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岩手県立釜石高等学校 同窓会総会開催のお知らせ

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7月4日(土)に岩手県立釜石高等学校同窓会総会および懇親会を開催します。創立110周年の節目の年の総会です。旧友の方などお誘いあわせの上ふるってご参加くださいますようお願いします。
なお、懇親会に参加される方は事前の申し込みが必要になりますので同窓会事務局までご連絡ください。

日時

令和6年7月6日(土) 総会 17:00
懇親会 総会終了後

会場

ホテルクラウンヒルズ釜石

懇親会費

5,000円

懇親会申込先

岩手県立釜石高等学校同窓会事務局
TEL 0193-23-5317

申込締切

令和6年6月28日(金)

岩手県立釜石高等学校同窓会事務局

岩手県立釜石高等学校同窓会事務局

住所:〒026-0055 岩手県釜石市甲子町10−614−1 / TEL 0193-23-5317 / FAX 0193-23-8611 / Webサイト

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震災後の街並みに彩り 釜石駅前、大町青葉通りに市民ら花植え 奉仕の心次世代にも

釜石駅前広場に花を植えた市民ら=18日

釜石駅前広場に花を植えた市民ら=18日

 
 釜石市鈴子町の釜石駅前広場と大町の青葉通り緑地に、今年も市民らの手によって花が植えられた。東日本大震災後の復興支援活動から市民中心の活動に移行し、今年で4年目。高校生ボランティアの参加も増え、まちの美化活動への意識の高まりを感じさせている。今年は両所にマリーゴールドやサルビアなど約500株が植えられ、秋にかけて市民や同市を訪れる観光客の目を楽しませる。
 
 釜石駅前広場では18日に作業。釜石市赤十字奉仕団(中川カヨ子団長)、釜石、釜石商工両高校、明治安田釜石営業所(山内郁尚所長)、市都市計画課から総勢約50人が参加した。国道283号沿いの花壇にマリーゴールド、サルビア、キンギョソウ、チェリーセージの4種約500株を手分けして植えた。
 
植栽作業には釜石商工高、釜石高の生徒らも尽力

植栽作業には釜石商工高、釜石高の生徒らも尽力

 
普段、交わる機会のない市民同士の交流の場にも

普段、交わる機会のない市民同士の交流の場にも

 
幅広い年代が協力し、釜石の玄関口を花で彩る

幅広い年代が協力し、釜石の玄関口を花で彩る

 
 釜石商工高1年の小林桜子さんは同校ボランティア委員会の仲間と参加。同所の花壇はバス通学の通り道で、「こうして植えられているのを初めて知った。大人の人たちが植え方を丁寧に教えてくれるのでやりやすい」と作業に励んだ。「花は好きなほう。気になったものは花言葉を調べたり、誕生花もチェックしたりする」と観賞だけではない楽しみも明かし、「また参加します」と声を弾ませた。
 
 友人に誘われ初めて参加した釜石高3年の井ケ田優妃さんは「作業は意外と大変。いろいろな人の手間がかかってできている花壇」と実感。まちを彩る花風景に「いろいろな色があって、見るだけで気持ちが明るくなる。駅前はさまざまな人が行き交う。多くの人の目に留まって、また来たいと思ってもらえる場所になれば」と期待を寄せる。長く維持するために「若い世代が引き継いでいかなければ」と活動の広がりも願った。
 
釜石高からは希望者10人余りが参加し、まちの美化に貢献

釜石高からは希望者10人余りが参加し、まちの美化に貢献

 
 明治安田釜石営業所は3年目の参加。ペットボトルキャップの回収で赤十字奉仕団に協力していた縁でこの活動を知り、継続参加している。今年は7人が作業に協力した。同社の佐々木砂智子さん(50)は「ほとんどが普段、土を触る機会がない人たち。皆さんと会話しながらの屋外作業は気持ちがいい」と笑顔。同社は2022年1月に同市と包括連携協定も締結。市民の健康づくりなど各種活動を市内で展開しており、「協力できる活動が一つでも増えていくのはうれしいこと」と佐々木さん。
 
 駅前広場などへ花を植える活動は震災後の2012年、拓殖大(東京都文京区)の学生による復興支援活動として始まった。新型コロナウイルス感染症の影響で学生の来訪が難しくなってからは、当初から同活動に協力していた同市赤十字奉仕団が中心となって市とともに継続。団は植栽だけでなく、水やりや草取りなど年間を通した管理にも尽力している。中川団長は「高校生の参加も増えていてうれしい限り。いろいろな人が集まれば大きな力となる。この活動が根付いて若い人たちが継承していってくれれば」と思いを込める。
 
花壇の維持管理には釜石市赤十字奉仕団が力を発揮。長期にわたり道行く人たちの目を楽しませる

花壇の維持管理には釜石市赤十字奉仕団が力を発揮。長期にわたり道行く人たちの目を楽しませる

 
植えられた色とりどりの花の苗。成長するとさらに美しい景観に

植えられた色とりどりの花の苗。成長するとさらに美しい景観に

 
 青葉通り緑地への植栽は22日に行われた。地元の大町町内会、近隣の復興住宅、通り沿いに事務所がある一般財団法人岩手県建築住宅センター沿岸支所、市都市計画課から20人余りが参加。同通り南側の花壇にマリーゴールド、ブルーサルビア、ケイトウの3種約500株を植えた。
 
青葉通り緑地(南側)の花壇への花植え作業=22日

青葉通り緑地(南側)の花壇への花植え作業=22日

 
近隣住民や近くの職場で働く人たちが作業に協力

近隣住民や近くの職場で働く人たちが作業に協力

 
 市営、県営住宅の管理業務を担う県建築住宅センター同支所は、地域貢献活動の一環で昨年から協力。今年は5人が参加した。佐々木勝次長は「やり始めると夢中になる。参加者は近くの復興住宅の方が多いので、雑談しながら楽しく作業させてもらっている」と喜ぶ。職場はすぐ近く。「日中は通りのベンチに座ってくつろぐ人の姿も見られる。花があるとさらに心が和むと思う」と作業に勤しんだ。
 
 大町復興住宅5号棟の伊藤清自治会長(77)は「ここは周辺の復興住宅住民が集まる場所。花があるのとないのとでは気分が違う。周りの住民はもちろん、通りがかりの人も喜んでくれる」と、花がある街並みを歓迎した。
 
周辺にはホテルや復興住宅が立ち並ぶ青葉通り。花を植えて街なかのオアシスに

周辺にはホテルや復興住宅が立ち並ぶ青葉通り。花を植えて街なかのオアシスに

 
花の苗は防草シートに開けた穴から植えた

花の苗は防草シートに開けた穴から植えた

 
 同所の花壇は市が管理する。今年から雑草対策として、試験的に土の上に「防草シート」を張った。5年ぐらいの耐久性があり、整備、維持管理に係る職員の負担軽減につなげる。

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鵜住居川漁協 アユの稚魚放流 価格上昇も例年並みの量を維持 解禁日は7月7日

鵜住居川漁協によるアユの稚魚の放流=12日

鵜住居川漁協によるアユの稚魚の放流=12日

 
 釜石市の鵜住居川漁業協同組合(川崎公夫代表理事組合長、組合員154人)は12日、同河川にアユの稚魚400キロ(約4万4700匹)を放流した。中間育成にかかる電気、餌代などの高騰で稚魚の価格が上昇する中、組合では何とか例年並みの放流量を維持。組合員費、一般遊漁料(年券)を値上げすることで、資源確保、組合運営の安定化に努める。解禁日は7月7日。稚魚の成育保護のため、6月1日から解禁日前日まで全魚種が禁漁となる。
 
 稚魚の放流には組合員約20人が参加した。購入先の盛川漁協(大船渡市)から稚魚を積んだトラック2台が集合場所(鵜住居町神ノ沢)に到着後、2班に分かれて放流に向かった。放流箇所は同町日ノ神橋下流から橋野町の産直どんぐり広場手前までの約20カ所。バケツリレーや水槽からホースを延ばす形で作業にあたった。
 
 盛川漁協で中間育成された稚魚は体長約8~9センチ、重さは平均9グラム。バケツの中で元気に飛び跳ね、川に放つと勢いよく泳ぎ出した。天候や水温が順調に推移すれば、解禁日には20センチ前後に成長した姿が見られそうだ。
 
トラックの水槽から稚魚をバケツに移し放流=日ノ神橋下流

トラックの水槽から稚魚をバケツに移し放流=日ノ神橋下流

 
組合員が協力しバケツリレー(写真左)。一部箇所はホースを延ばし、水槽から直接放流(同右)

組合員が協力しバケツリレー(写真左)。一部箇所はホースを延ばし、水槽から直接放流(同右)

 
アユの順調な生育を願い、作業にあたる鵜住居川漁協の組合員ら

アユの順調な生育を願い、作業にあたる鵜住居川漁協の組合員ら

 
 「昨年は最高のシーズンだった」と川崎組合長(74)。解禁日から大きい個体が多く、天然ものの遡上も増えた。台風など大雨の影響がなく、水量も安定していたことが要因とみられる。新型コロナウイルス感染症の5類移行もあり、県内外からの釣り客が増加。遊漁料の売り上げは過去最高の実績となったという。「釣り人同士のトラブルも無く、10~20人の団体で来てもごみを残さず帰ってくれた」とマナー向上も喜ぶ。
 
 一方で、近年の社会、経済情勢の変化により、稚魚の中間育成にかかる費用(電気、餌、輸送費など)は大幅に増大。これに伴い、稚魚の価格も上昇が見込まれる。鵜住居川漁協の稚魚放流は組合員費と一般釣り客の遊漁料のほか、河川工事業者や地元地域会議からの協賛金で実施。組合は例年通りの放流量を維持するため、本年度の組合員費、一般遊漁料(年券)の値上げを決めた。組合員は年間4000円から5000円に、一般遊漁料(年券)は5500円から7000円に引き上げる。一般の日券は1500円のまま据え置く。組合は「稚魚の高騰で苦しい状況。何卒ご理解を」と呼び掛ける。
 
雲南橋ではロープにくくったバケツを下ろして放流(写真右、左上)

雲南橋ではロープにくくったバケツを下ろして放流(写真右、左上)

 
複数ある橋の下など例年通りのポイントに放流

複数ある橋の下など例年通りのポイントに放流

 
 「元気に育て!」川に飛び込む稚魚を送り出す組合員

「元気に育て!」川に飛び込む稚魚を送り出す組合員

 
 遊漁券は市内の釣具店や流域の赤いのぼり旗を掲げた販売所で購入できるほか、スマホアプリ「フィッシュパス」で24時間いつでも購入可能。釣具店の店頭にも読み込み用QRコードが掲示される。電子遊漁券購入者は釣り場でのスマホ操作で券を有効にすることで、保有を証明できる。GPS機能で居場所が分かるため、漁協の監視業務効率化にもつながっているという。

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広報かまいし2024年5月15日号(No.1832)

広報かまいし2024年5月15日号(No.1832)
 

広報かまいし2024年5月15日号(No.1832)

広報かまいし2024年5月15日号(No.1832)

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【P1】
表紙

【P2-3】
ツキノワグマの被害に遭わないために

【P4-5】
みちのく潮風トレイル5周年を迎えます!
イベント案内 

【P6-7】
民生委員・児童委員の日活動強化週間

【P8-9】
まなびい釜石
こどもはぐくみ通信

【P10-11】
まちの話題

【P12-15】
保険案内板
まちのお知らせ

【P16】
市民百景

この記事に関するお問い合わせ
釜石市 総務企画部 広聴広報課 広聴広報係
〒026-8686 岩手県釜石市只越町3丁目9番13号
電話:0193-27-8419 / Fax 0193-22-2686 / メール
元記事:https://www.city.kamaishi.iwate.jp/docs/2024050900033/
釜石市

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釜石市公式サイトと連携し、縁とらんすがピックアップした記事を掲載しています。記事の内容に関するお問い合わせは、各記事の担当窓口までお問い合わせください。
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橋野・菜の花畑でごゆるりと… 花、山、空 五感で楽しむ自然空間で心身ともにリフレッシュ

1日限定で一般開放された菜の花畑=11日、橋野町太田林

1日限定で一般開放された菜の花畑=11日、橋野町太田林

 
 釜石市橋野町の一般社団法人ユナイテッドグリーン(山田周生代表理事)が開設する菜の花畑が11日、一般開放された。園内では自然農法や植物性素材にこだわった菓子や弁当の販売、指圧マッサージ、ピエロの絵本の読み聞かせなども実施。訪れた人たちは山あいの景色に癒やされながら、ゆったりとした時間を堪能した。
 
 菜種油の生産を手がける同法人は、花が咲く毎年5月に畑を一般開放している。今季は約50アールに作付けしたが、シカの侵入で全体の4分の1ほどが食害にあってしまったことや春先の高温で開花が早まったことで、開放日当日は例年より花が少ない状態に。それでも鮮やかな黄色の花と周辺の新緑の山々、澄み渡る青空がこの時期ならではの色彩の競演を見せ、来園者を魅了した。
 
 子どもたちを喜ばせたのは、くらうん・しゅがー(ピエロ)の絵本ライブ。マジックを交えた楽しいパフォーマンスを繰り広げ、菜の花畑の中に夢空間を広げた。指圧マッサージや野だてのコーナーも。花に囲まれながら癒やしのひとときを提供した。
 
くらうん・しゅがーの絵本ライブ。バルーンアートのプレゼント

くらうん・しゅがーの絵本ライブ。バルーンアートのプレゼントも

 
写真左:野だて席(宙右庵)や指圧マッサージ(めぐり堂)のコーナーも。同右:菜の花畑でシャボン玉も楽しいよ!

写真左:野だて席(宙右庵)や指圧マッサージ(めぐり堂)のコーナーも。同右:菜の花畑でシャボン玉も楽しいよ!

 
 開放当初から協力する、おやさい食堂カラコマ(盛岡市)は大豆唐揚げ、豆乳アイスなどを販売。やえはた自然農園(花巻市)は農薬や肥料を使わずに栽培した小麦や玄米、同畑の菜種油を使った手作り菓子を販売した。太陽光発電で生み出した電力で豆をひき、コーヒーを提供したのは盛岡市の日野雄策さん(66)。有機農業や環境、音楽など多彩な分野で活躍する日野さんは、釜石市の根浜海岸で昨年開かれたオーガニックフェスタが縁で初出店。一芸を披露するとコーヒーが無料になるというユニークな企画で来園者を楽しませた。「お客さんとの会話も弾む。客として来るより出店するほうが楽しいかも。いろいろな人とつながり、交流できる場は貴重」と喜んだ。
 
やえはた自然農園は自家栽培の玄米粉などを使った菓子を販売

やえはた自然農園は自家栽培の玄米粉などを使った菓子を販売

 
歌ったり演奏したり…「一芸」披露でコーヒー1杯をサービス!

歌ったり演奏したり…「一芸」披露でコーヒー1杯をサービス!

 
 盛岡市の50代男性は「山が好き。橋野鉄鉱山にも来てみたかった」と笛吹峠を通って初めて来園。「花だけでなく山の緑や風もいいし、全体の空気感が素晴らしい場所。気持ちがゆるやかになりリフレッシュできる」と心地良い空間を満喫。栗林町の鈴木勇さん(37)は家族4人で2年ぶりに訪れ、「いいロケーション。家族みんな花が好き。子どもたちも楽しそう」と笑顔。大型連休には関東から親戚が来て県内を案内。「岩手の豊かな自然は喜ばれる」とその価値を実感した。
 
子どもたちは背丈以上の菜の花に囲まれて記念の一枚

子どもたちは背丈以上の菜の花に囲まれて記念の一枚

 
来園者は菜の花畑で思い思いの休日を楽しんだ

来園者は菜の花畑で思い思いの休日を楽しんだ

 
 同法人の山田代表は東日本大震災の復興支援活動の一環で、沿岸各地の津波被災農地や耕作放棄地に菜の花を植えるプロジェクトを展開。塩分吸収率の高い菜の花で土壌を浄化、被災者雇用で菜種油の販売を行ってきた。拠点とする橋野の畑では、2013年から開花時期1日限定の「菜の花青空レストラン」を開設。コロナ禍の3年間は「菜の花パーク」として、期間を設けて園内を開放してきた。
 
花が散った後は種を取り、搾油して商品(左上写真)として販売する

花が散った後は種を取り、搾油して商品(左上写真)として販売する

 
 近年はシカの食害が課題。22年に畑の全周に鉄柵を施し一時改善されたものの、今年はつなぎ目の針金の劣化により柵を壊して侵入するケースがあり、「柵設置後もメンテナンスが必要」と実感。同所は環境教育や企業研修の場としても利用され、山田代表の講演と現場作業で、環境への理解を深める活動も行われている。今回の公開日の前には、北上市の工場の新入社員研修で約100人が訪れ、柵のペンキ塗り、周辺の草刈り作業などを行った。
 
 山田代表は「連作を避けるため、来年は別のエリアに植える。畑をいい状態に保ちながら長く栽培を続けたい。来園者も出店者もゆったりと過ごせる時間をこれからも提供していければ」と話した。

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根浜の“原風景”復活に期待! 新設「ビオトープ」で市民らが生き物のすみかづくり 

根浜ビオトープに生き物のすみかを作り、今後に期待する参加者=6日

根浜ビオトープに生き物のすみかを作り、今後に期待する参加者=6日

 
 4月下旬に整備が完了した釜石市鵜住居町の根浜シーサイド内のビオトープ(生物生息空間)。大型連休最終日の6日、同所のお披露目を兼ね、市民らが生き物のすみかを作る体験イベントが開かれた。参加者は池にすみ始めたオタマジャクシやイモリに大興奮。環境省の準絶滅危惧種「トウホクサンショウウオ」の卵から幼生がふ化する様子も見られ、驚きの声が上がった。
 
 ビオトープは東日本大震災の津波で失われた生態系を取り戻そうと、根浜シーサイドの市指定管理者かまいしDMC(河東英宜代表取締役)が、市民団体かまいし環境ネットワーク(加藤直子代表)との協働により整備した。市の土地を借用し、釜石東ロータリークラブ(佐藤猛夫会長)から資金提供を受け実現させた。
 
 背後に山林が広がるこの場所には震災前、山から流れ出る沢水を引き込んだ田んぼがあり、カエルやドジョウ、ホタルなど水辺に集う生き物が数多く見られた。しかし、震災の津波で環境は一変。広い水辺が失われたことで、生き物の数も激減していた。同所で観察を続けてきた加藤代表は「もう一度、たくさんの生き物がすめる環境を」と、ビオトープの整備を発案。同様の考えがあった同DMCとの協働事業に至った。
 
根浜シーサイド内に整備されたビオトープ。水辺にすむ生き物が集まる場所に…

根浜シーサイド内に整備されたビオトープ。水辺にすむ生き物が集まる場所に…

 
池の中の生き物を探す子どもら(写真上:かまいしDMC提供)。イベントには幅広い年代が参加(写真下:かまいし環境ネットワーク提供)

池の中の生き物を探す子どもら(写真上:かまいしDMC提供)。イベントには幅広い年代が参加(写真下:かまいし環境ネットワーク提供)

 
 6日のイベントには市民ら約40人が参加。山側の池の縁の一部に木の枝や笹を差し込み、生き物のすみかを作った。作業の前には生き物の観察も。池の工事から間もないながら、水中にはオタマジャクシやアカハライモリ、水面にはアメンボの姿が見られ、子どもたちが歓声を上げた。参加者の目をくぎ付けにしたのはトウホクサンショウウオの卵。池への沢水の流入口で見つかり、卵のうの中にふ化した幼生の姿が確認できた。観察中に卵のうから飛び出す個体も。
 
池の縁の一部に木の枝や笹を差し、生き物が隠れられる場所を作った

池の縁の一部に木の枝や笹を差し、生き物が隠れられる場所を作った

 
池の中にはオタマジャクシやアメンボの姿が…

池の中にはオタマジャクシやアメンボの姿が…

 
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写真右上:トウホクサンショウウオの卵。白丸はふ化した幼生。同右下:アカハライモリ(かまいしDMC提供)

 
 同市の佐藤灯君(7)は「いろいろな生き物が見られて楽しかった。イモリは初めて見た。ここを、きれいで生き物たちにとっていい暮らしができる池にしたい」。父広明さん(37)は「自分が子どものころは自然で遊ぶ機会がいっぱいあったが、今はそういう場所も少なくなっている。こういう体験が将来にいい影響を与えれば」と話した。
 
 「最近は(身近で)カエルの鳴き声を聞くこともなくなった」と話す根浜親交会の佐々木雄治事務局長。今回のビオトープ整備で根浜の原風景が戻ることを期待し、「鳴き声で自然を感じられるという側面もあると思う。多くの親子に来てもらい、昔ながらの根浜の生き物に触れて自然を体感してもらえたら」と願う。
 
さまざまな生き物に興味津々の子ども(写真:かまいしDMC提供)

さまざまな生き物に興味津々の子ども(写真:かまいしDMC提供)

 
 この日は、NPO法人日本ビオトープ協会主席アドバイザーで相談役の野澤日出夫さんも駆け付け、「命を育み、生き物が心地良く生きられる場所がビオトープ。自然の豊かさをどう守るかが大事」と参加者に説明。津波で失われた自然を復元しようという取り組みに「自然に元の状態に戻すことが一番だが、これからは子どもたちの環境教育の場としての利用も大切な要素。人が入らないエリアと観察エリアに分け、より元の自然に近い形にしていければいいのでは」とアドバイスした。
 
 発案者の加藤代表は「第一歩を始めることができ、安心とうれしさでいっぱい。生き物の種類、数がさらに増えていくといい」。大好きなシュレーゲルアオガエルの鳴き声も耳にしながら、数年後の風景を楽しみにした。
 
入り口にある立て看板。注意事項を守り、安全に観察を!

入り口にある立て看板。注意事項を守り、安全に観察を!

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いいよ!釜石の海 ウニむき、漁船クルーズで“みりょく”体感 GW限定企画に満足

ゴールデンウイークを彩った釜石の海の魅力を発信する催し

ゴールデンウイークを彩った釜石の海の魅力を発信する催し

 
 ウニむき体験に、漁船クルーズ-。海の魅力を体感してもらう催しがゴールデンウイーク(GW)期間中の3日間、釜石市魚河岸の魚河岸テラスを拠点に展開された。施設を管理運営する観光地域づくり法人かまいしDMC(河東英宜代表取締役)が企画。この時期ならではの食や景色を味わい、もてなす漁師らとの触れ合いを楽しんだ人たちは釜石が発信する“みりょく”に満足げだった。
 
 ウニむき体験は3、4日に実施。畜養事業に取り組む唐丹町漁協の協力を得て、キタムラサキウニ約150キロを用意した。挑戦者たちはキッチンバサミやピンセットを使って「口開け」。殻を割って海藻などを丁寧に取り除き、スプーンで身をすくって味わった。「甘い」「濃厚」「うまい」「いつも食べているのと違う」と感想はさまざま。神奈川県大和市の小学生松村海里君(11)は「触ったのも、むきたてを食べるのも初めて。おいしいし、米が欲しくなる」と頬を緩めた。
 
魚河岸テラスで開かれたウニむき体験を楽しむ家族連れ=3日

魚河岸テラスで開かれたウニむき体験を楽しむ家族連れ=3日

 
黙々と。子どもも大人も真剣な表情で作業に集中した

黙々と。子どもも大人も真剣な表情で作業に集中した

 
 提供された畜養ウニは、海藻が少なくなる「磯やけ」やエサの減少によるやせたウニの増加といった漁業が直面する厳しさを改善させる手段として漁業者が育てた。その取り組みを岩手大学釜石キャンパス特任専門職員の齋藤孝信さん(62)が解説。エサとして漁協の加工場で出る塩蔵ワカメの端材などを与えていて、「価値のないものや捨てるもの、そんなマイナスを組み合わせてプラスに持っていきたいという漁業者の思いが込もっている」と伝えた。
 
齋藤孝信さんの手ほどきを受け、ウニむき体験を楽しむ親子

齋藤孝信さんの手ほどきを受け、ウニむき体験を楽しむ親子

 
「口、とった」「うまーい」。いい表情を見せる子どもたち

「口、とった」「うまーい」。いい表情を見せる子どもたち

 
 愛知県名古屋市の井上峰行さん(41)、由里恵さん(43)夫妻は、東日本大震災のことを考える“三陸めぐり旅”の途中で立ち寄った。「海と断絶された高い壁のような防潮堤」が印象的だったというが、海という資源に対する地域の思いやSDGsという視点に触れる機会にもなった。ウニむき作業は浜の人たちの手にかかると3分ほどというが、2人が要した時間は約20分。細やかで手間のかかる作業を日々繰り返している漁業者の仕事ぶりに思いを巡らせながら、そのひとすくいの「味力(みりょく)」をかみしめた。
 
絶好のクルーズ日和。水面や景色の近さを楽しむのは漁船ならでは=5日

絶好のクルーズ日和。水面や景色の近さを楽しむのは漁船ならでは=5日

 
 釜石湾内の漁船クルーズは5日限定で「定期便」を運航した。魚河岸テラス前を発着に、波が比較的穏やかな湾口防波堤の内側を巡る約1時間の船旅。通常は事前予約(乗船希望日の2日前まで)が必要だが、この日は出港時間を決めて6便航行した。
 
 乗客は涼しげな潮風を受けながら、釜石港周辺の産業中心地や尾崎半島にかけての大自然を堪能。海上から見上げるガントリークレーンの迫力、正面から望む釜石大観音など、普段見られない視点からの光景に「観力(みりょく)」を感じた様子だった。
 
産業中心地の風景を間近で眺め、普段とは違った角度に面白さを感じたり

産業中心地の風景を間近で眺め、普段とは違った角度に面白さを感じたり

 
 このクルーズの魅力は、漁師の船長がガイドを務めていること。第1便は釜石湾漁協に所属する平田の佐々木剛さん(71)が乗客をもてなした。漁船内の魚槽や魚群を探知する機器などを見せながら、「今、この辺にはサバの群れがいるってことです」などと解説。カキやサクラマスなど湾内で行われている養殖、2011年の東日本大震災や2017年の林野火災の被害と再生の取り組みにも触れた。
 
ガイドとして乗客をもてなす漁師の佐々木剛さん(写真中央)

ガイドとして乗客をもてなす漁師の佐々木剛さん(写真中央)

 
釜石湾内で行われているサーモン養殖のいけすに興味津々

釜石湾内で行われているサーモン養殖のいけすに興味津々

 
 福島県須賀川市から訪れた阿部仁一さん(47)、志帆さん(46)夫妻は「水面が近く、風も感じられてリフレッシュした。台本通りではないガイドが素朴で味があったし、いけすを見られたのもよかった」と笑顔を重ねた。鵜住居町の根浜海岸ではオートキャンプを満喫。宿泊サイトは満杯だったものの静かで快適な時間を過ごしたといい、釜石の海レジャーに好感触を残した。
 
 GW後半は天候に恵まれ、釜石港の岸壁では釣り客も多かった。水中に糸をたらし、寄ってきた小魚を網ですくい取る子ども、サバなどをバケツいっぱいに釣り上げた人もいた。「釣りをやってみたい」という子どもらの希望を受けてやってきた盛岡市の40代男性は「道路がつながって三陸が近くなった。年に数回、平田で釣りをしていて、釜石の海にいいイメージを持っている。子どもたちも楽しんでいる」と目を細めた。
 
魚市場近くの岸壁では釣りを楽しむ人の姿も多く見られた=5日

魚市場近くの岸壁では釣りを楽しむ人の姿も多く見られた=5日

 
「とったー」。魚を釣り上げてピースサインをつくる子ども

「とったー」。魚を釣り上げてピースサインをつくる子ども

 
 ウニむき体験は、畜養しても活用方法や販路の確保を模索していた漁協を後押ししようと、昨年のGWに続いて2回目の実施。漁船クルーズは海を生かした持続可能な観光振興を目指し取り組む。どちらも反響は上々で、イベントを担当するかまいしDMCの佐々木和江さん(46)は「魚食、遊び、人との関わりなど多様な要素を取り入れた企画で、臨海部ならではの魅力を発信していきたい」と先を見据えた。

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大型連休 久しぶりのにぎわい 釜石駅前の春まつり 観光客ら海の幸、市内外の味覚堪能

天候にも恵まれ、市内外から客が訪れた「かまいし春まつり」=4日

天候にも恵まれ、市内外から客が訪れた「かまいし春まつり」=4日

 
 新型コロナウイルス感染症の5類移行後、初めて迎えた春の大型連休。釜石市内は連休後半、晴天が続き、絶好の行楽日和となった。鈴子町の釜石駅前が会場となる恒例の「かまいし春まつり」は4日、シープラザ釜石、サン・フィッシュ釜石の両施設で行われた。来場者は市内外の出店者によるさまざまな味覚やステージイベントを楽しみ、釜石の春を満喫した。
 
 同まつりはこれまで駅前広場を主会場としていたが、今回初めて、駅に隣接する観光物産施設シープラザ釜石の西側駐車場に出店ブースを設けた。市内外からキッチンカーを含む19店舗が出店。地元釜石からは各事業者がホタテ焼きやジェラート、海宝漬、ラスクなどを販売。釜石湾漁協釜石女性部はワカメやメカブの加工品を販売し、地元ならではの味をアピールした。
 
釜石湾漁協釜石女性部はワカメやメカブの加工品を販売。ご飯のお供、おつまみに…

釜石湾漁協釜石女性部はワカメやメカブの加工品を販売。ご飯のお供、おつまみに…

 
釜石の春を盛り上げようと市外からの出店も多数

釜石の春を盛り上げようと市外からの出店も多数

 
 ラグビー「日本製鉄釜石シーウェイブス」の試合会場となる釜石鵜住居復興スタジアムでの出店が縁で、本まつりに出店した市外の事業者も。宮城県気仙沼市の大島から来たのは、飲食店&ゲストハウス「大漁丸」を経営する菊地幸江さん(63)。別店舗「GO-HEI」を構える娘夫婦と菓子などを販売した。三陸沿岸道路の開通で釜石までは車で約1時間。「つながりができてうれしい。地元以外の出店は新たな出会いがあって楽しい」と喜ぶ。13年前の震災津波、直近のコロナ禍で大島の観光、飲食業者も大きな打撃を受けた。「釜石も気仙沼も素晴らしい海が魅力。再び多くの人が訪れるようになるといい」と今夏に期待を寄せた。
 
気仙沼市・大島から出店した菊地幸江さん(左)家族。釜石との縁を喜ぶ

気仙沼市・大島から出店した菊地幸江さん(左)家族。釜石との縁を喜ぶ

 
塩蔵ワカメの詰め放題企画。子どもたちは丸めて入れたり工夫も

塩蔵ワカメの詰め放題企画。子どもたちは丸めて入れたり工夫も

 
正午のメカブ汁のお振る舞いには長い列ができた

正午のメカブ汁のお振る舞いには長い列ができた

 
 会場内では塩蔵ワカメの詰め放題企画、昼には先着200人限定のメカブ汁のお振る舞いもあり、人気を集めた。シープラザの建物内ではステージイベントも。釜石市出身の民謡歌手佐野よりこさんや同市の柳家細川流舞踊などが出演し、来場者を楽しませた。
 
 宮城県石巻市から親族4人で訪れた佐藤美智子さん(65)は新聞広告で同まつりを知り、初めて釜石市に足を延ばした。「ホタテやツブ、途中の道の駅ではホヤもいただき、海鮮づくしの一日。どれもおいしかった」と満足そう。今の三陸沿岸の景色に「(被災後の整備で)まちそのものはきれいになったが、家屋が少なくなったのはちょっと寂しい」。新型コロナの制限がない久しぶりの大型連休に「明日は孫、子どもたちとバーベキューです」と声を弾ませた。
 
シープラザ釜石では民謡や舞踊のステージイベントも

シープラザ釜石では民謡や舞踊のステージイベントも

 
肉の串焼きやかき氷はボリューム満点(左)。好みのものを買い求め飲食を楽しんだ

肉の串焼きやかき氷はボリューム満点(左)。好みのものを買い求め飲食を楽しんだ

 
 駅前橋上市場サン・フィッシュ釜石は3~5日まで、三陸の海産物を堪能できる企画を用意。各店で購入した好みの魚介の刺し身でオリジナル丼を楽しめる「のっけ丼」、貝類やエビ、イカなどをその場で焼いて食べられる「浜焼き」を提供した。隣のシープラザでイベントがあった4日は午前10時ごろをピークに大勢の客が訪れた。
 
 神奈川県横浜市の高橋広也さん(49)は家族3人で花巻市の実家に帰省。めい2人、母と連れ立って同まつりに足を運んだ。「新鮮な海産物のおいしさは格別」とのっけ丼、浜焼きを堪能。時間も場所もゆったりと食事を楽しんだ。三陸名物の“牛乳瓶入り”ウニを目当てに来たが、この日はあいにく水揚げがなく「後日、注文します」と楽しみは先延ばしに。コロナ禍でかなわなかった帰省は昨年から解禁。「子どもの顔を見せられるし、親族で集まれるのはすごく幸せ」と笑顔を輝かせた。
 
サン・フィッシュ釜石でのっけ丼や浜焼きを楽しむ家族ら

サン・フィッシュ釜石でのっけ丼や浜焼きを楽しむ家族ら

 
 サン・フィッシュ会場では、かまいしDMCが開発した「うにしゃぶ」鍋スープをお試しサイズ(2~3人前)で味わえる企画も。スープ、ワカメ、ご飯をセットにして、3日間限定20食を販売した。

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唐丹の誇り「大名行列」6年ぶりに 天照御祖神社式年大祭(釜石さくら祭り)で活気付く地域

天照御祖神社式年大祭(釜石さくら祭り)=4月28日、唐丹町

天照御祖神社式年大祭(釜石さくら祭り)=4月28日、唐丹町

 
 釜石市唐丹町の春を彩る、天照御祖神社(河東直江宮司)の式年大祭「釜石さくら祭り」は4月28日に行われた。3年に一度の祭りは新型コロナウイルス感染症の影響で、前回2021年の渡御は見送られており、今回は18年以来6年ぶりの開催。町内3神社のみこしが江戸時代から受け継がれる“大名行列”とともに地域を練り歩き、震災や戦災を乗り越え、まちを守る住民らにさらなる力を与えた。郷土芸能団体も随行する祭り行列には、町内7地区から約600人が参加。沿道では地域住民のほか、市内外から訪れた見物客が行列を出迎えた。
 
 同町片岸の高台にある天照御祖神社で神事を行った後、行列が繰り出した。神社下の一帯は13年前の震災津波で被害を受けた場所。住宅はないが、近隣の住民や観光客などが沿道に集まり行列を見守った。
 
神社からみこし渡御の行列が出発。子どもから大人までさまざまな役割を担う

神社からみこし渡御の行列が出発。子どもから大人までさまざまな役割を担う

 
東日本大震災の津波で被災した片岸地区を行列が進む

東日本大震災の津波で被災した片岸地区を行列が進む

 
 みこしを先導する大名行列は江戸時代の参勤交代の行列に由来するもので、同神社の氏子がみこしに無礼な行いをさせないように刀、鉄砲、やり、弓などを持ち、警護しながらお供したことが始まり。当時の伊達藩唐丹村本郷の番所に駐屯していた伊達藩士に行列の仕方を教わり、みこし渡御に取り入れたとされる。地区ごとに8つの役割を担い、今に受け継ぐ。今回は本郷の「御徒組」「杖供組」「杖引組」に続き、小白浜の「御道具組」、荒川の「御並槍組」がお供。伝統の所作でゆっくりと歩みを進める各組に、沿道で迎える人たちが盛んな拍手を送った。
 
 柏直樹さん(45)、壮太さん(12)親子は「御徒組」「杖供組」にそれぞれ初参加。唯一の中学生、壮太さんは「振り付けを覚えるのに苦労したが、伝統の祭りに参加できて楽しい。また出たい」。直樹さんは「無事に務められて何より。いい思い出になった。若い子に参画してもらい、伝統がつながっていけば」と期待を込めた。
 
写真上:伝統の所作で進むやっこ姿の「御徒組」。同左下:「杖供組」に初めて参加した柏壮太さん。同右下:「御徒組」に参加した父直樹さん(右)と

写真上:伝統の所作で進むやっこ姿の「御徒組」。同左下:「杖供組」に初めて参加した柏壮太さん。同右下:「御徒組」に参加した父直樹さん(右)と

 
 「いよぉー。いよぉー」「あれはよいとこなー」。独特の掛け声と口上で進む「御道具組」には17人が参加。前回から先導の声を担当する長助澤正也さん(42)は「決まり文句は2種類だが、その他にも祭りを盛り上げるようなセリフが伝統。殿様の道具持ちながら、祭りでは花形」と胸を張る。子どものころ、地元唐丹小の120周年記念行事でこれをやった。「大人になったらやってみたいと思っていた。念願かなった」と心弾ませ、見物客に精いっぱいサービスした。
 
さまざまな文句で見物客の期待に応える「御道具組」の長助澤正也さん(右上)。見守る人たちは笑顔と拍手で応援(右下)

さまざまな文句で見物客の期待に応える「御道具組」の長助澤正也さん(右上)。見守る人たちは笑顔と拍手で応援(右下)

 
公民館などが建つ小白浜地区の通りを進む「杖引組」

公民館などが建つ小白浜地区の通りを進む「杖引組」

 
荒川地区の住民が担当する「御並槍組」。江戸時代の大名行列の風情を醸す

荒川地区の住民が担当する「御並槍組」。江戸時代の大名行列の風情を醸す

 
 行列は片岸から小白浜へ。住宅や商店、公民館などが建ち並ぶ町中心エリアをにぎやかに進んだ。大杉神社(本郷)、西宮神社(小白浜)のみこしが天照御祖神社のみこしを各地区に案内する形で渡御。大杉、西宮両社のみこしは住民の前を勢いよく回り、威勢を放った。大杉神社のみこしを担ぐ倉又一平さん(35)は6年ぶりの祭りに「地元の血が騒ぐ。ここで育ち、今は離れて暮らす人たちも祭りには帰ってくる。若い世代が頑張って受け継いでいかなければ」と思いを強くする。
 
 行列を見守る人たちは青空の下で繰り広げられる華やかな行列に大興奮。小白浜の千田律子さん(76)は「自分も若いころ祭りに出た。やっぱり思い出しますね。踊りたくなる」と高揚し、「地元以外にも大勢の人たちが見にきてくれて感謝です」と顔をほころばせた。
 
地元小白浜地区で威勢を放つ西宮神社のみこし

地元小白浜地区で威勢を放つ西宮神社のみこし

 
大杉、西宮両神社みこしに続いて唐丹公民館前に到着した天照御祖神社のみこし

大杉、西宮両神社みこしに続いて唐丹公民館前に到着した天照御祖神社のみこし

 
 行列は唐丹の名所“本郷の桜並木”へ。かつては祭りと桜の咲く時期が重なっていたが、近年は地球温暖化の影響で開花は4月上旬に早まっている。この日は葉桜に変わった並木の下で行列が繰り広げられた。御道具組の長助澤さんは「葉桜がきれいだなー」などと言葉を発し行列を鼓舞。唐丹の大名行列“発祥の地”を盛り上げた。
 
地元本郷の桜並木の下を勢いよく駆ける大杉神社のみこし。迫力満点!

地元本郷の桜並木の下を勢いよく駆ける大杉神社のみこし。迫力満点!

 
伝統の舞を披露する荒川熊野権現御神楽。子どもたちも練習の成果を発揮

伝統の舞を披露する荒川熊野権現御神楽。子どもたちも練習の成果を発揮

 
市指定文化財の常龍山御神楽。天照御祖神社と共に歴史を重ねる

市指定文化財の常龍山御神楽。天照御祖神社と共に歴史を重ねる

 
 約4キロの往路の最終地点、本郷海岸ふかさ広場の御旅所では、3基のみこしの前で神事が行われた後、参加した郷土芸能全団体が演舞を披露した。唐丹町の各地区には神楽、虎舞、太鼓が継承され、同祭りには手踊りも加わる。各団体は久しぶりの祭りに躍動し、地域の元気を発信した。
 
 大石虎舞の小踊で同祭りに初めて参加した川村向葵さん(12)は「みんなで踊るのは楽しい。今日はお客さんがいっぱいで少し緊張した。今後は太鼓もやってみたい」と意欲をかきたてられた様子。同虎舞は震災後、郷土芸能をやりたいという唐丹中生の要望を受け、継続的に教えている。成果は文化祭で披露。大石町内会の畠山一信会長(76)は「指導が縁で、祭りの時には習った生徒らが応援メンバーとして駆け付けてくれる」と、地域を越えたつながりを喜ぶ。
 
気仙地方の系統をくむ大石虎舞。大きな頭と長い尾が特徴

気仙地方の系統をくむ大石虎舞。大きな頭と長い尾が特徴

 
 花露辺手踊り連は地元の花露辺海頭荒神太鼓とともに35人で参加。太鼓ばやしに合わせ2曲を踊った。今回は小学1年、幼児の参加が増えた。佐々木宏実代表(32)は「今の小学生は前回の祭りを知らない。一から教えるのが大変だったが、みんな頑張ってくれた」と喜ぶ。自身は結婚で移住。「学校も全面協力し、地域みんなでつくり上げる祭りはなかなかない。今日は唐丹町民全員がいるんじゃないかと思うぐらいの人出」と驚いた。
 
花露辺の手踊りは「花露辺海頭荒神太鼓」と一緒に参加。音楽にお囃子を乗せて2曲を踊った

花露辺の手踊りは「花露辺海頭荒神太鼓」と一緒に参加。音楽にお囃子を乗せて2曲を踊った

 
小白浜地区に伝わる「伊勢太神楽」。おかめの面を付けた女舞も

小白浜地区に伝わる「伊勢太神楽」。おかめの面を付けた女舞も

 
本郷の手踊りは内外にその名を知られる「桜舞太鼓」と。桜模様の長ばんてんで春満開

本郷の手踊りは内外にその名を知られる「桜舞太鼓」と。桜模様の長ばんてんで春満開

 
 川原清文大祭執行委員長(80)は「いざやろうとなれば、みんな一生懸命協力してくれる。祭りや伝統芸能は住民の絆、明日への希望にもつながっている」と意義を実感。一方で、少子高齢化、人口減少などで人員確保が難しくなっている側面もある。今回は、大名行列の2組、郷土芸能3団体が参加を見送った。「時代が変化する中、同じようにやろうとしても無理がある。多少、変化しながらでも継続していければ」と末永い継承を願った。
 
老若男女、幅広い世代が6年ぶりの祭りを楽しんだ

老若男女、幅広い世代が6年ぶりの祭りを楽しんだ

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足慣らし、行こうよ! 岩手・三陸沿岸最高峰「五葉山」山開き 春の芽吹き、爽やか

五葉山が山開き。シーズン到来に笑顔を見せる登山者

五葉山が山開き。シーズン到来に笑顔を見せる登山者

 
 釜石、大船渡、住田の3市町にまたがる三陸沿岸最高峰・五葉山(標高1351メートル)は4月29日、山開きした。リアス海岸や奥州山系の山並みなど山頂から望む雄大な景色、原生林や花々の群落など標高によって異なる表情を見せる豊かな自然が魅力。待ちわびた登山者はこの時期ならではの眺望や芽吹きを楽しみながら爽やかな汗を流している。
 
 両市境の赤坂峠登山口で安全祈願祭があり、五葉山神社の奥山行正宮司が登山道を清めて無事故を祈った。3市町村で組織する五葉山自然保護協議会長の渕上清大船渡市長が「皆さんに快適に登山してもらえるよう、登山道の適切な維持管理や自然の保全保護などを行っていく」とあいさつ。山頂を目指して歩き出した登山客に「安全第一で楽しんでください」と声をかけた。
 
多くの登山者が待つ赤坂峠登山口で安全祈願祭が行われた

多くの登山者が待つ赤坂峠登山口で安全祈願祭が行われた

 
五葉山神社の宮司が登山道を清めて無事故を願った

五葉山神社の宮司が登山道を清めて無事故を願った

 
 間隔を確保しながら列を作って、思い思いのペースで山歩き。ツツジやシャクナゲの新芽、新緑を眺めたり、自然を楽しむ姿も見られた。登山仲間と訪れた釜石市の青柳あや子さん(73)は「水場や避難小屋があって安心で、登りやすい山。花はまだだろうから、風や空気、おしゃべりを楽しみながらゆっくり行く」とにっこり。山田町の佐々木千恵さん(73)、宮古市の畠山亮子さん(69)と顔を合わせ、「そちこちの山に遠征するから、きょうは足慣らしだね」と元気だった。
 
ぐんぐん力強い足取りで頂上を目指す登山者

ぐんぐん力強い足取りで頂上を目指す登山者

 
「きょうは足慣らしです」。元気な“山レディー”たち

「きょうは足慣らしです」。元気な“山レディー”たち

 
「山、登りたい!」と宮城県から足を運んだ小学生グループ

「山、登りたい!」と宮城県から足を運んだ小学生グループ

 
 五葉山は山頂まで比較的緩やかな道が続き、家族連れや年配者、初心者でも登りやすい。山開き前に楽しんだ人もいて、「上の方に雪が残っていた」「雪はないけど、ぬかるんでいた」と情報交換したり。近年は雪が少ない傾向で、季節の進み具合も感覚的に早まっている。
 
 この日も例年の服装では汗ばむ陽気に。暑さを感じて袖をまくったり、半袖姿の人もいた。そうは言っても、天気の急変など何が起こるか分からないのが自然。山岳関係者は「装備はしっかりと。自分の体力に合わせて登ってほしい。山のマナーも忘れずに」と呼びかける。
 
半袖や袖をまくったりする姿も。そんな暖かさにツツジも反応?

半袖や袖をまくったりする姿も。そんな暖かさにツツジも反応?

 
春の行楽シーズン到来に登山客の顔も自然とほころぶ

春の行楽シーズン到来に登山客の顔も自然とほころぶ

 
山頂へ向かう登山者。新緑の中をゆっくり進んでいく

山頂へ向かう登山者。新緑の中をゆっくり進んでいく

 
 5月のゴールデンウィーク(GW)期間のほか、ツツジやシャクナゲが咲く5~7月にかけてもにぎわいが予想される。

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広報かまいし2024年5月1日号(No.1831)

広報かまいし2024年5月1日号(No.1831)
 

広報かまいし2024年5月1日号(No.1831)

広報かまいし2024年5月1日号(No.1831)

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【P1】
表紙

【P2-3】
犬の登録と狂犬病予防注射 他

【P4-5】
新たな障がい福祉サービス事業所 他

【P6-7】
まちのお知らせ

【P8】
スターダスト☆レビューうのすた☆スペシャルライブ 他

この記事に関するお問い合わせ
釜石市 総務企画部 広聴広報課 広聴広報係
〒026-8686 岩手県釜石市只越町3丁目9番13号
電話:0193-27-8419 / Fax 0193-22-2686 / メール
元記事:https://www.city.kamaishi.iwate.jp/docs/2024050100013/
釜石市

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釜石市公式サイトと連携し、縁とらんすがピックアップした記事を掲載しています。記事の内容に関するお問い合わせは、各記事の担当窓口までお問い合わせください。
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馬との触れ合いで人づくり 釜石・黍原豊さん(三陸駒舎) アウトドア・リーダーズ大賞

馬の背に乗ってはしゃぐ子どもたちと同じ笑顔の黍原豊さん(右から2人目)=4月25日

馬の背に乗ってはしゃぐ子どもたちと同じ笑顔の黍原豊さん(右から2人目)=4月25日

 
 釜石市橋野町の一般社団法人「三陸駒舎」(寄田勝彦代表理事)は築100年を超える古民家を拠点に、馬と共に暮らす地域文化の再生やホースセラピーによる心のケアなどに取り組む。そこで生活しながら事業を担う理事の黍原豊さん(47)が、野外活動を通して人材育成に取り組むリーダーを表彰する「ジャパン・アウトドア・リーダーズ・アワード(JOLA)2024」で、最高位となる大賞に輝いた。馬や自然との関わりを手法とした地域づくりの実践や「人間の土台作りに軸を置いている姿勢や考え方」が評価された。大賞の受賞は東北地方では初めて。
 
 黍原さんは愛知県瀬戸市出身で岩手大農学部卒。岩手県葛巻町の廃校を利用したエコスクールでの活動を経て、東日本大震災後の2013年に妻の故郷・釜石に移った。復興まちづくりを手助けする「釜援隊」として活動。子どもたちの居場所づくりに取り組む中、各地で教育牧場を経営する寄田代表と出会って馬に興味を持つようになった。
 
 仮設住宅などで馬との触れ合い体験などを行ってみた黍原さんは、子どもたちの生き生きした様子や、馬との生活を懐かしむ年配者の言葉に「ピンときた」。動物や自然との触れ合いによる心のケア、地域再生の可能性を見いだし、15年4月に寄田代表と同法人を立ち上げた。馬屋と母屋が一体の曲がり家を改修し、家族3人で定住。16年春に馬がやってくると、トレッキングなどエコツーリズム事業を開始し、17年から本格的にホースセラピーに乗り出した。
 
豊かな自然に囲まれた三陸駒舎の拠点。曲がり家で馬とともに暮らす

豊かな自然に囲まれた三陸駒舎の拠点。曲がり家で馬とともに暮らす

 
 「乗せてくれてありがとう」。雌のドサンコ(北海道和種)「アサツキ」(14歳)をなでる子どもたちの表情は柔らかい。気持ちが高ぶった子が馬の背をたたくと、「ダメだよ、痛がるから。驚くでしょ」と別の子が声をかける。「そうだね、ごめん」。そんなやりとりを黍原さんが静かに見守る。
 
 いつもの“さんこま”の風景。放課後の子どもたちがやって来てアサツキのほか、同じ雌のドサンコ「ピーナッツ」(10歳)、雌のポニー「笑馬(えま)」(11歳)と触れ合ったり、馬屋の掃除や餌の計量など世話のお手伝いをしたりする。すぐそばにある森や川といった自然環境を生かした遊びにくり出す子たちがいれば、室内で絵を描いたり、おやつを作り始める子もいる。
 
雌馬の「アサツキ」の背に乗る子どもたちを見守る黍原さん(左)

雌馬の「アサツキ」の背に乗る子どもたちを見守る黍原さん(左)

 
アサツキと触れ合う子を見つめる黍原さんの表情はあたたかい

アサツキと触れ合う子を見つめる黍原さんの表情はあたたかい

 
 利用するのは小中学生が中心。今では月に延べ200人が市内外から訪れる。中には発達障害を抱えていたり、不登校だったりする子もいる。常勤スタッフ5人、非常勤2人で見守る。ここでは「まず、やりたいことをやってもらうのが決まり」と黍原さん。その中で、苦手なことや課題を見つけて挑戦してもらうよう提案する。そうすると、「子どもたちは意欲を持って頑張り、できることを増やしていく」という。
 
 コミュニケーションが苦手だった自閉症の小学生の男子は馬との関わりから体験活動を広げていき、黍原さんいわく「もともと持っていたエネルギーをいい方向に出せるようになった」ことで、友達と遊べるようになった。馬の世話で「命をつなぐこと」を体感した子どもの様子から「自分も役立っていると自己有用感が増している」と感知。言葉という仕切りで世界を分けない動物や自然との触れ合いは「差別や偏見をとかす」と受け止める。こうした福祉と野外活動を絡めた点が今回の受賞につながったと独自に分析する。
 
母屋と馬屋が一体の曲がり家は遊びや学びの要素が散らばる

母屋と馬屋が一体の曲がり家は遊びや学びの要素が散らばる

 
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子どもたちは思い思いの遊びを見つけて自由に過ごす

 
 表彰は国内外のアウトドア関連企業や活動家、研究者らでつくるJOLA運営委員会(東京都)が主催。2017年から行われ、コロナ禍で21年は中止された。7回目の今年は全国から51人の応募があり、審査を経て、黍原さんを含む優秀賞6人、奨励賞2人を選出。3月13日に都内で行われた表彰式当日に、優秀賞の中から大賞と特別賞が発表された。団体や組織ではなく、個人に焦点を当てているのが特徴で、今回を含めこれまでに全国の60人が受賞している。
 
賞状を手に笑顔を見せる黍原さん

賞状を手に笑顔を見せる黍原さん

 
子どもたちの笑顔と元気を引き出す活動を続けていく

子どもたちの笑顔と元気を引き出す活動を続けていく

 
 大賞受賞は「僕なんだ」と意外だったという黍原さんだが、「家族や地域住民、関わってくれている人たちの力を含めた評価」と喜ぶ。団体の活動を振り返り、自身の成長を改めて実感する機会になったと感謝も口にする。一方で課題が見えてきたといい、「苦しい立場の子どもたちも来ているが、馬のおかげでできていることがある。そのノウハウや経験を伝えていきたい。保護者向けの勉強会など家庭に対する支援をセットにした取り組みにしていければ」と展望した。