釜石鵜住居復興スタジアムで行われたラグビーアマ代表選考会
9月にフランスで初開催される「ワールドアマチュアラグビーフェスティバル」に、日本代表としてチーム「いわて釜石ラグビーフットボールクラブ」を派遣するラグビー国際交流推進事業実行委員会(小泉嘉明会長)は11日、釜石市鵜住居町の釜石鵜住居復興スタジアムで選手選考会を行った。県内外から経験者41人が参加。体力や技術、コミュニケーション力を確認するミニゲームなどに挑んだ。
同フェスティバルは、同国で開幕するラグビーのワールドカップ(W杯)に合わせて実施。W杯出場国を中心に20カ国が参加する。会場の一つになっているのが釜石の姉妹都市ディーニュ・レ・バン市で、出場の打診があった。そこで、市や県などで同実行委を組織し、釜石と縁があることなどを条件に選手を公募。全国から47人の応募があった。
参加選手たちは実戦形式のミニゲームでアピール
この日は、釜石シーウェイブス(SW)の元選手12人を含む19歳から58歳までの経験者が参加。ランニングなどの体力、パスやタックルなどの基本スキル、スクラムやラインアウトなどポジション別スキルを確かめるテストに臨んだ。実戦形式のゲームも行い、連係を確認。「いいよ。ナイス」「ハイ!パス…こっち」などと積極的に声をかけ合いながら、それぞれ強みをアピールした。
審査員(写真右下)はさまざまな視点から参加選手の動きを確認した
昨季まで釜石SWでWTB(ウイング)として活躍した同市桜木町の会社員佐々木絃さん(25)は、高校時代の仲間から誘われて応募。「年齢層が広め。それぞれのラグビーがあり、みんなで目指すラグビーの完成度を高められたら、面白いチームになりそう」と、気持ちのいい汗を流した。メンバーに選ばれたら、「海外のアマはインパクトあるプレーが多いイメージ。日本代表としての意地を見せたい」と笑った。
「多様な考えを持つ人と作り上げるラグビーは楽しい」と佐々木絃さん(右)
トップリーグ(当時)に所属したヤマハ発動機ジュビロの選手だった池町信哉さん(34)も挑戦者の一人。東日本大震災直後に釜石SWとの復興祈願試合のために来釜して以来、毎年のようにチームで訪れていた。「ここでプレーするのは特別なこと。そして、記念すべき世界大会の日本代表。選ばれたら、恥じないプレー、釜石ここにありというプレーをしたい」と熱く語った。
ラグビー、釜石へ熱い思いを持つ池町信哉さん(右)
釜石SWの元主将で市スポーツ推進課の佐伯悠主任(38)は、チームスタッフとして選考会をサポート。楽しみながら、本気でプレーする参加者の様子に「初めて会ったのにコミュニケーションをとりながら、しっかりとしたプレーをしていた。大会が楽しみ」と頬を緩めた。限られた時間の中でチームを作り上げる難しさはあるが、「同じ方向を目指し、立ち向かってくれる仲間たち」に期待は上向き。「大会を通じて復興支援への感謝、岩手と釜石のパワーを世界に伝える」と意気込んでいる。
選考会を終え、すがすがしい表情の参加者たち
実行委では今後、書類審査(経験や経歴、釜石への愛、競技への熱意などの評価)と選考会(基礎的な技術力や判断力、適応力、協調性などの評価)を踏まえ、選手27人を選ぶ。コーチやメディカルスタッフらを合わせて選手団は35人となる見通し。メンバー決定後は、うのスタでの合宿なども行って大会に臨む。