「根浜観光」本格復旧へ、海岸施設オープン〜キャンプ場、休憩所整備 ラグビーW杯での活用見据え
根浜海岸に整備された観光施設「根浜シーサイド」
東日本大震災で大きな被害を受けた釜石市鵜住居町の根浜海岸に8日、観光施設「根浜シーサイド」がオープンした。市が、津波で流失したレストハウスを再建したほか、オートキャンプ場、多目的広場なども整備。関係者らは、海と山の豊かな自然に囲まれた観光地としての本格復旧に期待を寄せる。間近に迫ったラグビーワールドカップ(W杯)釜石開催での活用も見込んでおり、にぎわいの相乗効果につなげる考えだ。
根浜地区の住民は防災集団移転促進事業で高台に移転し、今回はその住宅跡地などを活用。面積は市有地と私有地を合わせ約4万平方メートルになる。
管理棟となるレストハウスは、海のそばにあった以前の場所から陸側に約200メートルの所に再建された。木造平屋建て、延べ床面積370平方㍍。多目的ホールやシャワー室(男女別・各4)、トイレ、キッチン、洗濯コーナーなどを配置した。
オートキャンプサイト(面積7158平方メートル)は小型車用17区画と中型車用9区画を確保。木造平屋の吹き抜け構造の炊事棟(面積18平方メートル)、トイレ棟(同)も設置した。
青々とした天然芝が広がる多目的広場(面積1万8690平方メートル)も整備。乗用車300台を収容できる駐車場は整備中で、来年2月末の完成を予定している。
全体の事業費は約8億円。災害復旧費補助金や過疎債などを活用した。
かまいしDMC(社長・野田武則市長)が指定管理者となる。開館時間は午前9時から午後7時まで。地元の根浜親交会や根浜MIND(マインド)などと協力しながら、スタッフ1~2人を配置する。
この日、現地でオープニングセレモニーが開かれ、関係者約100人が集まった。野田市長は「今年、震災後初めて海開きをした根浜。今後の利用促進に期待。多くの人に親しまれる施設になってほしい」とあいさつ。「くらぶ海音(うみのおと)」による演奏や餅まきなどで祝った。
餅まきでオープンを祝った地域住民ら
同地区は震災の津波で約80戸あった住宅のほとんどが流失し、約15人が犠牲になった。根浜親交会の佐々木雄治事務局長は「がれきで足の踏み場がなかった地区で、施設オープンというお祝いができ感無量。観光地として、きれいな自然を味わってほしい。来訪者と住民、みんなが笑顔で元気になる場、地域になるよう盛り上げていきたい」と期待した。
キャンプサイトの利用料は小型車1区画が1泊3千円(日帰り2千円)で、中型車1区画は1泊6千円(同4千円)。多目的広場は全面利用で1時間ごと5千~2万円だが、半面での貸し出しも可能とする。レストハウス内の多目的ホールは全面利用で500円(1時間ごと)、キッチン300円(同)などとなっている。
21日まで宿泊が可能で、予約を受け付けている。W杯運営の都合で22日以降はレストハウスが使用できず、9月13日から10月24日まで施設一帯が立ち入り禁止となる。
予約・問い合わせはかまいしDMC(電話0193・27・5455)へ。
(復興釜石新聞 2019年8月10日発行 第815号より)
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