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訪日外国人のおもてなしをアピールする国際交流員

三陸鉄道、訪日外国人向けにラッピング列車〜多言語で「ようこそ三陸へ」

報道陣に公開されたラッピング列車=22日、大船渡市の三鉄車両基地

報道陣に公開されたラッピング列車=22日、大船渡市の三鉄車両基地

 

 県と三陸鉄道は22日、インバウンド(訪日外国人)向けに地域の魅力をアピールする「ラッピング列車」を大船渡市の三陸鉄道盛駅構内車両基地で報道陣に公開した。来月1日から沿岸13市町村を会場に開かれる「三陸防災プロジェクト2019」やラグビーワールドカップ(W杯)釜石開催に向け、インバウンドの呼び込みを後押しする。

 

 ラッピング列車は県沿岸広域振興局(石川義晃局長)が企画した。ホタテやアワビなど三陸でとれる海産物をイメージしたイラストとともに、「ようこそ三陸へ」というメッセージが、英語やフランス語、スペイン語、韓国語のほか、中国語の簡体字と繁体字の計6言語で書かれている。

 

訪日外国人のおもてなしをアピールする国際交流員

訪日外国人のおもてなしをアピールする国際交流員

 

 ラグビーボールを持って走る選手や郷土芸能の虎舞、NHK連続テレビ小説「あまちゃん」で有名になった「北限の海女」などが描かれたイラストもデザイン。停車中の窓から乗客が顔を重ねる形で記念写真が撮れるよう工夫されており、県は「SNSなどで三陸を広く情報発信してほしい」と呼び掛ける。

 

 ラッピング車両は1両で、3月から盛―久慈間で不定期に運行している。来年2月まで運行する予定。

 

 石川局長は「海外の人たちに複数回来てもらうため、岩手全体でもてなしたい。『ウエルカム』の気持ちを伝え、車両を見て喜んでもらえたらうれしい」と期待する。

 

(復興釜石新聞 2019年5月25日発行 第793号より)

 

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大型連休後半は好天が続き、来場者が増えた世界遺産「橋野鉄鉱山」=5日

世界遺産 橋野鉄鉱山にも観光客続々〜満開の石割桜が迎える

大型連休後半は好天が続き、来場者が増えた世界遺産「橋野鉄鉱山」=5日

大型連休後半は好天が続き、来場者が増えた世界遺産「橋野鉄鉱山」=5日

 

 釜石市橋野町青ノ木の世界遺産「橋野鉄鉱山」には大型連休中、県外から観光客が続々と訪れた。山あいならではの一足遅い春が見学者をお出迎え。周辺はさまざまな桜が咲き誇り、登録5年目の世界遺産を彩った。遺跡エリア内に隠れるようにたたずむ「石割桜」も5日までにほぼ満開に。花崗(かこう)岩から伸びる3本のヤマザクラがボリュームたっぷりの花を咲かせ、美しい姿を見せている。12日には八重桜まつりが開かれる。

 

 三番高炉の東側山手、山神社の拝殿跡近くに生える石割桜は、長さ約5・5メートル、高さ約1・5メートルの三角状の花崗岩の間から生育。樹高は約15メートル、樹齢は約90年と推定される。開花時期は例年5月初旬。今年は2日ごろから咲き始め、20度前後まで気温が上昇したことで一気に満開に。昨年より花の付きが良く、間近で見ると木の高さと枝先まで連なる花が迫力の光景を生みだしている。

 

満開となった「石割桜」を眺める観光客

満開となった「石割桜」を眺める観光客

 

 地元出身の釜石観光ガイド会員、三浦勉さん(67)は「高炉の石組みに使おうとして割った岩が結局使われず、割れ目に桜の種が入り込み、成長したのではないか。近くにはノミが入れられた石も残る」と同所と桜の関連性を推測。「根がどこまで張っているか分からないが、栄養を取りづらい環境であることは確か。ゆえに幹が太くなるのは他の木より遅いだろうが、今まで枯れる様子はなく、花の勢いもいい。まだまだ育っていきそう」と今後に期待を寄せる。

 

 同桜は岩手の桜を紹介する書籍に掲載されているが、釜石在住でも知らない人が多い。5日、大平町から訪れた夫婦も「全然知らなかった。あんな所にあったとは」と目を凝らした。三浦さんによると花は「風が吹かず、天気さえ良ければあと3日ぐらいは持ちそう」とのこと。

 

 連休期間中はインフォメーションセンターに常駐した観光ガイドの案内で見学を楽しむ人も多かった。八戸市から訪れた内藤生美さん(44)、慧君(10)親子は5日、三浦さんのガイドで高炉跡を見学。生美さんは「歴史の重みを感じる。八戸も工業のまちなので、身近に感じた。子どもにも何か響いてくれれば」と期待。石に興味があり、同所の見学を自ら希望した慧君は「鉄の作り方を知って驚いた。高炉の上の部分も残っていたら見てみたかった」と目を輝かせた。

 

 娘さんとともに車で訪れた盛岡市の中村洋子さん(74)は「世界遺産ということで、一度は来て見たかった。こんなに山奥にあるとは想像しなかった。昔、実家の近くに採石場があり、発破の音がうるさいほどだった。高炉の石組みを近くの斜面から切り出したことを聞き、それを思い出した。ガイドの説明があって、よく分かりました」と感想を話した。

 

 橋野鉄鉱山は、16年の台風10号による豪雨で遠野市からのアクセス道路「笛吹峠」が通行止めになったことが影響し、見学者数が落ち込んだ。復旧工事の完了で昨シーズンから通行可能となり、今年のゴールデンウイークは10連休という好条件も重なったことで、見学者数は回復傾向に。同センターの入館者数は4月27日~5月6日までの10日間で計1826人に上った。来場者の車は大半が県外ナンバーで、九州、関東、北海道からの車も見られた。

 

(復興釜石新聞 2019年5月8日発行 第788号より)

 

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ホタテ釣りに笑顔を広げる家族ら

アクセス向上 大型連休に釜石へ〜釜石駅前で「春まつり」、ラグビーW杯 相乗効果に期待

ホタテ釣りに笑顔を広げる家族ら

ホタテ釣りに笑顔を広げる家族ら

 

 新天皇陛下の即位と「令和」への改元に伴い、最大10日の大型連休となった今年のゴールデンウイーク。東北横断道、三陸沿岸道、三陸鉄道リアス線開通でアクセスが飛躍的に向上した釜石市には、県内外から大勢の観光客や帰省客が訪れた。市内の観光スポットやイベント会場、ラグビーワールドカップ(W杯)が開催される釜石鵜住居復興スタジアムなど各所で、県外ナンバーの車両が目立ち、交通網の整備効果を実感させた。期間中は晴天が多く、後半は気温も上昇。初夏を思わせる陽気の中、海や山の自然を満喫する光景も見られた。

 

 鈴子町の釜石駅前広場では4、5の両日、「かまいし春まつり」が開かれた。一般社団法人釜石観光物産協会(澤田政男会長)が主催。海山の幸や今秋のラグビーW杯をアピールし、まちの魅力を発信。観光客をおもてなしの心で迎えた。

 

いよいよ今秋に迫ったラグビーW杯をPRするブース

いよいよ今秋に迫ったラグビーW杯をPRするブース

 

 同広場とサン・フィッシュ釜石屋外スペースに15業者が出店。橋野どんぐり広場はタラノメやシドケなど旬の山菜や菓子類、釜石湾漁協はホタテマリネ、メカブ山海漬を販売し、地元ならではの味をPRした。

 

 両日とも200食限定で、鈴子町内会女性部が調理したサケのつみれ汁を無料お振る舞い。4日は午前11時の開始を前に約70人が列を作り、45分ほどで大鍋が空になった。

 

 人気を集めたのは、ホタテ釣り(1回500円)とアワビ捕り(同千円)の体験。ホタテは針金の釣り針を貝の口にかませて釣り上げる。アワビは箱眼鏡も使い、棒の先端に付いた金属かぎでひっかけて捕る。子どもから大人まで夢中になり、水槽から上げると歓声が沸いた。ホタテは200枚、アワビは100個用意された。体験後はその場で焼いて食べることも可能。箱崎白浜産のホタテは大人の手のひらサイズで、殻を取ると大きな身が姿を現し、食欲をそそった。

 

 仙台市の会社員宇治克俊さん(27)は「ホタテがなかなか掛かってくれなくて。水揚げしたては普段食べる機会がない」と箸を進めた。2日から三陸道を北上し岩手へ。龍泉洞(岩泉町)や浄土ケ浜(宮古市)を巡り来釜した。「未開通部分のインターの渋滞が激しかった。全線開通すれば、スイスイ行くんでしょうけど。釜石はきれいな建物、店も多く、復興が進んでいるイメージ」と話した。

 

 埼玉県蓮田市の松尾まどかさん(39)は夫、子どもと家族5人で、4月30日から大町の実家に帰省。4日、同イベントを楽しんだ。「休みが長いと帰ってこようと思いますよね。ゆっくりできた」とエネルギーを充電。津波で被災した店舗兼住宅は修復し、母が一人で暮らす。「明日は母を連れて花巻温泉に一泊して帰ります」とほほ笑んだ。

 

 釜石観光ガイド会は4月29日から5月6日まで、駅前の観光総合案内所発で「街なかガイド」を実施。利用客の要望に応じ、震災や製鉄、まちの歴史などの話をし、おもてなしに一役買った。

 

 澤田会長は「今年は秋の味覚まつり、釜石まつりがラグビーW杯の時期と重なる。相乗効果を生み、盛り上がりを来年以降につなげられるよう、力を尽くしていきたい」と気を引き締めた。

 

(復興釜石新聞 2019年5月8日発行 第788号より)

 

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春を運ぶSL銀河〜一番列車釜石に、6年目の運行スタート

春を運ぶSL銀河〜一番列車釜石に、6年目の運行スタート

SL銀河

 

 JR釜石線(花巻―釜石間、90・2キロ)を走る蒸気機関車「SL銀河」の今年の運行が4月29日、始まった。初日の下り列車(釜石行き)は、定員176人の客車4両が満席。乗客は各駅や線路沿いで地元住民らの熱い歓迎を受けた=写真。6年目の今年は9月29日まで、土日・祝日を中心に上下計48本の運行を予定。SLシーズンと連動した観光振興に期待をかける。

 

 29日、午前10時37分花巻発のSL銀河は4時間半をかけ釜石に到着。線路をはさんだシープラザ釜石のデッキには市民や鉄道ファンらが陣取り、黒光りする雄姿を眺めつつ盛んにカメラを向けた。

 

 駅のホームでは、釜石市のキャラクター「かまリン」、JR、観光関係者らが降り立った乗客を歓迎した。対面するホームでは尾崎青友会が威勢のいい虎舞を披露し、到着を盛り上げ。駅舎前では釜石観光物産協会によるホタテ稚貝汁の振る舞いもあり、釜石ならではのおもてなしが光った。

 

SL銀河の出発式でくす玉を割る関係者ら

SL銀河の出発式でくす玉を割る関係者ら

 

 盛岡市の菅野航生君(北松園小1年)は、車体に描かれた星座がお気に入り。「楽しい」と4回目の乗車も満喫した。母多紀子さん(40)は2回目で、「車の旅と違った景色が楽しめた」とにっこり。この後は三陸鉄道に乗り継ぎ、大船渡市の親戚を訪ねる予定だという。

 

 カラオケを楽しむ仲間4人で乗車した仙台市の守谷巌さん(78)は“乗り鉄、撮り鉄、呑(の)み鉄”という3つの鉄道旅を堪能。沿線の歓迎、主要駅で披露される郷土芸能など一番列車ならではのもてなしにも感激していた。ほろ酔い気分でホームに降り立った弟律さん(70)は初めての乗車。「レトロな雰囲気の車内がいい。桜が見頃で景色もよし。兄貴のおかげで友達、いろんな楽しみが増えている。仲のいい者同士の旅は最高」と喜んだ。

 

 今年は運行5周年を記念し、季節ごとにヘッドマークのデザインを変更する。現在、サクラをモチーフにしたものを掲示中。さらに、車体に白いライン、車軸には赤い塗料が加えられた。

 

 景品が当たるスタンプラリーも実施。釜石の洋菓子店「アンジェリック」が製造する、石炭のような見た目が特徴のオリジナル菓子や、駅名キーホルダーなどの記念グッズも販売する。

 

 SL銀河は東日本大震災からの復興支援、地域活性化を目的に2014年4月に運行を開始。昨年は上下59本運行し、延べ約8200人が利用した。平均乗車率は前年同様の8割を維持。JR東日本盛岡支社の広報担当者は「多くのお客さま、地元の支援により6年目の運行を迎えることができた。一人でも多くのお客さまに沿岸への旅を楽しんでいただきたい」と期待を寄せる。

 

花巻へ 雨模様の中を折り返し

 

 SL銀河運行2日目の30日は、釜石から花巻への上り運行。あいにくの雨模様となったが、午前10時58分の発車を前に、乗客や見物客が機関車の車体や出発準備の様子を見学。唐丹町の桜舞太鼓、釜石高吹奏楽部は雨にも負けない力強い演奏を披露し、旅立ち気分を高めた。

 

 親子2人旅を楽しんでいる東京都江戸川区の増渕仁君(小松川二中1年)は大の鉄道好き。前日に三陸鉄道リアス線で釜石入りし、SL銀河に初乗車。「車内がどうなっているか楽しみ」と目を輝かせた。父元さん(51)は写真が趣味。「(2人旅は)いろんなことを話すいい機会になった。非日常を楽しみたい」と笑った。

 

 発車時刻には、釜石駅の工藤冨士雄駅長と園児2人が右手を上げて出発合図。高らかに汽笛を鳴らし、黒煙を上げながら走り出す車両を地域住民らが手を振って見送った。

 

 工藤駅長は「三鉄と合わせて岩手、沿岸を周遊する旅をたくさんの方に楽しんでほしい」と期待した。

 

(復興釜石新聞 2019年5月1日発行 第787号より)

 

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魚河岸テラス・鵜の郷交流館「ホタテ縁日」盛り上がる〜10連休スタート、新施設にぎわう

魚河岸テラス・鵜の郷交流館「ホタテ縁日」盛り上がる〜10連休スタート、新施設にぎわう

大きなホタテを釣り上げ大喜び!!=鵜の郷交流館、28日

大きなホタテを釣り上げ大喜び!!=鵜の郷交流館、28日

 

 新天皇の即位と改元による最大10日の大型連休がスタート。4月27日の釜石市内は冷たい雨と低温で冬に逆戻りしたかのような気候となったが、28日は青空が広がり、最高気温も11度台まで回復した。今春オープンした釜石魚河岸にぎわい館「魚河岸テラス」と鵜住居駅前の観光交流拠点施設「鵜の郷(さと)交流館」は初の大型連休を迎え、27、28日にそれぞれ「ホタテ縁日」を開いた。

 

 釜石産のホタテを観光客らにアピールしようと、両館の指定管理者「かまいしDMC」が釜石東部漁協と連携して企画。鈴子町のサン・フィッシュ釜石を加えた3施設で計3240円以上の買い物、食事をした人を対象に縁日券を配布し、3種の“ホタテチャレンジ”を楽しんでもらった。

 

 半球状のざるを放る「輪投げ」と玩具の弓矢を使った「射的」は、それぞれ3回挑戦。ひもとつないだリングで貝をすくい上げる「釣り」は、制限時間30秒内に何枚捕れるかが勝負。老若男女が体験し、歓声を上げた。

 

 野田町の齋藤匠さん(33)一家4人は今春、岩泉町から転入したばかり。秋田県から訪れた妻睦実さん(30)の両親と28日、初めて鵜の郷交流館に足を運んだ。見事、ホタテをゲットした長男駿君(4)は「輪投げポンと釣るの、楽しかった。今日の夕ご飯で食べる」とにこにこ顔。同館の前には、ラグビーワールドカップ(W杯)の会場、釜石鵜住居復興スタジアムも見学した。

 

 睦実さんの父遠藤勇人さん(60)は10月13日の観戦チケットが取れ、「W杯は絶対見たかった。スタジアムも下見し、かなり楽しみ」と声を弾ませた。秋田からは東北横断道を運転し来釜。「昔の仙人峠に比べると本当に快適。新しい道路や施設ができ、復興の進展を感じる」と話した。睦実さんは「連休中、釜石市内をいろいろ回ってみたい」と新天地の生活に期待を膨らませた。

 

 かまいしDMCの河東英宜・取締役事業部長によると、3月23日にオープンした同交流館と津波伝承施設「いのちをつなぐ未来館」の合計来館者数は2万人を突破。同所は三陸沿岸を回るツアーでコースの一つに組み込まれ、全国からの団体客も多い。4月13日オープンの魚河岸テラスも好調で、内陸部から車で訪れる客が後を絶たないという。

 

 「3館とも予想を上回る滑り出し。(縦横の)高速道路や三陸鉄道の開通効果を実感する。今後も市内の他イベントと日程調整しながら、魅力ある企画で誘客につなげられたら」と河東部長。なお、水曜定休の鵜住居の2館は1日も営業する(交流館は一部店舗の休業あり)。

 

(復興釜石新聞 2019年5月1日発行 第787号より)

 

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タブレット画面を注視しながら高い解説機能を確かめる参加者

橋野鉄鉱山ガイドアプリ完成、世界遺産ARで動画〜報道関係者に現地で公開、一般利用は4月20日から

タブレット画面を注視しながら高い解説機能を確かめる参加者

タブレット画面を注視しながら高い解説機能を確かめる参加者

 

 釜石市は、2017年にユネスコ世界遺産「明治日本の産業革命遺産」の構成要素として認定された釜石市橋野町青ノ木の「橋野鉄鉱山」の価値をより広く知ってもらおうと、アプリを整備。その説明会が16日、橋野高炉跡で行われた。釜石観光ガイド会(三浦達夫会長、30人)が参加し、報道関係者に公開した。一般の利用はきょう20日からスタートする。

 

 アプリに入力されたのは高炉のほか石切り場、種焼場(たねやきば)跡など11カ所。専用タブレット10台を受け取ったガイド会の会員は鉄鉱山の大門から一番高炉に向かい、二番、三番高炉を巡った。

 

 タブレット端末はGPS(全地球測位システム)機能を使い、訪れた史跡内の遺構を音声、文字、画像で解説する。中でも二番高炉跡は、県指定文化財の絵図(「紙本 両鉄鉱山御山内並高炉之図」)に基づき、VR(仮想現実)で復元し、操業当初(1860年代初頭)の高炉の仕組みや規模が体感できる。

 

操作の習得に集中するガイド

操作の習得に集中するガイド

 

 アプリで解説する11カ所をすべて巡ると、周辺環境と一体化させた画像のAR(拡張現実)がグレードアップ。10問のクイズに正解しても同じ上級機能が起動する。市内の製鉄関連10史跡ごとのARカードも作成。タブレットやスマートフォン(スマホ)をかざすと、3D(立体的)画像の高炉が浮かび上がり、史跡の訪問数やクイズの回答でグレードアップする。

 

 このガイドアプリの利用は、橋野鉄鉱山インフォメーションセンターでのタブレット貸し出し、スマホでもQRコードの読み取り(googleplay、Applestore)で可能だ。高炉の一番と三番は、県が整備した静止画像や文字での説明アプリが先行している。

 

 タブレットの利用は午前9時半~午後3時半、料金は1台300円で1時間使える。従来から提供する8個の音声ガイドペン(4カ国語対応)も継続する。

 

 説明会に参加した同ガイド会の川崎孝生さん(78)は「自由に使いこなすのは難しいが、勉強する。若い人や操作に慣れた人なら楽しめるだろう。最近は大震災の被災に関するガイドは少なくなり、橋野など文化財のガイドが多い。自分の言葉で、みなさんと直接やりとりする案内が主になる」と語った。

 

 市世界遺産課の森一欽課長補佐は「橋野鉄鉱山や製鉄について理解を容易にし、楽しむことで、(来訪者の)施設内、全市の回遊性を高めたい」と期待する。

 

 アプリの整備は国と県の助成を受け、昨年度に取り組んだ。総事業費は1300万円。

 

(復興釜石新聞 2019年4月20日発行 第784号より)

関連情報 by 縁とらんす
橋野鉄鉱山をVR・ARで体感しよう!!

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釜石の魅力を発信する新スポット「魚河岸テラス」

復興望む新たなスポットに〜魚河岸テラス開館、餅まきで完成祝う

釜石の魅力を発信する新スポット「魚河岸テラス」

釜石の魅力を発信する新スポット「魚河岸テラス」

 

 釜石市が整備を進めてきた釜石魚河岸にぎわい館「魚河岸テラス」が完成し、13日、現地で竣(しゅん)工式が行われた。地元の食材を生かした飲食店のほか、郷土芸能虎舞などの紹介スペース、キッチンスタジオなども整備。東日本大震災からの復興を目指すまちの新たな名所として「魚のまち釜石」を発信する。

 

 市が中心市街地・東部地区の復興に向けて進めるフロントプロジェクトの一つ。釜石港に面する魚河岸地区の敷地面積3871平方メートルの市有地に整備された。鉄骨造り2階建て、延べ床面積は1227平方メートル。1階にキッチンスタジオや会議室、物販、虎舞や地元で採れる魚の展示コーナーを配置。2階には飲食店4店舗が入居し、海を眺めながら食事が楽しめる。

 

 花火や曳(ひ)き船まつりを観覧できるテラス、朝市やイベントで活用できる広場も整備。事業費は約5億円で、復興交付金や過疎債を活用した。

 

 愛称「魚河岸テラス」は公募で決定。釜石出身で東京都在住の50代女性が「笑顔を絶やさない明るいテラスに。港とまちを結び付ける施設になってほしい」などの願いを込めて命名した。

 

 式には関係者ら約50人が出席した。野田武則市長は「まちの持つ力を発揮する拠点施設として整備。海を見ながら食事をできる場がやっと実現した。多くの人に愛され、親しまれ、末永く大事にされる施設になれば」とあいさつ。テープカットの後、尾崎青友会による虎舞、餅まきで完成を祝った。

 

テープカットで施設の完成を祝う関係者

テープカットで施設の完成を祝う関係者

 

 オープンすると、待ち構えた多くの人が建物内へ。釜石自動車道で花巻市から足を運んだ小瀬川正さん(76)は土産物を購入し、催しの毛ガニ釣りに挑戦、2匹を釣り上げた。「教員として赴任したこともあり、釜石には親しみがある。小規模だが、観光客が来れば復興のプラスになるだろう。カニも手に入り、いい思い出に。家に帰ってお酒飲みたいね」と喜んだ。

 

オープンを活気づける餅まきに歓声を上げる市民ら

オープンを活気づける餅まきに歓声を上げる市民ら

 

 嬉石町に自宅を再建した佐々木ミキさん(84)と大町復興住宅で暮らす山崎タイ子さん(77)は、仮設住宅生活で深めた親交を維持。人の多さに食事は諦めたが、「誘い合ってまた来ようね」と約束した。

 

 1階にはJFマリンバンクいわて県信漁連釜石大槌支店も入居。5月13日のオープンを予定する。

 

(復興釜石新聞 2019年4月17日発行 第783号より)

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Oh!マチ Music Festa 2019

Oh!マチ Music Festa 2019

Oh!マチ Music Festa 2019

 

【同時開催】青葉マルシェ
フリーマーケットやキッチンカーも多数出店!

 

【同時開催】東部地区フォトラリー
会場となる釜石市東部地区を探索しながら名所や人を写真に収めましょう。条件をクリアすると、ドリンク無料券等プレゼント!参加無料

 

《スペシャルゲスト》
lecca
2006年4月ミニ・アルバム『Dreamer』にてメジャーデビュー。型にはまらないオリジナルなスタイルが注目を集めるシンガーソングライター。また、ジャンルを超えたコラボレーションで話題を呼んだ。2017年には東京都議会議員選挙に立候補し、当選。現在は都議会議員としても活躍している。

 

*はなおと*
岩手県花巻市出身の2人組。同郷の宮沢賢治を彷彿させるものや、東北弁を使用した楽曲もあり、どこか懐かしくも新開拓のポップ。

 

坂元昭二
アコースティック・ギタリスト。数々のミュージシャンのコンサートツアーやレコーディングに参加。「北の国から」のテーマ曲、挿入曲のギター奏者としても知られる。

日時

2019年5月3日(金・祝) 10:00〜18:00
フィナーレでは餅まきも開催!

場所

釜石市民ホール TETTO ホールB 広場側
岩手県釜石市大町1-1-9

タイムテーブル

《メインステージ》 釜石市民ホール ホールB 広場側
10:00- オープニング
10:10-10:40 釜石ベンチャーズ(釜石市)
11:05-11:35 PEKO the DIVA(花巻市)
12:00-12:30 GOONIES(埼玉県川口市)
12:55-13:25 the 迷奇(奥州市)
13:50-14:20 SOULMATE(陸前高田氏)
14:45-15:15 GTR BLUES BAND(埼玉県行田市)
15:40-16:10 《ゲスト》 *はなおと*
16:35-17:05 《ゲスト》 坂元昭二
17:20-17:50 《ゲスト》 lecca
17:50- フィナーレ(※餅まき)

 

《アコースティックステージ》 市民ホール南口入口前
10:40-11:05 アビシニアン(奥州市)
11:35-12:00 うらちゃんず(神奈川県横浜市)
12:30-13:55 麦田ゆに(宮古市)
13:25-14:50 束(大船渡市)
14:20-14:45 FLAT(盛岡市)
15:15-15:40 ブラック★かまリンズ(釜石市)
16:10-16:35 光(ひかる)(盛岡市)

 

主催

Oh!マチ Music Festa実行委員会
共催:釜石市大町商店街振興組合/釜石まちづくり株式会社
後援:釜石市、釜石商工会議所、釜石観光物産協会、釜石市芸術文化協会、釜石東部コミュニティ振興グループ
協賛:株式会社トヨタレンタリース岩手

問い合わせ

電話 0193-24-3660 / Mail ohmachi.music.festa@gmail.com
公式サイト https://ohmachi-musicfesta.jimdo.com

Oh!マチ Music Festa 実行委員会

Oh!マチ Music Festa 実行委員会

問い合わせ:Oh!マチ Music Festa 実行委員会 / TEL・FAX 0193-24-3660 公式サイト / メール
ラグビーW杯釜石開催出場国の料理が振る舞われた食文化体験交流会

食でつながるW杯、4カ国の味に舌鼓〜出場国食文化体験交流会、「おもてなしのヒントに」と期待

ラグビーW杯釜石開催出場国の料理が振る舞われた食文化体験交流会

ラグビーW杯釜石開催出場国の料理が振る舞われた食文化体験交流会

 

 今秋のラグビーワールドカップ(W杯)釜石開催の出場4カ国の料理を紹介する「食でつながるワールドカップ~出場国食文化体験交流会」(県沿岸広域振興局主催)は2月26日、釜石市大町のホテルサンルート釜石で開かれた。食文化体験を通じて出場国に理解を深め、来訪者の受け入れ機運と国際交流の促進につなげようと実施。市内外の宿泊、飲食、商工・観光、地域団体関係者ら約100人が参加し、各国の味に舌鼓を打った。

 

 食文化体験として用意されたのは、▽フィジーのチリ・チキン▽ウルグアイのパンチョ(ウルグアイ風ホットドック)▽ナミビアのシュニッツェル(ナミビア風カツレツ)▽カナダのバッファローチキンウィング―など各国の料理と飲み物計12品。同ホテルの鈴木浩明総料理長が国内で仕入れた食材を使って調理した。

 

 参加者は一品一品をじっくりと堪能、味めぐりを楽しんだ。市内のホテルで朝食スタッフとして働く大船渡市の松川香織さん(48)は「食べなれない不思議な味のものがあった。各国のことを理解するいい機会になった」と実感。普段の献立に生かせる調理法、味付けのヒントを得たようで、「地域にあるものを生かして作って、おもてなししたい」と同僚たちと目配せした。

 

参加者は各国の味めぐりを楽しんだ

参加者は各国の味めぐりを楽しんだ

 

 提供された料理のレシピは4日から同振興局のホームページで公開する予定。石川義晃振興局長は「食を切り口にW杯の盛り上げを図りたい。出場国に興味を持ってもらうきっかけになれば。地域の宿泊、飲食店だけでなく、家庭でも挑戦してほしい」と期待した。

 

 交流会に併せて沿岸地域の産直施設の新商品など7品の試食会も行われた。道の駅釜石仙人峠の「甲子柿ゼリー」、浜の駅おもと愛土館(岩泉町)の「どんこシュウマイ」などを紹介。同振興局農林部では、こうした施設をW杯開催時の来場者に向けたおもてなしの核と捉え、商品の開発支援、販売促進に取り組んでいく考えだ。

 

(復興釜石新聞 2019年3月2日発行 第770号より)

 

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第9回 全国虎舞フェスティバル

【インタビュー】第9回 全国虎舞フェスティバル

第9回 全国虎舞フェスティバル

 

第9回 全国虎舞フェスティバル
https://en-trance.jp/event/18659.html
開催日:2019年2月10日(日) 10:00〜
会場:釜石市民ホールTETTO ホールA
インタビュー:(一社)釜石観光物産協会 事務局次長 佐々木一伸さん、釜石市商工観光課 観光おもてなし係主任 山﨑可奈子さん 

 

第9回 全国虎舞フェスティバル

 

釜石の郷土芸能“虎舞”。市内外から絶大な人気を誇り、様々なイベントの目玉になる事もしばしばです。
特に三陸沿岸の各地域に伝統が受け継がれ、盛んに活動が行われている虎舞ですが、市外や県外の団体の演舞を観る機会はそう多くない中で、この「全国虎舞フェスティバル」は貴重な場となっています。
東日本大震災を乗り越えて続いて来た「全国虎舞フェスティバル」のこれまでと、今回の開催についてお聞きして来ました。

 

ーーイベントはどのようなきっかけでスタートしたのでしょうか?

 

平成22年(2010年)から開催しています。
それまでは、釜石まつりでの“郷土芸能大競演祭”や各地域のお祭り、そして色々なイベントで披露されたりする事はありましたが、虎舞団体が一同に会して、さらに市外・県外の虎舞団体を呼んでご覧頂ける機会はありませんでしたので、この年が“寅年”だったこともあり、これを契機にという事で始めました。

 

その翌年(2011年)の東日本大震災津波では、多くの団体が大きな被害を受けました。
そうした中でも、伝統芸能分野から支援金や道具の寄贈を頂いたり、日本財団からは開催費用自体も支援して頂くなど、郷土芸能を守って行こうという動きは速かったです。

 

会場としていた旧・釜石市民文化会館も被災して使用出来なくなる等、様々な困難がありましたが、出来る範囲で何とか続けて行こうと、そういった支援や補助金制度などを活用させて頂きながら、絶やす事なくここまで毎年開催しています。

 

第9回 全国虎舞フェスティバル

 

ーー開催目的としてはどんな事があげられますか?

 

一番の目的は、やはり“伝統芸能の継承”ですね。
市内の登録団体は現在14団体あるのですが、「出演したいが当日人が集まらない」「若い世代の担い手不足」等の理由からなかなか出演がかなわない事などもあり、全ての団体の出演はまだ実現できていません。
こうした理由は、虎舞を継承していくうえで多くの団体が抱えている問題だと思います。

 

第9回 全国虎舞フェスティバル

 

ですので、この虎舞フェスティバルでは、市内の幼稚園、保育園、小学校にも出演してもらっています。
小さい頃から虎舞を初め、それがそれぞれの地域の虎舞を継承していく事に繋がってくれたらという想いがありますし、子供たちにとっては、普段の練習の成果を一般の皆さんに観て頂く発表の場になればとも思っています。

 

第9回 全国虎舞フェスティバル

 

ーーこれまで出演団体について。

 

虎舞団体の多くは、岩手・青森・宮城の三陸沿岸地域に多くありますので、釜石市以外の団体はこれらの地域から多数お越し頂いていますが、その他では、これまでに横須賀、静岡、山梨からもご出演頂きました。
今回初参加となる愛媛県松山市が、これまでの中では一番南からの参加になります。

 

ーー今回開催について。

 

市内から6団体、大槌町から1団体、県外からは3団体が出演します。
日ヶ久保(ひがくぼ)虎舞(青森県おいらせ町)は2回目、古三津(ふるみつ)虎舞(愛媛県松山市)、長者山麓八戸虎舞(青森県八戸市)は初参加です。

 

第9回 全国虎舞フェスティバル

 

ーー注目ポイントは?

 

オープニングセレモニー後に、県立釜石高校のスーパーサイエンスハイスクール(SSH)ゼミ活動の中の一つ、「髙橋ゼミ」の“南部藩の虎舞の起源”を題材にした研究発表(第12回全国高校生歴史フォーラム優秀賞受賞)を行って頂きます。今回の出演団体に関係するお話も出て来ますので、ぜひ発表をご覧頂きたいと思います。

 

また、イベントの映像を毎年DVDにしているのですが、過去の開催分も当日会場で販売しています(在庫限り)。その他にもロビーでは、釜石の特産品販売やRWC2019PRブースの出展もあります。

 

一口に“虎舞”と言っても、釜石市内でも各団体によって違いはありますし、県外の団体は虎頭から踊りの意味合いなどが釜石の虎舞とは大きく異なりますので、その辺を楽しみながら様々な“虎舞”をご覧頂ければと思います。
入場無料ですので、皆さまぜひお越しください。

 

第9回 全国虎舞フェスティバル

開催日時

2019年2月10日(日)
開場 9:30 開演 10:00 終演15:00(予定)

会場

釜石市民ホールTETTO ホールA

入場料

無料
※客席が満席になる場合は、入場規制を行う場合があります。

学習発表

岩手県立釜石高等学校 SSH地理公民 髙橋ゼミ 
第12回全国高校生歴史フォーラム優秀賞・知事賞受賞
「南部藩の虎舞の起源を探る~虎舞はどこで生まれ、どのように広まっていったのか~」

出演団体

市内・県内団体
尾崎青友会、錦町青年会、只越虎舞、平田青虎会、箱崎虎舞保存会、かまいしこども園、向川原虎舞(大槌町)
県外団体
古三津虎舞(愛媛県松山市)、日ヶ久保虎舞(青森県上北郡おいらせ町)、長者山麓八戸虎舞(青森県八戸市)

お問い合わせ

釜石観光案内所 0193-22-5835

縁とらんす

かまいし情報ポータルサイト〜縁とらんす

縁とらんす編集部による記事です。

問い合わせ:0193-22-3607 〒026-0024 岩手県釜石市大町1-1-10 釜石情報交流センター内

改築工事を終え、供用開始となった五葉山の石楠花荘

五葉山「石楠花荘」改築工事完了、供用開始〜立派な避難小屋に喜ぶ声

改築工事を終え、供用開始となった五葉山の石楠花荘

改築工事を終え、供用開始となった五葉山の石楠花荘

 

 釜石、大船渡、住田の2市1町にまたがる五葉山(1351メートル)の避難小屋「石楠花(しゃくなげ)荘」の改築工事が完了し、21日から供用開始された。小屋と併せてトイレも一部改修。27日に釜石市役所で開かれた五葉山自然保護協議会(会長・野田武則釜石市長)の本年度第2回総会で報告され、出席者らは「やっとここまで来た」と、木の温かみのある新しい建物が多くの登山者に快適に利用されることを期待した。 

 

小屋を管理する五葉山自然保護協議会の総会

小屋を管理する五葉山自然保護協議会の総会

 

 事務局によると、新しい小屋は旧施設の基礎となっているコンクリート部分をそのまま生かし、上部に木造平屋の建物を整備。床面積は53平方メートルで、規模や構造は旧施設とほぼ同じ。50人程度を収容できる。

 

 トイレには、新たに洋式を設置。扉の補修なども行った。総事業費は約6400万円で2市1町が負担。加えて、五葉山石楠花荘改修促進協議会が募金活動で集めた寄付金300万円も生かされた。

 

 冬季期間も小屋には自由に入れるが、トイレは配管の凍結により使用できないため、現在は閉鎖している。来年4月29日に予定する山開きの際に、現地で見学会を開催する。

 

 石楠花荘の旧施設は1988年に整備。改修を重ねてきたが老朽化が進み、地元の山岳関係者らから建て替えを願う声が上がっていた。これを受け、自然保護協が昨年度、小屋の改築を決定。7月から工事を進めてきた。

 

 総会には野田釜石市長、戸田公明大船渡市長ら関係者約20人が出席。実際に新しい小屋を利用した釜石市の自然保護監理員から「日本一立派な避難小屋。快適に過ごせた」と喜ぶ声が聞かれた。一方でトイレや雨水管などの設置場所の変更や、消火器など防火設備の配置などの要望もあった。

 

 野田市長は「協力に感謝。今後の利活用も共に手を携え、事業を行っていきたい」と述べた。

 

(復興釜石新聞 2018年12月29日発行 第753号より)

 

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釜石駅前に設置されたブック型の案内看板

「ミッフィー通り」完成、釜石駅前から魚河岸地区まで〜オープン記念、案内板除幕

釜石駅前に設置されたブック型の案内看板

釜石駅前に設置されたブック型の案内看板

 

 オランダ生まれの絵本キャラクター「ミッフィー」の世界観が広がるミッフィーカフェかまいしの開設から3年――。釜石市大町に位置する同カフェへの導線に新たな魅力を加え、誘客力向上を図ろうと、市はカフェが面する市中心部の目抜き通りを「ミッフィーストリート」(愛称)として整備。15日、釜石駅前に設置したブック型案内看板や歩道上に配置した標識などをお披露目するオープニング記念イベントが行われた。

 

 同ストリートは、釜石駅前と魚河岸地区からカフェまでを結ぶ県道4号釜石港線沿い約1・5キロに設定。駅前には、絵本を開いた形の高さ1・24メートルの案内看板を設置。うさぎのキャラクター、ミッフィーの絵とカフェまでの方向、距離が示されている。区間内の交差点など4カ所に高さ約1・8メートルの文字標識、歩道の地面には約180メートル程度の間隔で20センチ四方の金属製プレート18枚が埋め込まれ、異なる絵柄のミッフィーがカフェへの道を誘導する。

 

探すのが楽しい歩道上のプレート

探すのが楽しい歩道上のプレート

 

 カフェ北側広場入り口上部の壁面には、ミッフィーの顔と店名を書き込み、窓には4色のシルエットフィルムを貼った。総事業費は約750万円。

 

 記念イベントでは、関係者と子どもらの手で駅前看板を除幕。デザインを担当したto-ripple(トリプル)=東京都=の杤尾直也社長の案内で、駅からカフェまでの約700メートルを歩き、各種コンテンツを見て回った。

 

ストリートウオークでカフェまでの道をたどる参加者

ストリートウオークでカフェまでの道をたどる参加者

 

 金野愛佳さん(釜石小3年)、佐々木梓さん(双葉小3年)は「どんな絵があるか楽しみで歩いた。釜石がミッフィーでいっぱいになるのはうれしい。かわいいミッフィーが大好き」と口をそろえた。

 

 釜石PITで開かれたセレモニーで、野田武則市長は「来年はラグビーW杯もある。世界の釜石として強く発信し、多くの人に来てもらえるまちにしていきたい」とあいさつ。日本におけるミッフィーの版権を管理するディック・ブルーナ・ジャパン(東京都)の鐵田昭吾社長は、昨年2月に89歳で他界した絵本の作者ブルーナさんが親日家だったことを紹介し、「釜石に震災復興のカフェができた時も大変喜んでいたと聞く。今回もきっとそう。末永く愛されることを願う」と期待した。

 

 一連のイベントには約200人が参加。お祝いに駆け付けたミッフィーと記念撮影や餅まきを楽しみ、記念品のピンバッジを受け取った。

 

かわいいミッフィーと笑顔で記念撮影

かわいいミッフィーと笑顔で記念撮影

 

 市はこの他、大渡町から浜町までの同通りに足元照明灯や東部地区の案内看板、フリーWi-Fiスポットなどを整備する計画で、来年3月までに歩道環境が整う予定。

 

(復興釜石新聞 2018年12月19日発行 第750号より)

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