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明かりに込める12年目の思い 根浜避難階段に竹灯籠点灯 震災追悼、“命を守る道”周知

竹灯籠の点灯が始まった根浜の避難階段=11日

竹灯籠の点灯が始まった根浜の避難階段=11日

 
 東日本大震災の津波で大きな被害を受けた釜石市鵜住居町根浜地区―。震災命日まで1カ月となった11日、地域の高台へと続く避難階段に手作りの竹灯籠が設置された。犠牲者を追悼し、防災意識を高める取り組みは今年で2年目。灯籠の明かりが“命を守る道”を温かく照らす。3月まで、土日祝日の午後4時から同7時まで点灯される(3月26日最終)。
 
 11日は午後5時から点灯式が行われ、灯籠作りに参加した家族や地域住民らが集まった。地元町内会「根浜親交会」の佐々木三男会長(61)が発電機の点灯スイッチを入れると、夕闇に光の階段が浮かび上がった。参加者らは階段を上り、高台避難を疑似体験。いざという時の行動を体で覚えた。
 
 111段の避難階段は、震災後に整備された根浜海岸観光施設「根浜シーサイド」の敷地と海抜20メートルの市道箱崎半島線をつなぐ。施設内のキャンプ場から最短で高台に上がれるルートで、2021年春に完成した。竹灯籠の設置は、同施設を管理するかまいしDMC(河東英宜社長)が発案。灯籠の製作体験会も開き、市民らと思いを共有する。今年は54個の灯籠を作り上げた。明かりのLED豆電球の電力は、地域から出る廃食油を精製したバイオディーゼル燃料で発電し、環境に配慮する。
 
午後5時からの点灯式には家族連れらが参加した

午後5時からの点灯式には家族連れらが参加した

 
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辺りが暗くなるにつれて幻想的な光景が広がる

 
 製作体験にも参加した東京都出身の永井淳子さん(40)は「すごくきれい。避難階段の周知も兼ねていると聞き、とてもいい取り組み」と感動。青年海外協力隊員の事前研修で1月から釜石市に滞在中。12年前の震災についても学び、「津波被害の大きさを知ることができた。今まで自宅周辺の避難場所も意識したことがなかったので、戻ったら確認しなければ」と防災への関心が高まった様子。
 
 根浜地区在住の男性(40)は妻、生後5か月の子どもと足を運んだ。「避難階段には日ごろから散歩で来ている」というが、竹灯籠の点灯を目にするのは初めて。美しい光景を記憶にとどめた。震災の津波で同地区にあった自宅を失い、集団移転で新たに造成された高台の団地に再建。「今は少しは安心かな…。子どもが成長したら、機会あるごとに震災のことも教えていきたい」と話した。
 
自分たちで作った竹灯籠を見つめる親子

自分たちで作った竹灯籠を見つめる親子

 
キャンプ場近くに設置されている避難階段。津波発生時の迅速な高台避難が可能

キャンプ場近くに設置されている避難階段。津波発生時の迅速な高台避難が可能

 
階段の上り口には根浜地区の津波避難場所を示す看板も立てられている

階段の上り口には根浜地区の津波避難場所を示す看板も立てられている

 
 同キャンプ場には昨年7月、区画を定めないフリーサイトもオープン。利用客が増える夏季には40~50組が滞在する可能性がある。根浜シーサイドでは利用客へ複数の避難経路を周知。竹灯籠の点灯は、地域住民や周辺の通行車両などにも避難階段の場所を知ってもらう狙いがある。

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広報かまいし2023年2月15日号(No.1802)

広報かまいし2023年2月15日号(No.1802)

 

広報かまいし2023年2月15日号(No.1802)

広報かまいし2023年2月15日号(No.1802)

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【P1】
表紙

【P2-7】
特集 ハタチの誓い

【P8-9】
新型コロナワクチン接種のお知らせ
釜石市育英会奨学生募集 他

【P10-11】
税の申告
「解決の糸口を見つけに行こう!」相談会 他

【P12-13】
令和4年度 後期地域会議を開催します
まなびぃ釜石 他

【P14-17】
まちの話題
まちのお知らせ

【P18-19】
保健案内板
保健だより

【P20】
東日本大震災津波岩手県・釜石市合同追悼式

この記事に関するお問い合わせ
釜石市 総務企画部 広聴広報課 広聴広報係
〒026-8686 岩手県釜石市只越町3丁目9番13号
電話:0193-27-8419 / Fax 0193-22-2686 / メール
元記事:https://www.city.kamaishi.iwate.jp/docs/2023021000031/
釜石市

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釜石市公式サイトと連携し、縁とらんすがピックアップした記事を掲載しています。記事の内容に関するお問い合わせは、各記事の担当窓口までお問い合わせください。
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手口を知って防御!特殊詐欺 釜石のコンビニ2店機転で防ぐ 一方で被害も

コンビニなどに配布されている特殊詐欺被害防止チェックシートを提示し注意喚起

コンビニなどに配布されている特殊詐欺被害防止チェックシートを提示し注意喚起

  
 各地で相次いだ強盗事件に絡み、特殊詐欺に関わったとして日本人4人がフィリピンから移送、逮捕された。このニュースに「決して人ごとではない」と思った人も少なくないだろう。釜石市内では昨年、特殊詐欺被害は確認されていないが、今年に入りすでに2件発生。一方、コンビニエンスストアや金融機関などが水際で被害を防ぐ例も増えていて、対応した店員や署員らは「氷山の一角」「手口を知ることが防御になる」と注意を促す。
  
 岩手県内の昨年の特殊詐欺認知件数は37件(前年比6件増)、被害額は約1億円(同812万円増)で、ともに増加。医療費返還などをかたる「還付金詐欺」、有料サイト利用料などを名目とする「架空請求詐欺」の増えているという。
   

詐欺被害、実在する団体をかたる

    
 市内では今年1月に80代男性が、通信事業者をかたる男らに約110万円をだまし取られる特殊詐欺被害(架空料金請求)が発生した。釜石署によると、6日に男性のスマートフォンへ利用料金に関するショートメールが届いたのがきっかけ。電話すると、NTT職員を名乗る男からスマホのウイルス感染と約10万円のアプリ利用料金があることを告げられた。身に覚えがなかったものの「後で返金される」との言葉もあり、金融機関のATM(現金自動預払機)から指定口座に振り込んだ。7日には日本個人データ保護協会、8日には日本ネットワークセキュリティ協会をかたる電話があり、それぞれ約50万円を振り込んだ。
   
 男性が連絡のあった団体のホームページで詐欺の注意喚起を行っていることを見つけて被害が発覚した。同署生活安全課の小田島徹課長は「実在の団体をかたる、ATMでの利用限度額ギリギリの金額を指定するなど手口は巧妙化している」と警鐘を鳴らす。
   

慌てた姿に直感

   
釜石署の前川署長(左)から感謝状を贈られた佐々木オーナー=1月31日、セブンイレブン釜石中妻町3丁目店

釜石署の前川署長(左)から感謝状を贈られた佐々木オーナー=1月31日、セブンイレブン釜石中妻町3丁目店

  
 1月下旬には市内のコンビニ2店が被害を未然防止。セブンイレブン釜石中妻町3丁目店では24日に対応事例が発生した。オーナー佐々木信也さん(51)によると、市内の60代男性が電子ギフト券20万円分を購入しようと来店。金額が高額だったことに加え、男性の慌てた様子を不審に思った佐々木さんが詐欺を疑って声をかけた。
   
 「急いで買わなければ」と繰り返す男性を事務所に案内し事情を聞くと「ウェブサイトの入会金として購入するよう指示された」などと話し、詐欺を確信した佐々木さんが説得、警察にも通報。男性は「詐欺ではない」と言い切っていたというが、署員の説明に納得して購入をやめた。
   
「お客さんの生活を守る」と気を引き締める佐々木オーナー(右)=1月31日、セブンイレブン釜石中妻町3丁目店

「お客さんの生活を守る」と気を引き締める佐々木オーナー(右)=1月31日、セブンイレブン釜石中妻町3丁目店

   
 佐々木さんは「レジ前では十分な対応は難しく、事務所で丁寧に話を聞き取ることができたのが良かった。親身になって話を聞くことが大事」と振り返った。同署から配布されている詐欺防止のチェックシートや「ギフト券の購入は1万円を超えたら声をかけるように」との対応を店内で共有しており、今回で3回目の被害防止に。「詐欺が多いなと感じている。警察の情報も聞きながら常に注意し、お客さんの生活を守りたい」と力を込めた。
    

少額でも…気づいた違和感

   
感謝状を受けたセブンイレブン釜石松原店の大久保店長(中)、店員の井戸さん(右)=2月9日、釜石署

感謝状を受けたセブンイレブン釜石松原店の大久保店長(中)、店員の井戸さん(右)=2月9日、釜石署

   
 セブンイレブン釜石松原店では30日に来店した80代男性が、店員の井戸麻美さん(28)にギフト券の分類を尋ねた。購入額は3000円だったが、理由を聞くと、すでに数枚のギフト券(未使用)を持っていて「違うと言われた」などと話した。用途が分からないまま、かたくなに買おうとする様子に詐欺を疑い、一緒に勤務していた店員が署に通報した。
   
 警察の聞き取りに、男性は「携帯電話に3億円当選とメッセージが届き、受け取るにはギフト券が必要だと言われた」などと答えたという。数日前に別のコンビニでギフト券(3000円分)を購入し、番号を伝えていて「1回やり取りをしてしまい、カモだと思われてしまった。よくあるケース」と同署。ただ、早い段階で止めてもらい、被害拡大は免れた。
   
「チームプレーで防ぐことができた」と振り返る井戸さん(左)と大久保店長=2月9日、釜石署

「チームプレーで防ぐことができた」と振り返る井戸さん(左)と大久保店長=2月9日、釜石署

   
 同店では昨年6月に被害防止の声かけ訓練を実施しており、井戸さんは「生かせた」と手応え。一方で「人によってケースは異なり、対応も違う。通報するタイミングを判断するのは難しい」と感じた。大久保隆規店長(61)は「高額の取り扱いを注意するのはもちろんだが、今回のような明らかに不審なケースにも注意したい。おかしい買い物には少額でも声がけするよう心に留め対応していく」と力を込めた。
   
 1月31日、2月9日に感謝状を贈った同署の前川剛署長は「詐欺被害は社会的に喫緊の課題であり、予断を許さない情勢。今回は適切な声掛けと親身な対応が水際の被害防止につながった。地域の安全安心のため連携は不可欠。一層の協力を」と求めた。また、被害が潜在化している恐れがあり、「金額の大小にかかわらず、心配な時は一人で抱え込まないで警察に相談してほしい」と呼びかける。

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縄文時代から近代まで 釜石の復興発掘調査、遺跡・出土品紹介 国史跡「屋形遺跡」魚のまち脈々と

復興発掘調査で明らかになった釜石の歴史を紹介する展示

復興発掘調査で明らかになった釜石の歴史を紹介する展示

 
 釜石市が、東日本大震災の復興事業に伴って2012年度以降に実施した発掘調査は16遺跡、総面積は1万7616平方メートルに及ぶ。沿岸部の人々の営みに関する新たな知見が確認され、特に高い価値が認められた唐丹町大石の「屋形遺跡」は国史跡に指定された。こうした調査の成果を発信する展示や報告会があり、多くの市民らが参加。土器など生活道具のかけら、調査風景の資料写真などから地中に埋もれていた、まちの歴史に思いをはせた。
 
報告会では発掘した16遺跡の特徴を解説した

報告会では発掘した16遺跡の特徴を解説した

 
 報告会は5日に釜石PITで開催。市文化振興課の手塚新太課長補佐が発掘調査の概要や文化財の復旧について解説した。文化財保護法では、埋蔵文化財や遺跡が見つかった土地で工事を行うには教育委員会への届け出が求められ、工事で遺跡が失われる場合は発掘調査を行って記録を残す必要がある。「市内には320近い遺跡があり、毎年少しずつ増えている」とした上で、縄文時代早期の遺跡で市内で一番古い土器が出土した下ノ沢遺跡(平田町)、平安時代の貝塚や縄文時代の集落跡などが見つかった泉沢屋敷遺跡(鵜住居町)など16遺跡の特徴をスライドで紹介した。
 
参加者は古代からつながる歴史や文化に熱視線を送った

参加者は古代からつながる歴史や文化に熱視線を送った

 
 同課文化財係の加藤幹樹主任が提供した話題は、屋形遺跡から見る「さかなのまちの起源」。漁港からの避難路整備で12年と15年に調査を実施。縄文時代中期末から後期初頭(4000~3800年前)を主体とする竪穴住居や貯蔵蔵の遺構とともに、三陸沿岸のなりわいの実態を示す貝塚が発見され、市は避難経路の計画を変更し、遺跡の保存を決めた。現在の秋田や山形に住む人々との交流を示す製品が出土し、集落と貝塚が一体となった希少な遺跡だったことから21年に国史跡となった。
 
 貝塚からはシュウリ貝やマガキなどの二枚貝、ソイやアイナメなど魚類の骨のほか、釣り針やへらなどの骨角器などが見つかり、加藤さんは「釜石の名すらなかった頃から、魚のまちだったことを証明するもの。当時の自然環境やなりわいを知る非常に珍しい事例で、縄文から変わらない豊かな海と共存する生活が今なお続いている」と遺跡の価値を強調。体験学習や見学会など史跡の価値を知る学びの場として活用していく考えを示した。
 
屋形遺跡の貝塚の一部をはぎ取ったパネルも展示

屋形遺跡の貝塚の一部をはぎ取ったパネルも展示

 
 展示は4、5日に市民ホールTETTOであり、土器、石器類(石鏃・石斧・耳飾りなど)、土偶、骨角器といった生活道具など約670点がずらり。発掘作業の様子を紹介する写真パネルも並んだ。顔のようなものが施された「人面装飾付深鉢」(縄文時代前期)は、見る方向によって異なる表情や動きが感じ取れるユニークな出土品。首飾りなどの装飾品には三陸では採れなかった「イモガイ」が使われたものもあり、古くから他地域との交流があったことをうかがい知ることができる。
 
 平安時代の炭窯跡が見られる「横瀬遺跡」(箱崎町)、奥州藤原氏の影響を示す出土品で注目される「川原遺跡」(鵜住居町)、日本で3番目の鉄道跡として貴重な文化財「釜石鉱山鉄道一ノ橋橋台跡」など特徴的な資料に来場者は興味津々。平田の鈴木晴貴さん(釜石高2年)は母校の平田小裏手にある「平田遺跡」が気になった。「何気なく暮らしている地域に、昔の人の歴史が眠っていることを初めて知った。神秘的。ロマンがある」と熱心に見入っていた。
  
歴史キャラ登場か⁉顔のようなものが施された「人面装飾付深鉢」

歴史キャラ登場か⁉顔のようなものが施された「人面装飾付深鉢」

 
来場者はずらりと並んだ出土品をじっくりと見て回った

来場者はずらりと並んだ出土品をじっくりと見て回った

  
 報告会は約90人が聴講。大槌町の阿部智子さん(47)は三陸ジオパーク推進協議会で活動していて、「屋形遺跡がジオパークの見どころの一つになるのでは。地域の歴史や文化につながる大地の話として興味深い」と感じた。災害という負の部分もあるが、復興事業で各地の発掘調査が進んだのも事実で、「震災を伝えるのも三陸ジオパークの役割。地域の歴史を物語る貴重な場所が発見されたことをプラスに捉えて紹介してほしい」と期待した。
  
展示会場では発掘作業に携わった調査員らが出土品を手に解説した

展示会場では発掘作業に携わった調査員らが出土品を手に解説した

  
 今回、展示紹介されたのは、ほんの一部の出土品。手塚さんによると、「破片などを含めると10倍はある。見てもらいたいものはまだある」と熱く語る。今後は、理解や興味を深めてもらえるよう年代別に展示するなど工夫し、発信を続けていく考えだ。
 

釜石ラーメンスタンプラリー開催のお知らせ

昨年、釜石市で撮影され、年末に完成披露上映会を開催した映画「釜石ラーメン物語」は、今春4月7日より岩手県各所にて全国公開に先駆けて先行公開をいたします。

 

プロモーション実行委員会では、映画と釜石ラーメンのPRを兼ねてスタンプラリーを2/23〜5/31の期間で実施します。豪華な賞品も準備していますので、映画も観ていただき、釜石でラーメンも食べていただきたいと思います。

 

スタンプラリーの詳細は準備が出来次第告知します。

 

 

かまリン

(一社)釜石観光物産協会

釜石市内の観光情報やイベント情報をお届けします。

公式サイト / TEL 0193-27-8172 / 〒026-0031 釜石市鈴子町22-1 シープラザ釜石

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方言の面白さ満載!釜石・遠野・青森の語り部が地元に伝わる昔話を披露 相撲甚句の演出も

2年ぶりの対面開催となった「おらほ弁で昔話を語っぺし」の出演者

2年ぶりの対面開催となった「おらほ弁で昔話を語っぺし」の出演者

 
 第9回おらほ弁で昔話を語っぺし(岩手大主催)は4日、釜石市大町の市民ホールTETTOで開かれた。同市で方言による民話の伝承活動を行う、漁火の会(会員7人)が市内に伝わる逸話を語り聞かせたほか、民話劇も披露。交流が続く遠野市、青森県八戸市の語り部もゲスト出演し、舞台を盛り上げた。会場では約100人が楽しみ、ユーチューブ配信と地元ケーブルテレビ局の生放送でお茶の間にも“おらほ弁”の魅力を届けた。
 
 昨年、絵本の読み聞かせで同イベントデビューを飾った釜石市内の小学3年生、大信田さくらさんがトップバッター。同市両石町に伝わる「長い長い綱っこ」を暗唱し、堂々の語りを見せた。「漁火の会」の7人は地元釜石のほか、遠野市などに伝わる民話を聞かせた。千葉まき子さんは旧伊達藩唐丹村で語られた「椿姫の誕生」を初披露。北村弘子さんは江戸時代から橋野地域に残る「母人形(かかじんじょ)」を語った。「じんじょ」は人形(にんぎょう)を指す方言で、主に旧南部藩域で使われてきたという。
 
漁火の会会員も期待を寄せる“小学生語り部”大信田さくらさん

漁火の会会員も期待を寄せる“小学生語り部”大信田さくらさん

 
熟練の語りで観客を民話の世界に引き込む千葉まき子さん(左)と北村弘子さん(右)

熟練の語りで観客を民話の世界に引き込む千葉まき子さん(左)と北村弘子さん(右)

 
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 ゲストは「遠野昔話語り部の会」と「八戸童話会」の4人。八戸の語り部は新型コロナウイルス禍でビデオ出演が続いていたため、釜石での生語りは3年ぶり。同会の若手ホープ木下勝貴さん、ベテラン柾谷伸夫さんが身ぶり手ぶりを交えた寸劇のような舞台を繰り広げ、観客を笑わせた。
 
表現力豊かに物語を展開する八戸童話会の柾谷伸夫さん(左)と木下勝貴さん(右)

表現力豊かに物語を展開する八戸童話会の柾谷伸夫さん(左)と木下勝貴さん(右)

 
 最後は同イベント恒例となった漁火の会の“動く民話劇”。全国区の昔話「五徳と犬」を会員の全力演技で見せた。今回はサプライズ演出も。藤原マチ子さんが、得意の“相撲甚句”で民話を表現。2人の会員と力士姿で登場し、最後は土俵入りまでやってみせた。さまざまな趣向を凝らし楽しませようとする姿に、観客は惜しみない拍手を送った。
 
漁火の会による民話劇「五徳と犬」。コミカルな演技で会場の笑いを誘った

漁火の会による民話劇「五徳と犬」。コミカルな演技で会場の笑いを誘った

 
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土俵入りや相撲甚句で楽しませた漁火の会の藤原マチ子さん(中央)

 
 同市中妻町の60代女性は友人に誘われ、初めて来場。「方言のラジオ番組が好きで、よく聞いている。身近に使っている方言もけっこうあるが、孫たちは分からない。いつか自分も書き出してみたいと思う」と刺激を受けた様子。出演者の昔話語りを直接見聞きし、「自分もちょっとやってみたくなった」と興味をそそられていた。
 
 2019年に漁火の会に入った髙橋タミさん(77)は2回目の出演で、「まだ70点ぐらいかな」と自己評価。元々、同会の“追っかけ”をしていて「いつか仲間に入りたい」と思っていた。小学校や公民館で行う出前語りにも参加していて、「みんなが楽しんでくれるのがやりがい。語り部は年をとってもできる。自分の仕事だと思って頑張っている」と生涯現役を目指す。
 
2回目の大舞台で「海の水はなぜ辛い」を語る髙橋タミさん

2回目の大舞台で「海の水はなぜ辛い」を語る髙橋タミさん

 
 同イベントは東日本大震災後の2015年にスタート。方言の保存・継承活動で地域コミュニティー再生を後押しする、文化庁「被災地における方言の活性化支援事業」の採択を受け、継続開催されてきた。同じく事業に取り組む弘前学院大が第1回から共催する。本年度は、同庁が新たな枠組みで支援する「消滅の危機にある方言の記録作成及び啓発事業」の一環として実施された。

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津波の教訓 変わらず後世へ 3年ぶり通常開催「新春韋駄天競走」で高台避難啓発

高台の仙寿院を目指し、急坂を駆け上がる「第10回新春韋駄天競走」

高台の仙寿院を目指し、急坂を駆け上がる「第10回新春韋駄天競走」

 
 「津波発生時はとにかく高台へ―」。東日本大震災の教訓を末永く未来につなぐ避難啓発行事「新春韋駄天(いだてん)競走」が5日、釜石市大只越町の日蓮宗仙寿院(芝﨑恵応住職)周辺で行われた。同寺の節分行事の一環で、通算10回目の開催。市内外から参加した41人が命を守る行動を身をもって体験した。震災発生から間もなく12年。参加者らは行事を通じて津波避難の心構えを再確認し、次世代への教訓継承へ思いを強くした。
 
 4歳から62歳までが参加。年代などで分けた6部門での実施とし、4つのグループで順に発走した。コースは只越町の消防屯所付近を出発し、津波避難場所となっている高台(標高約30メートル)の仙寿院をゴールとするもの。距離は286メートル、高低差約26メートル。途中に急カーブや傾斜のきつい坂道がある。幼児は親に手を引かれて走り、個人参加者はそれぞれのペースで必死に難坂を駆け上がった。
 
震災津波で浸水した只越町からスタート。6組12人が参加した「親子の部」

震災津波で浸水した只越町からスタート。6組12人が参加した「親子の部」

 
 新型コロナウイルス感染拡大防止のため、2021年は市内在住(通勤、通学)者に限定、22年は競走をしない任意参加の避難訓練としたため、通常方式での開催は3年ぶり。感染症の影響はまだあるため、参加者数はコロナ禍前の100人以上には及ばないものの、コース沿道に応援の家族や地域住民らが並ぶ久しぶりの光景が見られた。
 
最後の力を振り絞ってゴールに向かう参加者を盛んな拍手で応援

最後の力を振り絞ってゴールに向かう参加者を盛んな拍手で応援

 
2020年に続き、1位でゴールした山本雄太郎さん(手前)=男性34歳以下の部

2020年に続き、1位でゴールした山本雄太郎さん(手前)=男性34歳以下の部

 
もうすぐゴール!最後まで懸命に走る男性参加者

もうすぐゴール!最後まで懸命に走る男性参加者

 
 各部門の1位を「福男」「副女」などとして認定。芝﨑住職が認定書を手渡し、たすきをかけた。最後は参加者全員で海の方角を向き、震災犠牲者に黙とうをささげた。
 
 「福親子」となったのは釜石市の津田康太さん(44)と長男琉希君(7)。初参加の琉希君は「1位を取れてうれしい。来年も走る」とにっこり。昨年まで4年連続、康太さんと親子の部に参加していた姉の紗良さん(13)は中学生になり、初の単独参加。見事「福少女」に輝いた。震災時は1歳。保育園の避難で津波の難を逃れた。「津波を知らない人もいるし、経験者の記憶も薄れてきている。この行事で教訓を伝えていければ」と願う。「家の近くにも坂があり、いざという時は駆け上がって逃げれば助かると常々教えている」という父康太さん。災害の恐ろしさを伝える難しさを感じ、「機会あるごとに」と同行事へも家族参加を続ける。
 
各部門の1位「福親子」「福少女」「福少年」「福男」「福女」が勢ぞろい

各部門の1位「福親子」「福少女」「福少年」「福男」「福女」が勢ぞろい

 
 男性35歳以上の「福男」は盛岡市から初参加の太田陽之さん(36)。「最後は若干足がもつれた」と言いつつも、趣味のマラソンで鍛えた脚力で一番乗り。貴重な体験を胸に刻み、「健康で走れることに感謝。大会でもいい成績を残せれば」と幸先のいい新年に期待する。震災時、沿岸部に暮らす両親は海の近くで働いていたが、逃げて無事だった。ゴールした境内からまちを見下ろし、「津波時はとにかく高い所に逃げることが大事だとあらためて感じた」。復興関係の仕事に携わったこともあり、「震災時の経験は土砂災害など他の災害でも役立つはず」と継承の一翼を誓う。
 
 兵庫県西宮市、西宮神社の新年開門神事「福男選び」をヒントにした同行事は、釜石出身者らでつくる「釜石応援団ARAMAGI Heart(あらまぎはーと)」が発案。趣旨に賛同し、主催統括する仙寿院の芝﨑住職は「津波避難の実践練習の場。長く続け、理解が深まればありがたい。震災の風化が進む。参加した皆さまの言葉で、多くの人に避難の大切さを強く伝えてほしい」と呼び掛けた。
 
津波時の迅速な避難を呼び掛ける仙寿院の芝﨑住職(右)。参加者がその言葉を心にとどめた

津波時の迅速な避難を呼び掛ける仙寿院の芝﨑住職(右)。参加者がその言葉を心にとどめた

 
境内から海に向かって震災犠牲者に黙とう。約1カ月後には12年目の命日を迎える

境内から海に向かって震災犠牲者に黙とう。約1カ月後には12年目の命日を迎える

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古くて新しい!?釜石の未来「スチームパンク」で発信 大野晃平さん、CG作品展

TETTOで作品展「スチームパンク釜石」を開く大野晃平さん

TETTOで作品展「スチームパンク釜石」を開く大野晃平さん

 
 釜石市のイラストレーター大野晃平さん(47)=大町=の作品展「スチームパンク釜石」は、市民ホールTETTOギャラリーで開かれている。コンピューターグラフィックス(CG)を駆使し、古里の自然や文化、名所を盛り込んだ観光マップやポスター、東日本大震災をテーマにした作品などを紹介。「子どもたちにはデジタル技術を使った表現の楽しさを、年配の人たちには懐かしさを感じてもらえたら」と来場を呼びかける。
 
大観音、ラーメン…CGデザインで表現した「釜石押し」の作品が並ぶ

大観音、ラーメン…CGデザインで表現した「釜石押し」の作品が並ぶ

 
 震災後に生み出した50点を展示する。半数がB1判(72・8×103センチ)のポスター作品。釜石の街並みをデザインしたマップ風の作品はB0判(103×145・6センチ)という大きさのものもあって目を引く。スチームパンク――蒸気機関を使用した18世紀後半ごろの雰囲気を醸す作風が、かつて煙突が立ち並んだ「鉄のまち釜石」のイメージと重なる。電気的ではないが、機械仕掛けながら進化し続けてきた「可能性の未来世界」が表現され、若い世代の鑑賞者らは新しさを感じながら見入っている。
  
子どもたちをモチーフに柔らかい印象を残す小作品も紹介

子どもたちをモチーフに柔らかい印象を残す小作品も紹介

  
映画や漫画などからインスピレーションを得た作品コーナー

映画や漫画などからインスピレーションを得た作品コーナー

  
 大野さんは大学の芸術学科で油絵を学んだ後、家業を手伝うためUターン。現在は市内の事業所で働きながら、制作活動にも取り組む。岩手デザイナー協会、釜石の美術集団「サムディ45」所属。市内外の観光マップやポスター、パンフレット制作を担い、グループ展などで作品を発表している。個展は今回で2回目。
 
震災で亡くした友人への思いを込めた2連作「小佐野中学校」

震災で亡くした友人への思いを込めた2連作「小佐野中学校」

 
「生まれ変わって幸せに」との願いを込めた4連作「リインカーネーション」

「生まれ変わって幸せに」との願いを込めた4連作「リインカーネーション」

 
 震災の津波では家族が経営していた大町の着物店が被災したが、家族は無事だった。ただ、友人や知人が犠牲になったことなどもあり、「描くことに迷いを感じた時期がある。暗い色調のものも多くなった」と大野さん。「小佐野中学校」と題した2枚一組の作品は、亡くなった同級生がモチーフ。大野さんの母校でもある小佐野中は震災当時、廃校となっていたため、体育館が遺体安置所となった。作品に込めたのは「頑張っていた野球をまた友達と一緒に学校で楽しんでほしい」との願い。4連作「リインカーネーション(輪廻転生)」も犠牲者へ思いをはせた作品だ。
 
タブレットを使ったデジタル作品づくりのワークショップを開催

タブレットを使ったデジタル作品づくりのワークショップを開催

 
 期間中の3日間はワークショップを開催。手描きした下絵をパソコン上で合成、色を塗るという過程を体験してもらった。絵を描くことが大好きな佐々木陽菜さん(甲子小6年)は、デジタルアートに初挑戦。慣れない作業に大変さを感じたが、「新しいことに触れられて楽しかった」と目を輝かせた。
  
 小さい頃から絵が好きで、友達に頼まれてキャラクターの絵を描いていたという大野さん。その友達の喜ぶ顔が、今なお続く創作活動の原動力になっている。20代半ばにデジタルソフトをメインにした制作スタイルに移行したが、「これからの時代の子どもたちにはより早くその楽しさを知ってもらいたい」と考えている。パソコンやタブレットの画面上で作ったものをネット上で瞬時に発信。そんな体験を通じ、「手軽に釜石を発信してほしい」と期待する。
 
「スチームパンクKAMAISHI」(写真左)とホテルマルエのパンフレットデザイン画

「スチームパンクKAMAISHI」(写真左)とホテルマルエのパンフレットデザイン画

 
 「スチームパンクKAMAISHI」。震災後に落ち込んだ気持ちを回復させるきっかけとなった作品だ。「乗り気がしなかったことでも、やってみると新たな発見がある」と大野さん。こうした古里を描いたポスターや観光マップを作る中で寄せられたプラスの反響が、やる気と喜びを思い出させた。「好きなことだけでなく、いろんなことに挑戦したい。彫刻とか。作品作りにいい影響が出てくるはず」と信じる。
 
 同ホール自主事業「アートアットテット」の一環。12日まで。午前9時から午後9時(最終日は同4時)まで。問い合わせはTETTO(0193・22・2266)へ。
 
 

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ハートのイルミネーション、街彩る バレンタインからホワイトデーまで 釜石・青葉通り

青葉通りにお目見えした大きなハートのイルミネーション

青葉通りにお目見えした大きなハートのイルミネーション

 
 釜石市大町の青葉通りで4日、バレンタインデーに合わせたイルミネーションが始まった。発光ダイオード(LED)で彩られたハート形のオブジェ(高さ約3メートル)などがお目見え。ピンクや白、青などに輝いてロマンチックな雰囲気を醸し出している。点灯は、ホワイトデーの3月14日までを予定する。
 
 大町商店街振興組合(新里耕司理事長)が企画。同通り緑地帯(ホテルサンルート釜石前)にハートのオブジェや、雪の結晶をかたどったイルミネーションで彩られた光のトンネルなどを設置した。「かわいい」「きれい」。家路を急ぐ人たちが足を止めて見入ったり、写真を撮ったりしていた。
 
鮮やかなイルミネーションで彩られた青葉通り

鮮やかなイルミネーションで彩られた青葉通り

 
 例年クリスマスシーズンに実施してきたが、一昨年は設置後に強風で一部の電球が壊れて数日で撤去、昨年は見送った。まちなかを活性化させようと、バレンタインシーズンの飾り付けを考えていたところ、イルミネーションで地域を楽しませている小川町の藤原豊さん(69)を紹介され、協力を要請した。
  
 「派手なのが好き」と藤原さん。20年ほど前からクリスマスの時期になると自宅にイルミネーションを飾り付け、住宅街を温かく照らしている。催しの会場を光の演出で盛り上げたりすることも。そして、今回のバレンタインイルミ。まだ完成形ではなく、時間を見て電球やオブジェを増やしていく考えだ。「少しずつ変化する輝きも楽しんでほしい」。寒い日は続くが、光の光景が道行く人たちへプレゼントになることを願っている。
 
まちなかを温かく照らすイルミネーション

まちなかを温かく照らすイルミネーション

 
 新里理事長(66)も「恋人たちの憩いの場に。2人のハートで寒さを乗り越えてもらえたら」と期待。新型コロナウイルス禍で人を呼び込む取り組みはいまだ難しさも残るが、「ウィズ・コロナを見据えてできることでにぎわいを創出、地域を盛り上げていきたい」と前を向いた。
 

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認知症になっても安心な暮らしを―釜石・小佐野地区、世代を超えた見守りチーム始動

認知症の人らをチームで支える取り組みが進む小佐野地区

認知症の人らをチームで支える取り組みが進む小佐野地区

 
 釜石市は、認知症の人やその家族を見守る「認知症サポーター」らをつなぐ「チームオレンジ」を市内全地区に組織しようと取り組んでいる。昨年12月、市内2例目となる「チームオレンジ・こさの」が発足。小佐野地区で子どもたちの見守りを行うメンバーらが高齢者にも目を配り、あいさつや声かけなど既存の取り組みを生かし活動している。そして今年2月には、小佐野小児童によるジュニアチームも誕生。世代を超えた「見守り合い」で、認知症になっても住み慣れた場所で安心して暮らせる地域づくりを目指す。
 
 チームオレンジは認知症支援のために国が進める施策で、2025年までに全市町村が取り組むことを目標にしている。主な活動は高齢者への声かけや見守りで、メンバーになるにはサポーター養成講座(90分)、ステップアップ講座の受講が必要。市内では鵜住居地区が先行し、昨年7月に始動。高齢者サロンなどの活動を展開している。
 
昨年12月の結成式に集った「チームオレンジ・こさの」のメンバー

昨年12月の結成式に集った「チームオレンジ・こさの」のメンバー

 
 約4割が高齢者という小佐野地区は、認知症支援への関心が高い。19年度に養成講座を開講。小佐野小のスクールガードらでつくる「スクラム小佐野見守り隊」のメンバー90人超が受講した。新型コロナウイルス禍で追加の研修が中断されていたが、チーム立ち上げの機運が高まり、研修を受けた40人で結成にこぎつけた。昨年12月22日の結成式で、認知症支援のシンボルカラーであるオレンジ色のリストバンドとバッジを手にしたメンバーがそれぞれ独自の活動を進めている。
 

ごみ出し支援で見守り継続 向定内町内会

 
依頼された一般ごみを回収する「向定内にこにこクラブ」のメンバー

依頼された一般ごみを回収する「向定内にこにこクラブ」のメンバー

 
 向定内町内会(三浦一志会長、約220世帯)では、ごみ出し支援などをしながら独り暮らしの高齢者らを見守る「向定内にこにこクラブ」(伊東恵子代表、5人)をチームオレンジの活動に生かす。
 
 「おはようございます。今日は袋一つでいいんだね」「元気?体調は」「変わったことはない?」――。
2月2日朝、5人のメンバーは2手に分かれて活動。伊東代表(73)らが訪ねた高齢の女性宅では玄関前に置かれた一般ごみの袋を回収し、100メートルほど離れた集積所まで運んだ。女性は「いつもありがとうね。ごみ出しを代わりにしてもらえるのは助かる。年寄りに優しい町内会だ」と感謝する。
 
回収したごみ袋を集積所に運ぶメンバーら

回収したごみ袋を集積所に運ぶメンバーら

 
 同クラブは2015年に結成。高齢者らの生活支援(有償)として、今は一般ごみが週1回、資源ごみは月1回活動していて、10世帯ほどが利用する。ほかにも、庭先の草取り、ガラス磨きや電気の交換など「お助け」のニーズを聞いて、できる範囲で日常生活を支えている。
 
 「町内を歩く中で、道行く人にあいさつしたりコミュニケーションをとることを大事にしている」と伊東代表。80歳を超えて活動するメンバーもいて高齢化が気になるが、利用者から届く感謝の言葉で続けられるという。「私たちは困りごとを手助けする何でも屋。できることで、おせっかいしている」と笑う。メンバーたちも「人のためもあるけど、自分のためにもなる。運動だから」と声を合わせた。
 
「無理せず、自然体な活動を」と話す伊東代表(前列中)、三浦会長(同左)ら

「無理せず、自然体な活動を」と話す伊東代表(前列中)、三浦会長(同左)ら

 
 同町内会は、もともと孤独死防止や災害時避難困難者支援を目的に見守り体制を構築しており、その取り組みを認知症にも役立てる。三浦会長(80)は「年々、高齢の独り暮らしが増えていると感じる。日常生活の中でさりげなく様子を見る、緩やかな見守りがポイントになる。気張らず、自然な形の取り組みにし、自分たちのコミュニティーを守っていきたい」と先を見据えた。
  

「困っていたら声をかけたい」 小佐野小5年生

 
認知症のお年寄りとの接し方を寸劇から学ぶ小佐野小5年生

認知症のお年寄りとの接し方を寸劇から学ぶ小佐野小5年生

 
 チームこさのの特徴的な取り組みが、ジュニア組織の立ち上げだ。小佐野小(千葉裕之校長、児童290人)の5年生41人が2段階の講座を終えてジュニアサポーターに認定され、2月7日に「チームオレンジ・こさの ジュニア」を結成した。岩手県内の小学校では初めてで、全国でも珍しいという。
 
 1月25日、追加研修のステップアップ講座が同校であり、寸劇などを通して患者への接し方などを学んだ。「悪い例」を見た後に、適切な対応を考えて発表。▽声をかける時は驚かさないよう優しい口調でゆっくり話す▽一人で対応するが難しい時は交番や先生、生活応援センターに連れていく―などの行動を共有した。
 
困っている人を見かけた時の対応について意見を出し合う児童

困っている人を見かけた時の対応について意見を出し合う児童

 
 同校では毎年4年生が近くにある福祉施設の協力で養成講座を受け、介護や認知症について学習している。「地域の人たちにいっぱい助けられてきた。自分たちができることで地域の役に立ちたい」と具体的な活動を思案。そんな時にチームこさのが立ち上がり、互いに見守り、支え合う地域づくりの一員になることを決めた。
  
 主な活動は、登下校時などに困っている人を見かけたら手助けすること。土手樹君は「買い物をした時に困っている人を見たことがあった。今度見かけたら目線を合わせて優しく声をかけたい」と決意した。
 
 チームこさの事務局を担う小佐野地区生活応援センターの佐藤貴之所長は「孫と一緒に参加したり、話をするきっかけになるような活動になれば。より多くの人に携わってもらい、住みやすい地域づくりにつなげたい」と意義を強調した。

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地元就職促進へ企業説明会、釜石職安 高校2年生対象 仕事・未来の選択に向け情報収集

高校2年生を対象に開かれた企業説明会

高校2年生を対象に開かれた企業説明会

 
 高校2年生を対象にした企業説明会「しごと☆みらいスケッチ」(釜石公共職業安定所、釜石地域雇用開発協会主催)が1月24日、釜石市大町の市民ホールTETTOで開かれた。釜石職安管内の釜石(定時制を含む)、釜石商工、大槌、遠野緑峰の各高校から就職を希望する生徒約90人が参加。地元企業やさまざまな職種への理解を深め、就職に関する情報を収集する機会にした。
  
 食品製造、機械製造、建築・土木、医療・福祉など10事業所がブースを構え、商品や職場の写真などの展示、映像も活用しながら生徒らにアピール。会社概要や事業内容、福利厚生の説明をはじめ、若手社員が働く様子を分かりやすく伝えるなど工夫を凝らし魅力を発信した。
  
地元企業の担当者から事業内容について説明を聞く生徒ら

地元企業の担当者から事業内容について説明を聞く生徒ら

  
 津田商店(水産加工品製造販売業)総務経理課主任の藤枝大樹さん(27)は「社員の平均年齢は46歳。若い人を積極的に採用していて、元気のある皆さんに活躍してほしい」と紹介。入社2年目の神田耀人さん(24)は原料となる魚の買い付けを担当していて、「とても難しい仕事だが、先輩が丁寧に教えてくれる。やりがいを感じ、成長を実感できる。魚に詳しくなくても働きながら覚えればよく、心配は無用」と伝えた。
 
 青紀土木(土木工事業)は、インターン学生2人が高校生向けに作った会社紹介冊子を配布。ブース担当者は「高校生に近い存在の大学生、建設業を知らない女子学生の目線で、会社の良さや建設業の役割などが分かりやすくまとめてもらった。理解が深まり興味を持ってもらうことで就職につながれば」と期待していた。
  
身近に感じてもらおうと工夫を凝らした冊子でPRする会社も

身近に感じてもらおうと工夫を凝らした冊子でPRする会社も

  
 生徒らは4つのブースを回って説明に聞き入り、熱心にメモを取る姿も見られた。介護士を目指す男子生徒は「今のうちに準備しておくといいことは?」などと積極的に質問。仕事で大変だと思う場面やプライベートの過ごし方などを聞いて、働くイメージを湧かせていた。
 
 釜石商工高電気電子科の菊池太地さんは、学びを生かせる県外企業への就職を視野に入れる。地元で働く人たちの話を聞いて発見したことがいくつかあったようで、「関係がないように感じていた職種でも、身に着けたことを生かせる仕事があるのが分かった。地元もいいかも。少し揺らいでいる」と、将来への選択肢を増やした。
  
若手社員らの企業PRに耳を傾けて働くイメージを広げる高校生

若手社員らの企業PRに耳を傾けて働くイメージを広げる高校生

  
 釜石職安によると、ここ数年、地元企業への就職率は伸びているが、少子化により生徒数は減っており、企業が望む採用数を満たすのは難しい状況。そうした中で、一人でも多く地元で働いてもらおうと、同説明会を続けている。菊池勝雄所長は「地元企業と触れ合うことで高校生に地域で作られているもの、提供されるサービスを知ってもらえたら。若い時からの地道な種まきを大事にしていきたい」と話した。
 
 

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令和4年度水産・海洋研究フォーラムin釜石

令和4年度水産・海洋研究フォーラムin釜石
 
水産による教育・研究・他地域での取組みの紹介を通じて、「魚のまち釜石」復活に向けた新たな取組みの可能性を考えるため、水産・海洋研究フォーラムを開催します。

日程

開催日:令和5年2月22日(水)
時間:13時30分~

場所

国立大学法人岩手大学三陸水産研究センター(岩手県釜石市平田第3地割75-1)
※事前申し込み制、オンライン参加も可能
※会場参加40名、オンライン参加100名まで

申込方法

申込用紙に記入の上、FAX又はメールでお申し込みください。なお、申込用紙はチラシの裏面にあります。

申込方法

令和5年2月16日(木)

チラシ

令和4年度水産・海洋研究フォーラムin釜石 チラシ[PDF:575KB]

その他

新型コロナウイルスの感染状況により、内容の一部を変更又は中止する場合があります。

この記事に関するお問い合わせ
釜石市 産業振興部 水産農林課 水産振興係
〒026-8686 岩手県釜石市只越町3丁目9番13号
電話:0193-27-8427 / Fax 0193-22-1255 / メール
元記事:https://www.city.kamaishi.iwate.jp/docs/2023011300080/
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