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清掃は一番、二番高炉付近の水路跡を中心に実施

世界遺産「橋野鉄鉱山」を守ろう~市民らが高炉跡で環境美化活動~

橋野鉄鉱山の環境美化活動に励む参加者

橋野鉄鉱山の環境美化活動に励む参加者

 

 釜石市橋野町の世界遺産「橋野鉄鉱山」で5月29日、遺跡内の環境美化や保護意識醸成を図るイベント「みんなの橋野鉄鉱山」(市主催)が行われた。地元住民や釜石観光ガイド会員など25人が参加。草刈りや落ち葉集め、ごみ拾いを行い、見学環境を整えた。2015年7月に「明治日本の産業革命遺産」(8県11市23資産)の一つとしてユネスコの世界文化遺産に登録された同鉄鉱山。登録7年目の今年、市では引き続き、遺跡の保護と情報発信に努めていく。

 

 同イベントは、橋野高炉跡が国史跡に指定された1957(昭和32)年6月3日にちなみ、指定60周年となった2017年から開始。昨年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止されたが、今年は感染防止策を講じて2年ぶりの開催となった。参加者は一番、二番高炉近くの水路跡を中心に雑草を刈り取り、落ち葉などを拾い集めた。見学順路の案内看板も新しくした。

 

清掃は一番、二番高炉付近の水路跡を中心に実施

清掃は一番、二番高炉付近の水路跡を中心に実施

 

水路の石垣の間から生える草を刈り、遺跡が見えやすいように整備

水路の石垣の間から生える草を刈り、遺跡が見えやすいように整備

 

 急な天侯悪化のため、清掃活動は30分ほどで終了。インフォメーションセンターに移動後、昨年6月に東京都新宿区に開館した「産業遺産情報センター」を紹介するDVDを観賞した。

 

 13年11月に開館した同鉄鉱山インフォメーションセンター(通常4月1日~12月8日開館)の入館者は、19年9月に10万人を突破。世界遺産登録された翌16年には台風10号被害で約2カ月半の休館、内陸からのアクセス路・県道釜石遠野線笛吹峠の復旧長期化で一時、入館者数は落ち込んだが、18、19年度は年間1万3千人台に回復。明るい兆しが見え始めた矢先、新型コロナウイルスの感染拡大、再度の笛吹峠通行止めなどの不運が重なり、昨年度の入館者は半減(5547人)した。

 

インフォセンターではDVDを観賞し、遺産の価値を再認識。保護意識を高めた

インフォセンターではDVDを観賞し、遺産の価値を再認識。保護意識を高めた

 

 橋野町在住で、同センタースタッフでもある中平春仁さん(73)は「コロナ禍ながら、5月の連休には1日100人以上訪れる日もあった。昨年から、県内の修学旅行生も増えている。早くコロナが収束して、より多くの人が来られるようになるといい」と願った。市世界遺産課では今後も感染症対策を講じながら、同鉄鉱山を含む鉄のまち釜石に親しむ行事を開催していく方針。

新たな観光コンテンツとして期待が高まるサイクルツーリズム。電動自転車は坂道も楽に上がることができる

電動自転車で巡る栗橋ツーリズム構築へ 7月の本開催に向け試走会

電動自転車で橋野町古里地区を走行する試走会参加者

電動自転車で橋野町古里地区を走行する試走会参加者

 

 豊かな自然や歴史的価値の高い遺産が数多く点在する釜石市栗橋地区(栗林町、橋野町)の新たな観光スタイル構築へ、移動手段に電動自転車を用いるサイクルツーリズムの可能性を探る取り組みが始まった。5月26日、事業化を目指す団体、みちのくソレイユ(福田学代表)と釜石観光物産協会(澤田政男会長)がモニターによる試走会を実施。7月の本格開催に向け、課題を探った。

 

 この取り組みは、世界遺産「橋野鉄鉱山」に至るルート周辺の魅力的なスポットに目を向け、同地区の観光振興につなげようと発案。二次交通が少なく、大型バスの停車も厳しいアクセスの弱点を補うべく、小回りが利き、坂道走行の負担が少ない電動自転車に着目した。

 

 試走会には観光分野を担当する県や市の職員など9人が参加。4台の自転車で鵜住居駅を出発し、栗橋地区の名所8カ所を巡る約5時間半のコースを体験した。自転車に乗る人は最大4人まで双方向通話が可能な無線機能付きヘルメットを着用。三陸ジオパーク認定ガイドの資格を持つ福田代表が先頭を走り、走行中のガイドを務めた。今回は試験的に、釜石観光ガイド会事務局長で、栗林が地元の藤原信孝さんによる各スポットでの説明も行われた。

 

三浦命助没後100年にあたる1963年に栗林町民によって建立された石碑。裏山に命助の墓もある

三浦命助没後100年にあたる1963年に栗林町民によって建立された石碑。裏山に命助の墓もある

 

釜石観光ガイド会の藤原信孝さん(左)から石碑の説明を受ける参加者

釜石観光ガイド会の藤原信孝さん(左)から石碑の説明を受ける参加者

 

 試走会で立ち寄ったのは、市指定文化財の3巨木・明神かつら(栗林)、上栗林のサクラ、古里の御神楽スギ(橋野)、江戸時代に過酷な取り立てに苦しむ村民救済に奔走した古里嘉惣治・小屋野十三郎(橋野)、幕末最大の三閉伊一揆を率いた三浦命助(栗林)の両顕彰碑、交通の難所「つるぎ」の道路開削に尽力した牧庵鞭牛和尚の功績を示す石碑群、同文化財で岩手の景観賞を受賞している「瀧澤神社奥の院と沢桧川」。いずれもパンフレットで紹介されているものの、実際に足を運ぶ人が少ない場所だ。

 

栗林町に自生する釜石市指定文化財(1973年指定)の巨木「明神かつら」

栗林町に自生する釜石市指定文化財(1973年指定)の巨木「明神かつら」

 

1995年に岩手の景観賞を受賞した「瀧澤神社奥の院と沢桧川」。2007年には市の文化財に指定されている

1995年に岩手の景観賞を受賞した「瀧澤神社奥の院と沢桧川」。2007年には市の文化財に指定されている

 

 試走後の意見交換会では、風を切って進む自転車ならではの爽快感、景観の素晴らしさなど80%以上の満足度が示された一方、ツアー商品化する際の検討課題として料金設定、雨天時の代替メニュー、未舗装路の安全対策、ガイドの仕方などに意見が出された。

 

 ガイド会の藤原事務局長(72)は、豊富な地域資源を効果的に生かす方策として「鉄の道、遠野物語の民話の舞台、郷土の偉人、山里の自然―など客の希望に合わせたコースメニューが必要では」とアドバイス。市商工観光課の二本松史敏主幹(52)は「地元にあるものを再発見できる楽しみがある。まずは市民に利用してもらい、発信力を高めては」と話し、民間主導の取り組みに期待を寄せた。

 

新たな観光コンテンツとして期待が高まるサイクルツーリズム。電動自転車は坂道も楽に上がることができる

新たな観光コンテンツとして期待が高まるサイクルツーリズム。電動自転車は坂道も楽に上がることができる

 

 これまで箱崎半島などの自転車ツアーを企画してきた福田代表(44)は、栗橋コースの優位性について「地域住民が大事にしている場所が多い。参加者と地元の人をつなぐ方法も考えていければ。関係団体と連携しながら、持続可能な仕組みを作りたい」と話した。

釜石駅前広場で草刈り奉仕に励む観光ガイド会員ら

きれいな環境で観光客をお出迎え~釜石観光ガイド会 駅前で除草ボランティア

釜石駅前広場で草刈り奉仕に励む観光ガイド会員ら

釜石駅前広場で草刈り奉仕に励む観光ガイド会員ら

 

 春の観光シーズンが本格化する中、釜石観光ガイド会(三浦達夫会長、会員27人)は8日、釜石市鈴子町のJR釜石駅前広場の草刈り作業を行った。市街地の玄関口である同所をきれいにし、観光客を気持ち良く迎えたいと、会員7人がボランティアで汗を流した。

 

 会員の一人がこれまで自主的に行っていた作業を会の活動として実施。大島高任像(没後100年記念、2002年建立)、鉄のモニュメント(近代製鉄発祥150周年記念、07年同)、釜石復興の鐘(11年同)など、釜石のシンボルが建ち並ぶエリアを中心に雑草を刈り取った。

 

釜石製鉄所の高炉の火がともされる「鉄のモニュメント」歩道側も除草され、すっきりとした印象に・・・

釜石製鉄所の高炉の火がともされる「鉄のモニュメント」歩道側も除草され、すっきりとした印象に・・・

 

 結成19年となる同会は本年度、世界遺産「橋野鉄鉱山」のインフォメーションセンターに開館期間中、毎日常駐し、希望者へのガイドを行うほか、イベント開催に合わせた「まちなかガイド」、旅行会社からの依頼による団体旅行客の案内(鉄のまち、ジオパーク、震災、防災学習など)を柱に活動予定。昨年来のコロナ禍の影響で旅行対応の依頼は減少傾向にあるものの、県内の学校を中心に修学旅行や校外学習で釜石を訪れるケースが増えていて、ガイド依頼のニーズも高まっている。

 

機械で刈った草はごみ袋に入れて回収された

機械で刈った草はごみ袋に入れて回収された

 

 三浦会長は「ガイド員のレベルアップのための研修も実施し、お客様に喜んでもらえるようにしたい。会員の年齢が上がっているので新人獲得にも力を入れ、若い人たちの育成につなげられたら」と、20周年に向け体制強化を図りたい考え。ガイド依頼の申し込みは鈴子町の釜石観光総合案内所(ホテルフォルクローロ三陸釜石1階)電話0193・22・5835、FAX0193・31・1166(受付時間午前9時~午後6時)で受け付けている。

鈴子町の釜石駅前広場で開かれた「春まつり」。思い思いに食を満喫した

食で地域を元気に 釜石駅前で「春まつり」 海と山の恵みで魅力発信

鈴子町の釜石駅前広場で開かれた「春まつり」。思い思いに食を満喫した

鈴子町の釜石駅前広場で開かれた「春まつり」。思い思いに食を満喫した

 

 食を通し、まちの魅力を発信する「かまいし春まつり」(釜石観光物産協会主催)は3、4の両日、釜石市鈴子町の釜石駅前広場で開かれた。地元の家族連れらが訪れ、旬の食材を使った弁当や総菜、好みの魚介類をのせて食べる“オリジナル丼”を味わった。

 

 同広場には、“春味”タケノコを使った炊き込みご飯、焼き鳥などを販売する出店が並んだ。釜石湾漁協はホタテ甘辛煮、メカブ山海漬などを紹介し、地元ならではの味をPR。鈴子町内会女性部によるホタテの稚貝汁の無料お振る舞い(各日とも200食限定)もあり、人気を集めた。

 

訪れた人たちは海産物を使った加工品の販売ブースで品定めを楽しんだ

訪れた人たちは海産物を使った加工品の販売ブースで品定めを楽しんだ

 

ホタテ稚貝汁のお振る舞いは列ができ、1時間足らずで大鍋が空になった

ホタテ稚貝汁のお振る舞いは列ができ、1時間足らずで大鍋が空になった

 

 特別企画として、サン・フィッシュ釜石が用意したのは、温かいご飯に好みのおかずをのせて食べる「のっけ丼」と海鮮焼き。マグロの刺身、イクラ、塩ウニ、貝ワサビ、子持ちメカブなど館内店舗が提供する食材で丼を味わい、しちりんで焼き上げる魚介類の香ばしい香りが食をそそった。

 

魚屋さんの助言を受けながら、丼にのせる具を求める女性(右)

魚屋さんの助言を受けながら、丼にのせる具を求める女性(右)

 

 穏やかな晴れとなった4日に市内から家族5人で足を運んだ三浦常大朗君(小佐野小4年)、晴二朗君(同1年)、進平ちゃん(4)の3兄弟は「おいしい」と満足げ。母こずえさん(38)、祖母真由美さん(68)は「コロナ禍だが、対策を考えながら開催してくれていると感じた。いろんなところに行って、釜石のことを知り、楽しみたい」と笑顔を重ねた。

 

 釜石観光ガイド会は1日から5日まで「街なかガイド」を実施。駅前の観光総合案内所発で、利用客の要望に応じて震災や製鉄、まちの歴史などの話をし、おもてなしに一役買った。

 

 同まつりは5月の大型連休期間に合わせて行ってきたが、今年は新型コロナウイルスの感染拡大に配慮し規模を縮小。東北6県とJR各社が合同で展開する大型観光企画・東北デスティネーションキャンペーン(DC)開催記念として催したが、市外へのPRは控えた。

 

 同協会の澤田政男会長は「コロナ禍でも地域を盛り上げ、楽しんでもらおうと実行。こじんまりとしているが、何か行動することで来場者も事業者も前向きな気持ちになると思う。できる対策を講じ、盛り上げる方法を考えていく」と観光戦略を模索する。

神事の後、さっそく山頂を目指す釜石の山岳グループ

雨の中しっとりと五葉山山開き~安全祈願祭はコロナ対策で規模縮小

五葉山山開き

 

 釜石、大船渡、住田の3市町にまたがる本県沿岸の最高峰・五葉山(標高1351メートル)は4月29日に山開きが行われ、春の登山シーズンを迎えた。釜石、大船渡の市境となる赤坂峠登山口で行われた安全祈願祭は、新型コロナウイルス感染症予防のため規模を縮小して実施。あいにくの雨模様ながら、この日を楽しみにしていた登山愛好者のグループなどが元気に山頂を目指した。

 

赤坂峠登山口で行われた安全祈願祭

赤坂峠登山口で行われた安全祈願祭

 

 「昭和の日」の祝日に設定されている山開きは、3市町で組織する五葉山自然保護協議会(会長=野田武則釜石市長)が主催。神事には例年、約200人が集まるが、今年は関係機関の代表と一般登山客合わせ約70人規模で行われた。五葉山神社の奥山行正宮司が祝詞を奏上。各代表が玉串をささげ、登山者の安全を祈った。釜石市の晴山真澄副市長が野田市長のあいさつを代読した。

 

関係者が神前に玉串をささげ登山者の安全を祈った

関係者が神前に玉串をささげ登山者の安全を祈った

 

 釜石岳友会メンバーの菅野愛子さん(74)は会の仲間と参加。出発前、「気分的には上がっているが、雨がねぇ~。これ以上降らないでくれれば」と願った。登山歴約50年。五葉山には年に3、4回は登るといい、「ツツジやシャクナゲ、固有種のゴヨウザンヨウラクなどきれいな花を見るのが楽しみ」と笑顔を輝かせた。

 

コロナ禍2年目の山開きの神事は例年より少ない人数で

コロナ禍2年目の山開きの神事は例年より少ない人数で

 

 五葉山自然公園保護管理員の松田陽一さん(57)=釜石市=によると、今年は雪解けが早く進み、赤坂コース登山道上に残雪はほぼ無いが、山頂東側「日の出岩」周辺には若干残っているという。同山の登山コースは主に5つ。「日当たりのいい山の南側は早く解けるが、釜石市甲子町大畑から上がる楢ノ木平コースは例年遅くまで雪が残る」と注意を促す松田さん。9合目にある山(避難)小屋「石楠花(しゃくなげ)荘」利用時にはコロナ対策の換気をし、最後に出る人が必ず窓を閉めることも呼び掛けた。

 

神事の後、さっそく山頂を目指す釜石の山岳グループ

神事の後、さっそく山頂を目指す釜石の山岳グループ

 

 同小屋は老朽化への対応として、3市町の負担金と寄付金により2018年に建て替えられた。改修を訴え、16年から活動してきた「五葉山石楠花荘改修促進協議会」は署名・募金活動を継続的に行い、実現に大きく貢献した。促進協会長を務めた釜石山岳協会顧問の市川滋さん(73)は「断熱材が入り、以前よりかなり快適。ごみの持ち帰りやトイレを汚さないなどのマナーを守って利用してほしい」と願う。

 

 五葉山は1966年、県立自然公園に指定され、登山道整備や山小屋の維持・管理が続けられる。山頂からはリアス式海岸や早池峰山、奥羽山系の山々を展望できる。春から夏にかけては、ツツジやシャクナゲの花が咲き、登山者を出迎える。

釜石大観音を正面から望むことができるのも漁船クルーズの楽しみの一つ

漁船でクルーズ、釜石湾を一望 海を生かした観光振興に

釜石湾内クルーズへGO!モニターを乗せた漁船が魚市場付近の岸壁を出発

釜石湾内クルーズへGO!モニターを乗せた漁船が魚市場付近の岸壁を出発

 

 釜石市で観光地域づくりを進める「かまいしDMC」は、釜石湾で地元の漁船を活用したサッパ船クルーズ事業を始めるのを前に、4月28日、モニタークルーズを実施。地域住民や観光情報発信に取り組む県職員ら6人が乗船し、釜石港周辺の産業中心地や尾崎半島にかけての自然の景観を間近で楽しんだ。5月の大型連休期間中には3日間限定で定期運航。今後は予約に応じて船を出す不定期事業となるが、通年で運航し、海を生かした観光振興につなげる考えだ。

 

隆起した岩場や湾口防波堤を巡る船旅を楽しむモニターら

隆起した岩場や湾口防波堤を巡る船旅を楽しむモニターら

 

 釜石湾の観光利用促進を目的とした同クルーズ事業は、市、同社、地元漁業者の連携で実現した。釜石湾漁業協同組合に所属する平田の漁業佐々木剛さん(68)と水戸一彦さん(62)が協力。漁を終えた午後に所有する船1隻ずつを出す。漁船はそれぞれ2・6トンの定員11人と、1・5トンの同5人。魚河岸の魚河岸テラス前発着で釜石湾内を約90分かけて1周する。

 

 モニタークルーズでは漁師の船長2人がそれぞれガイドを務め、波でえぐられた岩場などリアス海岸の景観や養殖の磯場について解説。湾口防波堤から外海にも出て、内外の波の違いを体感してもらい、尾崎神社奥宮や青出浜など、船でしか行くことができない秘境スポットも案内。モニターらは正面から望む釜石大観音、海上から見上げるガントリークレーンの迫力に圧倒されながら、湾内を巡る船旅を満喫した。

 

釜石大観音を正面から望むことができるのも漁船クルーズの楽しみの一つ

釜石大観音を正面から望むことができるのも漁船クルーズの楽しみの一つ

 

 市では東日本大震災前、観光船はまゆり(109トン)を運航したが、津波で被災し、解体処分された。元ガイド千葉まき子さん(70)=中妻町=も久々に船旅を体感。「やっぱり釜石の特徴は海。船でなければ行けない場所、いい景色を多くの人に楽しんでほしい」と期待を込めた。

 

日本海軍第48号駆潜艇が艦砲射撃を受け沈んだ場所。震災後に慰霊碑が建てられた

日本海軍第48号駆潜艇が艦砲射撃を受け沈んだ場所。震災後に慰霊碑が建てられた

 

 以前から観光船の復活を期待する声はあったものの、はまゆりは維持管理費などがかさんで赤字が続いた経緯があり、事業再開の在り方が課題となっていた。今回の漁船を使った取り組みは、漁業関係者の空き時間を活用しており、初期投資がかからず、経費も抑えることができる。

 

 かまいしDMCの河東英宜(ひでたか)事業部長は「観光船の機能を残した上で再建する一つの形。運営する中でより良い在り方を検討していく」と強調した。

 

 漁船の運航を担う2人も「自分たちの持っているものを役立てられる。高齢化する漁業者でもできる取り組みで、広げていきたい」とメリットを感じている様子。「墨絵のような風景、陸から見るのとは違う景色を楽しんでもらえるよう工夫したい」と意欲を見せている。

 

地元漁師との会話や触れ合いを通じて釜石の魅力を発信する

地元漁師との会話や触れ合いを通じて釜石の魅力を発信する

 

 5月4日からは予約に応じて船を出す不定期事業とするが、通年で運航する。乗船料は1人3800円。乗船希望日の2日前までに予約が必要で、かまいしDMCが指定管理する魚河岸テラス(電話 0193-27-5566 )で受け付ける。

隠れた名所「橋野鉄鉱山」石割桜 今年も見事な花姿に~地域住民は道路美化で来訪者をお出迎え

隠れた名所「橋野鉄鉱山」石割桜 今年も見事な花姿に~地域住民は道路美化で来訪者をお出迎え

「橋野鉄鉱山」高炉場跡内に自生する〝石割桜〟

「橋野鉄鉱山」高炉場跡内に自生する〝石割桜〟

 

 山里にも本格的春到来―。釜石市の北西部に位置する橋野町青ノ木地区は、市街地より一足遅れて桜の季節を迎えている。同所の世界遺産「橋野鉄鉱山」の高炉場跡にひっそりとたたずむ〝石割桜〟は、例年より1週間ほど早く開花し、訪れる観光客の目を楽しませている。

 

 三番高炉の東側、山神社の拝殿跡付近にある石割桜は、長さ約5・5メートル、高さ約1・5メートルの三角状の花崗(かこう)岩の間から生える3本のヤマザクラ。樹高は約15メートル、樹齢約90年と推定される。

 

こけむした花崗岩の上にも根を伸ばす

こけむした花崗岩の上にも根を伸ばす

 

 開花時期は例年5月初旬だが、今年は3月の気温が平年より高く推移したことで、4月24日ごろから咲き始めた。28日の時点で6分咲き。周囲の地盤は斜面になっており、見る角度によって異なる趣を楽しむことができる。晴れの日には薄桃色の花色が青空に映える。

 

花の密集は青空とのコントラストも美しい

花の密集は青空とのコントラストも美しい

 

 地元出身の釜石観光ガイド会員、三浦勉さん(69)は「高炉の石組みに使おうと割った岩の割れ目に種が入り、成長したのではないか」と推測。近くにはノミを入れた跡が残る花崗岩も見られる。桜が生える岩の表面はしっかりと根を張る様子が見られ、自然のたくましさを感じさせる。「今も成長し続けているようで、花の勢いも衰えない」と三浦さん。

 

斜面上側から見ると枝ぶりも違った表情に

斜面上側から見ると枝ぶりも違った表情に

 

 この桜は岩手県内の桜の名木を紹介する書籍にも掲載される。同鉄鉱山インフォメーションセンターには他県の人からの問い合わせもあるという。スタッフは「手入れをしない自然の状態であれだけ育っている。目にした観光客も驚いて帰る」と話す。

 

 青ノ木地区では自生や植樹で数種類の桜が育ち、これからの時期は濃桃色の花が魅力の八重桜の開花を迎える。

 

 春の観光シーズンを前に、地元の橋野町振興協議会(和田松男会長)は4月25日、地域を走る県道釜石遠野線の清掃活動を行った。会が発足した1985年直後から30年以上続く活動。例年、春の大型連休前に行われている。

 

県道清掃に取り組んだ橋野町の住民ら(写真提供:橋野町振興協議会)

県道清掃に取り組んだ橋野町の住民ら(写真提供:橋野町振興協議会)

 

 協議会を構成する8町内会から48人が参加。同町早栃から世界遺産がある青ノ木までの約13キロの区間で道路沿いのごみを拾い集めた。走行する車から投げ捨てられたと思われる空き缶・瓶・ペットボトルが多かったが、中には明らかに不法投棄されたごみも。タイヤは20本、他にもオイル缶や炊飯器などが見つかった。ごみ袋に回収された量は30袋分になった。

 

 協議会では「橋野鉄鉱山など地元を訪れる観光客に気持ちよく来てほしい」と同活動を継続。地域内外の人たち一人一人の環境保全意識向上を願う。

幻想的な光景に感嘆の声~釜石市指定文化財「上栗林のサクラ」恒例のライトアップ

幻想的な光景に感嘆の声~釜石市指定文化財「上栗林のサクラ」恒例のライトアップ

幻想的な光景に感嘆の声~釜石市指定文化財「上栗林のサクラ」恒例のライトアップ

 

 釜石市指定文化財(天然記念物)の巨木「上栗林のサクラ」は、開花時期恒例のライトアップが1日夜から始まった。市内最大とされる一本桜は今年もボリュームたっぷりの花を咲かせ、夜空に映える幻想的な光景に見物客から感嘆の声が上がっている。

 

 桜はエドヒガン種で、栗林町上栗林集会所に隣接する私有地に自生。地元では「種蒔(たねまき)桜」と呼ばれ、開花は農事の目安にされてきた。樹齢400年以上と推定され、2006年の市の調査では胸高幹周りが約4・9メートル。07年に市の文化財に指定されている。

 

 例年より10日ほど早い3月31日に開花。この時期にしては高い気温の日が続き、3日には一気に8分咲きまで進んだ。同日は点灯時刻を前に見物客が続々と集まり、その瞬間を待ちわびた。周囲に配置される2色の照明20基に明かりがともると、堂々とした枝ぶりが夕闇に浮かび上がった。周囲の暗さが増すと、桜も違った表情に。四方からスマートフォンを向け、美しい姿を写真に収めた。

 

幻想的な光景に感嘆の声~釜石市指定文化財「上栗林のサクラ」恒例のライトアップ

 

 定内町の高橋芳江さん(65)は「ライトアップした瞬間に花がピンク色に浮かび、感動でした。全体も見事だし、下から見る花もきれい」と大喜び。復興支援で入った夫和義さん(65)と震災後、釜石に移住。「1本の木でここまでとは。生きる力をもらった気がする」と興奮冷めやらぬ様子で語った。

 

 ライトアップは地元町内会の上栗林振興会(三浦栄太郎会長、30世帯)が2013年から開始し、今年で9年目。三浦会長(70)は「おかげさまで地域外の人にも存在を知ってもらえるようになった」と効果を実感。「これからは里山の時代。子どもたちにも地元の良さを感じてもらえるよう、環境整備を進めながら守っていきたい」と地域の宝継承に意を強くした。

 

ライトアップは11日(日)まで行われる予定で、点灯時間は午後6時半から午後9時半まで。鵜住居町の国道45号から県道釜石遠野線を橋野町方面に進んでいくと、右手に標識が見える。                                                   

しだれ桜のように枝を垂れる小川川沿いの桜並木

例年よりもひと足早く~釜石に桜シーズン到来

甲子川沿いの桜並木の下は格好の散歩コース=甲子町松倉

甲子川沿いの桜並木の下は格好の散歩コース=甲子町松倉

 

 3月の気温が平年に比べかなり高く推移した今年、釜石市内の桜の開花は下旬から一気に加速。最高気温が平年より8度も高い20・2度を記録した4月3日は、市街地を中心に各地の桜が満開を迎えた。桜の名所には家族連れや若者らが次々に訪れ、美しい花姿を愛(め)でる光景が見られた。

 

 小川町と桜木町に隣接する小川川下流域沿いの桜並木は、枝先が川面に垂れるしだれ桜のような風情が目を引く。3日午前には地元住民のほか、他地域から足を運んだ人たちが散策を楽しんだ。

 

しだれ桜のように枝を垂れる小川川沿いの桜並木

しだれ桜のように枝を垂れる小川川沿いの桜並木

 

 市内の工場で水産加工技術を学ぶベトナム人研修生の女性13人は、おしゃれな春の装いで並木をバックに記念撮影。「桜、すごくきれい。初めて見た時はびっくりした。撮った写真は母国の家族に送る」と、花に負けない〝満開〟の笑顔を輝かせた。

 

 愛犬と散歩中の小川町の70代女性は「今年の開花はだいぶ早い。今日は風も暖かく絶好の日和。春が来た感じで、うきうきする」と声を弾ませた。

 

 大渡町、橋詰広場に立つ一本桜は、橋上市場時代の名残を伝える遺産。東日本大震災による津波をかぶったが、10年たった今も力強く花開く。甲子川をはさんだ対岸には三陸鉄道の線路沿いに連なる桜並木も見ることができる。

 

津波に耐えた桜の前で笑顔も満開!=大渡町橋詰広場

津波に耐えた桜の前で笑顔も満開!=大渡町橋詰広場

 

 家族に連れられ訪れた大渡町の茂泉サダ子さん(99)は「きれいだねー。天気もいいし。見られて良かった」と満足げ。今年9月に迎える満100歳へ力をもらった様子で、広場を後にした。

 

 3年に一度の「大名行列」(天照御祖神社式年大祭)で知られる唐丹町本郷の桜並木は、3日時点で八分咲き。同日昼すぎには車で訪れる見物客がひっきりなしに続いた。道路の両側に立ち並ぶ桜は、1933(昭和8)年の三陸大津波からの復興などを願って植樹されたもの。今年は祭り行列の開催年にあたるが、新型コロナウイルスの感染状況を鑑み、中止が決定している。

 

次回の〝大名行列〟が待ち遠しい唐丹町本郷の桜並木

次回の〝大名行列〟が待ち遠しい唐丹町本郷の桜並木

 

 両石町の復興住宅に暮らす塩谷昭子さん(81)は、東日本大震災後に入居した平田の仮設住宅から毎年足を運んでいたといい、「今年も元気で見られた。津波で全てを失ったが、命があって(桜を)見られるだけでもいいよね」と、ささやかな幸せをかみしめた。

 

 中心市街地を見下ろす大町の薬師公園の桜も見事に咲き誇り、4日から提灯に明かりをともす桜まつりが始まった。点灯は18日まで。

センターを訪れた見学者に説明する藤原信孝さん(左)

「橋野鉄鉱山」見学受け入れ再開〜世界遺産登録から7年目、不運続きも「今年こそ」

シーズン入りし、観光客増に期待がかかる「橋野鉄鉱山」

シーズン入りし、観光客増に期待がかかる「橋野鉄鉱山」

 

 釜石市橋野町の「橋野鉄鉱山インフォメーションセンター」は、昨年12月9日からの冬期休館を終え、20日から開館。祝日と重なった初日は天候にも恵まれ、県内外から観光客が訪れた。2015年7月の世界遺産登録から7年目を迎える今シーズン。新型コロナウイルス感染症の影響はまだ続くが、各種予防対策を徹底しながら、見学者を受け入れる。

 

 同センターは積雪が増える冬期は休館。例年4月1日から開館するが、今年は雪解けが進んだことで、10日ほど早く開館した。高炉場跡は一部に雪が残るものの、見学には支障がない状態。20日は県内陸部のほか、愛知県東海市などから見学者が訪れた。

 

 福岡県北九州市の大学生藤井智寛さん(22)は、同市職員の父智靖さん(58)が復興支援で14年から1年間釜石市に派遣された際、初めて同所を見学。今春の大学卒業を控え、「もう一度見たい」と足を運んだ。「高1の夏に連れてきてもらった。それまで日本の製鉄の発祥は地元の八幡製鉄所だと思い込んでいたので衝撃だった」と振り返る。八幡製鉄所は橋野鉄鉱山同様、「明治日本の産業革命遺産」の構成資産として世界文化遺産に登録されている。「距離は遠いが、父が仕事をさせてもらった縁もあり、自分の中で釜石は割と近い存在。空気感は北九州と似たところがある。機会があれば釜石に住みたい」と親しみを示した。

 

センターを訪れた見学者に説明する藤原信孝さん(左)

センターを訪れた見学者に説明する藤原信孝さん(左)

 

 同センタースタッフで釜石観光ガイド会員でもある藤原信孝さん(72)は「世界遺産登録以降、台風被害やコロナ禍など不運続きだが、今年こそは本来の良い環境で見学者を迎えられたら」と期待。三陸ジオパーク認定ガイドの資格も新たに取得しており、「歴史だけでなく、鉱石産出地、鉄ができる還元の仕組みなど自然科学的視点からも理解を深めてもらえるような話ができれば」と意欲を見せる。

 

 同センターは12月8日まで開館予定(午前9時半〜午後4時半)。期間中は無休で、入館料は無料。4月1日からは釜石観光ガイド会員1人がセンターに毎日常駐し、希望者へのガイドを行う(有料)。

絵巻の寄贈式に出席した東日本製鉄所の大津芳久副所長(右)と野田武則市長

『橋野鉄鉱山』世界遺産登録5周年、「不撓不屈」継承へ思い新たに〜日本製鉄「紙本両鉄鉱山御山内並高炉之図」寄贈

絵巻の寄贈式に出席した東日本製鉄所の大津芳久副所長(右)と野田武則市長

絵巻の寄贈式に出席した東日本製鉄所の大津芳久副所長(右)と野田武則市長

 

 釜石市の橋野鉄鉱山を含む「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」(8県11市23資産)がユネスコの世界文化遺産に登録されて5周年―。市はこれを受け11月28日に、記念行事を大町の市民ホールTETTOで開催。登録までの歩みを振り返るとともに遺産の保全と価値の発信、先人が残した「不撓不屈(ふとうふくつ)の精神」継承に思いを新たにした。

 

 県と市が主催した記念式典で、達増拓也県知事は「橋野鉄鉱山で確立された製鉄技術がなければ日本の近代化はなかった。世界遺産登録は震災復興に取り組む釜石市、岩手県にとって大きな希望となった」とあいさつ。野田武則市長は「登録に至るまでの大変な苦労も遺産に等しい価値がある。思いを同じくする多くの方々と歩みを一緒にできたことは喜びにたえない」と感謝した。

 

 内閣官房産業遺産の世界遺産登録推進室・木村直樹参事官、明治日本の産業革命遺産世界遺産協議会会長の塩田康一鹿児島県知事(ビデオメッセージ)が祝辞。同鉄鉱山の登録、その後の情報発信などに尽力した11個人・団体に感謝状が贈られた。

 

 同鉄鉱山登録の大きな鍵となった県指定文化財の絵巻「紙本両鉄鉱山御山内並高炉之図(しほんりょうてっこうざんおやまうちならびにこうろのず)」(1974年2月指定)を、所有する日本製鉄東日本製鉄所釜石地区が釜石市へ寄贈。市は同社に感謝状を贈った。

 

 絵巻は文久年間(1860年代前半)に盛岡藩お抱え絵師(作者不明)により描かれたとされ、大橋、橋野両鉄鉱山の全体図や高炉などの「設備編(幅27センチ、長さ869センチ)」、鉄鉱石の採掘、運搬、高炉の操業、出荷までの工程を描いた「作業編(幅26センチ、長さ606センチ)」の2巻から成る。

 

 寄贈式で大津芳久副所長は「高炉の図面は今の高炉とほとんど変わらない。作業員の表情も豊か。150年たっても絵の色は非常に鮮やか」と説明。野田市長は「この絵巻があったからこそ世界遺産登録につながったと言っても過言ではない」とし、貴重な資料の贈呈に深く感謝した。絵巻の写しは大平町の鉄の歴史館で見ることができる。

 

 盛岡藩士大島高任が1857(安政4)年12月1日、甲子村大橋で日本初の洋式高炉による連続出銑に成功。翌年、橋野村青ノ木に建設した高炉で操業を開始し、94(明治27)年まで稼働した高炉(3基)は、国内に現存する最古の洋式高炉跡。2015年7月8日、採掘場跡、運搬路跡とともに「明治日本の産業革命遺産」の構成資産の一つとして世界文化遺産に登録された。

 

 感謝状受贈者は次の通り。
 加藤康子(内閣府産業遺産情報センター長)、小野寺英輝(岩手大理工学部准教授)、小野崎敏(元釜石鉱山社長)、大瀧粂夫(鉄のふるさと釜石創造事業実行委員会会長)、浦山文男(元鉄の歴史館館長)、菊池成夫(前橋野町振興協議会会長)、藤原昌教(橋野町振興協議会副会長)、釜石観光ガイド会、橋野町振興協議会、日本製鉄東日本製鉄所釜石地区、釜石鉱山

 

シンポジウム、加藤康子さん「資産価値維持応援しよう」、小野寺英輝さん「釜石の意義を理解しよう」

 

岩手大の小野寺英輝准教授、登録に貢献した加藤康子さん

岩手大の小野寺英輝准教授、登録に貢献した加藤康子さん

 

 式典後の記念シンポジウムでは、橋野鉄鉱山の世界遺産登録に大きく貢献した2人が基調講演した。

 

 「明治日本の―」登録に向けユネスコに提出する推薦書を作成、2015年7月の第39回世界遺産委員会(ドイツ・ボン)では、日本政府代表団の一員として登録決定の瞬間に立ち会った加藤康子さん(産業遺産国民会議専務理事)は、16年に及ぶ登録までの道のりを紹介した。

 

 「東洋の奇跡」と称される日本の急速な近代化の価値を複数の産業遺産群で示すシリアル・ノミネーションで、登録を目指した同遺産。加藤さんは07年から、同鉄鉱山の視察に訪れる海外の専門家を次々に案内。「橋野、釜石なくして日本の産業革命遺産の登録はありえない」と言われてきたことを明かした。

 

 今年6月にオープンした産業遺産情報センター(東京都新宿区)のセンター長も務める加藤さん。23資産の保全の重要性を訴え、「全体の価値を維持できるよう、みんなで応援していかなければ」と協力を願った。

 

 この日は市内の中学生による鉄の学習発表会にも参加。「ものづくり、産業革命のDNAが引き継がれるのは釜石の誇り。遺産の保存だけでなく、教育プログラムで継承することは、まさにユネスコが求めるところ」と称賛した。

 

 当初「九州・山口の近代化産業遺産群」という枠組みで世界遺産登録を目指していた取り組みに、釜石を加えるよう強く提言した岩手大理工学部の小野寺英輝准教授(鉄の歴史館名誉館長)は、「遺産全体の中での釜石の意義を理解し、伝えていかなければならない」と、3つのポイントを紹介。釜石で確立された製鉄技術は後の官営八幡製鉄所(現北九州市)の成功を生み、日本経済の礎を築いたこと、日本で3番目の鉄道「工部省鉱山寮釜石鉄道」の開通で、工場立地が山から海側へ可能となり、船便出荷の効率が上がったことなどを示した。

 

 加藤さんがコーディネーターを務め、「みんなの橋野鉄鉱山『未来予想図』」をテーマとしたパネルトークも行われた。パネリストは市内で働く女性3人。世界遺産登録の意義、地域への効果、今後の展開などについて意見を交わした。

 

遺産について意見を交わすパネリスト

遺産について意見を交わすパネリスト

 

 三陸ひとつなぎ自然学校のスタッフで、子ども支援に携わる柏﨑未来さんは「子どもたちには遺産の価値が分かりづらい部分がある。鉄づくりなど体験型の学びで先人の苦労を感じれば、イメージしやすいかも」。釜石商工高電気電子科の川端美智教諭は「地元工業高として、世界遺産と結びつけた何らかの取り組みができれば」と話した。

 

 いのちをつなぐ未来館で震災伝承を行う菊池のどかさん(かまいしDMC)は、同鉄鉱山がある橋野町で生まれ育った。「世界遺産を目的に訪れた人が地元の他の魅力にも気付いてくれる。少子高齢化が進む中、今後は地域だけで盛り上げていくのは無理。日本の宝として、みんなが誇りを持つような身近な遺産になってくれたら」と思いを広げた。

第11回全国虎舞フェスティバル

【中止】第11回全国虎舞フェスティバル ~観覧者を募集します~

第11回全国虎舞フェスティバル

 

令和3年1月24日(日)に予定しておりました「第11回 全国虎舞フェスティバル」は、新型コロナウイルス感染者数が特にも年末年始をはさんで急激に伸びていることや、首都圏での増加が他圏域にも広く影響を及ぼしつつあることから、全ての皆様の健康を第一に考え中止することと致しました。急なご案内となり心よりお詫び申し上げますとともに、何卒ご理解いただきますようお願い申し上げます。(1/12追記)

 

第11回全国虎舞フェスティバルを開催いたします。なお、今回は新型コロナウイルス感染症予防のため入場を事前申込制といたします。

申し込み多数の場合は、抽選となりますのであらかじめご了承下さい。※新型コロナウイルス感染症の発生状況により中止となる場合があります。

開催日時

令和3年1月24日(日)
午前の部 9:00開場 9:40開演(11:55 終了)
午後の部 12:30開場 13:00開演(15:00 終了)

定員

午前の部:400人
午後の部:400人

開催場所及び入場料

釜石市民ホールTETTO(釜石市大町) 
入場料:無料

参加団体

※愛知県東海市及び山梨県北杜市については映像による参加となります。
午前の部:
①かまいしこども園 ②錦町青年会 ③平田青虎会 ④東海市虎舞愛好会(愛知県東海市)⑤白浜虎舞好友会 ⑥尾崎青友会
午後の部:
①両石虎舞保存会 ②鵜住居青年会 ③箱崎虎舞保存会 ④甲州台ヶ原宿虎頭の舞(山梨県北杜市)⑤陸中弁天虎舞(大槌町) ⑥只越虎舞

申し込み方法

往復はがきに下記のとおり記入し、お申込みください。

募集期間

令和2年12月1日(火)~令和2年12月31日(木) ※当日消印有効

当選者発表

当選発表は1月初旬にはがきの返信により行います。返信されたはがきが、当日の入場券となりますので、忘れずに持参してください。

注意事項

当日は、申込時にはがきに記載した人しか入場できません。2人以上で申し込んでいる場合は一緒に入場してください。新型コロナウイルス感染症予防のためマスクの着用、検温、消毒にご協力をお願いいたします。

申込み・問い合わせ先

〒026-0031 釜石市鈴子町22-1 
(一社)釜石観光物産協会 0193-27-8172

この記事に関するお問い合わせ
釜石市 産業振興部 商工観光課 観光物産係
〒026-8686 岩手県釜石市只越町3丁目9番13号
電話:0193-27-8421 / Fax 0193-22-2762 / メール
元記事:https://www.city.kamaishi.iwate.jp/docs/2020120300031/
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