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宮古ー気仙沼の直結を祝いテープカットする野田釜石市長ら

宮古−気仙沼直結、三陸道 釜石北−大槌開通〜ラグビーワールドカップへ観光客迎える

釜石市と大槌町がやっと高速道で結ばれ、小旗を振って喜ぶ地域住民ら=22日、大槌IC付近で

釜石市と大槌町がやっと高速道で結ばれ、小旗を振って喜ぶ地域住民ら=22日、大槌IC付近で

 

 東日本大震災からの復興道路として国が整備を進める三陸沿岸道路の釜石北インターチェンジ(IC)と大槌IC間の4・8キロが22日、開通した。これにより宮古市から宮城県気仙沼市までの106キロがすべてつながり、同区間で最後まで残っていた釜石市と大槌町の間がやっと高速道路で結ばれた。ラグビーワールドカップ(W杯)釜石開催まで、あと3カ月。釜石周辺の高速交通網が完成したことで、多くの観戦客や観光客の利用が見込まれ、沿岸被災地の交流拡大や産業振興への効果も期待される。

 

 大槌IC付近で行われた開通式典には関係者ら約150人が出席した。達増拓也知事は「地域振興、震災からの復興を後押しする重要なインフラになる」とあいさつ。鈴木俊一五輪担当相は「異例の速さで工事が進んだ背景には震災の犠牲者がいる。しっかり活用し、地域振興に結びつけなければ」と呼び掛けた。

 

宮古ー気仙沼の直結を祝いテープカットする野田釜石市長ら

宮古ー気仙沼の直結を祝いテープカットする野田釜石市長ら

 

 9月に開幕するラグビーW杯を前に、滑り込む形で釜石周辺の道路の完成が間に合った。W杯日本大会のアンバサダーとして活動する釜石シーウェイブス(SW)の桜庭吉彦ゼネラルマネジャーは「W杯後も交流人口の拡大に期待する」とメッセージ。釜石市の野田武則市長は「『いのちの道』『希望の道』として活用していきたい」とお礼の言葉を述べた。

 

 野田市長、平野公三大槌町長ら関係者がテープカット。多くの地元住民らが小旗を振る中、パトカーを先導に45台の車が通り初めを行った。地元の児童生徒らによるブラスバンドの演奏、郷土芸能臼澤鹿子踊り保存会による鹿子踊りが式典を盛り上げた。一般車両の通行は午後3時半に始まった。

 

 鹿子踊りのおはやしの太鼓を担当した上野武夫さん(54)は、釜石市小佐野町にある在宅介護支援センターの所長を務める。震災前は、自宅がある大槌町小鎚から職場まで1時間以上かかり、震災後も40分ほどを要していたが、今回の開通で約20分に大幅短縮された。高速道路を降りると、目の前は職場。「朝は渋滞もあり、1時間半もかけて通勤していた時代と比べ、隔世の感。これで、やっと楽ができます」と喜んだ。

 

 同区間は釜石ジャンクション(JCT)と山田南ICの23キロを結ぶ釜石山田道路の一部で、今回の開通区間を含めた総事業費は約1038億円。国土交通省南三陸国道事務所によると、今回の開通で釜石市役所と宮古市役所の移動時間は約6分縮まる。宮古市から気仙沼市までの所要時間は約1時間50分となり、震災前と比べ約50分短縮する。

 

(復興釜石新聞 2019年6月26日発行 第802号より)

 

復興釜石新聞

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まち歩きを前に、マップでルートを確認

震災風化防止へ散策楽しむ〜ゲーム感覚でまち歩き、県内外から156人参加

「フォトロゲイニング」に県内外から参加した人たち

「フォトロゲイニング」に県内外から参加した人たち

 

 地図上にあらかじめ設定されたチェックポイントを制限時間内で多く巡り獲得した合計得点を競うスポーツ「フォトロゲイニング」の三陸版イベント「三陸ジオパークフォトロゲイニングフェスティバル」沿岸南部エリア大会が15日、釜石市と大槌町で開かれた。県の三陸防災復興プロジェクトの一環。あいにくの雨模様だったが、県内外の56チーム156人が三陸の豊かな自然に触れるまち歩きやゲーム感覚での散策を楽しんだ。

 

 フォトロゲイニングは走りか歩きで移動し、制限時間内にチェックポイントで決められたポーズで写真を撮る。チェックポイントの難易度によって得点は異なり、合計点の多いチームが上位となる。観光とスポーツを組み合わせたイベントとして近年人気が高まっている。

 

 発着点の釜石市民ホールTETTO屋外広場で開会式が行われ、県同プロジェクト推進室の小野寺宏和室長が「三陸では初めての開催。豊かな自然、魅力を感じてもらいながら、震災復興の現状を見てほしい」と激励した。

 

 釜石港を一望できる「魚河岸テラス」や自然に囲まれた「釜石鵜住居復興スタジアム」、「ひょうたん島」の愛称で親しまれている蓬莱島など、三陸沿岸の景勝地や震災遺構、みちのく潮風トレイルを取り入れた39カ所をチェックポイントに指定した。2市町をまたがっているため、シャトルバスも運行。各チームは会場で配られた地図を基に作戦を練ってから出発した。

 

まち歩きを前に、マップでルートを確認

まち歩きを前に、マップでルートを確認

 

 参加者は雨が降る中、「しんどい」と漏らしつつ歩き回り、チェックポイントに着くとポーズを決めて写真撮影。地元釜石から参加した川端海惺君(双葉小6年)は「ずっと住んでいるけど、行ったことのない所がある。まちの良さをたくさん見つけたい」と歩みを進めた。

 

 奥州市の梅内悠登君(胆沢第一小4年)は「大変だったけど楽しかった。シカを見た」とにっこり。母恵さん(47)は「観光スポットを無駄なく回れた。(悠登君が)復興の様子も見て何かを感じてもらえたら」と見守った。

 

 震災の風化防止、三陸地域に関心を持ってもらうとの期待が込められた同フェス。沿岸北部エリア大会は7月6日に普代村と野田村で開かれる。

 

(復興釜石新聞 2019年6月19日発行 第800号より)

 

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大勢の来場者と握手を交わし、三陸に元気を届けた振分親方

「さんりくるっと」三陸の元気発信、防災復興プロジェクトと連動〜振分親方 笑顔で握手、特製ちゃんこも振る舞う

大勢の来場者と握手を交わし、三陸に元気を届けた振分親方

大勢の来場者と握手を交わし、三陸に元気を届けた振分親方

 

 三陸の食やステージ、体験イベントなどで地域の元気を発信する「さんりくるっと」(同実行委主催)が1日、釜石市の大町広場周辺で開かれた。イベントには大相撲、東関部屋の振分親方(元小結高見盛)も招かれ、握手会やちゃんこのお振る舞いで来場者と交流。老若男女が喜びの笑みを広げた。

 

 同イベントは、南三陸の若手経営者らが中心となり企画。震災後、復興のリーダー輩出を目的に岩手、宮城の沿岸被災地で開講した人材育成道場の元塾生が、横のつながりを生かし開催する。2017年の大船渡市、18年の気仙沼市に続き3回目となった今回は、釜石市民ホールで開幕した三陸防災復興プロジェクトと連動して開かれた。

 

 釜石、気仙沼、南三陸の3市町から9事業者が出店。自慢の水産物を使った料理や加工食品、飲料などを販売した。ステージではアンパンマンショーや気仙沼のご当地アイドルなどのライブがあり、家族連れや若者グループが楽しんだ。今秋、釜石で開催されるラグビーワールドカップ(W杯)のPRを兼ね、ストリートラグビー体験や釜石シーウェイブスRFC選手との触れ合いコーナーもあった。

 

 振分親方は部屋の力士3人(美登桜、高見劉、青乃潮)と来釜。ちびっこ相撲体験、記念撮影で楽しませ、同部屋特製ちゃんこを振る舞った。開始から長い列ができ、親方と握手を交わした人たちは、包みこまれるような大きな手や優しい笑顔に癒やされた。

 

 甲子町の柴田陽子さん(81)、小舘礼子さん(81)は「(ロボコップの愛称で親しまれた)土俵上の気合入れが印象的。いつもテレビで応援していた。握手してもらい元気になった」と感激で声を弾ませた。

 

 釜石訪問は初めてという振分親方は「山も海も近く自然が豊か。初めての土地でいろいろな人と触れ合えるのはうれしい」と感謝。復興の現状を目の当たりにし、「自力で頑張れるようになってこそ、本当の再生を実感できるのでは。今日お会いした人たちからは『大丈夫。復活する』と思わせるものが感じられた」と三陸の底力を確信していた。

 

(復興釜石新聞 2019年6月8日発行 第797号より)

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イベント民泊の受け入れを決めた櫻井さん(左)と協力を呼び掛ける清藤さん

「イベント民泊」受け入れ募る、ラグビーワールドカップもてなしへ〜異文化体験 出会いに期待、中妻町の櫻井さん W杯盛り上げへ いち早く応募

イベント民泊の受け入れを決めた櫻井さん(左)と協力を呼び掛ける清藤さん

イベント民泊の受け入れを決めた櫻井さん(左)と協力を呼び掛ける清藤さん

 

 釜石市が会場の一つとなっているラグビーワールドカップ(W杯)2019日本大会の開幕まで、残り4カ月を切った。市は、多くの来訪者が予想される釜石会場での試合開催期間中に限定し、市内の住宅で来訪者を受け入れる「イベント民泊」の受け入れ先を募集している。市オープンシティ推進室イベント民泊事務局は「民泊を通じて市民と観光客が触れ合うことで釜石ファンが増え、リピーターにつながることを期待。市民全体で観光客をおもてなしするという意味で協力いただきたい」と呼び掛けている。募集は7月31日まで。

 

 観光イベントに合わせて自治体が行うイベント民泊は、受け入れ先となる一般家庭が旅館業法に基づく許可などを得なくても宿泊サービスが可能になる。市では昨年、仙人峠マラソンに合わせ試行的に実施。5軒ほどの家庭が受け入れた。

 

 市内の宿泊施設は6つのホテルが中心だが、W杯期間中は大会関係者や選手らで満杯状態となる見込み。一般家庭に観光客が有償で宿泊するこの企画は、宿泊場所の提供だけでなく、観光客に市民目線で食や文化を発信しながら、もてなすことができる効果も期待できる。

 

 同事務局によると、4月16日に募集を開始したが、申込件数はいまだ1桁台。目標の50件に向け、PRに力を入れていく考えだ。

 

 そんな中、いち早く受け入れを決めたのが、中妻町の会社員、櫻井徹さん(38)。築50年ほどの木造2階建てに、妻京子さん(35)、4歳と7歳の娘の4人で暮らしている。

 

 昨年8月に英国スコットランドからのボーイスカウトのメンバーを受け入れたのを機に、市内企業が企画した体験プログラムに参加したラオスの子どもや仙人峠マラソン参加者の日本人にも部屋を提供してきた。京子さんによると、魅力は「家族以外の他人との触れ合い」。特に、子どもたちは言語に関わらず交流を楽しみ、日本にいながら留学、異文化を疑似体験できる機会になっているという。

 

 建物は徹さんの母親の実家で、祖母が亡くなり2011年から空き家になっていた。耐震補強を施すなど内装をリニューアル、火災報知機も設置して5年ほど前に家族で入居。台所や居間など4部屋がある1階を家族のスペースとして使い、2階の和室2部屋(4・5畳と6畳)を宿泊用として提供している。

 

 宿泊では、市内の飲食店や見どころなどを案内しながら交流。利用した人がそれぞれの国や地域に帰った後も交流サイト(SNS)を通じて近況を報告したり、細く長い交流がつながっている。「どんな出会いがあるか楽しみ」。京子さんはW杯開催を待ち望んでいる。

 

 イベント民泊は釜石で予定される2試合に合わせて期間限定で実施。フィジー―ウルグアイ戦(9月25日)、ナミビア―カナダ戦(10月13日)それぞれの開催日と前後1日を含めた2泊3日で募集する。募集要件に合致すれば、誰でも応募が可能。料金は受け入れ家庭が設定する。

 

 受け入れ希望者は専用の申込書・同意書に記入し、同事務局に提出。申込書などは市のホームページからも取得できる。

 

 6月15日にイオンタウン釜石2階イベントスペースで経験者らを招いた事前説明会を開く予定。同事務局の清藤美穂さんは「W杯を盛り上げ、関わることができる機会と捉えてほしい。釜石ラグビーの歴史を知る高齢の方に前向きに検討してもらえたら」と期待する。

 

 問い合わせは市オープンシティ推進室イベント民泊事務局(電話0193・27・8463)へ。

 

(復興釜石新聞 2019年6月1日発行 第795号より)

復興釜石新聞

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三陸防災復興プロジェクト2019

三陸防災復興プロジェクト2019

三陸防災復興プロジェクト2019

 

三陸防災復興プロジェクト2019実行委員会では、復興に取り組む地域の姿を発信し、三陸の魅力を国内外へ発信することを目的とした「三陸防災復興プロジェクト2019」を開催いたします。

 

開催期間

2019年6月1日(土)から8月7日(水)まで

場所

岩手県沿岸13市町村全体を会場としたオープンエリア型

釜石市で行うイベント

三陸防災復興展示会
期間: 6月1日(土)~2日(日)
場所: 釜石市民ホールTETTO、釜石港公共埠頭
内容: 地震体験室を備えた県の防災指導車を活用した防災訓練や避難所運営、擬似体験の実施、関係機関の災害支援車両の展示、民間企業の防災グッズ(非常食など)の展示を行います。
三陸防災復興展示会(6,232 KB pdfファイル)

 

三陸ジオパークワクワクフェスタ 岩手の海とジオの魅力展
期間: 6月1日(土)~8月7日(水)
場所: 釡石市郷土資料館、もぐらんぴあ(久慈市)、崎山貝塚縄文の森ミュージアム(宮古市)、大船渡市立博物館など
内容: 三陸ジオパークに点在する博物館施設が、三陸のひとつの大きな博物館として三陸ジオパークの地質、歴史、生物などに関する展示を行い、三陸ジオパークの魅力に触れます。 釡石市郷土資料館では、漁火の会による地域に語り継がれる民話を披露します。※6月8日㈯、22日㈯、7月6日㈯、20日㈯、8月3日㈯の14時~15時
ワクワクフェスタチラシ(24,304 KB pdfファイル)

 

さんりく文化芸術祭2019 復興支援活動を行う芸術団体との連携企画
日時: 7月13日(土)16時30分開演(開場16時)
場所: 釡石市民ホールTETTO
内容: 復興支援活動を行うReborn-Art Festivalとの協働で、宮沢賢治をモチーフにしたオペラを上演します。post rock opera「四次元の賢治 ―完結編―」(3,000円:市民ホール窓口でチケット販売中)

 

さんりく絆スポーツフェスタ
日程: 7月27日(土)
場所: 釜石鵜住居復興スタジアム
内容: 「スポーツの力による復興」をテーマとしたトップアスリートなどによる応援メッセージのパネル展などを実施します。

 

さんりく音楽祭
日時: 8月1日(木)18時30分開演(開場18時)
場所: 釜石市民ホールTETTO
内容: 東日本大震災後、継続して復興支援に取り組んできた佐渡裕さんとスーパーキッズ・オーケストラによるコンサートと音楽クリニックを実施します。

公式ホームページ

こちらからご覧ください
三陸防災復興プロジェクト2019公式ホームページ

本件に関するお問い合わせ先

三陸防災復興プロジェクト2019実行委員会事務局
岩手県政策地域部 三陸防災復興プロジェクト2019推進室
電話番号:019-629-6222 ファクス:019-629-6229

この記事に関するお問い合わせ
釜石市 産業振興部 商業観光課
〒026-8686 岩手県釜石市只越町3丁目9番13号
電話 0193-27-8421 / FAX 0193-22-2762 / メール
元記事:http://www.city.kamaishi.iwate.jp/tanoshimu/kanko/matsuri_event/detail/1225747_2438.html
釜石市

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訪日外国人のおもてなしをアピールする国際交流員

三陸鉄道、訪日外国人向けにラッピング列車〜多言語で「ようこそ三陸へ」

報道陣に公開されたラッピング列車=22日、大船渡市の三鉄車両基地

報道陣に公開されたラッピング列車=22日、大船渡市の三鉄車両基地

 

 県と三陸鉄道は22日、インバウンド(訪日外国人)向けに地域の魅力をアピールする「ラッピング列車」を大船渡市の三陸鉄道盛駅構内車両基地で報道陣に公開した。来月1日から沿岸13市町村を会場に開かれる「三陸防災プロジェクト2019」やラグビーワールドカップ(W杯)釜石開催に向け、インバウンドの呼び込みを後押しする。

 

 ラッピング列車は県沿岸広域振興局(石川義晃局長)が企画した。ホタテやアワビなど三陸でとれる海産物をイメージしたイラストとともに、「ようこそ三陸へ」というメッセージが、英語やフランス語、スペイン語、韓国語のほか、中国語の簡体字と繁体字の計6言語で書かれている。

 

訪日外国人のおもてなしをアピールする国際交流員

訪日外国人のおもてなしをアピールする国際交流員

 

 ラグビーボールを持って走る選手や郷土芸能の虎舞、NHK連続テレビ小説「あまちゃん」で有名になった「北限の海女」などが描かれたイラストもデザイン。停車中の窓から乗客が顔を重ねる形で記念写真が撮れるよう工夫されており、県は「SNSなどで三陸を広く情報発信してほしい」と呼び掛ける。

 

 ラッピング車両は1両で、3月から盛―久慈間で不定期に運行している。来年2月まで運行する予定。

 

 石川局長は「海外の人たちに複数回来てもらうため、岩手全体でもてなしたい。『ウエルカム』の気持ちを伝え、車両を見て喜んでもらえたらうれしい」と期待する。

 

(復興釜石新聞 2019年5月25日発行 第793号より)

 

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大型連休後半は好天が続き、来場者が増えた世界遺産「橋野鉄鉱山」=5日

世界遺産 橋野鉄鉱山にも観光客続々〜満開の石割桜が迎える

大型連休後半は好天が続き、来場者が増えた世界遺産「橋野鉄鉱山」=5日

大型連休後半は好天が続き、来場者が増えた世界遺産「橋野鉄鉱山」=5日

 

 釜石市橋野町青ノ木の世界遺産「橋野鉄鉱山」には大型連休中、県外から観光客が続々と訪れた。山あいならではの一足遅い春が見学者をお出迎え。周辺はさまざまな桜が咲き誇り、登録5年目の世界遺産を彩った。遺跡エリア内に隠れるようにたたずむ「石割桜」も5日までにほぼ満開に。花崗(かこう)岩から伸びる3本のヤマザクラがボリュームたっぷりの花を咲かせ、美しい姿を見せている。12日には八重桜まつりが開かれる。

 

 三番高炉の東側山手、山神社の拝殿跡近くに生える石割桜は、長さ約5・5メートル、高さ約1・5メートルの三角状の花崗岩の間から生育。樹高は約15メートル、樹齢は約90年と推定される。開花時期は例年5月初旬。今年は2日ごろから咲き始め、20度前後まで気温が上昇したことで一気に満開に。昨年より花の付きが良く、間近で見ると木の高さと枝先まで連なる花が迫力の光景を生みだしている。

 

満開となった「石割桜」を眺める観光客

満開となった「石割桜」を眺める観光客

 

 地元出身の釜石観光ガイド会員、三浦勉さん(67)は「高炉の石組みに使おうとして割った岩が結局使われず、割れ目に桜の種が入り込み、成長したのではないか。近くにはノミが入れられた石も残る」と同所と桜の関連性を推測。「根がどこまで張っているか分からないが、栄養を取りづらい環境であることは確か。ゆえに幹が太くなるのは他の木より遅いだろうが、今まで枯れる様子はなく、花の勢いもいい。まだまだ育っていきそう」と今後に期待を寄せる。

 

 同桜は岩手の桜を紹介する書籍に掲載されているが、釜石在住でも知らない人が多い。5日、大平町から訪れた夫婦も「全然知らなかった。あんな所にあったとは」と目を凝らした。三浦さんによると花は「風が吹かず、天気さえ良ければあと3日ぐらいは持ちそう」とのこと。

 

 連休期間中はインフォメーションセンターに常駐した観光ガイドの案内で見学を楽しむ人も多かった。八戸市から訪れた内藤生美さん(44)、慧君(10)親子は5日、三浦さんのガイドで高炉跡を見学。生美さんは「歴史の重みを感じる。八戸も工業のまちなので、身近に感じた。子どもにも何か響いてくれれば」と期待。石に興味があり、同所の見学を自ら希望した慧君は「鉄の作り方を知って驚いた。高炉の上の部分も残っていたら見てみたかった」と目を輝かせた。

 

 娘さんとともに車で訪れた盛岡市の中村洋子さん(74)は「世界遺産ということで、一度は来て見たかった。こんなに山奥にあるとは想像しなかった。昔、実家の近くに採石場があり、発破の音がうるさいほどだった。高炉の石組みを近くの斜面から切り出したことを聞き、それを思い出した。ガイドの説明があって、よく分かりました」と感想を話した。

 

 橋野鉄鉱山は、16年の台風10号による豪雨で遠野市からのアクセス道路「笛吹峠」が通行止めになったことが影響し、見学者数が落ち込んだ。復旧工事の完了で昨シーズンから通行可能となり、今年のゴールデンウイークは10連休という好条件も重なったことで、見学者数は回復傾向に。同センターの入館者数は4月27日~5月6日までの10日間で計1826人に上った。来場者の車は大半が県外ナンバーで、九州、関東、北海道からの車も見られた。

 

(復興釜石新聞 2019年5月8日発行 第788号より)

 

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ホタテ釣りに笑顔を広げる家族ら

アクセス向上 大型連休に釜石へ〜釜石駅前で「春まつり」、ラグビーW杯 相乗効果に期待

ホタテ釣りに笑顔を広げる家族ら

ホタテ釣りに笑顔を広げる家族ら

 

 新天皇陛下の即位と「令和」への改元に伴い、最大10日の大型連休となった今年のゴールデンウイーク。東北横断道、三陸沿岸道、三陸鉄道リアス線開通でアクセスが飛躍的に向上した釜石市には、県内外から大勢の観光客や帰省客が訪れた。市内の観光スポットやイベント会場、ラグビーワールドカップ(W杯)が開催される釜石鵜住居復興スタジアムなど各所で、県外ナンバーの車両が目立ち、交通網の整備効果を実感させた。期間中は晴天が多く、後半は気温も上昇。初夏を思わせる陽気の中、海や山の自然を満喫する光景も見られた。

 

 鈴子町の釜石駅前広場では4、5の両日、「かまいし春まつり」が開かれた。一般社団法人釜石観光物産協会(澤田政男会長)が主催。海山の幸や今秋のラグビーW杯をアピールし、まちの魅力を発信。観光客をおもてなしの心で迎えた。

 

いよいよ今秋に迫ったラグビーW杯をPRするブース

いよいよ今秋に迫ったラグビーW杯をPRするブース

 

 同広場とサン・フィッシュ釜石屋外スペースに15業者が出店。橋野どんぐり広場はタラノメやシドケなど旬の山菜や菓子類、釜石湾漁協はホタテマリネ、メカブ山海漬を販売し、地元ならではの味をPRした。

 

 両日とも200食限定で、鈴子町内会女性部が調理したサケのつみれ汁を無料お振る舞い。4日は午前11時の開始を前に約70人が列を作り、45分ほどで大鍋が空になった。

 

 人気を集めたのは、ホタテ釣り(1回500円)とアワビ捕り(同千円)の体験。ホタテは針金の釣り針を貝の口にかませて釣り上げる。アワビは箱眼鏡も使い、棒の先端に付いた金属かぎでひっかけて捕る。子どもから大人まで夢中になり、水槽から上げると歓声が沸いた。ホタテは200枚、アワビは100個用意された。体験後はその場で焼いて食べることも可能。箱崎白浜産のホタテは大人の手のひらサイズで、殻を取ると大きな身が姿を現し、食欲をそそった。

 

 仙台市の会社員宇治克俊さん(27)は「ホタテがなかなか掛かってくれなくて。水揚げしたては普段食べる機会がない」と箸を進めた。2日から三陸道を北上し岩手へ。龍泉洞(岩泉町)や浄土ケ浜(宮古市)を巡り来釜した。「未開通部分のインターの渋滞が激しかった。全線開通すれば、スイスイ行くんでしょうけど。釜石はきれいな建物、店も多く、復興が進んでいるイメージ」と話した。

 

 埼玉県蓮田市の松尾まどかさん(39)は夫、子どもと家族5人で、4月30日から大町の実家に帰省。4日、同イベントを楽しんだ。「休みが長いと帰ってこようと思いますよね。ゆっくりできた」とエネルギーを充電。津波で被災した店舗兼住宅は修復し、母が一人で暮らす。「明日は母を連れて花巻温泉に一泊して帰ります」とほほ笑んだ。

 

 釜石観光ガイド会は4月29日から5月6日まで、駅前の観光総合案内所発で「街なかガイド」を実施。利用客の要望に応じ、震災や製鉄、まちの歴史などの話をし、おもてなしに一役買った。

 

 澤田会長は「今年は秋の味覚まつり、釜石まつりがラグビーW杯の時期と重なる。相乗効果を生み、盛り上がりを来年以降につなげられるよう、力を尽くしていきたい」と気を引き締めた。

 

(復興釜石新聞 2019年5月8日発行 第788号より)

 

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春を運ぶSL銀河〜一番列車釜石に、6年目の運行スタート

春を運ぶSL銀河〜一番列車釜石に、6年目の運行スタート

SL銀河

 

 JR釜石線(花巻―釜石間、90・2キロ)を走る蒸気機関車「SL銀河」の今年の運行が4月29日、始まった。初日の下り列車(釜石行き)は、定員176人の客車4両が満席。乗客は各駅や線路沿いで地元住民らの熱い歓迎を受けた=写真。6年目の今年は9月29日まで、土日・祝日を中心に上下計48本の運行を予定。SLシーズンと連動した観光振興に期待をかける。

 

 29日、午前10時37分花巻発のSL銀河は4時間半をかけ釜石に到着。線路をはさんだシープラザ釜石のデッキには市民や鉄道ファンらが陣取り、黒光りする雄姿を眺めつつ盛んにカメラを向けた。

 

 駅のホームでは、釜石市のキャラクター「かまリン」、JR、観光関係者らが降り立った乗客を歓迎した。対面するホームでは尾崎青友会が威勢のいい虎舞を披露し、到着を盛り上げ。駅舎前では釜石観光物産協会によるホタテ稚貝汁の振る舞いもあり、釜石ならではのおもてなしが光った。

 

SL銀河の出発式でくす玉を割る関係者ら

SL銀河の出発式でくす玉を割る関係者ら

 

 盛岡市の菅野航生君(北松園小1年)は、車体に描かれた星座がお気に入り。「楽しい」と4回目の乗車も満喫した。母多紀子さん(40)は2回目で、「車の旅と違った景色が楽しめた」とにっこり。この後は三陸鉄道に乗り継ぎ、大船渡市の親戚を訪ねる予定だという。

 

 カラオケを楽しむ仲間4人で乗車した仙台市の守谷巌さん(78)は“乗り鉄、撮り鉄、呑(の)み鉄”という3つの鉄道旅を堪能。沿線の歓迎、主要駅で披露される郷土芸能など一番列車ならではのもてなしにも感激していた。ほろ酔い気分でホームに降り立った弟律さん(70)は初めての乗車。「レトロな雰囲気の車内がいい。桜が見頃で景色もよし。兄貴のおかげで友達、いろんな楽しみが増えている。仲のいい者同士の旅は最高」と喜んだ。

 

 今年は運行5周年を記念し、季節ごとにヘッドマークのデザインを変更する。現在、サクラをモチーフにしたものを掲示中。さらに、車体に白いライン、車軸には赤い塗料が加えられた。

 

 景品が当たるスタンプラリーも実施。釜石の洋菓子店「アンジェリック」が製造する、石炭のような見た目が特徴のオリジナル菓子や、駅名キーホルダーなどの記念グッズも販売する。

 

 SL銀河は東日本大震災からの復興支援、地域活性化を目的に2014年4月に運行を開始。昨年は上下59本運行し、延べ約8200人が利用した。平均乗車率は前年同様の8割を維持。JR東日本盛岡支社の広報担当者は「多くのお客さま、地元の支援により6年目の運行を迎えることができた。一人でも多くのお客さまに沿岸への旅を楽しんでいただきたい」と期待を寄せる。

 

花巻へ 雨模様の中を折り返し

 

 SL銀河運行2日目の30日は、釜石から花巻への上り運行。あいにくの雨模様となったが、午前10時58分の発車を前に、乗客や見物客が機関車の車体や出発準備の様子を見学。唐丹町の桜舞太鼓、釜石高吹奏楽部は雨にも負けない力強い演奏を披露し、旅立ち気分を高めた。

 

 親子2人旅を楽しんでいる東京都江戸川区の増渕仁君(小松川二中1年)は大の鉄道好き。前日に三陸鉄道リアス線で釜石入りし、SL銀河に初乗車。「車内がどうなっているか楽しみ」と目を輝かせた。父元さん(51)は写真が趣味。「(2人旅は)いろんなことを話すいい機会になった。非日常を楽しみたい」と笑った。

 

 発車時刻には、釜石駅の工藤冨士雄駅長と園児2人が右手を上げて出発合図。高らかに汽笛を鳴らし、黒煙を上げながら走り出す車両を地域住民らが手を振って見送った。

 

 工藤駅長は「三鉄と合わせて岩手、沿岸を周遊する旅をたくさんの方に楽しんでほしい」と期待した。

 

(復興釜石新聞 2019年5月1日発行 第787号より)

 

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魚河岸テラス・鵜の郷交流館「ホタテ縁日」盛り上がる〜10連休スタート、新施設にぎわう

魚河岸テラス・鵜の郷交流館「ホタテ縁日」盛り上がる〜10連休スタート、新施設にぎわう

大きなホタテを釣り上げ大喜び!!=鵜の郷交流館、28日

大きなホタテを釣り上げ大喜び!!=鵜の郷交流館、28日

 

 新天皇の即位と改元による最大10日の大型連休がスタート。4月27日の釜石市内は冷たい雨と低温で冬に逆戻りしたかのような気候となったが、28日は青空が広がり、最高気温も11度台まで回復した。今春オープンした釜石魚河岸にぎわい館「魚河岸テラス」と鵜住居駅前の観光交流拠点施設「鵜の郷(さと)交流館」は初の大型連休を迎え、27、28日にそれぞれ「ホタテ縁日」を開いた。

 

 釜石産のホタテを観光客らにアピールしようと、両館の指定管理者「かまいしDMC」が釜石東部漁協と連携して企画。鈴子町のサン・フィッシュ釜石を加えた3施設で計3240円以上の買い物、食事をした人を対象に縁日券を配布し、3種の“ホタテチャレンジ”を楽しんでもらった。

 

 半球状のざるを放る「輪投げ」と玩具の弓矢を使った「射的」は、それぞれ3回挑戦。ひもとつないだリングで貝をすくい上げる「釣り」は、制限時間30秒内に何枚捕れるかが勝負。老若男女が体験し、歓声を上げた。

 

 野田町の齋藤匠さん(33)一家4人は今春、岩泉町から転入したばかり。秋田県から訪れた妻睦実さん(30)の両親と28日、初めて鵜の郷交流館に足を運んだ。見事、ホタテをゲットした長男駿君(4)は「輪投げポンと釣るの、楽しかった。今日の夕ご飯で食べる」とにこにこ顔。同館の前には、ラグビーワールドカップ(W杯)の会場、釜石鵜住居復興スタジアムも見学した。

 

 睦実さんの父遠藤勇人さん(60)は10月13日の観戦チケットが取れ、「W杯は絶対見たかった。スタジアムも下見し、かなり楽しみ」と声を弾ませた。秋田からは東北横断道を運転し来釜。「昔の仙人峠に比べると本当に快適。新しい道路や施設ができ、復興の進展を感じる」と話した。睦実さんは「連休中、釜石市内をいろいろ回ってみたい」と新天地の生活に期待を膨らませた。

 

 かまいしDMCの河東英宜・取締役事業部長によると、3月23日にオープンした同交流館と津波伝承施設「いのちをつなぐ未来館」の合計来館者数は2万人を突破。同所は三陸沿岸を回るツアーでコースの一つに組み込まれ、全国からの団体客も多い。4月13日オープンの魚河岸テラスも好調で、内陸部から車で訪れる客が後を絶たないという。

 

 「3館とも予想を上回る滑り出し。(縦横の)高速道路や三陸鉄道の開通効果を実感する。今後も市内の他イベントと日程調整しながら、魅力ある企画で誘客につなげられたら」と河東部長。なお、水曜定休の鵜住居の2館は1日も営業する(交流館は一部店舗の休業あり)。

 

(復興釜石新聞 2019年5月1日発行 第787号より)

 

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タブレット画面を注視しながら高い解説機能を確かめる参加者

橋野鉄鉱山ガイドアプリ完成、世界遺産ARで動画〜報道関係者に現地で公開、一般利用は4月20日から

タブレット画面を注視しながら高い解説機能を確かめる参加者

タブレット画面を注視しながら高い解説機能を確かめる参加者

 

 釜石市は、2017年にユネスコ世界遺産「明治日本の産業革命遺産」の構成要素として認定された釜石市橋野町青ノ木の「橋野鉄鉱山」の価値をより広く知ってもらおうと、アプリを整備。その説明会が16日、橋野高炉跡で行われた。釜石観光ガイド会(三浦達夫会長、30人)が参加し、報道関係者に公開した。一般の利用はきょう20日からスタートする。

 

 アプリに入力されたのは高炉のほか石切り場、種焼場(たねやきば)跡など11カ所。専用タブレット10台を受け取ったガイド会の会員は鉄鉱山の大門から一番高炉に向かい、二番、三番高炉を巡った。

 

 タブレット端末はGPS(全地球測位システム)機能を使い、訪れた史跡内の遺構を音声、文字、画像で解説する。中でも二番高炉跡は、県指定文化財の絵図(「紙本 両鉄鉱山御山内並高炉之図」)に基づき、VR(仮想現実)で復元し、操業当初(1860年代初頭)の高炉の仕組みや規模が体感できる。

 

操作の習得に集中するガイド

操作の習得に集中するガイド

 

 アプリで解説する11カ所をすべて巡ると、周辺環境と一体化させた画像のAR(拡張現実)がグレードアップ。10問のクイズに正解しても同じ上級機能が起動する。市内の製鉄関連10史跡ごとのARカードも作成。タブレットやスマートフォン(スマホ)をかざすと、3D(立体的)画像の高炉が浮かび上がり、史跡の訪問数やクイズの回答でグレードアップする。

 

 このガイドアプリの利用は、橋野鉄鉱山インフォメーションセンターでのタブレット貸し出し、スマホでもQRコードの読み取り(googleplay、Applestore)で可能だ。高炉の一番と三番は、県が整備した静止画像や文字での説明アプリが先行している。

 

 タブレットの利用は午前9時半~午後3時半、料金は1台300円で1時間使える。従来から提供する8個の音声ガイドペン(4カ国語対応)も継続する。

 

 説明会に参加した同ガイド会の川崎孝生さん(78)は「自由に使いこなすのは難しいが、勉強する。若い人や操作に慣れた人なら楽しめるだろう。最近は大震災の被災に関するガイドは少なくなり、橋野など文化財のガイドが多い。自分の言葉で、みなさんと直接やりとりする案内が主になる」と語った。

 

 市世界遺産課の森一欽課長補佐は「橋野鉄鉱山や製鉄について理解を容易にし、楽しむことで、(来訪者の)施設内、全市の回遊性を高めたい」と期待する。

 

 アプリの整備は国と県の助成を受け、昨年度に取り組んだ。総事業費は1300万円。

 

(復興釜石新聞 2019年4月20日発行 第784号より)

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釜石の魅力を発信する新スポット「魚河岸テラス」

復興望む新たなスポットに〜魚河岸テラス開館、餅まきで完成祝う

釜石の魅力を発信する新スポット「魚河岸テラス」

釜石の魅力を発信する新スポット「魚河岸テラス」

 

 釜石市が整備を進めてきた釜石魚河岸にぎわい館「魚河岸テラス」が完成し、13日、現地で竣(しゅん)工式が行われた。地元の食材を生かした飲食店のほか、郷土芸能虎舞などの紹介スペース、キッチンスタジオなども整備。東日本大震災からの復興を目指すまちの新たな名所として「魚のまち釜石」を発信する。

 

 市が中心市街地・東部地区の復興に向けて進めるフロントプロジェクトの一つ。釜石港に面する魚河岸地区の敷地面積3871平方メートルの市有地に整備された。鉄骨造り2階建て、延べ床面積は1227平方メートル。1階にキッチンスタジオや会議室、物販、虎舞や地元で採れる魚の展示コーナーを配置。2階には飲食店4店舗が入居し、海を眺めながら食事が楽しめる。

 

 花火や曳(ひ)き船まつりを観覧できるテラス、朝市やイベントで活用できる広場も整備。事業費は約5億円で、復興交付金や過疎債を活用した。

 

 愛称「魚河岸テラス」は公募で決定。釜石出身で東京都在住の50代女性が「笑顔を絶やさない明るいテラスに。港とまちを結び付ける施設になってほしい」などの願いを込めて命名した。

 

 式には関係者ら約50人が出席した。野田武則市長は「まちの持つ力を発揮する拠点施設として整備。海を見ながら食事をできる場がやっと実現した。多くの人に愛され、親しまれ、末永く大事にされる施設になれば」とあいさつ。テープカットの後、尾崎青友会による虎舞、餅まきで完成を祝った。

 

テープカットで施設の完成を祝う関係者

テープカットで施設の完成を祝う関係者

 

 オープンすると、待ち構えた多くの人が建物内へ。釜石自動車道で花巻市から足を運んだ小瀬川正さん(76)は土産物を購入し、催しの毛ガニ釣りに挑戦、2匹を釣り上げた。「教員として赴任したこともあり、釜石には親しみがある。小規模だが、観光客が来れば復興のプラスになるだろう。カニも手に入り、いい思い出に。家に帰ってお酒飲みたいね」と喜んだ。

 

オープンを活気づける餅まきに歓声を上げる市民ら

オープンを活気づける餅まきに歓声を上げる市民ら

 

 嬉石町に自宅を再建した佐々木ミキさん(84)と大町復興住宅で暮らす山崎タイ子さん(77)は、仮設住宅生活で深めた親交を維持。人の多さに食事は諦めたが、「誘い合ってまた来ようね」と約束した。

 

 1階にはJFマリンバンクいわて県信漁連釜石大槌支店も入居。5月13日のオープンを予定する。

 

(復興釜石新聞 2019年4月17日発行 第783号より)

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