海の素晴らしさ体感、子どもらの歓声響く〜箱崎白浜でワンデイキャンプ
レスキューボードなどに乗って海面を進む楽しさを味わう家族
ふるさと釜石の海の素晴らしさを体感し、自然とともに生きる力を育む「海あそびワンデイキャンプ」が25日、釜石市箱崎白浜地区で開かれた。6回目の今年は市内の親子連れを中心に過去最多の72人が参加。各種マリンレジャー体験に加え水辺の防災講習もあり、参加者は心躍る夏の休日にとびきりの笑顔を広げた。
釜石の海に関わる団体や漁師らが2013年に立ち上げた、海と子どもの未来プロジェクト実行委員会「さんりくBLUE ADVENTURE(ブルー・アドベンチャー)」が主催。白浜漁港から船で約3分の隠れ家的ビーチ、通称「小白浜」と呼ばれる海岸に地元漁師の船で上陸し、さまざまな海遊びを楽しんだ。
ウエットスーツとライフジャケットを身に着けた参加者は、専門家らに教わって、シーカヤックやスタンドアップパドルボード(SUP)による水上散歩を満喫。シュノーケリングで海中の生き物を観察したり、波打ち際で水の動きに体をゆだねたり、海ならではの遊びに歓声を上げた。救助用水上バイクやボートの試乗体験もあった。
釜石ライフセービングクラブは、いざという時に自分の身を守る方法を伝授。空のペットボトル、バケツなど身近な物を投げ入れてもらって体を浮かせる方法やあおむけで両手足を広げて救助を待つ「浮いて待て」の姿勢を教えた。
1日いっぱい地元の海を楽しみ大満足の参加者、スタッフら
桜木町の君洞綾香さん(31)、光星(らいと)君(7)、麗(うらら)ちゃん(5)親子は、初めてのビーチに大興奮。光星君は「シュノーケリングとボートが楽しかった。ヒトデも見つけた」と目を輝かせ、母綾香さんは「こんなにきれいな海があるとは。普段できない遊びも安心してできてありがたい。水が苦手だった息子は海での経験を重ね、たくましくなってきた。大自然の中で強く育ってくれたら」と願った。
ここは、古くから地元住民らがレジャーを楽しんでいた場所。実行委は、目を見張るような美しい景観と安全確保の条件の良さから同キャンプ地に選定。有事の際には、御箱崎半島千畳敷へのルートにつながるハイキング路を利用し、高台避難も可能だという。運営には、地域住民や大学生など市内外のボランティアが協力し、実行委と合わせ約40人が参加者の受け入れに尽力した。
震災後に進んだ“海離れ”を食い止めたい、地元の自然に誇りと愛着を持ってほしい―と始められたキャンプ。同実行委共同代表の佐藤奏子さん(40)は「津波を経験した親たちの中には子どもを連れて海に来ることをためらう人がまだまだいる。こういう体験会をきっかけに積極的に足を運べるようになれば」と期待。今後の継続開催にも意欲を示した。
(復興釜石新聞 2019年8月24日発行 第819号より)
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