宮古−気仙沼直結、三陸道 釜石北−大槌開通〜ラグビーワールドカップへ観光客迎える


2019/07/01
復興釜石新聞アーカイブ #観光

釜石市と大槌町がやっと高速道で結ばれ、小旗を振って喜ぶ地域住民ら=22日、大槌IC付近で

釜石市と大槌町がやっと高速道で結ばれ、小旗を振って喜ぶ地域住民ら=22日、大槌IC付近で

 

 東日本大震災からの復興道路として国が整備を進める三陸沿岸道路の釜石北インターチェンジ(IC)と大槌IC間の4・8キロが22日、開通した。これにより宮古市から宮城県気仙沼市までの106キロがすべてつながり、同区間で最後まで残っていた釜石市と大槌町の間がやっと高速道路で結ばれた。ラグビーワールドカップ(W杯)釜石開催まで、あと3カ月。釜石周辺の高速交通網が完成したことで、多くの観戦客や観光客の利用が見込まれ、沿岸被災地の交流拡大や産業振興への効果も期待される。

 

 大槌IC付近で行われた開通式典には関係者ら約150人が出席した。達増拓也知事は「地域振興、震災からの復興を後押しする重要なインフラになる」とあいさつ。鈴木俊一五輪担当相は「異例の速さで工事が進んだ背景には震災の犠牲者がいる。しっかり活用し、地域振興に結びつけなければ」と呼び掛けた。

 

宮古ー気仙沼の直結を祝いテープカットする野田釜石市長ら

宮古ー気仙沼の直結を祝いテープカットする野田釜石市長ら

 

 9月に開幕するラグビーW杯を前に、滑り込む形で釜石周辺の道路の完成が間に合った。W杯日本大会のアンバサダーとして活動する釜石シーウェイブス(SW)の桜庭吉彦ゼネラルマネジャーは「W杯後も交流人口の拡大に期待する」とメッセージ。釜石市の野田武則市長は「『いのちの道』『希望の道』として活用していきたい」とお礼の言葉を述べた。

 

 野田市長、平野公三大槌町長ら関係者がテープカット。多くの地元住民らが小旗を振る中、パトカーを先導に45台の車が通り初めを行った。地元の児童生徒らによるブラスバンドの演奏、郷土芸能臼澤鹿子踊り保存会による鹿子踊りが式典を盛り上げた。一般車両の通行は午後3時半に始まった。

 

 鹿子踊りのおはやしの太鼓を担当した上野武夫さん(54)は、釜石市小佐野町にある在宅介護支援センターの所長を務める。震災前は、自宅がある大槌町小鎚から職場まで1時間以上かかり、震災後も40分ほどを要していたが、今回の開通で約20分に大幅短縮された。高速道路を降りると、目の前は職場。「朝は渋滞もあり、1時間半もかけて通勤していた時代と比べ、隔世の感。これで、やっと楽ができます」と喜んだ。

 

 同区間は釜石ジャンクション(JCT)と山田南ICの23キロを結ぶ釜石山田道路の一部で、今回の開通区間を含めた総事業費は約1038億円。国土交通省南三陸国道事務所によると、今回の開通で釜石市役所と宮古市役所の移動時間は約6分縮まる。宮古市から気仙沼市までの所要時間は約1時間50分となり、震災前と比べ約50分短縮する。

 

(復興釜石新聞 2019年6月26日発行 第802号より)

 

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