タグ別アーカイブ: 観光

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知って楽しい「三陸ジオパーク」 釜石の子どもたちが郷土の魅力再発見!!

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自分で作ったアンモナイトのレプリカを手に笑顔を見せる親子

 
 ジオパークの観点から郷土の自然や歴史を知るイベント「釜石ふしぎ発見~化石発掘?!ジオの魅力大調査~」が6日、釜石市大平町の市立鉄の歴史館で開かれた。市商工観光課、世界遺産課が共催する夏休み自由研究応援企画の第2弾。市内の小学生と保護者18人が参加し、講話やものづくりを通して三陸ジオパークの面白さを体感した。
 
 青森県八戸市から宮城県気仙沼市まで約220キロに及ぶ三陸ジオパークは国内最大の面積を誇る。2013年に日本ジオパークとして認定された。釜石市のジオサイト(見どころ)は釜石鉱山、橋野鉄鉱山、千丈ヶ滝、根浜海岸、箱崎半島千畳敷、両石の明治、昭和の津波記念碑―の6つ。約5億年前の地球活動から始まる三陸の歴史、長い年月をかけて形成された地形や景観、地下資源など多様な遺産に触れることが出来る。
 
最初に市商工観光課の職員から三陸ジオパークについて学んだ

最初に市商工観光課の職員から三陸ジオパークについて学んだ

 
 イベントでは市商工観光課の佐々木収主事が同ジオパークについて解説。▽旧釜石鉱山事務所にある「ナウマンの地質図」は三陸の成り立ちを物語る重要な資料であること▽両石町水海川の上流にある「千丈ヶ滝」周辺では、3~4億年前に赤道近くで生えていた植物“リンボク”の化石が見つかっていること―などを挙げ、参加者は太古の地球活動に思いをはせた。
 
 講話の後は順番に3つのメニューを体験。熱湯で軟らかくなるゴム素材を型に詰めて作るアンモナイトのレプリカ製作、VR(仮想現実)ゴーグルでの三陸ジオサイト巡り、手製の鋳型に溶かしたスズを流し込んでキーホルダーを作る鋳造体験と、ジオの一端に触れる時間を楽しんだ。
 
VRゴーグルで三陸のジオサイトを体験する子どもたち(右側)

VRゴーグルで三陸のジオサイトを体験する子どもたち(右側)

 
職員に教わりながら、キーホルダーの鋳型作り

職員に教わりながら、キーホルダーの鋳型作り

 
230度に熱して溶かしたスズを鋳型に流し込む様子を見学

230度に熱して溶かしたスズを鋳型に流し込む様子を見学

 
 小佐野小3年の千葉栞奈さんは「自分の住んでいるまちに(ジオに関わる)いろいろな場所があることを初めて知り、びっくりした。海のところ(千畳敷)に行ってみたい」と好奇心をそそられた様子。甲子小5年の髙橋龍之助君は「釜石にもジオサイトがあるのはうれしい。VRでいろいろな所を詳しく見ることができた。化石にも興味がある」と学びを深めた。
 
 参加者が体験した三陸ジオパークのVRゴーグルは、鵜住居町の根浜海岸レストハウスでも体験できる。施設内には三陸ジオを紹介する展示物もある。鉄の歴史館のキーホルダーを作る鋳造体験は事前予約が必要。問い合わせは同館(電話0193・24・2211)へ。
 
鋳型に流したスズは5分ほどで固まり、左下のようなきれいな形になる

鋳型に流したスズは5分ほどで固まり、左下のようなきれいな形になる

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夜の列車でサファリ気分を満喫!? 三陸鉄道 シカ被害逆手に初の運行企画

三陸鉄道が初めて運行した「ナイトジャングルトレイン」=9日

三陸鉄道が初めて運行した「ナイトジャングルトレイン」=9日

 
 生息域・数の拡大で人間の生活領域への進出が目立つ本県のニホンジカ―。衝突事故で列車の遅延や車両故障などの被害を受ける三陸鉄道(石川義晃社長、本社・宮古市)は、この現状を逆手にとった“シカ見学”ツアー列車を発案。9日夜、釜石―大槌間で初運行した。暗闇の中で野生動物を見つける非日常体験に乗客は大興奮。同社社員も驚く盛り上がりを見せた。
 
 若手運転士のアイデアで実現した企画列車は、その名も「ナイトジャングルトレイン」。シカの目撃が多い夕方から夜にかけて運行され、県内外から家族連れなど35人が乗車した。オリジナルヘッドマークを付けた列車は、午後6時45分ごろ、釜石駅を出発。まだ明るさが残る往路から、沿線の草むらでは複数のシカが見られた。
 
シカの顔がデザインされたオリジナルヘッドマークを付けた車両

シカの顔がデザインされたオリジナルヘッドマークを付けた車両

 
「いた、いた!」車窓からシカを見つける乗客

「いた、いた!」車窓からシカを見つける乗客

 
 車内では同社の金野淳一運行本部長が沿線に生息する野生動物について紹介。シカのほかキツネやタヌキ、クマ、キジなどさまざまな種類が見られる一方で、線路への侵入が列車運行に支障をきたしている現状も説明した。ゲストの盛岡市動物公園ZOOMOの辻本恒徳園長はニホンジカの生態について解説。草食のシカが2メートルのフェンスを飛び越えるような筋肉を持つ理由など、興味深い話が乗客を引き付けた。
 
シカの生態について教える盛岡市動物公園ZOOMOの辻本恒徳園長

シカの生態について教える盛岡市動物公園ZOOMOの辻本恒徳園長

 
 すっかり暗くなった復路では、最もシカが多く見られる山間ポイントの両石町水海地内で列車を低速走行。車内の明かりを消して乗客がライトで外を照らすと、目が光るシカの姿が各所で浮かび上がった。子どもも大人もシカ探しに夢中になり、ちょっとしたナイトサファリ気分を味わった。
 
窓を開け、ライトを照らしてシカを探す

窓を開け、ライトを照らしてシカを探す

 
線路沿いの草むらにたたずむニホンジカ=三陸鉄道社員が車内から撮影

線路沿いの草むらにたたずむニホンジカ=三陸鉄道社員が車内から撮影

 
 大船渡市から参加した田村恵佑君(5)は「6匹ぐらい見たよ。シカ、大きかった」と初めての遭遇体験にご満悦。母暢子さん(34)は「大船渡でもシカの出没はあるが、あえて見に行こうとはしないので、こういう機会は新鮮。夜の乗車やライトでシカを探すのも面白かった」と列車ならではの楽しさを実感。「また乗ってみたい」と親子で口をそろえた。
 
 「小さいのから大きいのまで、かなり見ました。人生初の経験」と笑う花巻市の小松義次さん(72)。三鉄社員の苦労やシカの生態など学びも深め、有意義な時間を満喫した。震災前は沿線の鵜住居町に暮らしていたこともあり、「懐かしくてね。車とは違う車窓の景色も楽しめた」と魅力いっぱいのツアーを喜んだ。
 
 同社によると、野生動物と列車の衝突はニホンジカが群を抜いて多く、釜石―宮古間がJRから移管された2019年度は同シカだけで126件と急増(前年度26件)。増加傾向は続き、21年度は最も多い162件の発生があった。線路内への侵入を防ぐネットの設置など対策も講じるが、完全には防ぎきれないのが実情。衝突時の後始末の労力や車両修理費用の負担も大きい。
 
車内では夕食の弁当が提供された

車内では夕食の弁当が提供された

 
大槌駅のホームでは停車時間に豚汁のサービスも

大槌駅のホームでは停車時間に豚汁のサービスも

 
 生態系に必要な野生動物と共存し、同鉄道の利用促進を図る今回のチャレンジ企画。車内での弁当提供、大槌駅での豚汁サービスを含む旅行代金は、いわて旅応援プロジェクトの割引適用で実質2500円。乗客募集には定員(35人)の倍の申し込みがあったという。金野運行本部長は予想以上の乗客の反応に、「こんなに喜んでもらえるとは。次回の開催もぜひ検討していきたい」と大きな手応えを感じていた。

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“先輩”ラベンダー園 橋野町青ノ木のフラワーガーデンは16日から刈り取り体験

ラベンダーの開花時期を迎えた「橋野鉄鉱山フラワーガーデン」=10日

ラベンダーの開花時期を迎えた「橋野鉄鉱山フラワーガーデン」=10日

 

※降雨が予報されており、16日の開催は中止となりました。(7/15追記)
 
 釜石市橋野町青ノ木の「橋野鉄鉱山フラワーガーデン」では、あす16日から3日間、園内に植えられているラベンダーの刈り取り体験を楽しむことができる。橋野町振興協議会(和田松男会長)と栗橋地区まちづくり会議(洞口政伸議長)が共催する夏恒例の観賞イベント。「ラベンダーのさわやかな香りに包まれながら、涼しげな花や周辺の緑豊かな自然を楽しんで」と来場を呼び掛ける。
 
 2015年に同振興協によって整備されたラベンダー畑には、約700株のグロッソラベンダーが育つ。今年は年数を重ねて勢いが衰えた株を取り除き、挿し木や株分けで増やした約200株を新たに植栽。若い株は育成途中のため、畑全体の花の数は昨年より少ないが、春先から剪定(せんてい)をするなど手入れをしてきた株は順調に生育。天候や気温にもよるが、イベント期間中には最も香りを楽しめる6~7分咲きになると見込まれる。
 
刈り取り体験ができるラベンダー畑

刈り取り体験ができるラベンダー畑

 
10日の撮影時は1~2分咲き。晴れて気温が上がれば一気に開花が進む

10日の撮影時は1~2分咲き。晴れて気温が上がれば一気に開花が進む

 
 期間中は、はさみで刈り取ったラベンダーを一束300円で持ち帰ることができる。会場では株分けした苗や地元住民が手作りした匂い袋なども販売される。同振興協のスタッフが花や茎の活用法や苗の育て方をアドバイスする。
 
 畑の手入れを続ける同振興協の小笠原明彦さん(66)は「ラベンダーの香りは寝付きを良くし、深い睡眠を得られることで知られる。他にもさまざまな用途で活用できるので、試してみては」と勧める。
 
2020年の刈り取り体験の様子。いい香りに包まれて…

2020年の刈り取り体験の様子。いい香りに包まれて…

 
 同ガーデンは橋野鉄鉱山インフォメーションセンターの隣にある。刈り取り体験は16~18日の午前10時~午後3時まで受け入れる。花の観賞は時間外でも可能。イベントの問い合わせは、同振興協事務局(TEL090・4639・3225)へ。

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SL銀河お出迎え虎舞(7月〜9月)

SL銀河お出迎え虎舞(7月〜9月)
 
JR釜石線で運行中の「SL銀河」において、釜石駅到着時にホームで郷土芸能「釜石虎舞」を披露しております。
ホームでの披露の後に隣接するシープラザ釜石のイベントステージでも披露する日がありますので、是非、迫力ある虎舞を間近でお楽しみください!

開催日

ホームでの披露日程 ※(2)は2回披露の日
 
7月
2日 平田青虎会(ホーム・シープザラ釜石)
9日 白浜虎舞好友会(ホーム・シープザラ釜石)
16日 只越虎舞(ホーム)
23日 尾崎青友会(ホーム)
30日 錦町虎舞(ホーム・シープザラ釜石)
 
8月
6日 平田青虎会(ホーム)
20日 尾崎青友会(ホーム・シープザラ釜石)
27日 錦町虎舞(ホーム)
 
9月
10日 平田青虎会(ホーム)
17日 錦町虎舞(ホーム)
24日 只越虎舞(ホーム・シープザラ釜石)
 
※天候やコロナの状況等で中止になる場合があります。

かまリン

(一社)釜石観光物産協会

釜石市内の観光情報やイベント情報をお届けします。

公式サイト / TEL 0193-27-8172 / 〒026-0031 釜石市鈴子町22-1 シープラザ釜石

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より自由に!フリーサイト新設 釜石・根浜海岸キャンプ場「好きな場所で楽しんで」

フリーサイトにテントやタープを張り、キャンプを楽しむ家族連れら

フリーサイトにテントやタープを張り、キャンプを楽しむ家族連れら

 
 釜石市鵜住居町の根浜海岸にある観光施設「根浜シーサイド」のキャンプ場に今月、区画を定めず自由に使える「フリーサイト」が新たにオープンした。利用が始まって最初の週末となった2日はアウトドア大手・大型スポーツ用品専門店によるイベントがあり、県内外から20組超が来場。大型のテントなどが並び、思い思いにキャンプを楽しんだ。
 
 フリーサイトは約1200平方メートル。従来の区画オートサイトの南側に芝生を植えて整備した。2日のイベントでは、アウトドア大手スノーピーク、スポーツ専門店スポーツオーソリティが最新のテントを展示。テント設営の指導を受けながら、家族連れらが大型のテントやタープ(日よけの布)などを広げた。スポーツオーソリティ盛岡店の金本大樹さん(44)は、安心安全にキャンプを楽しんでもらうためのテント設営技術を助言。周囲への気配りなども伝えた。
 
「ボクもできるよ」。金本さん(左)のサポートを受けながらテントを設営した

「ボクもできるよ」。金本さん(左)のサポートを受けながらテントを設営した

 
 盛岡市の野川沙羅さん(厨川小4年)は積極的にテント張りを手伝っていて、「くぎを打ったり大変だし、疲れるけど楽しい。海でいっぱい遊ぶ。花火もしたい」と、わくわくした様子。父浩之さん(45)は「キャンプを楽しみながら災害時に生き残れるスキルを習得できれば。地域を越えて友達もできるし、人のつながりが魅力。自然の中で伸び伸び過ごせるのもいい」と汗をぬぐった。
 
友人家族で訪れるグループも。テント張りでも協力した

友人家族で訪れるグループも。テント張りでも協力した

 
 同施設は2019年に利用が始まった。新型コロナウイルスの影響で一時的に利用が減少したが、アウトドアが注目され徐々に回復。キャンプ人気もあり、週末や連休になると多くの利用者でにぎわっている。「そんな需要に応えよう、地域資源を使って楽しんでもらおう」とスペースを拡充した。
 
手前が新たにオープンしたフリーサイト。そばに広がる海でさまざまな体験を楽しめる

手前が新たにオープンしたフリーサイト。そばに広がる海でさまざまな体験を楽しめる

 
 施設を指定管理する観光まちづくり会社「かまいしDMC」のスタッフ佐藤奏子(かなこ)さん(44)は「海が目の前に広がり、自然に囲まれた場所。地域住民との距離が近く、見守られながら安心して遊ぶことができる。シーカヤックやシュノーケリングなどの体験ができるのも根浜の魅力。自然の空気を味わい、学び、楽しみ、たくさんの思い出をつくってほしい」とアピール。この日は石窯でのピザ焼き体験プログラムを提供し、子どもたちの笑顔が広がっていた。
 
キャンプ場内にある石窯でピザづくり体験を楽しむ親子ら

キャンプ場内にある石窯でピザづくり体験を楽しむ親子ら

  
 フリーサイトの利用料は中学生以上が500円、小学生250円、未就学児は無料。加えて、テント1張りにつき1500円が必要となる。長距離自然歩道「みちのく潮風トレイル」(八戸市-相馬市)の拠点となっており、ハイカー(トレイルマップやスタンプ帳持参などの条件有り)は1張り700円。
 
 問い合わせ、フリーサイトの予約は根浜シーサイド(電話0193・27・5455)へ。

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3年ぶり有観客開催~全国虎舞フェスティバル~市内外の9団体が躍動の演舞

観客を入れて行われた「第12回全国虎舞フェスティバル」

観客を入れて行われた「第12回全国虎舞フェスティバル」

 
 釜石市内外の虎舞伝承団体が集う第12回全国虎舞フェスティバル(釜石観光物産協会、市主催)が5日、大町の市民ホールTETTOで開かれた。新型コロナウイルス感染拡大の影響で一昨年は中止、昨年は映像配信となり、有観客開催は3年ぶり。参加9団体は久しぶりの大舞台に喜びを感じながら熱演。約400人の観客も胸を躍らせながら伝統の舞を堪能した。
 
 本フェスティバルは当初、2月に予定されていたが、新型コロナの感染状況から延期を決め、4カ月遅れの開催となった。開会にあたり野田武則釜石市長は「“全国”と銘打った虎舞フェスは釜石だけ。今年は寅年。あらためて目を向け、虎舞から元気をもらってほしい」とあいさつした。
 
 釜石市からは同市の無形文化財に指定されている錦町虎舞(1998年指定)、尾崎町虎舞(尾崎青友会、98年同)、鵜住居虎舞(鵜住居青年会、2012年同)など6団体と、市内7団体で組織する釜石虎舞保存連合会が出演。代表的な3演目(矢車、跳ね虎、笹喰み)や手踊りを披露し、観客を楽しませた。
 
平田虎舞(平田青虎会)のステージ。踊りは地元の舘山神社祭典で奉納される

平田虎舞(平田青虎会)のステージ。踊りは地元の舘山神社祭典で奉納される

 
市無形文化財5虎舞の一つ、尾崎町虎舞(尾崎青友会)。浜町2丁目(旧称・台村)に伝わる

市無形文化財5虎舞の一つ、尾崎町虎舞(尾崎青友会)。浜町2丁目(旧称・台村)に伝わる

 
各団体の演舞を楽しみ、大きな拍手を送る観客

各団体の演舞を楽しみ、大きな拍手を送る観客

 
 市外からは大槌町の陸中弁天虎舞、宮城県加美町の同消防団「中新田火伏せの虎舞保存会」が出演した。加美町の虎舞は室町時代から継承され、650年以上の歴史を誇る。毎年4月29日の初午(はつうま)祭りで踊りを奉納し、地域を練り歩いて家々の防火や家内安全を祈願する。同県の重要無形文化財。釜石での演舞は1992年、2014年、18年に続き4回目。今回は30~60代のメンバー20人が訪れた。
 
加美町消防団 中新田火伏せの虎舞保存会は防火祈願の舞を披露

加美町消防団 中新田火伏せの虎舞保存会は防火祈願の舞を披露

 
客席を回るのに替えて写真撮影タイム。独特の虎頭をパチリ!

客席を回るのに替えて写真撮影タイム。独特の虎頭をパチリ!

 
 同保存会の大杉義和会長(61)は「コロナ禍で地元の祭りもここ3年中止。今回、大きな舞台での発表機会をいただけたことは非常にうれしく、メンバーも達成感でいっぱい。伝統芸能継承のためにも、来年は何とか祭りができれば」と願った。
 
 釜石市内では各地で14の虎舞が保存、継承される。同フェスティバルは1992年に開かれた「三陸・海の博覧会」の釜石会場で初開催された後、2010年から年度事業として定着。11年の東日本大震災後も会場を転々としながら継続し、震災復興に向かう市民らに大きな力を与えてきた。
 
 中妻町の澤村幸治さん(74)は「被災前の市民文化会館での開催から見ている。近年はコロナ禍で地域の祭り行列がなくなっているので、虎舞を見られる貴重な機会。懐かしさと共に心が躍る」と話し、秋の釜石まつりの復活に期待を込めた。
 
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 本フェスティバルの模様は後日、ユーチューブチャンネル「かまいしの観光」で配信するほか、DVDの販売も予定する。

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みんなで守ろう!世界遺産 「橋野鉄鉱山」で環境美化活動&記念講演会

橋野鉄鉱山山神社エリアの環境美化活動=4日

橋野鉄鉱山山神社エリアの環境美化活動=4日

 
 釜石市橋野町の世界遺産「橋野鉄鉱山」で4日、高炉跡周辺の環境美化活動が行われた。市が主催し、市民ら約20人が参加。老朽化のため新たな鳥居が設置された山神社エリアを中心に、見学者の安全な歩行環境を整えた。山神社の歴史にスポットをあてた記念講演もあり、参加者が遺跡の保護、継承へ理解を深めた。
 
 「みんなの橋野鉄鉱山」と題した同行事は、「橋野高炉跡国史跡指定60周年」となった2017年にスタート。史跡指定月日の6月3日にちなんで毎年同時期に開催される。今年の環境美化活動は、三番高炉の東側にある山神社跡周辺で行われた。参加者は沢水の流れを良くするための溝の清掃、山神社跡に向かう通路の整備、新設された鳥居周りの枯れ木の撤去のほか、大雨で土が流出した見学路の修繕などを行った。約1時間の作業で一帯は歩きやすい環境になった。
 
山神社跡に向かう石段などの堆積物も撤去した

山神社跡に向かう石段などの堆積物も撤去した

 
大雨で土が流出した通路に土砂を運び路面を補修

大雨で土が流出した通路に土砂を運び路面を補修

 
 この後、同鉄鉱山インフォメーションセンターで記念講演会が開かれた。市世界遺産課課長補佐の森一欽さんが講師を務め、同鉄鉱山山神社について解説した。
 
 盛岡藩士・大島高任が甲子村大橋で洋式高炉による連続出銑に成功した翌年、1858(安政5)年に操業を開始した橋野鉄鉱山。操業の安全などを祈願する山神社は、三番高炉東側の山の斜面、高炉建設に使う花こう岩を切り出した後の平場を利用し、60年ごろに建てられたと推測される。現在は礎石だけが残り、社の場所を物語る。
 
山の斜面の平場に礎石が残る山神社跡。右隣には「石割桜」が育つ

山の斜面の平場に礎石が残る山神社跡。右隣には「石割桜」が育つ

 
 山神社の御神体、扁額(ともに木製)、手水鉢(石製)は、同町中村の熊野神社に保管される。94(明治27)年に鉄鉱山が廃業した際、山神社の神主を兼務していた熊野神社が引き取ったものとみられる。手水鉢は64(元治元)年、扁額は69(明治2)年の作。山神社への登り口には69(明治2)年建立の「山神碑」と「牛馬観世音碑(供養碑)」が残る。
 
1869年建立の山神碑(左)と牛馬観世音碑

1869年建立の山神碑(左)と牛馬観世音碑

 
 市は2021年度事業で同神社の鳥居を建て替えた。変形し倒れかかっていた前の鳥居は、風化具合から1945(昭和20)年ごろの製作とみられ、世界遺産の対象となった時代からは外れるため、新設に至った。鳥居の下には、神社ができたころのものと思われる礎石(花こう岩)があり、これは「世界遺産の構成要素」となるため保全された。
 
以前と同じ形に再現された山神社の新しい鳥居

以前と同じ形に再現された山神社の新しい鳥居

 
 新しい鳥居は前の鳥居と同じ形に再現。地域の慣習にならい、地元産のクリの木で作った。形は代表的な2つの型(明神、神明)が交じったタイプ。解説した森さんは「高炉場の全景が描かれた絵図(巻)には鳥居が3つある。橋野鉄鉱山時代は朱塗りだった可能性も。今後の調査で他の鳥居の痕跡も見つかるかもしれない」と期待を示した。
 
橋野鉄鉱山山神社について解説する市世界遺産課の森一欽課長補佐

橋野鉄鉱山山神社について解説する市世界遺産課の森一欽課長補佐

 
記念講演に聞き入る参加者

記念講演に聞き入る参加者

 
 釜石観光ガイド会の新人ガイド、川崎通さん(66、栗林町)は昨年10月からの養成講座を修了し、同鉄鉱山などで実習を重ねてきた。この日の講演で、「山神社にもいろいろな歴史があることが分かった。ガイドの参考にしたい。ここを訪れる人は事前に勉強してくる人も多い印象。それに対応できるようさらに知識を深めたい」と意欲を見せた。
 
釜石観光ガイドの案内で山神社についても理解を深める見学者

釜石観光ガイドの案内で山神社についても理解を深める見学者

見ごろを迎えた「陽子の庭」で咲き誇るバラ

美しく色づいたバラ見ごろ 釜石・甲子町「陽子の庭」 菊池さん夫妻が公開

見ごろを迎えた「陽子の庭」で咲き誇るバラ

見ごろを迎えた「陽子の庭」で咲き誇るバラ

 
 釜石市甲子町の菊池秀明さん(74)、陽子さん(75)夫妻の自宅庭園で、赤や黄、ピンクなど美しく色づいたバラが見ごろを迎えている。「陽子の庭」と名付け、毎年一般公開。今年もあす6月1日から10日まで開放する。
 
 公開は7年目。約2600平方メートルの敷地には、約150種のバラに加え、サツキやアヤメ、シャリンバイなど季節の草花が植えられている。こつこつと作り続けているバラ園では、濃いローズ色の大輪種「聖火」、咲き始めと開花後の花色が大きく変わる品種の代表格と言われる「チャールストン」などが一斉に咲き始め、香りや色など種類の違いを楽しむことができる。
 
色も大きさも異なるさまざまなバラを楽しむことができる

色も大きさも異なるさまざまなバラを楽しむことができる

 
バラ、アヤメ、サツキ…花々の競演も見所の一つ

バラ、アヤメ、サツキ…花々の競演も見所の一つ

 
 ツツジなどで彩った日本庭園、華やかに咲き誇るバラと可憐に咲く野の花が混植されたイングリッシュガーデンなど雰囲気の異なる庭を巡る楽しみもある。庭を一望できる「見晴らし台」がお目見え。周囲に広がる自然風景や街の様子など高台からの眺めは解放感が抜群だ。
 
枝を長く伸ばすモッコウバラも見ごろを迎える

枝を長く伸ばすモッコウバラも見ごろを迎える

 
高台にある見晴らし台から街の様子を眺めることができる

高台にある見晴らし台から街の様子を眺めることができる

  
 心安らぐ庭を目指す陽子さんは「バラは次々と新種が出ていて、すたれがない。花との出会いを思い思いに楽しんでもらえたら」と願う。庭の維持は年々大変さを増すが、夫婦で力を合わせて整備。訪れた人たちから「きれいだね」「良かったよ」と声を掛けられると、「疲れが解消。頑張ろうという気になる。皆さんのおかげで続けられる」と目を細めた。
 
こつこつと手作りした庭を開放している菊池夫妻

こつこつと手作りした庭を開放している菊池夫妻

 
 見学時間は午前9時~午後4時。入場無料。4日には水晶でできた楽器クリスタルボウルの演奏会、5日はmia&リアスバンド(シャンソン、ジャズ)によるミニコンサートを予定する。いずれも午前11時から。問い合わせは菊池さん(電話0193・27・2141)へ。

多くの人でにぎわったSL銀河の一般公開。家族連れらが写真撮影を楽しんだ

来春引退のSL銀河、JR釜石駅で一般公開~駅前では「春まつり」 食で地域の魅力発信

多くの人でにぎわったSL銀河の一般公開。家族連れらが写真撮影を楽しんだ

多くの人でにぎわったSL銀河の一般公開。家族連れらが写真撮影を楽しんだ

 

 JR釜石線(花巻―釜石間、90・2キロ)で運行9年目となる蒸気機関車「SL銀河」が4日、釜石駅構内で一般公開された。来春に運行を終えることが決まっていて、外観や車内を間近で見ようと、多くの家族連れや鉄道愛好家らが来場。迫力ある車体の魅力を存分に味わった。公開に合わせ4、5の両日、駅前広場で「かまいし春まつり」(釜石観光物産協会主催)を開催。特産品販売や多彩なステージイベントが催された。

 

部品、汽笛、走る姿…「何もかも好き」 SL見学会

 
運転台の見学で機関士から計器類の説明を受ける男性(左)

運転台の見学で機関士から計器類の説明を受ける男性(左)

 

 SLは駅構内の車庫から煙を吐きながら進み、客車と連結。来場者は、普段見ることのない裏方作業を興味深げに見つめた。機関車の前では子どもたちが機関士の帽子をかぶって記念撮影。4両の客車内も公開され、宮沢賢治の代表作「銀河鉄道の夜」をモチーフにしたレトロな内装を眺めたり、客席の座り心地を確かめたりした。

 

 運転台を見学できる有料企画も。事前に申し込んだ10人が、石炭を燃やす匂いや汽笛、噴き出す蒸気などを間近で体感しながら、計器類の説明を受けていた。小原那遊汰(なゆた)君(北上市立更木小4年)は「初めてのことで緊張した。火を使っていて熱かったけど、すごく楽しかった。SLは部品、汽笛、走っている姿、何もかも好き。将来はSLを運転する人になりたい」と目を輝かせた。祖父靖市さん(68)は孫の影響で、休日はSLの‶追っかけ″を楽しむ。「(運行終了は)名残惜しい。たくさんの顔なじみができたのはSLのおかげ」と目を細めた。

 

機関士の帽子をかぶってパチリ。交流も楽しんだ

機関士の帽子をかぶってパチリ。交流も楽しんだ

 

レトロな雰囲気の客車内で旅行気分を味わう親子

レトロな雰囲気の客車内で旅行気分を味わう親子

 

 東日本大震災からの復興支援や地域活性化を目的に、2014年に運行が始まったSL銀河。客車の老朽化などに伴い、来年春の引退が決まっている。吉田正樹釜石駅長は「多くの人出があり、愛されていたと実感。SLのレガシーを受け継ぎ、釜石線の活性化に取り組んでいく」とした。

 

ホタテ稚貝汁、海鮮のっけ丼人気 春まつり

 

ホタテ稚貝汁のお振る舞いは長い列ができ大盛況となった
ホタテ稚貝汁のお振る舞いは長い列ができ大盛況となった

 

 駅前広場には、ホタテ焼きや焼き鳥、菓子などを販売する出店が並んだ。鈴子町内会女性部によるホタテ稚貝汁のお振る舞い(各日とも200食限定)は長い列ができるほどの人気ぶり。大河内悠貴君(花巻市立南城小4年)と母聡子さん(40)は「だしがとれていて、おいしい。こじんまりとしていてもイベントを楽しめ、地元のものを味わえた」と満喫した。

 

 サン・フィッシュ釜石が用意したのは、温かいご飯に好みの魚介類をのせて食べる「のっけ丼」、しちりんで焼き上げる海鮮焼き。東鮮魚店の東洋子社長(62)は「予想を上回る客足。来てもらって感謝です。おいしいものを食べて、『釜石、いいな』と思ってもらえたら」と、マグロやイカなど新鮮な食材を使った刺し身や加工品を多数提供した。

 

サンフィッシュ釜石内の魚屋で丼にのせる具を求める家族連れ

サンフィッシュ釜石内の魚屋で丼にのせる具を求める家族連れ

 

釜石駅前広場では多くの観光客が食を満喫した

釜石駅前広場では多くの観光客が食を満喫した

 

 同まつりは5月の大型連休期間に合わせて毎年実施。同協会の澤田政男会長は「たくさんの笑顔を見ることができた。コロナ禍でも地域を盛り上げ、楽しんでもらう企画を考え、まちの良さを発信していきたい」と見据えた。

7日から一般開放が始まる橋野町の菜の花畑

黄色の“ビッグじゅうたん”見応え十分! 釜石・橋野「菜の花パーク」7日オープン

7日から一般開放が始まる橋野町の菜の花畑

7日から一般開放が始まる橋野町の菜の花畑

 
 一般社団法人ユナイテッドグリーン(山田周生代表理事)は、釜石市橋野町に開設する菜の花畑を7日から一般開放する。昨年の約2倍に面積を拡大した畑には、目にも鮮やかな黄色の花が一面に咲き誇り、心躍る空間を広げる。7日は1日限定でマルシェをオープン。自然素材のランチや手作りおやつの販売、ヨーガ体験、ピエロパフォーマンスなど多彩なメニューで来園者を迎える。一般開放は15日までを予定。時間は午前11時から午後3時まで。入園無料。
 
 産地直売所「橋野どんぐり広場」の近くにある菜の花畑は、山田代表が地元農家から遊休地を借りて耕作する。深刻化するシカの食害でここ2、3年は栽培面積を減らしていたが、高さ約2メートルの鉄柵を設置して侵入を防ぐ対策を講じ、今年は約80アールの作付けが実現した。昨年9月に種をまき、順調に成長した菜の花は背丈1メートル以上になり花も豊富。一般開放時には満開になるとみられる。
 
緩やかな傾斜の段々畑に咲き誇る菜の花

緩やかな傾斜の段々畑に咲き誇る菜の花

 
シカの侵入を防ぐ柵を設置したことで順調に生育

シカの侵入を防ぐ柵を設置したことで順調に生育

 
たくさんの花をつけ、満開間近=4月28日撮影

たくさんの花をつけ、満開間近=4月28日撮影

 
 オープン初日のマルシェには県内各地から出店予定。ビーガンカレー(おやさい食堂カラコマ)、同畑産菜種油や自家栽培玄米粉を使った菓子(やえはた自然農園)、県産小麦・自家製酵母のパン(ルーツ)、釜石の特産品をシロップに使ったかき氷(コンコン)などが販売される。ビーガンカレーは「菜の花青空レストラン」フェイスブックから事前予約を勧める。和みのヨーガ、指圧マッサージ、ピエロの絵本読み聞かせ・マジック、クリスタルボウル演奏も企画される。
 
 開放期間中は時間内で自由に出入りが可能。来園者のための駐車場も設ける。山田代表は「今年は面積も広がり、花は見応え十分。10年近くやってきた中でこんなに成長が良く、花の付きも良いのは初めて。空気のおいしい橋野で、きれいな花を眺めながら思い思いに過ごしてもらえれば」と呼び掛ける。10日は野だて(呈茶)も実施予定。
 
県道釜石遠野線側から臨む菜の花畑

県道釜石遠野線側から臨む菜の花畑

 
震災後、沿岸被災地で菜の花栽培に取り組んできたユナイテッドグリーンの山田周生代表

震災後、沿岸被災地で菜の花栽培に取り組んできたユナイテッドグリーンの山田周生代表

 
 山田代表は東日本大震災後、沿岸被災地で「菜の花大地復興プロジェクト」を展開。津波被害を受けた農地や耕作放棄地に塩分吸収率の高い菜の花を植え、土壌を浄化。種から搾った菜種油を全国に販売する取り組みを行い、被災者の雇用創出などで復興に貢献してきた。
 
 橋野の畑でも菜種油の生産を継続中。ボランティアの力を得ながら6~7月に種を収穫し選別。一関市の業者に依頼して11月ごろから搾油する。製品は来年1月から春にかけて店頭販売。市内では橋野どんぐり広場などで購入できる。「無農薬栽培で収量は少ないが、化学物質の影響を受けない安心安全な油」と山田代表。

20周年を迎えた「釜石観光ガイド会」 写真:橋野鉄鉱山・世界遺産登録を前にしたガイド研修(2015年5月)

「釜石観光ガイド会」発足20周年 震災後の経験を糧にさらなる釜石発信へ

20周年を迎えた「釜石観光ガイド会」 写真:橋野鉄鉱山・世界遺産登録を前にしたガイド研修(2015年5月)

20周年を迎えた「釜石観光ガイド会」 写真:橋野鉄鉱山・世界遺産登録を前にしたガイド研修(2015年5月)

 
 釜石市の釜石観光ガイド会(三浦達夫会長、会員27人)は本年3月で発足20周年を迎えた。東日本大震災による被災、橋野鉄鉱山の世界遺産登録、ラグビーワールドカップ(W杯)釜石開催などで同市への来訪者はこの10年で大幅に増加。同会へのガイド依頼も急増し、歴史、文化、自然、防災と多様な分野での同市発信に会が果たす役割は大きい。会では今後もガイド会員の増強、スキル向上を図りながら、観光振興の一翼を担っていきたい考えだ。
 
 同会は2002年3月27日発足。前年に市などが開いた「観光ガイド養成講座」の受講者18人で「釜石観光ボランティアガイド会」として立ち上げた(18年に現名称に改称)。観光コースの検討やシナリオづくり、モデルツアーなどを行いながら体制を構築。近代製鉄発祥150周年も好機としてガイドの機会を増やしていった。
 
タイの大学生らに東日本大震災の被災状況を説明=2014年6月、鵜住居町

タイの大学生らに東日本大震災の被災状況を説明=2014年6月、鵜住居町

 
 11年の震災以降は被災地視察や復興支援ツアー、防災学習旅行などのガイド対応に奔走。12、13年の受け入れ人数は1万3300人台に達した。13年の「三陸ジオパーク」認定、15年の「橋野鉄鉱山」世界遺産登録、19年のラグビーW杯釜石開催などを追い風に、ガイド需要は好調を維持。震災復興後の本格観光を見据え、会の機能強化を図ろうとした矢先、新型コロナウイルスの感染拡大が影を落とす。コロナ禍のこの2年は観光客が激減。同会も緊急事態宣言によるガイド活動の休止、団体ツアーの受け入れ減など大きな影響を受けてきた。
 
コロナ禍で予定を変更し釜石を訪れた県内の修学旅行生を案内=2020年9月、橋野鉄鉱山

コロナ禍で予定を変更し釜石を訪れた県内の修学旅行生を案内=2020年9月、橋野鉄鉱山

 
 そして迎えた20周年―。会は記念事業として、新たな「観光ガイド資料集」と直近10年間の活動を記録した冊子「平成24(2012)年から10年の歩み」を各70部作成した。資料集は会員のガイド力向上を目的に、釜石観光物産協会の協力を得て編集。全348ページに及ぶ“バイブル”は津波や艦砲射撃、製鉄に代表される同市の歴史、郷土の偉人や文化、自然、イベント、特産品などあらゆる分野を網羅。必要な情報をすぐに取り出せる仕様となっている。10年の歩みは活動状況の写真と略年表で構成した。
 
20周年記念事業で作成した資料集(右)と直近10年の歩みを記録した冊子

20周年記念事業で作成した資料集(右)と直近10年の歩みを記録した冊子

 
 4月27日、ガイド会の三浦会長、藤原信孝事務局長、観光物産協会の澤田政男会長、和田利男事務局長が市役所を訪問。野田武則市長に20周年を報告するとともに、作成した資料集などを贈呈した。三浦会長は震災後を「激動の10年間だった。被災地の案内を通じて会員個々のスキルも上がった」と振り返り、「今までの蓄積を生かしながら、次の10年を作っていきたい」と決意を示した。
 
20周年を報告した三浦達夫会長(中央)、藤原信孝事務局長(右から2人目)、観光物産協会・澤田政男会長(右)

20周年を報告した三浦達夫会長(中央)、藤原信孝事務局長(右から2人目)、観光物産協会・澤田政男会長(右)

 
 野田市長は20年にわたる会の運営、交流人口拡大への貢献に感謝。「ガイド活動で得られた知見、経験は何事にも代え難い。釜石はオープン・フィールド・ミュージアムとして新しい観光の未来像を掲げる。ガイド会の一層の活躍を期待する」と述べた。
 
 同ガイド会は依頼を受けてのツアーガイドのほか、橋野鉄鉱山インフォメーションセンターに毎日常駐してのガイド対応、大型連休やSL運行日に合わせたまちなかガイド(釜石駅前発着)など精力的に活動。新人ガイドの養成、会員の研修にも力を入れる。
 

 
 三浦会長は釜石が誇る製鉄の歴史を重要視。「世界遺産・橋野鉄鉱山をもっと盛り上げていくべき。積極的にPRする行事、イベントを企画して人を呼び込まなければ先細りしてしまう」と提言し、地元の住民組織、行政と一体となった取り組みを望んだ。

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新緑、景色楽しみたい! 五葉山で山開き 登山シーズン到来「無事」祈る

「今年の山が始まる」。楽しみにしていた五葉山登山に向かう人たち

「今年の山が始まる」。楽しみにしていた五葉山登山に向かう人たち

 
 釜石、大船渡、住田の3市町にまたがる本県沿岸の最高峰・五葉山(標高1351メートル)で4月29日、登山シーズンの始まりを告げる山開きがあった。地元住民や行政関係者らが神事を行い、登山者らの安全を祈願。曇天ながら時折日も差す中、この日を心待ちにした登山愛好者らは新緑をめでながら思い思いに山歩きを楽しんだ。
 
赤坂峠登山口で行われた安全祈願祭。地元関係者らは神事で登山者の無事を願った

赤坂峠登山口で行われた安全祈願祭。地元関係者らは神事で登山者の無事を願った

 
 「昭和の日」の祝日に設定されている山開きは、3市町村で組織する五葉山自然保護協議会(会長=野田武則釜石市長)が主催。釜石、大船渡の市境となる赤坂峠登山口で行われた安全祈願祭には関係者約40人が参加し、五葉山神社の奥山行正宮司による神事で無事故を願った。登山道の状況が説明された後、家族連れや山岳会などのグループが頂上を目指して歩み出した。
 
登山愛好者らは木々の芽吹きや山道から見える景色も楽しみながら山頂を目指す

登山愛好者らは木々の芽吹きや山道から見える景色も楽しみながら山頂を目指す

 
 石巻市の阿部亜紀さん(46)、杉山ひろみさん(56)は昨年、山登りを楽しみ始めたばかり。今回の五葉山登山は、「山友」の佐藤伸一さん(59)=東松島市=の還暦祝いにした。「登るのは苦しく大変だったりするけど、頂上に着いた時、何とも言えない爽快感、達成感で満たされる」と魅力を語る2人。軽快に進む佐藤さんの後に続き、「頂上から海が見えるのを期待。新緑を感じて、若返って帰ってきます」と明るい笑顔を見せた。
 
 釜石岳友会メンバーの赤﨑公正さん(66)は登山歴40年余。四季を通じて年間10回ほど五葉山に登るといい、「いよいよ、山のシーズンが始まった。五葉山は身近にあり、季節の花や山頂からの眺めを楽しむことができる、いい山。今年も何度も足を運びたい」と心を躍らせた。
 
赤坂峠登山口近くに自生するツツジはつぼみ状態。まもなく開花し登山者を出迎える

赤坂峠登山口近くに自生するツツジはつぼみ状態。まもなく開花し登山者を出迎える

 
 五葉山は県立自然公園に指定され、豊富な動植物、山頂からのリアス海岸や奥羽山系の展望が、登山者を引きつける。同山自然保護管理員の鈴木一敏さん=大船渡市=によると、赤坂コース登山道上に残雪は無く歩きやすいが、4合目の「畳岩」周辺は浮き石があり、より注意して歩く必要があるという。春から夏にかけて咲くツツジやシャクナゲの花も見所。ツツジはつぼみの状態のものもあり、「例年より早い。時期を逃さないよう楽しみながら登ってほしい」と呼び掛ける。名物のシャクナゲの開花は7月初旬以降が見込まれる。