「まつばら会」100回で終了、住民の孤立防止に貢献〜語らいを復興の原動力に、つながり継続を誓い合う


2021/03/26
復興釜石新聞アーカイブ #地域

最後の「まつばら会」で10年の歩みを振り返る参加

最後の「まつばら会」で10年の歩みを振り返る参加者

 

 釜石市の松原町内会(八幡徹也会長)が東日本大震災後、開いてきた昼食会を兼ねた懇談の場「まつばら会」が、100回の節目を機に終了することになり、10日、最後の会が松原地区消防コミュニティセンターで開かれた。この10年、月1回ペースで集まり、住民らの心のよりどころ、復興の原動力としてきた同会。参加者からは感謝の声が聞かれ、つながりの継続を誓い合った。

 

 まつばら会は震災直後から同センターに開設された避難所が8月で閉鎖後、市内各所の仮設住宅に散らばった被災住民から「松原に帰りたい」「みんなと顔を合わせて話をしたい」などの声が上がり、町内会が企画。2カ月後の10月から毎月10日(お盆の8月を除く)を開催日とし、住民女性手作りの昼食を囲みながら懇談する場を設けた。

 

 同地区の復興工事に携わる業者、市の関係部署から担当者に来てもらい意見交換をしたり、レクリエーションなどを楽しむことも。参加者は多い時で約40人を数えた。

  

 年数を重ねる中で、他地区に自宅を再建する人、中心市街地の災害公営住宅に入居する人も多く、近年の参加は町内在住者を中心に毎回15人ほど。新型コロナウイルス感染症の影響で、集団での会食が難しくなったこともあり、震災10年、100回を区切りに終了を決めた。

 

 10日は来賓を含め19人が参加。住民からは「会があったおかげで今まで元気に過ごせた」「被災から立ち上がる力をもらった」などの声があり、昼食作りに尽力したメンバーらに感謝の気持ちを伝えた。齋藤幸子さん(67)は「震災を機に住民の顔を知った。体調を崩し、会には半分ほどしか出られなかったが、開催には意味があったと思う」と振り返った。

 

 運営の中心的役割を担ってきた柴田渥さん(74)=同町内会事務局長=は「毎月10日を楽しみにしてくれた人もいて、それが一番の宝。いろいろ考えたメニューを『おいしい』と食べてくれる姿にも感動。こんなに続くとは思わなかった」。会の終了に寂しさを覚えながら、「住民の高齢化が進む。お互いに見守り合えるような町内になっていければ」と願った。

  

 松原町内会では震災で24人(関連死含む)が犠牲になった。震災前は230世帯、約500人が暮らし、事業所も30ほどあったが、津波で全体の3分の2が被災。住民の帰還は進まず、現在は約90世帯の居住にとどまっている。

 

 八幡会長は「コロナ禍で外出自粛傾向にあり、ストレスもたまりがち。独居高齢者の孤独死も懸念される。今後はお茶っこの会のようなものを不定期でも開催し、住民の孤立を防ぎたい」と話した。

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