みんなで楽しもう!釜石の芸術文化 多彩な市民の力作、展示や舞台発表で発信


2022/11/21
釜石新聞NewS #文化・教育

釜石市民の多彩な表現活動を紹介した芸術文化祭

釜石市民の多彩な表現活動を紹介した芸術文化祭

 
 第52回釜石市民芸術文化祭(市、市芸術文化協会主催)は12、13の両日、大町の市民ホールTETTOで開かれた。書道、写真、絵画、盆栽など各分野を愛好する市内の表現者たちが力作を並べ、訪れた市民らが感性豊かな作品を鑑賞した。YouTube(ユーチューブ)生配信も昨年に続いて行い、発表部門の団体が活動の成果を発信した。
 
ぬくもりある光を放つステンドグラス作品を楽しむ来場者

ぬくもりある光を放つステンドグラス作品を楽しむ来場者

 
記念切手など自慢のコレクションを公開した釜石郵趣会

記念切手など自慢のコレクションを公開した釜石郵趣会

 
 芸文協には26団体(約470人)が加盟する。展示部門には加盟団体、一般参加を合わせて17団体が出品。生け花、水墨画、切り絵、ステンドグラス、郵趣品など多彩な分野の力作が並んだ。釜石夏草俳句会(菊池義一代表、会員7人)は、日々の生活で心動かされた一瞬を切り取って詠んだ俳句を柔らかな筆致で書き上げた短冊や色紙などを紹介。俳句歴30年の濱川糸子さん(73)は「世界一短い詩で、十七文字で言い切る。なかなか難しいが、気持ちを表現できる」と魅力を語った。会員の高齢化が進み、新たな入会もなく、活動PRになればと参加。〽芸術祭 思い句に触れ 仲間入り―と期待した。
 
釜石夏草俳句会は心動かされた瞬間を詠んだ作品を並べた

釜石夏草俳句会は心動かされた瞬間を詠んだ作品を並べた

 
廃材を使ったオブジェなど個性豊かな作品がお目見えした

廃材を使ったオブジェなど個性豊かな作品がお目見えした

 
昔懐かしい風景写真などが並んだ「まちかどミニ美術館」

昔懐かしい風景写真などが並んだ「まちかどミニ美術館」

 
 特別企画として「まちかどミニ美術館(博物館)」と題した展示コーナーを用意。市内企業などが所蔵する美術品や個人的に見せたい「我が家の宝物」を紹介でき、12月からTETTOで常設展示となる予定だ。芸文祭に合わせて並んだのは、懐かしいまちの風景や人の笑顔。多くの人が足を止め、一つ一つじっくりと見入っていた。
 
色鮮やかな折り紙を使った壁掛けづくりを紹介した遠藤さん(中)

色鮮やかな折り紙を使った壁掛けづくりを紹介した遠藤さん(中)

 
 エコクラフト、色鉛筆画などの体験コーナーもあり、来場者が手作りの面白さに触れた。傾聴ボランティアとして活動する源太沢町の遠藤哲郎さん(85)は折り紙を使った壁掛けづくりを紹介。安く手軽な遊びを考え続けているという遠藤さんの丁寧な指導に触れた80代の女性は「ありがたいね。楽しさに好奇心が刺激された」と喜んだ。
 
オカリナとフルート演奏、書が融合したパフォーマンス

オカリナとフルート演奏、書が融合したパフォーマンス

 
 ステージでは5団体がダンスやバンド演奏などを披露した。釜石南高(現釜石高)の1969(昭和44)年卒業生でつくる「ふるさと復興支援グループ釜南44」(白田正行代表)は郷土愛を色濃くにじませた作品展示やイベントで芸文祭を盛り上げ、今年で6年目となる。今回は、白田代表の妻とよ子さん(66)=釜石出身、旧姓・菊池=が所属する「ライリッシュオカリナ連盟宮城県北支部・泉の杜」の演奏で釜石市民に癒やしを届けた。同グループメンバーで音楽教室を主宰する釜石の山﨑真行さんがフルートで音を重ね、仙台市在住の書家・支部蘭蹊さん(はせべ・らんけい=本名・一郎、71)が音色に合わせて書のパフォーマンスを見せる演出もあった。
 
釜石ふるさと応援大使に就任した支部さん(前列)

釜石ふるさと応援大使に就任した支部さん(前列)

 
 少年期を釜石で過ごした支部さんは今回、釜石ふるさと応援大使に就任。東日本大震災後、釜石市内の仮設住宅を回って書を届けたり、同グループの活動を通じて復興応援を続けてきた。新型コロナウイルス禍で訪問機会は減っているが、「書道は言葉を伝えるもの。勇気づけられる書を書き続けたい」と意欲。特に、子どもや若い世代に「普段着の書道」「言葉の力」を伝えていく考えだ。
 
表千家茶道こども教室の茶席では中学生がお点前を披露した

表千家茶道こども教室の茶席では中学生がお点前を披露した

 
小学生は緊張しながらもお運びを手伝い、客をもてなした

小学生は緊張しながらもお運びを手伝い、客をもてなした

 
 釜石茶道協会による呈茶もあり、来場者を和ませた。12日には、表千家成和会(互野宗哲会長)を母体に組織する実行委が実施する茶道こども教室の受講生が稽古の成果を披露。遠野愛実さん(大平中1年)と大下桜雅君(釜石中2年)が「立礼(りゅうれい)点前」を見せ、小学生がお運びを手伝った。2年目の佐々木翔空(とあ)君(小佐野小5年)は「人前でのおもてなしに緊張した。練習より上手くできて楽しかった。お点前がかっこいい。自分もできるようになりたい」と刺激を受けた。
 
 芸文協の河東眞澄会長は「芸術文化に対する市民の熱い思いが感じられる」と強調する一方、会員の高齢化などで継続する厳しさも明かす。昨年は3日間の実施だったが、今年は2日と期間を短縮。規模は縮小となっても「ひらめく芸術、きらめく文化のまちを継承するため、みんなで知恵を出し合っていきたい」と思いを巡らせた。
 

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