根浜海岸に歓声戻る、震災後初 海開き〜海を楽しむ多彩なプログラム
海開きした根浜海岸での遊びを楽しむ海水浴客
今日から、思いっきり海あそびを楽しむ―。釜石市鵜住居町の根浜海岸の海水浴場が20日、東日本大震災後初めて海開きをした。津波で砂浜が失われ、再生工事が完了した約150メートルを使った海水浴場の復活の第一歩。地元団体が主催する海遊びイベントも開かれ、浜辺には9年ぶりに家族連れや海水浴客の笑顔が戻った。
午前9時からの安全祈願祭(釜石観光物産協会主催)が終わるころに青空が見え始めて気温も上昇。続いて行われた海開き開設式(根浜MIND主催)には海水浴客らが続々と集まってきた。
「たくさんの人たちの協力に感謝します。きれいな海、よみがえった砂浜で、今日から思いっきり海あそびを楽しみます」。志土富翼君(釜石小6年)、櫻庭瑠衣さん(小佐野小同)が宣言し、午前10時過ぎ、家族連れや地元の子どもたちがいっせいに海に入った。
子どもたちは「冷たい」「しょっぱーい」と歓声を響かせた。小佐野町の見世彬君(4)は波打ち際を走ったり、小魚や海藻を見つけて大はしゃぎ。波の感触も「気持ちいい」と満開の笑顔を弾けさせた。母親の高莉莉(こう・りり)さん(37)は「釣りで海に行くが、砂遊びも楽しむ海は初めて。新鮮。近くに海がある地域だとあらためて実感。海の良さ、楽しさを感じ、地域を好きになってほしい」と見守った。
イベントは21日までの2日間開催。地元住民や競技団体など20余りの団体が協力し、シュノーケリング、レスキューボート体験、漁船クルーズなど多彩なプログラムを用意した。
市の中心的な観光地だった同海岸は、震災で約1・3キロにわたる砂浜が消失した。県が復興交付金で人工再生に着手。採石や砂を投入し定着を図る工事を進め、150メートルを再生させた。残る300メートルの工事も継続。関係者らは来年、同海岸全体で海開きすることに期待を高めている。
観光地としての本格復興に向け、市はキャンプ場やレストハウスの整備を進めており、間もなく完成する見込み。野田武則市長は「たくさんの人に親しまれ愛される観光地になってほしい。山の観光と連携した取り組みを進めていく」と意欲を見せた。
海水浴場の開設は8月12日まで(午前10時~午後4時)。
(復興釜石新聞 2019年7月24日発行 第810号より)
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