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震災10年を機に開かれた「唐丹ひきふね祭り」

漁船など70隻で海上安全、大漁を祈願~唐丹ひきふね祭り~

震災10年を機に開かれた「唐丹ひきふね祭り」

震災10年を機に開かれた「唐丹ひきふね祭り」

 

 東日本大震災で被災した釜石市唐丹町で、震災犠牲者の鎮魂と海上安全などを祈願する「唐丹ひきふね祭り」(同実行委主催)が17日、行われた。町内4地区から漁船や釣り船約70隻が参加。唐丹湾内を巡航し、震災から10年となる地域の安寧と基幹産業である漁業の繁栄を祈った。

 

 同町では長年、地区単位で地元神社の例祭に合わせ、海上渡御(ひき船祭り)を行ってきたが、今年初めて一堂に会しての祭りを企画。町最大行事である春の「釜石さくら祭り」(3年に1度開催)が新型コロナウイルス感染防止のため中止されたことから、「地域のつながりや子どもたちの地元愛を醸成する場に」と、唐丹地域会議(佐々木啓二議長)が関係団体と実行委を組織して開催した。

 

 小白浜地区の西宮神社例祭に合わせて実施。小白浜漁港の岸壁で神事を行った後、同神社のみこしをお召し船に乗せ、各地区の船団とともに湾内に繰り出した。出航前には本郷地区を拠点に活動する「桜舞太鼓」が演奏し、祭りに花を添えた。

 

小白浜漁港で行われた西宮神社の例祭神事

小白浜漁港で行われた西宮神社の例祭神事

 

出航を盛り上げる「桜舞太鼓」(鼓舞櫻会)の面々

出航を盛り上げる「桜舞太鼓」(鼓舞櫻会)の面々

 

各地区の船団が唐丹湾内を巡航し、華やかな海上絵巻を繰り広げた

各地区の船団が唐丹湾内を巡航し、華やかな海上絵巻を繰り広げた

 

 お召し船は、6月に進水式を行ったばかりの唐丹町漁協の新定置網船「第18かねしま丸」(19トン)。震災時、漁協所有の定置網船3隻は津波に襲われながらも原型をとどめ、修理後、漁場の復旧作業に活躍。このたび老朽化が進んだ2隻(1989年製)を売却し、1隻を新造した。木村嘉人組合長(67)はお召し船の大役に「喜ばしいこと。サケの不漁など厳しい環境が続くが、何とか大漁してもらえるよう願いながら運航していきたい」と思いを込めた。

 

お召し船を務めた唐丹町漁協の「第18かねしま丸」。漁業振興への願いを込め進む

お召し船を務めた唐丹町漁協の「第18かねしま丸」。漁業振興への願いを込め進む

 

 大漁旗をはためかせた船団は湾内を2周。途中、西宮神社奥の院など島に祭られている3神の前で参詣。海上安全や防災を祈り、手を合わせた。釣り船「健勝丸」(3・1トン)の千葉健太郎船長(23)は「子どものころからなじみのある祭り。こういう場があると、地域も活気づく。漁業をはじめ海の仕事に携わる若い人を増やし、これからの唐丹を盛り上げていければ」と意を強くした。

 

湾内に祭られる神様の前で海上安全などを祈る「健勝丸」の千葉健太郎船長

湾内に祭られる神様の前で海上安全などを祈る「健勝丸」の千葉健太郎船長

 

漁船に乗せてもらい、笑顔を輝かせる子どもたち

漁船に乗せてもらい、笑顔を輝かせる子どもたち

 

 各船には唐丹小、中の児童・生徒、教職員ら約30人も乗船。地元の海の豊かさ、家族を支える父親らの海上での雄姿を目の当たりにし、古里の素晴らしさを体感した。同実行委事務局の下村惠寿さん(71)は「なりわいの漁業を次世代に伝承していくためにも大きな意味を持つ。コロナ禍で昨年から各種行事が中止されてきたが、やっと唐丹が一つになれる場を作れた。住民の団結力の表れ」と喜んだ。

砂浜が復活した根浜海岸の海水浴場。人のにぎわいも戻る=22日

待ってた海開き!根浜海岸 震災後初の全面開放~海浜事故防止、海水浴客へ呼び掛けも

砂浜が復活した根浜海岸の海水浴場。人のにぎわいも戻る=22日

砂浜が復活した根浜海岸の海水浴場。人のにぎわいも戻る=22日

 

 釜石市鵜住居町の根浜海岸の海水浴場が22日、海開きした。東日本大震災の津波で失われた砂浜の再生工事が完了し、初めての全面開放。地元団体が主催する海遊びイベントも開かれ、多くの家族連れらでにぎわった。

 

 砂浜には海水浴客らが続々と集まり、色とりどりのビーチテントが並んだ。海に入った子どもたちは「気持ちいいー」「しょっぱーい」などと歓声。浮き輪で泳いだり遊んだりして波と戯れる、たくさんの笑顔が浜辺に戻ってきた。

 

海開きした根浜海岸で水遊びを楽しむ親子連れ=22日

海開きした根浜海岸で水遊びを楽しむ親子連れ=22日

 

 人であふれる根浜の風景を懐かしんでいた甲子町(中小川)の吉田晶子さん(63)は「やっぱり釜石は海。海を生かしたレジャーが活発でなきゃ。どんどん盛り上がってほしい」と期待。盛岡市の泉山舞衣さん(37)は「海がきれい。プライベートビーチのよう。思いっきり泳いで岩手の海を楽しみたい」と、3人の子どもにも負けず劣らず笑顔を弾けさせた。

 

砂で遊んだり波と戯れたり、思い思いに海を満喫=22日

砂で遊んだり波と戯れたり、思い思いに海を満喫=22日

 

 イベントは市内でまちづくりに取り組む複数の団体で組織する実行委が主催し、23日までの2日間開催。シュノーケリング、シーカヤック、漁船クルージング体験など多彩なプログラムを用意した。地引き網の体験には60人超が参加。力を合わせてロープを引き寄せ、マサバやウグイ、ウミタナゴなど多様な魚が掛かっていて、子どもたちは大喜びだった。

 

海開きに合わせて行われた関連イベントで、必死に網を引く子どもたち=22日

海開きに合わせて行われた関連イベントで、必死に網を引く子どもたち=22日

 

 魚や釣りが大好きな吉田建太君(小佐野小3年)は「いろんな魚が取れてすごいと思ったし、楽しかった。泳ぐのもいいけど、やっぱり釣りの方がいい。今度は釣りをしに来たい」と楽しみを残した。

 

 市の中心的な観光地だった同海岸は、震災で約1・3キロにわたる砂浜が失われた。県が2018年度から復興交付金で人工再生に着手。砂を投入し、流失を防ぐ突堤を造り、20年度に延長約450メートルの再生工事が完了した。

 

海水浴場の開設は8月15日まで(午前10時~午後4時)。

 

海の事故ゼロ! 海保・警察ら合同パトロール

 

釜石海上保安部職員らが海水浴客に声掛けを行った=25日

釜石海上保安部職員らが海水浴客に声掛けを行った=25日

 

 家族連れでにぎわう根浜海岸の海水浴場で25日、釜石海上保安部や釜石警察署、市、県関係者らによる海浜事故防止合同パトロールが行われた。約10人が参加し、海水浴を楽しんでもらうためビーチ利用者らに注意喚起。▽子どもから目を離さないで▽遊泳区域で泳ごう―など、守ってほしい9つの約束を記したチラシを配った。

 

 合同パトロールは7月16日~31日に海上保安庁が主催する「海の事故ゼロキャンペーン」に合わせて実施。チラシの配布に加え、「沖への強い流れに注意して」「暑いので気を付けて」などと呼び掛けをした。

 

 釜石海保によると、本年度管内では7月18日までに海浜事故が9件発生。マリンレジャーに伴う事故は4件で、行為別では遊泳中、釣りが各2件となっている。阿部富二次長は「コロナ禍での海水浴場の開設だが、地元の安全を守るのは、われわれ。情報共有しながら事故防止に万全を期したい」と強調する。

 

 同海岸海水浴場では開設期間中、監視員が常駐(3人程度)する。

観賞会で刈り取り体験を楽しむ親子=17日

紫色の花と香りで一服の清涼感~橋野町青ノ木のラベンダー畑で観賞会~

「橋野鉄鉱山フラワーガーデン」内のラベンダー畑

「橋野鉄鉱山フラワーガーデン」内のラベンダー畑

 

 釜石市橋野町青ノ木の「橋野鉄鉱山フラワーガーデン」内のラベンダー畑で17、18の両日、花の観賞と刈り取りを楽しむ会が開かれた。橋野町振興協議会(和田松男会長)と栗橋地区まちづくり会議(川崎孝晴議長)の共催による夏の恒例企画。梅雨が明け、連日、真夏日を記録する厳しい暑さの中、訪れた人たちはラベンダーのさわやかな香りに心身ともに癒やされた。

 

 2015年に同振興協によって整備されたラベンダー畑には、約700株のグロッソラベンダーが植えられている。今年は7月初旬に開花し始め、17日時点で7分咲きとなった。会の両日は、はさみで刈り取ったものを一束300円で持ち帰り可能。株分けした苗や地元住民が作った匂い袋も販売された。

 

観賞会で刈り取り体験を楽しむ親子=17日

観賞会で刈り取り体験を楽しむ親子=17日

 

白や黄のチョウも飛び交い、紫の花と競演

白や黄のチョウも飛び交い、紫の花と競演

 

 中妻町の佐々木未結奈さん(双葉小4年)は家族5人で来場し、「いっぱい採れてうれしい。ラベンダーはいい匂い。夏休みの工作で匂い袋を作ってみたい」とにっこり。22日から始まる夏休みに胸を躍らせた。

 

 震災で被災し、昨年3月、山田町から同市定内町に移住した佐藤和恵さん(65)は夫と初めて来場。「ドライフラワーにして香りを楽しむ」と声を弾ませた。橋野鉄鉱山の高炉跡には世界遺産登録される前に訪れたことがあるといい、「遺産見学と合わせ、豊かな四季を堪能できる周辺環境があれば、『来て良かった』とさらに満足度が上がる」と話した。

 

 ラベンダーの香りは、安眠、リラックス、鎮痛、防虫など多様な効能があるとされる。会場では、同振興協のスタッフが活用法や育て方などを教え、来場者を喜ばせた。2日間で市内を中心に約100人が訪れた。

 

来年は株分けした苗を植栽し、面積を拡大予定

来年は株分けした苗を植栽し、面積を拡大予定

 

 同フラワーガーデンは同振興協が取り組む「橋野地区地域資源利用魅力向上事業」の一環で昨年度新設。橋野鉄鉱山インフォメーションセンターに隣接する旧青ノ木グリーンパークスケート場跡地約2300平方メートルに、約30種の花苗や幼木を植え、ラベンダー畑と合わせ一体整備した。

思い思いのポイントで釣り竿を伸ばし、引きを待つ=4日午前11時ごろ

甲子川でアユ釣り解禁 市内外からの太公望で活気づく

今シーズンのアユ釣りが解禁された甲子川

今シーズンのアユ釣りが解禁された甲子川

 

 釜石市の甲子川で4日、アユ釣りが解禁された。この日を待ちわびていた太公望たちは、早朝から各ポイントで長い竿(さお)を繰り出し、1年ぶりの引きの感触を味わった。9月中旬ごろまで楽しめる。

 

 例年、7月の第1日曜日が解禁日となる甲子川。今年は天候にも恵まれ、市内外から集まった釣り人らが日の出とともに釣り糸を垂れた。多くが友釣りで、水流を見極めながら狙ったポイントにおとりアユを泳がせ、野アユが掛かるのを待った。

 

思い思いのポイントで釣り竿を伸ばし、引きを待つ=4日午前11時ごろ

思い思いのポイントで釣り竿を伸ばし、引きを待つ=4日午前11時ごろ

 

 河川漁協のない甲子川では、甲子川鮎釣協力会(安久津吉延会長)に寄せられる協力金や市の助成金などによって稚アユの放流が行われており、今年は5月11日に支流の小川川を含め約300キロの稚魚を放流。解禁日には、大きいもので20センチほどに成長した姿が見られた。

 

体長約20センチの立派なアユに大満足の笑顔

体長約20センチの立派なアユに大満足の笑顔

 

 甲子川のアユは、2016年に岐阜県で開かれた「清流めぐり利き鮎会」の味比べでグランプリに輝いた実績がある。解禁日は県内陸部からの釣り客も多く、「ここは川の水がきれい。日本一の味にも期待」と話す人も。

 

 北上市の菅原謙一さん(66)は、仲間と午前3時40分ごろ現地入り。解禁から10時半ごろまでに約10匹を釣り上げた。「17、18センチぐらいが多い。まずまずのスタート。午前8時前後がよく釣れた」と成魚の手応えを満喫。早めの昼食を取り、後半戦に備えた。

 

盛岡市の釣り名人も甲子川のアユ釣りを満喫

盛岡市の釣り名人も甲子川のアユ釣りを満喫

 

 大槌町の岩間拓さん(42)はアユ釣り歴約20年。甲子川の解禁日には毎年足を運ぶといい、「日が照って水温が上がってきた。昨年よりも(釣果は)いいよう」。午前11時時点で「ちょうど20匹。今晩のおかず」と頬を緩めた。

 

 「ここ2年、天然遡上(そじょう)が少ない」と話すのは釜石市平田の油木由峰さん(50)。解禁日に釣り上げたのも放流アユ。「水量がもっと欲しい。一雨降れば、魚も遡上してくると思う」と期待。アユ釣りのピークは梅雨が明けて気温が上昇してくる8月。20センチ以下の魚も成長し、大きいものは26、27センチぐらいになるという。

 

 県内の主要河川のアユ釣りは1日から順次解禁。釜石市内ではこの後11日に、鵜住居川で解禁される(鵜住居川漁協の組合員証か遊漁券必要)。

高速バス「釜石仙台線」の出発式でテープカットし、運行再開を歓迎する関係者

釜石-仙台間より近く~県交通高速バス、新路線で運行再開

高速バス「釜石仙台線」の出発式でテープカットし、運行再開を歓迎する関係者

高速バス「釜石仙台線」の出発式でテープカットし、運行再開を歓迎する関係者

 

 県交通(盛岡市、本田一彦会長)は2日、新型コロナウイルス感染症の影響で運休していた高速バス「釜石仙台線」の運行を再開した。従来は内陸の東北自動車道を通っていたが、三陸沿岸道路(三陸道)を走るルートに変更。所要時間は片道3時間10分で、これまでより約30分短縮となる。同日、釜石市鈴子町のJR釜石駅前で出発式があり、関係者が第1便の乗客を見送った。

 

 「釜石仙台線」は1日1往復。往路は午前6時44分に野田町の同社釜石営業所を出発し、仙台駅前に同9時54分着。復路は午後4時10分仙台駅前発で、釜石営業所に同7時20分に着く。釜石市内で停車するのは小佐野駅前、釜石駅前、上中島のバス停留所。運賃は片道大人3300円(8月31日までのキャンペーン中は2900円)、小学生以下1650円。定員は当面36人とする。

 

新ルートでの運行が始まった「釜石仙台線」のバスに乗り込む市民ら

新ルートでの運行が始まった「釜石仙台線」のバスに乗り込む市民ら

 

 遠野市などを経て東北自動車道を通る従来ルートは年間約8000人が利用していたが、コロナ禍で利用者が大幅に減少し、昨年8月17日から運休していた。再開に当たっては、今年3月に宮城県気仙沼市内が開通し、仙台市までつながった三陸道の利用を検討。所要時間の短縮が見込まれ、無料区間が長く高速料金も割安になるなど、「三陸道を使わない手はない」と新たなルートでの運行、コロナ収束後を見据えた「布石」として再開を決めた。

 

 出発式で、本田会長は「地域の役に立ちたいと考えてきた。時間短縮のメリットを感じてもらい、観光、ビジネスにも利用してほしい」とあいさつ。野田武則市長は「バス利用者の利便性向上、地域活性化につながることを期待する」と歓迎した。

 

 第1便に乗り込んだ上中島町の会社員鈴木和弘さん(28)は「以前も時々利用していた。仙台までの時間が短くなり、近くなった感じがする。高齢者や学生など、長距離運転が難しい人たちも利用しやすくなると思う」と運行再開を喜んでいた。

市民ホール屋根のある広場で開かれた今年度初の「かまいし軽トラ市

今年もやります!「かまいし軽トラ市」 20日TETTOでスタート

市民ホール屋根のある広場で開かれた今年度初の「かまいし軽トラ市」

市民ホール屋根のある広場で開かれた今年度初の「かまいし軽トラ市」

 

 釜石市内の農産物や水産加工品などを生産者が直売する「かまいし軽トラ市」(市水産農林課主催)が20日、大町の市民ホールTETTO屋根のある広場で開かれた。昨年度初めて開催され、好評を得た企画。本年度1回目のこの日は釜石観光物産協会との共催で行われ、新たに水産加工業者が出店するなど、販売品目が拡大。この後11月まで毎月1回、会場を変えながら開催される。

 

 中心市街地に立地する市民ホールが会場となるのは初めて。午前9時の開店前から買い物客が列を作るなど期待の高さをうかがわせた。昨年度も出店した農業者、産直、障害者就労支援施設のほか、水産加工品や菓子の製造業者が集まり、計13店が販売ブースを構えた。

 

 野菜、切り花や花苗、海藻や鶏肉の加工品、弁当、菓子、ワイン、工芸品など多彩な商品が並び、買い物客は購買意欲をかき立てられた。人気の新鮮野菜は早々に完売する店も。交通の利便が良く、足を運びやすい環境も集客力を高めた。

 

地元の新鮮野菜を買い求めようと多くの客が集まった「産直ミッキーファーム」の販売ブース

地元の新鮮野菜を買い求めようと多くの客が集まった「産直ミッキーファーム」の販売ブース

 

 大只越町の女性(81)はイオンタウン釜石で行われている新型コロナワクチン接種の帰りに立ち寄り、野菜や花、弁当などを購入。「街なかでやってくれるのはうれしい。野菜も新鮮で安く買える。またここでやる時は絶対に来たい」と声を弾ませた。

 

 初出店のNPOおはこざき市民会議(箱崎町)は、ホタテの甘辛煮や塩蔵ワカメを販売。佐藤啓太理事長(39)は「常設店舗がなく、普段はイベントやインターネット販売が中心。こういう機会に商品を知ってもらえるのはありがたい。市内の海産物は意外と地元流通していないので、仕組み作りへの働きかけもしていければ」と望んだ。

 

NPOおはこざき市民会議の商品に興味を示す親子

NPOおはこざき市民会議の商品に興味を示す親子

 

 鵜住居町でリンゴ栽培などを手がける傍ら、県鳥獣保護管理員としても活動する二本松誠さん(57)は、狩猟で出たシカの角やイノシシの爪を加工したキーホルダー、工芸品を販売。橋野町の産直どんぐり広場で販売しているが、軽トラ市では初出品。「これまで廃棄されていた角などを有効活用できればと考えた」と、オリジナルデザインの作品を並べ、買い物客の注目を集めた。

 

二本松誠さん(中)が初出品したシカ角の工芸品は来場者の注目を集めた

二本松誠さん(中)が初出品したシカ角の工芸品は来場者の注目を集めた

 

 生産者の所得向上、地産地消の推進などを目的に始まった軽トラ市。昨年度は10、11月にうのすまい・トモス、市役所前駐車スペースを会場に計3回開かれ、延べ877人が来場した。本年度は6回の開催を計画。次回は7月25日、うのすまい・トモス朝市と同時開催で、午前9時から11時までトモス広場(三陸鉄道鵜住居駅前)で開かれる。

震災後、関係者の努力で復活させ、回を重ねてきた釜石はまゆりトライアスロン国際大会(2019年、第25回大会)

「はまゆりトライアスロン」2年連続で中止 新型コロナ感染拡大を考慮

震災後、関係者の努力で復活させ、回を重ねてきた釜石はまゆりトライアスロン国際大会(2019年、第25回大会)

震災後、関係者の努力で復活させ、回を重ねてきた釜石はまゆりトライアスロン国際大会(2019年、第25回大会)

 

 9月5日に予定されていた「第26回釜石はまゆりトライアスロン国際大会」は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、昨年に続き、中止されることが決まった。同実行委(小泉嘉明実行委員長)が発表した。

 

 5月9日に、大会を主管する釜石トライアスロン協会(小林格也会長)の定例総会、同大会実行委の会合が開かれ、今年の大会開催の可否を協議。全国的に感染拡大が続き、本県でも感染者が増えていることから、「安全を優先させることが最善」と判断し、中止を決めた。

 

 同大会は釜石市鵜住居町根浜海岸を主会場に1990年にスタート。参加者は最大で約400人に上った年もあり、東日本大震災前の2010年までに21回の開催を数えた。震災の津波で同海岸やコースとなっている周辺地域が甚大な被害を受け、11年の大会を中止。16年の岩手国体でトライアスロンが正式競技となり、同市が開催地となることが決まっていたこともあり、復活を望む地元の声に後押しされ、12年から大会復活への取り組みを開始。14年にはスイム、バイク、ランの全3種目による大会を実現させ、16年の国体につないだ。

 

早くコロナが収束して、全国のトライアスリートの笑顔が戻ることを願う

早くコロナが収束して、全国のトライアスリートの笑顔が戻ることを願う

 

 昨年は大会開始から30周年の記念大会を予定していたが、新型コロナの収束が見込めず、やむなく中止。「今年こそは」と開催の道を探っていたが、全国の感染状況を考慮し断念した。同協会の小林会長(82)は「この厳しい状況では仕方がない。やはり健康な状態で開催できるのがベスト。コロナが収束したら、みんなで楽しめるような大会をしたい」と望んだ。

清掃は一番、二番高炉付近の水路跡を中心に実施

世界遺産「橋野鉄鉱山」を守ろう~市民らが高炉跡で環境美化活動~

橋野鉄鉱山の環境美化活動に励む参加者

橋野鉄鉱山の環境美化活動に励む参加者

 

 釜石市橋野町の世界遺産「橋野鉄鉱山」で5月29日、遺跡内の環境美化や保護意識醸成を図るイベント「みんなの橋野鉄鉱山」(市主催)が行われた。地元住民や釜石観光ガイド会員など25人が参加。草刈りや落ち葉集め、ごみ拾いを行い、見学環境を整えた。2015年7月に「明治日本の産業革命遺産」(8県11市23資産)の一つとしてユネスコの世界文化遺産に登録された同鉄鉱山。登録7年目の今年、市では引き続き、遺跡の保護と情報発信に努めていく。

 

 同イベントは、橋野高炉跡が国史跡に指定された1957(昭和32)年6月3日にちなみ、指定60周年となった2017年から開始。昨年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止されたが、今年は感染防止策を講じて2年ぶりの開催となった。参加者は一番、二番高炉近くの水路跡を中心に雑草を刈り取り、落ち葉などを拾い集めた。見学順路の案内看板も新しくした。

 

清掃は一番、二番高炉付近の水路跡を中心に実施

清掃は一番、二番高炉付近の水路跡を中心に実施

 

水路の石垣の間から生える草を刈り、遺跡が見えやすいように整備

水路の石垣の間から生える草を刈り、遺跡が見えやすいように整備

 

 急な天侯悪化のため、清掃活動は30分ほどで終了。インフォメーションセンターに移動後、昨年6月に東京都新宿区に開館した「産業遺産情報センター」を紹介するDVDを観賞した。

 

 13年11月に開館した同鉄鉱山インフォメーションセンター(通常4月1日~12月8日開館)の入館者は、19年9月に10万人を突破。世界遺産登録された翌16年には台風10号被害で約2カ月半の休館、内陸からのアクセス路・県道釜石遠野線笛吹峠の復旧長期化で一時、入館者数は落ち込んだが、18、19年度は年間1万3千人台に回復。明るい兆しが見え始めた矢先、新型コロナウイルスの感染拡大、再度の笛吹峠通行止めなどの不運が重なり、昨年度の入館者は半減(5547人)した。

 

インフォセンターではDVDを観賞し、遺産の価値を再認識。保護意識を高めた

インフォセンターではDVDを観賞し、遺産の価値を再認識。保護意識を高めた

 

 橋野町在住で、同センタースタッフでもある中平春仁さん(73)は「コロナ禍ながら、5月の連休には1日100人以上訪れる日もあった。昨年から、県内の修学旅行生も増えている。早くコロナが収束して、より多くの人が来られるようになるといい」と願った。市世界遺産課では今後も感染症対策を講じながら、同鉄鉱山を含む鉄のまち釜石に親しむ行事を開催していく方針。

新たな観光コンテンツとして期待が高まるサイクルツーリズム。電動自転車は坂道も楽に上がることができる

電動自転車で巡る栗橋ツーリズム構築へ 7月の本開催に向け試走会

電動自転車で橋野町古里地区を走行する試走会参加者

電動自転車で橋野町古里地区を走行する試走会参加者

 

 豊かな自然や歴史的価値の高い遺産が数多く点在する釜石市栗橋地区(栗林町、橋野町)の新たな観光スタイル構築へ、移動手段に電動自転車を用いるサイクルツーリズムの可能性を探る取り組みが始まった。5月26日、事業化を目指す団体、みちのくソレイユ(福田学代表)と釜石観光物産協会(澤田政男会長)がモニターによる試走会を実施。7月の本格開催に向け、課題を探った。

 

 この取り組みは、世界遺産「橋野鉄鉱山」に至るルート周辺の魅力的なスポットに目を向け、同地区の観光振興につなげようと発案。二次交通が少なく、大型バスの停車も厳しいアクセスの弱点を補うべく、小回りが利き、坂道走行の負担が少ない電動自転車に着目した。

 

 試走会には観光分野を担当する県や市の職員など9人が参加。4台の自転車で鵜住居駅を出発し、栗橋地区の名所8カ所を巡る約5時間半のコースを体験した。自転車に乗る人は最大4人まで双方向通話が可能な無線機能付きヘルメットを着用。三陸ジオパーク認定ガイドの資格を持つ福田代表が先頭を走り、走行中のガイドを務めた。今回は試験的に、釜石観光ガイド会事務局長で、栗林が地元の藤原信孝さんによる各スポットでの説明も行われた。

 

三浦命助没後100年にあたる1963年に栗林町民によって建立された石碑。裏山に命助の墓もある

三浦命助没後100年にあたる1963年に栗林町民によって建立された石碑。裏山に命助の墓もある

 

釜石観光ガイド会の藤原信孝さん(左)から石碑の説明を受ける参加者

釜石観光ガイド会の藤原信孝さん(左)から石碑の説明を受ける参加者

 

 試走会で立ち寄ったのは、市指定文化財の3巨木・明神かつら(栗林)、上栗林のサクラ、古里の御神楽スギ(橋野)、江戸時代に過酷な取り立てに苦しむ村民救済に奔走した古里嘉惣治・小屋野十三郎(橋野)、幕末最大の三閉伊一揆を率いた三浦命助(栗林)の両顕彰碑、交通の難所「つるぎ」の道路開削に尽力した牧庵鞭牛和尚の功績を示す石碑群、同文化財で岩手の景観賞を受賞している「瀧澤神社奥の院と沢桧川」。いずれもパンフレットで紹介されているものの、実際に足を運ぶ人が少ない場所だ。

 

栗林町に自生する釜石市指定文化財(1973年指定)の巨木「明神かつら」

栗林町に自生する釜石市指定文化財(1973年指定)の巨木「明神かつら」

 

1995年に岩手の景観賞を受賞した「瀧澤神社奥の院と沢桧川」。2007年には市の文化財に指定されている

1995年に岩手の景観賞を受賞した「瀧澤神社奥の院と沢桧川」。2007年には市の文化財に指定されている

 

 試走後の意見交換会では、風を切って進む自転車ならではの爽快感、景観の素晴らしさなど80%以上の満足度が示された一方、ツアー商品化する際の検討課題として料金設定、雨天時の代替メニュー、未舗装路の安全対策、ガイドの仕方などに意見が出された。

 

 ガイド会の藤原事務局長(72)は、豊富な地域資源を効果的に生かす方策として「鉄の道、遠野物語の民話の舞台、郷土の偉人、山里の自然―など客の希望に合わせたコースメニューが必要では」とアドバイス。市商工観光課の二本松史敏主幹(52)は「地元にあるものを再発見できる楽しみがある。まずは市民に利用してもらい、発信力を高めては」と話し、民間主導の取り組みに期待を寄せた。

 

新たな観光コンテンツとして期待が高まるサイクルツーリズム。電動自転車は坂道も楽に上がることができる

新たな観光コンテンツとして期待が高まるサイクルツーリズム。電動自転車は坂道も楽に上がることができる

 

 これまで箱崎半島などの自転車ツアーを企画してきた福田代表(44)は、栗橋コースの優位性について「地域住民が大事にしている場所が多い。参加者と地元の人をつなぐ方法も考えていければ。関係団体と連携しながら、持続可能な仕組みを作りたい」と話した。

釜石駅前広場で草刈り奉仕に励む観光ガイド会員ら

きれいな環境で観光客をお出迎え~釜石観光ガイド会 駅前で除草ボランティア

釜石駅前広場で草刈り奉仕に励む観光ガイド会員ら

釜石駅前広場で草刈り奉仕に励む観光ガイド会員ら

 

 春の観光シーズンが本格化する中、釜石観光ガイド会(三浦達夫会長、会員27人)は8日、釜石市鈴子町のJR釜石駅前広場の草刈り作業を行った。市街地の玄関口である同所をきれいにし、観光客を気持ち良く迎えたいと、会員7人がボランティアで汗を流した。

 

 会員の一人がこれまで自主的に行っていた作業を会の活動として実施。大島高任像(没後100年記念、2002年建立)、鉄のモニュメント(近代製鉄発祥150周年記念、07年同)、釜石復興の鐘(11年同)など、釜石のシンボルが建ち並ぶエリアを中心に雑草を刈り取った。

 

釜石製鉄所の高炉の火がともされる「鉄のモニュメント」歩道側も除草され、すっきりとした印象に・・・

釜石製鉄所の高炉の火がともされる「鉄のモニュメント」歩道側も除草され、すっきりとした印象に・・・

 

 結成19年となる同会は本年度、世界遺産「橋野鉄鉱山」のインフォメーションセンターに開館期間中、毎日常駐し、希望者へのガイドを行うほか、イベント開催に合わせた「まちなかガイド」、旅行会社からの依頼による団体旅行客の案内(鉄のまち、ジオパーク、震災、防災学習など)を柱に活動予定。昨年来のコロナ禍の影響で旅行対応の依頼は減少傾向にあるものの、県内の学校を中心に修学旅行や校外学習で釜石を訪れるケースが増えていて、ガイド依頼のニーズも高まっている。

 

機械で刈った草はごみ袋に入れて回収された

機械で刈った草はごみ袋に入れて回収された

 

 三浦会長は「ガイド員のレベルアップのための研修も実施し、お客様に喜んでもらえるようにしたい。会員の年齢が上がっているので新人獲得にも力を入れ、若い人たちの育成につなげられたら」と、20周年に向け体制強化を図りたい考え。ガイド依頼の申し込みは鈴子町の釜石観光総合案内所(ホテルフォルクローロ三陸釜石1階)電話0193・22・5835、FAX0193・31・1166(受付時間午前9時~午後6時)で受け付けている。

鈴子町の釜石駅前広場で開かれた「春まつり」。思い思いに食を満喫した

食で地域を元気に 釜石駅前で「春まつり」 海と山の恵みで魅力発信

鈴子町の釜石駅前広場で開かれた「春まつり」。思い思いに食を満喫した

鈴子町の釜石駅前広場で開かれた「春まつり」。思い思いに食を満喫した

 

 食を通し、まちの魅力を発信する「かまいし春まつり」(釜石観光物産協会主催)は3、4の両日、釜石市鈴子町の釜石駅前広場で開かれた。地元の家族連れらが訪れ、旬の食材を使った弁当や総菜、好みの魚介類をのせて食べる“オリジナル丼”を味わった。

 

 同広場には、“春味”タケノコを使った炊き込みご飯、焼き鳥などを販売する出店が並んだ。釜石湾漁協はホタテ甘辛煮、メカブ山海漬などを紹介し、地元ならではの味をPR。鈴子町内会女性部によるホタテの稚貝汁の無料お振る舞い(各日とも200食限定)もあり、人気を集めた。

 

訪れた人たちは海産物を使った加工品の販売ブースで品定めを楽しんだ

訪れた人たちは海産物を使った加工品の販売ブースで品定めを楽しんだ

 

ホタテ稚貝汁のお振る舞いは列ができ、1時間足らずで大鍋が空になった

ホタテ稚貝汁のお振る舞いは列ができ、1時間足らずで大鍋が空になった

 

 特別企画として、サン・フィッシュ釜石が用意したのは、温かいご飯に好みのおかずをのせて食べる「のっけ丼」と海鮮焼き。マグロの刺身、イクラ、塩ウニ、貝ワサビ、子持ちメカブなど館内店舗が提供する食材で丼を味わい、しちりんで焼き上げる魚介類の香ばしい香りが食をそそった。

 

魚屋さんの助言を受けながら、丼にのせる具を求める女性(右)

魚屋さんの助言を受けながら、丼にのせる具を求める女性(右)

 

 穏やかな晴れとなった4日に市内から家族5人で足を運んだ三浦常大朗君(小佐野小4年)、晴二朗君(同1年)、進平ちゃん(4)の3兄弟は「おいしい」と満足げ。母こずえさん(38)、祖母真由美さん(68)は「コロナ禍だが、対策を考えながら開催してくれていると感じた。いろんなところに行って、釜石のことを知り、楽しみたい」と笑顔を重ねた。

 

 釜石観光ガイド会は1日から5日まで「街なかガイド」を実施。駅前の観光総合案内所発で、利用客の要望に応じて震災や製鉄、まちの歴史などの話をし、おもてなしに一役買った。

 

 同まつりは5月の大型連休期間に合わせて行ってきたが、今年は新型コロナウイルスの感染拡大に配慮し規模を縮小。東北6県とJR各社が合同で展開する大型観光企画・東北デスティネーションキャンペーン(DC)開催記念として催したが、市外へのPRは控えた。

 

 同協会の澤田政男会長は「コロナ禍でも地域を盛り上げ、楽しんでもらおうと実行。こじんまりとしているが、何か行動することで来場者も事業者も前向きな気持ちになると思う。できる対策を講じ、盛り上げる方法を考えていく」と観光戦略を模索する。

神事の後、さっそく山頂を目指す釜石の山岳グループ

雨の中しっとりと五葉山山開き~安全祈願祭はコロナ対策で規模縮小

五葉山山開き

 

 釜石、大船渡、住田の3市町にまたがる本県沿岸の最高峰・五葉山(標高1351メートル)は4月29日に山開きが行われ、春の登山シーズンを迎えた。釜石、大船渡の市境となる赤坂峠登山口で行われた安全祈願祭は、新型コロナウイルス感染症予防のため規模を縮小して実施。あいにくの雨模様ながら、この日を楽しみにしていた登山愛好者のグループなどが元気に山頂を目指した。

 

赤坂峠登山口で行われた安全祈願祭

赤坂峠登山口で行われた安全祈願祭

 

 「昭和の日」の祝日に設定されている山開きは、3市町で組織する五葉山自然保護協議会(会長=野田武則釜石市長)が主催。神事には例年、約200人が集まるが、今年は関係機関の代表と一般登山客合わせ約70人規模で行われた。五葉山神社の奥山行正宮司が祝詞を奏上。各代表が玉串をささげ、登山者の安全を祈った。釜石市の晴山真澄副市長が野田市長のあいさつを代読した。

 

関係者が神前に玉串をささげ登山者の安全を祈った

関係者が神前に玉串をささげ登山者の安全を祈った

 

 釜石岳友会メンバーの菅野愛子さん(74)は会の仲間と参加。出発前、「気分的には上がっているが、雨がねぇ~。これ以上降らないでくれれば」と願った。登山歴約50年。五葉山には年に3、4回は登るといい、「ツツジやシャクナゲ、固有種のゴヨウザンヨウラクなどきれいな花を見るのが楽しみ」と笑顔を輝かせた。

 

コロナ禍2年目の山開きの神事は例年より少ない人数で

コロナ禍2年目の山開きの神事は例年より少ない人数で

 

 五葉山自然公園保護管理員の松田陽一さん(57)=釜石市=によると、今年は雪解けが早く進み、赤坂コース登山道上に残雪はほぼ無いが、山頂東側「日の出岩」周辺には若干残っているという。同山の登山コースは主に5つ。「日当たりのいい山の南側は早く解けるが、釜石市甲子町大畑から上がる楢ノ木平コースは例年遅くまで雪が残る」と注意を促す松田さん。9合目にある山(避難)小屋「石楠花(しゃくなげ)荘」利用時にはコロナ対策の換気をし、最後に出る人が必ず窓を閉めることも呼び掛けた。

 

神事の後、さっそく山頂を目指す釜石の山岳グループ

神事の後、さっそく山頂を目指す釜石の山岳グループ

 

 同小屋は老朽化への対応として、3市町の負担金と寄付金により2018年に建て替えられた。改修を訴え、16年から活動してきた「五葉山石楠花荘改修促進協議会」は署名・募金活動を継続的に行い、実現に大きく貢献した。促進協会長を務めた釜石山岳協会顧問の市川滋さん(73)は「断熱材が入り、以前よりかなり快適。ごみの持ち帰りやトイレを汚さないなどのマナーを守って利用してほしい」と願う。

 

 五葉山は1966年、県立自然公園に指定され、登山道整備や山小屋の維持・管理が続けられる。山頂からはリアス式海岸や早池峰山、奥羽山系の山々を展望できる。春から夏にかけては、ツツジやシャクナゲの花が咲き、登山者を出迎える。