古き良き時代「昭和」の歌で、懐かしい日々を思い起こす心温まる時間を届けた「北海道歌旅座」
北海道札幌市を拠点に全国各地に歌声を届ける「北海道歌旅座」の公演が2月29日、釜石市大町の市民ホールTETTOで開かれた。昭和の歌コンサート「愛の讃歌」と題した公演に約130人が集まり、懐かしの名曲とパワフルなステージにたくさんの笑顔を広げた。
一座のメンバー5人は全員が北海道出身。ピアノの弾き語り、作詞・作曲も手がけるボーカルの吉田淳子さん、バイオリンの高杉奈梨子さん、「ザ・サーモンズ」としてコーラスや打楽器、ギターなどを担当する佐久間千絵さん、有田秀哉さん、司会太郎さんで結成する。
初の釜石公演は2部構成。1部は吉田さんと高杉さんの「荒城の月・月光メドレー」の演奏で幕開け。昭和20~60年代の流行歌が続いた。「リンゴの歌」「いつでも夢を」「二人でお酒を」「昭和枯れすすき」「お久しぶりね」「氷点」などを、弾き語りやデュエット、バイオリンの独奏を交えて披露。背後には自然や時代を象徴するイメージ映像、歌詞が映し出され、観客は歌を口ずさみ、手拍子を取りながら楽しんだ。
2部は、吉田さんが定年退職した父への思いを歌にしたオリジナル曲「重ね日」でスタート。後半は5人全員が登場。バックダンスが花を添え、「イヨマンテの夜」「真赤な太陽」と続き、昭和に人気を博した歌声喫茶を模して「青い山脈」「明日があるさ」などで、会場一体となって盛り上がった。時にエネルギッシュに、時にしっとりと歌い上げるステージは観客を魅了し、熱烈なアンコールに2曲で応えた。
平田の福井宏さん(77)は「やっぱり昔の歌はいいね。当時のいろいろなことが思い出される。学生時代のことから何からね」と顔をほころばせた。
姉妹で足を運んだ大渡町の藤井早苗さん(84)、野田町の松田纓子(ようこ)さん(81)は新型コロナウイルスの影響による中止を心配したが、開催に一安心。2人とも歌が大好きで「楽しみにしていた。オペラ歌手のような声量、情熱的な歌いぶりに感激。構成もうまいし、人を引き付ける力がすごい。一緒に歌えて最高」と元気をもらった様子。
手拍子をしながら、多彩な歌のステージを楽しむ観客
一座は今年で結成11周年。「小さな町にも音楽を届けたい」と2009年、北海道の全市町村公演を目標に活動をスタート。後に全国にも足を延ばし、これまでに訪れた市町村数は約400に上る。「道内はあと1カ所で全179市町村の訪問を達成する。全国には1700~1800の市町村があるので、世代交代しながら公演を続けていければ」と吉田さん(42)。
今回の全国ツアーは2月中旬から20公演以上を予定していたが、新型コロナの影響で3月までの17公演が中止に。吉田さんらは釜石公演の実現に感謝し、「皆さんの明るさ、気取らない温かさに支えられた。震災を乗り越え、元気に暮らしていこうというたくましさを感じる」と話した。
市民ホールでは、新型コロナの影響による催し物の自粛が出始めており、「開催については問い合わせてほしい」としている。
(復興釜石新聞 2020年3月7日発行 第873号より)
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