溶融炉ごみ処理の設備に興味津々 岩手沿岸南部クリーンセンター4年ぶりに見学会


2023/07/28
釜石新聞NewS #地域

岩手沿岸南部クリーンセンターの設備を見学する家族=22日

岩手沿岸南部クリーンセンターの設備を見学する家族=22日

 
 釜石、大船渡、陸前高田、大槌、住田の5市町のごみ処理を担う、釜石市平田の岩手沿岸南部クリーンセンターは22日、コロナ禍で中止していた施設見学会を4年ぶりに開いた。工場棟などを見学した人たちは、施設の役割や環境への配慮に理解を深め、さらなるごみ減量化へ意識を高めた。
 
 見学者は施設紹介のDVDを見た後、職員の案内で工場棟へ向かった。コンピューターで全設備の運転を24時間管理する中央操作室、ごみを貯留し撹拌(かくはん)処理後、溶融炉に投入するごみピットなどを見学。家庭や事業所などから出るごみがどう処理されているかを学んだ。
 
中央操作室には安全運転を行うためのさまざまな機器が並ぶ

中央操作室には安全運転を行うためのさまざまな機器が並ぶ

 
ごみピット(左下)のクレーンの動きに子どもも大人も目がくぎ付け

ごみピット(左下)のクレーンの動きに子どもも大人も目がくぎ付け

 
ごみを撹拌処理した後、溶融炉上部に投入する

ごみを撹拌処理した後、溶融炉上部に投入する

 
 ごみや3R(リデュース、リユース、リサイクル)に関するクイズや家庭のエコチェック、発電体験、リサイクル工作などで環境への意識を高めるコーナーも設けられた。普段は平日(月~金曜・午前10時~午後4時)に無料で利用可能な余熱で沸かす風呂も開放された。
 
 宮城県仙台市の玉木格さん(31)は妻祐香さん(30)の釜石の実家に帰省中で、家族とともに足を運んだ。「ごみ処理というと焼却炉のイメージだったが、溶融炉がどう違うのかを知ることができた。排出されるのもクリーンなガスということで環境にもやさしい施設」と実感を込めた。
 
 大槌町の及川泰来君(8)は「ごみ収集車が好きで一度来てみたかった。ごみをクレーンでつり上げているのがすごかった」と目を奪われ、「夏休みの自由研究にしてみたい」と意欲を見せた。泰来君の母は「処理過程の蒸気を利用して発電したり、ごみがリサイクル素材(スラグ、メタル)に生まれ変わっていると聞き、勉強になった」。世界的にCO2の排出削減が課題となる中、「未来ある子どもたちのためにどうにかできないかという思いは日々ある。リサイクルできるものは分別し、家庭から出すごみをできるだけ減らしたい」と意識を高めた。
 
蒸気タービン発電機について学ぶ

蒸気タービン発電機について学ぶ

 
クイズや発電体験が行われた環境学習コーナー

クイズや発電体験が行われた環境学習コーナー

 
うちわをあおいでプロペラを回し風力発電を体感

うちわをあおいでプロペラを回し風力発電を体感

 
 同センターは沿岸南部の5市町が共同で建設。ガス化溶融炉2炉を有する。稼働開始の2011年4月を前に東日本大震災が発生。施設は津波による大きな被害は免れ、電気設備復旧後に本格稼働した。14年8月まで被災4市町の災害廃棄物処理も行い、3万トン余りを処理した。
 
 現在は1日あたり約100トンを処理。処理量は毎年2~3%ずつ減少している。人口減、資源物の分別が進んでいることが要因と見られ、コロナ禍のこの3年は事業者が出すごみの量がかなり減ったという。昨年度1年間の処理量は2万7125トン。
 
 センターを運営管理する岩手沿岸南部広域環境組合(管理者・野田武則釜石市長)の和賀利典事務局長は4年ぶりに実現した見学会について、「楽しみに待っていたという方も。普段何げなく出しているごみの処理過程を見てもらうことで、一人一人が意識して、できるだけごみを出さない取り組みをしていってもらえれば」と期待した。
 
 センターの風呂は仮設住宅などで暮らした震災被災者らに大変喜ばれた。コロナ禍で浴場の閉鎖や人数制限が行われてきたが、規制緩和で現在では週2回の利用が可能となっている(予約が必要)。組合では昨年度(1607人)の倍の利用を見込む。

釜石新聞NewS

釜石新聞NewS

復興釜石新聞を前身とするWeb版釜石新聞です。専属記者2名が地域の出来事や暮らしに関する様々なNEWSをお届けします。

取材に関する情報提供など: 担当直通電話 090-5233-1373/FAX 0193-27-8331/問い合わせフォーム

釜石のイチ押し商品

商品一覧へ

釜石の注目トピックス