タグ別アーカイブ: 地域

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震災十三回忌前に 毛越寺(平泉)の僧侶ら 釜石・鵜住居観音堂で「復光」祈り法要

震災の犠牲者供養と被災地復興を願って手を合わせる人たち

震災の犠牲者供養と被災地復興を願って手を合わせる人たち

  
 東日本大震災から来年で十三回忌を迎えるのを前に、釜石市鵜住居町の「鵜住居観音堂」で11月30日、犠牲者供養と復興を祈る法要が営まれた。観音堂再建の歩みを知る平泉町・毛越寺の藤里明久貫主(72)が協力。「復興は進んでも心の中には震災の爪痕が残っていると思う。観音堂が気持ちの落ち着く場所になってほしい」と願いを込めた。
   
 同寺の従業員研修旅行の一環。震災後、毎年3月11日に平泉でも震災物故者の法要を行っており、被災地の現状に理解を深め、「忘れない」「伝える」との思いを共有して、その日を迎えようと、約20人が来釜した。
  
藤里貫主(手前)の話に耳を傾ける毛越寺の従業員ら

藤里貫主(手前)の話に耳を傾ける毛越寺の従業員ら

  
 観音堂は震災の津波で流失。本尊「十一面観音立像」(県指定文化財)は破損したものの流失を免れ、故大矢邦宣さん(震災当時、盛岡大教授)らが見つけて修復した。修復作業の間、本尊の代わりに地域を見守ってもらおうと模刻「身代わり観音像」も制作。本尊とともに今年3月に再建された観音堂に安置する。
   
 大矢さんの遺志を継ぎ、被災地に心を寄せてきた藤里貫主が、その歩みを従業員らに紹介。「光が差し込んで、心豊かに暮らせるよう『復光』を願う」と、身代わり観音像を前に般若心経を唱え、従業員らが手を合わせた。
  
震災十三回忌を前に鵜住居観音堂で営まれた法要

震災十三回忌を前に鵜住居観音堂で営まれた法要

  
 地域住民も足を運び、思いをはせる機会にした。齋藤清子さん(78)は「もうすぐ12年。あっという間、早いね。観音堂は気持ちのよりどころ。子どもたちの声が聞こえるまちになってほしい」と目を細めた。
  
 観音堂を管理する別当の小山士(つかさ)さん(79)は「毛越寺からは毎年のように法要に来ていただきありがたい。先祖代々、500年守ってきた観音様をしっかりお守りしていかなければ」と言葉をかみしめた。
  
研修旅行で来釜した毛越寺の従業員、出迎えた鵜住居町の住民

研修旅行で来釜した毛越寺の従業員、出迎えた鵜住居町の住民

  
 「3月11日に平泉を訪れる方々にも被災地を忘れず、思いを寄せてもらいたい。そのためにもわれわれが現状を知り、伝える役目を果たしたい」と藤里貫主。一行は、陸前高田市の高田松原津波復興記念公園や宮城県南三陸町なども訪ねた。

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縄文人の暮らしの痕跡多数確認 釜石・橋野「太田林遺跡」発掘現場を一般に公開

発掘調査が行われてきた「太田林遺跡」の現地公開=釜石市橋野町

発掘調査が行われてきた「太田林遺跡」の現地公開=釜石市橋野町

 
 6月から発掘調査が進められてきた釜石市橋野町の「太田林遺跡」の現場が11月23日、一般に公開された。調査を行う県文化振興事業団埋蔵文化財センターによると、同所では縄文時代の竪穴住居20棟以上が密集した状態で見つかり、当時の装飾品「玦(けつ)状耳飾り」が多数出土した。縄文人の暮らしの一端を垣間見ることができ、訪れた人たちは興味をそそられながら担当者の説明に聞き入った。調査は来年度まで続く。
 
 橋野地区の消防屯所建設に伴う記録保存のための調査。現場は産地直売所「橋野どんぐり広場」から笛吹峠方面へ約150メートルの県道沿い。本年度は1325平方メートルを対象とした。
 
 竪穴住居は縄文時代早期(約8000年前)から前期末(約5000年前)のものと推定され、溝の長さや柱穴の状態から大型住居の痕跡が見られる。複数の建物跡が重なりあっていて、同じ場所に何回も建て替えて住み続けていたことが分かる。調査を担当する同センター主任文化財専門員の八木勝枝さん(48)は「この場所は日当たりが良く、平地が広い。川も近い。集落を構えるのに最適な立地条件」と話す。
 
竪穴住居を区画する溝や柱穴が複数見られる現場

竪穴住居を区画する溝や柱穴が複数見られる現場

 
長期にわたり住み続けるのに最適な条件がそろっていたとみられる

長期にわたり住み続けるのに最適な条件がそろっていたとみられる

 
 食糧を保存するための「貯蔵穴」も見つかった。大きなものは深さ約1・7メートルで、底が広いフラスコ型。小型の穴からは炭化したクリが多数見つかった。皮がむかれた状態で発見されるのは珍しく、原形もとどめている。大型住居の中には炉の跡(焼土)が複数みられ、家族単位で炉を囲んでいたとも考えられるという。
 
深さ約1・7メートルのフラスコ型「貯蔵穴」

深さ約1・7メートルのフラスコ型「貯蔵穴」

 
底に炭化したクリが見つかった(赤丸部分)貯蔵穴。形がはっきり残る縄文時代のクリ(右下)

底に炭化したクリが見つかった(赤丸部分)貯蔵穴。形がはっきり残る縄文時代のクリ(右下)

 
 担当者が注目するのは建物跡から見つかった「玦状耳飾り」。耳たぶに開けた穴に装着して使うもので、完成品(24点)だけでなく、製作途中のものも見つかった。材料は滑石。これだけの数が同じ場所から見つかることはまれだという。他に土器、石器(矢じり、石斧、すり石など)が多数出土したほか、土偶の破片や動物とみられる焼けた骨も見つかった。
 
今回の調査区から出土した遺物。上段は玦状耳飾りの製作過程

今回の調査区から出土した遺物。上段は玦状耳飾りの製作過程

 
用途別に大小さまざまな形状に加工された石器類

用途別に大小さまざまな形状に加工された石器類

 
 発掘範囲の東側では墓とみられる穴が5基見つかった。人為的に埋め戻されたような土がたまっていて、加工途中の「石刀」状の石製品が出土している。墓は住居よりも新しい時期のものと推定される。
 
墓の跡とみられる穴が複数見つかった東側エリア

墓の跡とみられる穴が複数見つかった東側エリア

 
 見学した甲子町(中小川)の中川和雄さん(73)は「場所的に住みやすい地形ですもんね。当時の人もできるだけ考えていたのだろう。釜石の温暖な気候もあるのかも」と想像を巡らし、「亡妻は遺跡が大好きだった。帰ったら報告してあげたい」と語った。
 
 同センターの八木さんは「これほどの住居の密集は私も見たことがない。玦状耳飾りは割とまとまっていたので、その家がどういう役割だったかを考える材料にもなる。来年度の調査と合わせ、一帯の全体像を把握できれば」と話した。発掘調査の成果は最終的に1冊の調査報告書にまとめられ、一般の人も県内市町村図書館などで目にすることができる。
 
 太田林遺跡は今回の調査区の北側にも広がり、これまでの市による分布・試掘調査で縄文時代から弥生時代の遺構・遺物が発見されている。

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台風で倒木・ユリノキ→積み木に加工 岩手県緑化推進委、かまいしこども園に贈る

たくさんの積み木を前に、笑顔を見せる子どもたち

たくさんの積み木を前に、笑顔を見せる子どもたち

  
 釜石市天神町のかまいしこども園(藤原けいと園長、園児78人)に11月28日、台風被害を受けた盛岡市内の倒木・ユリノキを加工して作られた積み木90個が贈られた。ユリノキの苗木1本も届き、子どもたちが園庭に植樹。「一緒に大きくなろうね」と苗木の根元にそっと土をかぶせた。
   
 積み木の材料となったユリノキは盛岡・高松公園地内にあったが、2019年10月の台風19号による強風で倒木。県緑化推進委員会が盛岡市から譲り受け、東日本大震災被災地の幼稚園、保育園、こども園を対象に子どもたちの「木育」の推進を図ろうと、積み木を製作、寄贈している。今回、同委員会から釜石市に寄贈先の調整依頼があり、各施設に意向を確認。同園が希望したことから、苗木と合わせて贈ることを決めた。
  
小山田課長(右)から積み木を受け取る園児と藤原園長

小山田課長(右)から積み木を受け取る園児と藤原園長

  
 この日は同委員会釜石支部事務局を担う市水産農林課の小山田俊一課長らが同園を訪問。小山田課長は、▽モクレン科の落葉樹▽大きな枝を広げて高さ15メートルにもなり、街路樹や公園樹として植栽されている▽8年くらいで、おわんに似たチューリップのような花が咲く―といったユリノキの特徴を紹介した。
  
ユリノキの苗木を植えるかまいしこども園の年長児たち

ユリノキの苗木を植えるかまいしこども園の年長児たち

  
 年長児8人が植樹作業をお手伝い。小山田課長は「みんなと一緒に成長することを期待。積み木を通して木に親しみ、森や緑の大切さを知ってほしい」と、園児と藤原園長に積み木を手渡した。
  
「共同作業でロボットを作ろう」。積み木遊びを楽しむ年長児

「共同作業でロボットを作ろう」。積み木遊びを楽しむ年長児

  
 園内に戻り、木箱に入った大小さまざまな積み木が広げられると、年長児は「わー、しんぴん」などと歓声。思い思いの形に並べたり、高く積み上げたりして積み木遊びを楽しんだ。中村日陽(ひより)ちゃん(5)は「すてきなかおりがした。つるつるしてた。人とかいっぱい作って遊ぶ」とはにかんだ。

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地域活動再開の一歩! 釜石・栗林町砂子畑地区で「あおぞら市」 元気な笑顔で再会

掘り出し物を探したり会話を楽しんだりした「あおぞら市」

掘り出し物を探したり会話を楽しんだりした「あおぞら市」

 
 釜石市栗林町の砂子畑老人クラブ「高砂会」女性部(藤原たか子部長、部員約20人)は11月24日、全ての商品を100円で販売するフリーマーケット「あおぞら市」を初開催した。新型コロナウイルスの感染拡大で控えてきた地域活動を再開するきっかけづくりとして企画。会場となった町内の砂子畑さんあいセンターには買い物を楽しむ笑顔や、「久しぶり」「元気そうだね」などと再会を喜ぶ声が広がった。
  
 この日は朝方まで雨が降ったため、室内での実施に変更。窓を開けて換気するなど感染対策に気を配った。会場には5つの販売コーナーが並び、部員や同クラブ会員が育てた新鮮野菜(白菜、大根、ニンジン、キクイモなど)や手作り雑貨(ビーズアクセサリーなど)、古着などがずらり。約1升の米、手作りの郷土菓子「かまだんご」は人気で、あっという間に売り切れた。
 
新鮮な野菜が並んだ販売コーナーで品定め

新鮮な野菜が並んだ販売コーナーで品定め

 
元気な姿を確認し合い、会話を弾ませた

元気な姿を確認し合い、会話を弾ませた

 
「財布が閉まらない」。100円を手に品定め、買い物を楽しむ女性たちの声があちらこちらから聞こえてきた。「あらー、来てくれたの」「元気だった?」「寒くなってきたから、風邪ひかないようにね」。久しぶりに顔を合わせ、立ち話をする姿も見られた。
 
 女性部ではコロナ禍前、折り紙などの手芸教室や保健師による健康講座、地域の清掃活動などで定期的に集まって交流してきた。ここ数年は対面での活動を控えていて、「久しく顔を見ていない。元気な姿で再会を楽しみたい」と思案。「老人クラブは草取り」というイメージを拭き取ろうと、この催しを企画した。
  
 「高齢者もイベントがあると、いつも以上に体も声にも元気があふれる」と藤原部長(77)。会場のあちらこちらで会話を楽しむ住民らの様子に目を細めた。そして、もう一つ、うれしいことも。東日本大震災後、同地区には被災した人たちのための仮設住宅が建ち、10年以上がたった今、地区に残って生活を根付かせた人たちがイベントに参加してくれた。
 
震災を機に親交を深めた藤原部長(左)、佐々木さん

震災を機に親交を深めた藤原部長(左)、佐々木さん

 
 そんな一人が佐々木ナツさん(86)。エコクラフトのかご、キーホルダーなど手作り品を提供した。海沿いの鵜住居町根浜地区から、山側の砂子畑に移り、「知らないところに来て不安だったが、地区のみなさんに声をかけてもらい、立ち上がることができた」。感謝の気持ちを込めて作った作品を顔なじみの住民らが手に取ると、目に喜色を浮かべた。「地震が起きても津波の不安はなく、気持ち的に安心な地域。みんなと穏やかに暮らしたい」。そう願う。
 
 藤原部長は「たくさんの笑顔、元気な姿を見ることでき、コロナ禍の気晴らしになったはず」と前向きに捉えた。一方、コロナ下での活動には不安もあり、感染対策に気を付けながら、「地区のみんなが楽しめるようなことを考えて、顔を合わせる機会をつくっていきたい」とした。
 
地域を活性化させる催しに力を発揮した砂子畑地区の女性たち

地域を活性化させる催しに力を発揮した砂子畑地区の女性たち

 
 女性たちのパワーに、栗澤康夫さん(86)は「たいしたもんだ。買い物を楽しめ、交流もできる」と感心した。催しなどへの男性参加は少ない傾向にあり、解決策として「俺たちはカラオケだな」とぽろり。コロナ前の付き合いや交流を取り戻す活動を少しずつ進めていく考えだ。
 
 あおぞら市の収益で、使い捨てカイロを購入して高齢者世帯に配る予定。寒くなる季節に、「体も心もほかほかに」と願いを込め、あたたかさを贈る。
 

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地元食材で「まるごと釜石給食」 試験養殖のサクラマス初登場 児童ら「おいしー!」

「まるごと釜石給食」を味わい、笑顔を広げる釜石小の3年児童

「まるごと釜石給食」を味わい、笑顔を広げる釜石小の3年児童

 
 釜石市内の全小中学校(小9・中5)で14日、地元食材を使用した「まるごと釜石給食」が提供された。地産地消、地域の農・水産業への理解促進を狙いに、市学校給食センターが実施。釜石湾での試験養殖が2年目を迎えた「釜石はまゆりサクラマス」も初めてメニューに採用された。釜石小(及川靖浩校長、児童92人)の3学年(10人)教室では市関係者4人が同席し、児童らと一緒に給食を味わった。
 
 この日の献立は▽釜石はまゆりサクラマスの塩こうじ焼き▽じゃがいものそぼろ煮▽三陸ワカメのみそ汁▽ご飯▽リンゴ▽牛乳―。地元で生産されたサクラマス、ワカメ、コメ(ひとめぼれ)、ジャガイモ、ダイコン、ハクサイ、ネギ、リンゴが使われた。釜石小3学年教室では食べる前に、市学校教育課学校給食センターの菅原良枝栄養教諭が食材について説明。「釜石のものを食べて元気に育ってほしいという地域の皆さんの願いがこもった献立です。感謝しながらよく味わって食べよう」と呼び掛けた。
 
サクラマスなど、釜石の味を楽しみにしながら給食の準備

サクラマスなど、釜石の味を楽しみにしながら給食の準備

 
食べる前に給食の献立と使われている食材について説明を受けた

食べる前に給食の献立と使われている食材について説明を受けた

 
 全員で「いただきます」と声を合わせ、昼食を開始した。給食初登場の釜石産サクラマスはほとんどの児童が初めて口にする魚。センター職員によると、今回は「うまみ、香りをシンプルに味わってもらおう」と塩こうじ焼きにしたという。小学生には40グラム、中学生には60グラムの切り身で提供された。児童らは新米のご飯とおかずを交互に口に運び、地元食材の素晴らしさを実感した。
 
黒板に掲げられた食材を確かめながら箸を進める

黒板に掲げられた食材を確かめながら箸を進める

 
初めて給食に出された釜石産サクラマスをいただく。さて、お味は?

初めて給食に出された釜石産サクラマスをいただく。さて、お味は?

 
 畝岡蓮恩君は「初めて食べたサクラマスは脂が乗っていておいしかった」と大満足。福士愛梨さんもサクラマスの味を気に入り、「釜石の海で養殖されていると聞きびっくり。もっといっぱい食べられるようになるといい」と期待した。
 
 同センターの山根美保子所長は「釜石にもおいしい農水産物があることを知ってほしい。これからも釜石産食材をできるだけ給食で提供していければ」と話す。センターでは今月11日には「鮭の日」にちなんだ給食を提供。8日の「いい歯の日」にちなみ、7日から11日まではかみごたえのある献立を取り入れ、子どもたちの食への関心を高めた。

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世界遺産「橋野鉄鉱山」で発掘調査 三番高炉の水車場、フイゴ座、鋳造場を確認

国史跡「橋野高炉跡」発掘調査現地説明会。水車場跡に見入る見学者

国史跡「橋野高炉跡」発掘調査現地説明会。水車場跡に見入る見学者

 
 釜石市が本年度、発掘調査を行った「橋野鉄鉱山」高炉場跡、三番高炉エリアで12日、調査結果を一般に公開する説明会が開かれた。同調査は市が2018年から進める「橋野高炉跡範囲内容確認調査」の一環。三番高炉跡は1956(昭和31)年に岩手大による発掘調査が行われ、その価値が認められ、翌57(同32)年に橋野高炉跡が国史跡に指定された経緯がある。今回はその調査記録の再確認などが行われた。結果、高炉覆屋建物の規模が実証され、水車場、フイゴ座、鋳造場の痕跡も確認できた。
 
 同調査は10~11月の期間で実施。岩手大の調査記録、1892(明治25)、94(同27)年の建物記録を参考に、規模の確認を主目的とした。高炉の西側には本線水路から水を引き稼働させた水車場の記録があり、今回の発掘でもその石組みを確認。下部構造や範囲が明らかになったほか、地中からは水車場か高炉上屋の廃材とみられる木材が見つかった。水車の直径は約2メートルと推定されるという。
 
水車場の下部構造(黄丸部分)が分かる石組み

水車場の下部構造(黄丸部分)が分かる石組み

 
水車場の中から見つかった廃材(黄丸部分)

水車場の中から見つかった廃材(黄丸部分)

 
 水車の軸とつながれたフイゴは高炉に風を送る装置で、高炉北側に位置していたことが記録に残る。水車の駆動で2基の箱型フイゴが稼働していたとみられ、地中にフイゴの土台を止めるための穴が見つかった。大島高任が日本で初めて連続出銑に成功した大橋高炉では当初、西洋式の丸型足踏みフイゴが採用された。翌年に操業した橋野高炉ではより効率的に風を送れるように改良した箱型フイゴが使われ、2基の稼働で順次、風を送れる仕組みが確立された。これが橋野高炉成功の理由の一つとされる。
 
三番高炉の北側に位置する「フイゴ座跡」(黄丸部分)

三番高炉の北側に位置する「フイゴ座跡」(黄丸部分)

 
水車とフイゴをつなぐ軸の推定位置を説明(奥が水車場、手前がフイゴ座)

水車とフイゴをつなぐ軸の推定位置を説明(奥が水車場、手前がフイゴ座)

 
 今回の調査では岩手大の調査記録では分からなかった鋳造場跡が確認された。高炉の南側エリアで鋳型の外側の部材が出土。関係する木枠、砂、焼けた土も確認された。高炉石組みのすぐそばには鋳造炉、鋳型場とみられる痕跡も。文献記録によると、同高炉の出銑は1894(明治27)年6月が最後とされ、終焉(えん)ごろは銑鉄の生産よりも鉄瓶や鍋釜の鋳造が中心だったとされる。
 
三番高炉南側エリアで確認された鋳造場跡(黄線囲み部分)。鋳型片などが見つかった(左下)

三番高炉南側エリアで確認された鋳造場跡(黄線囲み部分)。鋳型片などが見つかった(左下)

 
 この他、高炉東側に位置する出銑の砂場跡の範囲、岩大調査では検出されていなかった柱穴や土坑が確認された。これらの情報をもとに検討した結果、高炉覆屋建物の規模は約57坪(約188平方メートル)と推定され、明治の記録と合致した。出土した鋳型の一部、高炉底部のれんがを含む塊など遺物は、橋野鉄鉱山インフォメーションセンターで12月8日まで公開されている。
 
高炉出銑口前の砂場範囲も確認された。左下は江戸末期の絵巻に描かれた出銑口前での作業風景

高炉出銑口前の砂場範囲も確認された。左下は江戸末期の絵巻に描かれた出銑口前での作業風景

 
インフォメーションセンターで公開されている出土品。右は耐火れんが積塊

インフォメーションセンターで公開されている出土品。右は耐火れんが積塊

 
 今回は昨年度の調査で確認できなかった土蔵跡の調査も行われた。江戸末期(1860年代前半)に描かれた高炉絵巻では御日払所の北側に板蔵、土蔵の順に並ぶ様子が見られるが、今回の調査で板蔵の東側に土蔵があったことが確認された。建物礎石が見つかり、明治の記録「6坪」と合致した。この場所には1967(昭和42)年に国史跡指定10周年を記念して日本鉄鋼連盟により東屋(休憩所)が建設されており、2018(平成30)年まで上屋が残っていた(老朽化で撤去)。
 
板蔵跡の東側で確認された土蔵跡。絵巻(左下)では板蔵の北側に描かれていた

板蔵跡の東側で確認された土蔵跡。絵巻(左下)では板蔵の北側に描かれていた

 
 調査を担当した市世界遺産課の髙橋岳主査は「水車場の石垣など遺構が良好な状態で残っていることをあらためて確認できた。この状態の良さがあったからこそ、昭和32年の国史跡指定にもつながったものと思われる。今回、鋳造の痕跡が見つかったのは新たな発見」と成果を示した。来年度は西側に位置する長屋跡の発掘調査が行われる予定。

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大学の知見をまちづくりに 「海と希望の学園祭」 釜石市・東京大連携協定記念で

「海と希望の学園祭」を太鼓演奏で盛り上げる重茂中(宮古市)の生徒

「海と希望の学園祭」を太鼓演奏で盛り上げる重茂中(宮古市)の生徒

 
 海と希望の学園祭(釜石市主催)は5、6の両日、同市大町の釜石PIT、市民ホールTETTOで開かれた。共同研究や技術開発、地域振興など各種分野で連携する同市と東京大3研究所の協定締結を記念し初めて開催。海洋研究や地域産業に関わる講演やパネル討論、楽しく海に親しむワークショップなど多彩な催しが行われ、幅広い年代が学びを深めた。
 
 同市と同大は2006年の同大社会科学研究所(社研)による「希望学」釜石調査を機につながり、東日本大震災後は「危機対応学」という新たな分野で研究連携を続けてきた。そうした実績を基に本年3月、社研、大槌町に研究施設を持つ同大大気海洋研究所、市の3者で「連携協力の推進に関する覚書」を締結。7月には、釜石港で実証試験が始まった波力発電の技術指導を行う同大先端科学技術研究センター(先端研)と市で「連携及び協力に関する協定」を締結した。
 
 記念の交流イベントとなった同祭。大気海洋研はヒトデやヤドカリ、ウニ、アメフラシなど海の生物に触れられるコーナーを開設し、来場者に生態などを教えた。中にはウニの一種ながら、硬貨のような平たい形状の「ハスノハカシパン」も。一般にはなじみのない生物で、来場者は興味深げに見入った。
 
海の生物に触れられるタッチプール。左下拡大は「ハスノハカシパン」

海の生物に触れられるタッチプール。左下拡大は「ハスノハカシパン」

 
 担当者の説明を熱心に聞いていた三浦海斗君(釜石中2年)は「いろいろな生物の特徴や生息場所を知れた。海には友だちとよく釣りに行く。今度行った時は、探してみたい」と貴重な学びを得た様子。「生き物に直接、触れられるのは面白い。これからもこういうイベントを続けてほしい」と望んだ。
 
 樹脂で作った海の生物フィギュアで注目を集めたのは大槌町のササキプラスチック(SASAMO)。魚やウニ、ホヤなどの身近な生物のほか、深海に生息する甲殻類の一種「オオグソクムシ」の大きなフィギュアがひときわ目を引いた。景品がもらえるキャスティングゲームもあり、釣りの楽しさも疑似体験できた。
 
ササキプラスチック製作海の生物フィギュアに目がくぎ付け。深海生物は重さもずっしり(右下)

ササキプラスチック製作海の生物フィギュアに目がくぎ付け。深海生物は重さもずっしり(右下)

 
 釜石海上保安部の海洋調査業務の展示、文京学院大の工作コーナー、海洋環境問題に関する映画上映も。大気海洋研との連携で「海と希望の学校」事業に取り組む重茂中(宮古市)の生徒35人は、学校で伝承する剣舞、鶏舞、魹埼太鼓を披露し、同祭を盛り上げた。
 
自分の船の位置を知るための角度測定に使う「六分儀」を体験する子ども=釜石海上保安部の展示

自分の船の位置を知るための角度測定に使う「六分儀」を体験する子ども=釜石海上保安部の展示

 
重茂中の生徒は郷土芸能「鶏舞」などを披露し、来場者を楽しませた

重茂中の生徒は郷土芸能「鶏舞」などを披露し、来場者を楽しませた

 
 講演やトークイベントは7プログラムを開催。3研究所の教授や准教授らが各種テーマで講演したほか、地元の観光や産業関係者を交えてのパネル討論などを行った。「海と希望のまち釜石~未来への船出~」をテーマとしたパネル討論には、教授3人と野田武則市長、かまいしDMCの河東英宜代表取締役が登壇。海洋環境、再生可能エネルギー、海を生かした観光、人材育成など多様な視点で意見を交わした。
 
 大気海洋研所長の河村知彦教授(海洋生態学、水産資源生物学)は海洋環境への関心喚起について「海の中は見えない。研究者が一般の人に伝え、みんなで共有していく必要がある。見えない部分に想像を働かせ、問題や可能性を見いだすことが大事」と述べた。先端研所長の杉山正和教授(再生可能エネルギーシステム)は地域におけるエネルギー政策について「資源はそれぞれ違う。画一的プランではなく、その地域ならではのロジック(論理、筋道)を作っていくことが重要。若い世代が自分たちの未来を考えるワークショップをしたり、地域の事情に合わせた展開が理想」とした。
 
5人が登壇した「海と希望のまち釜石」パネル討論。持続可能な未来へ意見を交わした

5人が登壇した「海と希望のまち釜石」パネル討論。持続可能な未来へ意見を交わした

 
パネル討論に聞き入る来場者

パネル討論に聞き入る来場者

 
 観光事業を行うDMCの河東代表取締役は「地域の魅力を生かしきれていない」との外部からの指摘に「増えている移住者の視点、地元住民の協力で魅力の掘り起こし、磨き上げ、発信に努めているところ。眠っている資源はまだまだある」と今後の可能性を示唆。野田市長は震災で発揮された防災教育の効果を例に挙げ、市民の学びの場の必要性に言及。「釜石は常に困難を乗り越えてきた歴史があるが、人口減もあり、次世代がその力を持ち続けられるかという不安もある。これからは多くの学びの中で気付きや感性を得て、課題解決に向かう力を養っていかなければならない」と話した。

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紅葉の橋野に3年ぶりのにぎわい 「水車まつり」で祝う実りの秋 豚汁やそばに舌鼓

人気の餅まきでにぎわう「第16回水車まつり」

人気の餅まきでにぎわう「第16回水車まつり」

 
 農作物の収穫を祝う釜石市橋野町の「水車まつり」は6日、産地直売所・橋野どんぐり広場周辺で開かれた。橋野町振興協議会(和田松男会長)、栗橋地区まちづくり会議(洞口政伸議長)が共催。新型コロナウイルス感染症の影響で2年間の中止を経ての復活開催となり、待ちわびた約430人が餅まきや豚汁の振る舞いなどを楽しんだ。食、文化、自然と地域の魅力を堪能できるイベントは16回目を迎えた。
 
 青空に映える山々の紅葉に囲まれた会場。祭りは恒例の餅まきで幕を開けた。手作りの祝い餅約1千個を軽トラックの荷台から豪快にまいた。老若男女が「こっち、こっち」と手を伸ばし、久しぶりのにぎわい風景が広がった。
 
主催団体の代表らが紅白の祝い餅を豪快にまいた

主催団体の代表らが紅白の祝い餅を豪快にまいた

 
餅まきを楽しむ来場者。まつりを代表する光景

餅まきを楽しむ来場者。まつりを代表する光景

 
 野菜をふんだんに使った豚汁は約300食を用意し、無料で提供。手打ちそば、きびの焼き団子、雑穀おにぎりなどは約100~300食を各100円で販売した。野菜や穀物はいずれも地元産。良質食材と地域の食の技で生まれる味覚を求めて、長蛇の列ができた。2018年から同祭りに協力する鵜住居公民館の自主グループ「そばの三たて会」(奥山英喜会長)は、そば打ちで力を発揮。振興協女性部とともに前日から準備にあたった。全メニューは昼前に完売する盛況ぶりを見せた。
 
豚汁は無料でお振る舞い。この味を求めて多くのファンが訪れる

豚汁は無料でお振る舞い。この味を求めて多くのファンが訪れる

 
きびの焼き団子は炭火で香ばしさアップ。みそだれも食欲をそそる

きびの焼き団子は炭火で香ばしさアップ。みそだれも食欲をそそる

 
 川崎花音さん、心花さん姉妹(鵜住居小4年)は「栄養たっぷりの野菜が入った豚汁、みそだれがかかったきび団子がおいしかった」、いとこの川口梨沙さん(同)は「餅をいっぱい拾った」と笑顔満開。周辺の紅葉にも目を見張り、「赤、黄、オレンジといろいろな色が交ざってきれい。秋だなーって感じる。ずっと見ていたい」と口をそろえた。
 
 甲子町の佐藤高正さん(74)は市広報を見て妻らと初めて来場。「こんなに人出があるとは驚き。一通り食べたが、どれもおいしい。天気もいいし、川と水車、紅葉が織りなす景色は最高」と祭りを満喫。橋野に来る機会はあまりなく、「こういうイベントがあれば足が向く。長く続けてほしい」と望んだ。
 
橋野自慢の味に子どもたちもこの笑顔!箸が進む

橋野自慢の味に子どもたちもこの笑顔!箸が進む

 
赤ちゃんもおいしい豚汁をもぐもぐ。家族で橋野の味を堪能

赤ちゃんもおいしい豚汁をもぐもぐ。家族で橋野の味を堪能

 
 産直近くの親水公園内にある水車小屋では、きねでもみ米をつく実演も。これで精製した米は風味が違うという。この日は来場者が米を持ち込む姿もあった。大きな水車が回る農村風景は今ではなかなか見ることができない。水車の前では記念撮影を楽しむ家族連れらが目立った。水車小屋の裏手には「ママシタの滝」があり、こちらも撮影スポットとなった。
 
かやぶき屋根の水車小屋(左上写真)。来場者は水の力で回る大きな水車の迫力を楽しんだ

かやぶき屋根の水車小屋(左上写真)。来場者は水の力で回る大きな水車の迫力を楽しんだ

 
 水車まつりは、同町で年間を通して行われる「はしの四季まつり」の一つ。コロナ禍で20年からは全祭りの中止が続いていたが、本年は春の八重桜まつり、夏のラベンダーまつりを観賞会という名目で実施。今回の水車まつりは本格復活の第一歩となり、ほぼ例年規模での開催が実現した。
 
 同振興協の和田会長は「市内の感染状況も落ち着いており、『そろそろ動き出したい』との思いがあった。協議会内でも開催への前向きな意見が多く、みんなの強い気持ちが復活を後押しした」と説明。3年ぶりの活気に「よかったねぇ~。ほっとする光景」と目を細め、「来年はニジマス釣り大会を含め、全まつりができるようになれば」と心から願った。

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復興まちづくりや観光振興などで尽力 釜石市、市勢功労者を表彰 9人1団体

市勢功労者表彰の受賞者ら。まちの発展に尽くす気持ちを新たにした

市勢功労者表彰の受賞者ら。まちの発展に尽くす気持ちを新たにした

  
 釜石市の2022年度市勢功労者表彰式は1日、大町のホテルサンルート釜石で行われた。復興まちづくり、社会福祉、観光振興、消防防災などで市の発展、市民生活の向上に貢献した市勢功労者として8人1団体を表彰。特別功労者として、漁業の振興発展に尽くした1人をたたえた。
  
野田武則市長(右)から表彰される市勢功労者

野田武則市長(右)から表彰される市勢功労者

  
 野田武則市長は「行政だけでは力の及ばない課題が多く、市民の協力がなければ、まちの発展もない。培ってきた豊かな識見と経験のもと、なお一層の協力を」と式辞。受賞者を代表して渡辺幹男さん(80)が「市民や地域、市勢の振興などに少しでも貢献できたことはこの上ない喜び。この栄誉は周囲の支えや協力のおかげ。市民が安心して暮らし、より魅力的なまちになるよう一層努力したい」と謝辞で応えた。
  
受賞者を代表し渡辺幹男さん(手前)が謝辞を述べた

受賞者を代表し渡辺幹男さん(手前)が謝辞を述べた

  
 保健福祉の向上に力を尽くしているとして表彰されたのは、小佐野町の市立図書館を拠点に活動する「朗読奉仕・ハマナスの会」(藤原由香里会長)。視覚障害者向けに録音CDを制作し、希望者に毎月送っている。会員は50~80代の7人。今年、結成30年を迎えた。
  
 集まるのは月1回。会員それぞれがお気に入りの新聞記事を持ち寄って、録音活動にいそしんでいる。活動歴18年の藤原会長(55)は、会の中では最年少。「お姉さまたちの雰囲気がよく、気持ちが穏やかになる居場所。楽しく活動しながら人の役にも立てる。やりがいがある」と充実感をにじませる。気にかかるのは、会員の高齢化。「集まるのは日曜日。働いていてもできる。若い仲間が増えてくれたら」と望んだ。
  
朗読奉仕「ハマナスの会」の藤原会長(左)。活動継続へ意欲を高める

朗読奉仕「ハマナスの会」の藤原会長(左)。活動継続へ意欲を高める

  
功労者と功績は次の通り。
【自治功労表彰】
▽遠藤幸徳さん(74)=唐丹町 11年に市議に当選し、3期目。市勢発展に貢献
▽柏舘旨緒さん(72)=小佐野町 04~06年に市都市計画審議会委員、13~21年に被災市街地復興土地区画整理審議会委員を務め、都市計画の推進や復興まちづくりに貢献
▽川﨑孝晴さん(75)=栗林町 07~19年まで通算12年間、民生委員・児童委員を務め、社会福祉の増進に貢献
▽菊池秀明さん(75)=甲子町 11年に市議に当選し、3期目。市勢発展に貢献
▽木村琳藏さん(75)=唐丹町 11年に市議に当選し、3期目。市勢発展に貢献
▽澤田政男さん(74)=鈴子町 10~22年まで通算12年間、釜石観光物産協会長を務め、地域経済の発展と観光振興に貢献
▽鹿本勝政さん(71)=両石町 消防団員として45年間にわたり地域防災の任に当たるとともに、市消防団第6分団長の要職を務め、民生の安定に貢献
▽渡辺幹男さん(80)=新町 07~19年まで通算12年間、民生委員・児童委員を務め、社会福祉の増進に貢献
▽朗読奉仕「ハマナスの会」(1992年結成、藤原由香里会長)=小佐野町 結成以来30年にわたり視覚障害者への朗読奉仕を継続して行い、保健福祉の向上に貢献
  
【特別功労表彰】
▽小川原泉さん(71)=箱崎町 16年から6年間、市漁業協同組合連合会長を務め、漁業の振興発展に寄与

 

「第2回 かまいし百円市」の出店者を募集します

「第2回 かまいし百円市」の出店者を募集します

「第2回 かまいし百円市」の出店者を募集します
 
釜石まちづくり(株)では、2022年12月4日(日)に「第2回かまいし百円市」を開催します。販売商品を全て100円とするフリーマーケットやバザーのような形態で、“100円均一フリマ”と言ったイメージです。
 
例えばこのような商品の出品を想定しています・・・
リユース可能な子供用品、持て余してしまったお中元や引き出物の中身、まだまだ使えるおもちゃ、ダブったガチャガチャ、ちょっとしたコレクションアイテム、端数が残ってしまったパック商品、かつての趣味の名残、ハンドメイドグッズに変身する素材たち、野菜やお菓子・・
・・などなど、価格を100円として頂ければ、一部の取扱い禁止商品以外は何でもOKです。
 
全て100円ということで、出店される皆様にとっては大きな販売益には繋がりにくいかもしれませんが、以下のような点に意義を見出して下さる皆様のご出店を募集いたします。
・リユースの促進による社会活動的意義
・みんなで出店する楽しさ
・街の賑わいの場づくり など
 
初回はプレ開催のため、狭い範囲の口コミでの参加募集でしたが、2回目以降は広く参加を募集します(当面は、釜石市内にお住まいの方、及び釜石市内で活動する団体やグループに限定)。
各種サークル活動などのグループをはじめ、社会福祉法人やNPO等の社会活動団体、町内会やクラブ・少年団活動等の地域活動の一環として、学校や幼稚園・PTAや保護者会の催しとしてなど、皆様のご出店をお待ちしています。
 

開催概要

日 時: 2022年12月4日(日)10:30~14:00
場 所: 釜石市民ホールTETTO・ホール前広場
主 催: 釜石まちづくり(株)
キャッチコピー: 「100円握ってお宝さがし!」

出店の基本情報

◎全ての商品を100円(税込)で販売すること
※この基本ルールを遵守頂けない場合は当日でも出店中止となりますのでご注意下さい
◎ 50個以上の商品をご用意頂けること(多い分には大歓迎!)
◎ 開催日時点での新型コロナの状況に応じた対策にご協力頂けること
◎「出店について」の要件を遵守頂けること
・参加可能枠を超えるご応募があった際は抽選とさせて頂きます
・チャリティ活動(売上は○○へ寄付、○○を支援、教育や社会福祉活動資金に充当)が
伴う場合は、条件により別枠での出店が可能ですのでご相談下さい
・今後、「五百円市」や「千円市」の実施も検討しています(日時等は未定)

出店について

◆物品の販売以外のサービスを商品として提供することはできません
(マッサージ、ヘアカット、診断、占いなど ※縁日等に類するものや主催者が要請したものは除く)
◆出店料は1,000円となります
◆出店スペースの広さは、幅2~2.5m×奥行1.5~2mを目安に調整させて頂きます
また、販売台、シート、釣銭等は各自でご準備下さい(主催者による両替には限りがあります)
◆会場は屋外となりますので、各自で出店時の寒さ対策をお願いします
◆出店者には、釜石大町駐車場の24時間駐車券(通常800円)を500円にて斡旋いたします
(団体の場合は駐車台数分の購入OK)
◆ペット等を同伴しての出店は禁止です(介助犬等を除く)
◆火器の使用や発電機の持込みは禁止です

取扱い禁止商品

以下の商品の取扱い及び取引は禁止といたします
生鮮食品など衛生管理上好ましくない物、その場で調理提供する飲食品、ペット等の生き物、
偽造品や盗品など法律に抵触する商品、受発注や目録を介しての後日取引を前提とした商品、
取扱い資格の必要な危険物や薬品(有資格者でも不可)、公序良俗に反する物、大量の火薬類、
再販売やオークション等への出品を前提とした取引
※大量の酒類を取り扱う場合は事前にご相談ください
※この他、主催者が不適切と判断した商品については取扱いを中止頂く場合があります

新型コロナウイルス感染症対策について

出店及びご来場にあたり、手指の消毒・距離の確保・過度な密集の解消・状況に応じたマスク着用など、各開催日の時点で行政や各種機関が指示及び推奨する対策に準じて頂くほか、主催者や施設の判断による感染症予防策を要請する場合があります。

出店の申し込み方法

出店に関しての各種事項(開催概要、基本条件、出店について、取扱い禁止商品、コロナ対策)を必ずご確認・ご理解のうえ、下記の出店申込書を記入して釜石まちづくり(株)までお申込み下さい。
 
・釜石まちづくり(株)の社員によるご紹介やご案内による場合は直接担当社員まで
・それ以外の場合は、釜石まちづくり(株)FAX <0193-27-8331>
申込み締切 2022年11月18日(金)
 
問合せ等については、同様に担当社員にご連絡いただくか、
釜石まちづくり(株)TEL <0193-22-3607> までお願いします。

出店概要&申込書

PDF版(913KB)
「第2回 かまいし百円市」の出店概要&申込書
 
Word版(32KB)
「第2回 かまいし百円市」の出店概要&申込書

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育て!根浜由来の植物 釜石東中生7種を植栽 震災前の海岸風景復活へ活動5年目

釜石東中2年生による海浜植物の移植作業=根浜

釜石東中2年生による海浜植物の移植作業=根浜

 
 東日本大震災の津波で多くの海浜植物が失われた釜石市鵜住居町の根浜海岸。地域に親しまれたかつての風景を取り戻そうと、地元の釜石東中(佃拓生校長、生徒102人)は、同海岸由来の植物を種から育て現地に植え戻す活動を2018年から継続する。5年目を迎えた今年も、生徒たちが大切に育てた苗を移植。息の長い活動で根浜の原風景復活を目指す。
 
 同校は、震災後の海辺環境再生へ官民で取り組む根浜海岸林再生実行委(前川昭七会長)と連携し、総合的な学習の一環として同活動をスタートさせた。毎年春に同海岸について学ぶ座学、種まきから始め、夏に移植地の清掃など環境整備、秋には育てた苗の植栽を行っている。
 
 種まきと苗の育成、移植に取り組むのは2年生。今年は5月にハマヒルガオ、ハマエンドウ、ハマボウフウの種をまき、水やりや日光管理を行いながら成長を促してきた。移植は10月26日に実施。生徒26人が地元の協力者らと作業にあたった。移植場所は防潮堤沿いに連なるマツ林の海側スペース。同所には16年に県の事業で砂が投入されている。この日は、講師を務める県立大総合政策学部の島田直明教授(植生学、景観生態学)らが育てたケカモノハシ、コウボウムギなど4種も合わせて移植。生徒らは雑草を刈り取った後、地面に穴を掘り、計約250株を植え付けた。
 
生徒たちは移植場所の雑草取りから作業開始

生徒たちは移植場所の雑草取りから作業開始

 
苗を植えるための穴を掘る。力のいる作業

苗を植えるための穴を掘る。力のいる作業

 
育苗ポットから取り出した苗を砂地に移植

育苗ポットから取り出した苗を砂地に移植

 
 学級会長の小笠原颯真君は「学習を始める前は知らなかった珍しい植物ばかり。根浜の名物になるぐらい、たくさん生えて育ってほしい。ハマナスとかきれいな花も見られるので、もっとみんなに愛されるような海岸になったらうれしい」と未来の姿を思い描く。
 
 根浜海岸の砂浜とマツ林周辺には震災前、10数種の海浜植物が見られたが、津波で砂浜の半分以上が流失。マツ林は残ったが、植物の数は激減した。種を取り苗を育成して植え戻す活動は地元住民らが始め、支援者の協力で続けられてきた。この活動に中学生が加わり、学校ぐるみで取り組みが進むことについて、島田教授は「自分たちが住む地域への愛着にもつながるのでは。中学生の活動によって、地域の人たちが根浜海岸の希少価値を再認識し、大事にしたいと思ってくれたら」と期待を込める。
 
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 釜石東中生が植栽を続ける約100メートルの区間では、これまでに植えた苗が着実に根付いている。今後はさらに効率的に増やせるよう工夫しながら取り組んでいくという。

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ご褒美は太平洋を望む絶景 御箱崎「ゆったりウオーキング」 釜石・甲子公民館企画

箱崎半島を散策した「ゆったりウオーキング」の参加者ら

箱崎半島を散策した「ゆったりウオーキング」の参加者ら

 
 釜石市甲子町の甲子公民館(佐々木利光館長)が行う健康づくり事業「ゆったりウオーキング」が10月21日、同市北東部の箱崎半島で行われた。東北自然歩道「新・奥の細道」コースにもなっている散策路を50~80代の10人が歩き、太古の地球活動から生まれた大自然を堪能。健康で歩ける喜び、郷土が誇る景観の素晴らしさを体感し、思い出を心に刻んだ。
 
 同館が年6回シリーズで開催するウオーキング企画の本年度5回目。箱崎半島のコースは今回が初めての選定となった。箱崎町白浜地区集落を経て、スタート地点の大沢遺跡駐車場までは車両で移動。講師を務める蓮見純子さん(健康運動実践指導者)の案内で、午前9時55分、入り口の赤鳥居をくぐって出発した。目的地の半島突端、御箱崎灯台までは片道約3.9キロ。散策路はアップダウンが続く険しいコース。一行は樹木が生い茂る森の景色も楽しみながら、無理のない速度で歩みを進めた。
 
大沢遺跡駐車場から半島先端部を目指して出発

大沢遺跡駐車場から半島先端部を目指して出発

 
緑に囲まれた散策路をゆっくりと進む

緑に囲まれた散策路をゆっくりと進む

 
勾配のきつい坂道はトレッキングポールを利用して体への負担を軽減

勾配のきつい坂道はトレッキングポールを利用して体への負担を軽減

 
 半島の先端が近づいてくると、木々の間から右手に釜石湾、左手に大槌湾が見え隠れ。普段、見ることのない角度からの三陸の景色に参加者は感激の声を上げた。スタートから約1時間20分で、東屋とトイレがあるポイントに到着。休憩後、最終目的地を目指した。灯台までの道のりには、地元住民が漁業繁栄や家内安全を祈願する御箱崎神社があり、古い石碑群や複数の赤鳥居が地域信仰の奥深さを感じさせた。一行は鐘を鳴らして参拝した。
 
半島の北側は大槌湾から山田湾を眺望できる

半島の北側は大槌湾から山田湾を眺望できる

 
複数の赤い鳥居が目を引く御箱崎神社。参加者はほこらの前で参拝(左下写真)

複数の赤い鳥居が目を引く御箱崎神社。参加者はほこらの前で参拝(左下写真)

 
箱崎白浜出身の佐々木利光館長(左)からは地元住民ならではの話も聞けた

箱崎白浜出身の佐々木利光館長(左)からは地元住民ならではの話も聞けた

 
 灯台に到着すると、目の前には太平洋の絶景が広がった。リアス海岸の地形で陸地側に深く入り込んだ湾風景を見慣れている釜石市民にとって、視界いっぱいに広がる長大な水平線は新鮮な光景。沖を航行する船舶も見られ、参加者は盛んにスマホカメラのシャッターを切った。
 
半島の突端にそびえる御箱崎灯台。目の前には外洋の壮大な景色が広がる(左上写真)

半島の突端にそびえる御箱崎灯台。目の前には外洋の壮大な景色が広がる(左上写真)

 
水平線をバックに記念撮影。灯台までの完歩に参加者は充実の笑顔!

水平線をバックに記念撮影。灯台までの完歩に参加者は充実の笑顔!

 
 半島先端部南側には断崖を下った先に、同市が誇る景勝地「千畳敷」が広がる。約1億2千万年前、地中から上昇したマグマが冷え固まって花こう岩を形成。長い年月をかけて波の浸食を受け、現在のような荒々しい岩場が生み出されたとされる。同所は三陸ジオパークのジオサイトの一つにもなっている。散策路からは崖伝いに急峻、極狭の遊歩道があるが、下りるには十分な注意が必要。今回は参加者の安全を考慮して、上から眺める形にした。
 
巨大な岩、荒々しい岩肌が独特の景色を生み出している「千畳敷」

巨大な岩、荒々しい岩肌が独特の景色を生み出している「千畳敷」

 
長年の波の浸食で奇妙な形状に削られた花こう岩

長年の波の浸食で奇妙な形状に削られた花こう岩

 
天候によってさまざまな色合いを見せる千畳敷周辺の海

天候によってさまざまな色合いを見せる千畳敷周辺の海

 
 千畳敷から南東方向には、国の天然記念物に指定されている無人島「三貫島」が見える。市の鳥「オオミズナギドリ」の繁殖地で、市の木「タブノキ」に覆われる同市を象徴する島。参加者は見どころ満載の自然景観を存分に満喫し、昼食をはさんで往復約7.8キロを歩き抜いた。
 
千畳敷から望む「三貫島」(写真赤丸部分)

千畳敷から望む「三貫島」(写真赤丸部分)

 
 「誰かの力を借りないと来られない場所。すごく興味があり、一度来てみたかった」と谷藤敦子さん(79)。目の前に広がる大パノラマに、「おおらかな気持ちになり、思い切り空気を吸いたくなる。今日はばっちり見える眼鏡もかけてきた」と満面の笑み。土を踏みしめて歩くという街中ではできない体験も喜び、「これも健康だからできること。今、こうして歩けていることが一番の幸せ」とありがたさをかみしめた。
 
 今回の参加者の中で最高齢は永須由美子さん(83)。初めて訪れた箱崎半島に、「今まで歩いた中でもきついコース。距離も長いし。でも頑張って歩いた」と充実の表情。会話し、景色を見ながら歩くのが何よりの楽しみといい、同ウオーキング企画への参加を続ける。10年ほど前から意識的に歩くようになり、普段は自宅周辺を1時間ほど歩くのが日課。この日の帰路では他の参加者より一足早くゴールし、仲間を驚かせた。
 
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 講師の蓮見さんは市内3公民館で健康づくりのための体操指導などを行い、ウオーキングにも力を入れる。「歩かないと歩けなくなる。動かないと動けなくなる」をモットーに、認知症予防にもつながるウオーキングを高齢者らを中心に勧める。「箱崎半島にはいつかみんなを連れてきたいと思っていた。念願がかないうれしい。見どころいっぱいのコースはまだまだたくさんある。時には遠出しながら歩く楽しみ、脚を動かす大切さを伝えていければ」と話した。