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紙芝居と写真で伝える郷土の先人&自然 「つみしの会」が“知る楽しみ”提供

 「つみしの会」紙芝居上演&写真公開イベント=16日、鵜の郷交流館

「つみしの会」紙芝居上演&写真公開イベント=16日、鵜の郷交流館

 
 釜石市の歴史や自然に詳しい元観光ガイド3人で結成する「つみしの会」が、地域の魅力を伝える新たな活動を始めた。その第1弾のイベントが16日、鵜住居町の鵜の郷交流館で開かれ、郷土の先人を題材にした手作り紙芝居の披露、豊かな自然を捉えた写真の展示で集まった市民らを楽しませた。
 
 先人の紙芝居を披露したのは藤井静子さん(74、小佐野町)。栗林村(現栗林町)出身で、国内最大級とされる三閉伊一揆の指導者としてその名を残す三浦命助(1820-64)、唐丹村(現唐丹町)出身で医師、村長、県議として活躍、明治、昭和の三陸大津波で住民の救済、復興に尽力した柴琢治(1865-1947)の生涯を語った。
 
藤井静子さんが三浦命助と柴琢治の紙芝居を披露(写真上段)。郷土の先人に理解を深める来場者(同下段)

藤井静子さんが三浦命助と柴琢治の紙芝居を披露(写真上段)。郷土の先人に理解を深める来場者(同下段)

 
 藤井さんは遠野市出身。高校卒業後、釜石市を拠点に家電メーカーの営業織を長く続け、その間、職場の改善提案発表で全国大会にも出場した。52歳の時、観光ガイド養成講座の受講者仲間で立ち上げた釜石観光ボランティアガイド会(現釜石観光ガイド会)の一員に。同市の歴史や文化を旅行客や市民らに伝える活動を昨夏まで続けてきた。
 
 紙芝居の活動は15年前から。縁あって、宮沢賢治の童話「風の又三郎」の紙芝居制作を依頼され、釜石鉱山のイベントで披露したのが始まりだった。その後、鉄のまち釜石の礎を築いた大島高任など郷土の先人を題材にした紙芝居も制作。作品はガイド活動にも生かされた。郷土の民話も含め、これまでに約20作品を制作。ストーリー構成から絵まで全て自分で手掛ける。
 
最初に制作した宮沢賢治の「風の又三郎」の紙芝居も披露した

最初に制作した宮沢賢治の「風の又三郎」の紙芝居も披露した

 
手作り紙芝居(写真左)を見せながら来場者と交流する藤井静子さん(同右)

手作り紙芝居(写真左)を見せながら来場者と交流する藤井静子さん(同右)

 
 営業職時代に培った話の“起承転結”、人前での“しゃべり”と、自分の言葉で話すことには慣れていた藤井さんだが、絵の制作はほとんど経験が無かった。「絵は下手だが思いを込めて…」と場面に応じた描写をひねり出す。「絵があると話の内容も印象に残りやすい。自分自身が伝えたいことを整理するのにも役立つ」と紙芝居のメリットを話す。
 
 この日は最近、作り始めた大槌町に関わる紙芝居も上演。江戸時代の豪商、前川(吉里吉里)善兵衛の功績を紹介した。紙芝居の前には、出身地遠野の民話「おしらさま」なども語った。会場には紙芝居10作品を展示。今後は「遠野物語も紙芝居にして伝えられたら」と制作意欲は尽きない。自身いわく、紙芝居は「生きがい対策」。できるだけ続けていきたい意向を示した。
 
 上演は午前と午後の2回行われ、午前の部は子どもから大人まで21人が楽しんだ。野田町の小笠原信行さん(74)は「三浦命助も柴琢治も名前は知っていたが、こうして物語にしてもらって聞くと非常に分かりやすい。絵も人物の表情が豊かで素晴らしい。来て良かった」と喜びの笑顔を広げた。
 
 会の仲間、三浦勉さん(72、野田町)は出身地橋野町の豊かな自然を記録した写真106点を公開。20年以上にわたる趣味の山歩きで撮影した巨木、滝、奇岩など、未知の絶景が来場者の目を引き付けた。
 
三浦勉さん(写真上段左から3人目)は橋野の自然写真を展示

三浦勉さん(写真上段左から3人目)は橋野の自然写真を展示

 
三浦さんが山中で発見した巨木や岩(写真左)。クマの写真も多数(同右)

三浦さんが山中で発見した巨木や岩(写真左)。クマの写真も多数(同右)

 
 メンバーの名前が語源という「つみしの会」。好きなことや得意なことで郷土の魅力を発信する藤井さんと三浦さんは「町内会や学校、地区のイベントなどにも呼んでもらえれば。これまで積み重ねてきたものを地域に還元したい」と今後の活動に意欲を見せる。

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ホタル、集まれー!餌のカワニナ放流 釜石・中小川町内会「生息地守る」 地道に活動中

釜石市の小川川にカワニナを放流する子どもたち

釜石市の小川川にカワニナを放流する子どもたち

 
 ゲンジボタルの生息地として知られる釜石市の小川川で16日、地域住民が、ホタルの幼虫の餌になる巻き貝「カワニナ」を放流した。中小川町内会(佐々木正雪会長、約280世帯)が地域の豊かな自然を守ろうと実施し、今年で3回目。今回も中流域の「ワッカラ淵」と呼ばれる河川敷から、親子連れら約40人が手分けして約1000匹を水中に放った。
 
放流は小川川の中流域「ワッカラ淵」の河川敷で行われた

放流は小川川の中流域「ワッカラ淵」の河川敷で行われた

 
 放流の前に、釜石ホタル友の会の臼澤良一会長(75)がカワニナとホタルの生態や自然とのつながりを紹介した。カワニナはきれいな水が流れる川や用水路に住み、それを食べるホタルの生息にも良好な水質の河川環境が欠かせない。「ホタルの光を見て自然保護の大切さをアピールする場は地域の財産」などとし、保全活動の重要性と協力を呼びかけた。
 
 参加者は水槽に入ったカワニナを触って観察しながらバケツに投入。川辺に並んで、流れの緩やかな場所に放った。近くに住む外川啓翔君(9)は「初めて参加した。生き物は苦手だけど、やってみたら楽しかった。ホタルが増えるといい」と期待。父直樹さん(51)は「以前はすごくホタルが飛んでいた。その風景を子どもに見せたい。川で遊ぶ機会も減っているが、自然に触れるいい機会になった」と目を細めた。
 
臼澤良一さん(左下写真)の話を聞いて興味深そうにカワニナ(右下写真)を触る子どもたち

臼澤良一さん(左下写真)の話を聞いて興味深そうにカワニナ(右下写真)を触る子どもたち

 
「ほーたる来い」。子どもらは流れが穏やかな場所にカワニナを放った

「ほーたる来い」。子どもらは流れが穏やかな場所にカワニナを放った

 
「原風景を子どもたちに残したい」。地域の大人たちは願う

「原風景を子どもたちに残したい」。地域の大人たちは願う

 
 同川にはホタルが自生しており、初夏にはワッカラ淵で観察会も開かれる。無数のホタルが飛び交い、多くの人の目を楽しませていたが、東日本大震災後は仮設住宅整備など環境変化の影響を受けたのか、生息数が減少。台風や豪雨による川の増水などの影響もあって、カワニナ自体が減っていることも分かった。
 
 「美しい風景を再び」と考えた住民らは、ホタルを増やすためにカワニナを探し、2022年に同川の上流域で発見。採集して、佐々木会長(74)が自宅で育ててきた。昨年からは旧小川小の校庭の一部を市から借り受け、水路を整備。繁殖させる環境を増やして放流数を確保し、息の長い活動を見据えている。
 
カワニナの繁殖地として旧小川小敷地に整地された水路

カワニナの繁殖地として旧小川小敷地に整地された水路

 
「ホタルの里」を守るため地域ぐるみで活動を続ける佐々木正雪会長

「ホタルの里」を守るため地域ぐるみで活動を続ける佐々木正雪会長

 
 ホタルの見頃は例年6月下旬~7月中旬。放流の成果が分かるのは数年先だが、住民たちは「カワニナは少しずつ増えている」と感じている。そして、今年はすでにいくつかの淡い光を確認。佐々木会長は「震災前の光景を復活させたい。もっと多くの若い世代に関わってもらい、みんなで自然環境を守り続けられるような取り組みにしたい」と望んだ。
 
 小川地区の豊かな自然環境を次世代につなぐのを狙いに継続する「第9回ほたるの里まつり」は7月7日に開催する予定。ワッカラ淵すぐそばの中小川集会所前にステージを設け、地元の芸能団体による歌や踊り、餅まきなどが行われる。

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「シナノキ」の“新”巨木 橋野町和山で確認 関係者が市文化財指定の可能性探る

橋野町和山で確認されたシナノキの巨木=6日

橋野町和山で確認されたシナノキの巨木=6日

 
 釜石市北西部、橋野町の和山高原で新たなお宝発見―。これまで“知る人ぞ知る”巨木で、地元の人でもほとんど見たことがなかったという「シナノキ」の大木を、このほど市文化財保護審議会(川原清文会長、委員15人)の委員らが視察した。同高原には1969(昭和44)年に市の文化財(天然記念物)に指定された「和山のシナノキ」があるが、今回確認した“新”シナノキは幹周り、樹高ともそれを上回る大きさ。審議会では今後、新たな文化財指定の候補物件として検討を進めていく予定。
 
 視察には川原会長、同審議会第3専門部会(史跡、名勝、天然記念物)委員、市文化振興課職員ら7人が参加。同地を所有する一般社団法人栗橋地域振興社(菊池録郎代表理事会長)の小笠原明彦監事(釜石観光ガイド会事務局長)が現地を案内した。
 
現地に向かう釜石市文化財保護審議会の委員と市文化振興課の職員ら=林道入り口

現地に向かう釜石市文化財保護審議会の委員と市文化振興課の職員ら=林道入り口

 
 シナノキの巨木があるのは、風力発電事業者ユーラスエナジー釜石の事務所から南西方向に位置する標高761メートルの高原地帯。市道から約3キロの林道を車で上り、終点から歩いて現地に向かった。かつての放牧場に隣接する雑木林を進むと、見えてきたのは周囲の樹木よりはるかに幹が太い1本の大樹。近づくにつれ、参加者はその迫力に驚きの声を上げた。
 
県が整備した林道を車両で進む

県が整備した林道を車両で進む

 
終点からは歩いて現地へ。広葉樹林の斜面を上っていく

終点からは歩いて現地へ。広葉樹林の斜面を上っていく

 
元放牧場沿いに進んでいくと、ひときわ大きな木が目に飛び込んできた

元放牧場沿いに進んでいくと、ひときわ大きな木が目に飛び込んできた

 
 市職員が計測したところ、幹周りは7.3メートル(根元から高さ1.3メートル部分)、根元周りは8.29メートル。大人6人が両手をつないで周る太さだ。根元から1.8メートルほどの高さで4本に枝が分かれ、最も太いものは3.32メートル。樹高は目測で約20メートル、枝幅は約27メートルと推定される。一部に枝の欠損があるが、樹勢の衰えは感じられない。新緑の季節を迎え、枝先には葉が生い茂り、この時期ならではの樹姿を見せている。専門家による年輪調査がないと詳細は分からないが、樹齢は「300年以上ではないか」と推定。
 
市の職員がシナノキの大きさを計測しデータ収集

市の職員がシナノキの大きさを計測しデータ収集

 
周りの木よりはるかに太い幹が年数を重ねてきたことを感じさせる

周りの木よりはるかに太い幹が年数を重ねてきたことを感じさせる

 
幹周りは驚きの7.3メートル(胸元高)

幹周りは驚きの7.3メートル(胸元高)

 
幹周りは大人6人が両手をつないだ長さ!本当に太い

幹周りは大人6人が両手をつないだ長さ!本当に太い

 
 現場は風通しが良く、日光もたっぷり降り注ぐ場所で、樹木の生育にも適しているとみられる。参加者からは「想像以上の大きさ」「立派だ」「勢いがある」など絶賛の声が聞かれた。また「他の木のつるが絡まると弱っていく可能性もある。手入れをして守ったほうが寿命が延びるのでは」という意見もあった。
 
 同委員で、環境省の環境カウンセラーでもある佐々木光壽さん(74)は「和山の(寒冷な)環境で、これだけ太く大きくなったのはすごい。シナノキでここまでの大きさのものは市内では他に確認されていないのではないか」と驚嘆。「間違いなく価値あるものの部類に入る。市の文化財指定の可能性はあると思う」と話した。
 
木の上部には日光がたっぷり降り注ぐ。横に伸びた枝ぶりも見事!

木の上部には日光がたっぷり降り注ぐ。横に伸びた枝ぶりも見事!

 
見上げると木の高さにもびっくり!

見上げると木の高さにもびっくり!

 
 案内した小笠原監事(67、橋野町)は振興社の人から情報を聞き、今年4月に初めて現地を確認。「自分も最初に見た時は感激した。力強さがあり、元気をもらえる木」と地元の宝を誇る。森林資源が豊富な同地域では古くから木炭生産が盛んで、世界遺産になっている「橋野鉄鉱山」でも製鉄の燃料に木炭が使われた。「この辺も木を切り出す人が入っていたと思われるが、地元の人たちは土地の守り神(御神木)としてこのシナノキだけは残したのではないか。先人の思いが詰まっているのでは…」と小笠原監事。
 
写真左:小笠原監事が4月に訪れた時のシナノキ。まだ冬枯れの景色(小笠原監事提供)わずか2カ月で写真右の姿に…

写真左:小笠原監事が4月に訪れた時のシナノキ。まだ冬枯れの景色(小笠原監事提供)わずか2カ月で写真右の姿に…

 
木の全体像を一枚の写真に収めるのもなかなか難しい!?

木の全体像を一枚の写真に収めるのもなかなか難しい!?

 
 和山高原はかつて肉牛の放牧が盛んで、昭和の時代には高原を活用した大規模イベントの開催、市内の学校や町内会の遠足地としての利用などがあり、多くの人が訪れていた。時代の変遷とともに放牧事業は縮小化。人口減も相まってレジャー客も激減した。同振興社は近年、新たな土地利用策の一環で、市指定文化財のシナノキ周辺にサクラやレンゲツツジの植樹を進め、市民や観光客の憩いの場創出に努めている。
 
 振興社の菊池会長(72)は今回注目された“新”シナノキについて、「和山のシンボルが増えた。ぜひ多くの人に知ってほしい」と文化財指定に期待。「現場までの林道を整備すればハイキングコースにもいい」と活用策に考えを巡らす。和山の自然が育んだ2大巨木「シナノキ」、植樹したサクラやツツジ…。「7年後には発電用の新しい風車も完成予定と聞いている。新たな景観を生かし、皆さんに訪れてもらえる和山にしていきたい」と今後を見据える。
 
和山の“新”シナノキを視察した参加者は貴重な光景を目に焼き付けた

和山の“新”シナノキを視察した参加者は貴重な光景を目に焼き付けた

 
シナノキ周辺に広がる景色も絶景。雪の残る早池峰山も見える

シナノキ周辺に広がる景色も絶景。雪の残る早池峰山も見える

 
 市指定文化財(天然記念物)の巨木は現在8件。栗橋地区では「和山のシナノキ」のほか、▽古里の御神楽スギ(1969年指定、橋野町)▽明神かつら(1973年同、栗林町)▽上栗林のサクラ(2007年同、栗林町)が指定されている。

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広報かまいし2024年6月15日号(No.1834)

広報かまいし2024年6月15日号(No.1834)
 

広報かまいし2024年6月15日号(No.1834)

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【P1】
表紙

【P2-7】
子育てを頑張るパパママを全力応援!

【P8-9】
地域活性化起業人の池井戸葵さんの活動を紹介します 他

【P10-11】
土砂災害に備えましょう

【P12-13】
まちの話題

【P14-17】
保健案内板
まちのお知らせ

【P18】
市民百景

この記事に関するお問い合わせ
釜石市 総務企画部 広聴広報課 広聴広報係
〒026-8686 岩手県釜石市只越町3丁目9番13号
電話:0193-27-8419 / Fax 0193-22-2686 / メール
元記事:https://www.city.kamaishi.iwate.jp/docs/2024061100019/
釜石市

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母校の後輩にエール! 釜石高同窓会宮城支部 空手防具を寄贈 16年連続のインターハイ出場に力

支援の防具を空手道部の男女部長に手渡す釜石高同窓会宮城支部の大久保賢蔵支部長(左から2人目)と佐々木達也事務局長(左)

支援の防具を空手道部の男女部長に手渡す釜石高同窓会宮城支部の大久保賢蔵支部長(左から2人目)と佐々木達也事務局長(左)

 
 釜石高同窓会宮城支部(大久保賢蔵支部長、会員約300人)は4日、母校の空手道部(男10人、女12人)に組手試合で使う防具を寄贈した。2018年に開始した部活支援の一環。同部は1、2の両日に行われた県高総体団体組手で男女ともに優勝。16年連続のインターハイ出場を決めている。先輩方の応援の気持ちを受け取り、全国の舞台での活躍を誓う。
 
 贈呈式は釜石高(青木裕信校長、全日制387人、定時制16人)の校長室で行われた。同支部の大久保支部長(74、1968年卒)、佐々木達也事務局長(57、1985年卒)が同校を訪れ、空手道部男子の倉澤威琉部長(3年)、同女子の石村海鈴部長(同)に防具を手渡した。寄贈したのは足の甲と脛(すね)に装着するもので、サイズ違いの計12セット(10万円相当)。
 
 倉澤部長は「今まで使っていたのはつま先がないタイプ。新しい防具でけがも少なくなると思う」と喜び、「先輩方の応援は自分たちの力になる。常に応援されるチームでいられるよう、伝統ある部活をつなげていきたい」と意気込んだ。石村部長は「自分たちの部に支援をいただき、本当にうれしい。これを使って早く試合がしたい」と胸を躍らせ、「インターハイに向け、全員で練習を頑張る」と誓った。
 
校長室で行われた贈呈式。県大会で何度も手にしてきた優勝旗のペナントには釜石高の名前が…

校長室で行われた贈呈式。県大会で何度も手にしてきた優勝旗のペナントには釜石高の名前が…

 
防具寄贈に感謝する青木裕信校長(左)、空手道部男子の倉澤威琉部長(右から2人目)、同女子の石村海鈴部長(右)

防具寄贈に感謝する青木裕信校長(左)、空手道部男子の倉澤威琉部長(右から2人目)、同女子の石村海鈴部長(右)

 
 同支部は同校伝統の“文武両道”を貫く後輩たちを応援したいと、2018年から部活支援を開始。年1回の支部総会で集めた会員の募金(毎年5万円)を母校に寄付してきた。新型コロナウイルス禍でしばらく総会をできずにいたが、今年1月、5年ぶりに開催。支援活動の復活について協議したところ、「今、必要な物を形で」との声が上がり、部から要望を聞いての現物寄贈に切り替えた。その第一弾が長年、全国大会連続出場を果たしている空手道部。
 
大久保支部長、佐々木事務局長は空手道部の部員らとも対面

大久保支部長、佐々木事務局長は空手道部の部員らとも対面

 
釜石高の先輩方からの支援を喜ぶ部員ら

釜石高の先輩方からの支援を喜ぶ部員ら

 
 贈呈式後、大久保支部長らは県大会を終えたばかりの部員らと顔を合わせ、インターハイ出場決定を祝福。「全国大会出場を何年も成し遂げているのは実に素晴らしい。ぜひ、この調子で頑張って」とエールを送った。仙台市を中心に宮城県には多くの釜高同窓生がいて、さまざまな分野で活躍中。「集まると、母校のために何かしたいという話になる。少しでもお役に立てて良かった」と大久保支部長。
 
 佐々木事務局長は「野球の甲子園出場時には各方面から支援が集まるが、他にも活躍している部活はある。今後も各部が必要とする支援を続け、頑張っている生徒たちをできる限り後押ししていきたい」と意を強くした。
 
 同校空手道部は今年の県高総体で団体組手の男女優勝のほか、個人形、個人組手で男女合わせて5人が上位入賞を果たし、インターハイ出場を決めた。インターハイ空手道競技は8月1~4日まで長崎県佐世保市で行われる。
 
部は贈られた防具を手にする姿を写真に収め、宮城支部に送った(写真提供:空手道部)

部は贈られた防具を手にする姿を写真に収め、宮城支部に送った(写真提供:空手道部)

 
部員らは支援に力をもらい、8月のインターハイに向け、さらなるレベルアップを目指す 

部員らは支援に力をもらい、8月のインターハイに向け、さらなるレベルアップを目指す 

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クマ被害防止へ対策を! 釜石市内でも目撃情報多数 自宅周辺、入山時、寄せ付けない工夫を

釜石市内で目撃されたツキノワグマ(資料写真提供:三浦勉さん)

釜石市内で目撃されたツキノワグマ(資料写真提供:三浦勉さん)

 
 釜石市内でも春以降、ツキノワグマの目撃情報が相次いでいる。目撃件数が大幅に増加した昨年同時期よりは少ないものの、市内各地で目撃があり、市は注意を呼び掛ける。例年5~6月は目撃件数が増加する時期。地形上、民家の背後に山が接近する同市では、登山や山菜採りなど意図して入山する以外にも、家屋周辺にクマを寄せ付けるものを放置しないなどの日常生活での対策も求められる。
 
 市水産農林課によると、今年に入り同市に寄せられたクマの目撃件数は74件(6月9日現在)。春を迎えてからは4月が6件(昨年同月16件)、5月が26件(同47件)で、昨年同時期に比べるとほぼ半減しているが、餌となるクワの実がなる6~7月は例年、目撃情報が多くなることから注意が必要。
 
クマは餌となる木の実などを求めて樹木に登る。頭上にも注意(資料写真提供:三浦勉さん)

クマは餌となる木の実などを求めて樹木に登る。頭上にも注意(資料写真提供:三浦勉さん)

 
クマの目撃情報は市内各地である。防災行政無線や市のLINEなどで情報収集を

クマの目撃情報は市内各地である。防災行政無線や市のLINEなどで情報収集を

 
 同市の2023年度のクマ目撃件数は、前年度の2倍以上となる321件。人身被害は10、11月に計2件発生し、高齢女性2人が負傷した。自宅近辺のカキの木が誘引物になったとみられている。5月には只越町の市役所付近で、クマ1頭がアパート駐車場に居座り、約3時間後に捕獲されるという事案もあった。
 
 釜石警察署によると、市内では今年、クマによる人身被害は今のところ発生していないが、6月に入り、米ぬかを保管していた倉庫が荒らされるクマによるものとみられる被害が発生している。
 
 クマの目撃は例年、夏場は減少するが、カキやクルミ、クリなどの実がなる秋は再び増加傾向にある。山に入る際はクマよけの鈴や笛、ラジオなど音の出るもの、クマ撃退スプレーを携帯し、複数人で行動。見通しの悪い場所、周りの音が消される沢沿いでは特に意識して音を出し、人間の存在をクマに知らせることが大切だ。クマの目撃情報がある場所は避け、ふんや爪痕を見つけたら引き返す判断も。
 
クマが引っかいたとみられる爪痕が残る樹木

クマが引っかいたとみられる爪痕が残る樹木

 
クマの目撃情報がある場所では特に注意が必要

クマの目撃情報がある場所では特に注意が必要

 
 被害に遭わないためには自宅周辺の対策も必要。▽納屋などに果物、穀物、アルコール類など、においが強いものを保管しない▽生ごみは収集日の朝に出す▽庭や家庭菜園に果実などを放置しない(クマが寄り付く前に収穫など)▽墓の供え物は持ち帰る―。人間の居住区にクマを寄せ付けないことが重要だ。
 
 市では目撃情報が寄せられるたびに地元猟友会などと現場に出向き、状況把握や原因分析、爆竹を鳴らすなどの追い払いを行っている。市水産農林課の清藤剛林業振興係長は「民家近くへの出没の多くがカキ目当て。誘引物をなくすと来なくなるケースがほとんど。木の所有者には適正な管理をお願いしたい」と呼び掛ける。入山時については「(クマが)いる所に入っていくということを意識してほしい。目撃が多い朝、夕は避け、出没情報がある場所にはできるだけ行かないことも大事」と警戒を促す。
 
伐採した木など朽ちた木片に集まるアリもクマの誘引物となるので注意(資料写真提供:三浦勉さん)

伐採した木など朽ちた木片に集まるアリもクマの誘引物となるので注意(資料写真提供:三浦勉さん)

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祝・かまいしこども園開設10年 人気絵本作家サトシンさんが記念の読み聞かせライブ

絵本作家サトシンさんのライブを楽しんだかまいしこども園児と保護者

絵本作家サトシンさんのライブを楽しんだかまいしこども園児と保護者

 
 釜石市天神町のかまいしこども園(藤原けいと園長、園児80人)は本年度、開設から10年目を迎える。5月29日、記念イベントとして、人気絵本作家のサトシン(本名:佐藤伸)さん(61)を招いての読み聞かせライブが園内で行われた。作品を歌で伝えたり、物語を作る面白さを園児に体験させたりと、絵本のさまざまな楽しみ方を提案。この日は保育参観日で、園児と保護者がかけがえのない時間を過ごした。
 
 サトシンさんは新潟市出身、在住。広告制作プロダクション勤務、専業主夫、フリーのコピーライターを経て40代前半から絵本作家に。これまでに50作品以上を手掛ける。2010年に出版した「うんこ!」は数々の賞を受賞。大きな反響を呼んだ。テレビやラジオ番組、全国を回ってのライブなどで、絵本の楽しさや大切さを伝えている。
 
 今回は釜石では初のライブ。自身の代表作をさまざまな手法で聞かせた。あいさつの大事さを表現した作品「こんにちは、ばいばい」は同園の教諭と掛け合い。登場する動物の鳴き声で楽しませた。いろいろな曲調で物語を歌で伝える活動もしているサトシンさんは、「とこやにいったライオン」などを歌って聞かせた。虫好きが高じて作った「はやくおおきくなりたいな」、子どもたちへのメッセージが込められた「おとなからきみへ」も披露した。
 
トレードマークの王冠帽子とマント姿で、園の先生と絵本を読み聞かせるサトシンさん(写真右)

トレードマークの王冠帽子とマント姿で、園の先生と絵本を読み聞かせるサトシンさん(写真右)
 
日本昔ばなしや自身の作品を歌で披露。「ソング絵本」としてCDも発売している

日本昔ばなしや自身の作品を歌で披露。「ソング絵本」としてCDも発売している
 
スクリーンにページを写しながら読み聞かせ(写真上)。物語の世界に引き込まれる親子(同下)

スクリーンにページを写しながら読み聞かせ(写真上)。物語の世界に引き込まれる親子(同下)

 
 サトシンさんを一躍有名にした「うんこ!」は楽しい絵本の代表格。近寄ってきたネズミやヘビ、ウサギに「くっさーい」と敬遠されながらも、仲間を探す旅に出るうんこが主人公。最後は農家さんに出会い、肥やしになっておいしい野菜を育てるのに役立つ。悔しがる時に発する「くっそー」、考える時の「うん、こーしよう」など駄じゃれを交えたセリフもあり、会場の親子は一緒に声を出して楽しんだ。
 
発売から10年で50万部売れた人気作品「うんこ!」。掛け声で楽しめるのはライブならでは

 発売から10年で50万部売れた人気作品「うんこ!」。掛け声で楽しめるのはライブならでは

 
サトシンさんのエネルギッシュなライブに拍手と笑顔

サトシンさんのエネルギッシュなライブに拍手と笑顔

 
 サトシンさんが考案した「おてて絵本」という遊びも紹介。手のひらを絵本に見立てて即興で物語をつくるもので、園児も体験した。この日は好きな動物から話を展開。サトシンさんが園児に質問しながら会話するうちに、自然と1つの“お話”が出来上がった。「子どもは大人に話を聞いてもらいたい生き物。親がその気持ちを受け取り、やり取りする中でコミュニケーションが生まれ、子どもは満足する。作っている話の中で日常では見えなかった子どもの気持ちが見えてくることもある」とサトシンさん。絵本を読んだり物語を考えたりすることで「想像力が育まれる」とも。
 
「おてて絵本」で“物語作り”体験。希望した園児と藤原園長が挑戦した

「おてて絵本」で“物語作り”体験。希望した園児と藤原園長が挑戦した

 

 
 言葉遊びの面白さ、何げないやり取りの中に込められた自分らしく生きるためのヒント…。子どもだけでなく大人にも響く作品を存分に楽しんだ親子は、たくさんの笑顔を広げた。サトシンさんの作品に初めて触れた久保梓ちゃん(4)は「楽しかった!絵本大好き」とにっこり。母静樺さん(27)は「子ども向けの絵本だけど、深いメッセージが込められている。サトシンさんご自身の言葉で聞けて良かった」と大満足。夜、寝る前の読み聞かせを習慣にしていて、「絵本は子どもとの貴重なコミュニケーション。忙しい中でもその時間は大事にしている。今日聞いたことも今後に生かしたい」と話した。
 
 ライブ後は本の販売やサイン会、記念撮影も行われた。サトシンさんは「自分の人生を自分のカラーで切り開いていって」などと声を掛けながら、親子と親しく会話。思い出に残るひとときを提供した。この日は、同園が開設する子育て支援センターバンビルームの記念イベントとしても同ライブが行われ、大町の市民ホールTETTOで市内の親子連れや大槌町のこども園の園児らが楽しんだ。
 
会場では絵本の販売も。サトシンさんからサインももらった

会場では絵本の販売も。サトシンさんからサインももらった

 
一緒に写真も撮って思い出づくり。かけがえのない時間となった

一緒に写真も撮って思い出づくり。かけがえのない時間となった

 
 両ライブでサトシンさんは「絵本を読む時間はほんの3~4分。忙しい中でもできる。子どもにとって一番うれしいのは、大好きなお父さん、お母さんが寄り添って言葉や愛情をかけてくれること。家庭でもぜひ、親子で絵本を楽しんでほしい」と呼び掛けた。
 
 かまいしこども園は2015年に開園した。前身の釜石保育園(大渡町)が11年の東日本大震災津波で被災。甲子町の旧釜石南幼稚園舎を借りて保育を続けた後、幼保連携型認定こども園に衣替えし、現在地で新たな歴史を刻む。藤原園長は「多くの人の助けがあってここまでこられた。応援してくれる方、頑張ってやってきてくれた職員がいるからこその10年。本当に感謝」と目を潤ませる。7月には10年の歩みを振り返るイベントも開催予定。19日は同園の施設見学、20日は市民ホールTETTOで夏まつりを企画する。

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160種のバラが彩るオアシス空間にうっとり… 釜石甲子「陽子の庭」10日まで一般公開

バラの開花に合わせ一般公開されている「陽子の庭」=甲子町洞泉

バラの開花に合わせ一般公開されている「陽子の庭」=甲子町洞泉

 
 釜石市甲子町洞泉の高台傾斜地に広がる私設ガーデン「陽子の庭」の一般公開が1日から始まり、市内外から訪れる人たちを魅了している。公開は今年で9年目。菊池秀明さん(76)、陽子さん(77)夫妻が自宅敷地に手作りした庭園には160種のバラが植えられていて、目にも鮮やかな花風景に驚きと感動の声が上がっている。一般公開は10日まで。週末の8、9両日には市内のバンドによる演奏も予定される。
 
 広さ約700坪の庭園は、菊池さん夫妻が16年ほど前から少しずつ造り上げてきたもの。自宅周辺の山の斜面を造成し、自然石のほか東日本大震災の被災者から託された庭石などを用いて、エリアごとに和洋の異なる趣を醸す空間を実現した。日本庭園、イングリッシュガーデン、ロックガーデン…。多種多様な草木が植えられた園内は、季節ごとにさまざまな花が咲き誇る。4年前にはバラ専用エリアも設けられた。
 
山の斜面を使って造成された庭園。さまざまな植物が植えられている

山の斜面を使って造成された庭園。さまざまな植物が植えられている

 
被災者から提供された庭石を組んだ「ロックガーデン」。雨に濡れた石が味わい深い光景を見せる

被災者から提供された庭石を組んだ「ロックガーデン」。雨に濡れた石が味わい深い光景を見せる

 
4年前に新設された“バラ専用”のスペース。色や形、香りもさまざまな品種が並ぶ

4年前に新設された“バラ専用”のスペース。色や形、香りもさまざまな品種が並ぶ

 
 5~6月は多くのバラが開花する時期。陽子さんが植え始め、年々規模を拡大してきたバラは、夫妻の丹精込めた世話で株も大きく成長。ボリューム感を増している。秀明さんによると、毎年1月中旬から2月にかけての約1カ月間はせん定作業に追われる。中でも60本あるという“つるバラ”は「塔や棚にきれいに巻いてやらないと、つるが密集しすぎたり全体のバランスが崩れてしまう。時には全部ほどいてやり直すことも」。その後も、根や葉を食べる虫を寄せ付けないよう対策したり、年間を通した管理によって美しい花姿が保たれている。
 
(左上から時計回りに)ウルメールムンスター、ゴールデンボーダー、チャイコスキー、朝雲

(左上から時計回りに)ウルメールムンスター、ゴールデンボーダー、チャイコスキー、朝雲

 
つるバラの「春風」。花がきれいに見えるよう這わせるのが難しい。はみ出た茎はせん定

つるバラの「春風」。花がきれいに見えるよう這わせるのが難しい。はみ出た茎はせん定

 
 近年は地球温暖化の影響も顕著。早咲き種は開花がこれまでより早まり、今年は1週間ほど早い5月15日ごろに咲き始めた。1~2月が暖かったため、花芽が出るのも早かった。「3月にはかなり芽が出始め、膨らみも見られた」という。一方で遅咲き種は例年並みの開花で、「花の見られる時期が広がっている印象」と秀明さん。2日現在でまだつぼみが残っている種もあり、天気が回復する公開期間後半はさらに開花が進みそう。
 
 公開初日から3日間は雨に見舞われたが、1、2の両日はイベントもあり、多くの人が訪れた。同市の佐々木保之さん(52)は、めいの佐々木碧依さん(7)を連れて観賞。約3年ぶりに訪れた保之さんは「毎回思うけど(行き届いた管理)すごいよね。おかげで楽しませてもらっている」と感謝。初めて訪れた碧依さんは「きれいなバラがいっぱいでうれしい。写真も撮った。お母さんとおばあちゃんに見せてあげる」とにっこり。保之さんは“入場無料、ご自由にどうぞ”という心遣いにも感激し、「まだ知る人ぞ知るみたいなところもあるので、ぜひ多くの人に訪れてほしい」と薦めた。
 
2日はあいにくの雨模様。しっとりと濡れた花を傘を差して見学

2日はあいにくの雨模様。しっとりと濡れた花を傘を差して見学

 
ファジョン合唱と甲子歌う会のコラボ。子守歌の「HELLO MY SHINE」という曲で歌声を重ねた

ファジョン合唱と甲子歌う会のコラボ。子守歌の「HELLO MY SHINE」という曲で歌声を重ねた

 
 公開初日のイベントは合唱。昨年5月に同所で母の日ミニコンサートを開いた東京のファジョン合唱(飯田夏代主宰)が、地元の甲子歌う会(坂本慶子会長)とコラボ。2021年から釜石を訪れるメンバーが同園での出会いを機に、新たな交流の輪を広げた。会員約30人で共演した同会の坂本会長は「庭を見に来ていて、いつかここで歌いたいと思っていた。実現してうれしい。来年は公開10年目になるので、ぜひ私たちも歌で盛り上げたい」と望んだ。
 
東京から駆け付けたファジョン合唱のメンバーの歌を来園者が楽しんだ

東京から駆け付けたファジョン合唱のメンバーの歌を来園者が楽しんだ

 
甲子歌う会は花にちなんだ2曲も歌った

甲子歌う会は花にちなんだ2曲も歌った

 
 菊池さん夫妻の愛情あふれる庭園は観賞の楽しみとともに、そこに集う人たちの新たなつながり、交流を生み、心温まる空間を広げている。陽子さんは「花がきれいに咲いてくれるとそれまでの苦労が報われ、気持ちも晴れる。また、毎年見にきてくれる方、ボランティアで演奏してくれる方など多くの人たちとの触れ合いも励みになっている」と継続の原動力を明かす。来年迎える10年という節目に「後は体力の問題だけだね。来年まではやりたいが、それ以降持つかどうか…」と秀明さん。せん定講習なども考えながら、その後の方向性を模索する。
 
毎年庭を公開している菊池秀明さん(右)、陽子さん夫妻。2人の愛情を受けて育つ花々が来園者を出迎える

毎年庭を公開している菊池秀明さん(右)、陽子さん夫妻。2人の愛情を受けて育つ花々が来園者を出迎える

 
 「陽子の庭」の一般公開は10日まで(午前9時~午後4時)。8日は午前11時からと午後1時からの2回、エレキバンド「釜石ベンチャーズ」の演奏、9日は午前11時から「MiA&リアスバンド」によるシャンソン、ジャズ演奏が予定される。場所は、市街地から向かう場合は国道283号を釜石鉱山方面に西進。内陸からは釜石自動車道を釜石仙人峠インターチェンジで降り、同方向へ。道の駅釜石仙人峠を過ぎて少し行くと右手に誘導看板が見える。

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釜石・観光農園でラベンダー植栽 児童が手伝い 花香る風景待つ 姉妹都市・仏ディーニュ市との友好30年迎え

ラベンダー苗を丁寧に植える甲子小の児童や保護者ら

ラベンダー苗を丁寧に植える甲子小の児童や保護者ら

 
 釜石市が整備を進める同市甲子町の観光農園で5月28日、ラベンダーの植栽があった。甲子小(細田多聞校長、児童225人)の3、4年生約70人が作業を手伝い、「いい香りに包まれた美しい畑になりますように」と願いを込めた。
 
 ラベンダー畑の整備は、釜石の姉妹都市、南仏ディーニュ・レ・バン市でラベンダー栽培が盛んなことがきっかけ。国際交流をさらに進め、市民が自然に触れる場をつくろうと2021年度に取り組みが始まった。道の駅釜石仙人峠そばの遊休農地(1.2ヘクタール)を活用し、植栽を継続。25年度中のフルオープンを目指している。
 
 この日は、児童と保護者のほか、小野共市長や市水産農林課の職員、農園の整備を後押しするフランスの自然派化粧品メーカーの日本法人「ロクシタンジャポン」(東京、木島潤子社長)の社員らも加わり、協力して苗約220本を植えた。
 
元気に育ってほしいから…真剣な表情で苗選び

元気に育ってほしいから…真剣な表情で苗選び

 
シャベルで穴を掘って植える準備。「力がいるね」

シャベルで穴を掘って植える準備。「力がいるね」

 
花が香る風景を思い描きながら親子で力を合わせる

花が香る風景を思い描きながら親子で力を合わせる

 
 4年の佐野朱里(あかり)さんは「土が硬くて掘るのが大変だったけど、楽しかった。みんなで植えたから、きれいに咲くと思う。花を見て、うれしい気持ちになる農園になってほしい」とはにかんだ。
 
 そばで見守った木島社長は「子どもたちと一緒に成長して花咲く未来が楽しみ」と目を細める。同社は農園整備の応援として今年もチャリティーキットの販売やクラウドファンディングなどを計画しているといい、収益を市に寄付する。
 
自然体験に笑顔を見せる木島潤子社長(右)と小野共市長(左)

自然体験に笑顔を見せる木島潤子社長(右)と小野共市長(左)

 
 今年は姉妹都市提携30周年の記念の年。植樹は毎年続けているが、機運醸成にと農園のほか、市内の小中学校などでも苗植えを行っている。「ラベンダーの美しい紫色と香りが広がる景色が釜石のなじみの風景となり、癒やしの空間になるように」と取り組む。小野市長は「緑豊かな農園が多くの人をつなぎ、ディーニュ市との友好な関係も続けていきたい」と望んだ。
 
 「イエーイ!」。子どもたちは雨にも負けず作業に励んだ

「イエーイ!」。子どもたちは雨にも負けず作業に励んだ

 
頑張った参加者たちにはご褒美ジェラートが振る舞われた

頑張った参加者たちにはご褒美ジェラートが振る舞われた

 
 手伝った子どもらには、両市の友好の証しとするラベンダーをモチーフにした薄紫色のオリジナルジェラートが提供された。交流のきっかけとなった「アンモナイトの壁」からヒントを得た発掘系冷菓。ミルクキャラメル味のジェラートの中にアンモナイト型のチョコレートが隠れているという。紫や緑色のフランス産チョコを削って添えて彩りを加える。かまいしDMC魚河岸ジェラート部が開発。今年限定で、イベントなどでの提供を考えている。

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「餅鉄で鉄瓶を作ろう」 釜石でプロジェクトスタート 原料はどこに? 今も眠るお宝を探せ!

橋野町の沢桧川で餅鉄を探す子どもたち=25日

橋野町の沢桧川で餅鉄を探す子どもたち=25日

 
 釜石市橋野町の世界遺産「橋野鉄鉱山」の高炉稼働時、製鉄原料の一部となった“餅鉄(もちてつ、べいてつ)”。鉄の含有率が高い丸みを帯びた石は、当時の栗林、橋野両村民によって同所に持ち込まれ、買い取られていたという。今も同地域で見られる餅鉄から鉄を取り出し、鉄瓶を作ってみようという市民参加型のプロジェクトが始動した。25日、同町で原料の餅鉄を探す活動があり、市内外から21人が参加した。
 
 橋野鉄鉱山インフォメーションセンターに集まった参加者は始めに、同町出身の製鉄史研究家三浦勉さん(72)から餅鉄について学んだ。三浦さんの地元橋野では、餅鉄は「べんてつ」「べんこてつ」などと呼ばれるほか、その形状から「馬糞(ばふん)鉄」とも表される。同町には国内最大級とみられる幅83センチ、高さ42センチ、推定重量約300キロの餅鉄が個人宅にある。片羽山雄岳の麓、同町大平の畑で見つかったものだという。
 
餅鉄について学んだ講座=橋野鉄鉱山インフォメーションセンター

餅鉄について学んだ講座=橋野鉄鉱山インフォメーションセンター

 
 餅鉄は多くが川で見つかり、丸みを帯びて表面が滑らかなことから、文献などでは「磁鉄鉱が川の流れで転がり円礫(れき)になったものと考えられる」とされる。これに対し三浦さんは「釜石では川のない山中でも見つかっている。重量感からしても洪水などで長い距離を転がることは無理があるのではないか」と推測。釜石地域の磁鉄鉱は白亜紀(約1億2千万年前)のマグマの貫入で、石灰岩などが熱変成して生まれたものとされており、「餅鉄は川の流れで丸くなったのではなく、火山噴火で大気中に飛んだものではないか」と独自の推論を示した。
 
製鉄史研究家・三浦勉さん(写真上段右)が餅鉄の産地などについて解説

製鉄史研究家・三浦勉さん(写真上段右)が餅鉄の産地などについて解説

 
 火山噴火の可能性を考える根拠としては▽餅鉄がある川で硫黄臭がする白く軽い石(地元ではへったれ石、へっぴり石と呼ばれる)が見られた▽片羽山麓の岩盤で火山岩に見られる結晶「クリストバライト」が確認されている▽最大級の餅鉄が見つかった場所は山麓直下で川の流れによる円礫化は考えにくい―ことなどを挙げた。
 
 この後、参加者は今も餅鉄が多く見られる片羽山麓の沢桧川に向かった。同下流域には市指定文化財の「釜石鉱山田中製鉄所栗橋分工場跡」がある。明治から大正にかけて高炉1基が稼働し、山神社の鳥居や祠(ほこら)が残る。餅鉄の採集は同工場跡近くで行われた。参加者は三浦さんに見つかりやすい場所などを教わりながら探した。
 
沢桧川の餅鉄採集ポイントに向かう参加者

沢桧川の餅鉄採集ポイントに向かう参加者

 
途中には市指定文化財「釜石鉱山田中製鉄所栗橋分工場跡」があり、石垣などの遺構が残る

途中には市指定文化財「釜石鉱山田中製鉄所栗橋分工場跡」があり、石垣などの遺構が残る

 
三浦勉さん(中央)から教わりながら餅鉄を探す

三浦勉さん(中央)から教わりながら餅鉄を探す

 
 判別のポイントは石の色と重さ。他のものに比べ黒っぽく、同じような大きさでも餅鉄は重いのが特徴。鉄成分を含んでいるので磁石がくっつく。参加者は川底に目を凝らし、磁石を近づけてみたりしながら探した。約1時間で10キロ以上の餅鉄が採集された。
 
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磁石にくっつく石が多数。右上と左下は表面が滑らかで丸みを帯び、餅鉄の特徴が見られる

 
 同市の小学生金野龍真君(11)は市が実施する「鉄の検定」で1級を取得。検定の勉強で餅鉄のことは知っていたが、実際に探すのは初めて。「すぐには見つからなくて、探すのは大変だった。これで鉄を作ろうと最初に考えた人の発想がすごい。鉄づくりも楽しみ」と期待感をにじませた。甲子町の50代女性は旧釜石鉱山事務所(愛称:Teson)のイベントで、餅鉄が展示されているのを目にした。今回の採集で「本当にあるんだ」と再確認。「山奥にあると思っていたので、意外にも身近な場所にあってびっくり。最後まで参加して鉄瓶ができるのを見届けたい」と声を弾ませた。
 
餅鉄の多くは流れが緩やかな岸辺側で見つかった

餅鉄の多くは流れが緩やかな岸辺側で見つかった

 
お目当ての「餅鉄」をゲット! 笑顔を見せる子どもたち

お目当ての「餅鉄」をゲット! 笑顔を見せる子どもたち

 
 橋野鉄鉱山稼働時、高炉場にあった御日払所では、村民が持ち込んでくる餅鉄を買っていた。その記録として「餅鉄通」という文書が残っている。釜石の餅鉄は鉄含有率が約70%(磁鉄鉱は約60%)と高く、質の良さも特徴。磁鉄鉱に交ぜて使われたとみられている。
 
 プロジェクトを主催する市世界遺産室の森一欽室長は「鉄原料から製品になるまでを見られる初のイベント。有意義な機会になると思う。釜石には今も身近な所に資源が眠っていることも知ってもらえれば」と話した。
 
参加者は夢中になって“お宝”を探した

参加者は夢中になって“お宝”を探した

 
最後はみんなで採集した餅鉄の重さを計測した

最後はみんなで採集した餅鉄の重さを計測した

 
 餅鉄から鉄を取り出す製鉄体験は9月に甲子町大橋で実施予定。できた鉄は県工業技術センター(盛岡市)で炭素量など成分を調整してもらい、滝沢市の南部鉄器職人田山和康さん(73)に鉄瓶にしてもらう。11~12月ごろに盛岡市で鉄瓶ワークショップを開催する。

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にぎわい創出!釜石大観音仲見世通り 出店促す〝縁結び〟 5回目マルシェ盛況

釜石大観音仲見世通りで開かれた「えんむすびマルシェ」

釜石大観音仲見世通りで開かれた「えんむすびマルシェ」

 
 釜石市大平町の釜石大観音仲見世通りで25日、地域活性化イベント「えんむすびマルシェ」が開かれた。さまざまな出会いの場を提供しようと、釜石大観音仲見世リノベーションプロジェクト(宮崎達也代表)が主催し、5回目。飲食や手作り雑貨などの出店のほかステージイベントもあり、親子連れら多くの来場者でにぎわった。
 
 市内外から28の団体・個人が出店した。パンやスイーツ、手作りアクセサリー、木工製品などバラエティーに富んだ品ぞろえ。訪れた人たちは店主らと会話を弾ませながら品定めを楽しんだ。クレープやコーヒーなどを提供するキッチンカーも並んだ。
 
飲食や買い物、店主との交流を楽しむ来場者

飲食や買い物、店主との交流を楽しむ来場者

 
多彩な露店が並ぶ中で駄菓子屋は子どもたちに人気

多彩な露店が並ぶ中で駄菓子屋は子どもたちに人気

 
「すてきだね」。和柄のバッグなど手作り品に興味津々

「すてきだね」。和柄のバッグなど手作り品に興味津々

 
 地元釜石の漁師久保宣利さん(51)、翼さん(20)親子はホタテやカキなどが盛りだくさんの海鮮焼き、串焼きを販売。「お客さんとじかに顔を合わせ、反応を見ることができて楽しい」と腕を振るった。「両石港 隆丸」と旗印を掲げ、週末にはイベント出店。自分たちが養殖したり、仲間から買い付けた魚介や海藻を使って地域の海の魅力を発信する。「魚を通して、人とつながれる」。そう実感する親子は、漁業と出店、どちらも本業の“二刀流”でゆく。
 
店先で作って提供…かつての風景が通りに戻ったよう

店先で作って提供…かつての風景が通りに戻ったよう

 
浜の魅力を発信する久保宣利さん、翼さん親子ら

浜の魅力を発信する久保宣利さん、翼さん親子ら

 
 大漁旗柄のフラッグを用いた元気なパフォーマンスで会場を盛り上げたのは、釜石を応援するカラーガードチーム「ちあ釜」。4月に立ち上がったばかりで、地元メンバー4人はこの日が初舞台となった。
 
 小学校教諭の兼澤桃花さん(27)は「青空の下、気持ちよく踊れた」と晴れやかに笑った。佐久間桜音さん(11)、森美惠さん(17)は「緊張したけど楽しかった。かっこよく踊れるよう、もっと練習する」と意欲がアップ。60代のメンバーは「私でもできるので!」と仲間が増えることを期待した。代表の葛巻舞香さん(39)=ラグビー・日本製鉄釜石シーウェイブスオフィシャルサポーター、モデル、フリーアナウンサー=は「笑顔をつないで、みんなでまちをポジティブにしていきたい」と展望した。
 
大漁旗柄のフラッグを振り演舞する「ちあ釜」

大漁旗柄のフラッグを振り演舞する「ちあ釜」

 
地元釜石などから参加するメンバーと葛巻舞香さん(左)

地元釜石などから参加するメンバーと葛巻舞香さん(左)

 
 家族で訪れた同市平田の大和田崇士さん(47)は「正月に初詣で訪れた時より、にぎわっている。このイベントには初めて来たが、市外の人やものと触れ合えていい。続けてもらえれば、客として出店者たちの活動を応援したい」とうなずいた。
 
 同プロジェクトは、「釜石○○(まるまる)会議」から生まれた市民グループで、空き店舗が目立つ同通りを再生させ、にぎわいや交流の場を創出する活動を行う。大観音は「恋人の聖地」にも選定されていて、人のつながりや縁を広げる機会になればと2018年からマルシェを実施。新型コロナウイルス禍で数年見送ったが、23年に再開した。
 
幅広い年代、業種の人たちの縁を生み出す活動は続く
幅広い年代、業種の人たちの縁を生み出す活動は続く幅広い年代、業種の人たちの縁を生み出す活動は続く

 
 空き家となった遊休不動産の利活用を中心に、地元高校生と連携した催しや岩手県内・三陸沿岸地域で活動するアーティストらの展示などの企画にも力を入れる宮崎代表(52)。多様な取り組みを打ち出すことで、「出店したくなるようなまちづくり」を進めていく。

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田んぼは学びがいっぱい! 白山小 伝統の米作り体験スタート 泥まみれの田植えに歓声

田植え作業に汗を流した白山小の児童=24日、上小川

田植え作業に汗を流した白山小の児童=24日、上小川

 
 釜石市の白山小(鈴木慎校長、児童31人)伝統の稲作学習が今年も始まった。24日、3~6年生22人が田植えに挑戦。泥まみれになりながら、昔ながらの手植えで稲苗を植えた。今後、稲の生長観察、稲刈りなどを行い、秋以降、農作物の恵みに感謝する収穫祭も予定する。
 
 同校の同学習は今年で44年目。長年、学校敷地内に設けた“白山水田”で一連の作業を体験してきたが、昨年から、苗の提供を続けてきた甲子町上小川の農業藤井茂さん(84)の水田に場所を移し、学習を継続している。
 
 バスで現地を訪れた児童らは、藤井さんと学習をサポートしてくれる大船渡農業改良普及センターの菊池浩之主任農業普及員、八重樫聡太技師にあいさつ。苗の植え方を教わった後、泥田に足を踏み入れた。約4アールの田んぼに植えるのはもち米種「ヒメノモチ」の苗。藤井さんが付けてくれたます目の線に沿って、両端から植え付けていった。
 
恐る恐る田んぼに足を踏み入れる。何とも言えない泥の感触にこの表情

恐る恐る田んぼに足を踏み入れる。何とも言えない泥の感触にこの表情

 
田んぼの所有者藤井茂さん(右)から植え方を教わる

田んぼの所有者藤井茂さん(右)から植え方を教わる

 
苗がしっかり立つように植える。腰をかがめての作業はけっこうな重労働

苗がしっかり立つように植える。腰をかがめての作業はけっこうな重労働

 
 泥に足を取られたり、中腰の姿勢に苦戦したりしながらも懸命に作業。苗が倒れないようにしっかり植えた。田んぼの中にはカエルやイモリの姿も。周辺にはトンボも飛んでいて、水辺の生き物との出会いも楽しんだ。藤井さんの田んぼは日向ダムの下流域にあり、周りには樹木が生い茂る。児童らは緑豊かな自然空間の中で、さまざまな学びや気付きを得た。
 
写真左:「うっ!足が抜けない」 同右:「泥まみれも楽しー!」

写真左:「うっ!足が抜けない」 同右:「泥まみれも楽しー!」

 
田んぼではイモリやトンボなど水辺に集う生き物の姿も見られた

田んぼではイモリやトンボなど水辺に集う生き物の姿も見られた

 
写真左:奥に日向ダムの堤体も見える 同右:2方向から苗植え。慣れてくるとスピードもアップ

写真左:奥に日向ダムの堤体も見える 同右:2方向から苗植え。慣れてくるとスピードもアップ

 
 初めて田植えを体験した金野瑛飛君(3年)は「カエルや虫もいっぱいいた。苗をちぎって植えるのが楽しい」と笑顔。2年目の川﨑仁遥君(4年)は「なかなか経験できないことが毎年できてうれしい」と喜び、「農家さんは大変な仕事だけど、(みんなに食べてもらい)幸せに暮らせているんだと分かった。ご飯を食べる時は感謝しながらおいしく食べたい」と話した。
 
 児童会長の岡本羚依さん(6年)は「みんなで協力しながらやれている。一連の作業の中でも田植えは大事。まずは最初のところをしっかりやりたい」と意気込む。この学習を通して農業にも関心が高まった様子。「農家さんが減ると(私たちが)食べるものも減ってしまう。農業をやる人が減っていると聞くので、将来、何らかの形で力になれたらいいな」と思いを巡らせた。
 
山の新緑に青空…目にも鮮やかな景色も思い出に

山の新緑に青空…目にも鮮やかな景色も思い出に

 
 「苗、行くよーっ」。あぜ道などから追加の苗を放ってもらう児童。一発キャッチは難しい!?

「苗、行くよーっ」。あぜ道などから追加の苗を放ってもらう児童。一発キャッチは難しい!?

 
たくさんの笑顔が広がった田植え。収穫の秋を楽しみに…

たくさんの笑顔が広がった田植え。収穫の秋を楽しみに…

 
 児童に声を掛けながら作業の様子を見守った鈴木校長は「普段食べている米やお手伝いしてくれる地域の方々への感謝の気持ちが生まれれば。泥の温かさを肌で直接感じたり、生き物に触れ合ったりするのも貴重な経験。心の豊かさを育む活動になれば」と期待。同校と40年来の付き合いとなる藤井さんは、子どもたちが生き生きと作業する姿に「こっちも若返るよう。この中から農業を継ぐ人が一人でも多く出てくれれば」と願った。
 
 同学習では収穫したもち米で餅つきをしてきたが、今年は藤井さんが育てたうるち米の提供を受け、米の炊き方などを学ぶ調理実習と試食を計画する。