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釜石小6年生 早採りワカメに舌鼓! 自分たちで種付け、2カ月余りの成長に驚き

自分たちで種付けし、成長したワカメをしゃぶしゃぶで味わう釜石小の6年生

自分たちで種付けし、成長したワカメをしゃぶしゃぶで味わう釜石小の6年生

 
 地元の海で行われるワカメ養殖について学んできた釜石小(及川靖浩校長、児童92人)の6年生は9日、最後の学習日を迎え、自分たちで種付けしたワカメを試食した。当日朝の刈り取り作業の様子を映像で見た児童らは、その成長ぶりにも驚き、海の恵みの素晴らしさを実感。地場産業への理解、郷土愛を深めた。
 
 同校は昨年度から海洋教育パイオニアスクールプログラム(笹川平和財団海洋政策研究所など主催)の採択を受け、6年生がワカメ学習に取り組む。岩手大が講師の派遣などで協力。本年度は児童16人が3回シリーズの授業に臨んだ。初回はワカメの一生(生育過程)を座学で学び、2回目は漁船に乗せてもらい、養殖用ロープに種付けする作業を体験した。
 
 学習最終日はワカメの刈り取り現場と学校の理科室をリモートでつなぎ、児童らに見てもらう予定だったが、午後からの授業時間帯に海上の強風予報が出ていたため、生中継は断念。児童らに種付け体験の場を提供した両石町の漁業者久保宣利さん(49)が朝方にワカメを刈る様子を、岩大三陸水産研究センターの齋藤孝信さん(61)が事前収録し、映像を見せながら直接、児童らに解説した。
 
 「早採りワカメ」の収穫作業を映像で見て学ぶ

「早採りワカメ」の収穫作業を映像で見て学ぶ

 
養殖ワカメの刈り取りについて解説する漁師の久保宣利さん(右上)

養殖ワカメの刈り取りについて解説する漁師の久保宣利さん(右上)

 
 久保さんは「今採っている“早採りワカメ”は生で、3月から本格的に採るものは湯通し、塩漬けし“塩蔵ワカメ”として出荷する。間引きを適切にやれば、太いきれいなワカメだけが成長。手をかければそれだけいいものができ、収入にも反映する」と説明。100メートルのロープから早採りは約300キロ、塩蔵用になると約1トンものワカメが収穫できるという。収穫作業は4月末まで続き、5月にはメカブの刈り取りも行う。
 
 児童らが昨年11月28日に種付けしたワカメは、この日まで約70日間で1メートルほどの長さに成長。塩蔵用の収穫期には最大で約3メートルになるといい、児童らを驚かせた。授業では塩蔵作業の様子も映像で見た。児童からはさまざまな質問が飛び出し、漁業や海への関心の高まりを感じさせた。
 
 最後は久保さんが朝採りしたワカメを試食。自分たちで食べやすい長さに切り分け、土鍋を囲んでしゃぶしゃぶで味わった。ドレッシングやしょうゆ、ごま油など複数のつけだれも用意され、さまざまな味わいを試した。
 
立派に成長したワカメを手に取り、笑顔を見せる児童ら

立派に成長したワカメを手に取り、笑顔を見せる児童ら

 
みんなで協力しながら、食べやすい大きさにワカメを切り分けた

みんなで協力しながら、食べやすい大きさにワカメを切り分けた

 
初めて食べる「早採りワカメ」のおいしさに感動

初めて食べる「早採りワカメ」のおいしさに感動

 
 早採りワカメは初めてという大野雫さんは「やわらかくておいしい」と箸が止まらない様子。「元々、ワカメは好き。麺つゆにつけて食べるのがお気に入り。家でもしゃぶしゃぶで食べてみたい」と笑顔満開。東方智紀君は「採れたては食感が良くて全然違う。かなり売れるんじゃないか」と予想。危険と隣り合わせで作業する漁業者の姿を目にし、「大変な仕事をしてくれる人たちがいるから、食卓で味わうことができる」と尊敬の念を抱いた。前川大有君は刈り取りに使う「間切りナイフ」に興味を持った。海に落としても浮くように柄の部分が空洞になっていることを聞き、「漁師さん専用のナイフがあるとは」とびっくり。初のワカメしゃぶしゃぶを「いろいろな“味変(あじへん)”もできて楽しい」と存分に味わった。
 
ワカメしゃぶしゃぶを楽しむ児童らを見守る岩手大の齋藤孝信さん(左)

ワカメしゃぶしゃぶを楽しむ児童らを見守る岩手大の齋藤孝信さん(左)

 
 一連の学習をサポートしてきた岩大の齋藤さんは「海の仕事は日常で目にする機会が少なく、どうしても距離感がある。こういう学習で海を身近に感じ、魚や漁業にもっと興味を持つことにつながれば。この中から水産関係の仕事を目指す子どもたちが出てくれればうれしい」と“魚のまち釜石”のDNAに期待した。
 
 海洋教育パイオニアスクールプログラムは、海に関する学習を行う学校などを支援する取り組み。市内では本年度、同プログラムを活用し、かまいしこども園がサケの学習、釜石高が深海魚の学習を行った。

「第3回 かまいし百円市」の出店者を募集します

「第3回 かまいし百円市」の出店者を募集します

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釜石まちづくり(株)では、2023年3月25日(土)に「第3回かまいし百円市」を開催します。販売商品を全て100円とするフリーマーケットやバザーのような形態で、“100円均一フリマ”と言ったイメージです。

 

例えばこのような商品の出品を想定しています・・・
リユース可能な子供用品、持て余してしまったお歳暮や引き出物の中身、まだまだ使えるおもちゃ、ダブったガチャガチャ、ちょっとしたコレクションアイテム、端数が残ってしまったパック商品、かつての趣味の名残、ハンドメイドグッズに変身する素材たち、野菜やお菓子・・
・・などなど、価格を100円として頂ければ、一部の取扱い禁止商品以外は何でもOKです。

 

全て100円ということで、出店される皆様にとっては大きな販売益には繋がりにくいかもしれませんが、以下のような点に意義を見出して下さる皆様のご出店を募集いたします。
・リユースの促進による社会活動的意義
・みんなで出店する楽しさ
・街の賑わいの場づくり  など

 

各種サークル活動などのグループをはじめ、社会福祉法人やNPO等の社会活動団体、町内会やクラブ・少年団活動等の地域活動の一環として、学校や幼稚園・PTAや保護者会の催しとしてなど、皆様のご出店をお待ちしています(個人での出店も可能です)。

開催概要

日時:2023年3月25日(土)12:00~14:30
場所:釜石市民ホールTETTO・ホール前広場
主催:釜石まちづくり(株)
キャッチコピー:「100円握ってお宝さがし!」

出店の基本情報

◎全ての商品を100円(税込)で販売すること
※この基本ルールを遵守頂けない場合は当日でも出店中止となりますのでご注意下さい
◎50個以上の商品をご用意頂けること(多い分には大歓迎!)
◎開催日時点での新型コロナの状況に応じた対策にご協力頂けること
◎出店について」の要件を遵守頂けること
・参加可能枠を超えるご応募があった際は抽選とさせて頂きます
・チャリティ活動(売上は○○へ寄付、○○を支援、教育や社会福祉活動資金に充当)が
伴う場合は、条件により別枠での出店が可能ですのでご相談下さい
・今後、「五百円市」や「千円市」の実施も検討しています(日時等は未定)

出店について

◆物品の販売以外のサービスを商品として提供することはできません
(マッサージ、ヘアカット、診断、占いなど ※縁日等に類するものや主催者が要請したものは除く)
◆出店料は1,000円となります
◆トルコ・シリア地震のチャリティを目的としたご出店に関しては、出店料(1,000円)は無料といたします
◆出店スペースの広さは、幅2~2.5m×奥行1.5~2mを目安に調整させて頂きます
また、販売台、シート、釣銭等は各自でご準備下さい(主催者による両替には限りがあります)
◆会場は屋外となりますので、各自で出店時の寒さ対策等をお願いします
◆出店者には、釜石大町駐車場の24時間駐車券(通常800円)を500円にて斡旋いたします
(団体の場合は駐車台数分の購入OK)
◆ペット等を同伴しての出店は禁止です(介助犬等を除く)
◆火器の使用や発電機の持込みは禁止です

取扱い禁止商品

以下の商品の取扱い及び取引は禁止といたします
 
生鮮食品など衛生管理上好ましくない物、その場で調理提供する飲食品、ペット等の生き物、偽造品や盗品など法律に抵触する商品、受発注や目録を介しての後日取引を前提とした商品、取扱い資格の必要な危険物や薬品(有資格者でも不可)、公序良俗に反する物、大量の火薬類、再販売やオークション等への出品を前提とした取引
 
※大量の酒類を取り扱う場合は事前にご相談ください
※この他、主催者が不適切と判断した商品については取扱いを中止頂く場合があります

新型コロナウイルス感染症対策について

出店及びご来場にあたり、手指の消毒・距離の確保・過度な密集の解消・状況に応じたマスク着用など、各開催日の時点で行政や各種機関が指示及び推奨する対策に準じて頂くほか、主催者や施設の判断による感染症予防策を要請する場合があります。

出店の申し込み方法

出店に関しての各種事項(開催概要、基本条件、出店について、取扱い禁止商品、コロナ対策)を必ずご確認・ご理解のうえ、下記の出店申込書を記入して釜石まちづくり(株)までお申込み下さい。
 
・釜石まちづくり(株)の社員によるご紹介やご案内による場合は直接担当社員まで
・それ以外の場合は、釜石まちづくり(株)FAX <0193-27-8331>
 
申込み締切 2023年3月14日(火)
 
問合せ等については、同様に担当社員にご連絡いただくか、
釜石まちづくり(株)TEL <0193-22-3607> までお願いします。

出店概要&申込書

PDF版(888KB)
「第3回 かまいし百円市」の出店概要&申込書
 
Word版(32KB)
「第3回 かまいし百円市」の出店概要&申込書

フェリアス釜石

釜石まちづくり株式会社

釜石まちづくり株式会社(愛称 フェリアス釜石)による投稿記事です。

問い合わせ:0193-22-3607
〒026-0024 岩手県釜石市大町1-1-10 釜石情報交流センター内 公式サイト

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将棋・小山怜央さんプロに 棋士編入試験合格 地元歓喜「釜石の誇り」「勇気もらった」

小山怜央さんの勝利を祝って万歳!釜石に歓喜が広がった=13日

小山怜央さんの勝利を祝って万歳!釜石に歓喜が広がった=13日

 
 釜石市出身で将棋のアマチュア強豪、小山怜央さん(29)=横浜市=は13日、大阪市の関西将棋会館で行われたプロ棋士編入試験5番勝負の第4局に勝利し、通算成績を3勝1敗として合格を決めた。4月1日付でプロ棋士の四段になる。棋士養成機関「奨励会」の未経験者として初の試験合格者。岩手県出身者としても初の棋士となり、地元では歓喜の声が広がった。
  
 通常、プロ棋士となるには、26歳までに奨励会で四段に昇段する必要がある。編入試験は奨励会とは別にプロを目指す制度。アマ出場枠があるプロ公式戦で一定の成績を収めれば受験資格を得られる。試験は若手棋士5人と対戦し、3勝すれば合格。小山さんは昨年11月の第1局で徳田拳士四段(25)、12月の第2局で岡部怜央四段(23)を連続で破ったが、今年1月の第3局では狩山幹生四段(21)に敗れ、2勝1敗となっていた。
  
 この日は、振り飛車党の横山友紀四段(23)と対局。先手番の小山さんは、「四間飛車」と得意の戦型で構える横山四段に対抗すべく「居飛車穴熊」に駒を組み、戦機をつかんで序盤から優勢に進めた。中盤に形勢が接近した場面もあったが動揺せずに立て直し、粘る横山四段を133手で振り切った。
 
中妻地区生活応援センターで行われた大盤解説会=13日

中妻地区生活応援センターで行われた大盤解説会=13日

 
解説を聞きながら戦況を見つめる釜石市民ら=13日

解説を聞きながら戦況を見つめる釜石市民ら=13日

 
 「よし、やった」「強い」。午後3時半過ぎ、釜石市上中島町の中妻地区生活応援センターで大盤解説を聞きながら戦況を見守っていた小山さんの父・敏昭さん(60)、母・聖子さん(60)、将棋愛好者ら約25人から拍手と歓声が湧き起こった。幼少期の小山さんに将棋を教え、大盤解説を務めた日本将棋連盟釜石支部長の土橋吉孝さん(67)は「相手を研究した手順でうまく仕掛けた。横山さんが序盤で1時間半使ったところ、怜央は15分でとどめ、優位に立てた」と勝因を挙げた。
  
 小山さん優位で進んだ第4局だが、小山さんの〝意外な手〟で緊張感が走る展開に。土橋さんは「気分的には嫌なところ。震えかな。もっと良くしようと考えすぎ、うっかり見落としてしまった」と推測した。一時接戦になりながらも、冷静に指し回す小山さんの様子に「ミスをしても崩れない。気持ちを切り替え対局に臨んでいる。いける」と確信。「怜央は終盤に鮮やかな寄せを見せる。時間で差がついているので気持ちを切らずにつなげれば、楽しみはある」「攻めるは守りなり。息を吹き返した」「大丈夫ですよ」と解説を続けた。
  
タブレットを手に戦況を見守る小山さんの父敏昭さん(右)、母聖子さん=13日

タブレットを手に戦況を見守る小山さんの父敏昭さん(右)、母聖子さん=13日

 
勝利を信じ、祈るように解説に耳を傾ける人も=13日

勝利を信じ、祈るように解説に耳を傾ける人も=13日

  
 集まった人たちは硬い表情で祈るように盤面を見つめていたが、土橋さんの読み通りに〝勝ち〟が決まると、「おめでとう」「やったね」と祝福の言葉が飛んだ。聖子さんは「うれしい。ずっとハラハラ、心配で心配で仕方なかった。好きなことを仕事にして、今からまた頑張れるね。釜石に帰ってきたら、おいしいもの、好きなものを食べさせてあげたい」と目を赤くした。
 
快挙を喜ぶ(左から)聖子さん、土橋さん、敏昭さん=13日

快挙を喜ぶ(左から)聖子さん、土橋さん、敏昭さん=13日

 
「おめでとう」。勝利に拍手を送る将棋愛好者ら=13日

「おめでとう」。勝利に拍手を送る将棋愛好者ら=13日

 
 小学2年生の頃に将棋を始めた小山さん。高校2年生だった2011年3月、東日本大震災で鵜住居町の自宅を失い、避難所や仮設住宅での生活を余儀なくされたが将棋を続け、岩手県立大在学中の14年に学生名人に。その後は将棋講師をしながら「プロ棋士」という夢を胸に抱き続けてきた。敏昭さんは「避難所で弟と将棋を指している光景を思い出した。好きなことを諦めず頑張ってきた本人の努力と周囲の方のおかげ。よく頑張った。息子ながら褒めたい」と喜びをかみしめた。
 
 会場には野田武則市長も駆け付け、「岩手初のプロ棋士誕生は釜石の誇り」とたたえた。地元の愛好団体「正棋会」で将棋を楽しむ定内町の吉光島司さん(74)は「岩手の将棋界に一つの光を照らした。釜石は人口が減り寂しさを感じることもあるが、『ここでもやれるんだ』と勇気をもらった。小山君は粘りがすごいし、強い。負けていられない」と目を細めた。
  
大盤解説した土橋さん。「さらに上を目指し精進を」と激励=13日

大盤解説した土橋さん。「さらに上を目指し精進を」と激励=13日

 
 土橋さんは「彼は昔から本当に将棋が大好き。へこたれず努力してきた。報われて良かった」と感慨に浸った。さらに、「怜央は麦踏みのように太く丈夫に育った。底力、地力をつけ、はるかに強くなっている。行けるだけ上を目指し精進を」とエール。そして、これに続く釜石、岩手の子どもたちの成長にも期待し、「伝統文化をつなげる手伝いも一緒にしてほしい」と望んだ。
  
小山さんのプロ棋士編入試験合格を祝って釜石市役所に設置された懸垂幕=14日

小山さんのプロ棋士編入試験合格を祝って釜石市役所に設置された懸垂幕=14日

  
 「祝 岩手出身初!! 将棋プロ棋士誕生へ」。試験合格から一夜明けた14日には、快挙をたたえる懸垂幕が市役所第1庁舎(只越町)に掲げられた。庁舎を訪れた人たちが立ち止まって見上げ、祝福ムードを広げている。
 
 

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広報かまいし2023年2月15日号(No.1802)

広報かまいし2023年2月15日号(No.1802)

 

広報かまいし2023年2月15日号(No.1802)

広報かまいし2023年2月15日号(No.1802)

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【P1】
表紙

【P2-7】
特集 ハタチの誓い

【P8-9】
新型コロナワクチン接種のお知らせ
釜石市育英会奨学生募集 他

【P10-11】
税の申告
「解決の糸口を見つけに行こう!」相談会 他

【P12-13】
令和4年度 後期地域会議を開催します
まなびぃ釜石 他

【P14-17】
まちの話題
まちのお知らせ

【P18-19】
保健案内板
保健だより

【P20】
東日本大震災津波岩手県・釜石市合同追悼式

この記事に関するお問い合わせ
釜石市 総務企画部 広聴広報課 広聴広報係
〒026-8686 岩手県釜石市只越町3丁目9番13号
電話:0193-27-8419 / Fax 0193-22-2686 / メール
元記事:https://www.city.kamaishi.iwate.jp/docs/2023021000031/
釜石市

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釜石市公式サイトと連携し、縁とらんすがピックアップした記事を掲載しています。記事の内容に関するお問い合わせは、各記事の担当窓口までお問い合わせください。
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縄文時代から近代まで 釜石の復興発掘調査、遺跡・出土品紹介 国史跡「屋形遺跡」魚のまち脈々と

復興発掘調査で明らかになった釜石の歴史を紹介する展示

復興発掘調査で明らかになった釜石の歴史を紹介する展示

 
 釜石市が、東日本大震災の復興事業に伴って2012年度以降に実施した発掘調査は16遺跡、総面積は1万7616平方メートルに及ぶ。沿岸部の人々の営みに関する新たな知見が確認され、特に高い価値が認められた唐丹町大石の「屋形遺跡」は国史跡に指定された。こうした調査の成果を発信する展示や報告会があり、多くの市民らが参加。土器など生活道具のかけら、調査風景の資料写真などから地中に埋もれていた、まちの歴史に思いをはせた。
 
報告会では発掘した16遺跡の特徴を解説した

報告会では発掘した16遺跡の特徴を解説した

 
 報告会は5日に釜石PITで開催。市文化振興課の手塚新太課長補佐が発掘調査の概要や文化財の復旧について解説した。文化財保護法では、埋蔵文化財や遺跡が見つかった土地で工事を行うには教育委員会への届け出が求められ、工事で遺跡が失われる場合は発掘調査を行って記録を残す必要がある。「市内には320近い遺跡があり、毎年少しずつ増えている」とした上で、縄文時代早期の遺跡で市内で一番古い土器が出土した下ノ沢遺跡(平田町)、平安時代の貝塚や縄文時代の集落跡などが見つかった泉沢屋敷遺跡(鵜住居町)など16遺跡の特徴をスライドで紹介した。
 
参加者は古代からつながる歴史や文化に熱視線を送った

参加者は古代からつながる歴史や文化に熱視線を送った

 
 同課文化財係の加藤幹樹主任が提供した話題は、屋形遺跡から見る「さかなのまちの起源」。漁港からの避難路整備で12年と15年に調査を実施。縄文時代中期末から後期初頭(4000~3800年前)を主体とする竪穴住居や貯蔵蔵の遺構とともに、三陸沿岸のなりわいの実態を示す貝塚が発見され、市は避難経路の計画を変更し、遺跡の保存を決めた。現在の秋田や山形に住む人々との交流を示す製品が出土し、集落と貝塚が一体となった希少な遺跡だったことから21年に国史跡となった。
 
 貝塚からはシュウリ貝やマガキなどの二枚貝、ソイやアイナメなど魚類の骨のほか、釣り針やへらなどの骨角器などが見つかり、加藤さんは「釜石の名すらなかった頃から、魚のまちだったことを証明するもの。当時の自然環境やなりわいを知る非常に珍しい事例で、縄文から変わらない豊かな海と共存する生活が今なお続いている」と遺跡の価値を強調。体験学習や見学会など史跡の価値を知る学びの場として活用していく考えを示した。
 
屋形遺跡の貝塚の一部をはぎ取ったパネルも展示

屋形遺跡の貝塚の一部をはぎ取ったパネルも展示

 
 展示は4、5日に市民ホールTETTOであり、土器、石器類(石鏃・石斧・耳飾りなど)、土偶、骨角器といった生活道具など約670点がずらり。発掘作業の様子を紹介する写真パネルも並んだ。顔のようなものが施された「人面装飾付深鉢」(縄文時代前期)は、見る方向によって異なる表情や動きが感じ取れるユニークな出土品。首飾りなどの装飾品には三陸では採れなかった「イモガイ」が使われたものもあり、古くから他地域との交流があったことをうかがい知ることができる。
 
 平安時代の炭窯跡が見られる「横瀬遺跡」(箱崎町)、奥州藤原氏の影響を示す出土品で注目される「川原遺跡」(鵜住居町)、日本で3番目の鉄道跡として貴重な文化財「釜石鉱山鉄道一ノ橋橋台跡」など特徴的な資料に来場者は興味津々。平田の鈴木晴貴さん(釜石高2年)は母校の平田小裏手にある「平田遺跡」が気になった。「何気なく暮らしている地域に、昔の人の歴史が眠っていることを初めて知った。神秘的。ロマンがある」と熱心に見入っていた。
  
歴史キャラ登場か⁉顔のようなものが施された「人面装飾付深鉢」

歴史キャラ登場か⁉顔のようなものが施された「人面装飾付深鉢」

 
来場者はずらりと並んだ出土品をじっくりと見て回った

来場者はずらりと並んだ出土品をじっくりと見て回った

  
 報告会は約90人が聴講。大槌町の阿部智子さん(47)は三陸ジオパーク推進協議会で活動していて、「屋形遺跡がジオパークの見どころの一つになるのでは。地域の歴史や文化につながる大地の話として興味深い」と感じた。災害という負の部分もあるが、復興事業で各地の発掘調査が進んだのも事実で、「震災を伝えるのも三陸ジオパークの役割。地域の歴史を物語る貴重な場所が発見されたことをプラスに捉えて紹介してほしい」と期待した。
  
展示会場では発掘作業に携わった調査員らが出土品を手に解説した

展示会場では発掘作業に携わった調査員らが出土品を手に解説した

  
 今回、展示紹介されたのは、ほんの一部の出土品。手塚さんによると、「破片などを含めると10倍はある。見てもらいたいものはまだある」と熱く語る。今後は、理解や興味を深めてもらえるよう年代別に展示するなど工夫し、発信を続けていく考えだ。
 

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ハートのイルミネーション、街彩る バレンタインからホワイトデーまで 釜石・青葉通り

青葉通りにお目見えした大きなハートのイルミネーション

青葉通りにお目見えした大きなハートのイルミネーション

 
 釜石市大町の青葉通りで4日、バレンタインデーに合わせたイルミネーションが始まった。発光ダイオード(LED)で彩られたハート形のオブジェ(高さ約3メートル)などがお目見え。ピンクや白、青などに輝いてロマンチックな雰囲気を醸し出している。点灯は、ホワイトデーの3月14日までを予定する。
 
 大町商店街振興組合(新里耕司理事長)が企画。同通り緑地帯(ホテルサンルート釜石前)にハートのオブジェや、雪の結晶をかたどったイルミネーションで彩られた光のトンネルなどを設置した。「かわいい」「きれい」。家路を急ぐ人たちが足を止めて見入ったり、写真を撮ったりしていた。
 
鮮やかなイルミネーションで彩られた青葉通り

鮮やかなイルミネーションで彩られた青葉通り

 
 例年クリスマスシーズンに実施してきたが、一昨年は設置後に強風で一部の電球が壊れて数日で撤去、昨年は見送った。まちなかを活性化させようと、バレンタインシーズンの飾り付けを考えていたところ、イルミネーションで地域を楽しませている小川町の藤原豊さん(69)を紹介され、協力を要請した。
  
 「派手なのが好き」と藤原さん。20年ほど前からクリスマスの時期になると自宅にイルミネーションを飾り付け、住宅街を温かく照らしている。催しの会場を光の演出で盛り上げたりすることも。そして、今回のバレンタインイルミ。まだ完成形ではなく、時間を見て電球やオブジェを増やしていく考えだ。「少しずつ変化する輝きも楽しんでほしい」。寒い日は続くが、光の光景が道行く人たちへプレゼントになることを願っている。
 
まちなかを温かく照らすイルミネーション

まちなかを温かく照らすイルミネーション

 
 新里理事長(66)も「恋人たちの憩いの場に。2人のハートで寒さを乗り越えてもらえたら」と期待。新型コロナウイルス禍で人を呼び込む取り組みはいまだ難しさも残るが、「ウィズ・コロナを見据えてできることでにぎわいを創出、地域を盛り上げていきたい」と前を向いた。
 

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認知症になっても安心な暮らしを―釜石・小佐野地区、世代を超えた見守りチーム始動

認知症の人らをチームで支える取り組みが進む小佐野地区

認知症の人らをチームで支える取り組みが進む小佐野地区

 
 釜石市は、認知症の人やその家族を見守る「認知症サポーター」らをつなぐ「チームオレンジ」を市内全地区に組織しようと取り組んでいる。昨年12月、市内2例目となる「チームオレンジ・こさの」が発足。小佐野地区で子どもたちの見守りを行うメンバーらが高齢者にも目を配り、あいさつや声かけなど既存の取り組みを生かし活動している。そして今年2月には、小佐野小児童によるジュニアチームも誕生。世代を超えた「見守り合い」で、認知症になっても住み慣れた場所で安心して暮らせる地域づくりを目指す。
 
 チームオレンジは認知症支援のために国が進める施策で、2025年までに全市町村が取り組むことを目標にしている。主な活動は高齢者への声かけや見守りで、メンバーになるにはサポーター養成講座(90分)、ステップアップ講座の受講が必要。市内では鵜住居地区が先行し、昨年7月に始動。高齢者サロンなどの活動を展開している。
 
昨年12月の結成式に集った「チームオレンジ・こさの」のメンバー

昨年12月の結成式に集った「チームオレンジ・こさの」のメンバー

 
 約4割が高齢者という小佐野地区は、認知症支援への関心が高い。19年度に養成講座を開講。小佐野小のスクールガードらでつくる「スクラム小佐野見守り隊」のメンバー90人超が受講した。新型コロナウイルス禍で追加の研修が中断されていたが、チーム立ち上げの機運が高まり、研修を受けた40人で結成にこぎつけた。昨年12月22日の結成式で、認知症支援のシンボルカラーであるオレンジ色のリストバンドとバッジを手にしたメンバーがそれぞれ独自の活動を進めている。
 

ごみ出し支援で見守り継続 向定内町内会

 
依頼された一般ごみを回収する「向定内にこにこクラブ」のメンバー

依頼された一般ごみを回収する「向定内にこにこクラブ」のメンバー

 
 向定内町内会(三浦一志会長、約220世帯)では、ごみ出し支援などをしながら独り暮らしの高齢者らを見守る「向定内にこにこクラブ」(伊東恵子代表、5人)をチームオレンジの活動に生かす。
 
 「おはようございます。今日は袋一つでいいんだね」「元気?体調は」「変わったことはない?」――。
2月2日朝、5人のメンバーは2手に分かれて活動。伊東代表(73)らが訪ねた高齢の女性宅では玄関前に置かれた一般ごみの袋を回収し、100メートルほど離れた集積所まで運んだ。女性は「いつもありがとうね。ごみ出しを代わりにしてもらえるのは助かる。年寄りに優しい町内会だ」と感謝する。
 
回収したごみ袋を集積所に運ぶメンバーら

回収したごみ袋を集積所に運ぶメンバーら

 
 同クラブは2015年に結成。高齢者らの生活支援(有償)として、今は一般ごみが週1回、資源ごみは月1回活動していて、10世帯ほどが利用する。ほかにも、庭先の草取り、ガラス磨きや電気の交換など「お助け」のニーズを聞いて、できる範囲で日常生活を支えている。
 
 「町内を歩く中で、道行く人にあいさつしたりコミュニケーションをとることを大事にしている」と伊東代表。80歳を超えて活動するメンバーもいて高齢化が気になるが、利用者から届く感謝の言葉で続けられるという。「私たちは困りごとを手助けする何でも屋。できることで、おせっかいしている」と笑う。メンバーたちも「人のためもあるけど、自分のためにもなる。運動だから」と声を合わせた。
 
「無理せず、自然体な活動を」と話す伊東代表(前列中)、三浦会長(同左)ら

「無理せず、自然体な活動を」と話す伊東代表(前列中)、三浦会長(同左)ら

 
 同町内会は、もともと孤独死防止や災害時避難困難者支援を目的に見守り体制を構築しており、その取り組みを認知症にも役立てる。三浦会長(80)は「年々、高齢の独り暮らしが増えていると感じる。日常生活の中でさりげなく様子を見る、緩やかな見守りがポイントになる。気張らず、自然な形の取り組みにし、自分たちのコミュニティーを守っていきたい」と先を見据えた。
  

「困っていたら声をかけたい」 小佐野小5年生

 
認知症のお年寄りとの接し方を寸劇から学ぶ小佐野小5年生

認知症のお年寄りとの接し方を寸劇から学ぶ小佐野小5年生

 
 チームこさのの特徴的な取り組みが、ジュニア組織の立ち上げだ。小佐野小(千葉裕之校長、児童290人)の5年生41人が2段階の講座を終えてジュニアサポーターに認定され、2月7日に「チームオレンジ・こさの ジュニア」を結成した。岩手県内の小学校では初めてで、全国でも珍しいという。
 
 1月25日、追加研修のステップアップ講座が同校であり、寸劇などを通して患者への接し方などを学んだ。「悪い例」を見た後に、適切な対応を考えて発表。▽声をかける時は驚かさないよう優しい口調でゆっくり話す▽一人で対応するが難しい時は交番や先生、生活応援センターに連れていく―などの行動を共有した。
 
困っている人を見かけた時の対応について意見を出し合う児童

困っている人を見かけた時の対応について意見を出し合う児童

 
 同校では毎年4年生が近くにある福祉施設の協力で養成講座を受け、介護や認知症について学習している。「地域の人たちにいっぱい助けられてきた。自分たちができることで地域の役に立ちたい」と具体的な活動を思案。そんな時にチームこさのが立ち上がり、互いに見守り、支え合う地域づくりの一員になることを決めた。
  
 主な活動は、登下校時などに困っている人を見かけたら手助けすること。土手樹君は「買い物をした時に困っている人を見たことがあった。今度見かけたら目線を合わせて優しく声をかけたい」と決意した。
 
 チームこさの事務局を担う小佐野地区生活応援センターの佐藤貴之所長は「孫と一緒に参加したり、話をするきっかけになるような活動になれば。より多くの人に携わってもらい、住みやすい地域づくりにつなげたい」と意義を強調した。

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広報かまいし2023年2月1日号(No.1801)

広報かまいし2023年2月1日号(No.1801)

 

広報かまいし2023年2月1日号(No.1801)

広報かまいし2023年2月1日号(No.1801)

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【P1】
初心者向けスマホ体験会

【P2-3】
みんなのおしごとFes!! 2023
不要な体操着を引き取り・お譲りします 他

【P4-5】
釜石市地震・津波避難訓練
水産・海洋研究フォーラムin 釜石 他

【P6-7】
まちのお知らせ

【P8】
釜石市有形文化財公開事業
釜石市民劇場「 七十七年前の出来事」乙女たちの戦い 他

【津波災害ハザードマップ(折り込み)】

この記事に関するお問い合わせ
釜石市 総務企画部 広聴広報課 広聴広報係
〒026-8686 岩手県釜石市只越町3丁目9番13号
電話:0193-27-8419 / Fax 0193-22-2686 / メール
元記事:https://www.city.kamaishi.iwate.jp/docs/2023011800030/
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小山怜央さん、合格は持ち越し 将棋・棋士編入試験第3局で黒星 地元釜石で家族ら応援「次こそ」

小山怜央さんの地元釜石・中妻地区生活応援センターで開かれた大盤解説会

小山怜央さんの地元釜石・中妻地区生活応援センターで開かれた大盤解説会

 
 釜石市出身で将棋のアマチュア強豪、小山怜央さん(29)=横浜市、将棋講師=は20日、大阪市の関西将棋会館でプロ棋士編入試験5番勝負の第3局に臨み、狩山幹生四段(21)に165手までで敗れ、対戦成績は2勝1敗となった。初戦から連勝し合格にあと1勝としていたが、岩手県初のプロ棋士誕生は次戦以降に持ち越しとなった。地元釜石では家族らが戦況を見守り、「次こそは」と期待を残した。
 
 午前10時、小山さんの後手で対局が始まった。戦型は「相雁木(あいがんぎ)」。序盤戦はじっくりとした戦局が続いた。中盤戦以降は狩山四段がリードを広げる展開に。小山さんは最終盤、思い切った勝負手を繰り出したが冷静に対応され、粘りも及ばず押し切られた。
 
プロ棋士編入試験5番勝負第3局で小山さんの戦いぶりを見守る釜石市民

プロ棋士編入試験5番勝負第3局で小山さんの戦いぶりを見守る釜石市民

 
 釜石市上中島町の中妻地区生活応援センターでは釜石将棋教室による大盤解説会があり、日本将棋連盟釜石支部長の土橋吉孝さん(67)が指し手の意味や狙いを説明。小山さんの父敏昭さん(60)、母聖子さん(60)、将棋愛好者ら約20人が盤上に再現される対局の行方を見守った。
 
 「攻め合いですね」「厳しいな」「(リードされても)離されずついていけば、まだ楽しみはある。怜央は終盤に強い」「最後のギリギリまで勝ち筋を探す。諦めず頑張るのが昔から彼の良いところ」。同支部が開く将棋教室で少年期の小山さんを指導した土橋さんならではの視点を入れた解説が続いた。参加者らを交え、次の一手を予想しながら見守っていたが、午後4時45分ごろ、小山さんが投了すると会場にため息が漏れた。
 
小山さんが小学生の頃に将棋教室で指導した土橋吉孝さんが解説

小山さんが小学生の頃に将棋教室で指導した土橋吉孝さんが解説

 
目の前に盤を置いて一手ごと再現しながら解説を聞く人も

目の前に盤を置いて一手ごと再現しながら解説を聞く人も

 
 土橋さんは「相手の得意の戦型に持ち込まれ、序盤に時間を使いすぎたのが敗因かな。相手が一枚上手。(小山さんは)駒がのびのび前に行けなかった。終盤に力を出せる場面がなく、不完全燃焼だったろう」と振り返った。会場入りした映像で襟のボタンが外れているように見えたと言い、「いつもと違って緊張していたね。プレッシャーもあったのだろう」と推測。一方、「3連勝で試験を通過した人はいない」と強調し、「もう1回、多めに打てると思えばいい」と前向きに捉える。次戦に向けては「相手の得意な戦型を勉強し準備する。相手の土俵で戦わず、自分の持ち味を出してほしい」とエールを送った。
 
小山さんの挑戦を見守る敏昭さん(手前)、聖子さん(左奥)

小山さんの挑戦を見守る敏昭さん(手前)、聖子さん(左奥)

 
 聖子さんも小山さんの緊張を感じ取った様子で、「少し心配しながら見ていた。次はプレッシャーを感じずに集中して頑張ってほしい」と願った。敏昭さんは「次がある。切り替えて取り組んでほしい」と背中を押す。
 
2016年の第1回釜石市長杯争奪世代間交流将棋大会にチーム「小山家」で参加した小山さん(左)=復興釜石新聞アーカイブ

2016年の第1回釜石市長杯争奪世代間交流将棋大会にチーム「小山家」で参加した小山さん(左)=復興釜石新聞アーカイブ

  
 小山さんは鵜住居町出身。岩手県立大在学中の2014年に学生名人に輝いた。15年アマ名人戦優勝、16年アマ王将位優勝など6大アマタイトルのうち5つで優勝経験がある。卒業後、強豪のリコー将棋部に在籍したことも。現在は横浜市で将棋講師を務める。昨年秋、出場が認められている公式戦でプロを相手に10勝以上かつ6割5分以上の勝率という条件を満たし棋士編入試験資格を獲得、受験を希望した。
  
 試験は新人棋士5人と対戦して3勝で合格。昨年11月の第1局で徳田拳士四段(25)、同12月の第2局で岡部怜央四段(23)に勝利。あと1勝で、プロ棋士養成機関「奨励会」の在籍経験がないアマが初めて合格する。また本県のプロ第1号となる。
  
 第4局は2月の予定で、横山友紀四段(22)と対戦する。
 
注目を集める小山さんの挑戦。次戦、夢をかなえる大一番に市民は熱視線を送る

注目を集める小山さんの挑戦。次戦、夢をかなえる大一番に市民は熱視線を送る

 

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魅力いっぱい!大迫の宝を釜石市民に紹介 大迫高生が大償神楽と大型紙芝居を熱演

釜石市の鵜住居公民館で「大償神楽」を披露する大迫高の生徒

釜石市の鵜住居公民館で「大償神楽」を披露する大迫高の生徒

 
 花巻市大迫町の大迫高(三田正巳校長、生徒53人)の生徒16人が17日、釜石市を訪れ、地域の伝統芸能「大償(おおつぐない)神楽」や民話を題材にした大型紙芝居を披露した。生徒らが学校で取り組む伝承活動を地元以外で披露するのは初めて。会場となった鵜住居町の鵜住居公民館(松下隆一館長)には地域住民ら約60人が集まり、高校生の熱演に盛んな拍手を送った。
 
 同校の学芸部神楽班と図書委員会で活動する1~3年生が来釜。図書委員らは地元に伝わる約50の民話の中から「とのさまとごちそう」「キツネの念仏」の2話を大型紙芝居で披露した。図書ボランティアとして活動する地域住民から指導を受けた方言で物語を展開。紙芝居の前後には昔ながらの拍子木を打ち鳴らす演出で楽しませた。
 
大迫に伝わる民話「キツネの念仏」の大型紙芝居

大迫に伝わる民話「キツネの念仏」の大型紙芝居

 
 早池峰神楽の一つ「大償神楽」の伝承に取り組む神楽班は、6つある式舞の3番目の舞曲「三番叟(さんばそう)」を披露した。同神楽は早池峰山信仰に由来するとされ、500年以上の歴史を誇る。早池峰神楽(大償、岳)は1976年、国の重要無形民俗文化財に指定され、2009年にはユネスコの無形文化遺産に登録された。大迫高の生徒は地元保存会の指導を受け、弟子神楽として2017年から活動する。
 
式舞「三番叟」を軽やかに舞う高橋悠斗班長

式舞「三番叟」を軽やかに舞う高橋悠斗班長

 
見せ場では観客から拍手が湧き起こった

見せ場では観客から拍手が湧き起こった

 
 修験山伏の祈祷の舞が根源とも言われる同神楽。釜石では生で見る機会はほとんどないだけに、観客は舞い手の動きに目がくぎ付けとなった。鵜住居町の植田敬子さん(82)は「自分の出身地の川井村にも神楽があるが、こちらはまた全然違う。高校生、すごいですね。見ているとうきうきして、一緒になって踊りたくなるよう。心の洗濯もした気分」と大感激だった。
 
 10分以上の演目を1人で踊り切った神楽班班長の高橋悠斗さん(2年)は「年明け最初で、体力に自信がない中での舞だったが、自分の力を全部出し切れた」と充実の表情。外の人たちに初めて見てもらう不安もあったが、「大きな拍手やお褒めの言葉をいただき、自分たちのモチベーションも上がった」と今後につながる収穫を得た様子。
 
 同校で神楽をやるため、留学制度を利用して入学した北上市出身の阿部浬歩さん(3年)は今回が最後の舞台。笛で後輩たちの演舞を支え、「(後輩の)成長した姿が見られて良かった」と笑顔を見せた。3年間の活動を振り返り、「舞の習得など練習は大変だったが、神楽を通してあきらめない心が身に付いた。今後の人生にもきっと生かせると思う」と貴重な経験を胸に刻んだ。
 
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 紙芝居と神楽の合間には、藤原愛(まな)生徒会長(2年)による大迫町の魅力発信コーナーも。まちの活性化策として、同校が地元のコミュニティー振興会と取り組んだベンチのリニューアルプロジェクトを紹介し、同町への来訪を呼び掛けた。
 
 同校では昨年度から釜石高の生徒による防災出前授業が行われていて、両校の相互交流が進む。大迫高生の釜石訪問は、新型コロナウイルス感染症の影響で昨年度はかなわず、今回が初。鵜住居公民館の後、釜石高に出向き、2年生の前で同様の披露を行った。両校の縁は2020年度に釜石高の副校長を務めた、大迫高の三田校長がつないだ。

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気軽に来て…地域のよりどころ「談話ルーム」 釜石・甲子公民館、毎月1回開設

「談話ルームかっし」を紹介する甲子公民館と市社協関係者

「談話ルームかっし」を紹介する甲子公民館と市社協関係者

 
 地域の人が気軽に話せる場をつくろうと、釜石市甲子町の甲子公民館(佐々木利光館長)は月に1回、「談話ルームかっし」を開設している。市社会福祉協議会と連携しており、個別対応も可能。支援が必要な場合は専門の機関・団体につないだり、各種サービスの情報を提供する。独り暮らしの高齢者や家に閉じこもりがちな人などの外出の機会につなげるのも狙い。孤立を防ぎ、不安や悩みを吐き出せる語り合いの場、新たな出会いの場を目指している。
 
 甲子町内には約6000人が暮らす。同館が地域課題について各町内会にアンケート調査を行ったところ、▽高齢者や独居世帯の増加▽高齢化による町内活動の担い手不足▽交通の不便-といった回答が多かった。特に高齢の独居者や家に閉じこもりがちな人らは外部とのつながりが薄くなり、「何か悩み事を抱えているかもしれないが、話を聞き取るのが難しい」など孤立の懸念を指摘する声もあった。
 
 こうした実態を踏まえた取り組みを地域内で検討し、「継続が大事になる。できることから始めよう」と共有。すでに行っている「普段からの緩やかな見守りと、さりげない声がけ」を維持しつつ、外に出るきっかけにしてもらえるよう「身近で気軽なおしゃべりの場」を設けることにした。
 
談話ルーム利用者(手前)の話に耳を傾ける甲子公民館職員ら

談話ルーム利用者(手前)の話に耳を傾ける甲子公民館職員ら

 
 談話ルームは毎月第2月曜日の午後1時半~4時半に開設。1階の図書室を利用する。同館や社協の職員らが来場者とおしゃべりを楽しんだり悩み事を聞いたりしながら、心身ともに健康な生活を送れるようサポートする。
 
 2回目となる1月は変則で、16日に開設。個別対応を希望する人らが足を運んだ。50代女性は「知っている人には話しにくいことがある。そういう人がいない場所で話せるのがありがたい。気になっていることを吐き出して、聞いてもらうと気持ちが軽くなる」と歓迎した。
 
 佐々木館長は「地域のよりどころとして、何か悩んでいたり、言いたいことがあっても誰に話せばいいか分からない人のお手伝いができれば。話すことで心と体の状況を良い方向に持っていってほしい」と見守る。来場者同士が会話を楽しみ、顔見知りになる―そんな新たな出会いの場にとの期待も。「相談ではなく、談話の場として気軽に来てみて」と呼び掛ける。
 
「毎月第2月曜日の午後は甲子公民館の図書館へ」と呼び掛ける

「毎月第2月曜日の午後は甲子公民館の図書館へ」と呼び掛ける

 
 次回は2月13日に開設。問い合わせは甲子公民館(甲子地区生活応援センター/電話0193・23・5524か、21・3151)へ
 

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今年も見られた!オオハクチョウ、カワセミに歓声 鵜住居川周辺で水辺の鳥観察会

片岸公園の沼地を泳ぐ野鳥を観察する参加者

片岸公園の沼地を泳ぐ野鳥を観察する参加者

 
 釜石市の鵜住居川河口周辺で14日、市生活環境課主催の「水辺の鳥観察会」が開かれた。一帯は東日本大震災による津波被害から10年の時を経て復興を遂げ、新設された片岸公園を中心に多くの野鳥が生息する環境が戻ってきた。今冬もオオハクチョウの飛来が確認され、ガン、カモ、サギなどと一緒に水辺に憩う姿が、散歩に訪れる市民らの目を楽しませている。観察会では、鮮やかな体色で「飛ぶ宝石」と称されるカワセミも見ることができた。
 
 同観察会は1977年から続けられる冬の恒例行事。震災後は新しい防潮堤や水門の設置工事のため中止されてきたが、2020年度から再開されている。今回は市民らを中心に約20人が参加。釜石野鳥の会(臼澤良一会長、7人)の会員3人が案内役を務め、双眼鏡やフィールドスコープを使って多種多様な鳥を観察した。
 
 片岸公園(2021年完成)から観察をスタート。参加者を出迎えたのは、園内の沼地で羽を休めるオオハクチョウの群れ。灰色の幼鳥を含め20羽以上が確認された。同会会員によると、今冬も11月下旬に第一陣が飛来。観察会の日までに35羽が確認されている。昨季は内陸部で積雪が多く、餌をとれなくなったハクチョウが沿岸部に多く飛来し、鵜住居川周辺では最大で約200羽が確認されたという。
 
水面をゆっくり進むオオハクチョウ。見応え十分

水面をゆっくり進むオオハクチョウ。見応え十分

 
釜石野鳥の会の会員らが鳥の生態や生息環境について説明した

釜石野鳥の会の会員らが鳥の生態や生息環境について説明した

 
飛来したハクチョウの多くが片岸公園で見られ、周辺にはにぎやかな鳴き声も響く

飛来したハクチョウの多くが片岸公園で見られ、周辺にはにぎやかな鳴き声も響く

 
 同会事務局の菊地利明さん(57)は「子育て中のハクチョウは子どもを守ろうと攻撃的になることがある。近寄りすぎると危害を加えられる恐れもあるので、距離を保って観察を。野生の鳥なので、人間が餌をあげることは絶対にしないでほしい」と注意を促した。
 
 この後、鵜片橋に移動。水門近くの中州に目をやると、アオサギやマガモの群れが見られた。数羽のダイサギが羽を広げて飛ぶ優雅な光景も。背が高いサギ類は外敵が近づくといち早く察知し鳴き声を上げるので、周りにいるカモなども危険を知ることができるという。
 
鵜住居川の水門近くの中州で見られたアオサギの群れ(左下)と周辺を飛び交うダイサギ(白色)

鵜住居川の水門近くの中州で見られたアオサギの群れ(左下)と周辺を飛び交うダイサギ(白色)

 
 最後の観察ポイントは釜石鵜住居復興スタジアム前の鎧坂橋付辺。ここ数年、カワセミがよく見られる場所で、参加者の期待も高まった。川のほとりの草地に目を凝らすと、ひときわ目立つカラフルな姿が…。「あっ、いたいた!きれいだー」。頭から背中にかけての青色、腹部のオレンジ色が美しいカワセミが枝に止まっていた。くちばしの色から雄の個体。餌となる水中の小魚を狙っている様子で、少しすると水面に向かって飛び立った。
 
鮮やかな体色のカワセミ。冬枯れの景色の中ではひときわ目を引く

鮮やかな体色のカワセミ。冬枯れの景色の中ではひときわ目を引く

 
 約1時間の観察の後、見られた鳥の種類を一覧表でチェック。結果、昨年の観察会と同様、28種類の野鳥が確認された。ガン・カモ類が最も多く、ワシ・タカ類ではトビやノスリが見られた。個体数ではオオバンの数が際立った。
 
 鵜住居町の佐藤奏子さん(44)、一帆ちゃん(3)親子は昨年に続いての参加。「ハクチョウ、かっこ良かった。鳥さん大好き」と一帆ちゃん。奏子さんは「カワセミは昨年も同じ場所で見られ、変わらず生きているんだなと感動した。震災から復興した風景、年数を重ね再生してきた自然を目の当たりにし、生き物の生命力、共存の大切さをあらためて実感した」と話した。
 
多くの野鳥が集う片岸公園の沼地。周辺には遊歩道も整備されている

多くの野鳥が集う片岸公園の沼地。周辺には遊歩道も整備されている

 
観察会で見られたカワウ(左上)、ホオジロ(右上)。下段はマガモのつがい(左が雄、右が雌)

観察会で見られたカワウ(左上)、ホオジロ(右上)。下段はマガモのつがい(左が雄、右が雌)

 
 震災前、県内有数の「野鳥の宝庫」として知られた鵜住居川河口周辺。市の観察会では最多で57種が確認されたこともあった。臼澤会長(74)は「(鳥の隠れ家となる)ヨシ原など草地はだいぶ戻ってきたが、樹木はまだ少ない。木に営巣する鳥も多いので、生息環境のためには植樹を進めるのも有効。鳥の餌となる昆虫を含め、生き物全体のバランスが保たれるようなフィールドが必要」と話し、今後も注意深く環境を見守っていく重要性を示した。