受け入れに漂う不安と緊張感〜新型コロナ対応 休校から1週間、釜石市内の学童保育施設


2020/03/17
復興釜石新聞アーカイブ #地域

マスクを着けた児童を、学習支援員(右)が細やかな心遣いでサポート=9日午後、上中島児童館

マスクを着けた児童を、学習支援員(右)が細やかな心遣いでサポート=9日午後、上中島児童館

 

 新型コロナウイルスの感染拡大に対応した釜石市内の学校一斉休業が3日に始まり、1週間余り。子どもを預かる学童保育施設は受け入れ時間が長くなり、保護者が抱く子どもの健康不安とともに緊張感が漂う。懸命のサポートを受ける子どもらは、遊ぶ場所が制限されて不満そう。それでも「病気が心配だから、しょうがない」と知恵を絞り、工夫しながら遊んでいる。

 

 釜石市健康福祉部子ども課が所管する学童育成クラブは9校、11施設。市社会福祉協議会が委託を受け、小学生を対象に遊び場や生活の場を提供、健全な育成指導に当たる。3月1日現在、対象児童1319人のうち559人が利用登録する。1校当たりで最も多いのは小佐野小で、校舎に併設する2施設合わせて137人だ。

 

 このほか毎週1~2日間の午後に開設する小学生対象の「放課後子ども教室」は6施設あり、NPO、保護者団体、市社会福祉協議会が運営する。

 

 釜石市の児童館(佐藤悦男館長)は4館と学童育成クラブ6施設を統括する。児童館は3~18歳未満を対象とするが、市内では事実上、学童型(小学生対象)2館、保育型(3~5歳児)1館、混合型1館がある。学童育成クラブは小学生だけを受け入れる。

 

 上中島児童館は学童育成クラブとの併設施設で、登録者は35人。双葉小の児童は上中島クラブと、校舎併設の双葉クラブを利用する。学校の一斉臨時休業により、運営は長期休業モードに切り替えた。学習支援員の朝は、館内の消毒で始まる。清掃など衛生管理は日常の業務だが、感染症問題以降、一層レベルを高めた。児童の衛生指導(手洗い、消毒、マスク持参)にも多大なエネルギーを使う。

 

 室内で長い時間を過ごす児童のストレス解消に腐心し、短時間の屋外スポーツも取り入れる。双葉学童クラブでは、児童が率先して1時間ごとの換気を繰り返している。

 

 市教委は全市の学校に配置していた特別教育支援員15人を、一斉休業に対応し各学童育成クラブに振り分けた。各校の教員は児童が通うクラブを訪問。臨時休校から1週間を経過し、家庭訪問にも取り組む。

 

 市子ども課は一斉休業以来毎日、各施設の利用者数の報告を受ける。9日は、双葉学童クラブの登録44人に対し利用児童は7人。上中島クラブは15人だった。全市の利用者数は登録者の4割と、通常より少ない。

 

 感染予防のため臨時休校にしたが、「学童クラブのほうが感染の危険性が高い」という保護者の判断もうかがえる。佐藤館長ら職員は「高学年児童なら自宅で過ごさせる。利用児童が少ないのは、感染への警戒心が広がり、保護者のみなさんが子どもを身近に置いて必死に守ろうとしている」と推測する。

 

 政府が“感染拡大防止の山場”とする2週間も半ばが過ぎたが、市民の日常生活、経済、文化活動など多方面で影響が広がっている。学校の臨時休業で児童生徒、保護者、教育関係者が見せるのは“耐える姿”だ。

 

(復興釜石新聞 2020年3月11日発行 第874号より)

 

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