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防災の学び 伝え合う 釜石市・東海市の児童 まちの歴史から共通点を発見 友情深める

まちの特色や防災の取り組みを伝え合う釜石市と東海市の児童

まちの特色や防災の取り組みを伝え合う釜石市と東海市の児童

  
 姉妹都市提携を結ぶ釜石市と東海市の児童交流会が24日、釜石市の平田小(佐守直人校長、児童157人)であった。東海市の小学校12校から6年生24人が訪れ、平田小6年生(32人)と交流。互いの市の特色や防災学習の取り組みを紹介し、学び合いながら友情を深めた。
   
 平田小児童は「東日本大震災が起こった時、お母さんのおなかにいた人がほとんど」とした上で、津波襲来時の映像を紹介。家族らから話を聞いたり、避難訓練を年6回行っていることを説明した。全児童が水やタオル、カイロなどを入れた避難袋を用意していて、「いつ起こるか分からない災害。とにかく自分の命は自分で守る。津波が来たらとにかく高いところへ。『津波てんでんこ』の考えを大切にしている」と強調した。
  
東日本大震災時の津波の映像に見入る子どもたち

東日本大震災時の津波の映像に見入る子どもたち

 
ラグビーのまちについて紹介する平田小児童(右)

ラグビーのまちについて紹介する平田小児童(右)

   
 東海市の児童は熱心にメモを取ったり、デジタルカメラで写真を撮ったりしながら同年代の話に耳を傾けた。南海トラフ巨大地震を想定した備えについて発表し、ライフジャケットの着用訓練を行っていることを伝えた。
   
 4グループに分かれて、まちの特色や歴史などを発表し合ってより理解を深める時間も。東海市の児童が「震災のことを大人に初めて聞いた時、どんな印象だった?」と質問すると、平田小の児童は「小さい頃であまり分からなかった。学校で学習しながら知識を深めている」と答えた。ほかにも好きな給食のメニューやゲームの話題で会話を弾ませていた。
  
気になることを聞いたり答えたり、会話を弾ませたグループワーク

気になることを聞いたり答えたり、会話を弾ませたグループワーク

 
釜石にまつわるクイズに挑戦する東海市の児童(奥)

釜石にまつわるクイズに挑戦する東海市の児童(奥)

   
 平田小の熊谷凜音(りの)さんは「10年くらい前につらいことがあったけど、頑張ているよとしっかり伝えられた」と胸を張り、久保心輝(こうき)君は「鉄のまちが共通点ということが印象に残った。仲良くなって交流を続けられたら」と期待した。
   
 東海市立横須賀小の女子児童は「避難袋の取り組みが印象的。細かい準備をしていれば、いざという時に安心すると思う。すごい被害のあった震災のことをきちんと理解して、備えられるようにしていると感じた」と刺激を受けた。加木屋南小の男子児童は鉄の歴史に理解を深めた様子。「鉄の発展は大島高任のおかげ。学びや経験を伝えたい」と背筋を伸ばした。
  
東海市にちなんだ献立も入った給食を一緒に味わう

東海市にちなんだ献立も入った給食を一緒に味わう

   
 両市は、1960年代に釜石製鉄所から700人超が家族を伴って東海製鉄所に移ったことをきっかけに交流を開始。2007年に姉妹都市となり、スポーツを通じた交流事業などで絆を深めてきた。東海市は震災後、物資支援、職員の派遣、ラグビーW杯に向けた多額の寄付など支援を続け、中学生の海外体験学習事業(新型コロナウイルスの影響で現在は実施せず)などでも連携。児童の交流は21年度から続けている。

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建設業者の林業参入を支援 県主導で技術研修会初開催 地域の森林環境保全へ新たな取り組み

林業研修で伐木の技術を学ぶ参加者=片岸町、釜石地方森林組合事務所

林業研修で伐木の技術を学ぶ参加者=片岸町、釜石地方森林組合事務所

 
 東日本大震災の復興工事が終わり事業量が減った沿岸地域の建設業者が、人手不足の林業へ参入するのを支援しようと、県主導の取り組みが釜石地域で始まった。24日、建設会社の社員などを対象とした林業の知識や技術習得のための研修会が、釜石市片岸町の釜石地方森林組合事務所で開かれた。
 
 研修会は県沿岸広域振興局農林部が、林業新規参入者スキルアップ事業(地域経営推進費)として実施。釜石、大槌、山田の3市町の建設業5社とNPO法人などから23人が参加した。研修に先立ち眞島芳明農林部長は「2019年度から始まった森林経営管理制度により、各市町村では森林整備事業の増加が見込まれる。建設業者の本格的な参入を支援するため、スキルアップ事業を実施していく」と研修の目的を示した。
 
県沿岸広域振興局が初めて開いた「林業新規参入者スキルアップ研修」

県沿岸広域振興局が初めて開いた「林業新規参入者スキルアップ研修」

 
 釜石地方森林組合(植田收代表理事組合長)の職員らが講師となり、座学と実技講習が行われた。座学で同組合の高橋幸男理事(兼参事)は「管内(釜石市・大槌町)の民有林3万8000ヘクタールのうち、現在、所有者が組合に管理を委託しているのは5700ヘクタールで、管理委託は年々増加傾向にある」と説明。近年は地球温暖化の影響とみられる豪雨災害が増えている状況もあり、「CO2の吸収量増、強固な地盤形成を促す適正な森林管理が求められる」と話した。
 
林業の仕事について説明する釜石地方森林組合の高橋幸男理事(兼参事)

林業の仕事について説明する釜石地方森林組合の高橋幸男理事(兼参事)

 
 参加者は作業道の開設方法、地拵(こしら)え、植林、下刈り、除・間伐、伐木作業の基本ルールなど林業に必要な基礎知識を学習。座学の後、チェーンソーで立木を伐倒することを想定した実技講習が行われた。木が倒れる方向をコントロールしながら安全、正確に切り倒すための受け口、追い口の作り方などを組合職員から教わった。
 
 本研修実施の背景には、社会情勢の変化に伴う建設業と林業が抱える問題がある。東日本大震災の復興工事がほぼ完了し、公共工事の事業量が減少した建設業では雇用の維持が課題。林業は高齢化などで従事者が減少傾向にある一方、「森林経営管理制度」の実施で今後、事業の増加が見込まれている。同制度は、手入れが行き届かない森林の所有者に市町村が意向調査を行い、経営管理の委託を受けた場合に地域の林業経営者に再委託するほか、林業経営に適さない森林は市町村が公的に管理するというもの。
 
座学の後、組合の敷地内で行われた実技講習

座学の後、組合の敷地内で行われた実技講習

 
伐倒方向を意識した切り込みを入れる練習

伐倒方向を意識した切り込みを入れる練習

 
 同組合管内では2年ほど前から建設業者の林業への参入が試験的に行われ、現在、釜石市内の2社が組合の業務を請け負う形で技術習得を進めている。「林業の担い手確保は大きな課題。新規参入は非常に助かる」と高橋理事。将来的には自社で山を所有し、森林経営をするのが理想だが、「経営が成り立つかどうか不安もあるだろう。議論を重ね、持続可能な形へ一番いい方法を見つけていく必要がある」と話す。
 
組合職員(右)がチェーンソーの扱い方を伝授

組合職員(右)がチェーンソーの扱い方を伝授

 
 研修に参加した青紀土木(釜石市鵜住居町)の吉田智春さん(37)は、昨年5月から同組合の業務に携わる。異業種参入に「林業は体力的にきついところもあるが、新しいことに挑戦でき満足感も。地域の環境を守る仕事でもあり、貢献できるのはうれしい」と意欲を見せる。
 
 研修はこの後12月まで4回実施予定。実際に現場に入り、下刈りや植林、除伐、間伐などの実習を行うことにしている。

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「憎む、代わりに愛を」 捕虜だった祖父 足跡たどり釜石に オランダから孫一家 つなぐ平和への思い

祖父の面影をたどり釜石を訪れたエローイ・リンダイヤさん(左)と家族ら

祖父の面影をたどり釜石を訪れたエローイ・リンダイヤさん(左)と家族ら

  
 第2次世界大戦中、釜石市の捕虜収容所に収容されたオランダ人のエヴェルト・ウィレム・リンダイヤさん(1908-81年)の孫で、投資家のエローイ・リンダイヤさん(58)が21日、家族と共に来釜。市郷土資料館や収容所跡地などを訪ね、祖父の足跡をたどった。
   
 ウィレムさんは1942年にオランダ領のインドネシアから捕虜として釜石市に送られた。甲子町にあった大橋捕虜収容所(正式名称・仙台俘虜[ふりょ]収容所第四分所)を主として生活し、機械整備などに従事。医学の知識があったため、大橋のほか港町にあった釜石捕虜収容所(同仙台俘虜収容所第五分所)の診療所で病人の治療などにも当たった。45年9月に解放され、釜石港から帰国の途に就いたとされる。
   
 当時の過酷な捕虜生活を妻子にあてて日記形式でつづっていたというウィレムさん。この手記を保管していたのが息子ウィムさん(1936-2013年)で、2000年に「ネルと子供たちにキスを―日本の捕虜収容所から」として発刊している。父の足跡を訪ねるため、ウィムさんは1995年からたびたび来釜。学校などで講演も行い、平和の大切さを訴えていたという。
  
捕虜生活中のウィレムさんがつづった日記の翻訳本「ネルと子供たちにキスを」

捕虜生活中のウィレムさんがつづった日記の翻訳本「ネルと子供たちにキスを」

   
 今回訪れたエローイさんはウィムさんの息子で、釜石を訪れるのは2度目。家族の歴史を知ってもらおうと、妻シャウケ・オーシティンディさん(59)や長男エリオットさん(20)、長女ロザリンデさん(15)を伴い休暇を利用し来日、釜石へ足を延ばした。
   
 鈴子町の市郷土資料館では、「ネルと~」の発刊のため、日本語翻訳に協力した市国際交流協会の加藤直子さんらが案内。当時の収容所の写真やウィムさんが釜石を訪れた際の写真などに見入った。
 
郷土資料館で祖父の足跡を確認するエローイさん一家

郷土資料館で祖父の足跡を確認するエローイさん一家

 
資料館が用意した資料。右上の写真がウィレムさん。来釜時のウィムさんの写真もある

資料館が用意した資料。右上の写真がウィレムさん。来釜時のウィムさんの写真もある

  
 エローイさんは父ウィムさんを思い出した様子。「かつては日本人を心の底から憎んでいた」と聞いたこともあったが、釜石の学校でスピーチをする時に「あなたたちを憎んでごめんなさい。憎む代わりに尊敬し、愛することを学んだ。和解したい。心の底から言えることだ。それが母の願いだから」と語っていたという。記憶をたぐり、自分にも言い聞かせるようにこう続けた。「祖母ネルは『日本人を恨んではいけない。憎しみから戦争が起こるから。憎むのはやめ、許しましょう。和解するように。日本人を愛しなさい』と生前父に伝えていた」。そうした願いを若い世代につなぐ。
   
 市役所で平松福壽副市長らと懇談した。エローイさんは来訪の目的などを伝え、市側は艦砲射撃という戦災の歴史をつなぐ活動を説明。つらく悲しい歴史を経て、笑顔で交流できる平和への思いに共感した。
 
市役所で市職員らと懇談。平和への思いを共有した

市役所で市職員らと懇談。平和への思いを共有した

 
「サン、ニー、イチ、カマイC(シー)」と記念撮影

「サン、ニー、イチ、カマイC(シー)」と記念撮影

  
 その後、港町に移動。市文化振興課の手塚新太さんや同協会の和田竹美さんの案内で収容所跡地や釜石港を見て回った。「祖父は何も分からない状態でここにいた…」と思いをはせるエローイさん。戦後、まちを再興した釜石の人々の生きる力も感じながら、「あのような過ちを繰り返してほしくない。子どもたちがファミリーヒストリーを知ることで、平和や自由のありがたさを感じてほしい」と望んだ。
  
 家族の歴史に触れたエリオットさんは「この場には何もないが、曽祖父は確かにここにいた。若い世代が立ち止まって、曽祖父たちが経験したことを考えてみることが大切だ」と受け止めた。ロザリンデさんは「当時の写真を見たり、跡地に来てみて、曽祖父がどんな経験をしたのか理解できたように思う。日記をしっかり読みたい。もっと歴史を知りたい」と思いを深めた。
  
収容所があったとされる港町の現地を確認した

収容所があったとされる港町の現地を確認した

 
収容所跡地周辺で市職員らから説明を受けた

収容所跡地周辺で市職員らから説明を受けた

 
解放された捕虜らが帰国の途に就いたとされる釜石港

解放された捕虜らが帰国の途に就いたとされる釜石港

   
 一行は甲子町の戦跡も巡った。市によると、捕虜収容所2カ所に収容された外国人は計746人。収容中に病気などで33人、艦砲射撃で32人が亡くなっている。

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岩手県で第50回東北総体 釜石市はラグビー成年男子・女子、ボクシング会場に 国体出場県決定

第50回東北総体(特別国体東北ブロック大会)ボクシング競技=釜石市・TETTO、26日

第50回東北総体(特別国体東北ブロック大会)ボクシング競技=釜石市・TETTO、26日

 
 この夏、岩手県を会場に行われてきた第50回東北総合体育大会。本県開催は2015年以来8年ぶりで、釜石市では8月19、20の両日、ラグビー競技「成年男子」「女子」(いずれも7人制)、同25日から27日までボクシング競技が行われた。ボクシングは釜石初開催。2競技に東北6県から選手、監督ら200人以上が来釜。地元出身、ゆかりの選手も出場した。各競技の上位県は10月に鹿児島県で開かれる特別国民体育大会に東北ブロック代表として出場する。
 
 ラグビー成年男子、女子は鵜住居町の釜石鵜住居復興スタジアムで行われた。18年に完成、19年にラグビーワールドカップ(W杯)日本大会の会場となった同スタジアムでは初の東北総体開催となった。成年男子は6県が参加。初日に予選リーグを行い、勝ち点の合計順位により2日目に決勝トーナメントが行われた。女子は5県が参加し、2日間にわたりリーグ戦を実施。勝ち点の合計で順位を決めた。試合は7分ハーフ。
 
東北総体ラグビー競技(7人制)成年男子=釜石鵜住居復興スタジアム、19日

東北総体ラグビー競技(7人制)成年男子=釜石鵜住居復興スタジアム、19日

 
予選リーグ「岩手-山形」で先制トライを決めた岩手・畠山克巳選手(日本製鉄、緑ジャージ)

予選リーグ「岩手-山形」で先制トライを決めた岩手・畠山克巳選手(日本製鉄、緑ジャージ)

 
予選リーグ「岩手-宮城」。22対12で岩手が勝利した

予選リーグ「岩手-宮城」。22対12で岩手が勝利した

 
 成年男子の岩手県チームには、釜石シーウェイブス(SW)RFCの元選手4人がメンバーに名を連ねた。昨季でSWを退団した佐々木絃選手(25)は同大会初出場。「15人制とはいろいろ違う部分があるが、各県ともレベルが高い。暑かったが、いい天気の中で気持ち良くプレーできた」と喜んだ。9月にフランスで初開催されるワールドアマチュアラグビーフェスティバルにも参加予定で、新たな舞台での活躍を目指す。
 
 女子の岩手県チームは高校生が主体。6人がメンバー入りした花巻東高の選手の中には釜石ゆかりの選手も。同校3年の片山彩子選手(17)は小佐野小、釜石中出身で、小中と釜石SWジュニアに所属。中学2年時に同スタジアムでラグビーW杯を観戦している。「ここでW杯を見た者として、思い出の地でプレーできたのはうれしい」と片山選手。高校ラグビーの3年間を振り返り、「きついけど女子でやれて楽しかった。今年はいろいろな大会にも出られた。ラグビーを続けてきて良かった」と実感を込めた。
 
ラグビー女子のリーグ戦「岩手-宮城」=19日

ラグビー女子のリーグ戦「岩手-宮城」=19日

 
 トライを決め、喜ぶ岩手県チーム(青ジャージ)

トライを決め、喜ぶ岩手県チーム(青ジャージ)

 
 大会の結果、国体には成年男子が秋田県と青森県、女子は福島県が出場することになった。八幡平市で行われた少年男子は宮城県と青森県が国体出場権を手にした。
 
 一方、ボクシングは大町の市民ホールTETTOが会場。ホールAにリングを設置して行われた。25日に行われた開会式で野田武則釜石市長は「東日本大震災の復興を発信する当市にとって絶好の機会。スポーツの力が地域に活力を与えてくれるものと期待している。日ごろの厳しい練習の成果を存分に発揮し熱い試合を」と選手を激励した。
 
東北総体ボクシング競技の開会式に集まった東北6県の選手=25日

東北総体ボクシング競技の開会式に集まった東北6県の選手=25日

 
ホールAのステージと客席の一部をつなげ、特設リングを設置した競技会場

ホールAのステージと客席の一部をつなげ、特設リングを設置した競技会場

 
 競技は「成年男子」「少年男子」「成年女子」の3種目で行われた。男子は成年、少年とも8階級(成年:ライトフライ~ライトヘビー、少年:ピン~ミドル)で試合を実施。各県は任意の5階級に1人ずつ出場。各階級の総合得点で順位を決めた。試合は成年が3分3ラウンド、少年は2分3ラウンドで行われた。各県の選手は仲間や家族の声援を受けながら激しい戦いを繰り広げ、会場内は終始、熱気に包まれた。
 
 地元からは釜石高3年の佐々木夏選手(18)が少年男子ピン級に出場。佐々木選手は開会式で選手宣誓も担当した。「市民ホールが会場になるのは想像できなかったが、競技環境としては問題なくプレーできた。地元開催はうれしい」と歓迎。初戦の相手は過去の対戦で2度敗れている選手で、リベンジをかけて臨んだが、あと一歩及ばず敗戦。悔しい結果とはなったが、3年間の集大成を見せた。ボクシングとともにあった高校生活。「合宿や減量など家族の支えがあってここまでこられた」と感謝の気持ちを口にした。
 
選手宣誓をした釜石高3年の佐々木夏選手(右)少年男子ピン級初戦で山形県の選手と対戦(左)

選手宣誓をした釜石高3年の佐々木夏選手(右)少年男子ピン級初戦で山形県の選手と対戦(左)

 
仲間に声援を送る岩手県チームの選手ら(手前)

仲間に声援を送る岩手県チームの選手ら(手前)

 
 ボクシングの国体には成年男子が岩手、山形、青森の3県、少年男子が青森、福島、山形の3県、成年女子は青森、岩手の両県が出場を決めた。
 
 本年の国体は、2020年に鹿児島県で開催予定だった第75回大会が新型コロナウイルス感染症の影響で23年に延期されたことに伴い、回数をつけない特別大会として開催される。24年の佐賀県大会からは、大会名称が「国民スポーツ大会」(略称・国スポ)に変更される。

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遊び尽くす!釜石の海 箱崎白浜・隠れ家的ビーチでワンデイキャンプ 「怖い」を「楽しい」に

さまざまな遊びや体験で海に親しむ家族連れら

さまざまな遊びや体験で海に親しむ家族連れら

  
 知る人ぞ知る釜石市のシークレットビーチ、箱崎白浜の通称“小白浜”海岸で19日、親子で海に親しむイベント「海あそびワンデイキャンプ」があった。海に関わる活動を展開する団体や漁師らでつくる「海と子どもの未来プロジェクト実行委員会(通称・さんりくBLUE ADVENTURE)」が主催。東日本大震災後に進んだ“海離れ”を食い止めたい、地元の自然に誇りと愛着を持ってほしい―と続けられ、今回で10回目となった。市内の家族連れを中心に60人超が参加。夏の暑さが残る水辺に歓声を響かせた。
  
 参加者はウエットスーツとライフジャケットを身に着けて海ヘゴー。シーカヤックやスタンドアップパドルボード(SUP)による水上散歩、シュノーケリングでの生き物観察、砂遊びなど思い思いに時間を過ごした。昼食にカレーライスを味わった後は、釜石ライフセービングクラブの安全講習。水辺防災の合言葉「ういてまて」を実践した。
 
カヤックや救助用ボードで海に繰り出す子どもたち

カヤックや救助用ボードで海に繰り出す子どもたち

 
水上バイクの試乗体験でうれしそうに手を振る子どもたち

水上バイクの試乗体験でうれしそうに手を振る子どもたち

 
波に揺られるだけでも楽しい。磯の生き物探しもできちゃう

波に揺られるだけでも楽しい。磯の生き物探しもできちゃう

 
 小川町の久保綺良里(きらり)さん(小佐野小5年)は初参加。救助用水上バイクの試乗や砂浜での“シーグラス”探しなどを楽しんだ。「気持ちよくて楽しい場所。友達が一緒なのもうれしい」とにっこり。父の文之さん(49)は「いろんな遊びがそろっている」と歓迎した。平田の尾崎白浜出身で、実家のなりわいが漁業ということもあり海は身近な存在。だが、震災の津波で漁具を失ったり苦い記憶も。それでも「海を嫌いになることはない」ときっぱり。楽しい思い出が多く、子どもにも良さを伝えたいと思う。「いざという時は逃げろ。そのことを守ればいい」。のびのびと活動するまな娘を優しく見守っていた。
 
 ラグビーイベントに合わせて来釜中の広島市のグループも参加した。碓井大和(やまと)君(深川小6年)は足ひれをつけて海に飛び込み、大はしゃぎ。さまざまな遊びを満喫していた。感想を聞いてみると、「海を嫌いな子も楽しめるんじゃないかな」と予想外の答えが返ってきた。「実はしょっぱい海水が苦手」とのこと。それでも白い砂、透明度の高い海に好印象を持ったようで、「遊び尽くす」と元気だった。
  
釜石の海を満喫中。子どもも大人もみんな笑顔
 

釜石の海を満喫中。子どもも大人もみんな笑顔

  
水上散歩、砂遊び…好きなように時間を過ごす参加者

水上散歩、砂遊び…好きなように時間を過ごす参加者

  
 小白浜は古くから地元住民がレジャーを楽しんでいた隠れ家的な場所。陸路で行くこともできるが、船での移動が便利で、このイベントでは漁師4人が白浜漁港からの送り迎えに協力した。「ホワイトビーチ」と呼ぶこともあると教えてくれたのは地元の佐々木幸喜さん(59)。仲間の佐々木義光さん(53)=片岸町室浜=と一服しながら、「自慢のビーチに人が集まるのはいいことだ。いろんな人と顔見知りになれるし、毎年楽しみにしている」と表情は明るかった。
 
昼食のカレーライスや汁物を届けるのは地元漁師の船

昼食のカレーライスや汁物を届けるのは地元漁師の船

 
漁港からシークレットビーチまでの送迎を担当した漁師たち

漁港からシークレットビーチまでの送迎を担当した漁師たち

 
 こうした景観のいい環境で体験活動を行うことで地域に魅力を感じ、自然を残し守ろうという気持ちになってもらうのが狙いの一つ。安全確保の条件が良いのもポイントで、有事の際にはハイキング路を利用し高台避難も可能だ。団体が連携することで多彩なプログラムを提供でき、それぞれの取り組みを知ってもらうことで次世代に活動をつなぐとの期待感もある。そして欠かせないのが地域の力。運営には住民、高校生や大学生など市内外のボランティアが協力し、実行委と合わせると約40人が関わった。
 
 「海の恵みをもらって暮らしている地域。豊かな経験を通し、いい思い出を作ってほしい。それが生きる力にもなるはず」とさんりくBLUE ADVENTURE共同代表の佐藤奏子さん(44)。震災後、気になっているのが海離れで、「海は怖いもの」と印象をいまだに残す人がいると感じている。「心の距離がある人たちが少しでも海に触れ合える機会になればいい。楽しい記憶を親子で残すことができたら、自然の見方や海への気持ちも変わってくると思う」。そのきっかけづくりになるよう取り組み続ける構えだ。
 
「古里の海の思い出と生きる力を育んでほしい」と佐藤奏子さん

「古里の海の思い出と生きる力を育んでほしい」と佐藤奏子さん

 
 同キャンプは海外からの大きな支えもあって継続する。釜石にゆかりのある元プロトライアスリートのマイケル・トリーズさん(英国出身)が設立した社会貢献団体「Tri 4 Japan(トライ・フォー・ジャパン)」の寄付で運営。新型コロナウイルスの影響で来釜は見送られているが、トリーズさんは心を寄せ続けているという。
 

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「明治日本の産業革命遺産」写真で感じる魅力満載 フォトコン作品展 釜石で8/31まで開催

鉄の歴史館で開催中の「明治日本の産業革命遺産フォトコンテスト」作品展

鉄の歴史館で開催中の「明治日本の産業革命遺産フォトコンテスト」作品展

 
 釜石市の「橋野鉄鉱山」など全国8県11市23資産が世界遺産登録されている「明治日本の産業革命遺産」。日本の近代化を急速に推し進めた製鉄・製鋼、造船、石炭産業に関わる各遺産は、今も目に見える形で私たちに歴史的意義を伝え続ける。2015年の世界遺産登録から間もなく10年を迎えるのを前に、その価値を再認識し広く発信する機運醸成にと昨年度、フォトコンテストが行われた。橋野鉄鉱山を撮影した作品が最優秀賞に輝いた同コンテストの作品展が31日まで、同市大平町の市立鉄の歴史館で開かれている。
 
 同館2階会議室で開かれる作品展は市が独自に企画。最優秀賞を受賞した橋野鉄鉱山の作品「悠久のたたら場跡と星空」=佐々木弘文さん(釜石市)撮影=をはじめ、優秀賞2点(端島炭鉱、遠賀川水源地ポンプ室)、エリア賞8点を拡大プリントしパネル展示する。釜石のエリア賞は「原燃料の山と橋野一番高炉」=藤原信孝さん(同)撮影=が受賞している。
 
最優秀賞を受賞した佐々木弘文さん(釜石市)の橋野鉄鉱山の写真(右)は多くの人が感嘆の声を上げながら見入った

最優秀賞を受賞した佐々木弘文さん(釜石市)の橋野鉄鉱山の写真(右)は多くの人が感嘆の声を上げながら見入った

 
釜石のエリア賞を受賞した一番高炉を捉えた藤原信孝さん(釜石市)の作品

釜石のエリア賞を受賞した一番高炉を捉えた藤原信孝さん(釜石市)の作品

 
 同コンテストは、構成資産のある県、市で組織する「明治日本の産業革命遺産」世界遺産協議会(事務局:鹿児島県)が登録10周年に向けたプロモーションの一環として企画。「つなぐ」をテーマに、昨年12月から本年2月まで作品を募集したところ、1084点の応募があった。審査はプロの写真家の選考と資産エリアの自治体投票で行われた。8エリア(佐賀、長崎、三池、鹿児島、八幡、萩、韮山、釜石)の各賞は、関係自治体に選考が任された。
 
優秀賞を受賞した長崎市の端島炭坑の写真(右)は普段なかなか見られない角度が印象的

優秀賞を受賞した長崎市の端島炭坑の写真(右)は普段なかなか見られない角度が印象的

 
静岡県伊豆の国市の韮山反射炉の写真「秋空に映える」=韮山・エリア賞

静岡県伊豆の国市の韮山反射炉の写真「秋空に映える」=韮山・エリア賞

 
福岡県北九州市の官営八幡製鉄所旧本事務所の写真「夢と浪漫を求めて」=八幡・エリア賞

福岡県北九州市の官営八幡製鉄所旧本事務所の写真「夢と浪漫を求めて」=八幡・エリア賞

 
 受賞作11点は同コンテストのWebサイトで公開されているが、展示会場で見る大型パネル作品は、来場者の視覚に訴える色彩の美しさや構図の迫力が際立つ。古い建物や構造物、遺跡など一見地味な遺産が撮影者の視点と技で魅力的に切り取られており、大型パネル化でより一層、見る人に強い印象を与えている。
 
 会場では、釜石の「橋野鉄鉱山」に関する応募作62点から抜粋した10点(撮影者5人)も展示。季節の移り変わりでさまざまな表情を見せる高炉場跡が、同所になじみのある市民にも新たな感動をもたらしている。
 
橋野鉄鉱山の応募作品の一部を公開。季節や時間帯で多彩な光景が見られる

橋野鉄鉱山の応募作品の一部を公開。季節や時間帯で多彩な光景が見られる

 
橋野鉄鉱山の山神社跡に目を向けた作品。鳥居の両側の大木が圧巻

橋野鉄鉱山の山神社跡に目を向けた作品。鳥居の両側の大木が圧巻

 
 同協議会は遺産を分かりやすく解説した新たなパンフレットも作成した。掲載のために撮影したプロ写真の中から16点を本作品展で公開している。コンテスト応募者が題材にしなかった資産を中心に紹介する。
 
 会場では、来場者が作品の感想を付箋に書いて貼る参加型企画も実施。市世界遺産課の森一欽課長補佐は「われわれでは発信できない視点で切り取られた作品が並ぶ。釜石市民が見慣れた橋野鉄鉱山も普段とは違った見方で魅力を感じてもらえるのではないか。寄せられたコメントも楽しんで見てみては」と来場を呼び掛ける。
 
 同コンテストは本年度も開催中で、10月15日まで作品を募集している。テーマは「記憶」。作品は応募者本人が過去1年以内に撮影した未発表のものに限る。応募方法などは同コンテストの特設サイトで閲覧できる。

 

釜石鉱山フォトコンテストも開催中 旧鉱山事務所の国有形文化財登録10周年で市が作品募集

 
鉱石の採掘が行われたことを示す跡が残る釜石鉱山周辺

鉱石の採掘が行われたことを示す跡が残る釜石鉱山周辺

 
 釜石市は「近代製鉄発祥の地」の原点となった甲子町大橋の釜石鉱山をテーマとしたフォトコンテストを開催している。市が管理する「旧釜石鉱山事務所」が国登録有形文化財(建造物)になってから本年で10周年を迎えるのを記念し企画。事務所や周辺に残る痕跡など釜石鉱山の残したい風景を写真で募集する。応募は10月30日まで。
 
 釜石鉱山は1727(享保12)年に発見された。後に盛岡藩士大島高任が同地に洋式高炉を築造。1858(安政4)年、鉄鉱石を原料とした連続出銑に日本で初めて成功した。1880(明治13)年、鈴子に官営製鉄所が操業すると鉄道が開通し、機関車で鉄鉱石を運搬。製鉄所が民間経営となった後も供給が続いた。同鉱山からは銅鉱石や石灰石も産出され、2000(平成12)年まで採掘が行われた。
 
 大橋に残る旧釜石鉱山事務所は1951(昭和26)年に建設された。2008(平成20)年に日鉄鉱業が建物を市に寄贈。市は寄託された鉱山関連の資料を一般公開する施設として運営している。建物は2013(平成25)年に国登録有形文化財となっている。
 
旧釜石鉱山事務所の建物や鉄、銅鉱石の選鉱場跡が残る一帯

旧釜石鉱山事務所の建物や鉄、銅鉱石の選鉱場跡が残る一帯

 
急峻な場所に礎石だけが残る鉄鉱石の選鉱場跡

急峻な場所に礎石だけが残る鉄鉱石の選鉱場跡

 
釜石鉱山学園跡地から臨む中ノ沢堆積場(写真正面奥)。積まれているのは選鉱後の不要な砕石

釜石鉱山学園跡地から臨む中ノ沢堆積場(写真正面奥)。積まれているのは選鉱後の不要な砕石

 
 募集する写真は応募者本人が過去1年以内に撮影した未発表のもの。立ち入り禁止場所や個人、企業の敷地などで了承を得ず撮影した作品は応募不可。応募方法や規約はポスターやチラシ、市広報7月15日号掲載のQRコードから確認できるほか、市のホームページからも検索できる。
 
 市は登録10周年記念事業として、旧釜石鉱山事務所の愛称募集も行う予定。フォトコンテストの受賞作品や選ばれた愛称は、「鉄の週間」期間中に行われる行事で発表することにしている。

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スイカ割り、花火…夏の風物詩で世代間交流 釜石小・大町地区子供会 地域とのつながりづくり

スイカ割りで交流を楽しむ釜石小児童とお年寄り

スイカ割りで交流を楽しむ釜石小児童とお年寄り

  
 釜石小学校(釜石市大渡町)の大町地区子供会(千葉法子地区長、児童21人)は17日、地区内にある高齢者施設で世代間交流会を開き、多世代でスイカ割りや花火遊びを楽しんだ。夏休みの親子レクリエーション行事として実施。児童と保護者ら30人がお年寄りと触れ合いながら思い出を作った。
  
 親子レクは新型コロナウイルス禍で行えずにいたが、感染症法上の位置づけが5類に引き下げられたこともあり、「子どもたちに楽しい夏の思い出を」と数年ぶりに計画した。子どもが大人たちと関わることで地域とのつながりができることをしようと考え、市地域包括支援センターに相談。同センターが、認知症対応型共同生活介護や小規模多機能型居宅介護事業を行うコンフォートライフ(松田宇善代表社員)に話を持ちかけた。
   
 会場は、同社が運営する施設「やかた」の駐車スペース。小規模多機能ホーム(定員29人)、グループホーム(同9人)、デイサービス(同3人/日)の入居者や利用者、職員ら30人ほどが子どもたちを待ち構えた。
   
子どもたちがスイカ割りに挑戦。目隠しをして臨んだ

子どもたちがスイカ割りに挑戦。目隠しをして臨んだ

   
 同センターが用意したスイカを前に、幅広のひもで目隠しした児童たち。プラスチック製の野球バットを手に3回、ぐるぐると回って、おぼつかない足取りでスイカに向かって進んだ。頼りは、友達からの「もっと右」「もう少し前」などの声。歩を止め、中腰の姿勢で力いっぱいバットを振りおろし、見事、スイカに命中すると、「おおー」と歓声と拍手が沸き起こった。
   
「そのまま真っすぐ」「はい、ストップ」。友達の声が頼り

「そのまま真っすぐ」「はい、ストップ」。友達の声が頼り

  
スイカ割りのこつは中腰。命中してもしなくても楽しい

スイカ割りのこつは中腰。命中してもしなくても楽しい

  
施設職員は方向を見失った“フリ”で利用者を驚かせたり

施設職員は方向を見失った“フリ”で利用者を驚かせたり

   
 スイカを味わった後は、花火遊びの時間。子どもたちが手持ち花火を楽しむ様子をお年寄りが見守った。5年の羽賀孔成君は、参加したくてうずうずしていた高齢男性に線香花火を手渡し、一緒にパチパチ。「喜んでもらえて良かった。やかたの前を通った時に顔を見たら、『こんにちは』と声をかけたい」と笑った。
   
手持ち花火を楽しむ子どもたち。「煙たいけどキレイだね」

手持ち花火を楽しむ子どもたち。「煙たいけどキレイだね」

  
「わー、きれい」。置き型の噴出花火は少し離れて楽しんだ

「わー、きれい」。置き型の噴出花火は少し離れて楽しんだ

   
 地域密着型の運営を目指す同施設では外部との交流行事や利用者主体で小学生の登下校を見守る「スクールガード」などを行っていたが、コロナの影響で中断。5類移行で行動制限は緩和傾向にあるが、高齢者施設での対応は変わらず続いていて、今回の交流会も悩んだという。ただ、入居者らが喜ぶ姿に、松田代表(52)は「いろいろ刺激になったようだ。この『家』からどんどん外に出て飲んだり買い物したり自由に過ごしてもらうのが理想。地域に開かれている施設として、できる形でつながりを深めていきたい」と見据えた。
   
児童とお年寄りが仲良く花火を楽しむ様子を見守る千葉地区長

児童とお年寄りが仲良く花火を楽しむ様子を見守る千葉地区長

   
 千葉地区長(47)は市臨時職員として高齢者と関わりのある業務に携わっていて、「子どもとの交流を通して高齢者に役割を見いだしてもらえたら」との期待もあった。世代を超えて夏の風物詩を堪能する様子に、ほっとした様子。「普段、地域に見守られている子どもが、今日は元気を分けられたと思う。にぎやかさが広がるような企画を続けたい」と思いを巡らせた。

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日本の夏風景戻る コロナ禍経て各地で盆踊り再開 釜石・小佐野町内会もにぎやかに

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4年ぶりに開かれた小佐野町内会の盆踊り=17日、北銀小佐野支店駐車場

 
 釜石市の小佐野町内会(佐々木喜一会長、340世帯)は17日、新型コロナウイルス感染症の影響で中止していた盆踊りを4年ぶりに再開。地域住民らが踊りや出店、抽選会などを楽しみ、久しぶりの町内会行事で交流の輪を広げた。各種制限が緩和されたこともあり人出は予想以上。休止していた町内会活動復活へ弾みをつけた。
 
 同町内会の盆踊り会場は北日本銀行小佐野支店の駐車場。12日にやぐらを設営し、16日の開催を予定していたが、夕方からの悪天候が予想されたため翌17日に延期された。町内会役員らが午前中からちょうちんを取り付けるなどし会場準備。午後6時半に開会した。
 
 小佐野コミュニティ会館を練習拠点とする釜石民謡クラブが協力し、踊りを先導。「炭坑節」「相馬盆唄」といった盆踊りの定番曲のほか、地元の「釜石小唄」で踊りを楽しんだ。大小の太鼓で盛り上げたのは、町内で病院や介護施設を運営する医療法人楽山会、社会福祉法人楽水会の職員ら4人。地域の盆踊りへの協力は長年続く。
 
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市民に親しまれる「釜石小唄」は盆踊りでも踊られる地元の定番

 
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地元の楽山会、楽水会職員は大小の太鼓で協力。子どもたちにもたたき方を教えた(右上)

 
 会場では同会館で活動するエアロビックダンスグループ・キッズDADAの発表も。幼稚園のころから活動する佐野雪乃さん(8)は「いつもと違って人がいっぱいで慣れない感じ。でもうまく踊れた」と満足げ。初めての盆踊り参加を楽しんだ。民謡クラブは三味線伴奏で「ソーラン節」「大漁唄い込み」などの歌も披露。平田いきいきサークルは「サザエさん」の歌などで簡単な振り付けを披露し、来場者と楽しんだ。
 
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元気いっぱい!!エアロビックダンスを披露するキッズDADA

 
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歌や踊りで協力した釜石民謡クラブのメンバーら

 
 辺りが暗くなり始めると来場者はどんどん増え、踊りの輪も大きくなった。子どもたちは見よう見まねで手を動かし夏の思い出づくり。曲のリズムに合わせて太鼓をたたいてみる子もいて、たくさんの笑顔が広がった。
 
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暗くなると、やぐらの周りには老若男女の踊りの輪ができた

 
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子どもたちも久しぶりの盆踊りを楽しんだ

 
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会場には多くの地域住民が訪れ、お盆の風物詩を満喫した

 
 小佐野町の四宮香蓮さん(9)は「盆踊りに来たことはあるけど踊るのは初めて。踊りは覚えれば簡単で楽しかった」と笑顔。「明日から学校が始まる。夏休み最後のいい思い出になった」と喜んだ。母実佳さん(38)は久しぶりの開催に「活気が出ていいですね。やってもらってうれしい。コロナも明けて子どももすごく楽しんでいたよう」と声を弾ませた。
 
 会場には3店の出店が並び、焼き鳥や焼きそば、かき氷などの屋台メニューを販売。地元小佐野在住で、本場中国の味を再現した「月餅」販売が人気を集める高莉莉さん(リリーズ美食工房)も初の盆踊り出店で地域との交流を深めた。地元商店会の協賛による抽選会では、1~3等で米やタオルギフト、菓子詰め合わせ、ラッキー賞25本は商品券が当たるとあって、来場者は期待しながら番号の発表を待った。
 
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夏祭り気分を上げる飲食の出店には家族連れなどが列を作った

 
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「当たるかな?」抽選会の番号発表に期待を高める来場者

 
 古くから釜石製鉄所の社宅エリアだった小佐野町では、社宅自治会単位で盆踊りを開催してきた経緯がある。21年ほど前、小佐野町内会が発足したのを機に、地元商店会との合同盆踊りがスタート。2夜の開催で、町内会員はもとより周辺の小川町、定内町などからも来場者が訪れる一大イベントとなっていた。
 
 佐々木町内会長(82)は「しばらくぶりだったが、思ったより人が集まった。今年は特にも子どもが多い印象。祖父母の家に帰省中の子もいるのかも。これからもみんなで相談しながらより楽しめる盆踊りにしていきたい」と話した。

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鵜住居地域の球友 再会に笑顔 伝統の「水野旗お盆野球」4年ぶりに快音 好・珍プレーも!?

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4年ぶりに開かれた第67回水野旗争奪お盆野球大会=14日、鵜住居町

 
 釜石市鵜住居地区の夏恒例、水野旗争奪お盆野球大会(大里芳章実行委員長)が14日、釜石東中グラウンドで開かれた。新型コロナウイルス感染症の影響で中止が続いていたが、4年ぶりに復活。大会は67回目を迎えた。あいにくの雨模様となったが、顔なじみの仲間との野球の楽しさは昔も今も変わらず。和気あいあいの試合にたくさんの笑顔が弾けた。
 
 同大会は地元の開業医だった故水野勇さん(1995年逝去)が、「戦後の青少年の健全育成に」と提案。48(昭和23)年に第1回大会が開かれて以来、今に受け継がれる。お盆中に行われることから帰省者らも数多く参加。年に一度、旧交を温め合う場になってきた。2011年の東日本大震災後、6年の中断を経て17年に復活。3年続けたところでコロナ禍に見舞われた。再び中止を余儀なくされたが、今年待望の“再復活” を果たした。
 
 今大会には鵜住居、日向、両石、箱崎、白浜の5チームが参加。中学生から社会人まで約70人が集った。1試合7回のトーナメント戦。試合中は、グラウンドのぬかるみで予想外の動きをする球にてこずったり、野球経験のある投手の速球に翻弄(ほんろう)されたり…。得点に結びつく好打が出ると、ベンチは大いに盛り上がった。ホームランが出ると記念品の贈呈も。
 
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断続的に雨が降り続く中、行われた大会。鵜住居対箱崎の一戦

 
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親睦大会でもプレーでは随所に本気がにじみ出る

 
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泥まみれもなんのその。野球の面白さは変わらず…

 
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ホームランを打った選手(右)には記念品を贈呈

 
 今大会初ホームランを放ったのは、中学、高校で野球経験のある鵜住居チームの紺野聖人さん(30)。「気持ちが乗って遠くまで飛んだ」と、笑顔でホームラン賞を受け取った。同大会には中学生時代から参加。4年ぶりの大会に「待ち遠しかった。これがないと鵜住居のお盆は盛り上がらない」と再開を喜んだ。
 
 白浜チームのベンチで、父久嗣さん(43)、兄爽汰さん(19)に声援を送ったのは鵜住居小4年の浦島光真君。「頑張っているけど、パパ、あまり打ってない…」。それでも2人がグラウンドに立つ姿は「ちょっとかっこいい」とにっこり。「中学生になったら自分も出たい」と3年後の大会を心待ちにした。「うちのチームはガチでいくよりは、みんなで楽しむ感じ。親子での参加も多い」と久嗣さん。震災後、被災地域ではコミュニティーの形成が課題となっているが、「こうしてみんなが集まって何かするというのはなかなかないので、とてもいいこと」と実感を込めた。
 
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投手は野球経験者らが中心。迫力の速球も…

 
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渾身の長打で得点につなげる選手も。仲間からは拍手喝采

 
 両石チームの瀬戸大地さん(22)は現在、東京都在住。大会参加は2回目で「顔見知りが多く、めったに会えない人たちと会えるので楽しい」と満喫。小中高と野球に親しんだ瀬戸さん。昨年、夏の高校野球で東北勢初の全国制覇を果たした仙台育英学園高の3年生メンバー洞口優人さん(釜石東中出身、富士大1年)とは小学生時代、一緒にプレーしていたといい、「甲子園出場、優勝は同じ地元としてうれしかった」と話す。岩手出身の野球選手の活躍が古里に与える効果も感じながら、「お盆野球もまちが活気づく。長く続いてほしい」と願った。
 
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渾身のフルスイングあり、おどけあり… 野球を楽しむのも全力で!!

 
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味方選手のプレーに笑みを広げる両石チーム(上段)と、ホームランに沸く白浜チーム(下段)

 
 試合開始時は小雨程度で、一時やむ時間帯もあったが、3試合目の途中で雨脚が強まり試合継続を断念。3-3の同点だった両石対白浜は、選手9人のじゃんけん対決で白浜の決勝進出。最後は、決勝で対戦するはずだった白浜と鵜住居が同じゃんけんで勝敗を決めた。
 
大会結果は次の通り
【1回戦】日向1-5白浜
【2回戦=準決勝】鵜住居5-4箱崎  両石3-3白浜(じゃんけんで白浜勝利)
【決勝】鵜住居と白浜がじゃんけんし鵜住居が優勝
【最優秀選手】小笠原忠大(鵜住居)
【優秀選手】佐々木陽聖(白浜)
 
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被災後、町中心部4地区を集約した鵜住居チームは17年の復活大会から3連覇。今回のじゃんけん決戦も制した

 
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準優勝の白浜チームは、次世代の大会を担う子どもたちが表彰を受けた

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水中花火、スターマイン…釜石港に光の大輪 3千発の花火に市民、帰省客ら歓声

名物の水中花火などで楽しませた「釜石納涼花火2023」=11日、釜石港

名物の水中花火などで楽しませた「釜石納涼花火2023」=11日、釜石港

 
 釜石市の夏の夜を彩る納涼花火2023(市、釜石観光物産協会主催)は11日、釜石港で開催された。東日本大震災犠牲者の鎮魂、まちの活性化を願い、約3千発を打ち上げ。港周辺に設けられた4つの観覧場所で市民や帰省客、観光客らが夜空を焦がす光の競演に酔いしれた。主催者によると、4カ所の人出は計約1万3千人。昨年より約3千人増えた。
 
 花火の打ち上げは、震災復興支援で釜石市とつながる秋田県大仙市の大曲の花火協同組合(小松忠信代表理事=小松煙火工業代表取締役)が担当。職人16人が来釜し、午後7時過ぎから約1時間にわたって、43のプログラムで見物客を楽しませた。
 
 震災犠牲者にささげる鎮魂の花火「白菊」からスタート。4~8号玉、スターマインの打ち上げ花火のほか、小型船が移動しながら仕掛ける水中花火が次々に繰り出された。圧巻は海面上に半円形に広がる水中花火。岸壁に陣取った客はその大きさと音の迫力に歓声を上げた。観光物産協会は今年からホームページで、全プログラムと花火のタイトルを公開。発想力豊かなネーミングも目を引いた。
 
さまざまな色彩や形の花火が見物客を魅了した

さまざまな色彩や形の花火が見物客を魅了した

 
日本製鉄の桟橋クレーンと花火の競演は釜石の花火大会おなじみの光景

日本製鉄の桟橋クレーンと花火の競演は釜石の花火大会おなじみの光景

 
海面に映る光も美しい港ならではの花火大会=港町の観覧エリアから撮影

海面に映る光も美しい港ならではの花火大会=港町の観覧エリアから撮影

 
 神奈川県横浜市の矢吹春花さん(27)は釜石にある父親の実家に帰省中。おじ、おばらと魚市場会場で花火見物を楽しんだ。「釜石の花火はコロナ前以来。今年はぜひ見たいと思って」と前日に釜石入り。「水上花火が特に良かった。夏を満喫できた」と喜び、「コロナ禍も明けてみんなで楽しめるようになってうれしい。台風もあるので14日に戻る。新幹線が動きますように」と願った。
 
 釜石市松原町の大久保友結さん(11)は浴衣姿で花火見物。「小さいのも大きいのもあって、色がとてもきれい。また見たいと思った。今日のことは絵日記に書く」と夏の思い出を心に刻んだ。父幸徳さん(41)は「いつもイオン側から見ていたが、初めて魚市場側に足を運んだ。最高でしたね。子どもたちも喜んでくれた」と満面の笑顔。コロナ禍で中止になった2020、21年の2年間は「待ち遠しかった。夏はやっぱり花火がないとね」と、盆前恒例イベントの再開を歓迎した。
 
出店は昨年同様、魚市場と港町の2カ所に設置。夕方から大勢の人でにぎわった

出店は昨年同様、魚市場と港町の2カ所に設置。夕方から大勢の人でにぎわった

 
夏の夜空を色鮮やかに染める花火。見物客は目と耳で堪能

夏の夜空を色鮮やかに染める花火。見物客は目と耳で堪能

 
子どもも大人も花火に夢中。多くの人がスマホカメラ片手に見入った

子どもも大人も花火に夢中。多くの人がスマホカメラ片手に見入った

 
 同市の花火大会は震災後、安全上の観点から観覧場所を指定して行われる。2019年からは市魚市場(魚河岸)、港町岸壁、同グリーンベルト、イオンタウン釜石屋上(港町)の4カ所を指定。コロナ5類移行で各種規制が緩和された今夏は、マスクをはずして花火を楽しむ人たちが多かった。主催者は「事故なく、多くの皆さんに楽しんでいただけた」と協力に感謝。

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カメラ持ちて宝探し 釜石の写真家・菊池賢一さん つれづれなる作品展 何気ない風景、撮りつくせば

釜石市民ホールTETTOギャラリーで作品を展示する菊池賢一さん

釜石市民ホールTETTOギャラリーで作品を展示する菊池賢一さん

  
 釜石市大町の市民ホールTETTOで開催中のギャラリー展「art at TETTO(アート・アット・テット) Vol.9 随撮(ずいさつ)」。釜石・大槌地域で活動する作家を紹介する同ホール自主事業のこの企画で、9番目に登場したのは釜石・只越町で写真店「光陽写真」を経営するフォトグラファー菊池賢一さん(53)だ。本業もさることながら、趣味としてカメラを携え被写体という宝探しを楽しむ日々。普段の何気ない暮らしの中で目に留まった風景、人々の表情などを写した約60点を展示する。20日まで、入場無料。
   
並んだ作品の多くは釜石市内の風景。でも、どこにでもある暮らしの一コマ

並んだ作品の多くは釜石市内の風景。でも、どこにでもある暮らしの一コマ

   
 賢一さんは家業が写真店だったが、「やりたいことを自由に」という環境があり、大学卒業後は臨時教諭として岩手県内で働いた。2001年、父の故・宗親さんから相談を受けて古里へ。当時はカメラ撮影がフィルムからデジタルへの移行期で、店内の機材をデジタル化に対応させ、賢一さんの担当とした。同じ時期、店が拠点となっていた愛好者グループ「釜石写光クラブ」にも入会。本格的にカメラを手にした。
   
 初めに渡されたのはコンパクトデジタルカメラだったが、クラブ会員の多くはフィルム撮影で、賢一さんも「憧れが出てきた」。まねをしながら撮影していると、「飽き足りなくなった」。工作が好きだったこともあり、レンズの代わりに針で開けた小さな穴から光を取り込んで印画紙に焼き付けるピンホールカメラの自作・撮影を開始。フィルムもだが、「どんな画が写っているか、現像してみなければ分からない不便さ、面白さ」に夢中になった。
   
 そんなアナログ・白黒の世界、ピンホールカメラの楽しさを体感できるワークショップが12日にあった。元教員・賢一さんの自由性を尊重する教えのもと、参加者は手作りカメラで遊び、特設された暗室での現像体験では画が浮かび上がってくる魔法の時間を堪能した。千葉市の本行多恵子さん(47)も「構図を決めるのが難しいけど、楽しかった。現像液につける時間のさじ加減にドキドキ、ワクワクした」と満足げだった。
   
ピンホールカメラを作って、撮って、楽しむワークショップの風景

ピンホールカメラを作って、撮って、楽しむワークショップの風景

  
ワークショップ中もカメラを手に参加者の活動を記録する賢一さん

ワークショップ中もカメラを手に参加者の活動を記録する賢一さん

  
ホール内の特設暗室。参加者が写した世界も展示に加えられた

ホール内の特設暗室。参加者が写した世界も展示に加えられた

   
 最先端技術を持つデジタルカメラは撮るとすぐに画を確認できる「速さ」がメリット。アナログは「思うように撮れないところが魅力。失敗して、気づかなかったことに気づく。偶然性が楽しい」と賢一さん。それぞれの特徴、良さを使い分けており、ギャラリー展ではそうした手段を使った作品を並べる。
   
 ところどころに付け加えられた説明文。そこには賢一さんの撮影スタイルが記されている。これがキャラリー展のタイトル「随撮」につながる。写真にはキャプションという短い説明文を添えることがあり、これを「随筆」として捉え、もじった。「筆をカメラに持ち替えてみた…みたいな」といたずらっぽく笑う。ただ、写真は「それだけで対話ができる」とも。言葉が分からずとも、画を見ただけで共感できたり、「一つの言語なのかも」とうなずく。
   
フィルム、デジタルを使い分け商用、趣味的な作品を紹介する

フィルム、デジタルを使い分け商用、趣味的な作品を紹介する

  
作品に添えられた説明文。賢一さんの写真の楽しみ方が見えてくる

作品に添えられた説明文。賢一さんの写真の楽しみ方が見えてくる

   
 グループ展などで作品を紹介することが多く、個展は“ほぼ”初めて。「せっかくの機会、少し違った雰囲気に」と作品の見せ方にひと工夫。写真は平面だが、厚さ2センチほどのパネルを貼りつけて立体感を演出したり、サイズをA3、B2、全紙、全倍、2Lとバラバラにして動きを出した。
   
 ワークショップに参加した、賢一さんをよく知る同級生、工藤理宏さん(53)は「小さい頃から人と違う見方をする。堅そうだけど柔らかくもあり、ユーモアがあるけどふざけ過ぎていない、絶妙なバランスを持っている人。その視点、人柄が写真にも出ている」と明かした。
   
「撮っている時の楽しさが伝われば」と破顔する賢一さん

「撮っている時の楽しさが伝われば」と破顔する賢一さん

   
 家業を引き継いだのは08年。そして今年、写光クラブの会長になった。宗親さんは写真や仕事に関して厳しかったというが、そんな父の姿に賢一さんは「憧れ」を抱く。何でも言い合える仲間の存在とその信頼関係もしかり。「当時は人も時代も活気にあふれていた。好きなことを楽しむ、熱量を共感する感じだった」と記憶をたどり、現在の仲間と「そんな力強さを感じる関係にたどりつく」のが目標だ。
   
 ただ、撮影スタイルは「のんびりと」。外に出る時はいつもカメラを持ち、面白いものとの出合いを楽しむ。「何気ないもの、ふと目に留まったものにレンズを向け、シャッターを切る。その感覚に酔いしれたい」。共感する趣味仲間を求めている。

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子どもだけじゃない!? 大人だって楽しむ 釜石・栗林小PTA 川遊びで見せる本気

友達と川遊びを楽しんで夏休みの思い出をつくる栗林小の子どもたち

友達と川遊びを楽しんで夏休みの思い出をつくる栗林小の子どもたち

  
 釜石市の栗林小PTA(小笠原亮会長)の親子行事「川遊び」は5日、栗林町道々橋付近の鵜住居川河川敷で行われた。夏休みの恒例行事だが、新型コロナウイルス禍で開催できない状況が続いていた。夏空の下、集える喜びに子どもも大人も大はしゃぎ。ただ、近年は夏の暑さに気を配る必要もあり、子どもたちの笑顔を広げようと温かい思いを持つ親たちは熱中症対策にも大忙しだった。
   
 栗林小(八木澤江利子校長、児童32人)の児童とPTA、教職員ら約50人が参加。水着やウエットスーツ、ライフジャケットを身に着けた子どもたちは川で泳いだり水の中の生き物を探したり、びしょぬれになりながら思い思いに遊びを満喫した。
  
道々橋そばの河川敷は子どもたちの遊び場の一つ

道々橋そばの河川敷は子どもたちの遊び場の一つ

 
何がいるかな?小さない水中生物探しを楽しむ姿も

何がいるかな?小さない水中生物探しを楽しむ姿も

   
 この行事に欠かせないものが、父親らの手づくり「いかだ」。以前はタイヤのゴムチューブとすのこ板を組み合わせた形だったが、乗り降りの時にけがの心配もあったことから、今回は発泡スチロールとビニール、ロープを使った改良版を用意。ロープを大人がコントロールし、安全に川下りを楽しめる仕様。いかだに乗った子どもたちは足をばたつかせて水をかけ合ったり、河川敷で見守る母親らに手を振ったりしていた。
  
いかだはお父さんたちの手作り。乗り心地もよさそう

いかだはお父さんたちの手作り。乗り心地もよさそう

 
いかだをコントロールする大人たちの動力は子どもの笑顔

いかだをコントロールする大人たちの動力は子どもの笑顔

   
 5年の栗澤桂人君は「ボートが一番。滑ってきついけど楽しい。水も気持ちいい」と笑顔を弾けさせた。「小学校生活最後の夏だから、みんなと川遊びができて良かった」と頬を緩めたのは6年の佐々木さやかさん。カゲロウなど水中生物をつかまえて年下の子に見せたりしていて、「自然が豊かでいいところ」と地域への愛着を深めた。
   
 この日は岩手県内に熱中症警戒アラートが発令され、教員らが気温や湿度から算出する「暑さ指数」を測定、確認しつつ実施。県教委が部活動などを中止する基準とする31度を超えなかったため、予定時間いっぱい活動を続けることができた。合間には保護者らが買い出しに行き、涼を感じる状態のスポーツドリンクやアイスで水分補給。休憩時間も設けて予防対策には熱を込めた。
  
暑さ指数を確認するなど熱中症対策にも気を配った

暑さ指数を確認するなど熱中症対策にも気を配った

   
 「大人も本気で遊ぶのがこの行事の特徴」と小笠原会長(37)。自身は魚突きもりを手に水中探索に夢中で、「子どもの頃、夏休みの水遊びといえばこの川で、アユ釣りをしたり。自然相手に遊べる機会を残したいから、大人になっても懸命に遊ぶ姿を見せたい」とちゃめっ気たっぷりに笑った。この行事は昼食にバーベキューを味わうのが定番だが、今年は熱中症だけでなく、感染症予防もあって実施を見送った。
 
子どもに負けじと大人たちも笑顔を広げた川遊び

子どもに負けじと大人たちも笑顔を広げた川遊び

  
 八木澤校長は「子どもを思う心が根づく地域。自然に親しませてもらい、ふるさとを大事に思う気持ちが育っている」と感心する。夏は水にまつわる事故を耳にすることが多くなるが、川遊び行事は危険な場所などを知る機会にもなると指摘。大人たちがしっかり準備し見守ることで、「安全を実感できただろう」と目を細めた。
   
 次にPTAの親たちが本気を見せるのは秋に予定されている同校の学習発表会「栗っ子祭り」。自分たちも楽しむことで子どもたちの笑顔を広げようと意気込んでいる。