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写真で日常を楽しめ!釜石・フォトライフ 第25回記念展 自由な表現「淡々と」

写真愛好者らの集いの場になる「フォトライフ写真展」

写真愛好者らの集いの場になる「フォトライフ写真展」

 
 合言葉は「楽しく撮影、楽しく展示」―。フォトライフを楽しむ人たちが「見てもらいたい」作品を並べる写真展が9日まで、釜石市大町の市民ホールTETTOで開かれた。25回目の記念展には撮影者が出合い、心動かされた「日常」がずらり。市内外の20人が80点を出品し、身近な四季折々の風景や動植物、旅の思い出、家族のスナップ、商業写真…などで多彩な視点を見せた。
  
 写真を通じて日常を楽しんでもらおうと、フォトライフ写真展実行委員会(多田國雄代表)が主催。独自に撮影を楽しんでいる写真愛好者らが展示を通じ交流を深める場となっている。地元の写真家、故浅野幸悦さんが中心になって1997年からスタート。浅野さんの亡き後、遺志を継いだ多田代表らが回を重ねてきた。新型コロナウイルス感染症の影響で2年間自粛。昨年から再開した。
 
写真は6ツ切サイズが基本形。台紙は手作りとこだわりも

写真は6ツ切サイズが基本形。台紙は手作りとこだわりも

 
 作品は6ツ切サイズに統一しているが、展示は気軽な自由参加が基本。浜町の石田登茂子さん(74)は、和歌山県・南紀白浜を巡る旅の思い出や“あこがれの大スター”パンダの愛らしい姿を写した作品を出品した。近所の散歩コースで捉えた作品「華やぐ春」ではシダレザクラとツバキの競演を狙った。「好きな所に行って、好きなものを撮る。健康でいないとね」といたずらっぽく笑った。
  
来場者に撮影秘話などを伝える石田登茂子さん(右)

来場者に撮影秘話などを伝える石田登茂子さん(右)

  
 甲子町の菊池弘さん(86)は、フィルム写真にこだわりを持って活動している。「自覚はない」が、最高齢の出品者。好みの被写体は自然風景や躍動的な郷土芸能などだが、年齢を重ね、最近はカメラを携えて遠出する機会は減った。今回は数年前に撮った「憧れの山(アルプス)」「聖火が釜石に来た!!」など3点を紹介。「現像した時に思い通りの画が写し出された喜び」や独特の風合いを楽しんでもらった。
  
 特別企画として、「ありがとう!! SL銀河」コーナーを設置。6月に運行を終えた観光列車を10数年追いかけた愛好者ら10人が20点余りを並べた。勾配のある釜石線を力強く走行する場面、疾走感あふれる車輪、機関士との交流など、さまざまな表情が来場者の目を引いた。
  
SL銀河の写真を並べた企画コーナーでは会話が弾む

SL銀河の写真を並べた企画コーナーでは会話が弾む

 
撮りたいもの発見!展示会場でカメラを構える多田代表(右)

撮りたいもの発見!展示会場でカメラを構える多田代表(右)

  
 淡々と四半世紀-。多田代表(80)はつぶやいた。2011年3月の東日本大震災で仕事場(看板業)も自宅も失ったが、同年11月には新たな作業場で同展示会を実行。「負けないぞ」というよりは、「(津波は)いつか来ると思っていたから、たいしたことない…そんな感じだった」。手元に残った携帯電話のカメラで撮影した作品などを仲間と共に並べた。
 
写真を通じて日常を楽しんでいる出品者たち

写真を通じて日常を楽しんでいる出品者たち

 
記念展を彩った創設者・故浅野幸悦さんの作品(左)

記念展を彩った創設者・故浅野幸悦さんの作品(左)

 
 記念展には浅野さんの作品1点、スタート時から使い続ける案内パネルも持ち込んだ。過去に浅野さんの子どもたちが出展したことがあったといい、「親の背中を見ていたのかな。そうやってこの写真展が続いていくのだろうと、印象深い出来事だった」と多田代表。「節目のとなる展示に役割を果たした」と肩の力を抜いた。
 

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広報かまいし2023年10月15日号(No.1818)

広報かまいし2023年10月15日号(No.1818)
 

広報かまいし2023年10月15日号(No.1818)

広報かまいし2023年10月15日号(No.1818)

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【P1】
表紙

【P2-3】
釜石よいさイベントレポート

【P4-5】
いざという時に、正しい避難ができるよう備えましょう

【P6-7】
まちの話題
イベント案内

【P8-9】
まなびぃ釜石

【P10】
新型コロナワクチン接種のお知らせ 他

【P11-13】
まちのお知らせ

【P14-15】
保健案内板
保健だより

【P16】
「いわて釜石RFC・中学生フランス派遣」リポート

この記事に関するお問い合わせ
釜石市 総務企画部 広聴広報課 広聴広報係
〒026-8686 岩手県釜石市只越町3丁目9番13号
電話:0193-27-8419 / Fax 0193-22-2686 / メール
元記事:https://www.city.kamaishi.iwate.jp/docs/2023091200041/
釜石市

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釜石市公式サイトと連携し、縁とらんすがピックアップした記事を掲載しています。記事の内容に関するお問い合わせは、各記事の担当窓口までお問い合わせください。
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秋の味サンマ 厳しさ続くも…漁場、南下? 釜石入港第1船 三陸沖で漁、好転期待

釜石港に今季初のサンマが水揚げされた

釜石港に今季初のサンマが水揚げされた

 
 釜石市の新浜町魚市場に10日、今季初のサンマが水揚げされた。昨年より1カ月以上も遅くなったが、量は若干上向き感のある約5.5トン。漁場の南下もあるといい、今回初水揚げとなったサンマは三陸沖で漁獲したものだ。厳しい状況が続く“秋味”だが、関係者は「あと2カ月…好転を」と期待する。
 
 釜石港に入ったのは千葉県南房総市の「第一安房(あわ)丸」(120トン、鈴木勇人漁労長、16人乗り組み)。大型船漁解禁日の8月20日以降、拠点とする花咲港(北海道根室市)から東に約1300キロの北太平洋公海で操業していたが、最近は漁場が南下。10月8、9日に釜石港から約150キロの三陸沖で漁獲したものを運んだ。
 
「第一安房丸」の入港を釜石の漁業関係者が見守る

「第一安房丸」の入港を釜石の漁業関係者が見守る

 
釜石に初サンマを届けた第一安房丸の乗組員ら

釜石に初サンマを届けた第一安房丸の乗組員ら

 
 大きさは1匹100~110グラムの中小型が中心で、価格は1キロ当たり700~750円で取引された。「量も身の付きも去年よりはいいと思う」と鈴木漁労長(45)。今年はロシア主張排他的経済水域(EEZ)内の操業が2年ぶりに解禁となったが、そこまで行かずとも漁ができているという。「(魚影は)薄い気もするが、近年にない水域で見えたりもする。燃料高騰ということもあるから、近い漁場だといい」と“まずまず”の反応。ただ、漁業を取り巻く環境は厳しさを増しており、「能力なりに、1日でも長く操業ができれば」と望みをかける。
 
次々と水揚げされるサンマ。乗組員にも力が入る

次々と水揚げされるサンマ。乗組員にも力が入る

 
三陸沖で漁獲されたサンマ。漁の好転に期待する

三陸沖で漁獲されたサンマ。漁の好転に期待する

 
 ほぼ全量を買い取った新浜町の水産加工会社「平庄」の平野隆司社長(47)は「全体的に少ない。量がまとまらないと厳しい。これから本当に取れるのか」と不安をのぞかせる。一方、「漁場が近くなって」との話を聞くと、「サンマ漁は11月いっぱい。2カ月あるから、期待はしている」と前向きに捉えた。この日水揚げされた大部分は関東方面に鮮魚出荷された。
  
 釜石港の昨年のサンマ水揚げ量は202トン(取引額約1億1544万円)。過去最低となり、漁業関係者の実感は厳しいものになった。

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橋野鉄鉱山・三番高炉跡周辺で「長屋跡」確認 発掘調査成果を一般公開 遺物展示は12/8まで

国史跡「橋野高炉跡」で行われる発掘調査の一般向け現地説明会

国史跡「橋野高炉跡」で行われる発掘調査の一般向け現地説明会

 
 釜石市が本年度実施した「橋野鉄鉱山」高炉場跡の発掘調査の成果が9月30日、一般に公開された。同調査は市が2018年から進める「橋野高炉跡範囲内容確認調査」の一環。昨年度から着手している三番高炉跡周辺の調査で、高炉西側にあったとされる長屋の建物跡を確認。水路跡などを含む調査遺構からは作業員の生活を物語る陶磁器や飲料瓶、文房具などが見つかった。
 
 調査は7月から10月までの予定で実施。1860年代初頭(江戸時代末期)に描かれた高炉絵巻にある、三番高炉西側(川沿い)の長屋3棟の遺構確認を目的に試掘調査が行われた。想定地4カ所のうち3カ所を試掘したところ、最も南側で長屋建物跡1棟を確認。絵巻に描かれている地点とおおむね一致する。今回の調査では柱穴の並びから約12坪の規模が検出されたが、1892(明治25)、94(同27)年の建物記録では15坪の長屋が記録されていることから、さらに大きい可能性がある。
 
 遺構内からは「鍛冶炉」の下部構造と考えられる粘土塊や炭跡が見つかり、銑鉄を製品化する延べ鉄を作っていた可能性がある。周辺からは鍛冶用フイゴの羽口とみられる破片も見つかった。今後、土間などの間取り構造を調べていく予定。長屋跡の試掘ではこの他、斜面部に土留め用と推定される石垣も確認されており、付近に建物遺構が埋蔵されている可能性があるという。
 
長屋建物跡が確認された発掘現場。遺構内から鍛冶炉の痕跡(写真黄丸)が見つかった

長屋建物跡が確認された発掘現場。遺構内から鍛冶炉の痕跡(写真黄丸)が見つかった

 
長屋想定地の斜面部で見つかった石垣。土留め用に石を積んだものか?

長屋想定地の斜面部で見つかった石垣。土留め用に石を積んだものか?

 
 今回は補足調査として、一番高炉(南)から三番高炉(北)に続く水路跡、高炉場の入り口・大門跡などについても調査が行われた。地中に埋まっている水路の両側の石垣には、人が横断するために長い石が架けられているのが確認された。暗渠(あんきょ、カルバート)と呼ばれる構造で、渡された石の下を水が流れていたと推定される。水路内部では鉄鉱石や鉄さびで変色した土、石が見られたほか、鉄銭を作る際に溶かした鉄を鋳型に流すための鉄製しゃもじの一部も出土した。
 
写真下(南)~上(北)に石垣が連なる水路跡。高炉に風を送るフイゴを水車の力で動かすため、3基の高炉沿いに水を流していた

写真下(南)~上(北)に石垣が連なる水路跡。高炉に風を送るフイゴを水車の力で動かすため、3基の高炉沿いに水を流していた

 
写真左:水路幅は約1.2メートル(場所により増)。同右:発掘した水路内部。鉄分でさびた石などが見える

写真左:水路幅は約1.2メートル(場所により増)。同右:発掘した水路内部。鉄分でさびた石などが見える

 
暗渠構造の水路部分。横に渡した石の下を水が流れる(写真黄丸)

暗渠構造の水路部分。横に渡した石の下を水が流れる(写真黄丸)

 
 出土遺物は橋野鉄鉱山インフォメーションセンターで12月8日まで公開されている。鉄銭やヤスリ、フイゴの羽口片など製鉄に関する出土品のほか、作業員の暮らしに関わるものが見られる。墨つぼに筆を入れる筒がついた携帯用の文房具「矢立て」、硯(すずり)の破片は初出土。他に、今のノート代わりとなる石盤、きせる、紅皿、陶磁器の破片、ランプのかさ、ビール瓶など、江戸末期から昭和初期の生活用品が多数、出土している。
 
今回の発掘調査で見つかった出土遺物。左下は鉄製しゃもじの一部。右上はフイゴの羽口片

今回の発掘調査で見つかった出土遺物。左下は鉄製しゃもじの一部。右上はフイゴの羽口片

 
遺物は橋野鉄鉱山インフォメーションセンターで12月8日まで展示

遺物は橋野鉄鉱山インフォメーションセンターで12月8日まで展示

 
 現地説明会で調査成果を報告した市世界遺産課の髙橋岳主査は「絵巻とほぼ同じ位置に長屋建物があったことが確認できた。来年度以降の本格的な調査で建物内部の間取り、鍛冶炉の作業状況が分かるかもしれない」と期待する。
 
 説明会に参加した野田町の男性(75)は「毎回、新しく分かることがあって面白い。今回は高炉で作った鉄でお金も作っていたことを初めて知った。話を聞いたり遺物を見たりすると、当時の操業の様子に想像が膨らむ」と話した。

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より良い地域を残すには…釜石ユネスコ協会・SDGs勉強会 「気象」に着目、対策考える

気象の変化を知ることでSDGsを考える勉強会

気象の変化を知ることでSDGsを考える勉強会

  
 釜石ユネスコ協会(岩切久仁会長)は3日、SDGs(持続可能な開発目標)について理解を深める勉強会を釜石市大町の青葉ビルで開いた。昨年に続いて2回目で、今回はSDGsが掲げる17の項目のうち13番目にあたる「気候変動に具体的な対策を」に注目。気象予報士の佐々木道典さん(74)=甲子町=を講師に地域の気象の変化や特徴を学び、地球温暖化防止に向けできることを考えた。
   
講師の佐々木道典さん。釜石市内にいる気象予報士は2人だけ

講師の佐々木道典さん。釜石市内にいる気象予報士は2人だけ

   
 佐々木さんは「地球温暖化で釜石は」と題して講話。世界の平均気温がこの100年で約1.09℃上昇しているというが、この1℃の変化は「地球全体では大きいこと。0℃で凍るが、1℃では凍らない。99℃で沸騰しないが、100℃では沸騰する。この違いを考えてみて」と促した。日本全体では1.3℃上昇。人的活動が活発な地域の変化はより大きく、東京3.2℃、名古屋2.9℃、大阪2.6℃、福岡3.9℃増となっている。
   
 そのうえで、「釜石はどれくらい上がっている?」とクイズを出題。気温を測っている地域気象観測システム(アメダス)が設置された1976年以降の気象記録を示し、「平均気温が45年で2.5℃急上昇。釜石は最高気温で日本一となることもあり、もしかしたらもっと上がっているかも」とした。夏日(25℃以上)・真夏日(30℃以上)・猛暑日(35℃以上)・真冬日(0℃以下)の年別出現日数(最高気温)のグラフも見せ、「2011年以降は猛暑日が急増。1970年代に10日ほどあった真冬日は減り、2000年以降は1日あるかないか。温暖化の証明の一つ」とした。
   
未来の地域像を示して温暖化対策の必要性を訴えた

未来の地域像を示して温暖化対策の必要性を訴えた

   
 年間降水量、風速の変化に加え、海洋状況の変化も解説。海水温の上昇が異常気象を誘発する一つの要因だと考えられ、「次世代の暮らしを考えると恐ろしい。人類が生存不可能な地域にならないよう、本気で取り組まなければ」と指摘。対策を講じなかった場合の「〇年後の釜石」を想像し、「時すでに遅しとならないよう一人一人が行動を。関係機関に働きかけ続けるのも大事。最低でも今の状況を維持するため、みんなで力を合わせ、よい地球を残したい」と締めくくった。
   
 同協会員や一般市民ら約30人が耳を傾けた。温暖化による気温上昇などを感じている人は多いが、グラフなど数字で示されて危機感を確かにした様子で、釜石の海抜と海水面上昇による災害や、アメダスの設置場所について質問。「地域を未来に残すため、私たちにできる対策は?」との問いかけに、佐々木さんは家庭での節電や公共交通の利用、リサイクル活動などを挙げた。
   
参加者は佐々木さんの話にじっくりと耳を傾けた

参加者は佐々木さんの話にじっくりと耳を傾けた

  
勉強会後に佐々木さん(奥右)を囲む岩切久仁会長(同左)ら

勉強会後に佐々木さん(奥右)を囲む岩切久仁会長(同左)ら

   
 SDGsは2015年に国連で決めた世界の約束。30年までに先進国も発展途上国もより良い時代をつくろうと目標を掲げる。「今は15年間の真ん中あたり。日常の中でリサイクル、物を大事にする機運が少しずつ醸成されている。ささやかなことでも一人一人が勉強し、それに向かっていけば大きな力になる」と信じる岩切会長。視点を変えて勉強会を続ける考えだ。
 

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南極観測隊を同行取材 岩手日報社記者が釜石・栗林小で講演 児童ら興味津々「行ってみたい」

栗林小で開かれた第63次南極地域観測隊同行・菊池健生さん(岩手日報社記者)講演会

栗林小で開かれた第63次南極地域観測隊同行・菊池健生さん(岩手日報社記者)講演会

 
 釜石市の栗林小(八木澤江利子校長、児童32人)で9月28日、第63次南極地域観測隊(越冬隊)に同行した岩手日報社報道部記者・菊池健生さん(32)の講演会が開かれた。同校と栗橋地区まちづくり会議(洞口政伸議長)が共催。49次隊(夏隊)に同行した同社報道部第二部長の鹿糠敏和さん(44)も来校し、2人で南極の自然環境や観測隊の任務、昭和基地での暮らしぶりなどを伝えた。全校児童、教職員、地域住民ら約50人が聞き入った。
 
 菊池さんは2021年11月から同隊に同行。1年5カ月にわたる取材活動で現地から記事を発信し、本年3月に帰国した。この日は07~08年に同行取材した鹿糠さんとともに講演。映像や写真を見せながら南極がどういう場所かを話した。
 
 昭和基地で越冬した菊池さんは、氷点下45度の世界を体験。自分が吐く息でまつげや髪の毛が瞬時に凍ること、最も強いレベルのブリザード(猛吹雪)は風速60メートルにも達し、ロープにつかまりながらでないと移動できないことなどを伝えた。鹿糠さんは紫外線の強さや夏季の極度な乾燥に言及。夏には白夜、冬には極夜の時期があることも説明した。厳しい環境が生み出す美しい光景も紹介。「オーロラ」の映像を見せると、児童らは「きれーい」「生き物みたい」と目を輝かせた。
 
氷点下25度の南極空間で熱湯をまいた時に見られた現象「お湯花火」を紹介する菊池健生さん

氷点下25度の南極空間で熱湯をまいた時に見られた現象「お湯花火」を紹介する菊池健生さん

 
南極の厳しい環境が生む各種光景に興味津々

南極の厳しい環境が生む各種光景に興味津々

 
49次隊に同行した鹿糠敏和さん(右)は今回、菊池さんの派遣をサポート。講演では自身の15年前の体験も語った。

49次隊に同行した鹿糠敏和さん(右)は今回、菊池さんの派遣をサポート。講演では自身の15年前の体験も語った。

 
 南極観測隊の任務は大きく分けて2つ。天文、気象、地質などの観測と、基地の設営・保守、物資の運搬。隊には研究者だけでなく電気、通信、車両、調理担当などさまざまな職種の人が参加。土木作業など自分の専門以外の仕事も協力して行っている。同基地には60数棟の建物があり、隊員たちは居住棟で寝泊まり。娯楽が少ないため、自分たちで楽しみを作り出すクラブ活動のようなことをしていたという。カフェ、釣り、野球大会…。菊池さんは基地内で野菜を栽培していたことを明かした。
 
 南極観測の主要目的の一つが地球の気候変動を知るためのデータ収集。日本の観測隊は昭和基地から約1千キロ離れた「ドームふじ」と呼ばれる場所(標高3800メートル)で氷の柱(アイスコア)を掘り、中に入っている空気の成分を比較することで、温暖化解明の手掛かりを得ている。20年前に約3000メートルの深さまで掘った際の一番古い空気は72万年前のもの。菊池さんが同行した63次隊は、世界最古となる100万年前の氷を採取するプロジェクトの第一弾で派遣された。
 
 隊は2~3週間かけて現場にたどり着き、後に掘削にあたる隊員が生活するための拠点(建物)づくりに従事。菊池さんも作業を手伝い、狭い雪上車での生活は2カ月半に及んだ。「観測によって地球の過去、現在、未来が分かってくる。謎を解き明かす鍵が厚い氷の下に眠っているかもしれない」と菊池さん。
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南極観測の報道記録集の表紙を飾ったアザラシの写真についても説明

南極観測の報道記録集の表紙を飾ったアザラシの写真についても説明

 
 鹿糠さんは自身が撮影した写真や映像で南極の動植物も紹介。ペンギンやアザラシに出会った時の様子、湖に潜って目にした貴重なコケの集合体について話した。この他、閉鎖された他国の観測場所に残る金属やガラスが動物に危険を与える可能性も指摘。人間の不注意で持ち込まれた種から南極にはない植物が発芽してしまい、駆除した事例も示し、人間は自然に十分配慮して行動する必要があることを教えた。
 
 児童らは新聞やテレビ、書籍などでしか知ることのなかった南極について、さらに興味をそそられた様子で、2人の話を熱心に聞いていた。小笠原楓真君(6年)は「南極には何千、何万年も前のものが残っていて、氷からも調べられるのがすごいと思った。知らなかった情報がたくさんあって面白かった。いつか行ってみたいな」。小林彩恋さん(5年)は「寒いので生き物は少ないと思っていたけど、意外とたくさんいることが分かった。岩手から観測隊に入っていた人がいたこともびっくり。恐竜とか昔の生き物に興味がある。話にあった化石のことも調べてみたい」と声を弾ませた。
 
南極大陸、観測隊について楽しく学ぶ栗林小児童

南極大陸、観測隊について楽しく学ぶ栗林小児童

 
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児童からはさまざまな感想や質問も出された

児童からはさまざまな感想や質問も出された

 
 1957年に昭和基地ができて以降、南極観測隊には国内の新聞社やテレビ局の記者が同行し代表取材。各社に記事を配信している。今回の菊池さんの派遣は、東日本大震災から10年にあたり、「本県が全国から受けた支援に対し地元新聞社としてできる恩返しを」と、岩手日報社が送り出したもの。地方紙記者としては初の越冬隊同行となった。
 
 菊池さんは帰国後、県内各地に招かれ自らの経験を話している。小学校での講演は栗林小が初めて。同校の学区・橋野町は菊池さんの祖父の出身地ということもあり、「すごく縁を感じる。伝えられたのは南極の一部ではあるが、少しでも興味を広げてもらえたらありがたい」。児童からの「行ってみたい」との声に「将来、この中から観測隊員が生まれたら、ぜひ取材させてほしい」と笑った。鹿糠さんも自分たちの経験を講演で届けられることを喜び、「地球環境の未来を守ることに多少でもつながれば」と期待していた。

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4年ぶり 震災復興の鵜住居を支援のみこしが渡御 祭り文化、郷土芸能継承へ再始動の一歩

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4年ぶりに開催された鵜住神社例大祭みこし渡御=1日、鵜住居町

 
 釜石市鵜住居町の鵜住神社(花輪宗嗣宮司)の例大祭は1日に行われた。新型コロナウイルス感染症の影響で実施が見送られてきたみこし渡御が4年ぶりに復活。約300人の行列が町内を練り歩き、まちは久しぶりの活気に包まれた。東日本大震災の津波で甚大な被害を受けた同町。人口減、住民の高齢化などで祭典運営は年々、厳しさを増すが、代々続く地域の祭礼、郷土芸能を絶やすことなく後世につないでいこうと、住民らが奮闘する。
 
 同神社は2011年の震災で、みこし、同保管庫、鳥居など本殿以外の建物、設備が津波で流された。全国からの支援で一歩一歩、復興への歩みを進め、新たなみこしが完成した15年に震災後初のみこし渡御を実施。コロナ禍による休止を経て再開された今年は2019年以来、新みこしになってからは5回目の渡御祭となった。
 
 神社でご神体をみこしに移す神事を行った後、行列が出発した。参道沿いの祭り場では地域の代表らがみこしに玉串をささげ、渡御の安全を祈願。鵜住居青年会の虎舞、外山鹿踊が奉納された。
 
高台の神社から下りてくるみこし(右)を迎える郷土芸能団体(左)

高台の神社から下りてくるみこし(右)を迎える郷土芸能団体(左)

 
祭り場で披露された「鵜住居青年会」の虎舞

祭り場で披露された「鵜住居青年会」の虎舞

 
子どもたちの「うさぎ舞」。青年会は手踊りも複数継承する

子どもたちの「うさぎ舞」。青年会は手踊りも複数継承する

 
刀振りとともに勇壮に舞う「外山鹿踊」

刀振りとともに勇壮に舞う「外山鹿踊」

 
 津波でみこしを失った同神社は12年に銀座西七丁目町会(東京都)から、13年には京都府南丹市園部町から、それぞれ子どもみこしの寄贈を受けた。その後、本みこし復活を目指し、有志らが「うのすみ神輿(みこし)つくろう会」を発足。複数のボランティア団体の協力で全国から寄付が集まったほか、日本財団の支援が決まり、異例の速さで新みこしの完成に至った。
 
銀座西七丁目町会から寄贈された子どもみこし。渡御で使う大太鼓(左上)、子どもたちが着用するはんてんも贈られた

銀座西七丁目町会から寄贈された子どもみこし。渡御で使う大太鼓(左上)、子どもたちが着用するはんてんも贈られた

 
京都府南丹市園部町から寄贈されたみこしは古峯神社の新たなみこしに

京都府南丹市園部町から寄贈されたみこしは古峯神社の新たなみこしに

 
 行列は祭り場を出て国道45号を北進。スーパーなどが入る商業施設・うのポートの角を左折し、消防屯所や住宅が立ち並ぶ市道を進んだ。同神社の本みこし、子どもみこし、同じ敷地内に祭られる古峯神社のみこし計3基が、町内の郷土芸能5団体(虎舞1、鹿踊り3、大黒舞1)に囲まれながら練り歩いた。沿道では迎えた住民らがさい銭をあげ、みこしに手を合わせた。
 
国道45号を進むみこし行列。沿道では住民らが見守った

国道45号を進むみこし行列。沿道では住民らが見守った

 
津波被災後、かさ上げ整備された国道での渡御は2019年に続いて2回目

津波被災後、かさ上げ整備された国道での渡御は2019年に続いて2回目

 
行列を出迎える住民ら。みこしが通ると手を合わせ、願いを込めた

行列を出迎える住民ら。みこしが通ると手を合わせ、願いを込めた

 
 みこし行列は、津波で被災し移設安置された金毘羅神の石碑が並ぶ公園(寺前交差点近く)に到着。地区住民が見守る中、神事と芸能奉納が行われた。神之沢鹿子踊、田郷鹿子踊、新神大黒舞などが踊りを披露。集まった人たちが久しぶりのにぎわいに笑顔を広げた。
 
 家族で見に来た地元の藤原英佑君(10)は「楽しい。みんなが喜んでいるのを見るとうれしい気持ちになる」と4年ぶりの祭りに感激。近くのアスレチック公園に親子で遊びに来ていた山田町の福士綾佳さん(37)は、太鼓や笛の音に誘われて足を延ばした。初めて見る鵜住居祭りに「おみこしが複数あってびっくり。幼い子も大勢参加していてすごい」と感心した様子。各地で祭りが復活していることも歓迎し、「子どもたちが土地の文化に触れる機会になる。今日は本当にラッキーでした」と喜びの言葉を口にした。
 
震災後に整備された金毘羅公園で踊る「神之沢鹿子踊」

震災後に整備された金毘羅公園で踊る「神之沢鹿子踊」

 
鵜住居町の西部地区に伝わる「田郷鹿子踊」

鵜住居町の西部地区に伝わる「田郷鹿子踊」

 
金毘羅神が祭られる新神地区に伝わる「大黒舞」

金毘羅神が祭られる新神地区に伝わる「大黒舞」

 
 行列はこの後、震災伝承施設などが建つ駅前エリア「うのすまい・トモス」に到着。地域住民や観光客など大勢の人たちが広場を囲む中、3基のみこしが虎舞に囃(はや)し立てられながら旋回した。全芸能団体が次々に踊りを見せ、集まった人たちから大きな拍手を受けた。
 
 大黒舞、鹿踊り、みこし担ぎなどで家族7人全員が祭りに参加した岩崎すみ子さん(73)。「(震災で)人口が減ってしまったが、いる人たちで何とかまちを盛り上げていかないと」と、家族総出の参加に思いを込める。孫の絢音さん(7)は大黒舞で2回目の参加。「踊るの大好き。楽しい」と祖母、母の背中を追いかける。絢音さんの兄2人は神之沢鹿子踊で今回が祭りデビューとなった。震災の津波で自宅を失い、再建して5年目―。すみ子さんは「仮設住宅にいる間は本当に建てられるのか心配だった」と振り返り、3世代で祭りに参加できるまでになった今の幸せをかみしめた。
 
鵜住居青年会による実りの秋を祝う「豊年舞」

鵜住居青年会による実りの秋を祝う「豊年舞」

 
駅前のうのすまい・トモスには大勢の見物客が集まり、各団体の踊りを楽しんだ

駅前のうのすまい・トモスには大勢の見物客が集まり、各団体の踊りを楽しんだ

 
 まちの復興を後押ししてきた祭りだが、少子高齢化や人口減などでみこしの担ぎ手、郷土芸能の担い手不足が年々顕著に。各団体は近隣のまちからも人員の応援を受け、継承への取り組みを進める。両石町の久保逞さん(17)は友人の母に誘われ、田郷鹿子踊に初参加。「地元では虎舞をやっているが、比にならないきつさ。腰と首と頭にこたえる」と笑い、「祭りはまちの活性化につながる。子どもが少ない時代でもこれだけ集まれるのはうれしいこと」と貢献できる喜びを語った。
 
みこし担ぎには小鎚神社、尾崎神社の担ぎ手衆が協力した

みこし担ぎには小鎚神社、尾崎神社の担ぎ手衆が協力した

 
 震災後、同神社のみこし担ぎには復興工事関係者や大学生ボランティアが協力してきたが、復興の進展とともに人員確保が課題に。今回は約30人の担ぎ手のうち半数近くを小鎚(大槌町)、尾崎(釜石市浜町)両神社の担ぎ手団体から応援を受けた。鵜住神社のみこし担ぎ責任者、藤原輝行さん(61)は「人員不足は鵜住居に限ったことではない。今はどこの神社も同様の課題を抱えていて、互いに支援し合いながらやっている」。震災から12年―。町内はまだまだ空き地が目立ち、大幅な人口増は見込めないが、「それでも伝統は守っていかねばならない。支援をしてくれた人たちに報いるためにも知恵を絞って次世代につないでいきたい」と意を強くする。
 
行列は新川原地区で折り返し神社へ還御。予定通りの行程を終えた

行列は新川原地区で折り返し神社へ還御。予定通りの行程を終えた

 
 鵜住神社氏子総代長で、祭典実行委員長の前川義博さん(85)は「4年、5年と間が空いてしまうと郷土芸能継承にも支障が出てくる。今年は絶対にやろうと、一丸となって準備を進めてきた。皆さんの協力でこれだけの立派なお祭りになった」と感謝。休止からの復活には大きなエネルギーがいる。「大変だっただろうが、実際やってみるとみんな笑顔。これを機にまた、やる気になってもらえたのではないか。今年は渡御ルートを短縮したが、今後また見直しを図っていければ」と話す。

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テレワーク・在宅ワークでお仕事をお探しの方を募集しています

テレワーク・在宅ワークでお仕事をお探しの方を募集しています

 

local hack(ローカルハック)は、釜石・沿岸にいながらテレワーク・在宅ワークができるテレワーク求人を少しでも多く提供し地元にいながらできる仕事を創出していきます。

 

そして、地域企業の皆様にも、テレワークを通してスムーズにITツールの利用ができるテレワーカーの皆様を知っていただき、積極的に副業人材活用していっていただけるように呼びかけていきたいと考えております。

 

テレワーク・在宅案件の募集について

 

弊社ではテレワーク・在宅ワークでお仕事をお探しの方を募集しています。
※弊社は、釜石市が賛同しているLocal FaM Careerコンソーシアム賛同企業です。

募集チラシ表(JPG/216KB)
募集チラシ裏(JPG/201KB)

募集人数

30名(チラシには40としておりますが、現時点で30名の募集枠となっています)
(釜石市を中心として大槌町・山田町など沿岸にお住まいの方)
弊社は、釜石市/沿岸の地域活性化・雇用創出を理念としております。

対象者

・お子さんが小さい方
・専業主婦の方
・在宅で集中して仕事をしたい方
・テレワークしてみたい方
・副業で収入を安定させたいママさん

業務の一例

●集計作業、入力業務
●WEBライティング・記事作成
●WEBコンテンツ作成(画像加工・編集など)
●データ入力(特別なスキル不要の入力作業など)

収入について

月給2万円〜4万円程度
※担当していただく案件によって報酬が異なります。
※データ入力については単価制の場合もあります。

稼働開始予定時期

フォーム(https://forms.gle/c6hwbAHALRaNWPjy8
よりご登録いただきましたら、メールでご連絡いたしますので、オンラインでお顔合わせのうえ稼働開始という流れになります。

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local hack(ローカルハック)

テレワーク・在宅ワークという働き方の推進、デジタル副業人材の育成に注力。地域企業との連携により「新たな雇用創出」を目指しています。

〒026-0042 岩手県釜石市源太沢町1-4-1
問い合わせ:メール / 事業サイト / Facebook

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ふれあい交流「唐丹の日」 住民活動、見せ合い連帯 安寧願う花火も 地域力を発信・釜石

踊りの輪をつくって交流を楽しむ唐丹町の住民ら

踊りの輪をつくって交流を楽しむ唐丹町の住民ら

  
 釜石市唐丹町の住民交流と地域安全を考える「第18回唐丹の日」は1日、唐丹小・中体育館で開かれた。唐丹公民館まつりと合わせて実施し、文化、スポーツの自主活動グループが作品展示や活動紹介を掲示。中学生によるソーラン、釜石警察署の協力で交通安全講話、市内外の芸能団体の演舞もあり、集った約150人は地域の動きを感じながら親交を深めた。8月から延期されていた花火の打ち上げを前日の9月30日に決行。あいにくの雨模様を突いて夜空を彩った約500発が地域に明るさをもたらした。
 
 唐丹の日は10月2日。「とうに」との語呂合わせで設けられ、住民交流イベントを通じて地域の安全意識を高める日となっている。新型コロナウイルス感染症の影響で開催を控えていて、今回は4年ぶり。唐丹駐在所連絡協議会副会長の佐々木啓二さん(79)は「短い時間だが、存分に楽しんでほしい」とあいさつした。
 
 唐丹駐在所の高田敏宏所長は町内の交通事故発生状況などを説明。事故が少ない地域だと強調し、「交通安全活動に携わる人たちの協力のおかげ。これからも安全運転に心がけを」と呼びかけた。
 
地域の催しを力強く盛り上げた「桜舞太鼓」

地域の催しを力強く盛り上げた「桜舞太鼓」

 
 ステージ発表は、地元の創作和太鼓集団「鼓舞桜会(こぶおうかい)」による郷土芸能「桜舞太鼓(おうぶだいこ)」で開幕。「明るい気持ちになってもらえたら」と迫力ある演奏で活気づけた。中学生有志9人は若さあふれる「唐中ソーラン」を披露。県内で活躍する郷土民謡の歌い手や三味線奏者、踊り手らによる演舞もあった。
 
学校で取り組むソーランを披露する唐丹中生有志

学校で取り組むソーランを披露する唐丹中生有志

 
 山岸さんさ踊り保存会(高野文則会長)の公演では、来演した10人が「盛岡伝統さんさ」の一つで400年の歴史を重ねる多彩な演目を披露。幸せを呼ぶという意味のかけ声「幸呼来(さっこら)」に合わせた踊りを住民らが体験する場面もあった。
 
 フィナーレは、100歳体操を楽しむ3団体による「さくら音頭」「ぼけない音頭」の踊り。さんさの踊り手たちも加わって輪をつくり、にぎやかに触れ合いを楽しんだ。
 
「山岸さんさ」の手振りを見よう見まねで体験

「山岸さんさ」の手振りを見よう見まねで体験

 
住民らの輪踊りにさんさの踊り手も加わり楽しんだ

住民らの輪踊りにさんさの踊り手も加わり楽しんだ

 
 作品展示では手芸各種の愛好グループの近作がずらり。洋裁リフォームクラブ(7人)は着物や洋服などの端切れをアレンジしたタペストリーやエプロンなど実用性も兼ね備えた作品を並べた。指導する鈴木富美子さん(81)、会員の磯崎彬(よしこ)さん(86)は「みんな頑張っている。見てもらうことで張り合いになる。ほかの会の活動も知ることができていい」と声をそろえた。
 
作品展示には細やかな針仕事の成果が並んだ

作品展示には細やかな針仕事の成果が並んだ

 
写真を撮る際のかけ声は「と~に~」

写真を撮る際のかけ声は「と~に~」

 

雨空彩る「ゆめあかり」

 
小白浜漁港で打ち上げられた花火

小白浜漁港で打ち上げられた花火

 
 前夜祭的な催しとなったのが花火の打ち上げ。東日本大震災以降、毎年夏に続けるイベント「唐丹ゆめあかり」(同実行委主催)の一環だが、大雨などの影響でお盆の時期から延期されていた。
 
 今回も雨降りとなったが、負けじと打ち上げ。小白浜漁港の岸壁で夜空を見上げ、「きれい」と笑顔を見せたのは唐丹小3年の佐々木心結(みゆ)さん。母の彩雅(さやか)さんも「季節は少しずれたけど、楽しみがあって得した気分。気持ちを晴れやかにするご褒美」と目を細めた。
 
夜空に咲いた花を子どもも大人も喜んだ

夜空に咲いた花を子どもも大人も喜んだ

 
 ゆめあかりは震災犠牲者の鎮魂や地域の安寧を願って継続。近年は地域住民らの協賛金で支えられる。唐丹地域会議長も務める佐々木啓二さんは「快く協力してくれる住民のおかげ。取り組みには若手も加わっていて、続けられるよう一緒に知恵を出したい」と望んだ。
 

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広報かまいし2023年10月1日号(No.1817)

広報かまいし2023年10月1日号(No.1817)
 

広報かまいし2023年10月1日号(No.1817)

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【P1】
釜石まつり 開催案内

【P2-3】
釜石市議会議員紹介
イベント案内 他

【P4-5】
新型コロナワクチン接種のお知らせ
令和6年度幼稚園児を募集します

【P6】
狂犬病予防注射
釜石市働く婦人の家 定期講座

【P7-9】
まちのお知らせ

【P10】
イベント案内

この記事に関するお問い合わせ
釜石市 総務企画部 広聴広報課 広聴広報係
〒026-8686 岩手県釜石市只越町3丁目9番13号
電話:0193-27-8419 / Fax 0193-22-2686 / メール
元記事:https://www.city.kamaishi.iwate.jp/docs/2023092800028/
釜石市

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釜石市公式サイトと連携し、縁とらんすがピックアップした記事を掲載しています。記事の内容に関するお問い合わせは、各記事の担当窓口までお問い合わせください。
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「釣れた!釣れた!」4年ぶり ニジマス釣り大会で歓声 橋野・親水公園ににぎわい再び

 「釣れたー!」ピチピチ跳ねるニジマスに目がくぎ付けになる来場者

「釣れたー!」ピチピチ跳ねるニジマスに目がくぎ付けになる来場者

 
 釜石市橋野町の産地直売所「橋野どんぐり広場」隣の親水公園で9月24日、ニジマス釣り大会が開かれた。橋野町振興協議会(菊池郁夫会長)と栗橋地区まちづくり会議(洞口政伸議長)が共催する「はしの四季まつり」の秋のイベント。コロナ禍で中止が続いていたが、今年4年ぶりに復活。家族連れを中心に約400人が楽しんだ。
 
 園内の水車小屋から続く小川に滝沢市の養魚場から仕入れたニジマス約600匹を放流。主催者が用意した手作りの竹ざおを無料で貸し出し、釣りを楽しんでもらった。餌はトウモロコシの粒。来場者は餌をつけた釣り針を魚群の中に落とし、魚がかかるのを待った。
 
 ほとんどが数分もしないうちにヒット!食いつくと同時にさお先を上げると、輝く魚体が姿を現した。勢いよく跳ねる魚に子どもも大人も大はしゃぎ。苦戦しながら体をつかみ、釣り針を外して袋に入れた。大きいものでは体長25センチほどの魚もいて、来場者は釣りの醍醐味(だいごみ)である“引き”の感触を存分に楽しんだ。
 
釣りを楽しむ家族でにぎわう親水公園=橋野町

釣りを楽しむ家族でにぎわう親水公園=橋野町

 
釣り針をはずすのはお父さんにおまかせ。頼もしい助っ人

釣り針をはずすのはお父さんにおまかせ。頼もしい助っ人

 
「パパと釣ったよ!」キラキラ光るニジマスを手にする親子

「パパと釣ったよ!」キラキラ光るニジマスを手にする親子

 
 釣りは全くの初めてという橋野町の中平栞愛さん(9)は11匹を釣り上げご満悦。「コツはビクッとなったらすぐ引き上げること」。早々にタイミングをつかんだ様子で、「今度は川や海でも釣りをしてみたい」と声を弾ませた。見守った母美恵子さん(50)は「田舎ならではの貴重な体験機会。橋野には恵まれた自然環境がある。いろいろな体験を積んで元気にのびのびと育ってほしい」と期待した。
 
 大槌町から足を運んだ小田嶋葵佐さん(12)は「ここでのニジマス釣りはコロナ前にもやったことがある。入れるとすぐに釣れる。いっぱい釣れるので楽しい」と笑顔。釣りが好きで、普段は海で岸壁釣りも。「釣れた時の感覚がすごく面白い」と魅力を語り、この日は双子の弟、いとこらと釣り糸を垂れた。
 
 釣った魚は来場者が1匹200円で買い取り。スタッフらが内臓を取ってくれて、持ち帰りのほか、その場で炭火焼きにしてもらい、さっそく味わう人も多かった。同振興協の菊池会長(68)は「大勢の人に来ていただきありがたい。久しぶりのにぎわいに、うちのメンバーも楽しみながらやっている」と喜んだ。
 
魚が集まる所を狙い、思い思いにさおを繰り出す

魚が集まる所を狙い、思い思いにさおを繰り出す

 
おいしく食べてもらおうと、炭火焼きに汗を流すスタッフ

おいしく食べてもらおうと、炭火焼きに汗を流すスタッフ

 
 「自分で釣ったお魚はおいしいね!」青空の下で焼きたてを味わう

「自分で釣ったお魚はおいしいね!」青空の下で焼きたてを味わう

 
 朝晩はだいぶ気温も下がり、少しずつ秋の気配を感じる今日この頃。市内でも一足早く紅葉を迎える橋野町は、例年だと10月末ごろに木々の葉が色づくが、「今年は記録的猛暑、残暑もあり少し遅めになるかも」と菊池会長。はしの四季まつりのシーズンを締めくくる「水車まつり」は11月5日に開催を予定する。米や雑穀を使ったメニューの販売、餅まきなどで大人気の企画で、農産物の恵みに感謝しながら収穫の喜びを来場者と分かち合う。

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根浜の海岸風景を残そう 釜石東中生、浜の植物再生をお手伝い 息長く、着実に

浜由来の植物を増やそうと根浜海岸で活動する釜石東中生

浜由来の植物を増やそうと根浜海岸で活動する釜石東中生

 
 海岸の原風景を取り戻したい―。釜石市鵜住居町の根浜海岸で19日、地元の釜石東中(佃拓生校長、生徒83人)の2年生31人が、種から育てたハマエンドウやハマヒルガオ、ケカモノハシなどの苗約380株を植えた。東日本大震災の津波で多くの海浜植物が失われた海岸林の再生活動は今年で6年目。先輩たちからつながる取り組みは着実に根付いていて、「たくさんの植物が花咲くきれいな浜に」と願った。
 
 震災後にこの活動を始めたのは、根浜海岸林再生実行委員会。地域に親しまれたかつての風景を取り戻そうと地元住民や行政が連携し、同海岸由来の植物を種から育て現地に植え戻してきた。
 
根浜海岸で進む植物再生活動を知らせる看板

根浜海岸で進む植物再生活動を知らせる看板

 
 同校は2018年から協力し、総合的な学習の一環として続ける。2年生が中心となって毎年春に同海岸について学ぶ座学と種まきを行い、夏には移植地の清掃など全校挙げて環境を整備。秋に育てた苗を植栽して締めくくりとなる。
 
今年は5月に種をまき、水やりや日光管理を行いながら成長を観察。6、7月に移植地の草取りをして準備してきた。
 
移植場所の草取りをする釜石東中の2年生

移植場所の草取りをする釜石東中の2年生

 
先輩たちが植えた苗を残して周辺を除草

先輩たちが植えた苗を残して周辺を除草

  
 旅館「宝来館」前にあるマツ林の海側に作られた再生スペースが活動場所。生徒たちは除草した後、しっかりと根を張るよう願いを込めながら1本ずつ植えていった。現3年生が昨年種まきし育てていたハマボウフウの苗も植栽。定植場所を囲むロープの張り替えも行った。
 
育苗ポットから取り出して植える準備

育苗ポットから取り出して植える準備

 
苗を手に願う「しっかり根付いて」

苗を手に願う「しっかり根付いて」

 
自分たちが育てた苗を丁寧に植え付け

自分たちが育てた苗を丁寧に植え付け

 
 生徒や地元住民らの力によって再生スペースは延長200メートルほどに。先輩たちの取り組みが着実に根を張る。「ここは海辺の植物がたくさんあった貴重な場所。震災前の風景が戻るよう、できることをしたい」と汗をぬぐったのは小笠原早紀さん。“猫じゃらし”のようなケカモノハシが気になっていて、「どんな花が咲くのか、楽しみ。大きくなって、どこを見ても植物でいっぱいなきれいな所になってほしい」と思い描いた。
 
植え方を説明する島田直明教授(左)

植え方を説明する島田直明教授(左)

 
 講師を務める県立大総合政策学部の島田直明教授(植生学、景観生態学)は「作業した場所がどうなっているか、時々見にきてもらえるとうれしい。みんなが手伝って生まれる海岸の風景は地域の人の癒やしになる」と東中生に呼びかけた。育成中の苗は残り、植え替えが継続的、効率的にできるような取り組みも進行。「完成はまだ先だが、一緒に経験値をつくっていきたい」と、学校ぐるみの息の長い活動に期待を込める。