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砂防工事現場 釜石の中学生が見学 沿岸振興局、担い手不足解消へ建設業の魅力紹介

砂防工事の現場見学で建設業に理解を深めた生徒たち

砂防工事の現場見学で建設業に理解を深めた生徒たち

 
 釜石市平田尾崎白浜地区で進められている砂防堰堤(えんてい)の工事現場を14日、大平中(蛸島茂雄校長、101人)の2年生33人が見学した。岩手県沿岸広域振興局土木部が主催したもので、生徒たちは土砂災害を予防する砂防事業や建設業への理解を深めた。
  
 生徒たちは、2019年の台風19号豪雨で発生した土石流などの被害を受けて沿岸振興局が同地区で手掛ける事業の現場2カ所を見学。1年余りかけて今年6月に完成したばかりの砂防堰堤では、大雨時、大量に流れてくる土砂をため込み下流に流れ出るのを防いだり、勢いを弱めたりする機能について説明を受けた。
  
砂防工事の現場見学会に参加した大平中生

砂防工事の現場見学会に参加した大平中生

  
 来年3月中旬までの工期で整備が進む砂防堰堤(堤長64メートル、高さ9・5メートル)では、工事を担う及川工務店(新浜町)の現場責任者らが概要や進ちょく状況を説明。生徒らはショベルカーなど重機に試乗したり、現場で実際に使われている測量機器を使って測量を体験したりもした。
  
建設現場で活躍する重機の試乗体験を楽しむ生徒

建設現場で活躍する重機の試乗体験を楽しむ生徒

 
子どもたちは普段見慣れない測量機器に興味津々

子どもたちは普段見慣れない測量機器に興味津々

  
 学校に戻って座学。沿岸振興局土木部の職員が土砂災害の種類、全国・県内の発生状況、災害対策などを解説した。近年の発生件数は増加傾向にあり、梅雨や台風など雨が多い時期に発生確率が高くなっていて注意が必要とした上で、砂防堰堤などの構造物整備により被害を防いだ県内の事例を紹介。ただ、自然災害は人の想像を超えることがあり、身を守るためには▽家の周りや避難経路などにある危険な場所を事前に確認▽いざという時は、勇気を持って早めに避難する―ことが大切だと強調した。
  
砂防事業の出前講座に臨む大平中の2年生

砂防事業の出前講座に臨む大平中の2年生

  
 模型を使って、土石流が勢いよく家や橋を押し流す様子、流出する土砂の勢いを弱める堰堤の対策の効果も試した。阿部愛華(あゆは)さんは「工事現場を見学するのは初めて。被害が起きないよう高い費用を使っていたり、いろんな人が関わっていることが分かった。災害に対しての備えも大事だとあらためて感じた」と学びを深めた。
  
砂防堰堤の設置の効果を模型で試す実習もあった

砂防堰堤の設置の効果を模型で試す実習もあった

  
 工事現場の見学会は建設業の担い手不足解消に向けた取り組みの一環で、中学生に建設業へ興味を持ってもらうのが目的。道路や橋などの社会基盤をつくる「土木」、住宅など建物をつくる「建築」の2種類があり、構造物の維持・修繕や災害復旧など「みんなが安心して暮らせるよう地域を守る」という役割があると魅力、やりがいも伝えた。砂防工事の現場を通じ、土砂災害とその対処の方法を知ってもらう狙いもある。東日本大震災後、釜石・大槌地区では初めての実施。本年度は1校のみだが、次年度以降も継続していく予定だ。

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震災復興へ願い込め、グリーンベルトに桜植樹 釜石市民「かけがえのない故郷の風景を」

グリーンベルトに桜の苗木を植える地域住民

グリーンベルトに桜の苗木を植える地域住民

  
 東日本大震災の津波で被災した釜石市東部地区、釜石港周辺に築造された盛り土避難路(通称・グリーンベルト)に10日、桜の木が植えられた。市と釜石に桜を植える会(中川淳会長、会員17人)が植樹会を開き、市民ら約60人が参加。まちの復興と震災の風化防止を願い、「きれいに咲いた桜並木を歩く日」を想像しながら、協力し合って作業に励んだ。
  
 グリーンベルトは、港湾労働者や港周辺にいる人が津波発生時に、いち早く高台の避難場所まで安全に避難できるようにする堤状の盛り土緑地。普段は市民の散歩コースになるなど、憩いの場としても利用されている。
  
 セレモニーで、野田武則市長は「桜をめでながら散策を楽しんだり、地域の人に喜ばれる場に。いざという時に人と地域を守る場でもあることを忘れないでほしい」とあいさつ。代表者13人が、エドヒガンザクラを記念植樹した。
  
桜の苗木を記念植樹する野田武則市長ら

桜の苗木を記念植樹する野田武則市長ら

  
釜石に桜を植える会メンバーらも記念植樹

釜石に桜を植える会メンバーらも記念植樹

  
 その後、参加者は手分けして植樹。エドヒガンのほか、ジンダイアケボノ、ヤエザクラ、ヤエベニシダレザクラの4種計80本の苗木を植えた。枝には、参加者の名前を書いた木札を結び付けた。「桜もみんなも元気になりますように」「きれいな花を見せて。会いに来ます」。桜の成長に込めた思いや願いをつづった。
  
子どもも大人も協力し合って作業に励んだ

子どもも大人も協力し合って作業に励んだ

  
名前や願いをつづった木札を結びつけた

名前や願いをつづった木札を結びつけた

  
 丁寧に作業を進めていた野田町の佐々木ヨネ子さん(77)は「丈夫に育ってほしい。花が咲いた頃、歩くのが楽しみ」と期待。初対面の子どもたちとの交流も楽しんだ様子で、「みんなが笑顔で集える場になればいいね」と待ち望んでいた。
  
「未来の釜石を桜の里に」と願いを込めた植樹会の参加者

「未来の釜石を桜の里に」と願いを込めた植樹会の参加者

  
 釜石に桜を植える会は2013年に発足。復興のシンボルとして桜を植え、未来の遺産とすることを目的に活動してきた。全国から多くの苗木や支援金が寄せられ、これまでに市内の津波被災地区や老人福祉施設、公園などに1000本超を植えた。グリーンベルトには16年に70本余を植えたが、シカの食害で残ったのは数本。この植樹会を前に約40本を追加で植樹した。今回は、幹にテープを巻き付けるなど食害防止の対策も施した。
  
 古里を離れ北海道函館市で暮らす中川会長は「震災で色彩を失った故郷の懐かしい風景をよみがえらせたい。植えるのは始まり。手をかけ育ち、咲いた花を見て豊かな心をほころばせてほしい。この桜並木が、新しい時代を生きていく人々のかけがえのない故郷の風景になるだろう」とメッセージを寄せた。

 

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震災11年 トンボの“宝庫”再び 釜石・片岸公園一帯で約20種 愛好家を魅了

トンボの写真を撮影する菊地利明さん=片岸公園

トンボの写真を撮影する菊地利明さん=片岸公園

 
 かつて田畑や沼地が広がり、多くの生き物が見られた釜石市片岸町の防潮堤内側エリア。2011年の東日本大震災の津波で壊滅的な被害を受け、その生息地が失われたが、環境整備が進んだ近年、さまざまな生き物が戻りつつある。昨年完成した沼地を有する片岸公園では今、多種多様なトンボが飛び交い、愛好家を魅了する。同市出身で、甲子町在住のアマチュアトンボ写真家、菊地利明さん(57)に案内してもらった。
 
 宝石のような目玉(複眼)など、その美しさや格好良さにひかれ、子どものころからトンボを追いかけてきた菊地さん。社会人になると写真撮影も始めた。仕事で一時、釜石を離れたが、その間もトンボの“宝庫”片岸町に継続的に足を運んできた。震災前、一帯では約30種のトンボが見られたという。
 
トンボを目で追い、シャッターチャンスを狙う

トンボを目で追い、シャッターチャンスを狙う

 
 震災の津波は一瞬にして生息環境を奪った。「もう元には戻らないかもしれない―」。堤防が決壊し、干潟のようになった同所を目の当たりにした菊地さんは、絶望的な状況に心を痛めた。その後、復興工事が進められ、震災から10年が経過した昨年、新しい防潮堤と水門の整備が完了。鵜住居川沿いの一角には、市民の憩いの場と減災機能を兼ね備えた「片岸公園」が整備された。
 
防潮堤、水門近くに整備された片岸公園。津波で堤防が決壊し、海水や砂が流れ込んだ状態(右下:11年4月撮影)からここまで復興を遂げた

防潮堤、水門近くに整備された片岸公園。津波で堤防が決壊し、海水や砂が流れ込んだ状態(右下:11年4月撮影)からここまで復興を遂げた

 
 トンボの幼虫(ヤゴ)は小魚やオタマジャクシなどの水生生物をえさとし、成虫はハエやカ、アブなどを食べる。生息のためには水辺と草地がある環境が必要。片岸公園はその両方を満たす生態園的役割も果たす。園内では今年、水辺の多様な植物が大きく成長。トンボの生息環境が整ってきたことで、多くの種類が目撃されている。
 
片岸公園で見られるトンボ(上段/左:シオカラトンボ、右:ショウジョウトンボ、下段/左:ノシメトンボ、右:ミヤマサナエ)

片岸公園で見られるトンボ(上段/左:シオカラトンボ、右:ショウジョウトンボ、下段/左:ノシメトンボ、右:ミヤマサナエ)
 
飛ぶ姿も魅力!飛翔能力が高い「ギンヤンマ」。右下は個体確認のため一時捕獲したオス

飛ぶ姿も魅力!飛翔能力が高い「ギンヤンマ」。右下は個体確認のため一時捕獲したオス

 
 ここでトンボが飛ぶ姿を見られるのは5~11月ごろ。種類によってピーク時期が異なり、今はギンヤンマ、シオカラトンボ、ショウジョウトンボ、アキアカネ―などが見られる。菊地さん一番のお薦めは、複眼と腹部斑紋の青色が美しい「マダラヤンマ」(国の準絶滅危惧種、本県レッドデータブックBランク=絶滅の危機が増大している)。羽の付け根がオレンジ色の「ネキトンボ」は元々、東北以南に分布するが、「ここ数年で岩手県内でも見られるようになった。地球温暖化の影響なのか、北へ生息域を広げてきている」と注目する。
 
菊地さんイチオシ!「マダラヤンマ」。腹部の青色の繊細なまだら模様が目を引く

菊地さんイチオシ!「マダラヤンマ」。腹部の青色の繊細なまだら模様が目を引く

 
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羽の付け根のオレンジ色、腹部の赤が鮮やかな「ネキトンボ」

 
 今シーズン、菊地さんが同公園とその周辺で目撃しているトンボは約20種。大型種の「オオルリボシヤンマ」、震災前にも見たことがなかったという「チョウトンボ」「ミヤマサナエ」も見ることができた。トンボは水辺を求め遠くまで飛ぶこともあり、これまで見られなかった種を“飛来”という形で見ることもあるという。
 
上段/左:タイリクアカネ、右:ナツアカネ、下段/左:交尾するアジアイトトンボ(前がオス)、右:セスジイトトンボ

上段/左:タイリクアカネ、右:ナツアカネ、下段/左:交尾するアジアイトトンボ(前がオス)、右:セスジイトトンボ

 
遊歩道からトンボを探す菊地さん

遊歩道からトンボを探す菊地さん

 
震災から11年が経過し、トンボの生息に必要な環境がそろった

震災から11年が経過し、トンボの生息に必要な環境がそろった

 
 再び、この場所でトンボが見られるようになったことを喜ぶ菊地さん。「公園はできたばかり。さらに環境が安定していけば、他から飛んできたトンボがすみつく可能性もある。いろいろな種類が増えていけば」と期待。遊歩道が整備され、観察しやすい環境となったことも歓迎し、「よく見るときれいなトンボがたくさんいる。散歩がてらゆっくり観察してみては。トンボは益虫で昔から人間の役に立ってきた。“勝ち虫”といわれ、日本人の歴史とも関わりが深いトンボにぜひ親しんでほしい」と話す。
 
※記事中トンボ写真=菊地利明さん提供

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倒壊の恐れ 危険な「特定空き家」解体 所有者不存在、釜石市が初の略式代執行

略式代執行による解体作業が始まった建物

略式代執行による解体作業が始まった建物

  
 釜石市は13日、老朽化で倒壊の恐れがある甲子町大松地内にある空き家について、所有者が不存在のため行政が費用を負担して解体する「略式代執行」による除却(取り壊し)を始めた。2015年に全面施行された空家等対策の推進に関する特別措置法に基づくもの。同執行は市内で初めてとなる。
   
 対象となった空き家は木造平屋の母屋(床面積約76平方メートル)と倉庫(同約27平方メートル)で、1956年以前に建てられたとみられる。登記簿上で所有者となっているのは林業関連の法人だがすでに解散し、77年に清算も結了しているため、適正管理などを求める者が存在しない。貸家として利用された時期もあったとの情報もあるが、20年ほど前から人の出入りは確認されておらず、2016年4月に市民から釜石消防署を通じ「危険な空き家」として情報が寄せられた。
   
外壁や窓などが崩れ落ち、倒壊の危険性が高い対象空き家

外壁や窓などが崩れ落ち、倒壊の危険性が高い対象空き家

   
 市は実態調査で外壁や屋根、柱など建物全体が著しく腐朽しているのに加え、県道に接道していることから、倒壊した場合、通行車両に被害を及ぼす可能性があることを確認。21年8月には甲子地域会議からも撤去を求める要望があり、市は今年5月に放置すれば保安上の危険、景観や生活環境に悪影響を与えるとして、倒壊などの恐れがある「特定空き家」に認定した。同6月下旬~7月末に公告。情報を求めたが連絡はなく、市民の安全安心の確保を優先とし、「所有者不存在」として略式代執行による空き家の除却に踏み切った。
   
解体する空き家の前で略式代執行を宣言する野田市長

解体する空き家の前で略式代執行を宣言する野田市長

   
 この日は午前9時半、野田武則市長が特定空き家の前で代執行を宣言し、市内業者による解体工事が始まった。作業員らは重機で屋根や外壁を取り壊した。解体工事は9月下旬までに終える予定。工事費は121万円で、5分の2の約48万円は国庫補助金、残り72万円余りを市が負担する。
  
作業員はトタンや廃材などに分別しながら作業を進めた

作業員はトタンや廃材などに分別しながら作業を進めた

  
 市によると、市内には現在約980棟の空き家があり、うち約20棟は倒壊の恐れがある。人口減や高齢化に伴い、今後も空き家は増えるとの懸念も。今回の工事執行責任者、市の菊池公男市民生活部長は「危険な空き家をつくらないような対策が重要になる。空き家バンクの運用による利活用促進と合わせ、家屋の適切管理を所有者に周知する取り組みに力を入れたい。将来を考えた管理、きちんと相続手続きを行ってほしい」と呼び掛ける。
 

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広報かまいし2022年9月15日号(No.1792)

広報かまいし2022年9月15日号(No.1792)
 

広報かまいし2022年9月15日号(No.1792)

広報かまいし2022年9月15日号(No.1792)

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【P1】
表紙

【P2-7】
防災特集

【P8-9】
情報漏えいに関する市の対応について
新型コロナワクチンに関する情報

【P10-11】
こどもはぐくみ通信
市民のひろば

【P12-13】
まちの話題

【P14】
助成金・支援金などのお知らせ

【P15-17】
まちのお知らせ

【P18-19】
保健案内板・保健だより

【P20】
イベント案内

この記事に関するお問い合わせ
釜石市 総務企画部 広聴広報課 広聴広報係
〒026-8686 岩手県釜石市只越町3丁目9番13号
電話:0193-27-8419 / Fax 0193-22-2686 / メール
元記事:https://www.city.kamaishi.iwate.jp/docs/2022091500021/
釜石市

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釜石市公式サイトと連携し、縁とらんすがピックアップした記事を掲載しています。記事の内容に関するお問い合わせは、各記事の担当窓口までお問い合わせください。
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知って!海の豊かさ 釜石市内2カ所で移動水族館 岩手大学釜石キャンパス・学生主体で地域の魅力発信

移動水族館をPRする岩手大水産システム学コースの学生

移動水族館をPRする岩手大水産システム学コースの学生

  
 釜石市只越町の釜石市役所本庁舎入り口付近にお目見えした2つの小さな水槽。シロメバル、オウゴンムラソイ、リュウゼンハゼ…などが涼しげに泳ぎ、来庁者らに「ほっとする、ひと時」を届けている。地元の海とそこで暮らす生き物に親しんでもらおうと、平田の岩手大学釜石キャンパスで水産分野の研究に取り組んでいる学生有志が企画。餌やりなどで様子を見に来た学生が来庁者に説明することもあり、地域交流の機会にもなっている。本庁舎での展示はあす15日まで。より多くの人に海の魅力を伝えるため、10月には港町のイオンタウン釜石で同様の展示を予定する。
 
大好きな魚の魅力発信に熱を込める佐々木さん

大好きな魚の魅力発信に熱を込める佐々木さん

 
 「ちょこっと、かまいSEA!」と銘打った移動水族館。同大農学部食料生産環境学科水産システム学コースで学ぶ佐々木純人(すみと)さん(4年)を中心に学生5人が、市内の漁港で釣り上げた水生生物9種を紹介する。岩場の周りを好んで生息するメバルやソイなどが入った水槽では、川から採取した石を使って海中の生息環境を再現。岩の隙間や穴に隠れる習性があるハゼのいる水槽には土管の「隠れ家」を設置し、生態を崩さないよう気を配っている。
 
 釣りや魚の飼育が好きな佐々木さん。「色は地味でも、多様な魚種が釣れるのが釜石のいいところ。魚の魅力や海の豊かさを知ってほしい」と、市民向けに発信する方法を考えてきた。水生生物や水草などを観賞用に飼育、栽培する「アクアリウム」が趣味だったこともあり、見て学べる移動水族館を発案。市学生活動支援事業の助成を受け、企画を実現させた。
 
水槽の中を泳ぐ生き物たちの特徴を来庁者に解説した

水槽の中を泳ぐ生き物たちの特徴を来庁者に解説した

 
 9日、佐々木さんらが水槽のそばに立って、来庁する市民らに声掛けした。「ハゼ、かわいい」と水槽をのぞき込む女性に学生たちが捕獲場所などを説明。おいしく食べる方法など互いに教え合ったりして触れ合いも楽しんだ。「なんか、ほっとする」「動きがあるものに親しみを感じる」「用事のついでに目の保養もできた」。訪れた市民からそんな声が聞かれた。
 
来庁者は優雅に泳ぐ魚たちの様子を眺めてリラックス

来庁者は優雅に泳ぐ魚たちの様子を眺めてリラックス

 
 10月3日~17日にはイオンタウン釜石に移動水族館が登場。水槽を3つ並べてバージョンアップさせた催しにする予定だ。16日は海の生き物たちに触れられるタッチプールも設置(午後1時~同4時)。身近にいるが、触る機会は少ないウニやナマコなどを展示する。佐々木さんは「展示を楽しみ、魚に興味関心を持つ人が増えたらうれしい。魚のまち釜石を認識する機会に」と願う。
 

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自分で浴衣を着る楽しみを子どもたちに 文化庁事業で釜石初開催「和装・作法教室」

小中高生を対象に初開講した「和装・作法教室」

小中高生を対象に初開講した「和装・作法教室」

 
 子どもたちを対象とした「和装・作法教室」が4日、釜石市で開講した。同市小佐野町に本部を置く三陸きもの学院(及川ナツ子学院長)が母体の同教室はまゆりの会(会長=及川学院長)が主催。文化庁の伝統文化親子教室事業の採択を受け、本年度初めて取り組む。10月まで全6回の教室で浴衣の着付けや和装時の礼儀作法などを学ぶ。
 
 小中高生を対象に受講者を募集。10人が申し込んだ。初回は会場の市民ホールTETTOで開講式が行われ、小学1~5年の6人と同会の指導者11人が顔をそろえた。及川会長(83)は「日本の伝統文化の着物の中で、一番着やすいのが浴衣。普段着のような感覚で着られる。自分なりにゆっくりと学んで」とあいさつ。受講生、指導者がそれぞれ自己紹介し、さっそく講習に入った。
 
 受講生が持参した浴衣と帯を使い、自分で着る方法を教えた。浴衣の丈は“くるぶし”ぐらい、外出時は若干長めが基本。この日は襟合わせ、ひもの使い方から帯の結び方まで一通りの流れを体験した。低学年は兵児(へこ)帯を結び、高学年は半幅帯で手軽な「文庫結び」に挑戦した。
 
マンツーマンで浴衣の着付けを教えてもらえる教室。手順を習ったら1人でも挑戦

マンツーマンで浴衣の着付けを教えてもらえる教室。手順を習ったら1人でも挑戦

 
ふわふわの“へこ帯”は子どもの浴衣姿を一層かわいらしく演出

ふわふわの“へこ帯”は子どもの浴衣姿を一層かわいらしく演出

 
高学年は「文庫結び」を体験。これを覚えれば「蝶結び」などのアレンジも可能

高学年は「文庫結び」を体験。これを覚えれば「蝶結び」などのアレンジも可能

 
 和装時の立ち居振る舞いも体験。履物の扱い、座敷での歩き方、座り方、立ち方、お辞儀の仕方を教わった。及川会長は「畳1畳を4~5歩で。背筋を伸ばして」などと声掛け。時と場合によって使い分ける3種のお辞儀「真礼・行礼・草礼」も紹介した。
 
 井上千里さん(双葉小1年)は「いつもはおばあちゃんに着せてもらう。今日やってみたら自分でも上手に着られてうれしかった」とにっこり。柏舘夕奈さん(甲子小4年)は「最初は難しかったけど、教わってうまく着られると達成感がある。最後には全部自分でできるようになって、着付けてくれていたおばあちゃんに見せたい」と希望。見守った夕奈さんの母直子さんは「真剣そのもの。教室が親子や祖母と孫との会話のきっかけにもなれば。国際交流の場で、日本の魅力の一つとして着物や浴衣の紹介ができるような人になってほしい」と期待した。
 
「うまくできたかな?」初めて結んだ帯の様子を指導者とチェック

「うまくできたかな?」初めて結んだ帯の様子を指導者とチェック

 
教室を主催した、はまゆりの会の及川ナツ子会長(右)。学院生らと子どもたちの指導にあたる

教室を主催した、はまゆりの会の及川ナツ子会長(右)。学院生らと子どもたちの指導にあたる

 
 教室ではこの後、浴衣の着付けや礼法の実践を繰り返しながら着物の知識なども学ぶ予定。最終の10月30日には発表会を行う。及川会長は「子どもでも思ったよりできていた」と初回の手応えを実感。今後に向け「帯もいろいろな結び方があるので、楽しみながら学んでくれたら。お辞儀の仕方もぜひ覚えてほしい。回数を重ねることで着物に興味を持ってもらいたい」と願った。
 
和装時の歩き方を学ぶ受講生。最後の発表会も楽しみ!

和装時の歩き方を学ぶ受講生。最後の発表会も楽しみ!

小佐野小学校 体操着リユースキャンペーン開催のお知らせ

小佐野小学校 体操着リユースキャンペーンのお知らせ

小佐野小学校 体操着リユースキャンペーン開催のお知らせ

 

中田薬局では、サイズが合わなくなったり、卒業や転校で不要になった体操着を次の方にバトンタッチする活動を行っています。
中田薬局 体操着リユース活動

 

今回、中田薬局小佐野店で、小佐野小学校の体操着を持ってきていただいたお子様に、ガチャガチャのコインをプレゼントするキャンペーンを開催します。1等が出たお客様には、小島製菓様の無添加ソフトクッキーのMUSUBitをプレゼントさせていただきます。

 

キャンペーン期間

2022年9月12日(月)~10月8日(土)

場所

中田薬局小佐野店

営業時間

9時~18時(月~金)
9時~12時(土)

お問い合わせ

中田薬局小佐野店 TEL:0193-21-3355

縁とらんす

かまいし情報ポータルサイト〜縁とらんす

縁とらんす編集部による記事です。

問い合わせ:0193-22-3607 〒026-0024 岩手県釜石市大町1-1-10 釜石情報交流センター内

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戦争体験者・秋元厚子さん(唐丹)鮮烈な記憶語る ユネスコ協会・図書館が講話会

自身の戦争体験を語った唐丹町の秋元厚子さん

自身の戦争体験を語った唐丹町の秋元厚子さん

 
 釜石ユネスコ協会(岩切久仁会長)は釜石市立図書館(川畑広恵館長)と共催し、3日、「戦争講話と朗読の会」を小佐野町の同館で開いた。県協会として取り組む「平和月間」行事の一環。釜石協会顧問で、唐丹町出身・在住の秋元厚子さん(87)が自身の戦争体験を語ったほか、釜石の戦災を伝える紙芝居、体験記の朗読が行われた。戦後77年―。海外ではロシアによるウクライナ侵攻終結が見えない中、戦争体験者の声は来場者らに重く響いた。
 
 秋元さんは小学5年時に太平洋戦争を経験。唐丹村立国民小学校で「日本は神の国」と指導を受け、村を挙げて出征兵士を見送った。国のために米や鉄製品も供出。敵機が頻繁に飛来するようになると、自宅庭に穴を掘って作った防空壕(ごう)へ避難。低空飛行する戦闘機の影が壕入り口の隙間から見え、恐怖におののいたという。
 
 終戦間際の1945年7月14日、同市は米海軍の艦砲射撃を受けた。釜石沖からの攻撃に防空壕は危険と判断した父の指示で、近くの山に逃げた。母は当時2歳の妹を抱いていた。「声を出すと敵機に見つかる、赤ん坊は泣かせるなと言われ、とにかくみんな無言でじっとしているしかなかった」と秋元さん。釜石には高射砲隊もいたが、「敵に(砲弾が)当たった様子はなく、失望した」という。
 
 日中戦争を経験していた父は家族に避難を促すも、自身は決して家から離れなかった。結核を患い、病床にあった長兄も動こうとしなかった。「父親は元兵士のプライド、兄は『同年代の人たちが戦っているのに自分だけ逃げることはできない』という思いがあったのだろう。兵役に行けないことがどんなにか屈辱だったのではないか」。兄が寝ていた枕元には砲弾が刺さっていたこともあった。
 

 
 戦況が厳しさを増す中、秋元さんら子どもたちは祖母と一緒に、小白浜の自宅から山間部の荒川の借家に避難。敵の攻撃を避け、片道2時間の夜の山道を歩いて移動した。「宝石を散りばめたようにホタルが光っていた」ことが記憶に残る。
 
 8月15日の終戦―。秋元さんら家族は自宅のラジオで玉音放送を聞いた。「子ども心に日本は絶対負けないと思っていたが、負けてしまった。大きな衝撃だった」。その後、日本人は殺されるという噂が聞こえてきて、さらに不安は増した。
 
 「戦争のことだけは頭から消えない」と秋元さん。現役時代は市役所に勤務、52歳から5期20年間市議を務めたが、これまで一般市民の前で自身の戦争体験を語ることはなかった。「(戦争への)関心が薄れてきているのは確か。伝えなければ」と、今回を好機と捉える。
 
艦砲射撃で教え子を亡くした石橋巌さんが制作した紙芝居の朗読。34人が聞き入った

艦砲射撃で教え子を亡くした石橋巌さんが制作した紙芝居の朗読。34人が聞き入った

 
元釜石高等女学校生徒が寄稿した戦争体験を朗読

元釜石高等女学校生徒が寄稿した戦争体験を朗読

 
 講話の後、読書サポーター颯・2000のメンバー2人と同図書館長による朗読も行われた。釜石が受けた艦砲射撃の悲惨さを伝える紙芝居「私の昭和20年7月14日」=石橋巌/作、遠野市に集団疎開した釜石高等女学校生徒の証言書簡集「八月のあの日 乙女たちの仙人越え」=箱石邦夫/編から6編を語り聞かせた。この日は、編者で、釜石南高勤務時に生徒たちと当時の女学生から体験記を集めた元教諭の箱石さん(81、盛岡市在住)も駆け付け、講話と朗読に聞き入った。
 
書簡集編者の箱石邦夫さん(前列右から2人目)

書簡集編者の箱石邦夫さん(前列右から2人目)

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コロナ下でも「やりたい」を実現 釜石高で学校祭 生徒ら、青春の思い出刻む

文化祭を楽しむ釜石高の生徒ら=2日

文化祭を楽しむ釜石高の生徒ら=2日

 
 県立釜石高(青木裕信校長、全日制422人、定時制12人)の「釜高祭」は2、3日、釜石市甲子町の同校で開かれた。釜石南と釜石北の両校の統合から15回目の学校祭。新型コロナウイルス感染症の影響が続き、3年連続で一般公開は見送った。制約が多い中でも「我等(われら)青春謳歌(おうか)隊」をテーマに、できる対策をとって生徒たちの「やりたいこと」を実現。催しやステージ発表で団結を示して特別な思い出を刻んだ。
 
 同校では、感染症の流行で行事が規模縮小になったり部活動の大会が中止になったりと多くのことが制限されてきた。特に3年生は入学時からコロナ禍で過ごし、一番楽しい思い出づくりとなるはずの修学旅行が延期の末、中止された。同祭実行委員長の菊池瑞穂さん(3年)は「高校生は青春をもっとも楽しめる時期。青春を謳歌したい。制約はあるが、思い出をつくる場面、やりたいことは自分たちの手で実現させる」と準備。市内の感染状況を踏まえ非公開としたが、ステージ発表などはユーチューブでライブ配信し、保護者らに校内の雰囲気をアピールした。
  
化学の実験道具でスライム作りに挑む女子生徒=2日

化学の実験道具でスライム作りに挑む女子生徒=2日

 
男子生徒は対戦ゲームに熱中した=2日

男子生徒は対戦ゲームに熱中した=2日

 
模擬店担当の3年生は調理に大忙し=2日

模擬店担当の3年生は調理に大忙し=2日

  
 初日は午後から各クラスの出し物を見て回った。1年生は段ボールで作った迷路やシューティングゲームなどの遊びを企画し、2年生はお化け屋敷を運営。3年生はフライドポテトやチョコバナナなどを売る模擬店で楽しい1日を演出した。文科系クラブは作品展示で活動成果を発表。文部科学省の指定を受けるスーパーサイエンスハイスクール(SSH)事業の探究活動について、グループ単位で研究成果をまとめたポスターも紹介された。
  
装飾フォトスポットで撮影を楽しむ生徒=2日

装飾フォトスポットで撮影を楽しむ生徒=2日

 
知的好奇心が光る探究活動の成果を紹介=2日

知的好奇心が光る探究活動の成果を紹介=2日

 
 藤井魁都君(1年)は「親とかに見てもらえないのは残念だけど、中止せずに開催してもらい、うれしい。先輩の活動を見て、いいところを取り入れて、もっといい企画を作り上げられるようにしたい」と刺激を受けた。
  
バンド演奏などで文化祭を盛り上げた=3日

バンド演奏などで文化祭を盛り上げた=3日

  
 ステージ発表は3日に実施。体育館で有志によるダンスやバンド演奏があり、多彩な才能を見せた。音楽、吹奏楽部による演奏披露もあった。密になるのを防ぐため、前日に3年生だけで楽しむ機会が設けられた。
 
「銀河鉄道」をモチーフにした定時制の展示コーナー=3日

「銀河鉄道」をモチーフにした定時制の展示コーナー=3日

 
 定時制の文化祭テーマは「歩協和音」。将棋の「歩(ふ)」からとり、「一人の力は小さいかもしれないが、みんなで一つのものを作り上げよう」との思いを込めた。展示は、体験学習で訪れた花巻市の宮沢賢治記念館などから着想を得て「銀河鉄道」をメインモチーフに。日ごろの学習や部活動の様子も掲示した。
 
「こすもっチ」を販売した定時制の生徒=3日

「こすもっチ」を販売した定時制の生徒=3日

 
 農業体験学習で育てたジャガイモを使った焼き菓子「こすもっチ」は3日、1日限定で販売した。「自分たちで育てたことで食材を大事にする気持ちを育むことができた」と生徒会長の佐々木遼(はる)君(3年)。生徒数は少ないが、一人ひとりが頑張りながら学習、生活を楽しんでいるといい、「学年間の壁をなくし、いろんな活動に協力して取り組んでいきたい」と気持ちを新たにした。
 

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震災乗り越え群落形成へ 絶滅危惧植物「ミズアオイ」釜石・片岸町で2年目の開花

片岸公園内の沼地で花を咲かせる「ミズアオイ」

片岸公園内の沼地で花を咲かせる「ミズアオイ」

 
 東日本大震災前、釜石市片岸町の水田地帯に自生していた絶滅危惧植物「ミズアオイ」。津波による被災でその姿を消していたが、震災から11年が経過した今年、群落復活の兆しを見せ始めている。市が整備した遊水池と公園内の沼地で発芽が見られ、8月下旬からは青紫色の花が開花。訪れる人の目を楽しませる。市民らは自然の再生力に驚きながら、かつての原風景復活に期待を寄せる。
 
 ミズアオイは水田地帯や沼地に生える1年草の植物。古くから全国で見られたが、除草剤の使用や水路整備などの成育環境の変化で数が減り、国の準絶滅危惧種、本県レッドデータブックAランク(絶滅の危機にひんしている)に指定される。
 
背丈20~40センチの柔らかい茎の先端に複数の花をつける

背丈20~40センチの柔らかい茎の先端に複数の花をつける

 
青紫色の花被片は6枚。黄色の雄しべとのコントラストが美しい

青紫色の花被片は6枚。黄色の雄しべとのコントラストが美しい

 
 片岸町では約50年前、防潮堤内側の水田地帯にミズアオイの大群落があったが、年々その数は減少。2000年代には所々で見られる程度になっていた。07年、水路改修で生息域を追われる水生生物のために、市内の環境保護団体「かまいし環境ネットワーク」が休耕田を利用してビオトープ(生物生息空間)を整備。土を掘り起こしたことで眠っていたミズアオイの種が芽生え始めた。“水田雑草”とも言われるミズアオイは、田おこしのような土壌のかき回しが発芽条件の一つとされる。
 
 10年には同所で群落が確認できるまでになっていたが、翌11年の震災津波で一帯は壊滅的な被害を受けた。同ネットワークは12年、ミズアオイの復活プロジェクトを始動。専門家らの助言で、かつて群落が確認された場所を重機で掘り、津波で堆積した砂や泥の下にある田んぼの土を採取。栗林町に移し発芽実験を行ったところ、土中に残っていた種からの発芽に成功した。後に鵜住居町田郷の休耕田への移植、漁業用水槽での育成によって命をつないだ片岸のミズアオイは、昨年完成した「片岸公園」の沼地に土ごと返された。
 
震災復興で新設された防潮堤の内側にある「片岸公園」。水辺には多様な植物が生える

震災復興で新設された防潮堤の内側にある「片岸公園」。水辺には多様な植物が生える

 
10年ぶりに古里・片岸に戻り、群落を見せ始めたミズアオイ

10年ぶりに古里・片岸に戻り、群落を見せ始めたミズアオイ

 
 一方で、同じく昨年完成した遊水池では、整備で土が掘り起こされたことで土中に眠っていたとみられる種が自然発芽。片岸公園、遊水池ともに昨年、今年と2年連続で開花が確認された。
 
 3日、現地を訪れた盛岡市の松森猛さん(72)は「自然の回復力は素晴らしい。加えて(保護のため)手を入れてくれた人たちがいたのはありがたいこと」と感心。50年ほど前、仕事の関係で片岸町に暮らしたことがあるが、「その時は全然分からなかった。ミズアオイという植物自体も今回初めて知った。花もきれい」と新たな発見を喜んだ。
 
室浜に向かう高台道路下付近に整備された遊水池

室浜に向かう高台道路下付近に整備された遊水池

 
10年の眠りから覚め、発芽・開花した遊水池のミズアオイ

10年の眠りから覚め、発芽・開花した遊水池のミズアオイ

 
遊水池で自然発芽したミズアオイを愛でる「かまいし環境ネットワーク」の加藤直子代表

遊水池で自然発芽したミズアオイを愛でる「かまいし環境ネットワーク」の加藤直子代表

 
 保護活動に取り組んできた同ネットワークの加藤直子代表(75)は「すごい生命力」とミズアオイが持つ強さに驚嘆。長年、一帯の自然環境を注視してきた経験から「水があり、植物、昆虫、野鳥と豊富な生物が共存する環境があるからこそ、ミズアオイも育つことができるのではないか。その環境を整えてあげることが大事。また眠りに入る可能性もあるが、しばらくは自然のまま見守りたい」と話した。花はあと1週間ぐらいは楽しめそうだ。
 
3日は、前日のニュース番組での紹介もあり、見学者が続々と訪れた=3日、片岸町・遊水池

3日は、前日のニュース番組での紹介もあり、見学者が続々と訪れた=3日、片岸町・遊水池

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自分でさばいてみよう!釜石の魚 サン・フィッシュ鮮魚店指導 魚食普及へ初の教室

サン・フィッシュ釜石で開かれた「魚のさばき方教室」

サン・フィッシュ釜石で開かれた「魚のさばき方教室」

 
 釜石市鈴子町の駅前橋上市場「サン・フィッシュ釜石」で8月22日、一般市民を対象とした魚のさばき方教室が開かれた。水産業の活性化に取り組む同市の担い手型地域おこし協力隊員、清原拓磨さん(24)が主催。地元の海で取れるものの、数量が少なく流通しにくい魚種の利用促進につなげようと初めて企画した。同市場の鮮魚店店主らが講師となり、未経験者らに魚のさばき方の基本を教えた。
 
 高校生から一般まで10人が参加した。用意されたのはこの日朝に地元で水揚げされた約10種で、アジやタナゴ、チダイのほか、タチウオ、シイラなど食卓にはあまりなじみのない魚も。参加者は好みの魚を選び、鮮魚店店主らから手ほどきを受けながら三枚おろしに挑戦した。さばいた魚は刺し身などにし、昼食で味わった。
 
サン・フィッシュの魚屋さん(左)が「三枚おろし」を教えた

サン・フィッシュの魚屋さん(左)が「三枚おろし」を教えた

 
 釜石商工高総合情報科の3年生6人は、授業の一環で地域課題解決に取り組む研究グループのメンバー。7月から同市場と連携した活動を進めていて、この日の教室が初の実地体験となった。リーダーの下形彩夏さんは普段から魚はよく食べるというが、自分でさばくのは初めて。「骨と身を分ける、包丁の入れ方の角度が難しかった。今日学んだことで家でもできそう」と手応えを実感。調理系学校への進学を希望しており、「いい経験になった」と喜んだ。
 
市場を運営する釜石駅前商業協同組合の八幡雪夫理事長から包丁の扱い方を学ぶ釜石商工高生"

市場を運営する釜石駅前商業協同組合の八幡雪夫理事長から包丁の扱い方を学ぶ釜石商工高生

 
教わった方法で魚をさばく岩手大の学生。手先に神経を集中

教わった方法で魚をさばく岩手大の学生。手先に神経を集中

 
 岩手大人文社会科学部3年の照内雄貴さん(20)は、震災復興に関わる活動を行うサークル、三陸委員会「ここより」の代表。メンバー3人で参加した。「生の魚に触るのも初めて。1匹目は苦戦したが、2匹目はある程度自分でもできた。大変だけど自分でさばいた分、愛着が湧く」と照内さん。大学の講義で魚食の衰退についても学び、「(魚食文化を)継承していくことが、地元水産業を守ることにもつながると思う」と話した。
 
 主催した清原さんは岩手大在学中に水産システム学コースを専攻。今年7月から着任した地域おこし協力隊では魚食普及コーディネーターとして水産振興分野を担う。特に注目するのが、水揚げ量は少ないが実はおいしいという地元の未利用魚の活用。「これまではイワシやサンマ、サケなど単一魚種を大量漁獲する漁業が主流だったが、近年の海洋環境の変化で水揚げ量は減少傾向。そうした変化に対応した魚の消費の仕方があるのでは」と、多様な魚種の持続的活用を提案する。
 
釜石の海で漁獲された多様な魚(左上)も紹介

釜石の海で漁獲された多様な魚(左上)も紹介

 
魚への包丁の入れ方を教える清原拓磨さん(右)

魚への包丁の入れ方を教える清原拓磨さん(右)

 
 構想実現への第一段階として企画した今回の教室。年内は月1回ペースでの定期開催を目指す。清原さんは「地元飲食店でもどんどん使ってほしい。地元の魚を出している飲食店の認証などで、外から来た人も“魚のまち”を実感できるようになれば」と夢を描く。
 
自分たちでさばいた魚の刺し身を前に笑顔を見せる釜石商工高生

自分たちでさばいた魚の刺し身を前に笑顔を見せる釜石商工高生

 
今年4月、市場内に設置された「みんなのキッチン」は誰でも利用可能。問い合わせは同管理事務所(TEL0193・31・3668)へ

今年4月、市場内に設置された「みんなのキッチン」は誰でも利用可能。問い合わせは同管理事務所(TEL0193・31・3668)へ