震災9年 教訓を明日に、岩手県・釜石市合同追悼式〜古里の復興、再生誓う


2020/03/23
復興釜石新聞アーカイブ #地域

新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえ、例年より規模を縮小して行われた県と釜石市の合同追悼式

新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえ、例年より規模を縮小して行われた県と釜石市の合同追悼式

 

 東日本大震災から9年となった11日、県と釜石市との合同追悼式が釜石市大町の市民ホールTETTOで行われた。新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえて参加者を制限し、県内から遺族ら135人、うち市内からは81人が参列。例年より規模は小さくなったものの、変わらぬ思いで大切な人をしのび、古里の復興、再生を願って手を合わせた。

 

 震災の津波で県内では4674人が命を落とし、震災関連死は469人を数える。行方不明者の1112人を加え、犠牲者は6255人に上る。釜石市では806人が命を落とし、不明者は152人。関連死の106人を含め犠牲者は1064人に上る。

 

 達増拓也知事は「犠牲になられた方々の古里への思いを受け継ぎ、震災の教訓や復興の姿を後世や国内外の人々に発信する。誰一人取り残さないという理念のもと、互いに支え合って復興を進めたい」と式辞。

 

 野田武則市長は、いまなお約70世帯が仮設住宅で暮らす現状を踏まえ、「震災の経験をもとに作った防災市民憲章の普及啓発に努めたい。市民一人ひとりが復興を実感できるよう、令和2年度までの復興完遂へ向けて全力を尽くす」と決意を述べた。

 

祭壇へ菊の花を手向ける遺族ら

祭壇へ菊の花を手向ける遺族ら

 

 震災で父祐喜さん(当時81)を亡くした澤田龍明さん(60)=釜石市小佐野町、釜石ガス常務取締役=が遺族を代表して追悼の言葉。「市の幹部職員を歴任するなど公僕として働く父の姿に尊敬の念を抱いた。遺体は市役所の近くで見つかった。やっぱり市役所が好きなんだと、遺体を見て泣いた」と9年前の悲しみを振り返った。

 

 追悼式終了後、達増知事は報道陣に対し「いまだ仮設住宅で暮らす人のケアをしっかりする。その上で復興から地方創生、地域振興につなげたい」と震災から10年に向かう決意を語った。

 

(復興釜石新聞 2020年3月14日発行 第875号より)

 

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