「釜石新聞NewS」プレーバック2023
新型コロナウイルス感染症が5類に移行され、社会活動が少しずつ平常化してきた2023年。釜石市内では再開された祭りやスポーツなど各種行事で、再会を楽しむ顔に多く出会う年となった。そして、区切り、交代、誕生…といった「変化」や「新たな芽吹き」を感じる一年でもあった。そんなまちの動きをネット上で紹介した記事から振り返る。(年齢、肩書は当時)
2月
【将棋・小山怜央さんプロに、地元歓喜】
釜石市出身で将棋のアマチュア強豪、小山怜央さん(29)は13日、大阪市で行われたプロ棋士編入試験5番勝負の第4局に勝利し、通算成績3勝1敗で合格を決めた。棋士養成機関「奨励会」の未経験者、岩手県出身者で初のプロ棋士が誕生し、地元では歓喜の声が広がった。3月に帰省し、子どもらと交流。応援を力に飛躍を誓う。
3月
【東日本大震災から12年―犠牲者13回忌 変わらぬ鎮魂の祈り各地で】
未曽有の被害をもたらした東日本大震災から12年。今年の“3.11”も亡き人を思い、祈りをささげる人たちの姿が市内各所にあった。墓所、祈りのパーク、海岸…。それぞれの場所で花を手向け冥福を祈った。年々増えていく「(震災を)知らない世代」にどう伝え、未来の命を守るのか。教訓継承への取り組みは続く。
【SMCが釜石に第5工場新設 雇用拡大、外国人労働者も増加】
空気圧制御機器製造、世界首位のSMC(本社・東京都)が釜石市に新たな工場を建設した。同市が1991年に誘致以来、5番目となる工場。国内外の需要増に対応し、生産拡大を図るためのもので、2026年ごろまでに約600人の就労を見込む。ベトナム、インドネシアなどからの特定技能外国人労働者も受け入れており、安定的な生産体制を目指す。
5月
【明治日本の産業革命遺産フォトコン 最優秀賞は橋野鉄鉱山】
「明治日本の産業革命遺産」を対象にしたフォトコンテストで、橋野町の世界遺産「橋野鉄鉱山」を被写体にした作品「悠久のたたら場跡と星空」が最優秀賞に輝いた。撮影者は佐々木弘文さん(55)。「原燃料の山と橋野一番高炉」と題した藤原信孝さん(74)の作品はエリア賞を獲得。2人は10日に市役所を訪れ、喜びを伝えた。
【クマ出没注意!目撃相次ぐ 県、7年ぶりに警報】
釜石市内では5月以降、クマ(ツキノワグマ)の目撃情報が相次いでいる。26日には只越町の市役所前にクマ1頭が出没。約3時間後に捕獲という緊張を強いられる状況が発生した。県は人身被害が多発していることから、全域に「ツキノワグマの出没に関する警報」を発令。2016年度以来7年ぶりで、今回で2回目となった。
6月
【復興支えたSL銀河 惜しまれながら10年の運行に終止符】
JR釜石線で2014年から運行してきた観光列車「SL銀河」が、客車の老朽化のため、6月上旬で引退した。高らかな汽笛、迫力の走行で震災復興を力強く後押ししてきた大人気の列車。この10年で延べ約7万4000人が乗車した。ラストランには同列車を愛してやまない人たちが全国から駆け付け、最後の雄姿を見届けた。
【釜石はまゆりサクラマス 養殖事業化後、初水揚げ】
釜石湾で養殖されている「釜石はまゆりサクラマス」が27日、今季初めて市魚市場に水揚げされた。昨秋に事業化してからの“初もの”は、体長60~80センチ、重さ1.7キロほどに育った計8.4トン。「身ぶりが良い」と関係者らは好感触を得る。プロモーション活動にも着手し、希少性を生かした取り組みに力を入れていく構えだ。
8月
【ラグビーアマ代表 フランス大会出場へ結団式】
ラグビーのワールドカップ(W杯)フランス大会に合わせて初めて開かれる「ワールドアマチュアラグビーフェスティバル」に、日本代表として「いわて釜石ラグビーフットボールクラブ」が出場。地域にゆかりのあるメンバー30人が公募で選ばれ、26日に釜石鵜住居復興スタジアムで結団式。「世界一を狙う」と気持ちを高め合った。
9月
【4年ぶりの釜石よいさ 継承へ新たな形】
第32回「釜石よいさ」は23日、釜石鵜住居復興スタジアムで開かれた。コロナ禍で中止が続き、屋外での通常開催は4年ぶり。「笑顔を生み出す場」を心待ちにしていた15団体約550人が熱い群舞を繰り広げた。経費や運営人員不足など課題もあり、「どう継続するか」を模索する中、会場や開催時期を変更して新たな形を試した。
10月
【コロナ禍から復活 かまいし仙人峠マラソン大会4年ぶりに開催】
高低差400メートルの急峻な峠道を駆け上がる「かまいし仙人峠マラソン大会」が29日、4年ぶりに開かれた。2010年から始まり、震災後は「復興の峠を駆け上がれ」の合言葉の下、継続されてきたが、新型コロナの影響で20年から中止されていた。久しぶりの大会は雨模様となったが、老若男女が絶景の紅葉を力に変え、難コースに挑んだ。
【釜石最後の芸者・艶子姐さんの生涯 語りと踊りで再現】
「芸は津波に流されない―」。踊りや三味線など磨いた芸で、戦後の釜石の社交の場を華やかに彩った故伊藤艶子(藤間千雅乃)さんの生涯が、ふるさと釜石で舞台化された。俳優名取裕子さんの語り、伊藤さんの芸を継ぐ東京・八王子の芸者衆の踊りなどで“艶子姐さん”の波乱万丈の人生が浮かび上がった。29日、市民ホールTETTOで公演した。
11月
【片岸町に大津波記念碑が完成 悼み、伝え続ける震災】
釜石市片岸町に東日本大震災の被災状況や教訓を伝える大津波記念碑が建立された。4日の除幕式で町民らにお披露目。津波で倒された神社の鳥居を「人」の形に組み、犠牲者の慰霊と教訓発信を末永く誓う。石柱には中高生が伝えたい言葉を刻んだ。同町は震災の津波で8割が被災。住民33人が犠牲になった。
【震災復興→力強いまちへ 16年ぶりに代わるリーダー】
「撓(たわ)まず屈せず」を合言葉に、東日本大震災の復興で陣頭指揮を執った市長・野田武則氏(70)が17日に任期を満了し、16年(4期)通った市庁舎を後にした。この退任を前に行われた市長選で新人同士の一騎打ちを制して初当選した小野共氏(54)は20日に初登庁。「力強いまち」を目指し、市政運営をスタートさせた。
12月
【かまいしの第九 45年の歴史に幕 「いつかまた…」】
師走の釜石で歌い継がれてきたベートーベンの交響曲第9番。市民に愛された「かまいしの第九」は今年の公演が最後となった。中核メンバーの高齢化や資金減などが理由。同市の音楽文化の象徴が大きな功績とともに一時代を終えた。17日の最終公演では、出演者と聴衆が一体となる感動のステージが繰り広げられた。
■後記
市民の皆様、釜石新聞NewSをご覧いただいている全国の皆様、本年のご愛読ありがとうございました。
WEB専門の媒体としてのご理解と認知度も着実に高まり、皆様の生活の中に受け入れていただいている手ごたえを感じる機会が多くなりました。取材依頼などについては運営体制の変化などもあり、復興釜石新聞の時のようにはお応えしきれない点についてお詫び申し上げるとともに、あらためてご理解を賜れれば幸いです。
皆様、どうぞよいお年をお過ごしください。
釜石新聞NewS
復興釜石新聞を前身とするWeb版釜石新聞です。専属記者2名が地域の出来事や暮らしに関する様々なNEWSをお届けします。取材に関する情報提供など: 担当直通電話 090-5233-1373/FAX 0193-27-8331/問い合わせフォーム