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老人ホーム合同避難訓練 鵜住居で初めて

土砂災害を想定した訓練で老人ホームに避難した園児ら

土砂災害を想定した訓練で老人ホームに避難した園児ら

 

 6月の「土砂災害防止月間」に合わせ、釜石市鵜住居町の特別養護老人ホーム三峯の杜(齊藤敦子施設長、入所者29人・ショートステイ利用者20人)で16日、土砂災害を想定した避難訓練が行われた。隣接する鵜住居幼稚園(磯田育子園長、園児24人)、養護老人ホーム五葉寮(久保喜雅施設長、入所者50人・ショートステイ利用者2人)と合同で実施する初めての訓練。あいにくの雨模様で参加人数や内容など規模を縮小したが、園児は避難経路や場所、両施設は受け入れ体制や誘導など災害時の対応を確認した。

 

 両施設では火災などの非常事態に相互に協力できるよう連携した訓練を定期的に実施。同園でも地震、火災、防犯訓練などを独自に行っている。

 

 昨年秋ごろ、3者が加入する地元の川目町内会で防災ハザードマップづくりが行われた際、園や施設そばの山に土砂災害の危険があることを知り、防災連携を検討。園児が迅速、安全に避難できるよう、三峯の杜を1次避難、五葉寮を2次避難場所に設定した訓練内容で準備を進めてきた。

 

 この日は、年長児5人が参加。三峯の杜が園から避難の要請を受け、訓練を開始した。園児は教諭の指示で施設に移動し、施設職員の誘導で建物の1階から2階に避難。雨のため、1次避難で終了したが、園児は「ここの階段は初めてだよね。高いね」などと避難ルートを確認していた。

 

 梅雨に入り、大雨で土砂災害の恐れが高まることも考えられる中での訓練に、磯田園長は「いざという時には高いところに逃げようと考えるが、そういう場所がそばにあると安心する。初めてのことは誰でも緊張するので、なおさら園児にはいい体験になった」と話した。

 

 齊藤施設長は「高齢者は子どもとの触れ合いを喜ぶので、何かあった時の協力体制づくりだけでなく、いっそうの交流につながれば」と期待。今回参加できなかった園児も体験し、きちんとした避難経路を覚えてもらうため、今後も同様の訓練を行うことにしている。

 

(復興釜石新聞 2016年6月18日発行 第496号より)

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釜石市津波避難訓練を実施します

釜石市津波避難訓練を実施します

11月5日の「津波防災の日」に合わせ、津波避難訓練を実施します。市民・企業・団体の皆さんの協力と参加をお願いします。

 

日時

11月5日(木)10時~10時30分

想定内容

    11月5日(木)10時に釡石市で震度5弱の地震を観測し、10時3分に岩手県沿岸に大津波警報が発表

    訓練内容

  • 10時ころ、防災行政無線で緊急地震速報の警報音を鳴らします。
  • 落下物などから身を守る行動を取ってください。
  • 沿岸部の人は、地震の揺れがおさまったら、避難の呼びかけを待たず、直ちに近くの高台か津波避難場所に避難してください。
  • 防災行政無線で数回、大津波警報のサイレンを鳴らし、避難指示を伝達します。
  • 一旦、高台や津波避難場所に避難したら、解除の放送があるまで低い所には戻らないでください。

注意事項

  • 津波避難場所の位置は、各地区生活応援センターまたは市ホームページで確認することができます。就業時間中を想定した訓練のため、市役所周辺以外は避難場所への市職員の配置はありません。
  • 避難する時は、車は使わないでください。
  • 訓練時間中、緊急地震速報の警報音やサイレンが鳴りますが、実際の災害と間違わないでください。
  • この訓練は、全国一斉に行われる全国瞬時警報システム(Jアラート)を活用した「緊急地震速報を受信した際の行動訓練」に合わせて行います。この訓練は、実際の災害と違い、エリアメール・緊急速報メールの配信は行いません。
  • 実際の災害が予想される場合など、状況によっては中止する場合があります。

参考

内閣府 津波防災ひろめ隊サイト(11月5日「津波防災の日」に関する全国的な取組が掲載されています。)
 

https://tsunamibousai.jp/

津波防災ひろめ隊サイト

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釜石市 危機管理監 防災危機管理課
〒026-8686 岩手県釜石市只越町3丁目9番13号
電話:0193-22-2111 / メール
元記事:https://www.city.kamaishi.iwate.jp/kurasu/bosai_saigai/oshirase/detail/1197140_2223.html
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市中心部の防災拠点となる第1分団第3部屯所

地域防災拠点の復活 喜び合う〜市中心部の安心安全へ決意新た

市中心部の防災拠点となる第1分団第3部屯所

市中心部の防災拠点となる第1分団第3部屯所の完成を喜ぶ関係者。2階には只越集会所が併設された

 

 釜石市の中心市街地を管轄する市消防団第1分団第3部(佐々木毅部長、団員13人)の屯所竣工(しゅんこう)式は15日、只越町3丁目の現地で行われた。旧屯所は東日本大震災の津波で全壊し、新築された建物は1階を消防屯所、2階を只越集会所とする複合施設。集会所は11月から使用を開始する。完成を祝う式には市や消防団関係者、地域住民ら20人が出席し、地域防災拠点の復活を喜び合った。

 

 新しい屯所は旧屯所より広く、震災で全壊した旧屯所の北側へ約50メートル移動した。銭湯などがあった民有地を市が買い取り、約280平方メートルの敷地に木造(延べ床面積236平方メートル)で建設。車庫、会議室、和室の休憩室、シャワー室などを備える。2階の集会所(約120平方メートル)には和室の集会スペース、給湯室などを備える。

 

 竣工式で野田武則市長は「中心部にある3部は震災で住民の避難誘導、車や建物の消火活動、その後の捜索や搬送業務に全力を尽くした。地域住民の安全安心を守る拠点の完成を喜ぶ」とあいさつ。釜石大槌地区行政事務組合消防本部の猪又康洋消防長、山﨑長栄団長、第3部消防後援会の菊池新之助会長が祝辞を述べた。前部長の坂本晃・第1分団長の発声で万歳三唱。佐々木部長(59)は「新しい屯所に感無量。市民の生命、財産を守る活動に日々精進する」と決意を伝えた。

 

神事で屯所の完成を祝う野田武則市長ら関係者

神事で屯所の完成を祝う野田武則市長ら関係者

 

 第3部の前身は1877(明治10)年に町内の防災組織として結成された「只越組」で、市内で最古。坂本分団長(61)によると、集会所と併設の旧屯所は老朽化が進み、震災前から市に改築を陳情、2011年度中に完成する予定だった。震災後、仮設屯所を天神仮設団地の一角に置き、日常の防災活動を続けてきた。

 

 佐々木部長は「震災では避難誘導の後、大津波を予測してポンプ車を仙寿院に移し、守った。おかげで無線を使い、情報交換ができた」と震災当時を振り返る。新しい拠点の完成を受け、「最大の課題は団員の確保。とにかく若手が欲しい。震災の体験から、『命なくして人は守れず』と思う。団員の命を守りながら、防災活動に取り組んでいく」と力を込めた。

 

 3部消防後援会は、只越町、大只越町、天神町の各町内会や商店会など11団体で組織する。只越町内会の長柴政義会長によると、震災前の会員は142世帯だったが、現在はほぼ3分の1の50世帯に減った。

 

 市内で被災した消防屯所は17カ所(うち資材置き場2カ所)で、復興したのは昨年の第1分団第4部(大渡地区)に次いで2カ所目。

 

(復興釜石新聞 2015年10月17日発行 第428号より)

 

復興釜石新聞

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みなとかまいし地区会議のメンバーら

津波の恐ろしさアピール、「避難道路」に看板〜揺れる貨物船 猛威象徴

みなとかまいし地区会議のメンバーら

「震災を風化させないために」と、浜町の「避難道路」に看板を設置したみなとかまいし地区会議のメンバーら

 

 東日本大震災の津波が押し寄せる釜石湾内で波に翻弄(ほんろう)される大型貨物船の写真を使用した大きな看板が、釜石市役所から浜町の高台に通じる通称「避難道路」に設置された。港湾に近い町内会や商店街などで組織する「みなとかまいし地区会議」(高橋松一議長)が、地域住民の防災意識を高め、被災地を訪れる観光客などへ津波の恐ろしさをアピールしようと設置した。4日、現地で看板を披露した高橋議長は「(震災当時を)思い出したくないが、津波のすごさ、怖さを知り、ここで起こったことを少しでも理解してもらえれば」と思いを語った。

 

 看板は縦150センチ、横210センチ。写真の貨物船「アジア・シンフォニー」(4724トン)は、船首の一部が防潮堤を壊した形で釜石港の岸壁に乗り上げ、津波の猛威を象徴する。この高台から撮影されたもので、看板には地震の発生日時や震源、規模なども記した。制作、設置費用は約40万円。

 

 同会議は2009年の設立当初から防災体制の整備をテーマに活動。地震や津波発生時に高台への避難を呼びかけるポスターの掲示や、地域内にある高台の避難指定場所への避難誘導標識を設置するなど自主防災活動に取り組んできた。

 

 この高台は地域の避難場所としての役割だけでなく、住民らの散歩道でもある。震災発生時も多くの住民が避難し、津波の襲来を見守った。震災後は津波被害の大きかった市街地を一望できる場所として、観光客の多くが立ち寄る場所にもなっている。

 

 しかし、同会議が設置してきたポスターや標識はほとんどが津波で流失し、再設置の予定もなく、災害時の避難誘導案内機能は失われたまま。また、この高台を訪れても震災の被害を説明するものもなかったことから、「地域住民の避難の備えを促し、観光客に注意を喚起し、震災の記憶を風化させないために」と設置を決めた。

 

 「(使用した写真は)あり得ない光景」と話すのは、看板を制作した日美画房の小田島凌一さん(76)。地震発生後、設置場所の高台に避難したという同会議副議長の菊池新之助さん(76)は「津波の瞬間は、まさに阿鼻叫喚(あびきょうかん)。貨物船が湾内を木の葉のようにぐるぐると回っていた。論より証拠、真実が伝わる」と看板設置の意義を強調する。

 

 市市民生活部の大久保孝信部長は「この高台は震災を全国に発信する場で、津波発生時の避難場所でもある。この看板がいざという時、逃げる場所を思い起こさせる印になれば」と期待を寄せた。

 

 高橋議長は「防災は市民生活のすべてにつながってくる。次の時代になっても震災を風化させてはいけない。身近で起きたことを語り継いでいくことが大切。行政と協力しながら防災をテーマにした活動を継続していきたい」と話した。

 

(復興釜石新聞 2015年8月8日発行 第409号より)

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野田武則市長に手渡す岩切潤さん

戦災の記憶 語り継ぐ〜かまいしの昭和20年、艦砲射撃を生き延びて

野田武則市長に手渡す岩切潤さん

自費出版した「かまいしの昭和20年」を、野田武則市長に手渡す岩切潤さん(右)

 

 釜石市芸術文化協会会長の岩切潤さん(80)が、艦砲被災など釜石の戦時中の歴史や自身の戦争体験などをまとめた「かまいしの昭和20年―艦砲射撃を生き延びて」を自費出版した。当時の体験を語れる人が減る中で、岩切さんは戦災の記憶を語り継ぐ大切さを痛感。戦後復興の歩みに東日本大震災からの復興への思いを重ね合わせ、「戦争という大変で苦労した過去があって現在があり、未来につながる。釜石は津波や戦争を経験したが、何度も粘り強く立ち上がり復活してきた。未来に向かって進んでいこう」とのメッセージを込めた。

 

 太平洋戦争末期の1945(昭和20)年、釜石は7月14日と8月9日の2度にわたって米英連合軍から艦砲射撃を受け、市街地は焼け野原になり、市民ら750人以上が犠牲になるなど大きな被害を出した。

 

 自費出版した本は、昨年5月と7月に盛岡市と釜石で岩切さんが講演した内容を取りまとめたもの。艦砲射撃や避難した防空壕(ごう)での様子、疎開先での暮らしぶりなど当時釜石国民学校(現釜石小)5年生だった岩切さんの実体験を、艦砲射撃を受けた釜石市内の風景などの写真や被弾図など資料を交えて紹介した。

 

 艦砲射撃から3年後の48年に釜石製鉄所の高炉が再建され、50年に釜石線の全線開通、59年に国道283号・仙人峠の開通と続いた復興の歩みも収録。これからの釜石についても触れ、「『橋野鉄鉱山・高炉跡』の世界遺産登録や2019年のラグビーワールドカップは震災復興を目指す釜石の希望の光。前途には大変な課題もあるが、市民一丸となり、大事業実現に向けまい進したい」とつづった。

 

 本はA4判36ページで、800部作成した。市のほか、県沿岸広域振興局にも70冊を寄贈。市は郷土資料館や市立図書館、各地区生活応援センターなどに置いて公開する。

 

釜石市に300冊寄贈

 

 岩切さんは6日、市役所を訪れ、「今年は戦後70年。語り継いでいく素材の一つになれば」と約300冊を野田武則市長に託した。野田市長は「70年という大事な節目に出版された本を多くの市民に見てもらいたい。戦争の恐ろしさ、命の大切さの発信につながれば」と期待した。

 

 岩切さんは「戦争、艦砲射撃を知らない世代に見てほしい。戦争は陸、空ばかりではなく、船からも来る。思いがけないことを知ってほしい」と話した。

 
 今回の寄贈のほか、約200冊を9日に行われる市戦没者追悼式で、希望者に配布することにしている。

 

 岩切さんは県漁政課長、大船渡振興局長などを歴任。現在は社団法人三陸アーカイブ減災センター代表などを務める。

 

(復興釜石新聞 2015年8月8日発行 第409号より)

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