まちの特色や防災の取り組みを伝え合う釜石市と東海市の児童
姉妹都市提携を結ぶ釜石市と東海市の児童交流会が24日、釜石市の平田小(佐守直人校長、児童157人)であった。東海市の小学校12校から6年生24人が訪れ、平田小6年生(32人)と交流。互いの市の特色や防災学習の取り組みを紹介し、学び合いながら友情を深めた。
平田小児童は「東日本大震災が起こった時、お母さんのおなかにいた人がほとんど」とした上で、津波襲来時の映像を紹介。家族らから話を聞いたり、避難訓練を年6回行っていることを説明した。全児童が水やタオル、カイロなどを入れた避難袋を用意していて、「いつ起こるか分からない災害。とにかく自分の命は自分で守る。津波が来たらとにかく高いところへ。『津波てんでんこ』の考えを大切にしている」と強調した。
東日本大震災時の津波の映像に見入る子どもたち
ラグビーのまちについて紹介する平田小児童(右)
東海市の児童は熱心にメモを取ったり、デジタルカメラで写真を撮ったりしながら同年代の話に耳を傾けた。南海トラフ巨大地震を想定した備えについて発表し、ライフジャケットの着用訓練を行っていることを伝えた。
4グループに分かれて、まちの特色や歴史などを発表し合ってより理解を深める時間も。東海市の児童が「震災のことを大人に初めて聞いた時、どんな印象だった?」と質問すると、平田小の児童は「小さい頃であまり分からなかった。学校で学習しながら知識を深めている」と答えた。ほかにも好きな給食のメニューやゲームの話題で会話を弾ませていた。
気になることを聞いたり答えたり、会話を弾ませたグループワーク
釜石にまつわるクイズに挑戦する東海市の児童(奥)
平田小の熊谷凜音(りの)さんは「10年くらい前につらいことがあったけど、頑張ているよとしっかり伝えられた」と胸を張り、久保心輝(こうき)君は「鉄のまちが共通点ということが印象に残った。仲良くなって交流を続けられたら」と期待した。
東海市立横須賀小の女子児童は「避難袋の取り組みが印象的。細かい準備をしていれば、いざという時に安心すると思う。すごい被害のあった震災のことをきちんと理解して、備えられるようにしていると感じた」と刺激を受けた。加木屋南小の男子児童は鉄の歴史に理解を深めた様子。「鉄の発展は大島高任のおかげ。学びや経験を伝えたい」と背筋を伸ばした。
東海市にちなんだ献立も入った給食を一緒に味わう
両市は、1960年代に釜石製鉄所から700人超が家族を伴って東海製鉄所に移ったことをきっかけに交流を開始。2007年に姉妹都市となり、スポーツを通じた交流事業などで絆を深めてきた。東海市は震災後、物資支援、職員の派遣、ラグビーW杯に向けた多額の寄付など支援を続け、中学生の海外体験学習事業(新型コロナウイルスの影響で現在は実施せず)などでも連携。児童の交流は21年度から続けている。