ピアノで全国へ 釜石・吉田真唯さん(甲子中) 初切符に「悔い残さず楽しむ」


2024/03/07
釜石新聞NewS #地域

ピアノ・オーディション全国大会に挑む吉田真唯さん

ピアノ・オーディション全国大会に挑む吉田真唯さん

 
 今月下旬に東京で開かれる「第40回JPTAピアノ・オーディション」(日本ピアノ教育連盟主催)の全国大会に、釜石市から吉田真唯(まい)さん(甲子中3年)が出場する。「ピアノは中学校まで」と考えていたところ、思いがけず手にした全国への切符。「周りのレベルに負けないよう、楽しみながら演奏したい」と練習を重ねている。
 
 同オーディションは、子どもの豊かな音楽性を培うことなどを目的に開かれている。吉田さんは昨年11月に仙台市であった東北地区大会の中学生部門(約30人出場)に挑み、ハイドンの「ソナタ 変ホ長調 Hob.XVI-28 第1楽章」で優秀賞を受けた。同賞の9人が全国大会へ進み、岩手県からは吉田さんを含め2人が参加するという。
 
 吉田さんがピアノを習い始めたのは3歳の頃。市内でピアノ教室を主宰する髙橋伊緒さんに師事する。「手が小さいのがハンデ」と思っていたこともあり、中学生で区切りをつけるため「悔いが残らないように」と練習に励み、自信を持って地区大会に臨んだ。
 
 「実はハプニングが…」と吉田さん。審査結果はエントリー番号を発表する形だったが、呼ばれず落ち込んで帰路についた。すると、髙橋さんから「おめでとう」と祝いの言葉が届き、びっくり。主催者のホームページ上には吉田さんの番号があり、問い合わせてみると、会場では手違いがあって「本当は全国行きを手にしていた」と確認できた。
 
全国大会への出場を決め、練習を重ねる吉田さん

全国大会への出場を決め、練習を重ねる吉田さん

 
 全国大会への出場は今回が初めてで、素直にうれしさをにじませる。より高いレベルへの挑戦となり、緊張感も上昇。そんな中でも、「楽しみながら自分らしい演奏を」と鍵盤に向かう。学校の応援もあり、放課後に2時間ほど音楽室のグランドピアノを触り、さらに自宅のアップライトピアノで音出し。週末など休みにはグランドピアノが設置された市内や隣町の公共施設を借り、音が響く環境で指を動かす。
 
 合間を縫って、1日は釜石市役所を訪れ、小野共市長に意気込みを伝えた。同行した父の智さん(55)は「釜石からピアノで全国へいくのは久々と聞く。同じように頑張る子どもたちの励みになれば」と期待を込め、練習や事前準備、体調管理に気を配りつつサポートしていると説明。小野市長は「まず自分をほめてほしい。本番を楽しんで、いい思い出、経験を積んできて」と激励した。
 
小野共市長(手前)に抱負を伝えた吉田さん

小野共市長(手前)に抱負を伝えた吉田さん

 
 2日は市民ホールTETTOのピアノ練習室で鍵盤をはじいた。本番で奏でるのはリストの「3つの演奏会用練習曲第3番ため息」。吉田さんによると、「水が流れるようなきれいな曲だけど、タッチが早い。高い音から低い音を駆け上がって下りてくるような感じで難しい。手が小さいから、指を目いっぱい広げても大変」という。それでも、挑戦できる喜びが上回り、「会場にいる人が居心地よく聴けるよう演奏したい」と心を弾ませる。
 
TETTOピアノ練習室で笑顔を見せる吉田さん

TETTOピアノ練習室で笑顔を見せる吉田さん

 
愛娘の頑張りを智さんが優しく見守っている

愛娘の頑張りを智さんが優しく見守っている

 
 本番は26日。そばで見守る智さんは「今までで一番練習している。全国では肩の力を抜いて自信を持ってやってほしい」と、晴れの舞台に挑む娘にエールを送る。

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