人命守り、復興の追い風に〜釜石港湾口防波堤完成、関係者120人が式典
国家的プロジェクト釜石港湾口防の復旧を喜びテープカットする関係者
東日本大震災の津波で損壊し、3月に復旧工事が完了した釜石港湾口防波堤の完成式は4月30日、釜石市大町の釜石市民ホールTETTOで行われた。主催する県、市、国土交通省から関係者約120人が出席。復旧した巨大防波施設が津波から人命を守るとともに、物流拡大など経済振興への波及効果に期待を高めた。同工事の完了で、市内での国直轄復旧事業はすべて終了した。
式典では国交省大臣政務官の高橋克法参議院議員(栃木県)、達増拓也知事、野田武則市長があいさつ。達増知事は「港湾が復興し、道路整備もかつてないスピードで進む釜石は飛躍的発展が期待される。県も三陸復興・創造をさらに進めていく」と意欲を示した。
内閣府大臣兼復興大臣政務官の長坂康正衆議院議員(愛知9区)、本県選出の鈴木俊一大臣(東京オリンピック・パラリンピック競技大会担当)、平野達男参議院議員が祝辞。国交省東北地方整備局釜石港湾事務所の下澤治所長が復旧事業の概要を報告した。
主賓ら11人がテープカット。錦町青年会が虎舞を披露し、湾口防の完成を祝った。
野田市長は「復旧工事を短期間で完了していただき感謝する。湾内の静穏を保つことは漁業や港湾事業の振興につながる。釜石にとっては『命を守る防波堤』そのもの」と完成の喜びを語った。
船上から防波堤の威容を視察した来賓、野田市長ら
釜石港湾口防波堤建設事業は1978年に着手、2008年度に完成した。震災で南堤670メートルのうち370メートル、北堤990メートルのうち870メートルが損壊。復旧事業は12年に開始、6年余りで約660億円を投入した。大型化したハイブリッドケーソンを導入するなど工事の効率化を図り、被災を教訓に、大津波にも倒壊しにくい粘り強い構造に改善した。今年3月末に上部工を終え、完成した。
(復興釜石新聞 2018年5月9日発行 第687号より)
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