県内外のクラフト作家 釜石・TETTOに大集合 対面販売、製作体験 新たな出会いの場創出


2023/09/12
釜石新聞NewS #地域

県内外からの出店があった釜石市民ホール主催イベント「きっとてっと」

県内外からの出店があった釜石市民ホール主催イベント「きっとてっと」

 
 釜石市大町の市民ホールTETTO(谷澤栄一館長)で3日、手作り品の販売やトーク、映画などを楽しめるイベント「きっとてっとwith釜石手仕事マルシェ」(同館主催)が開かれた。さまざまな“出会い”“つながり”の場にしてもらおうと企画。釜石青年会議所、かまいしDMC、釜石まちづくり会社が共催した。館内は一日を通して多くの来場者でにぎわい、たくさんの交流の輪が広がった。
 
 県内外から55店が出店した。ハンドメイドのアクセサリーや和洋の雑貨、木製品などの販売のほか、似顔絵、占い、アロマテラピーの提供も。ハーバリウム、点描アートの製作、多肉植物の寄せ植えを体験できるコーナー、各地で人気の軽食メニューの販売もあり、来場者は興味をそそられながら各ブースを回った。
 
美大出身の伊藤和香さん(盛岡市)の似顔絵コーナーに足を止める来場者

美大出身の伊藤和香さん(盛岡市)の似顔絵コーナーに足を止める来場者

 
フルーツピクルスのドリンクなどを販売した「ピクルスの森FUMOTO」(盛岡市)

フルーツピクルスのドリンクなどを販売した「ピクルスの森FUMOTO」(盛岡市)

 
「どれにしようかな?」かわいいアクセサリーに子どもも目がくぎ付け

「どれにしようかな?」かわいいアクセサリーに子どもも目がくぎ付け

 
 「かわいいものばかりで目移りしちゃって。あれもこれも…」。アクセサリーコーナーで声を弾ませた大槌町の越田歩夢さん(24)。「手作りで一点ものなのもいい」と魅了され、「とりあえず一通り回ってから決めようかな」とほほ笑んだ。最近、おしゃれに目覚めたという長女朝比ちゃん(3)は、歩夢さんに買ってもらったイヤリングをさっそく身に着けてにっこり。親子で女子ならではの楽しみを満喫した。
 
 プリザーブドフラワーやドライフラワーをガラス瓶に入れ、専用オイルで満たす人気のインテリア小物「ハーバリウム」の製作体験コーナー。市内の80代女性は「作業は大変だけどきれい」と完成品を手に大喜び。普段は趣味でアクセサリー作りを楽しみ、友人にもプレゼント。「ものづくりはできた時のうれしさが格別。失敗しながら何度も挑戦したりするとなおさら」と魅力を語った。
 
インテリア小物としても人気の「ハーバリウム」の製作体験。出来栄えを想像しながら作業に集中

インテリア小物としても人気の「ハーバリウム」の製作体験。出来栄えを想像しながら作業に集中

 
 ハーバリウム講師の千葉祐衣さん(37)=花と香りの雑貨Nine Horses=は一関市から出店。「開けた空間で人の出入りも多いイベント。長時間滞在し、ゆっくり過ごしている方も多いよう」と好印象。「沿岸にもすてきな作家さんが多い。こういう機会を通じてもっと輪が広がっていけば」と期待した。
 
 手仕事マルシェは昨年、釜石青年会議所が初開催。今年はTETTOのイベントと抱き合わせにすることで、さらなる誘客、交流の促進を狙った。多種多様な出店は、釜石市上中島町で革製品の製作販売を行う佐々木郁子さん(49)=Shifa=の声掛けによるところが大きいという。内陸部のイベントに出店する機会が多い佐々木さん。各地で知り合った作家仲間に参加を呼び掛けると、予想以上の反応があったという。「イベントは商品や顔を知ってもらう絶好の機会。地元釜石でも開催が増えていけば」と願った。
 
釜石市で革製品の製作販売を行う「Shifa」の佐々木郁子さん(中央)。「店に足を向けるきっかけにも」と地元でのイベント開催を喜ぶ

釜石市で革製品の製作販売を行う「Shifa」の佐々木郁子さん(中央)。「店に足を向けるきっかけにも」と地元でのイベント開催を喜ぶ

 
多肉植物の寄せ植え体験。会場内には「やってみたい!」をかなえるブースが複数並んだ

多肉植物の寄せ植え体験。会場内には「やってみたい!」をかなえるブースが複数並んだ

 
奥州市の伊藤えりかさん(flor de Luz)は点描アートを紹介。体験者も興味津々

奥州市の伊藤えりかさん(flor de Luz)は点描アートを紹介。体験者も興味津々

 
 人と人をつなぐ仕掛けは他にも。「自然と共に生きる―ここで暮らしていきたい理由(わけ)」と題したトークセッションでは、震災などを機に釜石、大槌に移り住んだ4人をゲストに迎え、普段の暮らしぶりについて話を聞いた。釜石市甲子町を拠点に林業や木製品の製作販売を行う石塚勇太さん=森結(もりむすび)=は本業のかたわら、自然観察や森林学習の講師、森での遊びイベントの企画を手がける。「森には子どもの創造性、発想性を広げる力がある。地域に開かれた自然の遊び場を作りたい」と、釜石発の“里山復活”への夢を語った。
 
自然との共生をテーマにしたトークセッション。ゲストの石塚勇太さん(中)=森結、兼澤幸男さん(右)=MOMIJI(大槌町)

自然との共生をテーマにしたトークセッション。ゲストの石塚勇太さん(中)=森結、兼澤幸男さん(右)=MOMIJI(大槌町)

 
 障害の有無、国籍、性別、年齢などにかかわらず、互いを認め共生する「インクルーシブ社会」実現への一助にと、バリアフリーを意識した映画上映会も開催。車いす、バギーのまま入場可能な平場のスペース、明るめの照明、控えめの音響…。誰もにやさしい鑑賞環境を整え、来場者を迎えた。
 
 イベントには市内外から1千人以上が足を運び、魅力的な人、物との出会いを楽しんだ。
 
終始、人の流れが続いた「きっとてっと」。来年の開催にも期待!

終始、人の流れが続いた「きっとてっと」。来年の開催にも期待!

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