、同法人は最長3年間、教育現場の取り組みや伝承活動のノウハウを同州の防災関係者に伝える。ズルキフリ次官は「津波に対する意識がしっかりしている釜石と連携し、防災を指導する側への教育や伝承という弱い部分を補いたい。住民の普段の心がけ、防災意識の向上、主体的な取り組みについて学びを持ち帰りたい」と意欲を高めた。

 

(復興釜石新聞 2019年12月11日発行 第849号より)

 

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「野田4丁目町内会」の設立に集まった住民ら

野田町4丁目 町内会設立、ワンチームに〜超高齢化社会に対応、休止状態の2町内会を再編

「野田4丁目町内会」の設立に集まった住民ら

「野田4丁目町内会」の設立に集まった住民ら

 

 釜石市野田町4丁目(73世帯)の住環境改善を図ろうと、新たに町内会が組織されることになり、7日、住民による設立総会が開かれた。名称は「野田4丁目町内会」。今後、総会で出された意見を基に規約や班編成を見直し、2020年4月1日からの正式スタートを目指す。

 

 甲東こども園ホールで開かれた総会には26人が出席。設立準備委員会を代表し、住民の和田顕正さん(77)は「統一した町内会をと、準備を進めてきた。原案を見てもらい修正を図りながら、地域に合ったより良いものにしていければ」とあいさつ。世話人を務める小佐野地域会議の黒田至議長(69)が経緯を説明し、「組織があれば地域会議としても(諸課題解決への)応援が可能。“ワンチーム”によるコミュニティー形成で新たな出発を」と激励した。

 

 野田町4丁目はJR釜石線に隣接する同町北側地域(北野田ブロック)の一部。元々、十一会(11世帯)、仲の会町内会(17世帯)という2つの住民組織があったが、住民の高齢化などで、活動は実質休止状態。残る45世帯は未組織のままだった。このため、地区内に防犯灯(街路灯)がないなど長年手つかずの地域課題があるほか、最近では独居高齢者の死去がしばらく発見されなかった事案もあり、確固たる町内会組織の必要性が浮上していた。

 

 実態を把握した小佐野地域会議が1年半前から、対象住民に新町内会設立に関するアンケート(意向調査)を実施。73・5%の賛同を得たことから、既存の2組織の代表を含む準備委を発足させ、同4丁目全域をまとめる町内会設立に向け取り組んできた。

 

 総会では会員名簿を確認。規約、役員選出などの議案を審議した。その結果、新町内会は加入を希望する40世帯(7日現在)、6班編成でスタート。事業として▽生活環境の整備、改善▽保健衛生▽会員の親睦、福祉▽交通安全、防災―などに関することを掲げ、明るく住みよい地域づくりを目指す。初代役員として会長に和田顕正さん、副会長に竹下常雄さんらを選出した。

 

 出席者からは、今回加入を見送った世帯への将来的対応に質問も。会では「加入は任意だが、防災や環境整備の平等な恩恵の観点からも、できるだけ加入を促したい」とし、会の活動をアピールしながら引き続き呼び掛けていくことを確認した。

 

 和田会長は「超高齢化社会を迎え、地域が果たす役割はさらに重要になる。地区内には独居の高齢者も増えており、見守り、声掛けに率先して取り組みたい。住民間の横の連携(つながり)を大事にし、班長同士も頻繁に情報交換できるようになれば」と期待。喫緊の課題として防犯灯の設置も挙げ、行政への要望活動に着手したい意向を示した。
 規約の施行開始、行政への届け出は2020年度からを予定する。

 

(復興釜石新聞 2019年12月11日発行 第849号より)

 

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