甲子川河川敷(上中島~五の橋間)散乱のごみ回収 釜石の環境団体 現状に心痛める
岩井町沿いの甲子川河川敷でごみを拾い集める市民ら=13日
釜石市の市民グループ「かまいし環境ネットワーク」(加藤直子代表)は13日、同市上中島町から五の橋までの区間の甲子川河川敷で、ごみの回収作業を行った。「秋の海ごみゼロウィーク2022」(環境省、日本財団主催)の全国一斉清掃キャンペーンの活動として実施。同グループが同所で清掃活動を行うのは初めてで、参加者らは多種、多量のごみが散乱する現状に心を痛めた。
同グループの呼び掛けで市内外から約40人が参加。上中島2期復興公営住宅裏手から続く河川敷を歩き、五の橋までの間でごみを拾い集めた。「前から気になっていた場所」と話す加藤代表。川沿いは工場などが立ち並ぶエリアだが、歩行者は散歩する人が行き来する程度、車両の通行も多くはない。にもかかわらず、参加者を驚かせたのが土手や河川敷に散乱する多量のごみ。五の橋に近づくにつれて目に余る光景が広がった。
土手から河川敷一帯にさまざまなごみが散乱していた
斜面の草地をかき分けてごみを拾う参加者
五の橋のたもと付近にもたくさんのごみが散乱
空き缶、瓶、ペットボトル、包装ビニール、発砲スチロール、トタン片…。大型のものでは掃除機、事務機器、自転車なども。ポイ捨てをはじめ、明らかに不法投棄されたと思われるごみの数々が見つかった。小型のごみは大雨による増水で流されてきたとも考えられるが、いずれにしても人間が適切にごみ処理をしなかった結果であることは間違いない。
約1時間の活動で回収されたごみは約160キロ。参加者が手にした大型ごみ袋はすぐにいっぱいになり、追加の袋に拾い集める人もいた。この日は時間の都合で全ては回収しきれず、次回に持ち越しとなった。
回収されたごみは材質もいろいろ
上中島復興住宅裏の河川敷から運び出されるごみ
「なぜ、こんな物まで」モラルを疑う大型ごみも
同グループの清掃活動に初めて参加した唐丹町の鈴木ひろ子さん(72)は「思った以上のごみの量。びっくりしました。宴会をやったような酒類の缶がまとまって袋に入っていたり」。心無い行為を残念がり、「まずは(自然環境に)捨てないこと。そしてごみに気が付いたら拾ってほしい」と一人一人のマナーアップを願った。
地元中妻町の埜木隆司さん(79)は五の橋付近の河川敷について「対岸は山でクマも出る場所。歩く人も少ないので人目につきにくい」と説明。自身も久しぶりに歩いたが、「すごいごみだった。『自分一人ぐらいならいいや』と思って捨ててしまっているのか…」。現場は車両進入が可能で、ごみの種類によっては狙って捨てた可能性もある。「基本は自分の信念だと思うが、自然を汚す行為は絶対にやめてほしい」と話した。
川のごみは海に流れ出て、海洋環境へも影響を及ぼす。同グループは今後も川や海での清掃活動を続けていく考えで、広く市民の参加を呼び掛ける。
釜石新聞NewS
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