「石楠花荘」の改築完成イメージ。外観は目立つ色にする予定
釜石、大船渡、住田の2市1町にまたがる五葉山(1351メートル)の避難小屋「石楠花(しゃくなげ)荘」の改築工事に向けて6日、ヘリコプターによる資材の運搬が始まった。今後3回に分けて足場材や木材などを現場へ搬送。9月から改築工事に掛かり、本格的な雪が降り始める12月までの完成を目指す。
大船渡市日頃市町の鷹生ダム付近に臨時のヘリポートを設置。東邦航空(東京都)所有のヘリが仙台市から飛来し、五葉山の山頂部近くに位置する石楠花荘付近まで往復しながら工事用の足場材や発電機などを運んだ。
午前11時から始まったヘリによる資材の搬送作業は、強い風のため何度も中断しながら進められ、釜石市商業観光課の担当職員らが立ち会った。
五葉山「石楠花荘」の改築工事に向けて始まったヘリコプターによる資材搬送=6日午前、大船渡市日頃市町の臨時ヘリポート
避難小屋の早期改築を求め署名や募金活動に取り組んできた五葉山石楠花荘改修促進協議会(会長=市川滋・釜石山岳協会顧問)の事務局を担当する枡沢洋光さん(68)も資材の搬送を見守った。足掛け3年にわたる活動で約3800人の署名が集まり、300万円余りの募金が寄せられた。枡沢さんは「やっとここまで来た。協力していただいた多くの人に感謝し、新しい避難小屋を大事に使っていきたい」と完成を待つ。
石楠花荘は1988年に整備。築30年を経過して建物の基礎部分の損傷や柱の腐食が進み、雨漏りもするなど老朽化が目立っていた。これを受け、避難小屋を管理する五葉山自然保護協議会(会長=野田武則釜石市長)が昨年度、小屋の改築を決めた。
新しい小屋は、現在の基礎を生かす形で整備する。木造平屋建てで、床面積は約53平方メートル。最大で約50人を収容できる。高床になっている基礎部分は倉庫などとして活用する。総事業費は約6234万円で、このうち約4千万円はヘリの使用料。工事は遠野市のリンデンバウム遠野が行い、釜石市のアルファーシステムが監理業務を担う。工期は12月21日まで。
(復興釜石新聞 2018年9月8日発行 第721号より)
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