「復興の火」に点火する達増知事=22日、宮古駅前で

「復興の火」被災地照らす、ゆらめく炎に東京五輪の成功願う〜三鉄で宮古から釜石へ、さらに「SL銀河」で花巻へ

「復興の火」に点火する達増知事=22日、宮古駅前で

「復興の火」に点火する達増知事=22日、宮古駅前で

 

 東京五輪の聖火を東日本大震災の被災地に展示する「復興の火」が22、23の両日、本県をめぐった。22日は、20日に運行を再開したばかりの三陸鉄道で宮古から釜石駅までの鉄路を縦断。釜石からはJR東日本が釜石線で運行する「SL銀河」にリレーし、花巻駅までを巡回した。沿線の住民らは、ゆらめく炎に五輪の成功を願い、震災からの復興完遂へ思いを重ねた。 

 

 出発式典は宮古市栄町の宮古駅前で行われ、地元住民ら約500人が震災犠牲者に黙とうをささげた。達増拓也知事は「復興への歩みはたゆまず進んでいる。国内外からの支援への感謝、復興への誓いをこの火に込め、岩手から送り出す」と宣言し、聖火皿に点火。その後、ランタンに移した火を三鉄の特別列車で運んだ。

 

 聖火は宮古駅を皮切りに、陸中山田駅、大槌駅、釜石駅、上有住駅、遠野駅、花巻駅の駅前7カ所で展示。小雨模様の中、各地で住民らが大漁旗や小旗を振って歓迎し、家族連れなどが列をつくって記念撮影した。

 

聖火のランタンを受け取り、「SL銀河」に託す野田市長=釜石駅で

聖火のランタンを受け取り、「SL銀河」に託す野田市長=釜石駅で

 

 釜石駅には午前11時ごろ到着。駅前の「復興の鐘」の下に置かれた聖火を撮影しようと並ぶ家族連れなど長い列ができた。

 

 6月18日に釜石市で予定される聖火リレーのランナーに決まっている三上雅弘さん(56)=北九州市任期付職員=は「復興の火」の前で妻真江子さん(58)と仲良く記念撮影。「新型コロナウイルス感染拡大で聖火リレーができるかどうか心配」としながらも、「この火が震災で被災した東北各地をめぐると思うと感慨深い。この手でしっかりと勇気をつなぎたい」と力を込めた。

 

 小佐野小を卒業し来月から釜石中に進む宮本一輝君(12)は「聖火はもっと大きなものかと思っていた」としながらも、「コロナに負けず、みんなを元気にしてほしい」と願いを込める。妹の聖良さん(10)は「この目で聖火が見られるのは一生に一度。すごく楽しみにしていた」と声を弾ませた。

 

感染が広がる新型コロナウイルス防止のため記念写真におさまる家族連れもマスク姿で

感染が広がる新型コロナウイルス防止のため記念写真におさまる家族連れもマスク姿で

 

 家族4人で足を運んだ赤坂柊馬君(平田小6年)と弟の瑛丈君(同4年)は「『復興の火』という名前がすごい。小さな炎だけど見られて良かった」と口をそろえる。盛岡市に単身赴任している父敦史さん(40)は「初めてオリンピックを身近に感じることができた。前回の東京五輪が行われたのは私が生まれる前。大イベントをこうして体感できる子どもたちがうらやましい」と目を細めた。

 

 西東京市から駆け付けた会社員辻本一夫さん(56)と妻由加里さん(56)は「SL銀河」の大ファン。毎年1回は本県に足を運び、SLの旅を楽しんでいる。「来るたびに被災地の復興を感じる。今回は五輪の火と記念撮影できてラッキー」と喜んだ。

 

 釜石駅前からホームに運ばれた聖火をSLの乗務員に託した野田武則市長は「小雨模様の中、こんなに多くの人が集まり、東京五輪への関心の高まりを感じた。コロナウイルスに打ち勝ち、成功してほしい」と願った。

 

(復興釜石新聞 2020年3月25日発行 第878号より)

 

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沿線自治体の首長も、大きな期待を込めて祝いのくす玉を披露した

三鉄復活 全線運行再開、台風被害から5ヵ月〜沿線住民 笑顔で祝福、不屈のマイレールにエール

沿線自治体の首長も、大きな期待を込めて祝いのくす玉を披露した

沿線自治体の首長も、大きな期待を込めて祝いのくす玉を披露した

 

 昨年10月の台風19号による豪雨で線路路盤の流失など甚大な被害を受けた第三セクターの三陸鉄道(本社・宮古市、中村一郎社長)は、最後の不通区間となっていた陸中山田―釜石間の復旧を終え、20日、5カ月ぶりとなる全線運行を再開した。東日本大震災後、JR山田線宮古―釜石間の移管で、全長163キロの三鉄リアス線(久慈―盛)として再出発した鉄路が待望の復活を遂げ、沿線住民から大きな祝福を受けた。

 

三陸の大動脈再出発

 

 陸中山田駅で行われた記念列車の出発式は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため規模を縮小して開催。中村社長が全国からの復旧支援に感謝し、「これからも人と人、地域と地域をしっかりつないでいくことを誓う」と運行再開を宣言した。達増拓也県知事は「三陸復興の未来を描く原動力、沿岸地域交通の大動脈として重要な役割を果たしていきたい」とあいさつ。記念列車の運転士と車掌に花束が贈られ、テープカット、くす玉開披。記念のヘッドマークを取り付けた列車は午後12時45分、佐藤信逸山田町長の出発合図、地元住民らの見送りでホームを滑り出した。

 

 山田町大沢の会社員箱石大樹さん(45)、妻紗代子さん(41)は長男航希ちゃん(1歳3カ月)と駅舎に隣接する「ふれあいセンターはぴす」の図書館を訪れ、偶然に出発式のにぎわいに出会った。大樹さんは昨年3月の全線開通を契機に、家族で陸中山田駅から南の盛駅、2カ月後に北の久慈駅までを往復し、沿線の風景を楽しんだ。

 

 「普段は道路を使うが、車は移動手段。鉄道で見える風景は違う。震災で鉄道が止まり、バス輸送が続いた。通勤や通学、観光で利用する方には運行再開はうれしいこと」と大樹さん。子どもを抱いて再開列車の出発を見送った。

 

 強風の中で10本の大漁旗を振り続けたのは山田町商工会青年部(松本龍太部長)と岩手銀行山田支店(高村智典支店長)の「コラボ連」。旗は三陸山田漁協から借り受け、約8メートルの青竹に結んだ。まちのにぎわいづくりに積極的に取り組み、祭りにも参加する高村支店長は「三鉄の再開を待望していた。近隣の宮古、大槌などとの交流人口も持ち直すだろう」と期待を込めた。

 

横断幕掲げ 小旗振り、観光客招致にも大きな期待

 

手作りの三鉄応援手旗などを振り歓迎する沿線住民

手作りの三鉄応援手旗などを振り歓迎する沿線住民

 

 お座敷列車を先頭にした3両編成の記念列車には、来賓と報道関係者約60人が乗車。釜石駅まで運行予定だったが、強風のため、岩手船越駅以南は運行を断念。出発から2駅までの運行となったが、沿線住民らが大漁旗や横断幕、手旗などで列車を迎え、震災、台風と2度の困難を乗り越えた三鉄に熱いエールを送った。

 

 同駅に家族4人で駆け付けた佐々木純子さん(45)は「子どもたちは三鉄を見かけると必ず手を振っている。再開は大きな喜び。企画列車にも乗ってみたい」と笑顔。

 

 駅前で商店を営む佐賀祐司さん(67)によると、国鉄山田線時代の1970年ごろまで、同駅の近くには駅員宿舎や保線区官舎もあったという。宮古、釜石への通学、通勤客でも活気があった。

 

 佐賀さんは「列車の音が聞こえれば、華やかになる。震災から去年までは寂しかった。震災後の復旧もそうだが、全線を再開させた三陸鉄道はすごい。沿線の気持ちを盛り上げてくれる」とエールを送った。

 

 大槌町の「三陸花ホテルはまぎく」の社員らは最寄りの浪板海岸駅で記念列車を歓迎する予定だったが、運行短縮の知らせを聞き、急きょ岩手船越駅に移動。安藤華奈美さん(24)は「新型コロナの影響で団体客のキャンセルも出ている。落ち着いたら、ぜひ三鉄を利用し、多くの方に三陸観光に来てほしい」と願った。

 

 全線再開を祝おうという人たちは県外からも。埼玉県の川越東高1年千葉裕斗君(16)は、織笠―岩手船越間で記念列車を写真に収めた。鉄道が好きで各地に足を運ぶ千葉君は、昨年のリアス線開通時に沿線の歓迎ぶりを見て、「地元から愛されている路線」と実感。母親の実家が山田町田の浜にあり、JR山田線時代から何度も同路線を利用しているといい、「三鉄の魅力をもっと知ってもらって、たくさんの人でにぎわってほしい」と今後に期待を寄せた。

 

(復興釜石新聞 2020年3月25日発行 第878号より)

 

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“コロナウイルスに負けない弁当”をほおばる児童をやさしく見守る麻生専務(中)

「鵜っ子弁当」で支援、栄養満点 子どもらに笑顔〜麻生三陸 釜石工場、コロナ影響 学童クラブへ無償提供

“コロナウイルスに負けない弁当”をほおばる児童をやさしく見守る麻生専務(中)

“コロナウイルスに負けない弁当”をほおばる児童をやさしく見守る麻生専務(中)

 

 新型コロナウイルス感染症拡大に伴う臨時休校の影響を受ける児童や保護者を応援しようと、釜石市片岸町で冷凍加工食品を製造する麻生三陸釜石工場(本社・神奈川県藤沢市、麻生政雄社長)は17日から、鵜住居学童育成クラブに特製の「鵜(うの)っ子弁当」の無償提供を始めた。心待ちにしていた児童は、「おいしい」と笑顔で平らげた。弁当は4月2日までの火・木曜日6日間、メニューを変えながら届けられる。

 

 17日昼前、同工場の麻生昭彦専務らが鵜住居小に併設される同クラブに32食を届けた。児童はテーブルを並べ、弁当を受け取ると、さっそく口に運んだ。メニューはポークジンジャー、肉シューマイ、インゲンとニンジンのソテー、マーボーナスなどに、オレンジ、プチトマト。麻生専務は児童の席を巡り、味やボリュームなど感想を聞いた。

 

 佐々木蒔友(まきと)君(鵜住居小4年)は「お母さんの弁当もおいしいけど、これもいい。全部食べた。クラブでは中で過ごすことが多い。時々鬼ごっこもする。もっと外で遊びたい」と、ややエネルギーを持て余している様子。金野琥珀君(同3年)は弟の天河君(同1年)とクラブに通う。「肉が好きだから、気に入った。サッカー、水泳と空手をやる。量はちょうどいい」と満足した。

 

 同工場は釜石市の誘致企業として2017年5月に稼働。おせち、弁当、通販サイトアマゾン、ふるさと納税の返礼品、最近は白金豚と遠野ホップを使った地場原料の製品を作っている。従業員は25人。

 

 麻生専務によると、児童を持つ女性従業員から臨時休校の影響を聞いており、工場内で応援を検討。得意の製造技術を生かす弁当を地元の学童育成クラブに無償で届けることを決めた。

 

 同クラブの登録児童は約60人。木村宏子主任児童厚生員によると、臨時休校中は5年生以下の30人ほどが利用する。弁当は事前に献立が知らされ、アレルギー表示も行う。学童クラブは弁当の希望者を集計し、麻生に連絡する。初日は29人が希望し、食品アレルギーがある1人を含む児童3人は弁当を持参した。

 

 麻生専務は「工場のスタッフが熱心に取り組んだ。味付けも子どもに合うよう工夫した。6日間だけの活動だが、今後も地域のためにできる貢献を考えたい」と意欲をみせた。

 

(復興釜石新聞 2020年3月18日発行 第876号より)

 

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豪州−釜石 友好を切手で発信〜日本郵便東北支社 オリジナルシート贈る、五輪交流 機運醸成

豪州−釜石 友好を切手で発信〜日本郵便東北支社 オリジナルシート贈る、五輪交流 機運醸成

野田市長にフレーム切手を贈った川畑局長(中央)、八重樫局長(右から2人目)、澤口局長(右)

野田市長にフレーム切手を贈った川畑局長(中央)、八重樫局長(右から2人目)、澤口局長(右)

 

 日本郵便東北支社(仙台市、古屋正昭支社長)は、東京五輪・パラリンピックの機運醸成につなげようと、釜石市と「復興『ありがとう』ホストタウン」相手国のオーストラリアとの交流を記念したオリジナルフレーム切手を製作、18日から販売を始めた。ホストタウンに関連したフレーム切手の販売は県内で初めて。発売を前に17日、同支社県東部地区連絡会が釜石市に完成した切手シートを贈った。

 

 釜石市は2017年11月に同ホストタウン相手国として豪州を登録し、青少年交流などを推進してきた。切手シートには豪州のオペラハウスやグレートバリアリーフ、エアーズロックなど世界的に有名な観光スポットをデザイン。釜石市からは世界遺産・橋野鉄鉱山や大観音、虎舞などが採用された。

 

 台紙にはラグビーワールドカップ(W杯)の試合会場となった釜石鵜住居復興スタジアムを印刷。「Thank you from KAMAISHI」とのメッセージも添えた。

 

釜石とオーストラリアの交流を記念したフレーム切手

釜石とオーストラリアの交流を記念したフレーム切手

 

 同連絡会統括局長を務める田野畑郵便局の八重樫茂徳局長、釜石郵便局の川畑智彦局長、釜石鈴子郵便局の澤口修局長らが釜石市役所を訪問。切手シートを受け取った野田武則市長は「市民が五輪やオーストラリアについて知識を深め、関わりを持つきっかけになれば」と感謝した。

 

 八重樫局長は「切手を素材に釜石とオーストラリアの友好が続くことを期待。復興に対する感謝を発信する手伝いもでき、うれしい。今後も地域発展のため、できることを考え取り組んでいく」と思いを伝えた。

 

 切手は63円が5枚、84円が5枚の10枚セット(1シート)で、税込み1300円。市内の全12郵便局のほか、東京中央、大手町郵便局で購入できる。郵便局のネットショップでも販売する。

 

 計500部用意し、300部は釜石市が買い取り、同ホストタウン事業の関係者に配布する予定。残り200部が一般に販売される。

 

(復興釜石新聞 2020年3月18日発行 第876号より)

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作成途中のマップを見せながら地区のアピールポイントを説明する長田さん(中左)、西海さん(左)

箱崎白浜 魅力満載まち歩きマップ〜観光振興へ体験プログラム、「復興・創生インターン」大学生が発表

箱崎白浜への思いが詰まった観光マップの発表に聞き入る地元住民ら

箱崎白浜への思いが詰まった観光マップの発表に聞き入る地元住民ら

 

 復興庁の「復興・創生インターン」で2月からかまいしDMCに所属し、釜石市箱崎白浜地区の観光マップ作りに取り組んできた大学生2人が13日、協力を得た地元住民らに成果を発表。地域の魅力満載のまち歩きマップ、体験プログラムを紹介するパンフレットのレイアウトを見せ、意見を聞いた。完成後は、地元民泊施設「御箱崎の宿」や市内の観光案内所などに置く予定で、震災復興を目指す同地区の活性化、交流人口拡大に役立てる。

 

 箱崎白浜集会所で開かれた発表会には、住民ら約20人が集まった。インターンプログラムで同地区の観光開発に挑戦したのは、東洋大1年の長田尚華さん(19)と東京女子大2年の西海明莉さん(20)。長田さんは2月3日から、西海さんは同11日から釜石に滞在。漁業・料理体験、地理把握の散策、住民の聞き取り調査を基に、地域の魅力をアピールするマップなどを作成した。

 

 まち歩きマップと体験プログラムパンフは共にA3版。一部を手書きにし、ぬくもり感を演出。訪れてみたいと思わせる効果的な写真が目を引く。

 

作成途中のマップを見せながら地区のアピールポイントを説明する長田さん(中左)、西海さん(左)

作成途中のマップを見せながら地区のアピールポイントを説明する長田さん(中左)、西海さん(左)

 

 マップは「美しい海と温かい人に出会えるまち」をコンセプトに、地図上でお薦めのビュースポット(5カ所)や神社、遺跡、震災前後のまちの変化などを紹介。集落から離れた自然の造形美「鬼岩」「小白浜」「千畳敷」も盛り込んだ。裏面では▽知る▽楽する▽発見する▽まねる(頭文字をつなげると“しらはま”)―をキーワードに、まちの変遷や豊富な海の幸、絶景ポイントなどを詳しく説明する。

 

 体験プログラムは8種を掲載。船上や陸上での漁業体験(ホタテ、ワカメ、ウニなど)、千畳敷トレッキング、漁船クルーズ、郷土料理体験(ところてん、かま団子など)―と、海を主体としたメニューがそろう。漁獲時期や地域行事の日程を記した年間カレンダーやアクセスも記載する。

 

 このほか、地域住民の温かさに魅せられた2人が、住民に会いに行くツールとして作成したのが「住民紹介カード」。略歴や趣味、話したいことなどを顔写真入りのカードにし、御箱崎の宿に置いて、交流のきっかけにしてもらうという。

 

 発表を聞いた住民は「古里を再生する上で大変心強い」「若さのパワーをもらった」「今後の発信力に期待が高まる」などと喜び、短期間でここまで形にしたことに驚きの声を上げた。

 

 「来てくれてありがとう。家族や仲間とまた(遊びに)来てね」

 

 わずか1カ月ながら住民らと心を通わせてきた2人は、感謝の言葉に感極まって涙声になる場面も。西海さんは「多くの方と接し、人との関わりの大切さを強く感じた。地区は高齢化や人口減少が進むが、住民のやさしさなど、誇るべき一番の魅力は人の良さ」、長田さんは「釜石の情報発信に貢献できれば。手持ちマップの拡大版を御箱崎の宿に掲示し、実際にまち歩きをした人に新たな情報を書き込んでもらえるようにもしたい」と話した。

 

 同社のインターンには今回、山添俊さん(大阪経済大2年)、川合杏奈さん(南山大3年)も参加。観光や防災に関する課題解決に取り組んだ。

 

(復興釜石新聞 2020年3月18日発行 第876号より)

 

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ジャパンラグビー トップリーグ2020 大会中止について

ジャパンラグビー トップリーグ2020 大会中止について

本日、日本ラグビーフットボール協会より、新型コロナウイルス感染拡大防止に鑑み、ジャパンラグビー トップリーグ2020 第11節以降の全ての試合を中止とし、2020大会の中止を決定するお知らせが発表されました。

ジャパンラグビー トップリーグ2020 大会中止のお知らせ

 

これにより、4/4に釜石鵜住居復興スタジアムで開催予定だったジャパンラグビー トップリーグ2020 第11節「NTTコミュニケーションズシャイニングアークス vs トヨタ自動車ヴェルブリッツ」は中止となりました。

 

なお、チケットの払い戻しなどの詳しい情報については、ジャパンラグビー トップリーグ公式サイトをご確認ください。

縁とらんす

かまいし情報ポータルサイト〜縁とらんす

縁とらんす編集部による記事です。

問い合わせ:0193-22-3607 〒026-0024 岩手県釜石市大町1-1-10 釜石情報交流センター内

リアス線全線運行再開を記念して発売された「がんばれさんてつ!パンケーキ」

「がんばれさんてつ!パンケーキ」発売、東北エリア ローソンで〜三陸鉄道全線再開にエール、白石食品と共同企画

パンケーキを手にする(左から)残間顧問、中村社長、白石社長

パンケーキを手にする(左から)残間顧問、中村社長、白石社長

 

 コンビニ大手のローソン(東京都、竹増貞信社長)は17日から、三陸鉄道(宮古市、中村一郎社長)のリアス線全線運行再開を記念した「がんばれさんてつ!パンケーキ」を東北エリアのローソン店舗で発売した。パン製造の白石食品(盛岡市、白石雄一社長)との共同企画で、三陸の地元食材を使用。20日からの三鉄全線運行再開を祝い、三陸地域の盛り上げを後押しする。

 

 パンケーキは岩泉牛乳を使った生地で、久慈市産山ぶどうピューレ入りジャムと岩泉牛乳入りのホイップクリームをはさんだ。袋には三鉄の車両が描かれ、「久慈行」と「盛行」の車両のイラストにそれぞれ停車駅をプリントした2種類を用意。1袋2個入り145円(税込み)で販売する。

 

リアス線全線運行再開を記念して発売された「がんばれさんてつ!パンケーキ」

リアス線全線運行再開を記念して発売された「がんばれさんてつ!パンケーキ」

 

 発売前日の16日、宮古市栄町の三鉄本社で記者会見を開いて発表。ローソン環境社会共生・地域連携推進部の残間敏顧問は「三鉄の全線再開を盛り上げたい。東北6県1158店で販売することで岩手県以外の人にも三鉄を知ってほしい」と狙いを話した。

 

 白石社長は、リアス線開通を記念して昨年発売した「さんてつ応援パン」が約5万個も売れたことを踏まえ、「パン生地で包み込むことで三鉄沿線のつながりを表現した。当初はリアス線1周年の商品を考えていたが、台風19号からの復活を祝う形となった。購入した人が三鉄に関心を持ってもらえればうれしい」と期待した。

 

 昨年10月の台風19号災害から5カ月。リアス線の全線運行再開を目前にした中村社長は「新型コロナウイルス感染症の影響で世の中が少し元気がなくなっているが、パンケーキ発売と全線運行再開で三陸地域を少しでも盛り上げたい」と前を向いた。

 

(復興釜石新聞 2020年3月18日発行 第876号より)

 

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新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえ、例年より規模を縮小して行われた県と釜石市の合同追悼式

震災9年 教訓を明日に、岩手県・釜石市合同追悼式〜古里の復興、再生誓う

新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえ、例年より規模を縮小して行われた県と釜石市の合同追悼式

新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえ、例年より規模を縮小して行われた県と釜石市の合同追悼式

 

 東日本大震災から9年となった11日、県と釜石市との合同追悼式が釜石市大町の市民ホールTETTOで行われた。新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえて参加者を制限し、県内から遺族ら135人、うち市内からは81人が参列。例年より規模は小さくなったものの、変わらぬ思いで大切な人をしのび、古里の復興、再生を願って手を合わせた。

 

 震災の津波で県内では4674人が命を落とし、震災関連死は469人を数える。行方不明者の1112人を加え、犠牲者は6255人に上る。釜石市では806人が命を落とし、不明者は152人。関連死の106人を含め犠牲者は1064人に上る。

 

 達増拓也知事は「犠牲になられた方々の古里への思いを受け継ぎ、震災の教訓や復興の姿を後世や国内外の人々に発信する。誰一人取り残さないという理念のもと、互いに支え合って復興を進めたい」と式辞。

 

 野田武則市長は、いまなお約70世帯が仮設住宅で暮らす現状を踏まえ、「震災の経験をもとに作った防災市民憲章の普及啓発に努めたい。市民一人ひとりが復興を実感できるよう、令和2年度までの復興完遂へ向けて全力を尽くす」と決意を述べた。

 

祭壇へ菊の花を手向ける遺族ら

祭壇へ菊の花を手向ける遺族ら

 

 震災で父祐喜さん(当時81)を亡くした澤田龍明さん(60)=釜石市小佐野町、釜石ガス常務取締役=が遺族を代表して追悼の言葉。「市の幹部職員を歴任するなど公僕として働く父の姿に尊敬の念を抱いた。遺体は市役所の近くで見つかった。やっぱり市役所が好きなんだと、遺体を見て泣いた」と9年前の悲しみを振り返った。

 

 追悼式終了後、達増知事は報道陣に対し「いまだ仮設住宅で暮らす人のケアをしっかりする。その上で復興から地方創生、地域振興につなげたい」と震災から10年に向かう決意を語った。

 

(復興釜石新聞 2020年3月14日発行 第875号より)

 

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掲示された犠牲になった人の名前に触れる遺族ら

刻まれた名に手を伸ばし〜祈りのパーク「あの人」思う

掲示された犠牲になった人の名前に触れる遺族ら

掲示された犠牲になった人の名前に触れる遺族ら

 

 東日本大震災から9年を迎えた11日、釜石市鵜住居町の追悼施設「釜石祈りのパーク」では、さまざまな思いを込めた祈りが続いた。震災の津波で多くの犠牲者が出た鵜住居地区防災センター跡地に整備された同パーク。市内全域の犠牲者の芳名板を設置する広場には遺族や縁故者らが次々に訪れ、献花して手を合わせた。あの人を思う、震災を忘れない、語り継ぐ―。大切な人を失った悲しみ、後悔は消えることはない。それでも、それぞれが次の一歩を歩み出す。

 

 市は震災が発生した命日に、この場所での追悼を続けてきた。9回目の「3・11」も野田武則市長、市幹部職員ら約30人が訪れ、黙とう。白菊を手向け、犠牲者の冥福を祈った。

 

 同パークは昨年3月11日にオープン。慰霊碑には市内の震災犠牲者1064人のうち、1001人の芳名板を掲げる。完成時、芳名板は五十音順に配置されたが、遺族らから「家族が離れ、ばらばら。隣り合わせてほしい」などと声が寄せられ、今月上旬に並びを家族単位に変更。同姓同名の芳名板は希望に応じて地域名を追加した。

 

 父孝さん(当時104)と兄夫婦を亡くした福島県郡山市の下川原潔さん(79)は、この地を震災後初めて訪れた。3人の名前を見つけて、ほっとした表情。刻まれた名にそっと手を伸ばし、「一緒に送り出した3人が隣り合って並んでいる。元気だったか。こっちは元気でいたよ」と言葉を掛けた。

 

 高齢の女性は「名前をみると涙が出るけど、前向きに頑張っていかないと」と上を向く。「忘れてはいけないと思って…」と言葉をかみしめる若者。初老の男性は「犠牲を無駄にしてはいけない。震災の教訓を伝えたい」と思いを深める。あの日を巡る、さまざまな感情が交錯していた。

 

 地震発生時刻の午後2時46分。防災無線のサイレンが鳴り響くと、訪れた人たちが一斉に黙とう。芳名板の前では、名前が刻まれた金属プレートにじっと手をあて、亡くなった人に思いを伝える姿が見られた。

 

大地震が襲った午後2時46分に黙とうをささげる人たち=祈りのパーク

大地震が襲った午後2時46分に黙とうをささげる人たち=祈りのパーク

 

 職場が鵜住居で、防災センターに逃げ込み犠牲になったと見られる鈴木雅恵さん(当時31)の姉佐々木恵さん(43)は、今なお行方不明の妹に「どこにいるの…。早く見つかって」と切なる願いを祈りに込めた。

 

 「結婚して世帯が違っても毎日のように会っていたので、いなくなるという実感がまだない。(遺体も)見つかっておらず、かける言葉が見つからない」

 

 震災では雅恵さんの夫の両親も犠牲に。恵さんは芳名板の並び替えに「3人の名前が同じ場所に並んだだけでも良かった」と話す。

 

 恵さん家族は夫の職場が被災したため、盛岡市に転居した。あれから9年―。「沿岸から離れたことへの悔いというか何というか。(複雑な思いを抱えながら)淡々と過ごす日々だった。周りに同じ境遇の人もいないので…」。内陸避難者ならではの葛藤ものぞかせた。

 

(復興釜石新聞 2020年3月14日発行 第875号より)

 

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シカに食い荒らされた青葉通りの花壇。住民らはシカの侵入を防ぐ対策に苦慮している

チューリップの芽、シカに食べられる〜大町青葉通り住民、もうすぐ開花も落胆

シカに食い荒らされた青葉通りの花壇。住民らはシカの侵入を防ぐ対策に苦慮している

シカに食い荒らされた青葉通りの花壇。住民らはシカの侵入を防ぐ対策に苦慮している

 

 釜石市中心市街地の住民らが整備を行っている大町青葉通りの花壇で、芽を出し始めたチューリップのほとんどがシカに食べられる被害に遭った。季節によって多彩な花を植栽し、道行く人の目を楽しませていただけでなく、活動する住民らの交流の場にもなっていた花壇。住民らは「手を掛けて頑張ってきたのに…がっくり」と肩を落としている。

 

 同通り沿いに立つ大町復興住宅2号棟(29戸)と3号棟(34戸)の入居者を中心に、周辺の地域住民も参加する「あおば花っこ会」(山﨑太季子代表)が3年ほど前から整備する。花を通したコミュニティーづくりを目的に、2号棟の前にある6つの花壇に植栽。月1回集まり花壇の手入れをしている。

 

 花壇には昨年秋に200株近いチューリップを植えていた。活動を始めた頃から食害には遭っていたが、ほとんどを食べられるのは初めてのこと。同通り周辺は日中、交通量が多いためシカは深夜から早朝にかけ出没し、一部を残し食い荒らされてしまった。

 

 かろうじて残ったチューリップを守ろうと、プランターに植え替える対応も。花が大好きで、彩り豊かな花壇の整備を楽しんできた2号棟の今出ヒデ子さん(84)は「もう少しで花が咲くはずだったのに残念」と、ため息交じりにつぶやいた。

 

 花壇周辺はシカの足跡やフンが残っており、山﨑代表は「食害防止の対策が必要だと話していたが、市が管理する花壇を借りて活動しているので対応に困っている」と苦慮。ただ、ハーブ系植物のある花壇などは被害が少なく、「何か手だてにつながるかも。いろんな知恵を借りながら活動を続けていきたい」と模索している。

 

 市中心部では東日本大震災後、シカが多く目撃され、農林業被害だけでなく一般住家の庭木などの食害もある。市農林課林業振興係によると、被害に関する相談などは一定程度あるが横ばい。シカ用防護網や電気柵の設置など対策に取り組んできた。

 

 釜石地域は急峻(きゅうしゅん)な山に囲まれ、山と住家の距離が比較的近い。住民の中には「ある程度の被害は仕方がない」と諦め声を漏らす人も。特に街なかは多様な人が行き交うため、防護網や柵の設置は難しい面もある。

 

 市ではシカが山から下りてくると見られるルートにわなを設置し捕獲する対策も実施。その数は年間1千頭を超え、最近街なかでの目撃は少なくなっている。

 

 今回の青葉通りでの被害について、同係の川崎克係長は「わなを設置していないところを見つけ、下りて来たのかもしれない」と対策の難しさをにじませる。

 

 市内ではシカだけでなくハクビシンなどの食害も発生。鳥獣被害に関する問い合わせや相談を受けている川崎係長は「助言したり、できることを考えていく」とした。

 

(復興釜石新聞 2020年3月11日発行 第874号より)

 

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