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鈴子町の釜石駅前広場で開かれた「春まつり」。思い思いに食を満喫した

食で地域を元気に 釜石駅前で「春まつり」 海と山の恵みで魅力発信

鈴子町の釜石駅前広場で開かれた「春まつり」。思い思いに食を満喫した

鈴子町の釜石駅前広場で開かれた「春まつり」。思い思いに食を満喫した

 

 食を通し、まちの魅力を発信する「かまいし春まつり」(釜石観光物産協会主催)は3、4の両日、釜石市鈴子町の釜石駅前広場で開かれた。地元の家族連れらが訪れ、旬の食材を使った弁当や総菜、好みの魚介類をのせて食べる“オリジナル丼”を味わった。

 

 同広場には、“春味”タケノコを使った炊き込みご飯、焼き鳥などを販売する出店が並んだ。釜石湾漁協はホタテ甘辛煮、メカブ山海漬などを紹介し、地元ならではの味をPR。鈴子町内会女性部によるホタテの稚貝汁の無料お振る舞い(各日とも200食限定)もあり、人気を集めた。

 

訪れた人たちは海産物を使った加工品の販売ブースで品定めを楽しんだ

訪れた人たちは海産物を使った加工品の販売ブースで品定めを楽しんだ

 

ホタテ稚貝汁のお振る舞いは列ができ、1時間足らずで大鍋が空になった

ホタテ稚貝汁のお振る舞いは列ができ、1時間足らずで大鍋が空になった

 

 特別企画として、サン・フィッシュ釜石が用意したのは、温かいご飯に好みのおかずをのせて食べる「のっけ丼」と海鮮焼き。マグロの刺身、イクラ、塩ウニ、貝ワサビ、子持ちメカブなど館内店舗が提供する食材で丼を味わい、しちりんで焼き上げる魚介類の香ばしい香りが食をそそった。

 

魚屋さんの助言を受けながら、丼にのせる具を求める女性(右)

魚屋さんの助言を受けながら、丼にのせる具を求める女性(右)

 

 穏やかな晴れとなった4日に市内から家族5人で足を運んだ三浦常大朗君(小佐野小4年)、晴二朗君(同1年)、進平ちゃん(4)の3兄弟は「おいしい」と満足げ。母こずえさん(38)、祖母真由美さん(68)は「コロナ禍だが、対策を考えながら開催してくれていると感じた。いろんなところに行って、釜石のことを知り、楽しみたい」と笑顔を重ねた。

 

 釜石観光ガイド会は1日から5日まで「街なかガイド」を実施。駅前の観光総合案内所発で、利用客の要望に応じて震災や製鉄、まちの歴史などの話をし、おもてなしに一役買った。

 

 同まつりは5月の大型連休期間に合わせて行ってきたが、今年は新型コロナウイルスの感染拡大に配慮し規模を縮小。東北6県とJR各社が合同で展開する大型観光企画・東北デスティネーションキャンペーン(DC)開催記念として催したが、市外へのPRは控えた。

 

 同協会の澤田政男会長は「コロナ禍でも地域を盛り上げ、楽しんでもらおうと実行。こじんまりとしているが、何か行動することで来場者も事業者も前向きな気持ちになると思う。できる対策を講じ、盛り上げる方法を考えていく」と観光戦略を模索する。

神事の後、さっそく山頂を目指す釜石の山岳グループ

雨の中しっとりと五葉山山開き~安全祈願祭はコロナ対策で規模縮小

五葉山山開き

 

 釜石、大船渡、住田の3市町にまたがる本県沿岸の最高峰・五葉山(標高1351メートル)は4月29日に山開きが行われ、春の登山シーズンを迎えた。釜石、大船渡の市境となる赤坂峠登山口で行われた安全祈願祭は、新型コロナウイルス感染症予防のため規模を縮小して実施。あいにくの雨模様ながら、この日を楽しみにしていた登山愛好者のグループなどが元気に山頂を目指した。

 

赤坂峠登山口で行われた安全祈願祭

赤坂峠登山口で行われた安全祈願祭

 

 「昭和の日」の祝日に設定されている山開きは、3市町で組織する五葉山自然保護協議会(会長=野田武則釜石市長)が主催。神事には例年、約200人が集まるが、今年は関係機関の代表と一般登山客合わせ約70人規模で行われた。五葉山神社の奥山行正宮司が祝詞を奏上。各代表が玉串をささげ、登山者の安全を祈った。釜石市の晴山真澄副市長が野田市長のあいさつを代読した。

 

関係者が神前に玉串をささげ登山者の安全を祈った

関係者が神前に玉串をささげ登山者の安全を祈った

 

 釜石岳友会メンバーの菅野愛子さん(74)は会の仲間と参加。出発前、「気分的には上がっているが、雨がねぇ~。これ以上降らないでくれれば」と願った。登山歴約50年。五葉山には年に3、4回は登るといい、「ツツジやシャクナゲ、固有種のゴヨウザンヨウラクなどきれいな花を見るのが楽しみ」と笑顔を輝かせた。

 

コロナ禍2年目の山開きの神事は例年より少ない人数で

コロナ禍2年目の山開きの神事は例年より少ない人数で

 

 五葉山自然公園保護管理員の松田陽一さん(57)=釜石市=によると、今年は雪解けが早く進み、赤坂コース登山道上に残雪はほぼ無いが、山頂東側「日の出岩」周辺には若干残っているという。同山の登山コースは主に5つ。「日当たりのいい山の南側は早く解けるが、釜石市甲子町大畑から上がる楢ノ木平コースは例年遅くまで雪が残る」と注意を促す松田さん。9合目にある山(避難)小屋「石楠花(しゃくなげ)荘」利用時にはコロナ対策の換気をし、最後に出る人が必ず窓を閉めることも呼び掛けた。

 

神事の後、さっそく山頂を目指す釜石の山岳グループ

神事の後、さっそく山頂を目指す釜石の山岳グループ

 

 同小屋は老朽化への対応として、3市町の負担金と寄付金により2018年に建て替えられた。改修を訴え、16年から活動してきた「五葉山石楠花荘改修促進協議会」は署名・募金活動を継続的に行い、実現に大きく貢献した。促進協会長を務めた釜石山岳協会顧問の市川滋さん(73)は「断熱材が入り、以前よりかなり快適。ごみの持ち帰りやトイレを汚さないなどのマナーを守って利用してほしい」と願う。

 

 五葉山は1966年、県立自然公園に指定され、登山道整備や山小屋の維持・管理が続けられる。山頂からはリアス式海岸や早池峰山、奥羽山系の山々を展望できる。春から夏にかけては、ツツジやシャクナゲの花が咲き、登山者を出迎える。

釜石大観音を正面から望むことができるのも漁船クルーズの楽しみの一つ

漁船でクルーズ、釜石湾を一望 海を生かした観光振興に

釜石湾内クルーズへGO!モニターを乗せた漁船が魚市場付近の岸壁を出発

釜石湾内クルーズへGO!モニターを乗せた漁船が魚市場付近の岸壁を出発

 

 釜石市で観光地域づくりを進める「かまいしDMC」は、釜石湾で地元の漁船を活用したサッパ船クルーズ事業を始めるのを前に、4月28日、モニタークルーズを実施。地域住民や観光情報発信に取り組む県職員ら6人が乗船し、釜石港周辺の産業中心地や尾崎半島にかけての自然の景観を間近で楽しんだ。5月の大型連休期間中には3日間限定で定期運航。今後は予約に応じて船を出す不定期事業となるが、通年で運航し、海を生かした観光振興につなげる考えだ。

 

隆起した岩場や湾口防波堤を巡る船旅を楽しむモニターら

隆起した岩場や湾口防波堤を巡る船旅を楽しむモニターら

 

 釜石湾の観光利用促進を目的とした同クルーズ事業は、市、同社、地元漁業者の連携で実現した。釜石湾漁業協同組合に所属する平田の漁業佐々木剛さん(68)と水戸一彦さん(62)が協力。漁を終えた午後に所有する船1隻ずつを出す。漁船はそれぞれ2・6トンの定員11人と、1・5トンの同5人。魚河岸の魚河岸テラス前発着で釜石湾内を約90分かけて1周する。

 

 モニタークルーズでは漁師の船長2人がそれぞれガイドを務め、波でえぐられた岩場などリアス海岸の景観や養殖の磯場について解説。湾口防波堤から外海にも出て、内外の波の違いを体感してもらい、尾崎神社奥宮や青出浜など、船でしか行くことができない秘境スポットも案内。モニターらは正面から望む釜石大観音、海上から見上げるガントリークレーンの迫力に圧倒されながら、湾内を巡る船旅を満喫した。

 

釜石大観音を正面から望むことができるのも漁船クルーズの楽しみの一つ

釜石大観音を正面から望むことができるのも漁船クルーズの楽しみの一つ

 

 市では東日本大震災前、観光船はまゆり(109トン)を運航したが、津波で被災し、解体処分された。元ガイド千葉まき子さん(70)=中妻町=も久々に船旅を体感。「やっぱり釜石の特徴は海。船でなければ行けない場所、いい景色を多くの人に楽しんでほしい」と期待を込めた。

 

日本海軍第48号駆潜艇が艦砲射撃を受け沈んだ場所。震災後に慰霊碑が建てられた

日本海軍第48号駆潜艇が艦砲射撃を受け沈んだ場所。震災後に慰霊碑が建てられた

 

 以前から観光船の復活を期待する声はあったものの、はまゆりは維持管理費などがかさんで赤字が続いた経緯があり、事業再開の在り方が課題となっていた。今回の漁船を使った取り組みは、漁業関係者の空き時間を活用しており、初期投資がかからず、経費も抑えることができる。

 

 かまいしDMCの河東英宜(ひでたか)事業部長は「観光船の機能を残した上で再建する一つの形。運営する中でより良い在り方を検討していく」と強調した。

 

 漁船の運航を担う2人も「自分たちの持っているものを役立てられる。高齢化する漁業者でもできる取り組みで、広げていきたい」とメリットを感じている様子。「墨絵のような風景、陸から見るのとは違う景色を楽しんでもらえるよう工夫したい」と意欲を見せている。

 

地元漁師との会話や触れ合いを通じて釜石の魅力を発信する

地元漁師との会話や触れ合いを通じて釜石の魅力を発信する

 

 5月4日からは予約に応じて船を出す不定期事業とするが、通年で運航する。乗船料は1人3800円。乗船希望日の2日前までに予約が必要で、かまいしDMCが指定管理する魚河岸テラス(電話 0193-27-5566 )で受け付ける。

隠れた名所「橋野鉄鉱山」石割桜 今年も見事な花姿に~地域住民は道路美化で来訪者をお出迎え

隠れた名所「橋野鉄鉱山」石割桜 今年も見事な花姿に~地域住民は道路美化で来訪者をお出迎え

「橋野鉄鉱山」高炉場跡内に自生する〝石割桜〟

「橋野鉄鉱山」高炉場跡内に自生する〝石割桜〟

 

 山里にも本格的春到来―。釜石市の北西部に位置する橋野町青ノ木地区は、市街地より一足遅れて桜の季節を迎えている。同所の世界遺産「橋野鉄鉱山」の高炉場跡にひっそりとたたずむ〝石割桜〟は、例年より1週間ほど早く開花し、訪れる観光客の目を楽しませている。

 

 三番高炉の東側、山神社の拝殿跡付近にある石割桜は、長さ約5・5メートル、高さ約1・5メートルの三角状の花崗(かこう)岩の間から生える3本のヤマザクラ。樹高は約15メートル、樹齢約90年と推定される。

 

こけむした花崗岩の上にも根を伸ばす

こけむした花崗岩の上にも根を伸ばす

 

 開花時期は例年5月初旬だが、今年は3月の気温が平年より高く推移したことで、4月24日ごろから咲き始めた。28日の時点で6分咲き。周囲の地盤は斜面になっており、見る角度によって異なる趣を楽しむことができる。晴れの日には薄桃色の花色が青空に映える。

 

花の密集は青空とのコントラストも美しい

花の密集は青空とのコントラストも美しい

 

 地元出身の釜石観光ガイド会員、三浦勉さん(69)は「高炉の石組みに使おうと割った岩の割れ目に種が入り、成長したのではないか」と推測。近くにはノミを入れた跡が残る花崗岩も見られる。桜が生える岩の表面はしっかりと根を張る様子が見られ、自然のたくましさを感じさせる。「今も成長し続けているようで、花の勢いも衰えない」と三浦さん。

 

斜面上側から見ると枝ぶりも違った表情に

斜面上側から見ると枝ぶりも違った表情に

 

 この桜は岩手県内の桜の名木を紹介する書籍にも掲載される。同鉄鉱山インフォメーションセンターには他県の人からの問い合わせもあるという。スタッフは「手入れをしない自然の状態であれだけ育っている。目にした観光客も驚いて帰る」と話す。

 

 青ノ木地区では自生や植樹で数種類の桜が育ち、これからの時期は濃桃色の花が魅力の八重桜の開花を迎える。

 

 春の観光シーズンを前に、地元の橋野町振興協議会(和田松男会長)は4月25日、地域を走る県道釜石遠野線の清掃活動を行った。会が発足した1985年直後から30年以上続く活動。例年、春の大型連休前に行われている。

 

県道清掃に取り組んだ橋野町の住民ら(写真提供:橋野町振興協議会)

県道清掃に取り組んだ橋野町の住民ら(写真提供:橋野町振興協議会)

 

 協議会を構成する8町内会から48人が参加。同町早栃から世界遺産がある青ノ木までの約13キロの区間で道路沿いのごみを拾い集めた。走行する車から投げ捨てられたと思われる空き缶・瓶・ペットボトルが多かったが、中には明らかに不法投棄されたごみも。タイヤは20本、他にもオイル缶や炊飯器などが見つかった。ごみ袋に回収された量は30袋分になった。

 

 協議会では「橋野鉄鉱山など地元を訪れる観光客に気持ちよく来てほしい」と同活動を継続。地域内外の人たち一人一人の環境保全意識向上を願う。

幻想的な光景に感嘆の声~釜石市指定文化財「上栗林のサクラ」恒例のライトアップ

幻想的な光景に感嘆の声~釜石市指定文化財「上栗林のサクラ」恒例のライトアップ

幻想的な光景に感嘆の声~釜石市指定文化財「上栗林のサクラ」恒例のライトアップ

 

 釜石市指定文化財(天然記念物)の巨木「上栗林のサクラ」は、開花時期恒例のライトアップが1日夜から始まった。市内最大とされる一本桜は今年もボリュームたっぷりの花を咲かせ、夜空に映える幻想的な光景に見物客から感嘆の声が上がっている。

 

 桜はエドヒガン種で、栗林町上栗林集会所に隣接する私有地に自生。地元では「種蒔(たねまき)桜」と呼ばれ、開花は農事の目安にされてきた。樹齢400年以上と推定され、2006年の市の調査では胸高幹周りが約4・9メートル。07年に市の文化財に指定されている。

 

 例年より10日ほど早い3月31日に開花。この時期にしては高い気温の日が続き、3日には一気に8分咲きまで進んだ。同日は点灯時刻を前に見物客が続々と集まり、その瞬間を待ちわびた。周囲に配置される2色の照明20基に明かりがともると、堂々とした枝ぶりが夕闇に浮かび上がった。周囲の暗さが増すと、桜も違った表情に。四方からスマートフォンを向け、美しい姿を写真に収めた。

 

幻想的な光景に感嘆の声~釜石市指定文化財「上栗林のサクラ」恒例のライトアップ

 

 定内町の高橋芳江さん(65)は「ライトアップした瞬間に花がピンク色に浮かび、感動でした。全体も見事だし、下から見る花もきれい」と大喜び。復興支援で入った夫和義さん(65)と震災後、釜石に移住。「1本の木でここまでとは。生きる力をもらった気がする」と興奮冷めやらぬ様子で語った。

 

 ライトアップは地元町内会の上栗林振興会(三浦栄太郎会長、30世帯)が2013年から開始し、今年で9年目。三浦会長(70)は「おかげさまで地域外の人にも存在を知ってもらえるようになった」と効果を実感。「これからは里山の時代。子どもたちにも地元の良さを感じてもらえるよう、環境整備を進めながら守っていきたい」と地域の宝継承に意を強くした。

 

ライトアップは11日(日)まで行われる予定で、点灯時間は午後6時半から午後9時半まで。鵜住居町の国道45号から県道釜石遠野線を橋野町方面に進んでいくと、右手に標識が見える。                                                   

しだれ桜のように枝を垂れる小川川沿いの桜並木

例年よりもひと足早く~釜石に桜シーズン到来

甲子川沿いの桜並木の下は格好の散歩コース=甲子町松倉

甲子川沿いの桜並木の下は格好の散歩コース=甲子町松倉

 

 3月の気温が平年に比べかなり高く推移した今年、釜石市内の桜の開花は下旬から一気に加速。最高気温が平年より8度も高い20・2度を記録した4月3日は、市街地を中心に各地の桜が満開を迎えた。桜の名所には家族連れや若者らが次々に訪れ、美しい花姿を愛(め)でる光景が見られた。

 

 小川町と桜木町に隣接する小川川下流域沿いの桜並木は、枝先が川面に垂れるしだれ桜のような風情が目を引く。3日午前には地元住民のほか、他地域から足を運んだ人たちが散策を楽しんだ。

 

しだれ桜のように枝を垂れる小川川沿いの桜並木

しだれ桜のように枝を垂れる小川川沿いの桜並木

 

 市内の工場で水産加工技術を学ぶベトナム人研修生の女性13人は、おしゃれな春の装いで並木をバックに記念撮影。「桜、すごくきれい。初めて見た時はびっくりした。撮った写真は母国の家族に送る」と、花に負けない〝満開〟の笑顔を輝かせた。

 

 愛犬と散歩中の小川町の70代女性は「今年の開花はだいぶ早い。今日は風も暖かく絶好の日和。春が来た感じで、うきうきする」と声を弾ませた。

 

 大渡町、橋詰広場に立つ一本桜は、橋上市場時代の名残を伝える遺産。東日本大震災による津波をかぶったが、10年たった今も力強く花開く。甲子川をはさんだ対岸には三陸鉄道の線路沿いに連なる桜並木も見ることができる。

 

津波に耐えた桜の前で笑顔も満開!=大渡町橋詰広場

津波に耐えた桜の前で笑顔も満開!=大渡町橋詰広場

 

 家族に連れられ訪れた大渡町の茂泉サダ子さん(99)は「きれいだねー。天気もいいし。見られて良かった」と満足げ。今年9月に迎える満100歳へ力をもらった様子で、広場を後にした。

 

 3年に一度の「大名行列」(天照御祖神社式年大祭)で知られる唐丹町本郷の桜並木は、3日時点で八分咲き。同日昼すぎには車で訪れる見物客がひっきりなしに続いた。道路の両側に立ち並ぶ桜は、1933(昭和8)年の三陸大津波からの復興などを願って植樹されたもの。今年は祭り行列の開催年にあたるが、新型コロナウイルスの感染状況を鑑み、中止が決定している。

 

次回の〝大名行列〟が待ち遠しい唐丹町本郷の桜並木

次回の〝大名行列〟が待ち遠しい唐丹町本郷の桜並木

 

 両石町の復興住宅に暮らす塩谷昭子さん(81)は、東日本大震災後に入居した平田の仮設住宅から毎年足を運んでいたといい、「今年も元気で見られた。津波で全てを失ったが、命があって(桜を)見られるだけでもいいよね」と、ささやかな幸せをかみしめた。

 

 中心市街地を見下ろす大町の薬師公園の桜も見事に咲き誇り、4日から提灯に明かりをともす桜まつりが始まった。点灯は18日まで。

センターを訪れた見学者に説明する藤原信孝さん(左)

「橋野鉄鉱山」見学受け入れ再開〜世界遺産登録から7年目、不運続きも「今年こそ」

シーズン入りし、観光客増に期待がかかる「橋野鉄鉱山」

シーズン入りし、観光客増に期待がかかる「橋野鉄鉱山」

 

 釜石市橋野町の「橋野鉄鉱山インフォメーションセンター」は、昨年12月9日からの冬期休館を終え、20日から開館。祝日と重なった初日は天候にも恵まれ、県内外から観光客が訪れた。2015年7月の世界遺産登録から7年目を迎える今シーズン。新型コロナウイルス感染症の影響はまだ続くが、各種予防対策を徹底しながら、見学者を受け入れる。

 

 同センターは積雪が増える冬期は休館。例年4月1日から開館するが、今年は雪解けが進んだことで、10日ほど早く開館した。高炉場跡は一部に雪が残るものの、見学には支障がない状態。20日は県内陸部のほか、愛知県東海市などから見学者が訪れた。

 

 福岡県北九州市の大学生藤井智寛さん(22)は、同市職員の父智靖さん(58)が復興支援で14年から1年間釜石市に派遣された際、初めて同所を見学。今春の大学卒業を控え、「もう一度見たい」と足を運んだ。「高1の夏に連れてきてもらった。それまで日本の製鉄の発祥は地元の八幡製鉄所だと思い込んでいたので衝撃だった」と振り返る。八幡製鉄所は橋野鉄鉱山同様、「明治日本の産業革命遺産」の構成資産として世界文化遺産に登録されている。「距離は遠いが、父が仕事をさせてもらった縁もあり、自分の中で釜石は割と近い存在。空気感は北九州と似たところがある。機会があれば釜石に住みたい」と親しみを示した。

 

センターを訪れた見学者に説明する藤原信孝さん(左)

センターを訪れた見学者に説明する藤原信孝さん(左)

 

 同センタースタッフで釜石観光ガイド会員でもある藤原信孝さん(72)は「世界遺産登録以降、台風被害やコロナ禍など不運続きだが、今年こそは本来の良い環境で見学者を迎えられたら」と期待。三陸ジオパーク認定ガイドの資格も新たに取得しており、「歴史だけでなく、鉱石産出地、鉄ができる還元の仕組みなど自然科学的視点からも理解を深めてもらえるような話ができれば」と意欲を見せる。

 

 同センターは12月8日まで開館予定(午前9時半〜午後4時半)。期間中は無休で、入館料は無料。4月1日からは釜石観光ガイド会員1人がセンターに毎日常駐し、希望者へのガイドを行う(有料)。

絵巻の寄贈式に出席した東日本製鉄所の大津芳久副所長(右)と野田武則市長

『橋野鉄鉱山』世界遺産登録5周年、「不撓不屈」継承へ思い新たに〜日本製鉄「紙本両鉄鉱山御山内並高炉之図」寄贈

絵巻の寄贈式に出席した東日本製鉄所の大津芳久副所長(右)と野田武則市長

絵巻の寄贈式に出席した東日本製鉄所の大津芳久副所長(右)と野田武則市長

 

 釜石市の橋野鉄鉱山を含む「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」(8県11市23資産)がユネスコの世界文化遺産に登録されて5周年―。市はこれを受け11月28日に、記念行事を大町の市民ホールTETTOで開催。登録までの歩みを振り返るとともに遺産の保全と価値の発信、先人が残した「不撓不屈(ふとうふくつ)の精神」継承に思いを新たにした。

 

 県と市が主催した記念式典で、達増拓也県知事は「橋野鉄鉱山で確立された製鉄技術がなければ日本の近代化はなかった。世界遺産登録は震災復興に取り組む釜石市、岩手県にとって大きな希望となった」とあいさつ。野田武則市長は「登録に至るまでの大変な苦労も遺産に等しい価値がある。思いを同じくする多くの方々と歩みを一緒にできたことは喜びにたえない」と感謝した。

 

 内閣官房産業遺産の世界遺産登録推進室・木村直樹参事官、明治日本の産業革命遺産世界遺産協議会会長の塩田康一鹿児島県知事(ビデオメッセージ)が祝辞。同鉄鉱山の登録、その後の情報発信などに尽力した11個人・団体に感謝状が贈られた。

 

 同鉄鉱山登録の大きな鍵となった県指定文化財の絵巻「紙本両鉄鉱山御山内並高炉之図(しほんりょうてっこうざんおやまうちならびにこうろのず)」(1974年2月指定)を、所有する日本製鉄東日本製鉄所釜石地区が釜石市へ寄贈。市は同社に感謝状を贈った。

 

 絵巻は文久年間(1860年代前半)に盛岡藩お抱え絵師(作者不明)により描かれたとされ、大橋、橋野両鉄鉱山の全体図や高炉などの「設備編(幅27センチ、長さ869センチ)」、鉄鉱石の採掘、運搬、高炉の操業、出荷までの工程を描いた「作業編(幅26センチ、長さ606センチ)」の2巻から成る。

 

 寄贈式で大津芳久副所長は「高炉の図面は今の高炉とほとんど変わらない。作業員の表情も豊か。150年たっても絵の色は非常に鮮やか」と説明。野田市長は「この絵巻があったからこそ世界遺産登録につながったと言っても過言ではない」とし、貴重な資料の贈呈に深く感謝した。絵巻の写しは大平町の鉄の歴史館で見ることができる。

 

 盛岡藩士大島高任が1857(安政4)年12月1日、甲子村大橋で日本初の洋式高炉による連続出銑に成功。翌年、橋野村青ノ木に建設した高炉で操業を開始し、94(明治27)年まで稼働した高炉(3基)は、国内に現存する最古の洋式高炉跡。2015年7月8日、採掘場跡、運搬路跡とともに「明治日本の産業革命遺産」の構成資産の一つとして世界文化遺産に登録された。

 

 感謝状受贈者は次の通り。
 加藤康子(内閣府産業遺産情報センター長)、小野寺英輝(岩手大理工学部准教授)、小野崎敏(元釜石鉱山社長)、大瀧粂夫(鉄のふるさと釜石創造事業実行委員会会長)、浦山文男(元鉄の歴史館館長)、菊池成夫(前橋野町振興協議会会長)、藤原昌教(橋野町振興協議会副会長)、釜石観光ガイド会、橋野町振興協議会、日本製鉄東日本製鉄所釜石地区、釜石鉱山

 

シンポジウム、加藤康子さん「資産価値維持応援しよう」、小野寺英輝さん「釜石の意義を理解しよう」

 

岩手大の小野寺英輝准教授、登録に貢献した加藤康子さん

岩手大の小野寺英輝准教授、登録に貢献した加藤康子さん

 

 式典後の記念シンポジウムでは、橋野鉄鉱山の世界遺産登録に大きく貢献した2人が基調講演した。

 

 「明治日本の―」登録に向けユネスコに提出する推薦書を作成、2015年7月の第39回世界遺産委員会(ドイツ・ボン)では、日本政府代表団の一員として登録決定の瞬間に立ち会った加藤康子さん(産業遺産国民会議専務理事)は、16年に及ぶ登録までの道のりを紹介した。

 

 「東洋の奇跡」と称される日本の急速な近代化の価値を複数の産業遺産群で示すシリアル・ノミネーションで、登録を目指した同遺産。加藤さんは07年から、同鉄鉱山の視察に訪れる海外の専門家を次々に案内。「橋野、釜石なくして日本の産業革命遺産の登録はありえない」と言われてきたことを明かした。

 

 今年6月にオープンした産業遺産情報センター(東京都新宿区)のセンター長も務める加藤さん。23資産の保全の重要性を訴え、「全体の価値を維持できるよう、みんなで応援していかなければ」と協力を願った。

 

 この日は市内の中学生による鉄の学習発表会にも参加。「ものづくり、産業革命のDNAが引き継がれるのは釜石の誇り。遺産の保存だけでなく、教育プログラムで継承することは、まさにユネスコが求めるところ」と称賛した。

 

 当初「九州・山口の近代化産業遺産群」という枠組みで世界遺産登録を目指していた取り組みに、釜石を加えるよう強く提言した岩手大理工学部の小野寺英輝准教授(鉄の歴史館名誉館長)は、「遺産全体の中での釜石の意義を理解し、伝えていかなければならない」と、3つのポイントを紹介。釜石で確立された製鉄技術は後の官営八幡製鉄所(現北九州市)の成功を生み、日本経済の礎を築いたこと、日本で3番目の鉄道「工部省鉱山寮釜石鉄道」の開通で、工場立地が山から海側へ可能となり、船便出荷の効率が上がったことなどを示した。

 

 加藤さんがコーディネーターを務め、「みんなの橋野鉄鉱山『未来予想図』」をテーマとしたパネルトークも行われた。パネリストは市内で働く女性3人。世界遺産登録の意義、地域への効果、今後の展開などについて意見を交わした。

 

遺産について意見を交わすパネリスト

遺産について意見を交わすパネリスト

 

 三陸ひとつなぎ自然学校のスタッフで、子ども支援に携わる柏﨑未来さんは「子どもたちには遺産の価値が分かりづらい部分がある。鉄づくりなど体験型の学びで先人の苦労を感じれば、イメージしやすいかも」。釜石商工高電気電子科の川端美智教諭は「地元工業高として、世界遺産と結びつけた何らかの取り組みができれば」と話した。

 

 いのちをつなぐ未来館で震災伝承を行う菊池のどかさん(かまいしDMC)は、同鉄鉱山がある橋野町で生まれ育った。「世界遺産を目的に訪れた人が地元の他の魅力にも気付いてくれる。少子高齢化が進む中、今後は地域だけで盛り上げていくのは無理。日本の宝として、みんなが誇りを持つような身近な遺産になってくれたら」と思いを広げた。

第11回全国虎舞フェスティバル

【中止】第11回全国虎舞フェスティバル ~観覧者を募集します~

第11回全国虎舞フェスティバル

 

令和3年1月24日(日)に予定しておりました「第11回 全国虎舞フェスティバル」は、新型コロナウイルス感染者数が特にも年末年始をはさんで急激に伸びていることや、首都圏での増加が他圏域にも広く影響を及ぼしつつあることから、全ての皆様の健康を第一に考え中止することと致しました。急なご案内となり心よりお詫び申し上げますとともに、何卒ご理解いただきますようお願い申し上げます。(1/12追記)

 

第11回全国虎舞フェスティバルを開催いたします。なお、今回は新型コロナウイルス感染症予防のため入場を事前申込制といたします。

申し込み多数の場合は、抽選となりますのであらかじめご了承下さい。※新型コロナウイルス感染症の発生状況により中止となる場合があります。

開催日時

令和3年1月24日(日)
午前の部 9:00開場 9:40開演(11:55 終了)
午後の部 12:30開場 13:00開演(15:00 終了)

定員

午前の部:400人
午後の部:400人

開催場所及び入場料

釜石市民ホールTETTO(釜石市大町) 
入場料:無料

参加団体

※愛知県東海市及び山梨県北杜市については映像による参加となります。
午前の部:
①かまいしこども園 ②錦町青年会 ③平田青虎会 ④東海市虎舞愛好会(愛知県東海市)⑤白浜虎舞好友会 ⑥尾崎青友会
午後の部:
①両石虎舞保存会 ②鵜住居青年会 ③箱崎虎舞保存会 ④甲州台ヶ原宿虎頭の舞(山梨県北杜市)⑤陸中弁天虎舞(大槌町) ⑥只越虎舞

申し込み方法

往復はがきに下記のとおり記入し、お申込みください。

募集期間

令和2年12月1日(火)~令和2年12月31日(木) ※当日消印有効

当選者発表

当選発表は1月初旬にはがきの返信により行います。返信されたはがきが、当日の入場券となりますので、忘れずに持参してください。

注意事項

当日は、申込時にはがきに記載した人しか入場できません。2人以上で申し込んでいる場合は一緒に入場してください。新型コロナウイルス感染症予防のためマスクの着用、検温、消毒にご協力をお願いいたします。

申込み・問い合わせ先

〒026-0031 釜石市鈴子町22-1 
(一社)釜石観光物産協会 0193-27-8172

この記事に関するお問い合わせ
釜石市 産業振興部 商工観光課 観光物産係
〒026-8686 岩手県釜石市只越町3丁目9番13号
電話:0193-27-8421 / Fax 0193-22-2762 / メール
元記事:https://www.city.kamaishi.iwate.jp/docs/2020120300031/
釜石市

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鵜住居川流域の巨木めぐる、地域の宝 保全へ意欲〜「古里の御神楽スギ」絶賛、岩手大学白旗助教

鵜住居川流域の巨木めぐる、地域の宝 保全へ意欲〜「古里の御神楽スギ」絶賛、岩手大学白旗助教

新しい幹が順調に育つ和山のシナノキ

新しい幹が順調に育つ和山のシナノキ

 

 釜石市指定文化財(天然記念物)の巨木が複数ある栗橋地区で8日、鵜住居川流域巨木ツーリズムが開かれた。橋野町振興協議会(和田松男会長)が本年度取り組む「橋野地区地域資源利用魅力向上事業」の一環。昨年、同地区の古木調査を行った岩手大農学部附属演習林の白旗学助教(造林学)を講師に招き、地域住民ら約20人が樹木の生育環境や古木保全について理解を深めた。

 

 参加者が巡ったのは、市指定文化財の▽明神かつら(1973年指定、栗林町砂子畑)▽上栗林のサクラ(2007年同、栗林町)▽古里の御神楽スギ(1969年同、橋野町)▽和山のシナノキ(1969年同、橋野町)―など6カ所。多くは地域住民に「ご神木」としてあがめられ、ほこらや石碑が見られる場所もある。

 

 この日は地元講師として、釜石観光ガイド会会員でもある藤原信孝さん(栗林町在住)、三浦勉さん(橋野町出身)が現地を案内。それぞれの木の由縁や特徴、地域との関わりなどについて解説した。

 

 釜石の代表的な巨木、古里の御神楽スギは樹高約30メートル。今でも幹の肥大成長が活発で、この日の実測では幹周り約8メートル。樹齢は400年以上と推定される。太い枝や葉の茂り方などから白旗助教は「屋久島(鹿児島県)の屋久杉に匹敵する立派さ」と絶賛。「長い年月をかけて土地に合った樹形を形成している。その土地の栄養分、水分の良さは樹高で判断する。今後、ドローンなどで上部の様子も確認してみては」と勧めた。

 

樹勢も良好。堂々とした姿に圧倒される古里の御神楽スギ

樹勢も良好。堂々とした姿に圧倒される古里の御神楽スギ

 

 白旗助教は講義も行い、複数の調査から分かった同地区の巨木の現況を説明した。明神かつらでは年輪成長幅の変化を調査。年輪には過去の気象など歴史的痕跡が現れる。樹齢は推定300年以上。中央の主幹が朽ちているが、周囲から伸長した側枝が林立する特異な姿を見せる。

 

 和山のシナノキでは周辺樹木や水分生理特性を調査。約30メートル四方に9種の樹木が生育するが、文化財のシナノキを境に西側は湿地状態で、樹木は東、南側に多く分布。同所は江戸時代、落葉広葉樹林が広がっていたが、江戸後期から明治にかけて製鉄に使う木炭生産のため伐採が進み、その後は牧場地に。昭和後期から再森林化が進み、現在に至る。

 

 「年輪を読む限り、どの樹木も順調に成長しているが、湿地は負の影響になるので改善すべき」と白旗助教。巨樹・古木の保全には「現状を正しく把握し、環境の変化など100年単位の変遷にも留意する必要がある。木も寿命はあるので、子ども世代の株を次につないでいくことも大事」と助言した。

 

 栗林町の小澤勲さん(77)は「地域柄、自然には興味がある。貴重な話を聞けて新鮮だった。家の近くにあるスギの大木も一度診断してもらいたい」と話した。

 

 同振興協の和田会長は「近年、各地で大災害が起きている。山の環境を守ることは下流域の人たちの暮らしを守ることにもつながる。森林資源の活用、文化財保護の観点だけでなく、環境保全への認識を深める一つのきっかけになった」とツアーを振り返った。

【鉄の週間】鉄の記念日関連イベント

【鉄の週間】鉄の記念日関連イベントについてのお知らせ

12月1日は鉄の記念日です。鉄の週間として、鉄の歴史館や旧釜石鉱山事務所でイベントを開催しますので、この機会にぜひ足をお運びください。

 

橋野鉄鉱山世界遺産登録5周年記念シンポジウム

プレイベント 鉄の学習発表会

日時:11月28日(土)10時~12時
場所:釜石市民ホールTETTO
内容:市内中学生による、鉄に関わる学習成果の発表や野田市長の講演を行います。
問い合わせ:市世界遺産課(TEL 0193-22-8846)

第1部 記念式典

日時:11月28日(土)13時30分~14時20分
場所:釜石市民ホールTETTO
内容:功労感謝状の贈呈等を行います。
問い合わせ:市世界遺産課(TEL 0193-22-8846)

第2部 シンポジウム

日時:11月28日(土)14時30分~16時30分
場所:釜石市民ホールTETTO
内容: 1.加藤康子氏(産業遺産情報センター長)、小野寺英輝氏(岩手大学理工学部准教授・鉄の歴史館名誉館長)による講演を行います。
2.みんなの橋野鉄鉱山『未来予想図』をテーマにパネルトークを行います。
問い合わせ:市世界遺産課(TEL 0193-22-8846)

橋野鉄鉱山世界遺産登録5周年記念シンポジウム
 
画像データは下記リンクからでもご覧になることができます。
5周年記念シンポジウム 表[PNG:566KB]
5周年記念シンポジウム 裏[PNG:913KB]

 

鉄の記念日(12月1日)は、鉄の歴史館と旧釜石鉱山事務所の入館料が無料!

鉄の記念日である12月1日(火)は、世界遺産関連施設の「鉄の歴史館」「旧釜石鉱山事務所」の入館料を無料といたします。まだ見学をされていない方は、この機会にぜひお越しください!鉄の歴史館に入館した小学生には学研「鉄のひみつ」を贈呈します。(ただし無くなり次第、配布を終了いたします。)
 
・鉄の歴史館について詳しくはこちら!
・旧釜石鉱山事務所について詳しくはこちら!
 

鉄の歴史館企画展「失敗の鐵学」

期間:11月21日(土)~令和3年1月11日(月)
場所釜石市立鉄の歴史館
内容:官営釜石製鉄所の建設と挫折について資料やパネルで紹介します。
問い合わせ:鉄の歴史館(TEL 0193-24-2211)
鉄の歴史館企画展「失敗の鐵学」
鉄の歴史館企画展 画像データ(表)[JPG:713KB]
鉄の歴史館企画展 画像データ(裏)[JPG:633KB]

鉄の歴史館名誉館長講演会

日時:令和3年1月9日(土)10時~12時
演題:官営釜石製鉄所の操業挫折-過失?故意?-
講師:鉄の歴史館名誉館長 小野寺 英輝氏(岩手大学理工学部准教授)
定員:25人
その他:講演会のため10時~12時はシアターを上映しません。
問い合わせ:鉄の歴史館(TEL 0193-24-2211)
 

旧釜石鉱山事務所企画展「かまいしの言霊」

期間:11月21日(土)~12月6日(日)
場所旧釜石鉱山事務所
内容:釜石に関連する文学作品を関連資料及びパネルで紹介します。
問い合わせ:旧釜石鉱山事務所(TEL 0193-55-5521)
旧釜石鉱山事務所企画展「かまいしの言霊」
企画展ポスター[PNG:796KB]
 

鉄のパネル展

期間:11月29日(日)~12月6日(日)
場所:シープラザ釜石 1階イベントスペース
内容:岩手の世界遺産パネルおよび三陸ジオパークパネル展を行います。(11月28日は釜石市民ホールで展示)
問い合わせ:市世界遺産課(TEL 0193-22-8846)

この記事に関するお問い合わせ
釜石市 文化スポーツ部 世界遺産課 管理係
〒026-0002 岩手県釜石市大平町3丁目12番7号
電話:0193-22-8846 / Fax 0193-24-3629 / メール
元記事:https://www.city.kamaishi.iwate.jp/docs/2020111200012/
釜石市

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世界遺産登録から5年、往時の労苦に思いはせ〜橋野鉄鉱山「運搬路跡」たどる、要望に応え4年ぶりに見学会

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当時の作業を想像しながら採掘場跡を見学

 

 世界遺産登録から5周年を迎える釜石市の「橋野鉄鉱山」で9月26日、普段は一般公開していない「採掘場跡」と「運搬路跡」の見学会が開かれた。2016年8月の台風10号による豪雨で現場に向かう道が被害を受け、実施が見送られてきた見学会。4年ぶりの企画は当初7月に予定されていたが、雨天で中止。参加申込者の熱い要望に応え、この日の開催が実現した。

 

 市内からの一般参加者14人と市の担当者ら7人で、高炉場跡から南に約2・6キロの山中にある採掘場跡に向かった。案内役は市世界遺産課課長補佐の森一欽さん。二又沢と呼ばれる川に沿った林道を進むと、川は途中で東と西に分かれており、一行は西又沢上流にある採掘場跡を目指した。

 

 前日に降り続いた大雨の影響で浸水した道を迂回(うかい)。高炉稼働時に人や牛が鉄鉱石や木炭を背負って運んでいた運搬路跡を歩いた。幅2メートルに満たない道は、足を踏み外せば転落する恐れも。参加者は足元に気を付けながら一列になって進み、険しい道を往復していた当時に思いをはせた。

 

 4年前の台風では西又沢上流部の決壊で、採掘場跡に通じる道の一部が大規模流失。伏流水が地表に流れ出るなど復旧は困難な状態となっており、今回の見学会では新たに開拓したルートをたどった。

 

 急峻(きゅうしゅん)な道を乗り越え、出発から約2時間後、標高約900メートル地点に位置する「露天掘り」の現場に到着した。ここでは人力で岩を砕き、地表に出てきた鉄鉱石を採掘していた。山肌の形状は人が掘ったことを物語り、土留めの石垣も見られる。むき出しの岩には磁石が付く部分があり、鉄鉱石の産出場所であったことがうかがえる。近くには作業員の長屋があったと見られ、炊事用の釜などが出土することもあるという。

 

 橋野鉄鉱山での採掘は、大島高任が仮高炉で操業に成功した1858(安政5)年から始まった。最盛期には3基の高炉が稼働したが、1894(明治27)年に全て閉鎖。以降は鉄鉱石の採掘のみ行われ、1979(昭和54)年まで続けられた。

 

 エリア内には、半地下式の採掘場跡、大橋につながる坑道の入り口、坑道掘りの発破用火薬の収納庫跡なども残り、参加者は興味津々で森さんの話に耳を傾けた。

 

 父、曽祖父、夫が製鉄所勤務だったという甲子町の伊藤雅子さん(61)は、家族を支えた鉄に縁を感じ、鉄の歴史の勉強を始めたばかり。「当時の並大抵ではない苦労がよく分かった。疑問に思っていたことも解明できた」と大喜び。夫博友さん(63)は現場を熱心に写真に収め、「先人の努力があって、われわれの今がある。ありがたいですね。貴重な世界遺産をもっとPRしていかないと」と実感を込めた。

 

 「普段は非公開なので、皆さん好奇心をかき立てられるようだ。道のりの険しさや危険を周知しながら見学会を続けていければ」と森さん。世界遺産登録5周年にあたり、「遺産の管理、ガイドの体制はできている。来場者年間1万3千人を維持しながら、地元への経済効果にもつなげられたら」と願った。

復興釜石新聞

復興釜石新聞(合同会社 釜石新聞社)

復興釜石新聞と連携し、各号紙面より数日の期間を設け記者のピックアップ記事を2〜3点掲載しています。

問い合わせ:0193-55-4713 〒026-0044 岩手県釜石市住吉町3-3