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新園舎の完成祈願 小佐野保育園(釜石)で上棟式 祝いの風習・餅まきに園児ら大喜び

園の関係者と施工業者が屋根に上って餅まきし安全祈願

園の関係者と施工業者が屋根に上って餅まきし安全祈願

  
 園舎の新築建て替え工事を進めている釜石市小佐野町の小佐野保育園(小笠原真理子園長)で10月26日、上棟式があった。園児30人と園の職員、施工業者、地域住民らが集まり、工事の無事故と完成を祈願。祝いの風習だが、今では珍しくなった餅まきも行われ、子どもたちが夢中で記念の縁起物を拾い集めた。
   
 上棟式は建築儀礼の一つで、建物を新築する際に「完成後も建物が無事であるように」と願い、基本構造が完成して棟木を上げる時に行われるもの。酒や米などを飾った上で餅や硬貨をまくもので、これを拾うことで縁起が良いと言われている。
  
 時代の変化もあり、上棟式が行われることは珍しくなっており、施工を担当する山元(只越町)の現場代理人佐々木竜一さん(48)も「東日本大震災後は行っていないし、やる業者も少ないのでは」と話す。今回は「建物を建てる時の風習を子どもたちに教えたい」と企画。楽しい記憶として残してもらえるよう餅のほか、お菓子も用意した。
  
子どもたちは豪快にまかれた縁起物を夢中で拾い集めた

子どもたちは豪快にまかれた縁起物を夢中で拾い集めた

  
両手に抱えきれないほどの餅やお菓子に大満足の園児

両手に抱えきれないほどの餅やお菓子に大満足の園児

   
 上棟式の神事は、棟上げ後の建物の屋根上で執り行われ、園児らは園庭から見守った。伝統的な儀式の餅まきでは、同園を運営する社会福祉法人釜石愛育会(中妻町)の小野寺哲理事長らが餅や菓子を豪快にまき、園児らが歓声を上げながら受け取った。
  
 両手いっぱいに縁起物を抱えて大満足の子どもたちは、工事関係者に手作りのお礼状をプレゼント。「あたらしいほいくえんをつくってくれてありがとう!えんですごせるひをたのしみにしているよ」とわくわく感を伝えた。
  
たくさんの餅やお菓子を抱えて笑顔を見せる子どもたち 

たくさんの餅やお菓子を抱えて笑顔を見せる子どもたち

  
園児は工事関係者(中)にお礼状を贈って感謝を伝えた

園児は工事関係者(中)にお礼状を贈って感謝を伝えた

  
 工事は旧施設の老朽化解消や耐震化に対応した園舎整備のため、新しく建て替えるもの。木造一部2階建て、延べ床面積は約648平方メートル。7月に着工、来年1月下旬の完成予定で、同2月中の利用開始を目指している。子どもたちのたくさんの笑顔に触れた佐々木さんは「いいものをしっかり作りたい」と力をもらった。
  
新築建て替え工事が進む小佐野保育園。来年1月の完成を予定する

新築建て替え工事が進む小佐野保育園。来年1月の完成を予定する

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3年ぶり「釜石潮騒ウオーク」に121人 創立20年の釜石協会「息の長い活動を」

中心市街地に向かう「鉄と魚とラグビーのまち釜石潮騒ウオーク」の参加者=大渡橋

中心市街地に向かう「鉄と魚とラグビーのまち釜石潮騒ウオーク」の参加者=大渡橋

 
 岩手県ウオーキング協会(佐藤良介会長)主催の「第13回鉄と魚とラグビーのまち釜石潮騒ウオーク」は22日、釜石市東部地区を巡るコースで行われた。同協会が県内13コースで展開する「岩手路ウオークリーグ」の一環。新型コロナウイルス感染症の影響で中止が続いていたため、3年ぶりの開催となった。県内各地の協会員と一般参加者121人が集い、紅葉が始まった市内の景色を眺めながら元気に歩みを進めた。
 
 同大会は毎年秋に行われる。今回は発着点となる鈴子広場のリニューアル(本年4月)後、初めての開催。昨年、創立20周年を迎えた釜石市ウオーキング協会(桝井昇会長、会員54人)の節目を祝う記念大会として位置づけられた。出発式で県協会の佐藤会長は、ウオーキングの普及・発展に尽力してきた釜石協会の活動をたたえ、感謝の気持ちを表した。
 
 準備運動で体をほぐし、午前9時半に10キロ、5キロの各コースに分かれ、参加者がスタート。両コースとも大渡橋を渡り、最初の休憩地点・魚河岸テラスを目指して目抜き通りを進んだ。休憩後は、津波対策と市民の憩いの場を兼ねた盛り土避難路「グリーンベルト」へ向かった。2020年春に完成した歩道で、初めて大会コースに設定した。
 
午前9時半、5キロと10キロのグループに分かれ鈴子広場をスタート

午前9時半、5キロと10キロのグループに分かれ鈴子広場をスタート

 
震災から復興したまちの様子を見ながら歩みを進める。背後の建物は復興住宅=大町青葉通り

震災から復興したまちの様子を見ながら歩みを進める。背後の建物は復興住宅=大町青葉通り

 
港を一望できるグリーンベルトは普段から市民の散歩コースに。斜面には植樹された桜が育つ

港を一望できるグリーンベルトは普段から市民の散歩コースに。斜面には植樹された桜が育つ

 
 5キロコースは、港町のイオンタウン釜石前を通り、千年橋を渡って鈴子のゴールへ向かった。10キロコースは次の休憩地点・鉄の歴史館(大平町)を目指し、長い上り坂に挑んだ。釜石湾の美しい景色を横目に高台の同館へ。一息入れた後、湾を一望できる展望台“港の見える丘”に上った。帰りはカーブが連続する女坂(嬉石町)を下り、甲子川沿いの国道を通ってゴールした。
 
鉄の歴史館近くの展望台に向かう10キロコースの参加者。頂上まであと一息

鉄の歴史館近くの展望台に向かう10キロコースの参加者。頂上まであと一息

 
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待っていたのは釜石湾の絶景!思い出をスマホカメラに収めた

 
 花巻協会の橋本純子さん(63)は10キロに参加。「これだけの人数が集まる大会は久しぶり。コロナ下ではあるが外なので、あまり臆することなく歩いている。歩いて免疫力をつけることも大事」と3年ぶりの釜石路を満喫。東日本大震災後の同市にも思いを寄せ、「来るたびに街並みの変化を感じさせてもらう。来年で(発災から)12年になるが、コロナもあり復興は長い道のり。私たちも食事や買い物で応援を続けたい」と願った。
 
5キロコースの参加者も元気な足取りで進む

5キロコースの参加者も元気な足取りで進む

 
まだまだ余裕の表情!仲間との久しぶりのウオーキングを楽しむ

まだまだ余裕の表情!仲間との久しぶりのウオーキングを楽しむ

 
 釜石協会の小澤勲さん(79、栗林町)は「いつもは10キロだが、今回は知り合いと一緒に5キロで参加した。天気も良くて最高だね」と爽やかな表情。普段は趣味のアユ釣りの時期を除き、ほぼ毎日5~6キロ歩くといい、「習慣づけていないとだめ。歩くと体の調子も全然違う。家にこもってばかりでは老化に拍車がかかる」と気持ちを奮い立たせる。
 
 震災前まで釜石協会員だった菊池みさ子さん(84)は、市広報で参加者募集の告知を見て12年ぶりに参加。「思い切って申し込んで良かった。みんなに会えてうれしい」と声を弾ませた。震災で嬉石町の自宅が津波に襲われ、避難所、仮設住宅生活を経て只越町の復興住宅に入居した。「買い物に出かける時はできるだけ歩くようにしている。今日は力をもらった。これからまた頑張って暮らしていきたい」と菊池さん。
 
昨年、創立20周年を迎えた釜石市ウオーキング協会の会員。末永い活動を誓う

昨年、創立20周年を迎えた釜石市ウオーキング協会の会員。末永い活動を誓う

 
 釜石協会は2001年創立。毎月の例会ウオーキング、主催大会の運営、県協会行事への参加など精力的に活動を続けてきた。2代目の桝井会長(81)は「20年続いたのは、中心メンバーが会員を引っ張ってきてくれたおかげ」と感謝。釜石の大会には例年、多くの県内の仲間が集う。「他地域の大会にも積極的に出向き、交流を重ねてきた成果の表れ。今日もみんな知っている人ばかりで、涙がこぼれた」。会員の平均年齢は78歳。高齢化は進むが、「人とのつながりを大事にしながら、若い世代に引き継いでいきたい」と今後を見据える。
 
 同協会はコロナで1年延期していた20周年記念式典を11月13日に市内のホテルで開催する予定。

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60歳以上も生き生き就労 釜石市シルバー人材センター 奉仕活動で事業をアピール

清掃活動を行った釜石市シルバー人材センターの会員、職員ら=20日

清掃活動を行った釜石市シルバー人材センターの会員、職員ら=20日

 
 公益社団法人釜石市シルバー人材センター(前川公二理事長)は20日、港町のイオンタウン釜石周辺の歩道で清掃奉仕活動を行った。全国シルバー人材センター事業協会が定める10月の普及啓発促進月間にちなんだ活動。登録会員と職員約50人が参加し、縁石沿いや店舗前の植え込みに生える雑草を取り除いた。そろいの帽子とベスト姿で作業し、買い物客や道行く市民らにシルバーパワーをアピールした。
 
 活動は同センターの存在を広く知ってもらい、就労する会員や受託する仕事を増やすのが狙い。例年、中心市街地でごみ拾いなどの清掃活動を行っているが、今年は除草をメインにした。活動場所はイオン釜石の南側駐車場と店舗建物の間を走る市道沿い。会員らは作業を分担しながら、夏の間に伸びた雑草を鎌などを使って刈り、袋に詰めて回収した。来店や車両通行で人目につきやすい一帯は、約1時間半の作業ですっきりとした景観を取り戻した。
 
イオンタウン釜石前の道路沿いで行った除草作業

イオンタウン釜石前の道路沿いで行った除草作業

 
縁石周辺に生えた草を取り除き回収した

縁石周辺に生えた草を取り除き回収した

 
 同センターは60歳以上の人を対象に働く場を提供する。登録会員はセンターが自治体や企業、一般家庭などから受けた仕事を請け負う。派遣労働者としての就業も可能。仕事は草取り・刈り、植木のせん定、襖・障子張り、家事援助、施設管理、清掃、筆耕など多岐にわたる。
 
 会員の佐々木安美さん(69)は「社会とのつながりがほしい。頭の活性化にもなれば」と今年4月に入会。市内のコミュニティー施設で清掃業務に従事する。家族の介護でしばらく外での仕事から離れており、久しぶりの社会復帰。「生きがいを感じる。1日3時間と無理のない範囲でできるのもいい。やる気があれば年齢にかかわらず、いつからでも始められる」と就業の喜びを語る。
 
店舗前の植え込みの中の雑草も取り除いた

店舗前の植え込みの中の雑草も取り除いた

 
青空の下、奉仕活動に汗を流す会員ら

青空の下、奉仕活動に汗を流す会員ら

 
縁石周辺にたまった土も取り、見違えるほどきれいな環境に

縁石周辺にたまった土も取り、見違えるほどきれいな環境に

 
 同センターの登録会員数は332人(男266/女66、20日現在)。2000年代中ごろのピーク時には約580人が登録していたが、定年延長の広がりや東日本大震災後の人口減などで減少傾向が続く。前川英之事務局長は「高齢化の進展、定年延長で入会年齢が上がっており、管理的な仕事を求める人が増えている。肉体労働だけではなく幅広い業務を受けられるよう会員の増強、契約先の開拓を図り、双方の利益になる事業運営を目指していきたい」と話した。同センターの今年4~8月の受託額は約6300万円。前年同比5%増となっている。
 
 センターでは毎月第4木曜日午前10時から、浜町の事務所で入会説明会を開催。入会についての問い合わせや相談は随時、受け付けている。詳しくは同センター(電話0193・22・2182)へ。

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宇宙を旅した復興横断幕 いのちをつなぐ未来館(釜石・鵜住居町)で展示公開

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いのちをつなぐ未来館で展示中の「東北復興宇宙ミッション2021」横断幕

  
 東日本大震災発生から10年の節目に被災地の復興を発信する「東北復興宇宙ミッション2021」で、国際宇宙ステーション(ISS)から帰還した横断幕が、釜石市鵜住居町の「いのちをつなぐ未来館」で展示公開されている。同館を指定管理する「かまいしDMC」の社員有志でつくる天文部が市内各所で撮った星空の写真も紹介。「宇宙を身近に感じながら震災を考え、知るきっかけに」と期待する。11月4日までを予定する。
 
 宇宙ミッションは震災の記憶と教訓、復興支援への感謝を伝えるメッセージや写真、植物の種などを宇宙に送り、被災地の現状を発信するもの。一般財団法人ワンアース(茨城県龍ケ崎市)が企画し、東北被災3県の約50自治体が参加した。
 
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被災自治体が復興の姿や支援への感謝を伝える画像とメッセージを寄せた

 
 横断幕は2021年3月11日にISSで感謝のメッセージを読み上げた野口聡一宇宙飛行士のバックに掲示されていたもの。福島県川俣町特産の川俣シルクで制作され、ミッションに参画した各自治体が復興への思いなどを画像とともに記している。縦1・2メートル、横7メートル。同年2月20日にロケットで打ち上げられ、4カ月余り宇宙を〝旅〟し、7月10日に地球に帰還した。参加した各自治体で巡回展示されている。
 
 釜石が発信した画像は、市内小中学生が中心となって世界中に感謝を伝える活動「#Thank You From KAMAISHI 」を紹介。2019年に地元で開催されたラグビーワールドカップ(W杯)を盛り上げるための準備や試合会場での応援の様子、復活した三陸鉄道などを散りばめている。この横断幕のほか、市の花ハマユリの種もISSに〝滞在〟し、無事帰還した。
 
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釜石の子どもたちの笑顔で感謝を伝える。「ありがとう」

 
 同館職員の佐々学さん(43)は「宇宙を旅した特別な旗を見に来てほしい。震災を知らない子どもたちが増えているので、次世代への伝承にもつながれば」と期待する。
 
 天文部の活動で、市内の星空を収めた写真約20点も掲示。昨年の冬から今年の夏にかけて世界遺産・橋野鉄鉱山、根浜海岸などで見られたオリオン座や「天の川」を写した。「星」をテーマに、三陸ジオパークの箱崎半島を紹介するパンフレットも作成、同館で配布する。「釜石は星がきれい。そんな星空を楽しむことができる素晴らしい環境がある。宇宙を身近に感じることで地元の魅力を知ってほしい」と佐々さん。きらめく夜空を楽しみ続けるため環境を守っていこうと思いを強めている。
  
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宇宙ミッションのメッセージ集と星空ガイドブックを紹介する佐々さん

 
 

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釜石の秋味といえば? 甲子柿!出荷始まる 豊作傾向で色・形・味バランスよし

釜石の秋を象徴する甲子柿。目揃会で生産者らが出来を確かめた

釜石の秋を象徴する甲子柿。目揃会で生産者らが出来を確かめた

  
 釜石市の秋の味覚「甲子柿」の今季出荷が始まった。20日、甲子柿の里生産組合(佐々木裕一組合長、21人・5団体)は組合員が品質を確認する「目揃(めぞろえ)会」と、消費者目線で出来栄えを評価する審査会を開催。今年は病害や天候の影響が少なく豊作傾向で、生産者らは収穫・出荷作業と忙しい日々が続く。「色や形、つや、食味のバランスがいい」とのお墨付きをもらい、伝統の味を全国に届けようと一層作業に熱を込める。
  
 甲子柿は、渋柿の一種の小枝柿を「柿室(かきむろ)」と呼ばれる暗室に入れ1週間ほどいぶし、渋を抜く地域伝統の製法で作られる。完熟トマトのような色味とぷるんとした食感、凝縮された甘味が特長。近年は豊富な栄養素も注目され、2021年には国の2つの制度(地理的表示[GI]保護制度、機能性表示食品)で特性が認められた。
  
 目揃会は甲子町の洞関コミュニティ消防センターで開かれた。関係者ら約20人が参加。生産者8人が化粧箱に詰めた柿を持ち寄り、色つやや大きさなど仕上がりを確認した。今年は夏場に雨量が多く、気温も高めだったが、台風による被害がなく、順調に成育。落葉病など病害の影響も少なかったが、最近ちらほらと葉などに斑点ができる農家もあり、防除について情報共有した。
  
実を手に取って色つや、重さを確認

実を手に取って色つや、重さを確認

  
豊作に顔をほころばせる生産者ら

豊作に顔をほころばせる生産者ら

  
 同町洞泉地区で10年前から生産に励む菊池永人さん(47)は「実が採りきれないほど。これまでで最高になりそう。糖度が高くて、おいしさも期待できる」と手応えを実感。ブランド化を進める中で、摘果など栽培管理に力を入れる生産者が多いが、「うちはほとんど手入れをせず自然任せ。昔ながらの小ぶりな実で季節の味を届けたい」と意欲を見せる。
  

3年目の審査会 「いぶしの製法」継承を期待

  
出品された甲子柿の見た目を審査する委員

出品された甲子柿の見た目を審査する委員

  
 審査会は大町の市民ホールTETTOで開かれ、9人の組合員が出品した。食や農業に関わる企業や団体の関係者らが委員(12人)となり、消費者目線で▽見た目(色、つや、傷の多少)▽味(甘さ、いぶし風味の有無、脱渋具合)▽食感―を審査。結果、9品全てが地方発送や各種販売会への出荷に値する品質と判断された。
  
柿を食べ比べ、甘さや食感などを確かめた

柿を食べ比べ、甘さや食感などを確かめた

  
 市農政推進協議会長で県食の匠の佐々木かよさん(71)は「味、形、つやがそろっているし、甘くて甲乙つけがたい。優秀で立派なものばかり。釜石の特産品、秋の味を楽しんでもらえる」と高評価。審査委員長の黒田博幸さん(51)=麻生三陸釜石工場総料理長=も「バランスよし」と太鼓判を押し、「いぶすという独自の製法を守り、継承してほしい」と期待した。
  
柿室でいぶす伝統の製法で作られ、真っ赤に色づいた甲子柿

柿室でいぶす伝統の製法で作られ、真っ赤に色づいた甲子柿

  
 この審査会は甲子柿の品質向上と品質統一化に向けた取り組みで、3年目の実施。佐々木組合長(72)は「凶作の昨年に比べると出来が良く、豊作にほっとしている。みなさんの声を糧にさらに頑張っていく」と力をもらった。出荷作業は例年通り11月中旬ごろまで続く見込みで、「気温の寒暖差が大きく、天気予報とのにらみ合いは続く。柿室の温度や湿度管理に気を配り、ハイレベルな品質、収量を確保したい」と気を引き締めた。
  
 市内では道の駅釜石仙人峠(甲子町)や一部スーパーなどで販売中。市外への認知度向上、販路拡大に向け、▽らら・いわて盛岡店対面販売会(10月25日、11月4、5日)▽伊丹空港「空の市」(10月29、30日)▽仙台藤崎百貨店GI産品フェア(11月11、12日)―への参加を予定している。

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2基のみこし、曳き船に市民ら感涙 3年ぶりの釜石まつり コロナ禍からの復活に力

釜石まつり(尾崎神社、日本製鉄山神社合同祭)=16日、薬師公園御旅所

釜石まつり(尾崎神社、日本製鉄山神社合同祭)=16日、薬師公園御旅所

 
 釜石市浜町の尾崎神社と桜木町の日本製鉄北日本製鉄所釜石地区山神社の合同祭「釜石まつり」(同実行委主催)は14日から3日間にわたって行われた。新型コロナウイルス感染症の影響で中止が続いていた同市最大の秋祭りが3年ぶりに復活。15日は釜石湾内で曳き船まつり(尾崎神社海上渡御)、16日は市中心市街地で両神社のみこし渡御を繰り広げ、まちに活気をもたらした。参加者、観客ともに大きな喜びに包まれ、地元の宝を再認識。コロナ禍からの脱却に大きな弾みをつけた。
 
曳き船まつり(尾崎神社海上渡御)は4年ぶりの開催=15日、釜石港

曳き船まつり(尾崎神社海上渡御)は4年ぶりの開催=15日、釜石港

 
 尾崎神社奥宮のご神体をみこしに迎え、海上を渡御する曳き船まつりは、江戸時代から続く伝統神事。海上安全や豊漁などを祈願する。コロナ前の2019年も悪天候で中止されたため、今回は4年ぶりの開催。魚河岸の市魚市場前から出港した14隻の船団は尾崎半島青出浜にある奥宮にご神体を迎えに行き、午後0時半ごろ帰港。大漁旗をなびかせた各船は港内を3周した。船には神楽や虎舞の郷土芸能団体が乗り込み、にぎやかなおはやしや舞を披露。みこしを乗せた御召船第18宝生丸(釜石湾漁協)が岸壁に近づくと、見物客が手を合わせた。
 
色とりどりの大漁旗をなびかせ進む漁船=釜石市魚市場前

色とりどりの大漁旗をなびかせ進む漁船=釜石市魚市場前

 
船首でちょうちんを掲げ、舞を見せる錦町虎舞

船首でちょうちんを掲げ、舞を見せる錦町虎舞

 
船が岸壁に近づくと、互いに手を振ったり声を掛け合ったりした

船が岸壁に近づくと、互いに手を振ったり声を掛け合ったりした

 
 北上市の川﨑千鶴子さん(61)は「震災前に見て以来。コロナで気持ちが落ちている時だけに気分が上がる。浜ならではの威勢の良さも魅力」と大喜び。釜石・甲子町に暮らす義母妙さん(84)は「いい天気に爽やかな海風。最高の祭り日和。若いころは自分も船に乗った。その時のことが懐かしく思い出される」と息子夫婦と心を躍らせた。
 
 第18宝生丸の乗組員大向孝哉さん(60)は久しぶりの高揚感を味わい、「毎年のことだから、やっぱりこれがないとね。コロナを吹き飛ばすような活気」と復活を歓迎。サケ、サンマ、イカと不漁続きで漁業は厳しい状況に置かれるが、「とにかく魚がとれることを願うばかり。尾崎の神様に海の環境回復を祈る」と思いを込めた。
 
海上渡御を終えたみこしは浜町の尾崎神社里宮へ

海上渡御を終えたみこしは浜町の尾崎神社里宮へ

 
 両神社の合同みこし渡御には郷土芸能9団体を含む約800人が参加。鈴子町の釜石消防署脇駐車場で合同祭の神事を行った後、午後0時半ごろ行列が出発。大渡町から魚河岸まで市中心部の目抜き通りを2基のみこしが練り歩いた。先導した郷土芸能団体は大町から只越町間の路上で演舞を披露。沿道に詰めかけた大勢の観客の前で魂のこもった舞を見せた。
 
大渡町を練り歩くみこし渡御行列(右下拡大:平田神楽)=16日

大渡町を練り歩くみこし渡御行列(右下拡大:平田神楽)=16日

 
東前太神楽も頭をつけて舞いながら進む

東前太神楽も頭をつけて舞いながら進む

 
親子虎共演!幼児の舞い手も活躍した尾崎町虎舞

親子虎共演!幼児の舞い手も活躍した尾崎町虎舞

 
 薬師公園御旅所で神事を行った両神社のみこしは、並んで通りをゆっくりと進んだ。出迎えた観客はさい銭をあげてみこしに手を合わせ、地域の守り神に感謝。家内安全、商売繁盛、コロナ禍で落ち込んだ景気回復などそれぞれの願いを胸に、異彩を放つみこしを見つめた。
 
尾崎神社(右)と日本製鉄山神社のみこし。3年ぶりの合同渡御が実現

尾崎神社(右)と日本製鉄山神社のみこし。3年ぶりの合同渡御が実現

 
沿道では大勢の市民らが行列を見守った=大町

沿道では大勢の市民らが行列を見守った=大町

 
 小佐野町の佐々木興子さん(78)は「例年より人出も多いよう。お祭り女だからわくわくする」と笑顔満開。いつもは釜石芸能連合会の手踊りで参加するが、今年は同会の参加見送りで観客側に。「人口減少、高齢化も進むが、祭りで釜石が元気になってほしい。次回、参加できるように自分も元気でいたい」と願った。
 
 8月に北九州市から転勤してきたテツゲンの早田大輔さん(36)は初めて同山神社のみこし担ぎに参加。震災やコロナの苦境から立ち上がってきた釜石人の底力に感動し、「皆さんの笑顔が印象的。よそから来た人間も温かく迎えてくれる市民性がありがたい。釜石にいる間はぜひ参加したい」と声を弾ませた。
 
虎舞、神楽の参加団体は山車を引きながら移動

虎舞、神楽の参加団体は山車を引きながら移動

 
 行列は市役所御旅所を経て午後2時半ごろ、魚市場御旅所に到着。神楽、虎舞の6団体が最後の踊りを奉納し、祭りはクライマックスを迎えた。例年行う「大盃の儀」はコロナ感染予防のため取りやめ、代わりに参加者の3本締めで締めくくった。尾崎神社のみこしはご神体を奥宮にかえすため船に乗せられ、神楽、虎舞団体がはやし立てる中、岸壁を離れた。見送りは船が見えなくなるまで続いた。
 
 2歳から祭りに参加する錦町虎舞の阿部龍雅君(16)は「みんなで盛り上がれる祭りはめっちゃ最高。今年はいつも以上」と祭り復活の喜びをかみしめた。踊りの練習は厳しいが、「どんどん頑張ってうまくなりたい。大人になったら踊りを教えられるような、みんなを引っ張っていけるような人になりたい」と夢を描いた。
 
魚市場御旅所ではみこし還御式が行われ、年行司太神楽など6団体が演舞

魚市場御旅所ではみこし還御式が行われ、年行司太神楽など6団体が演舞

 
「白虎」で躍動する只越虎舞

「白虎」で躍動する只越虎舞

 
奥宮にかえるご神体を神楽、虎舞の団体がおはやしで見送った

奥宮にかえるご神体を神楽、虎舞の団体がおはやしで見送った

 
 尾崎神社の佐々木裕基宮司は「沿道でみこしに手を合わせ、ずっと頭を下げられている方もいて胸が熱くなった。震災の年に涙を流して拝んでくださった姿と重なる。祭りを待ち望んだ皆さんの喜びがあふれていた」と目を潤ませた。同神社は300年以上の歴史を誇る六角大みこしを70年ぶりに修復、19年の渡御で初披露した。今回はコロナ禍で担ぎ手の確保が難しいことや、大人数による密回避を考慮し、大みこしの渡御は見送った。「来年こそはコロナが終息し、大みこしが練り歩ければ」と佐々木宮司。
 
 同まつり委はコロナ感染状況や市内経済などへの影響を総合的に判断し、規模縮小、各種感染防止策を講じた上での開催を決めた。事務局によると曳き船まつりは約3千人、みこし渡御は約1万2千人の人出があった。両日とも混乱や事故もなく無事終了した。

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盛り上げたい!釜石大観音仲見世通り 釜石商工高生、チャレンジショップ 「バイクねこ」をアイテムに

チャレンジショップを通じ交流を楽しんだ釜石商工生ら

チャレンジショップを通じ交流を楽しんだ釜石商工生ら

 
 釜石市大平町の県立釜石商工高(伊東道夫校長)総合情報科の3年生5人は9日、学校近くの釜石大観音仲見世通りで開かれた「えんむすびプチマルシェ」に参加。同通りの暮らしにちなんで手作りした土産品や市内事業者の商品を並べ、元気な笑顔で販売に臨んだ。同通りのにぎわい再生と交流の場創出を目指し活動する釜石大観音仲見世リノベーションプロジェクト(宮崎達也代表)が取り組みをバックアップ。人のつながりや縁を広げる機会を通じ、生徒たちは将来への意欲を高めた。
 
 マルシェへの参加は、課題研究の一環。「仲見世を盛り上げたい」と集まった5人は、同通りの印象や特徴などを住民や生徒、教職員らから聞き取り、「猫をよく見かける」「バイク利用者が多い」との情報を入手。バイクにまたがった猫をモチーフにしたイラストを作成し、観光客らをターゲットにした土産物として交通安全祈願のお守り、ステッカーを作ることにした。販売については同プロジェクトに話を持ち掛け協議を重ね、当日を迎えた。
 
仲見世通りに多い猫(写真右下)をモチーフに作製したオリジナル土産品

仲見世通りに多い猫(写真右下)をモチーフに作製したオリジナル土産品

 
 この日、5人は宮崎代表(50)が運営するシェアオフィス1階にあるギャラリースペースの一角に手作り品を並べ、販売を体験した。木製のお守りに施された「バイクねこ」のイラストは全て生徒の手描き。ストラップ部分となるミサンガも13色の糸を使って手作りし、生徒たちは各色に込めた願い(赤は情熱、青は勉強、黄緑は友情など)などを紹介しながら接客した。ステッカーは5枚一組で販売。バイクねこのほか、「しいたけネコ」「まんじゅうネコ」などがデザインされた。
 
 地元の菓子製造販売・卸業小島製菓(上中島町)の協力を得て、同社が製造するパンや団子も並べて販売。売り手として商品を宣伝し、多くの客を呼び込んだ。
 
地元事業者が手掛けた商品の売り手としても活躍した

地元事業者が手掛けた商品の売り手としても活躍した

 
高校生が考案した「バイクねこ」が仲見世通りを盛り上げる⁉

高校生が考案した「バイクねこ」が仲見世通りを盛り上げる⁉

  
 グループリーダーの尾形麗(うらら)さんは「明るく元気に笑顔で接することを意識した。多くの人に足を止めてもらい、うれしい。盛り上げにつながったかな」と充実した表情を見せた。これまでの取り組みを振り返り、「自分の考えに、ほかの人の意見を加えて改良し、希望に合ったものづくりが大切」と実感。教員という夢に向かい進学する予定で、「誰かのためにということを常に心がけて、人の役に立てることをしたい」と胸を張った。
 
釜石大観音仲見世通りで開かれた「えんむすびプチマルシェ」

釜石大観音仲見世通りで開かれた「えんむすびプチマルシェ」

 
 同校が参加したマルシェでは、釜石ゆかりの作家や菓子店などが手作りした雑貨、スイーツを販売したほか、フリーマーケットも行われた。主催の同プロジェクトは「釜石○○(まるまる)会議」から生まれた市民グループで、空き店舗が目立つ同通りを再生させようと、同様のマルシェ開催など人の流れを生み出す取り組みを行ってきた。新型コロナウイルス禍でイベントの実施は控えていたが、同校からの提案を受け、コラボレーション企画として3年ぶりの開催を決めた。
 
 宮崎代表は「人との触れ合いは楽しい。イベントを行うと活気が生まれる。商店を増やすとの目標に向け、店も来訪者にもすてきな縁が生まれるような場をつくっていきたい」と意欲を見せた。

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釜石・和山高原 かつての絶景を再び 地元橋野町振興協がレンゲツツジ200本植樹

植樹作業にあたった橋野町振興協議会、栗橋地域振興社の会員ら

植樹作業にあたった橋野町振興協議会、栗橋地域振興社の会員ら

 
 釜石市の橋野町振興協議会(和田松男会長)は2日、地元の観光資源である和山高原長鼻地区にレンゲツツジ200本を植樹した。牧場用地を所有する一般社団法人栗橋地域振興社(旧・栗橋牧野農業協同組合、栗澤稔代表理事会長)の協力を得て実施。同地区には2013年以降、八重桜の植樹も行われており、今後、世界遺産「橋野鉄鉱山」と連動した地域の観光振興に期待が寄せられる。
 
 植樹が行われたのは、市指定文化財(天然記念物、1969年指定)の巨木「和山のシナの木」の東側に広がる平地。両団体から27人が作業にあたり、すでに植えられている八重桜とのバランスを考えながら、レンゲツツジの苗木を植えた。事業には県企業局と、健康食品の製造販売を行う毎日元気(本社札幌市、瀧澤潤賜社長)から計80万円の助成を受けた。
 
和山高原長鼻地区にレンゲツツジの苗木を植樹

和山高原長鼻地区にレンゲツツジの苗木を植樹

 
苗木の根元には元から自生する草を戻した

苗木の根元には元から自生する草を戻した

 
 和山高原は同市北西部に位置する標高約800メートル、広さ約1500ヘクタールの高原地帯。過去には、釜石製鉄所の合理化で落ち込む地域経済の活性化策として、1986年から6年間、和山フェスティバル(釜石青年会議所など主催)が開かれた経緯がある。その後は目立った観光振興策は行われずにきたが、2015年の「橋野鉄鉱山」世界遺産登録を契機に、市指定文化財のシナの木周辺を同振興社が整備。車両通行が可能な道路と駐車スペースを確保した。一帯にはこれまでに約300本の八重桜が植樹されており、大きいものでは高さ3メートルほどに育った木が花を咲かせ始めている。
 
レンゲツツジ(手前)と八重桜(後方)。色鮮やかな花が咲く春が楽しみ!

レンゲツツジ(手前)と八重桜(後方)。色鮮やかな花が咲く春が楽しみ!

 
苗木が元気に育つことを願って作業に汗を流す

苗木が元気に育つことを願って作業に汗を流す

 
 同振興協の和田会長は「元々ここはレンゲツツジが豊富な場所。30年以上前の景観を取り戻し、再び市民の憩いの場にできれば」と期待。山と海の環境の関連性にも着目し、「山で蓄えられた栄養が川から海に流れ込むことによって豊かな海産物が育つ。山が持つ本来の力をよみがえらせることで自然の好循環が生まれていけば」と、環境保全活動に意を強くする。
 
和山高原は「風車」のある景観も見どころの一つ

和山高原は「風車」のある景観も見どころの一つ
 
サクラとツツジが植えられた平原から望む風力発電用の風車

サクラとツツジが植えられた平原から望む風力発電用の風車

 
 和山高原を中心とした釜石、遠野、大槌3市町にまたがる丘陵地帯では、2004年から風力発電事業(ユーラス釜石広域ウインドファーム)が行われている。現在43基の風車が稼働するが、今後、既存設備を撤去し、新たな設備に建て替える事業が計画される。同振興協では「更新工事が完了する28年を見据え、長鼻地区の環境整備を続けていきたい。以前、可能だった太平洋を見下ろせる景観の復活も模索していければ」としている。
 
和山高原はススキが風に揺れ秋の装い。天然記念物のシナの木(左下写真)の紅葉も今後進む

和山高原はススキが風に揺れ秋の装い。天然記念物のシナの木(左下写真)の紅葉も今後進む

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赤い羽根募金に協力を 釜石市内でも街頭活動 ラグビー選手や高校生らが呼びかけ

イオンタウン釜石前で行われた共同募金の街頭活動では高校生らも呼びかけに協力した

イオンタウン釜石前で行われた共同募金の街頭活動では高校生らも呼びかけに協力した

 
 「じぶんの町を良くするしくみ」で知られる赤い羽根をシンボルとした共同募金運動が1日から全国で一斉にスタート。釜石市では行政連絡員、民生児童委員ら約50人が市内5カ所で街頭募金を行い、市民に協力を呼びかけた。運動は12月31日まで実施。本年度の目標額を447万円とする。
 
 港町のイオンタウン釜石前では野田武則市長、地元ラグビーチーム・釜石シーウェイブス(SW)RFCの村田オスカロイド選手、ダリエス・トマス選手、セルジオ・モレイラ選手も協力を呼びかけ。募金箱を首から下げ、善意を投じた買い物客らに赤い羽根を差し出し感謝を表した。
 
野田市長(中央)とともに街頭に立った人たちも互いに募金し合った

野田市長(中央)とともに街頭に立った人たちも互いに募金し合った

 
釜石SW選手の呼びかけに応じて募金する子ども

釜石SW選手の呼びかけに応じて募金する子ども

 
 釜石商工高ボランティア委員会の鈴木葵さん、田鎖夢生(めい)さん(ともに総合情報科2年)も街頭に立ち、「赤い羽根共同募金です。ご協力をお願いします」と声を上げた。「入れてくれた人の思いがまちのためになると思うとうれしい」。市内のどこかにいる誰かのために役立つ活動に携わり、やりがいを感じた2人は「高校生もできることがあるはず。いろんなことに積極的に挑戦、活動していきたい」とすがすがしい表情を見せた。
 
 共同募金は戦後間もない1947(昭和22)年に市民主体の民間運動として始まった。現在は誰もが住み慣れた地域で安心して暮らすことができるよう、さまざまな地域福祉の課題解決に取り組む民間団体を応援する仕組みとなっている。
 
子どもから大人まで多くの市民らが善意を寄せた

子どもから大人まで多くの市民らが善意を寄せた

 
 釜石の活動は市共同募金委員会(会長・野田市長)と市社会福祉協議会(丸木久忠会長)が戸別、街頭、法人、学校、職場などで展開する。例年、寄せられた善意は福祉施設などの運営資金として活用。東日本震災後は、ボランティア活動の支援や地域コミュニティーの活性化事業などにも役立てられている。
 
 今年も昨年に続き新型コロナウイルスの感染を防ぐため、街頭で呼びかける人員を絞り、時間を短縮して実施した。各種イベントの中止などで募金を呼びかける機会が減り、目標額に達するのは厳しい状況だが、丸木会長は「社会や防災関係などに役立つ貴重な募金。震災後に増えた独居高齢者や困っている方の助けにもなる」と協力を求めている。

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世界をめぐる釜石の写真家・岩間幸司さん 郷愁を呼び起こす作品展「原点アジアの旅」

釜石市民ホールTETTOギャラリーで開催中の写真展「原点アジアの旅」

釜石市民ホールTETTOギャラリーで開催中の写真展「原点アジアの旅」

 
 釜石市中妻町のフォトグラファー岩間幸司さん(60)の作品展「原点アジアの旅」が、大町の市民ホールTETTOギャラリーで開かれている。「旅」をテーマに世界中をめぐってきた岩間さんが、ライフワークとして四半世紀、撮影を続ける東南アジアのインドシナ半島で生きる人々を独自の視点で切り取った作品約30点を展示。「どこか懐かしい風景の中に息づく人々の生活を感じてもらえたら」と来場を呼びかける。10日まで、入場無料。
 
 岩間さんは大学卒業後、写真事務所のアシスタントを経て20代後半に独立。フランス・パリを拠点に活動した。1995年に帰国。東京を拠点に欧州やアフリカなどを旅しながら撮影を続け、旅行誌や雑誌、広告などの仕事を請け負ってきた。東日本大震災を機に地元にUターン。写真家として活躍していたが、新型コロナウイルの流行で海外での撮影が難しくなり、現在は国内を中心に活動する。
 
「昔懐かしい原風景を思い出してもらえたら」と作品を紹介する岩間幸司さん

「昔懐かしい原風景を思い出してもらえたら」と作品を紹介する岩間幸司さん

 
 フォトグラファーとして「何か一つをテーマで撮りたい」と考えていた頃、インドシナのラオスが旅行者の受け入れを始め、「写真集も少なく、仕事のチャンスがある」と96年に撮影のため初めて訪れた。「生活感があふれ出す街々。妙に懐かしく、少年時代の記憶がよみがえってくるようで、五感がうずいた」。その後もインドシナ各国に通い続け、98年に東京で初個展。その時に展示した作品を今回、地元釜石で紹介した。
 
インドシナ半島で暮らす人々の生活を写した作品が並ぶ

インドシナ半島で暮らす人々の生活を写した作品が並ぶ

 
岩間さんは訪れた人に撮影時の裏話なども伝えたりした

岩間さんは訪れた人に撮影時の裏話なども伝えたりした

 
 当時主流だったフィルム写真をパネルにした作品が中心。ラオス、ベトナム、カンボジアで生活する人々の笑顔、雄大な自然風景が並ぶ。長屋のように連なる家々と干された洗濯物、路地でゴム跳びをする子どもたち、家族総出での豆腐作り、川で水浴びしたり洗濯したり…。自然の色をそのまま写し出すフィルム写真の持つ独特の風合いが、岩間さんがファインダー越しに感じた「ノスタルジー」を追体験させてくれる。
 
 デジタルに移行し、コロナ禍前に撮影した作品6点も展示。時の移ろいはあるが、変わらぬ信仰、郷愁を呼び起こすような風景が残る。山田町の50代女性は「子どものころの暮らしと似ているところがあり、懐かしい感じ。行ったことのない場所なのに」とじっくりと見入っていた。
 
コロナ禍前に訪ねたインドシナを写した作品も並んだ

コロナ禍前に訪ねたインドシナを写した作品も並んだ

 
 1日は、スマートフォンを使った写真教室を開催。スマホで写真を撮る時のこつ、無料の画像加工アプリ「Fotor(フォター)」の使い方などを伝えた。参加者はパンやカップ・ソーサーなどを題材に撮影と画像加工に挑戦。上中島町の美容師菊池りささん(50)は「インスタグラムで写真の投稿を始めたばかりで、魅力的な見せ方を覚えたい。少し手を加えると、写真の雰囲気が変わるのが分かった。知ったことを生かして、早速投稿したい」と喜んだ。
 
1日限定の写真教室ではスマートフォン撮影のこつを伝えた

1日限定の写真教室ではスマートフォン撮影のこつを伝えた

 
 「旅行が好き。写真は2番手」と岩間さん。写真は旅を楽しむ手段だが、カメラを持たずに旅することはできないという。これまでに100カ国余りを旅し、今はひと休み中。撮りためた写真を整理し、「1冊にまとめたい」と思い描く。そして、「写真を撮りたいと思える時に旅したい」とも。カメラを手に再び世界に飛び出す日を楽しみにする。
 
 釜石・大槌地域で活動する作家を紹介する同ホール自主事業「art at TETTO」の一環。午前9時から午後9時まで鑑賞できる。

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秋恒例の味覚フェス復活! 釜石絆の日イベントと同時開催で3年ぶりのにぎわい

釜石鵜住居復興スタジアムで開催された「釜石まんぷくフェス2022」=25日

釜石鵜住居復興スタジアムで開催された「釜石まんぷくフェス2022」=25日

 
 新型コロナウイルス感染症の影響で中止が続いていた釜石市の味覚イベントが3年ぶりに復活―。釜石まんぷくフェス2022(釜石観光物産協会主催)は9月24、25の両日、釜石鵜住居復興スタジアムで開かれ、多くの来場者でにぎわった。同スタジアムでは、2019年のラグビーワールドカップ(W杯)釜石開催のレガシー(遺産)を継承する「釜石絆の日」イベントを同時開催。25日は秋晴れの下、食とラグビーを楽しむ人たちの笑顔があふれた。
 
 同イベントは「釜石まるごと味覚フェスティバル」として毎年秋に開催してきたが、新型コロナの影響による2年の中止を経た今年は、名称を「釜石まんぷくフェス」と改称。絆の日イベントとの共催により、初めて同スタジアムが会場となった。市内外の食に関わる業者を中心に22店が出店。各地の特産品やご当地自慢のソウルフードを求めて、多くの人たちが足を運んだ。
 
 地元の人気は「釜石ラーメン」。極細縮れ麺と琥珀色に透き通ったしょうゆ味スープが特徴のご当地ラーメンは近年、多くのメディアでも取り上げられ、同市を代表する名物に。同フェスの提供店にも続々と客が訪れた。地元海産物も好評で、ホタテやイカ焼きの香ばしい匂いが来場者の食欲をそそった。
 
大人気の“釜石ラーメン”を求める客が並んだ「川喜」のブース

大人気の“釜石ラーメン”を求める客が並んだ「川喜」のブース

 
焼きホタテやイカ焼きを提供した「松坂商店」

焼きホタテやイカ焼きを提供した「松坂商店」

 
釜石「Kojima Cafe」の巨大綿あめに子どもたちもびっくり!

釜石「Kojima Cafe」の巨大綿あめに子どもたちもびっくり!

 
 釜石市と交流のある県外各市区町からの出店も。同じ製鉄のまちで、東日本大震災以降、名物の焼うどん販売に訪れる福岡県北九州市のブースは今回も長蛇の列が続いた。復興支援で同市から釜石市に派遣された経験を持つ竹内邦彦さん(71)は「この味を求めて何度も足を運んでくれる方もいる」と感激。コロナ禍からの脱却の動きに「縮こまってばかりではいられない。こういうイベントで明かりをともし、まちの活性化につなげていければ」と期待を込めた。
 
北九州市は名物の焼きうどんを提供。大学生ボランティアも奮闘した

北九州市は名物の焼きうどんを提供。大学生ボランティアも奮闘した

 
北九州市のブースには常時、長い列ができた

北九州市のブースには常時、長い列ができた

 
 友好都市(1984年提携)の富山県朝日町も同フェスの常連。昆布かまぼこ、バタバタ茶、翡翠ようかんなど町の特産品を販売した。両市町の縁は、明治から昭和にかけ漁場開拓のため、同町出身者が釜石に移り住んだことが発端。会場では、朝日町出身者やルーツを持つ人たちが懐かしがる様子も見られたという。同町健康課の岩村耕二課長は「(物産交流などは)お互いにいい取り組みを勉強し合える機会。釜石とのご縁は大切にしていきたい」と願った。
 
富山県朝日町の職員らは自慢の特産品を販売。かまぼこの試食も

富山県朝日町の職員らは自慢の特産品を販売。かまぼこの試食も

 
 同フェス初出店となったのは北海道室蘭市。製鉄所、震災復興支援のつながりで、今年の同市市制施行100年、室蘭港開港150年を記念した港まつりに釜石市が出店した縁で実現した。カレーラーメン、豚肉とタマネギを使う“室蘭やきとり”のたれ、鐵(てつ)の素クッキーなどの名産品を販売。室蘭観光協会の矢元宗一郎業務係長は「スタジアムもすごくきれいで、イベント会場としてもいい。今後も物産交流を継続していきたい」と話した。
 
北海道室蘭市は初出店。観光関係者がさまざまな地元名産品をPR!

北海道室蘭市は初出店。観光関係者がさまざまな地元名産品をPR!

 
 紫波町から訪れた佐々木麻衣さん(35)は「テレビの宣伝を見て来た。沿岸部に足を延ばすのは久しぶり。釜石ラーメンは、あっさりスープがおいしくて全部いただいた」とイベントを満喫。長女ららさん(14)は2年前に小学校の修学旅行で訪れて以来の釜石。「海が近くて、おいしい海鮮物があるのが魅力。今日は家族と一緒で楽しい」とほほ笑んだ。
 
おいしいものを食べて笑顔いっぱいの子どもたち

おいしいものを食べて笑顔いっぱいの子どもたち

 
子どもも大人も興味津々!「働く自動車展」

子どもも大人も興味津々!「働く自動車展」

 
 会場では自衛隊、警察、消防の車両や、建設工事で使う重機などに試乗できる「働く自動車展」も開催。家族連れなどでにぎわい、絶好の写真スポットとなった。海上保安庁のヘリコプターはスタジアム上空を展示飛行し、来場者を楽しませた。特設ステージでは地元ゆかりの音楽アーティストによるライブも行われた。主催者によると、2日間の来場者は約4千人。

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広報かまいし2022年10月1日号(No.1793)

広報かまいし2022年10月1日号(No.1793)
 

広報かまいし2022年10月1日号(No.1793)

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【P1-2】
釜石まつり開催

【P3】
幼稚園児募集 他

【P4-5】
元市職員の情報漏えいに関する市の対応

【P6-7】
新型コロナワクチン接種のお知らせ 他

【P8-11】
狂犬病予防接種
まちのお知らせ

【P12】
2022ラグビッグドリーム 開催

この記事に関するお問い合わせ
釜石市 総務企画部 広聴広報課 広聴広報係
〒026-8686 岩手県釜石市只越町3丁目9番13号
電話:0193-27-8419 / Fax 0193-22-2686 / メール
元記事:https://www.city.kamaishi.iwate.jp/docs/2022092900028/
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