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東北のインディアカ24チーム 初の大会開催地・釜石市で全国大会目指し熱戦

釜石市民体育館で初めて開かれた「北海道・東北ブロックインディアカ大会」=20日

釜石市民体育館で初めて開かれた「北海道・東北ブロックインディアカ大会」=20日

 
 第38回北海道・東北ブロックインディアカ大会岩手大会は20日、釜石市鵜住居町の市民体育館で開かれた。北海道・東北インディアカ協議会(吉村和武会長/山形県)が主催。本県が開催地となるのは2013年以来9年ぶり。同市は今回初めて会場に選ばれた。5県から24チーム180人が参加。来年度開催予定の第18回全日本インディアカトーナメント大会の出場権をかけ、熱い戦いが繰り広げられた。
 
 新型コロナウイルス感染症の影響で2年連続の大会中止を余儀なくされたため、待望の再開。開会式では吉村会長が選手たちを激励。釜石市スポーツ推進課の佐々木豊課長が歓迎のあいさつを述べた。地元チーム「釜石リプリーズ」の佐々木昂弥主将、昆真由好選手が選手宣誓をした。
 
バレーボールに似たスポーツ「インディアカ」

バレーボールに似たスポーツ「インディアカ」

 
 インディアカはドイツで考案されたニュースポーツ。羽根の付いた特殊なボールをネットを挟んで片手で打ち合うバレーボールに似た競技で、コートはバドミントンダブルスと同じ広さ。日本には1968年ごろオーストリアから輸入された。80年に日本協会が設立され、全国スポーツ・レクリエーション祭の種目にもなっている。
 
 今大会では男女混合、シニア女子(60歳以上)、シニア男女混合(45歳以上)の3部門で予選リーグと決勝トーナメントが行われた。上位2チームが来年度の全国大会に出場する(3位は枠があれば推薦出場)。
 
宮城、岩手から3チームが参加した「シニア女子の部」

宮城、岩手から3チームが参加した「シニア女子の部」

 
「シニア男女混合の部」には5県から6チームが参加

「シニア男女混合の部」には5県から6チームが参加

 
13チームで優勝を競った「男女混合の部」。スピード感あふれるプレーが展開された

13チームで優勝を競った「男女混合の部」。スピード感あふれるプレーが展開された

 
 市内から唯一出場の「釜石リプリーズ」は2003年に結成。全国スポレク祭に参加するため、当時の市スポーツ推進委員が中心となり立ち上げた。現メンバーは20~30代の社会人。仕事が終わった後、週1回の練習に励む。佐々木主将(29)は地元での初めての大きな大会を「楽しみにしていた。県外の強いチームとの対戦はレベルアップにもつながる」と歓迎。インディアカの魅力を「年齢や経験したスポーツなどに関係なく、すぐにチャレンジできて楽しめる。親子で競技に親しむ人もいる。ぜひ、いろいろな人に経験してほしい」と話す。
 
地元釜石から唯一出場した「釜石リプリーズ」

地元釜石から唯一出場した「釜石リプリーズ」

 
釜石は予選リーグ第1試合で柏木クラブY(青森県)と対戦

釜石は予選リーグ第1試合で柏木クラブY(青森県)と対戦

 

 
 釜石への大会誘致に尽力した市スポーツ推進委員の柏﨑洋也さん(39)=釜石リプリーズ代表=は東北の競技人口について「県によって偏りがある。岩手県はまだまだ少ないほう。愛好者を増やし、東北全体の盛り上げにつなげていきたい」と今後を見据える。同大会には前回まで約30チームが参加していたが、新型コロナの影響で競技に親しむ医療従事者などが県外に出るのを控える状況もあり、今大会はこれまでで最も少ない参加人数となった。
 
 大会結果は次の通り。
【男女混合の部】優勝=MIDC(宮城県)準優勝=日の出NEO(福島県)3位=木曜会(福島県)
【シニア女子の部】優勝=大衡ききょう(宮城県)※参加3チーム中、2チームが欠員のためオープン参加となり、入賞は1チーム
【シニア男女混合の部】優勝=スクランブルF(福島県)準優勝=栗原(宮城県)
3位=大蔵すまんすまん(山形県)
※【男子の部】は日の出メンズ(福島県)、【女子の部】はRAKUDO(山形県)のみの参加のため、両チームが全国大会に出場。

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冬に向け準備万端! 釜石で除雪機械出動式 作業員ら「安全安心な交通確保を」

除雪機械の出動に「虎舞」でエールを送る子どもたち

除雪機械の出動に「虎舞」でエールを送る子どもたち

 
 本格的な雪のシーズンに備え、国道45号や三陸沿岸道路などの安全を確保する除雪機械の安全祈願祭と出動式が24日、釜石市平田の南三陸沿岸国道事務所釜石除雪ステーションで行われた。除雪作業を請け負う同市松原町の小澤組(小澤勤社長)の社員、同事務所大船渡維持出張所の関係者ら約30人が参加。平田こども園(小松美香園長)の年長児21人が「へいたっこ虎舞」を披露し、作業の無事故を願った。
 
 大船渡維持出張所が管理するのは、国道45号が陸前高田市から大槌町の延長81キロ、三陸沿岸道路は陸前高田長部インターチェンジ(IC)―山田南IC間の72キロ。2カ所にステーションを置き、除雪トラック、グレーダー、凍結抑制剤散布車など17台の機械で除雪に当たる。
  
除雪車両をおはらいして作業の無事故を祈願した

除雪車両をおはらいして作業の無事故を祈願した

  
 安全祈願祭は小澤組が主催。業務を担う作業員、ずらりと並んだ除雪車両を神職がおはらいし、代表者らが祭壇に玉串をささげた。
 
 出動式では、主催する同事務所の五十嵐俊一所長があいさつ。「比較的降雪は少ないが、気温低下による路面凍結が発生する地域。凍結に強い対策を重点に実施し、安全に走行できる路面状況を確保したい。天候などにより昼夜問わず作業することもあるが、安心安全を心がけ、無事故で春を迎えられるようにしてほしい」と呼びかけた。
 
出動式を終え、釜石除雪ステーションを出発する除雪車

出動式を終え、釜石除雪ステーションを出発する除雪車

 
 「おしごと、がんばってください」。園児たちは、かわいらしい演舞で作業員らを激励した。同出張所の小野和栄所長から除雪機械の鍵を手渡されると、作業員らは車両を点検。子どもたちの元気な号令に合わせ、車両が出動した。
 
 小澤組の小澤二郎専務取締役は「常に気象状況を把握し、地域住民に信頼される作業を心がけ、安全な交通確保に努める」と力を込めた。
 
 同出張所では本格的な降雪シーズンに向け、スタッドレスタイヤの早期装着、チェーンの準備などの備え、滑り止め対策の徹底を呼びかけている。

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伝えたい!災害の怖さ、備えや避難の大切さ 釜石東中3年生、栗林小で防災交流会

釜石東中と栗林小の防災交流会ですごろくを楽しむ児童生徒

釜石東中と栗林小の防災交流会ですごろくを楽しむ児童生徒

 
 主体的、実践的な防災学習に力を入れる釜石市鵜住居町の釜石東中(佃拓生校長、生徒102人)の3年生41人は22日、3年間の学びの成果を伝える防災交流会を栗林町の栗林小(八木澤江利子校長、児童33人)で開いた。津波の怖さ、避難の大切さを伝えようと、手作りの紙芝居やかるた、クイズなど8つの体験プログラムを用意し、小学生に挑戦してもらった。
  
すごろくのマスに書かれたお題に沿って机の下に潜る児童ら

すごろくのマスに書かれたお題に沿って机の下に潜る児童ら

  
 小学生は用意されたプログラムから、4つを選んで体験。すごろくでは、サイコロを振り、防災や災害時対応の問いなどが書かれたマスにコマを進めた。「一人で家にいる時に地震が起こったら?」との質問には、「まず身を守る」と答え、近くにあった机の下に潜ってじっとした。実験チームは、災害時に水道が使えなくなった場合の代替策を紹介。2〜3ミリほどの穴を開けたペットボトルを水道の蛇口のように使う方法で、キャップを緩めると穴から適量の水が出て、キャップを閉めれば水が止まる様子に児童は驚いていた。
  
ペットボトルを「簡易蛇口」として使う方法を伝える実験

ペットボトルを「簡易蛇口」として使う方法を伝える実験

 
かるたチームは伝えたい思いを読み札に詰め込んだ

かるたチームは伝えたい思いを読み札に詰め込んだ

  
 「想定にとらわれるな」「確かめよう 避難経路」「軽い気持ちでのぞむな 避難訓練」。地震や津波、日常の災害への備えを分かりやすく伝えようと作られた、かるたの読み札には3年生が伝えたい思いを詰め込んだ。三陸に伝わる「てんでんこ」を題材にした紙芝居では、「津波からそれぞれが身を守って逃げなければならないが、避難する場所を決めておけば、大切な人や家族と会うことができる」と訴えた。防災バックや非常食など事前の準備を強調するプレゼンテーション、避難所生活で気を付けることなどを示したパンフレットを配布するチームもあった。
 
「避難場所を決めて家族で共有して」。紙芝居で教訓を伝える

「避難場所を決めて家族で共有して」。紙芝居で教訓を伝える

 
プレゼンチームは防災バックの重さを体験してもらった

プレゼンチームは防災バックの重さを体験してもらった

 
地震発生時や避難所での行動をまとめた防災パンフレット

地震発生時や避難所での行動をまとめた防災パンフレット

 
 5人組の戦隊ヒーロー「てんでんこレンジャー」も登場。防災について学びを深めた児童たちに「大きくなった時に周りの人を助けられるようになってほしい。一緒に未来につなげていこう」と呼び掛けた。
 
 栗林小の小笠原虹南(にいな)さん(6年)は「クイズが印象に残った。エレベーターに乗っていて地震が起きた時に全部の階のボタンを押せば、最寄りの階で停止すると初めて知った。防災についてもっと勉強して、てんでんこレンジャーのような活動に関わってみたい」と刺激を受けた。
 
地震発生時の行動などを問いかけるクイズに挑戦する児童

地震発生時の行動などを問いかけるクイズに挑戦する児童

 
笑顔で交流した小学生と「てんでんこレンジャー」

笑顔で交流した小学生と「てんでんこレンジャー」

 
 釜石東中3年生は総合的な学習の一環で、防災に関する活動を積み重ねてきた。1年生では東日本大震災時の体験を地元住民らから聞き取り、「防災だより」としてまとめ「いのちをつなぐ未来館」で展示。2年生の時には避難困難者(障害者や高齢者、乳児のいる母親など)の行動の大変さを体験したり、地域住民との意見交換会で災害時に中学生ができることを発表し、助言をもらったりした。3年生では避難所運営訓練を実施。こうした活動をまとめた集大成が交流会で、震災を知らない子が増える中で、学びを次代につなぐため実践した。
  
「逃げれば、助かる!」。写真と映像で分かりやすく伝えた

「逃げれば、助かる!」。写真と映像で分かりやすく伝えた

  
 写真・映像チームは、震災時の鵜住居小児童の避難行動を描いたアニメ動画や同校校舎3階に車が突き刺さる写真などを見せ、「津波の威力はすごいし、とても怖い。でも、しっかり逃げれば命は助かる。津波が来ると分かったら、すぐに逃げよう」と児童に語りかけた。
 
 中学3年生は震災当時、2、3歳。佐々木和哉君は揺れの怖さを記憶するが、伝えられる側の小学生はほとんどがまだ生まれていなかった。知らない世代に分かりやすく伝えられるようリアルな映像やスライドを使うなど工夫。「災害の怖さと避難の大切さを伝えられた。自分の身を守る行動、防災について考えてもらう時間にしてもらえた」と手応えを感じた。花輪祐輔君は「もう守られる立場ではない。伝える立場なので、行動に移していきたい」と背筋を伸ばした。
  
 同様の交流会は、鵜住居小でも行った。
 
 

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吟醸も純米も、釜石の酒といえば…浜千鳥! 東北清酒鑑評会でダブル受賞、3年連続

東北清酒鑑評会で優等賞を受賞した浜千鳥の社員ら

東北清酒鑑評会で優等賞を受賞した浜千鳥の社員ら

  
 釜石市小川町の酒造会社、浜千鳥(新里進社長)は2022年の東北清酒鑑評会(仙台国税局主催)吟醸酒、純米酒の2部門で優等賞を受賞した。春の全国新種鑑評会(独立行政法人酒類総合研究所主催)で金賞受賞酒の3分の1を東北6県が占め、その東北産を評価する東北鑑評会での入賞は「全国より難しい」との声もある中で、3年連続のダブル受賞。新里社長は素直に喜びつつ、「地域に根差し、個性を生かした酒造りのため材料、技術を磨いて品質向上に励んでいく」と前を向く。
  
 東北清酒鑑評会は、清酒の製造技術と品質の向上を目的に毎年秋に開かれる。21酒造年度(21年7月~22年6月)に造られた清酒が対象。6県の142製造場(岩手県17製造場)から271点(同33点)が出品された。部門別では吟醸酒が120場137点(同12場14点)、純米酒は116場134点(同14場19点)。
   
 予審を経て10月7日に仙台市青葉区の国税局で決審があり、外国人2人を含む21人の評価員(国税局鑑定官、管内の指導機関職員、製造場の技術者など)が味や香りなどを評価。吟醸酒は41製造場の43点、純米酒は44製造場の47点を優等賞に選んだ。本県からは両部門で9製造場が受賞し、浜千鳥を含む3製造場がダブル受賞となったが、最優秀賞、これに次ぐ評価員特別賞の上位入賞はなかった。
   
釜石税務署の郡晴雅署長から表彰される浜千鳥の新里進社長(左)

釜石税務署の郡晴雅署長から表彰される浜千鳥の新里進社長(左)

   
 表彰式は11月16日に同社で行われ、釜石税務署の郡晴雅署長が表彰状を伝達。新里社長、奥村康太郎杜氏(とうじ)・醸造部長が受け取り、社員らと喜びを分かち合った。インバウンド消費や輸出促進に役立ててもらうため、英語の賞状も授与された。
   
 吟醸酒の部受賞の「浜千鳥 大吟醸」、純米酒の部受賞の「浜千鳥 純米大吟醸 結の香」は、共に岩手オリジナル酵母「ジョバンニの調べ」で醸造。麹(こうじ)菌も岩手オリジナル「Roots(ルーツ)36」を使う。純米大吟醸は本県最上級のオリジナル酒米「結の香」を原料とする。東北鑑評会ではここ5年で4回がダブル受賞。新里社長は自社製品に自信を見せながら、「岩手産の良さが認められた」と県全体の評価の高まりも実感し喜びを倍増させた。
   
地域の個性を生かし造り上げた代表銘柄「浜千鳥」を紹介する新里社長(左)

地域の個性を生かし造り上げた代表銘柄「浜千鳥」を紹介する新里社長(左)

   
 東北鑑評会には、冬場に仕込み、夏場に細心の注意を払って管理、熟成させた非常にレベルの高い清酒が出品され、製造技術の優劣も評価の要素となる。郡署長は「県内には地域の特産物を使ったこだわりの酒蔵が多い。その地でとれたものをさかなに酒を飲む…幸せなこと。おいしい岩手の酒のレベルがさらに上がることを期待」と酒好きの一面をのぞかせた。
 

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第2回 かまいし百円市

第2回 かまいし百円市
 
売ってる商品はぜ~~んぶ100円の『かまいし百円市』を開催します。
リユース可能な衣類や子供用品、持て余したお中元や引き出物、ハンドメイド作品、まだまだ使えるおもちゃ、趣味やコレクションの品・・・など、全て100円のフリーマーケットです!
合言葉は「100円握ってお宝さがし!」
 

同日開催

●CINEPIT映画上映会「荒野の希望に灯をともす」
2019年、アフガニスタンで用水路建設に遭遇するなか武力勢力に銃撃され死去した医師・中村哲の足跡を追ったドキュメンタリー
場所:釜石PIT
上映時間:
① 10:00〜11:30
② 12:00〜13:30
③ 15:00〜16:30
※開場は30分前となります。
料金:一般(高校生以上)1,000円 小・中学生500円 未就学児 無料
 
●クリスマスワークショップ「松ぼっくりツリーづくり」
場所:釜石情報交流センターラウンジ
実施時間:①11:00〜 ②12:30〜
※所用40~65分程度
参加費:1,000円
参加定員:各回6名
※小学校低学年以下のお子様には保護者の方のサポートをお願いします。
申込み:
釜石情報交流センターにて参加予約を受け付けます。
受付☎︎ 0193-27-8751
※定員になり次第締切り(空きがあれば当日も受付)
※ご予約後、開始時間までにお越しいただけない場合は、キャンセル扱いとなる場合があります。

 
第2回 かまいし百円市チラシ(3.6MB/PDF)

日時

2022年12月4日(日)10:30~14:00

場所

釜石市民ホールTETTO・ホール前広場

販売商品

<出店にあたって示している一例>
・リユース可能な衣類や子供用品
・持て余してしまったお中元や引き出物の中身
・まだまだ使えるおもちゃ
・ハンドメイド作品
・ハンドメイドやDIYの素材
・趣味やコレクションの品
・端数が残ってしまったパック商品
・ダブったガチャガチャ
など

主催・お問合せ

釜石まちづくり(株)
TEL 0193-22-3607

フェリアス釜石

釜石まちづくり株式会社

釜石まちづくり株式会社(愛称 フェリアス釜石)による投稿記事です。

問い合わせ:0193-22-3607
〒026-0024 岩手県釜石市大町1-1-10 釜石情報交流センター内 公式サイト

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地元食材で「まるごと釜石給食」 試験養殖のサクラマス初登場 児童ら「おいしー!」

「まるごと釜石給食」を味わい、笑顔を広げる釜石小の3年児童

「まるごと釜石給食」を味わい、笑顔を広げる釜石小の3年児童

 
 釜石市内の全小中学校(小9・中5)で14日、地元食材を使用した「まるごと釜石給食」が提供された。地産地消、地域の農・水産業への理解促進を狙いに、市学校給食センターが実施。釜石湾での試験養殖が2年目を迎えた「釜石はまゆりサクラマス」も初めてメニューに採用された。釜石小(及川靖浩校長、児童92人)の3学年(10人)教室では市関係者4人が同席し、児童らと一緒に給食を味わった。
 
 この日の献立は▽釜石はまゆりサクラマスの塩こうじ焼き▽じゃがいものそぼろ煮▽三陸ワカメのみそ汁▽ご飯▽リンゴ▽牛乳―。地元で生産されたサクラマス、ワカメ、コメ(ひとめぼれ)、ジャガイモ、ダイコン、ハクサイ、ネギ、リンゴが使われた。釜石小3学年教室では食べる前に、市学校教育課学校給食センターの菅原良枝栄養教諭が食材について説明。「釜石のものを食べて元気に育ってほしいという地域の皆さんの願いがこもった献立です。感謝しながらよく味わって食べよう」と呼び掛けた。
 
サクラマスなど、釜石の味を楽しみにしながら給食の準備

サクラマスなど、釜石の味を楽しみにしながら給食の準備

 
食べる前に給食の献立と使われている食材について説明を受けた

食べる前に給食の献立と使われている食材について説明を受けた

 
 全員で「いただきます」と声を合わせ、昼食を開始した。給食初登場の釜石産サクラマスはほとんどの児童が初めて口にする魚。センター職員によると、今回は「うまみ、香りをシンプルに味わってもらおう」と塩こうじ焼きにしたという。小学生には40グラム、中学生には60グラムの切り身で提供された。児童らは新米のご飯とおかずを交互に口に運び、地元食材の素晴らしさを実感した。
 
黒板に掲げられた食材を確かめながら箸を進める

黒板に掲げられた食材を確かめながら箸を進める

 
初めて給食に出された釜石産サクラマスをいただく。さて、お味は?

初めて給食に出された釜石産サクラマスをいただく。さて、お味は?

 
 畝岡蓮恩君は「初めて食べたサクラマスは脂が乗っていておいしかった」と大満足。福士愛梨さんもサクラマスの味を気に入り、「釜石の海で養殖されていると聞きびっくり。もっといっぱい食べられるようになるといい」と期待した。
 
 同センターの山根美保子所長は「釜石にもおいしい農水産物があることを知ってほしい。これからも釜石産食材をできるだけ給食で提供していければ」と話す。センターでは今月11日には「鮭の日」にちなんだ給食を提供。8日の「いい歯の日」にちなみ、7日から11日まではかみごたえのある献立を取り入れ、子どもたちの食への関心を高めた。

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甲子川河川敷(上中島~五の橋間)散乱のごみ回収 釜石の環境団体 現状に心痛める

岩井町沿いの甲子川河川敷でごみを拾い集める市民ら=13日

岩井町沿いの甲子川河川敷でごみを拾い集める市民ら=13日

 
 釜石市の市民グループ「かまいし環境ネットワーク」(加藤直子代表)は13日、同市上中島町から五の橋までの区間の甲子川河川敷で、ごみの回収作業を行った。「秋の海ごみゼロウィーク2022」(環境省、日本財団主催)の全国一斉清掃キャンペーンの活動として実施。同グループが同所で清掃活動を行うのは初めてで、参加者らは多種、多量のごみが散乱する現状に心を痛めた。
 
 同グループの呼び掛けで市内外から約40人が参加。上中島2期復興公営住宅裏手から続く河川敷を歩き、五の橋までの間でごみを拾い集めた。「前から気になっていた場所」と話す加藤代表。川沿いは工場などが立ち並ぶエリアだが、歩行者は散歩する人が行き来する程度、車両の通行も多くはない。にもかかわらず、参加者を驚かせたのが土手や河川敷に散乱する多量のごみ。五の橋に近づくにつれて目に余る光景が広がった。
 
土手から河川敷一帯にさまざまなごみが散乱していた

土手から河川敷一帯にさまざまなごみが散乱していた

 
斜面の草地をかき分けてごみを拾う参加者

斜面の草地をかき分けてごみを拾う参加者

 
五の橋のたもと付近にもたくさんのごみが散乱

五の橋のたもと付近にもたくさんのごみが散乱

 
 空き缶、瓶、ペットボトル、包装ビニール、発砲スチロール、トタン片…。大型のものでは掃除機、事務機器、自転車なども。ポイ捨てをはじめ、明らかに不法投棄されたと思われるごみの数々が見つかった。小型のごみは大雨による増水で流されてきたとも考えられるが、いずれにしても人間が適切にごみ処理をしなかった結果であることは間違いない。
 
 約1時間の活動で回収されたごみは約160キロ。参加者が手にした大型ごみ袋はすぐにいっぱいになり、追加の袋に拾い集める人もいた。この日は時間の都合で全ては回収しきれず、次回に持ち越しとなった。
 
回収されたごみは材質もいろいろ

回収されたごみは材質もいろいろ

 
上中島復興住宅裏の河川敷から運び出されるごみ

上中島復興住宅裏の河川敷から運び出されるごみ

 
 「なぜ、こんな物まで」モラルを疑う大型ごみも

「なぜ、こんな物まで」モラルを疑う大型ごみも

 
 同グループの清掃活動に初めて参加した唐丹町の鈴木ひろ子さん(72)は「思った以上のごみの量。びっくりしました。宴会をやったような酒類の缶がまとまって袋に入っていたり」。心無い行為を残念がり、「まずは(自然環境に)捨てないこと。そしてごみに気が付いたら拾ってほしい」と一人一人のマナーアップを願った。
 
 地元中妻町の埜木隆司さん(79)は五の橋付近の河川敷について「対岸は山でクマも出る場所。歩く人も少ないので人目につきにくい」と説明。自身も久しぶりに歩いたが、「すごいごみだった。『自分一人ぐらいならいいや』と思って捨ててしまっているのか…」。現場は車両進入が可能で、ごみの種類によっては狙って捨てた可能性もある。「基本は自分の信念だと思うが、自然を汚す行為は絶対にやめてほしい」と話した。
 
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 川のごみは海に流れ出て、海洋環境へも影響を及ぼす。同グループは今後も川や海での清掃活動を続けていく考えで、広く市民の参加を呼び掛ける。

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世界遺産「橋野鉄鉱山」で発掘調査 三番高炉の水車場、フイゴ座、鋳造場を確認

国史跡「橋野高炉跡」発掘調査現地説明会。水車場跡に見入る見学者

国史跡「橋野高炉跡」発掘調査現地説明会。水車場跡に見入る見学者

 
 釜石市が本年度、発掘調査を行った「橋野鉄鉱山」高炉場跡、三番高炉エリアで12日、調査結果を一般に公開する説明会が開かれた。同調査は市が2018年から進める「橋野高炉跡範囲内容確認調査」の一環。三番高炉跡は1956(昭和31)年に岩手大による発掘調査が行われ、その価値が認められ、翌57(同32)年に橋野高炉跡が国史跡に指定された経緯がある。今回はその調査記録の再確認などが行われた。結果、高炉覆屋建物の規模が実証され、水車場、フイゴ座、鋳造場の痕跡も確認できた。
 
 同調査は10~11月の期間で実施。岩手大の調査記録、1892(明治25)、94(同27)年の建物記録を参考に、規模の確認を主目的とした。高炉の西側には本線水路から水を引き稼働させた水車場の記録があり、今回の発掘でもその石組みを確認。下部構造や範囲が明らかになったほか、地中からは水車場か高炉上屋の廃材とみられる木材が見つかった。水車の直径は約2メートルと推定されるという。
 
水車場の下部構造(黄丸部分)が分かる石組み

水車場の下部構造(黄丸部分)が分かる石組み

 
水車場の中から見つかった廃材(黄丸部分)

水車場の中から見つかった廃材(黄丸部分)

 
 水車の軸とつながれたフイゴは高炉に風を送る装置で、高炉北側に位置していたことが記録に残る。水車の駆動で2基の箱型フイゴが稼働していたとみられ、地中にフイゴの土台を止めるための穴が見つかった。大島高任が日本で初めて連続出銑に成功した大橋高炉では当初、西洋式の丸型足踏みフイゴが採用された。翌年に操業した橋野高炉ではより効率的に風を送れるように改良した箱型フイゴが使われ、2基の稼働で順次、風を送れる仕組みが確立された。これが橋野高炉成功の理由の一つとされる。
 
三番高炉の北側に位置する「フイゴ座跡」(黄丸部分)

三番高炉の北側に位置する「フイゴ座跡」(黄丸部分)

 
水車とフイゴをつなぐ軸の推定位置を説明(奥が水車場、手前がフイゴ座)

水車とフイゴをつなぐ軸の推定位置を説明(奥が水車場、手前がフイゴ座)

 
 今回の調査では岩手大の調査記録では分からなかった鋳造場跡が確認された。高炉の南側エリアで鋳型の外側の部材が出土。関係する木枠、砂、焼けた土も確認された。高炉石組みのすぐそばには鋳造炉、鋳型場とみられる痕跡も。文献記録によると、同高炉の出銑は1894(明治27)年6月が最後とされ、終焉(えん)ごろは銑鉄の生産よりも鉄瓶や鍋釜の鋳造が中心だったとされる。
 
三番高炉南側エリアで確認された鋳造場跡(黄線囲み部分)。鋳型片などが見つかった(左下)

三番高炉南側エリアで確認された鋳造場跡(黄線囲み部分)。鋳型片などが見つかった(左下)

 
 この他、高炉東側に位置する出銑の砂場跡の範囲、岩大調査では検出されていなかった柱穴や土坑が確認された。これらの情報をもとに検討した結果、高炉覆屋建物の規模は約57坪(約188平方メートル)と推定され、明治の記録と合致した。出土した鋳型の一部、高炉底部のれんがを含む塊など遺物は、橋野鉄鉱山インフォメーションセンターで12月8日まで公開されている。
 
高炉出銑口前の砂場範囲も確認された。左下は江戸末期の絵巻に描かれた出銑口前での作業風景

高炉出銑口前の砂場範囲も確認された。左下は江戸末期の絵巻に描かれた出銑口前での作業風景

 
インフォメーションセンターで公開されている出土品。右は耐火れんが積塊

インフォメーションセンターで公開されている出土品。右は耐火れんが積塊

 
 今回は昨年度の調査で確認できなかった土蔵跡の調査も行われた。江戸末期(1860年代前半)に描かれた高炉絵巻では御日払所の北側に板蔵、土蔵の順に並ぶ様子が見られるが、今回の調査で板蔵の東側に土蔵があったことが確認された。建物礎石が見つかり、明治の記録「6坪」と合致した。この場所には1967(昭和42)年に国史跡指定10周年を記念して日本鉄鋼連盟により東屋(休憩所)が建設されており、2018(平成30)年まで上屋が残っていた(老朽化で撤去)。
 
板蔵跡の東側で確認された土蔵跡。絵巻(左下)では板蔵の北側に描かれていた

板蔵跡の東側で確認された土蔵跡。絵巻(左下)では板蔵の北側に描かれていた

 
 調査を担当した市世界遺産課の髙橋岳主査は「水車場の石垣など遺構が良好な状態で残っていることをあらためて確認できた。この状態の良さがあったからこそ、昭和32年の国史跡指定にもつながったものと思われる。今回、鋳造の痕跡が見つかったのは新たな発見」と成果を示した。来年度は西側に位置する長屋跡の発掘調査が行われる予定。

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ラグビーのまちの小学生はつらつプレー!釜石東R杯タグラグビー大会 3年ぶりに

3年ぶりに開催された釜石東ロータリーカップ小学校対抗タグラグビー大会

3年ぶりに開催された釜石東ロータリーカップ小学校対抗タグラグビー大会

 
 釜石東ロータリーカップ2022第4回釜石市小学校対抗タグラグビー大会は13日、釜石鵜住居復興スタジアムで開かれた。釜石ラグビー応援団(中田義仁団長)が主催。市内4校から4年生以上で結成する12チームが参加し、優勝を目指して熱戦を繰り広げた。3年生以下は楕円のボールに親しみ、ラグビーの面白さを体感。2019年のラグビーワールドカップ(W杯)会場となった同スタジアムを、約140人が元気いっぱいに駆け回った。
 
 新型コロナウイルス感染症の影響で2年間の中止を経ての開催。開会式では平田小6年の三浦孝太郎君が「ラグビーのまち釜石に生きる小学生として、みんなでラグビーの楽しさを味わえることに感謝し、チームワークを大切に全力でプレーすることを誓う」と宣誓した。震災復興支援への感謝の気持ちを歌い継ぐ「ありがとうの手紙」を全員で合唱。大会が幕を開けた。
 
高らかに選手宣誓する平田小6年の三浦孝太郎君

高らかに選手宣誓する平田小6年の三浦孝太郎君

 
紅葉に囲まれたスタジアムで大会を楽しんだ児童

紅葉に囲まれたスタジアムで大会を楽しんだ児童

 
 甲子、平田小は各2チーム、小佐野、鵜住居小は各4チームを結成して出場。釜石シーウェイブス(SW)ジュニア(3~5年)の1チームがオープン参加した。2ブロックに分かれて予選リーグ(試合時間6分)を行い、それぞれ上位2チームが決勝トーナメント(前後半5分)に進んだ。選手らは仲間や家族の応援を受けながら練習の成果を発揮。相手にタグを取られないよううまくかわしたり、味方への効果的なパスなどでボールを前に進めトライを勝ち取ると喜びの笑顔を広げた。
 
腰に付けた相手タグを取るのがタックルの代わり

腰に付けた相手タグを取るのがタックルの代わり

 
年代や男女を問わずラグビーの面白さを味わえるタグラグビー

年代や男女を問わずラグビーの面白さを味わえるタグラグビー

 
 決勝は鵜住居小同士の対戦。互いの手の内を知る両チームだが、絶妙なボール運びなどで相手を寄せ付けずトライに持ち込んだ「鵜小JETS」が「鵜小マングース」を10―0で破り、優勝を手にした。鵜住居小は3位以上を独占する活躍を見せた。
 
 優勝したJETSのキャプテン千葉龍希君(6年)は「1回も負けないで優勝できた。決勝は目標の10点を取ることができてうれしい」と完全勝利に胸を張った。12月18日には県知事杯兼サントリーカップ県大会(奥州市水沢・Zアリーナ)に出場する。「今日はタグミスやトライを許すところもあったので、次の大会までに完璧にできるよう修正していきたい。優勝を目指す」と気を引き締めた。同大会には鵜住居小から4チームが出場する予定。
 
決勝は、鵜小JETS(赤ビブス)と鵜小マングース(黄同)の対戦

決勝は、鵜小JETS(赤ビブス)と鵜小マングース(黄同)の対戦

 
確実なパスなどで得点を重ねたJETS(赤)

確実なパスなどで得点を重ねたJETS(赤)

 
1~3位を独占した鵜住居小。12月の県大会出場に向け弾みをつけた

1~3位を独占した鵜住居小。12月の県大会出場に向け弾みをつけた

 
 大会に初めて参加した小佐野小の佐野友悠君(6年)は「タグラグビーは敵の防御を抜けると全力で走れるのが気持ちいい。みんなで協力してゴールまでいけるとすごく楽しいなって思う」。自身は最終学年で大会は最後となったが、後輩たちに向け「これからも協力し合って、大きい大会で優勝してほしい」とエールを送った。
 
 同大会はラグビーW杯の機運醸成を図る一環で17年に開始。年々、参加人数も増えてきていた中でコロナ禍に見舞われた。第3回大会まで釜石東ロータリークラブが主催していたが、本大会から釜石ラグビー応援団が主催を引き継いだ。市、市ラグビーフットボール協会、釜石SWRFCが全面協力するほか、市内外のボランティアが運営を支える。
 
子どもたちの健全育成、「ラグビーのまち釜石」への意識付けにつながるタグラグビー大会

子どもたちの健全育成、「ラグビーのまち釜石」への意識付けにつながるタグラグビー大会

 
 中田団長(大会長)は「2年のブランクはあったが、今回また一からスタートしたいという思いもあり、再開を決めた。子どもたちが笑顔でのびのびとプレーする姿が見られて良かった。競技を楽しんだ思い出は、ラグビーのまちへの誇り、地元愛にもつながっていくと思う。ラグビー人口の底辺拡大という意味でもさらに多くの子どもたちに参加してほしい」と願った。

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みんなで楽しもう!釜石の芸術文化 多彩な市民の力作、展示や舞台発表で発信

釜石市民の多彩な表現活動を紹介した芸術文化祭

釜石市民の多彩な表現活動を紹介した芸術文化祭

 
 第52回釜石市民芸術文化祭(市、市芸術文化協会主催)は12、13の両日、大町の市民ホールTETTOで開かれた。書道、写真、絵画、盆栽など各分野を愛好する市内の表現者たちが力作を並べ、訪れた市民らが感性豊かな作品を鑑賞した。YouTube(ユーチューブ)生配信も昨年に続いて行い、発表部門の団体が活動の成果を発信した。
 
ぬくもりある光を放つステンドグラス作品を楽しむ来場者

ぬくもりある光を放つステンドグラス作品を楽しむ来場者

 
記念切手など自慢のコレクションを公開した釜石郵趣会

記念切手など自慢のコレクションを公開した釜石郵趣会

 
 芸文協には26団体(約470人)が加盟する。展示部門には加盟団体、一般参加を合わせて17団体が出品。生け花、水墨画、切り絵、ステンドグラス、郵趣品など多彩な分野の力作が並んだ。釜石夏草俳句会(菊池義一代表、会員7人)は、日々の生活で心動かされた一瞬を切り取って詠んだ俳句を柔らかな筆致で書き上げた短冊や色紙などを紹介。俳句歴30年の濱川糸子さん(73)は「世界一短い詩で、十七文字で言い切る。なかなか難しいが、気持ちを表現できる」と魅力を語った。会員の高齢化が進み、新たな入会もなく、活動PRになればと参加。〽芸術祭 思い句に触れ 仲間入り―と期待した。
 
釜石夏草俳句会は心動かされた瞬間を詠んだ作品を並べた

釜石夏草俳句会は心動かされた瞬間を詠んだ作品を並べた

 
廃材を使ったオブジェなど個性豊かな作品がお目見えした

廃材を使ったオブジェなど個性豊かな作品がお目見えした

 
昔懐かしい風景写真などが並んだ「まちかどミニ美術館」

昔懐かしい風景写真などが並んだ「まちかどミニ美術館」

 
 特別企画として「まちかどミニ美術館(博物館)」と題した展示コーナーを用意。市内企業などが所蔵する美術品や個人的に見せたい「我が家の宝物」を紹介でき、12月からTETTOで常設展示となる予定だ。芸文祭に合わせて並んだのは、懐かしいまちの風景や人の笑顔。多くの人が足を止め、一つ一つじっくりと見入っていた。
 
色鮮やかな折り紙を使った壁掛けづくりを紹介した遠藤さん(中)

色鮮やかな折り紙を使った壁掛けづくりを紹介した遠藤さん(中)

 
 エコクラフト、色鉛筆画などの体験コーナーもあり、来場者が手作りの面白さに触れた。傾聴ボランティアとして活動する源太沢町の遠藤哲郎さん(85)は折り紙を使った壁掛けづくりを紹介。安く手軽な遊びを考え続けているという遠藤さんの丁寧な指導に触れた80代の女性は「ありがたいね。楽しさに好奇心が刺激された」と喜んだ。
 
オカリナとフルート演奏、書が融合したパフォーマンス

オカリナとフルート演奏、書が融合したパフォーマンス

 
 ステージでは5団体がダンスやバンド演奏などを披露した。釜石南高(現釜石高)の1969(昭和44)年卒業生でつくる「ふるさと復興支援グループ釜南44」(白田正行代表)は郷土愛を色濃くにじませた作品展示やイベントで芸文祭を盛り上げ、今年で6年目となる。今回は、白田代表の妻とよ子さん(66)=釜石出身、旧姓・菊池=が所属する「ライリッシュオカリナ連盟宮城県北支部・泉の杜」の演奏で釜石市民に癒やしを届けた。同グループメンバーで音楽教室を主宰する釜石の山﨑真行さんがフルートで音を重ね、仙台市在住の書家・支部蘭蹊さん(はせべ・らんけい=本名・一郎、71)が音色に合わせて書のパフォーマンスを見せる演出もあった。
 
釜石ふるさと応援大使に就任した支部さん(前列)

釜石ふるさと応援大使に就任した支部さん(前列)

 
 少年期を釜石で過ごした支部さんは今回、釜石ふるさと応援大使に就任。東日本大震災後、釜石市内の仮設住宅を回って書を届けたり、同グループの活動を通じて復興応援を続けてきた。新型コロナウイルス禍で訪問機会は減っているが、「書道は言葉を伝えるもの。勇気づけられる書を書き続けたい」と意欲。特に、子どもや若い世代に「普段着の書道」「言葉の力」を伝えていく考えだ。
 
表千家茶道こども教室の茶席では中学生がお点前を披露した

表千家茶道こども教室の茶席では中学生がお点前を披露した

 
小学生は緊張しながらもお運びを手伝い、客をもてなした

小学生は緊張しながらもお運びを手伝い、客をもてなした

 
 釜石茶道協会による呈茶もあり、来場者を和ませた。12日には、表千家成和会(互野宗哲会長)を母体に組織する実行委が実施する茶道こども教室の受講生が稽古の成果を披露。遠野愛実さん(大平中1年)と大下桜雅君(釜石中2年)が「立礼(りゅうれい)点前」を見せ、小学生がお運びを手伝った。2年目の佐々木翔空(とあ)君(小佐野小5年)は「人前でのおもてなしに緊張した。練習より上手くできて楽しかった。お点前がかっこいい。自分もできるようになりたい」と刺激を受けた。
 
 芸文協の河東眞澄会長は「芸術文化に対する市民の熱い思いが感じられる」と強調する一方、会員の高齢化などで継続する厳しさも明かす。昨年は3日間の実施だったが、今年は2日と期間を短縮。規模は縮小となっても「ひらめく芸術、きらめく文化のまちを継承するため、みんなで知恵を出し合っていきたい」と思いを巡らせた。
 

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味覚、手仕事、スポーツの秋満喫! うのすまい・トモス(釜石)で秋祭り、初開催

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うのすまい・トモスで開かれた秋祭りを楽しむ子どもたち

 
 釜石市鵜住居町のうのすまい・トモスで13日、「秋祭りwith手仕事マルシェ」(かまいしDMC主催)が初開催された。市内外のおいしいもの、ハンドメード品を販売する出店が集合。スポーツ体験などもあり、老若男女が思い思いに「~~の秋」を楽しんだ。
 
 トモス広場と鵜の郷交流館を会場に、市内外の飲食店やものづくり団体など25団体が出店。海産物の加工品やパン、麺類、焼き鳥、スイーツなど多彩なメニューを提供したり、ハンドメード雑貨や木工品、文具など幅広い商品を紹介した。
 
目の前で焼き上げられるホタテの香ばしさが食欲をそそる

目の前で焼き上げられるホタテの香ばしさが食欲をそそる

 
手作り品が並んだマルシェで品定めをする親子連れ

手作り品が並んだマルシェで品定めをする親子連れ

 
 子どもたちは、地元のラグビーチーム・釜石シーウェイブス(SW)選手との交流に大はしゃぎ。ラインアウトでのボールキャッチを体験した大人たちも「高い」「面白い」と興奮気味だった。隣接する市民体育館では本県のプロバスケットボールチーム・岩手ビッグブルズがあり、チアリーダーがダンスパフォーマンスを披露。「秀明太鼓」の演奏もあった。
 
釜石シーウェイブス選手と触れ合いを楽しむ家族連れ

釜石シーウェイブス選手と触れ合いを楽しむ家族連れ

 
岩手ビッグブルズチアリーダーのパフォーマンスを多くの人が見守った

岩手ビッグブルズチアリーダーのパフォーマンスを多くの人が見守った

 
 近くの釜石鵜住居復興スタジアムで開かれたタグラグビー大会を終えた子どもたちの姿も多数。藤原菫さん、藤原英佑君(ともに鵜住居小3年)、小川原瑛大君(同2年)はかき氷や冷たい飲み物を手に「最高」と喜んだ。いろいろな味、あふれる物や人に祭り気分を満喫。「ますます元気になる。いいね~」と笑顔を重ねた。
 
 地元の寺前ストアはソウルフード・かまだんごや草餅などを販売。計300個ほどを持ち込んだが、約30分で完売した。店主の佐々木輝幸さん(47)は「人が集まると物が動く。イベントは客を呼べる」と手応えを実感。続く新型コロナウイルス禍に加え、人口減で消費が縮小している現状に厳しい表情を浮かべる一方で、「うちの商品を楽しみにしている人も多い。細く長く商売を続けたい」と目を細めた。
 
おいしいものを買い求めて味わう人たちでにぎわった

おいしいものを買い求めて味わう人たちでにぎわった

 
 まちのにぎわい創出などを目指して企画された。うのすまい・トモス統括マネジャーの佐々学さん(43)は「子どもから高齢者まで幅広い年代が楽しめる憩いの場になれば」と期待。津波伝承施設「いのちをつなぐ未来館」もあることから、「震災を忘れない場所としての利用も広がってほしい」と願う。
 
 地域を盛り上げようと、12月4日にはクリスマスにちなんだ手作り雑貨など売り出すマーケットの開催を予定する。
 

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大学の知見をまちづくりに 「海と希望の学園祭」 釜石市・東京大連携協定記念で

「海と希望の学園祭」を太鼓演奏で盛り上げる重茂中(宮古市)の生徒

「海と希望の学園祭」を太鼓演奏で盛り上げる重茂中(宮古市)の生徒

 
 海と希望の学園祭(釜石市主催)は5、6の両日、同市大町の釜石PIT、市民ホールTETTOで開かれた。共同研究や技術開発、地域振興など各種分野で連携する同市と東京大3研究所の協定締結を記念し初めて開催。海洋研究や地域産業に関わる講演やパネル討論、楽しく海に親しむワークショップなど多彩な催しが行われ、幅広い年代が学びを深めた。
 
 同市と同大は2006年の同大社会科学研究所(社研)による「希望学」釜石調査を機につながり、東日本大震災後は「危機対応学」という新たな分野で研究連携を続けてきた。そうした実績を基に本年3月、社研、大槌町に研究施設を持つ同大大気海洋研究所、市の3者で「連携協力の推進に関する覚書」を締結。7月には、釜石港で実証試験が始まった波力発電の技術指導を行う同大先端科学技術研究センター(先端研)と市で「連携及び協力に関する協定」を締結した。
 
 記念の交流イベントとなった同祭。大気海洋研はヒトデやヤドカリ、ウニ、アメフラシなど海の生物に触れられるコーナーを開設し、来場者に生態などを教えた。中にはウニの一種ながら、硬貨のような平たい形状の「ハスノハカシパン」も。一般にはなじみのない生物で、来場者は興味深げに見入った。
 
海の生物に触れられるタッチプール。左下拡大は「ハスノハカシパン」

海の生物に触れられるタッチプール。左下拡大は「ハスノハカシパン」

 
 担当者の説明を熱心に聞いていた三浦海斗君(釜石中2年)は「いろいろな生物の特徴や生息場所を知れた。海には友だちとよく釣りに行く。今度行った時は、探してみたい」と貴重な学びを得た様子。「生き物に直接、触れられるのは面白い。これからもこういうイベントを続けてほしい」と望んだ。
 
 樹脂で作った海の生物フィギュアで注目を集めたのは大槌町のササキプラスチック(SASAMO)。魚やウニ、ホヤなどの身近な生物のほか、深海に生息する甲殻類の一種「オオグソクムシ」の大きなフィギュアがひときわ目を引いた。景品がもらえるキャスティングゲームもあり、釣りの楽しさも疑似体験できた。
 
ササキプラスチック製作海の生物フィギュアに目がくぎ付け。深海生物は重さもずっしり(右下)

ササキプラスチック製作海の生物フィギュアに目がくぎ付け。深海生物は重さもずっしり(右下)

 
 釜石海上保安部の海洋調査業務の展示、文京学院大の工作コーナー、海洋環境問題に関する映画上映も。大気海洋研との連携で「海と希望の学校」事業に取り組む重茂中(宮古市)の生徒35人は、学校で伝承する剣舞、鶏舞、魹埼太鼓を披露し、同祭を盛り上げた。
 
自分の船の位置を知るための角度測定に使う「六分儀」を体験する子ども=釜石海上保安部の展示

自分の船の位置を知るための角度測定に使う「六分儀」を体験する子ども=釜石海上保安部の展示

 
重茂中の生徒は郷土芸能「鶏舞」などを披露し、来場者を楽しませた

重茂中の生徒は郷土芸能「鶏舞」などを披露し、来場者を楽しませた

 
 講演やトークイベントは7プログラムを開催。3研究所の教授や准教授らが各種テーマで講演したほか、地元の観光や産業関係者を交えてのパネル討論などを行った。「海と希望のまち釜石~未来への船出~」をテーマとしたパネル討論には、教授3人と野田武則市長、かまいしDMCの河東英宜代表取締役が登壇。海洋環境、再生可能エネルギー、海を生かした観光、人材育成など多様な視点で意見を交わした。
 
 大気海洋研所長の河村知彦教授(海洋生態学、水産資源生物学)は海洋環境への関心喚起について「海の中は見えない。研究者が一般の人に伝え、みんなで共有していく必要がある。見えない部分に想像を働かせ、問題や可能性を見いだすことが大事」と述べた。先端研所長の杉山正和教授(再生可能エネルギーシステム)は地域におけるエネルギー政策について「資源はそれぞれ違う。画一的プランではなく、その地域ならではのロジック(論理、筋道)を作っていくことが重要。若い世代が自分たちの未来を考えるワークショップをしたり、地域の事情に合わせた展開が理想」とした。
 
5人が登壇した「海と希望のまち釜石」パネル討論。持続可能な未来へ意見を交わした

5人が登壇した「海と希望のまち釜石」パネル討論。持続可能な未来へ意見を交わした

 
パネル討論に聞き入る来場者

パネル討論に聞き入る来場者

 
 観光事業を行うDMCの河東代表取締役は「地域の魅力を生かしきれていない」との外部からの指摘に「増えている移住者の視点、地元住民の協力で魅力の掘り起こし、磨き上げ、発信に努めているところ。眠っている資源はまだまだある」と今後の可能性を示唆。野田市長は震災で発揮された防災教育の効果を例に挙げ、市民の学びの場の必要性に言及。「釜石は常に困難を乗り越えてきた歴史があるが、人口減もあり、次世代がその力を持ち続けられるかという不安もある。これからは多くの学びの中で気付きや感性を得て、課題解決に向かう力を養っていかなければならない」と話した。