釜石市の新庁舎外観イメージ図
釜石市は、新市庁舎を天神町の旧釜石小跡地に建設する計画を進めている。現在は実施設計に取り組み、年度内に完成する見込み。2021年度に着工、22年度末の完成を目指す。この動きに役立ててもらおうと、甲子町の佐々木貞雄さん(94)が8月20日、市に200万円を寄付した。市は庁舎建設基金に積み立てて活用する。
庁舎建設基金は1990年に設置。これまでに市予算から約19億6千万円が積み立てられている。市によると、新庁舎建設への個人の寄付は今回が初めてと見られる。
佐々木さんは、55歳の定年退職まで釜石鉱山で40年働いた。その後も、75歳ころまで土木、大工、測量関係の仕事に携わった。「健康で長く働くことができた。生きているうちに何かまちのために役立てることを」と思い立ち、こつこつとためてきたものを寄付金に充てた。
寄付金を受け取った野田武則市長は「これを機に寄付が増えてくれるとありがたい」などと応じたという。
庁舎建設に役立ててもらおうと、野田市長に寄付金を託す佐々木さん(右)
1950年代から建設・増築を繰り返してきた現庁舎(只越町など)は、一部が東日本大震災の津波に浸水。耐震性に欠け老朽化が進んでいたほか、手狭にもなっていた。
2016年に市民を中心とした新市庁舎建設検討委員会を設置。17年8月、7カ所に分散する機能を集約した一体型庁舎で、震災の教訓を生かした防災拠点、市民に開かれた利便性などの機能を持たせることを提言していた。
新庁舎の基本計画、基本設計業務委託者は18年10月に決定。この時点で、着工は20年度、完成は21年度を見込んでいた。基本計画は19年3月に策定。示された整備の方向性を踏まえ基本設計に着手し、同7月に完了した。
基本設計によると、現庁舎北側の現在、仮設住宅が建つ敷地約1万1800平方メートルに、延べ床面積7850平方メートルの庁舎を建設。仮設住宅の退去・解体は本年度末となっており、市庁舎建設は被災者に配慮し進めるため、着工が当初の見込みより1年遅れる形となった。
概算事業費は約59億円。財源には庁舎建設基金、地方債の公共施設等適正管理推進事業費などを見込む。基本計画策定、基本設計を手掛けた佐藤総合計画東北オフィスが実施設計にも携わっている。
建設予定地周辺では一部の仮設住宅が撤去され、道路など環境整備工事が進められている。市新庁舎建設推進室の洞博室長補佐は「現在、実施設計中で、来年度着工を目指している。令和5年度の開庁に向け、しっかり取り組んでいく。1カ所に集約された市庁舎の開庁により、市民サービス、利便性の向上に期待できる」と力を込める。
8月〜9月 復興釜石新聞 臨時休刊のお知らせ
復興釜石新聞(合同会社 釜石新聞社)
復興釜石新聞と連携し、各号紙面より数日の期間を設け記者のピックアップ記事を2〜3点掲載しています。問い合わせ:0193-55-4713 〒026-0044 岩手県釜石市住吉町3-3