コロナ下でも「さ~さ、よいやっさ~」 釜石よいさLIVE配信で心をつなぐ
オンライン配信した「みんなで踊ろう!よいさLIVE」=23日
新型コロナウイルス感染拡大防止のため、昨夏に続き、釜石市中心部目抜き通りでの開催が中止された「釜石よいさ」。踊りを楽しむ機会を失った市内外の人たちにYouTube(ユーチューブ)チャンネルや地元ケーブルテレビ局の放送で〝よいさの夏〟を味わってもらおうと、23日、同実行委(岩城一哉実行委員長)が企画した番組が配信・放映された。
番組は大町の市民ホールTETTOホールAから生中継。事前収録した映像を交え、1時間余りの番組を視聴者に届けた。冒頭で岩城実行委員長(34)は「2年間よいさから遠ざかり、寂しい思いをしている人たちに何か届けたいとオンライン企画を考えた。一緒に踊って楽しんで」と呼び掛けた。
お囃子(はやし)隊22人とよいさ小町6人が前囃子を披露。例年、子供よいさに参加している市内の幼児施設4園(正福寺幼稚園、甲東こども園、上中島同、かまいし同)は、事前に録画した踊りで〝釜石っ子〟の元気を発信した。
釜石よいさの開幕は前囃子から。よいさ小町があでやかに舞う
市内の幼稚園、こども園の園児はVTR出演で番組を盛り上げた
20~30代の若手が多い現実行委メンバーは、この機会に同祭りの歴史も知ろうと歴代関係者4人に事前インタビュー、番組内で紹介した。祭りを立ち上げた団体「釜石レボリューション」のメンバーだった澤田龍明さんは、当時の思いや郷土芸能「虎舞」をモチーフにした踊り創作など、「1万人の虎祭り」と銘打ったよいさの原点を語った。初代よいさ小町の樋岡悦子さん、東日本大震災で途絶えた祭り復活に尽力した「ネクスト釜石」の青木健一さん、君ヶ洞剛一さんも、それぞれに熱い思いを述べた。
メモリアルインタビューでは歴代関係者の思いを紹介した
同祭りは、釜石製鉄所の高炉休止発表で沈滞ムードが漂うまちに活気を取り戻そうと1987(昭和62)年、地元の若者たちが中心となって始めた。震災の前年2010年まで連続24回開催。被災で存続が危ぶまれたが、「復興の原動力に」と有志による実行委が13年に復活させ、一昨年まで通算31回を数えた。
番組の最後は視聴者と共に本囃子の踊りを楽しむコーナー。会場のスクリーンにはZoom(ズーム)で参加した市内の家族や、復興支援で祭りへの参加を続けてきた首都圏の企業の社員らの姿が映し出された。「来年こそは(通りでの祭りを)」と願いを込め、出演者と視聴者が心を通わせた。ユーチューブ視聴数は1千回を超えたという。
視聴者と踊る「みんなでよいさ」。各地のよいさファンが画面越しに楽しんだ
笑顔で躍動するよいさ小町。コロナ禍を忘れるひとときを届けた
よいさ小町で出演した三塚麻央さん(29)は「震災後、釜石を応援してくれる人たちに、また別の形でアピールできたのは良かった」と実行委に感謝。自身は幼稚園からよいさに参加。震災後は復活から3年間、小町を務めた。現在は2児の母親として子育てに奮闘する。「来年開催できれば、長女(4)が子供よいさに出る。すごく楽しみ。よいさが古里の思い出になるような祭りであってほしい」と願った。
「次の夏に会いましょう!」通常開催への願いを込め、手を振る出演者ら
14年から実行委員として運営を支える佐々木慶太さん(30)は「コロナでみんな気分が沈みがち。少しでも元気を与え、通常開催ができるようになったら、また参加してもらえるよう気持ちをつなぎたかった。これからもできることをやって次世代によいさを継承していきたい」と意気込んだ。
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