タグ別アーカイブ: 文化・教育

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見て触れて学ぶ!科学の楽しさ、情報通信技術がもたらす未来 釜石でまるごと体感

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人型ロボットとの対話を楽しむ親子連れ

  
 最先端の科学や情報通信技術(ICT)に触れる「いわてまるごと科学・情報館」は16日、釜石市大町の市民ホールTETTOで開かれた。県内の先端技術に関わる企業や研究機関が集まる、科学・情報の文化祭といえるイベント。子どもはもちろん、大人も楽しみながら最新技術がもたらす未来社会を体感した。
   
 県内企業や研究機関など12団体が展示・体験コーナーを用意。国際リニアコライダー(ILC)計画やブラックホール、バイオテクノロジーを使った研究などをパネルで紹介したほか、病気や障害などで外出が困難な人たちの社会参画を支える分身ロボット「オリヒメ」、人型ロボット「ペッパー」、コミュニケーションロボット「ソータ」などと対話を楽しむ体験が提供された。
  
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子どもたちは分身ロボット「オリヒメ」の操作体験に夢中

 
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VRゴーグルを身に着け、仮想空間を楽しむ子どもたち

  
 仮想現実(VR)の映像技術などを用いた疑似体験も多数紹介された。来場者は、自転車に乗りながらスマートフォンを見たり操作したりする「ながらスマホ」の危険性や西和賀地区の美しい河川流域をめぐる楽しさなどを体感した。
  
 専用のVRゴーグルを装着して高さ約20メートルの鉄塔での作業を体験し、「落ちたー。リアルに怖い。ひざがガクガクする」と目を見開いていたのは大船渡市の熊谷陽向(ひなた)君(大船渡小5年)。将来の夢は「天文学者」でブラックホールに関する展示を目当てに足を運んだが、「いろんな体験ができて楽しい。プログラミングとかにも挑戦してみたい」と刺激を受けた。母あゆみさん(38)は、普段できない体験に目を輝かす愛息を見つめ「どんな夢でも応援したい」と笑みをこぼした。
  
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「深海生物のフシギ」を紹介した藤倉さん(右から2人目)

 
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深海生物の標本に子どもたちは興味津々

  
 特別セミナーとして、海洋研究開発機構(神奈川県横須賀市)の藤倉克則上席研究員が「深海にいるユニークな生き物」をテーマに講演。科学で解明してきた深海生物の生態について解説し、「まだまだ謎だらけ。変な形や巨大ということも面白い深海生物だが、生き方を知るのはもっと面白い。暗く冷たい、大きな水圧、食べ物が少ないなど人間から見たら過酷な環境で生きるためにいろいろ工夫している」と衰えない探究心を示した。「ミツクリエナガチョウチンアンコウ」「オオメンダコ」「ナギナタシロウリガイ」など日本近郊で採取した深海生物の標本なども紹介し、子どもたちの知的好奇心をくすぐった。
  
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親子でさまざまな体験を楽しんだ

  
 県や大学、民間事業者などでつくるいわてまるごと科学館実行委員会、いわてSociety5.0実行委員会が主催。これまで別々に行っていた科学技術振興の普及啓発イベント「いわてまるごと科学館」と情報通信やICT利活用の利活用促進の普及啓発イベント「いわてICTフェア」を集約した。新型コロナウイルス感染症の影響で20年は各イベントをオンライン開催、集約して実施予定だった21年は中止しており、実地での開催は3年ぶりとなった。
  
 両実行委事務局を担う県ふるさと振興部化学・情報政策室の大橋真里菜主任(デジタル推進担当)は「科学、情報通信技術がもたらす未来を体感してもらい、これからの生活を考えるきっかけにしてもらえたら。大事な技術に関わる人材の育成にもつなげたい」と期待した。

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災害対応の現場を知る!釜石商工高電気電子科 非常時につながる漁業無線 役割学ぶ

モールス信号を打ちながら震災時を振り返る東谷傳局長(右)

モールス信号を打ちながら震災時を振り返る東谷傳局長(右)

  
 東日本大震災発生時、「地域の命綱」として漁業無線が活躍した―。非常時につながる漁業無線の役割を学ぼうと、県立釜石商工高(伊東道夫校長、生徒201人)の電気電子科1年生(10人)は13日、釜石市大平町の釜石漁業用海岸局(通称・釜石漁業無線局)を見学した。釜石局は震災時に避難者を収容する一方、通信と中継機能を生かし、迅速で正確な情報発信を重ねて災害対応に貢献。東谷傳(つたえ)局長(67)は当時の緊迫した状況を振り返りながら、「通信障害がいつ起こるか分からない。あらゆる手段の想定を」と伝えた。
  
震災発生当日の無線局の対応を伝える東谷局長

震災発生当日の無線局の対応を伝える東谷局長

  
 「どう命を守るか、考えるきっかけにしてほしい」。大きな受信機が並ぶ通信室で東谷局長が講話した。当時の津波映像や釜石局が発した非常通信情報の音声記録を流し、モールス信号を打ちながら緊迫した状況を再現。「当時の電波法で、無線局同士の連絡はご法度。違法性の懸念を局員に指摘されたが、覚悟の通信だった」と振り返った。
  
 電話回線が不通となる中、国際遭難周波数を使い、千葉、茨城、青森、大船渡と連絡設定。千葉、茨城を通じて県庁との連絡手段を確保した。日没後、海抜70メートルの高台に位置する局舎には自家発電の明かりを頼りに住民らが避難。東谷局長は市内の状況を県に伝えた後、局の近くにある同校に残った生徒、教職員、住民らの名簿を確認し、他県の無線局を経由して安否情報などを県庁に送信した。
  
 1933(昭和8)年の三陸大津波の際も同様の通信が活躍したことも紹介し、「アナログの無線通信は、非常時に通信が途絶した際、その通信網を補完するために活用できる可能性がある」と強調。最近、発生した通信大手の大規模通信障害に触れ、「通信障害はいつ起こるか分からない。あらゆる手段の活用を想定し、日ごろから備えることが大切」と説いた。
 
メモを取りながら大震災の活動を学ぶ釜石商工高生

メモを取りながら大震災の活動を学ぶ釜石商工高生

  
大きな送信機が並ぶ局内も見学した

大きな送信機が並ぶ局内も見学した

  
 村上颯人君は「焦ったと思うが、しっかり情報を伝えられたのはすごい。災害時に使える無線はこれからも必要になる」と実感。震災当時は小さかったが、津波の怖さは感覚として残っているといい、「備える大切さを伝えたり、命を守るため自分たちにできることを考えたい」と意識を高めた。
  
 同校の復興教育の一環。地元で行われた災害対応について学び、地域の復興・発展を支える人材の育成を目的にする。電気や電子という専門分野に関する興味・関心、学習意欲を高めてもらう狙いも。14日には2年生(14人)が釜石局を見学した。
  
釜石漁業用海岸局の外観

釜石漁業用海岸局の外観

   
 釜石局は1929(昭和4)年に開局。釜石無線漁業協同組合が管理し、県知事と同組合の二重免許を受ける。職員は5人。主に釜石地域に所属する大型漁船(遠洋マグロ船など)40隻、小型漁船(イカ釣り船など)180隻と通信。漁船の動静確認などを毎日行っている。釜石局を示す信号符字は「JFT」。

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コロナ下、地域交流に一手 作品展示で老人ホームを元気に―あいぜんの里(釜石・平田)

あいぜんの里で開かれている小野寺浩さんの作品展「色を聴く」

あいぜんの里で開かれている小野寺浩さんの作品展「色を聴く」

 
 釜石市平田の特別養護老人ホームあいぜんの里(古川明良施設長、長期利用者50人、短期利用者20人)で、地元の美術集団「サムディ45」所属の小野寺浩(ゆたか)さん(62)=甲子町=が作品展「色を聴く」を開いている。新型コロナウイルス禍で外部との触れ合いを控えている施設利用者や職員たちに「元気を届けたい」と企画。動物や人物などの愛らしい表情を描いた色鉛筆画、パステル画約40点が並んでいる。
 
 同施設ではコロナ禍前から、利用者らの外出機会が減る冬期に「芸術で潤いを」と考え、別の絵画グループの作品展示を行ってきた。今回はサムディ事務局の橘内道子さん=平田=が、同級生の古川施設長に話を持ち掛け、実施が決まった。
 
 小野寺さんは5年ほど前、市内のパステル画教室に参加したのをきっかけに本格的に絵を描き始めた。もともと色鉛筆画に興味があったことから、画材を併用した作品づくりを開始。サムディのほか、陸前高田市や宮古市の美術団体にも所属し、精力的に制作活動を行っている。母親が別の施設を利用していて、感染症流行前には利用者に楽しんでもらおうと施設でパステル画講座を行ったことも。「世の中が落ち着いたら再開したい」と思っていたこともあり、橘内さんの提案を引き受けた。
 
施設職員と展示作業に取り組む小野寺さん(右)

施設職員と展示作業に取り組む小野寺さん(右)

 
動物や人物、静物などを描いた作品が並ぶ

動物や人物、静物などを描いた作品が並ぶ

 
 6月21日、小野寺さんが追加の作品を持ち込み、施設職員らと展示作業を進めた。窓辺でくつろぐ猫や飼い主になでられ目を細める犬などを描いた作品がお目見えし、離れた場所から作業の様子を見つめる利用者らは「まるでかわいい」「癒される」とにっこり。躍動感あふれる虎舞、凜とした舞妓(まいこ)の姿なども並び、「美術館みたいだ」と一味違う雰囲気を感じていた。
 
 「高齢者施設では塗り絵を楽しんでいる人もいて、色鉛筆はなじみがある。身近にあって気楽に描ける。好きな色を使うから、同じ絵柄でも違った作品になる」と小野寺さん。カリカリ、サラサラ、カツカツ、シャリシャリ…色や芯の太さで異なる「音を聴く」のも楽しみどころとして強調する。今回は「作品を見て会話のきっかけにしてほしい」と願う。
 
仕事の合間に美術鑑賞を楽しむ職員の姿も

仕事の合間に美術鑑賞を楽しむ職員の姿も

 
 同施設では人の出入りを制限してきたが、感染状況が落ち着く中、徐々に緩和。「外からの刺激は利用者の心身の健康に影響する」(古川施設長)といい、大型テレビを使ったインターネット中継で利用者と家族をつなぐなど工夫している。地域との交流も再開させたい考えで、その一手となるのが今回の作品展示。外部の活動を受け入れることで、利用者への刺激が増えることを期待する。
 
 ただ、外部の人との直接的な触れ合いはまだ先になりそう。今回も小野寺さんと利用者の交流や、作品鑑賞のための地域住民への告知は控えた。古川施設長は「IT技術の活用などポストコロナでできる仕掛けを作っていきたい」と思案中。橘内さんは市芸術文化協会の事務局も担っていて、「さまざまな団体の作品を四季折々展示できるようになれば。あいぜん美術館だ」と、古川施設長は夢を膨らませていた。今後、展示された作品を施設ホームページで紹介するという。
 
あいぜんの里で作品を展示している小野寺さん。近々テットでも作品展を開く

あいぜんの里で作品を展示している小野寺さん。近々テットでも作品展を開く

 
 あいぜんの里での展示は7月17日までを予定。小野寺さんの作品を見る機会はすぐにやってきて、29日からは大町の市民ホールTETTOギャラリーで楽しめる。地元のアーティストを紹介するホール主催の展示会「art at TETTO(アート アット テット)」の第5弾。「色を聴く」と題し、8月7日まで鑑賞できる。期間中の7月30日、31日にはワークショップ(有料)を実施。色鉛筆やパステル、クレヨンなど、さまざまな画材を使った塗り絵体験ができる。

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電気やエネルギーをもっと知って! 釜石・小佐野小で出前講座 東北電力

手回し発電機を使った実験に取り組む小佐野小4年生

手回し発電機を使った実験に取り組む小佐野小4年生

 
 釜石市小佐野町の小佐野小(千葉裕之校長、児童288人)の4年生66人は22日、東北電力岩手支店(近藤一英支店長)のエネルギー出前講座を受け、電気の重要性や発電の仕組みなどについて理解を深めた。
 
クイズで振り返りながら進む講座に児童は積極的に参加した

クイズで振り返りながら進む講座に児童は積極的に参加した

 
 講座はクラスごとに行い、1組(34人)の授業では同支店の社員らが、電気が家庭に届くまでの工程や発電方法のメリットとデメリットを解説した。エネルギー資源を選ぶ時のポイントは、▽安定的に手に入る▽値段が安い▽地球環境への影響が少ない(発電するときに出す二酸化炭素の量など)―ことと説明。3つ全てが当てはまる完璧な資源はなく、安定供給にはさまざまな方法(火力・水力・原子力など)を組み合わせて発電する「エネルギーミックス」という考え方が大事になると伝えた。
 
火力発電の仕組みを見せる模型に子どもたちは興味津々

火力発電の仕組みを見せる模型に子どもたちは興味津々

 
「光った」。児童たちは力を合わせて豆電球を点灯させた

「光った」。児童たちは力を合わせて豆電球を点灯させた

 
 手回し発電機を使った実験にも挑戦。高山柑菜さんは「電気をつくるのはすごく大変だった。当たり前にあるものだと思っていたけど、大切に使わないといけないと思った。知ったことを家族にも伝えて、できるだけ節約するようにしたい」と意識を高めた。
 
 日本のエネルギー自給率は約10%で、多くを輸入していることを知った梅島貴春君は、輸入先(国)が気になった様子。「電気やエネルギーのことをもう少し勉強してみたい」とうなずいた。
 
電気の力やエネルギーの大切さを伝える東北電力の出前講座

電気の力やエネルギーの大切さを伝える東北電力の出前講座

 
 講座は同支店が2019年から県内小中学校を対象に開くエネルギーチャレンジ校の一環。出前講座、発電所など施設見学、学習成果発表会・サイエンスショーを組み合わせたプログラムで、子どもたちが電気やエネルギーについて関心を持ち、考えるきっかけにしてもらうのが狙い。本年度、釜石市内では同校のほか、栗林小でも実施し、すでに講座と施設見学を終えた。一関市の新沼小も実施校に選ばれている。

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コロナ禍3年目 感染防止対策継続し8競技で熱戦~釜石大槌地区中総体~

釜石大槌地区中学校総合体育大会=18日

釜石大槌地区中学校総合体育大会=18日

 
 2022年度釜石大槌地区中学校総合体育大会(中総体)は18日、地区内の公共体育施設や学校施設で行われた。新型コロナウイルス禍での大会開催は今年で3年目。会場形態により一部競技は保護者の観戦制限が緩和されたが、各種対策の徹底は今も続く。入学時からコロナ対策をしながら部活動を続けてきた3年生。さまざまな苦労を乗り越えながら迎えた集大成の大会で、これまで培った技と力を存分に発揮した。
 
 少子化による生徒数の減少などで、団体競技は他校との合同チームでの出場が目立つ同大会。本大会は、サッカーで対戦のための人数がそろわず地区予選を断念。8競技での大会開催となった。
 
ソフトテニス男子は釜石、大槌の2校が県大会出場権をかけ対戦=大槌高

ソフトテニス男子は釜石、大槌の2校が県大会出場権をかけ対戦=大槌高

 
昨年の新人戦に続く優勝を目指す甲子女子ソフトテニス

昨年の新人戦に続く優勝を目指す甲子女子ソフトテニス

 
 釜石市の平田公園野球場で行われた軟式野球は出場4チーム中、2チームが合同チーム。1回戦の「大平・唐丹」対「釜石」の試合は規定の7回を終えた時点で1-1の同点。延長戦は無死1、2塁の状態から1イニングを行い、得点の多いチームを勝ちとする特別ルール(タイブレーク方式)で行われ、2点を追加した大平・唐丹が延長8回3-1で勝利した。
 
延長戦で追加点を上げる大平・唐丹合同チーム=平田公園野球場

延長戦で追加点を上げる大平・唐丹合同チーム=平田公園野球場

 
 スタンドでの保護者観戦が可能となり、初めて間近で次男快君(大平中3年)の雄姿を目にした金野悟さん(52)は喜びを口にし、「スポ少から一緒に頑張ってきたメンバーなので、最後に優勝できれば。今までの練習の成果を存分に発揮してほしい」と選手たちにエール。
 
 決勝は「大平・唐丹」と「大槌・吉里吉里・釜石東」の合同チーム対戦となり、10-0(5回コールド)で大平・唐丹が勝利。県大会出場を決めた。唐丹の野球部員4人は授業後、大平中に通い練習を重ねてきた。唯一の3年生岩澤優真君は「最後の中総体で県大会出場を決められてうれしい」と笑顔。スポ少時は捕手だったが、中学から投手に転向。「コントロールに苦戦したが、昨年の新人戦から改善して今回はいい形で終わることができた。県大会も優勝目指して頑張る」と意気込んだ。
 
昨年の新人戦に次ぐ優勝を収めた大平・唐丹合同チーム

昨年の新人戦に次ぐ優勝を収めた大平・唐丹合同チーム

 
選手の頑張りを拍手でたたえる保護者

選手の頑張りを拍手でたたえる保護者

 
 市民体育館を会場としていたバドミントンは、地震の影響で同館が使用できないため、本大会は男子が唐丹中、女子は大平中の体育館で試合が行われた。男子は3校、女子は5校が出場。団体戦(2複1単)は総当たりのリーグ戦、個人戦は単複ともトーナメント戦で優勝を競った。
 
 昨年の新人戦に続く優勝を狙う大平女子は団体の初戦で、緊張から動きに少し硬さが見られたものの、徐々に本領を発揮。堀内唯花キャプテン(3年)は「新人戦以降、個々の実力を上げられるよう基礎メニューを頑張った。もっと力を出せる」。松下怜桜愛(れおら)部長(同)は「一心不乱、ネバーギブアップをスローガンにやってきた。最後まであきらめない」と勝利への執念を見せた。結果は、大平が団体、個人(単・複)ともに優勝。県大会初戦突破を目標に掲げ、さらなる精進を誓った。
 
バドミントン女子は大平中体育館で熱戦を繰り広げた

バドミントン女子は大平中体育館で熱戦を繰り広げた

 
団体初戦のダブルスに挑む大平女子のペア

団体初戦のダブルスに挑む大平女子のペア

 
 バスケットボールは大槌学園体育館が会場。男子4校、女子3校が出場した。男子の注目は、昨年の新人戦で地区代表として県大会に進み、初優勝を成し遂げた釜石。本大会決勝は152-21の大差で大平を制し、安定の実力で県大会出場権を手にした。
 
 鈴木琥太郎キャプテン(3年)は「冬場はみんなで走り体力をつけた。持ち味のディフェンスの強度をさらに上げ、全員の攻撃力アップにも力を入れてきた」と昨秋からの成長ぶりを強調。小澤歩武主将(同)も「キャプテンを中心にまとまり、声を掛け合ってチームプレーができている」と仕上がりに自信をのぞかせる。次に狙うは2回目の県制覇。「県大会優勝。東北ベスト4」という目標達成に向け、「簡単ではないが、しっかり足元を固めて一戦一戦集中して戦っていきたい」と小澤主将。
 
バスケットボール男子決勝「釜石(白)―大平」=大槌学園

バスケットボール男子決勝「釜石(白)―大平」=大槌学園

 
次の目標「県大会優勝」へ士気を高める釜石中男子バスケットボール部

次の目標「県大会優勝」へ士気を高める釜石中男子バスケットボール部

 
 各競技の地区代表が出場する県中総体は7月16~18日に県内各会場で開催される。

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小川川ワッカラ淵で水生生物調査 釜石小4年生が郷土の河川環境学ぶ

釜石小4年生が取り組んだ水生生物調査=13日

釜石小4年生が取り組んだ水生生物調査=13日

 
 釜石小(及川靖浩校長、児童92人)の4年生20人は13日、釜石市の小川川中流、ワッカラ淵で水生生物調査を行った。郷土の自然への理解を深め、環境保全意識を育むことなどを狙いとした総合的な学習の一環。児童らは水中にすむ小さな生き物を探し、見つかった種類から川の水質を判定する調査を体験した。
 
 調査学習には市生活環境課とまちづくり課の職員が協力。県環境アドバイザーの加藤直子さん(かまいし環境ネットワーク代表)が講師を務めた。児童らは5月に事前学習も行い、加藤さんから水辺にすむ生き物なども教わっている。
 
講師の加藤直子さんらが調査の仕方について説明

講師の加藤直子さんらが調査の仕方について説明

 
 この日は6班に分かれて生き物を採集。川底の石を拾い上げ目を凝らすと、さまざまな生き物が見つかった。児童らは普段あまり見かけない姿かたちをした生き物に興味津々。水を張ったバットに入れてじっくり観察した。
 
川に入り、生き物がくっ付いていそうな石を探す

川に入り、生き物がくっ付いていそうな石を探す

 
「何かいる~!」。発見した生き物は?

「何かいる~!」。発見した生き物は?

 
見つけた生き物を見せ合いっこ!

見つけた生き物を見せ合いっこ!

 
 約40分間、生き物探しを楽しんだ後は、班ごとに水生生物表と照らし合わせ、調査票に記入。最後に全員で確認した。水質階級は見つかった種類と数が多かった種類の合計で判定される。階級は▽きれいな水▽ややきれいな水▽きたない水▽とてもきたない水―の4つ。児童らが見つけたのはカワゲラ類、ヒラタカゲロウ類、ナガレトビケラ類など「きれいな水」にすむ生き物が多く、小川川は「きれいな川」であることが分かった。この日は、清流にすみ、美しい鳴き声が特徴のカジカガエルの声も確認。卵も見ることができた。
 
水生生物表の写真と見比べ、見つけた生物を特定

水生生物表の写真と見比べ、見つけた生物を特定

 
最後は各班から出された情報を基に水質判定

最後は各班から出された情報を基に水質判定

 
 中澤朋哉君は「初めて見る生き物がたくさんいた。地域の川がきれいだと聞いてうれしい。川を守るためにも、ごみはちゃんと決められた所に捨てたい」。藤元美和さんは「最初は水が濁っている感じがして汚いのかと思ったけど、(きれいな水にすむ)ヘビトンボ(幼虫)も見つけて、きれいな川だと分かった。環境のために自分でできることをしていきたい」と意識を高めた。
 
 「川には一生懸命生きている虫たちがいる。ワッカラ淵にはきれいな水でないと生きていけないホタルもいる。家に帰ったら、川を汚さないためにどうすべきか家族で話し合ってみて」と加藤さん。自然に親しみ、生き生きとした表情を見せる児童らを目の当たりにし、「生で本物に触れる大切さを常々感じていた。子どもたちにこういう機会をたくさん作ってあげてほしい」と願った。

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手を取り学び合う「茶の友に」 裏千家茶道こども教室・釜石 稽古スタート

裏千家茶道こども教室がスタート。お茶のいただき方を教わった

裏千家茶道こども教室がスタート。お茶のいただき方を教わった

  
 2022年度釜石市裏千家茶道こども教室(同実行委員会主催)は4日、始まった。初めて受講する2人を含む小、中、高校生19人が参加。来年1月まで16回にわたり、礼儀作法からお点前まで茶道の知識や技を学び合う。
  
 この日、稽古場となる中妻町の昭和園クラブハウスで開講式が行われた。同実行委の菊池宗英会長が「素直な気持ちで稽古に臨んでほしい。失敗を重ね、反復することで学びが深まっていく。手を取り合っていきましょう」とあいさつ。受講生と講師が全員で「利休道歌」と教室の「誓いのことば」を唱和した。
   
開講式で教室の進め方などの説明に耳を傾ける受講者ら

開講式で教室の進め方などの説明に耳を傾ける受講者ら

   
 式終了後、講師による呈茶、模範点前として「平点前」が披露された。「和敬清寂」としたためられた掛け軸、ニッコウキスゲやヤマボウシなど季節の花が生けられた茶席を用意。茶道具に用いられた茶しゃくの銘は「茶の友」で、「みんな、お友達になってほしい」という願いを込めた。
  
講師の模範手前に目を注ぎつつ、お菓子をいただく子どもたち

講師の模範手前に目を注ぎつつ、お菓子をいただく子どもたち

  
「お先にいただきます」。子どもたちは茶道を通じ心遣いも学ぶ

「お先にいただきます」。子どもたちは茶道を通じ心遣いも学ぶ

  
 講師にもてなされた受講生たちは緊張したり、恥ずかしそうな様子が見られた。教室に連続参加する子どもたちは模範手前を真剣なまなざしで見つめ、自分たちとの違いを確認。初参加の2人には講師が寄り添い、お菓子とお茶のいただき方を教えた。
  
 習い始めの菊池咲里(さり)さん、前田瑛里(えり)さん(ともに小佐野小1年)は少し緊張気味だったが、「こども園でやったことがある。もっと上手になりたい。お茶はおいしくて好き」と、はにかみながら顔を見合わせた。5年目の参加となる小笠原統哉君(鵜住居小5年)は「盆点前を習っている。少しずつできることが増えるのがうれしい。人前でしっかりできるよう作法を身に付けたい」と背筋を伸ばした。
   
初参加の子は少し緊張した様子。講師は優しい笑顔でもてなした

初参加の子は少し緊張した様子。講師は優しい笑顔でもてなした

   
 同教室は2004年度に始まった。裏千家又新会を母体に組織した実行委の講師12人が子どもたちの習熟度に合わせて指導。歩き方や座り方、立ち居振る舞いなどの礼儀、茶のたて方のほか、茶道の楽しさも伝える。7月は岩手支部のチャリティー茶会が釜石で予定されており、子どもたちも参加する。教室の開催にあたり、文化庁の伝統文化親子教室事業の助成を受けた。
  
 現在、受講生を募集中。受講料は1人2000円。問い合わせは事務局の戸村宗妙さん(電話0193・23・8348)へ。

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3年ぶり有観客開催~全国虎舞フェスティバル~市内外の9団体が躍動の演舞

観客を入れて行われた「第12回全国虎舞フェスティバル」

観客を入れて行われた「第12回全国虎舞フェスティバル」

 
 釜石市内外の虎舞伝承団体が集う第12回全国虎舞フェスティバル(釜石観光物産協会、市主催)が5日、大町の市民ホールTETTOで開かれた。新型コロナウイルス感染拡大の影響で一昨年は中止、昨年は映像配信となり、有観客開催は3年ぶり。参加9団体は久しぶりの大舞台に喜びを感じながら熱演。約400人の観客も胸を躍らせながら伝統の舞を堪能した。
 
 本フェスティバルは当初、2月に予定されていたが、新型コロナの感染状況から延期を決め、4カ月遅れの開催となった。開会にあたり野田武則釜石市長は「“全国”と銘打った虎舞フェスは釜石だけ。今年は寅年。あらためて目を向け、虎舞から元気をもらってほしい」とあいさつした。
 
 釜石市からは同市の無形文化財に指定されている錦町虎舞(1998年指定)、尾崎町虎舞(尾崎青友会、98年同)、鵜住居虎舞(鵜住居青年会、2012年同)など6団体と、市内7団体で組織する釜石虎舞保存連合会が出演。代表的な3演目(矢車、跳ね虎、笹喰み)や手踊りを披露し、観客を楽しませた。
 
平田虎舞(平田青虎会)のステージ。踊りは地元の舘山神社祭典で奉納される

平田虎舞(平田青虎会)のステージ。踊りは地元の舘山神社祭典で奉納される

 
市無形文化財5虎舞の一つ、尾崎町虎舞(尾崎青友会)。浜町2丁目(旧称・台村)に伝わる

市無形文化財5虎舞の一つ、尾崎町虎舞(尾崎青友会)。浜町2丁目(旧称・台村)に伝わる

 
各団体の演舞を楽しみ、大きな拍手を送る観客

各団体の演舞を楽しみ、大きな拍手を送る観客

 
 市外からは大槌町の陸中弁天虎舞、宮城県加美町の同消防団「中新田火伏せの虎舞保存会」が出演した。加美町の虎舞は室町時代から継承され、650年以上の歴史を誇る。毎年4月29日の初午(はつうま)祭りで踊りを奉納し、地域を練り歩いて家々の防火や家内安全を祈願する。同県の重要無形文化財。釜石での演舞は1992年、2014年、18年に続き4回目。今回は30~60代のメンバー20人が訪れた。
 
加美町消防団 中新田火伏せの虎舞保存会は防火祈願の舞を披露

加美町消防団 中新田火伏せの虎舞保存会は防火祈願の舞を披露

 
客席を回るのに替えて写真撮影タイム。独特の虎頭をパチリ!

客席を回るのに替えて写真撮影タイム。独特の虎頭をパチリ!

 
 同保存会の大杉義和会長(61)は「コロナ禍で地元の祭りもここ3年中止。今回、大きな舞台での発表機会をいただけたことは非常にうれしく、メンバーも達成感でいっぱい。伝統芸能継承のためにも、来年は何とか祭りができれば」と願った。
 
 釜石市内では各地で14の虎舞が保存、継承される。同フェスティバルは1992年に開かれた「三陸・海の博覧会」の釜石会場で初開催された後、2010年から年度事業として定着。11年の東日本大震災後も会場を転々としながら継続し、震災復興に向かう市民らに大きな力を与えてきた。
 
 中妻町の澤村幸治さん(74)は「被災前の市民文化会館での開催から見ている。近年はコロナ禍で地域の祭り行列がなくなっているので、虎舞を見られる貴重な機会。懐かしさと共に心が躍る」と話し、秋の釜石まつりの復活に期待を込めた。
 
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 本フェスティバルの模様は後日、ユーチューブチャンネル「かまいしの観光」で配信するほか、DVDの販売も予定する。

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ナツハゼ苗木、育成中 全国植樹祭へ 釜石・栗林小「大事にお世話」

全国植樹祭に向け苗木育成事業に取り組む栗林小児童、県職員ら

全国植樹祭に向け苗木育成事業に取り組む栗林小児童、県職員ら

  
 釜石市栗林町の栗林小(八木澤江利子校長、児童33人)は、来春本県で行われる第73回全国植樹祭(県など主催)に向けた苗木の育成事業に取り組んでいる。1、2年生8人がナツハゼの苗木10本を育成中。12月上旬まで世話をする予定で、「どんどん大きくなるよう、水やりを頑張る」と意欲を見せる。
   
 植樹祭で植栽する苗木を県内の小中学校の児童生徒に育ててもらう取り組み「苗木のスクールステイ」の一環。児童生徒に森林づくりの大切さを伝え、植樹祭成功の機運醸成を図ることを目的にする。本年度は県内54の学校や緑の少年団などが取り組んでおり、苗木計445本の育成を委託する予定。釜石・大槌地域では3校で実施している。
  
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「大事に育てるぞ」。県職員(右)からナツハゼの苗木を受け取る児童

   
 3日、県沿岸広域振興局農林部の職員3人が同校を訪問。育成を担当する児童らは緑の少年団「橋野森林愛護少年団」として、赤い帽子と緑のスカーフを身に付けて出迎えた。同部林業振興チームの主査林業普及指導員、新井隆介さんが子どもたちに苗木を引き渡した。
  
苗木に興味を示す子どもたち。水やりのタイミングを教わった

苗木に興味を示す子どもたち。水やりのタイミングを教わった

 
「大きくなって」と水やり。12月まで成長を見守る

「大きくなって」と水やり。12月まで成長を見守る

   
 受け取った子どもたちは、ナツハゼに興味津々。同部職員から、▽国内に自生するツツジ科の落葉低木で、黒い実を付けることから「和製ブルーベリー」とも呼ばれている▽夏にハゼノキのような紅葉を見せるのが名前の由来―などと特徴を聞き取った。「土を触ってみて、乾いていたら水をたっぷり上げてください。根元に優しくかけてあげて。花がいっぱい咲き、実がたくさん付くように大事に育ててほしい」と依頼を受けた児童は元気に「はーい」と応えた。
   
 佐々木貫汰君(2年)は「ナツハゼという植物を初めて知った。木が腐らないようにみんなと一緒に水やりを頑張る。葉っぱの色が変わったり、花が咲いたり、実がなるって聞いたから、変わるところを観察しながら育てたい」と胸を張った。
  
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森林づくりの大切さを伝える学習で自然への興味関心を高める子どもたち

   
新井さんによる森林環境学習も行われた。「いわて森林(もり)の恵みガイドブック」を使い、森林の働きや林業の仕事を解説。児童は、「県の木は?」というクイズに挑戦しながら、自然に対する理解や興味関心を高めていた。
   
 育てた苗木は12月に回収され、2023年春に陸前高田市の高田松原津波復興祈念公園で開催が予定される全国植樹祭で植えられる。

釜石商工高で行われた釜石コンパス。生徒たちは講師の話に熱心に耳を傾けた

夢への進路 社会人に学ぶ 釜石商工高でキャリア教育授業・釜石コンパス

釜石商工高で行われた釜石コンパス。生徒たちは講師の話に熱心に耳を傾けた

釜石商工高で行われた釜石コンパス。生徒たちは講師の話に熱心に耳を傾けた

  
 釜石商工高(伊東道夫校長、生徒201人)で24日、社会人から多様な生き方や価値観を学ぶキャリア教育授業「Kamaishiコンパス」が行われた。3年生87人が、先輩から働く喜びや心構えなどを聞き取り。対話を通じて将来・進路を考えた。
  
 製造業や水産加工業、福祉施設、薬局など市内7事業所の社会人8人による対面型講座のほか、保育士2人とつないだオンライン講座を用意。生徒は関心のある講座を1つ選んで、講師を囲み、進路や将来を決めた転機、現在の仕事のやりがいなどを聞いた。
 
講師には釜石商工高卒業生も。後輩たちに進路選択のヒントを伝えた

講師には釜石商工高卒業生も。後輩たちに進路選択のヒントを伝えた

 
 同校では3年生の8割が就職を希望。地元で働くことを望む生徒も多いというが、職種を決めることができずにいたり、進路に迷いを持つ生徒も少なくない。同校OGで日鉄テックスエンジ東北支店に入社4年目の八幡千夏さん(21)も進路選択で困った経験があり、気になる企業や自分に合う仕事の探し方を助言。自ら進んで調べたり、周囲の大人の意見に耳を傾ける姿勢が必要だと指摘した。高校時代には学んでいない電気設計という業務に携わるが、▽地域に貢献できる▽新しいことに挑戦できる―と前向きに捉えることも大事と強調。高校時代にやっておくこととして、「やっぱり勉強はした方がいい。特に数学。やったことはいつか役立つ場面がくる。必ず生きてくるので、いろんな知識を増やして」と伝えた。
 
 総合情報科の阿部紅愛(くれあ)さんは、「やりたいことはあるが自分に合っているか」と迷いを抱える。希望する職種について「大変だよ」と聞いたことが、足踏みさせているという。講師の「自分で人生を楽しくすることが大事」とのアドバイスが印象に残ったといい、「とりあえず、やってみようと思う。県外に就職して、いろんなものにも触れてみたい」と刺激を受けた。
 
社会人との個別対話は生徒の不安や悩みを和らげる機会に

社会人との個別対話は生徒の不安や悩みを和らげる機会に

 
 講師と1対1で向き合う時間も設けられ、生徒たちは積極的に質問を投げかけた。地元で高齢者と関わる仕事をすると決意を固めたのは機械科の鈴木瑛斗君。「人と話すのが好きで、楽しく働ける仕事だと思う。今のうちからコミュニケーション力を磨き、準備していく」と意欲を高める。趣味の釣りや幼少期から続けるラグビーを楽しめる環境に愛着を持ち、「家を守り、地域を担える人に」と未来を描く。
  
 同授業は釜石市と、市内の高校や民間団体で構成する実行委員会が連携して取り組む高校生のキャリア構築支援事業。生き方やキャリアの多様性を知り、視野を広げてもらおうと、2015年度に始まり8年目。本年度は同校と釜石高で計7回実施することにしている。

根浜シーサイドで行われたコアラキャンプで食を満喫する子どもたち

釜石と豪州 五輪後もつながり継続 コアラキャンプ〜オンラインで食・文化交流

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根浜シーサイドで行われたコアラキャンプで食を満喫する子どもたち

 
 東京五輪・パラリンピックでオーストラリアを相手国に復興「ありがとう」ホストタウンに登録され、交流活動を続けてきた釜石市。両地域をオンラインで結び、音楽・食・スポーツなどで交友を深めるイベント「コアラキャンプ」(同プロジェクト主催)が21、22日に開かれた。新型コロナウイルス感染拡大防止のため、参加は関係者らに制限したが、イベントの模様はネット配信され、一般市民らも自宅などで楽しんだ。
 
 鵜住居町の根浜シーサイドキャンプ場と、シドニー、パース、ブリスベンなどオーストラリア各地の会場をオンラインでつないだ交流プログラムを実施。オーストラリア大使館(東京都)、市国際交流課の職員らが運営に協力した。
 
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野田市長(左から2人目)やオーストラリア大使館関係者らは両地域の友好継続に期待を寄せる

 
 釜石会場には約50人が集った。イベントは21日午後6時にスタートし、同大使館の徳仁美さんが「皆さんは大切な友人。両国が深めてきた交流を継続できてうれしい」とあいさつ。通訳のマット・ダグラスさんは「キャンプを楽しむポイントは食。自然豊かな環境で、オージー・ビーフとワインを味わおう」と盛り上げた。
 
 野田武則釜石市長は青少年を中心としたスポーツ、文化交流、観光面での連携など友好関係の発展に期待。「コロナが収まったら、ぜひ釜石に」と呼び掛け、相互に訪問できる日が来ることを願った。
 
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オーストラリアと三陸産の食材が提供されたバーベキュー

 
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「外で食べるの、いいよね」。おいしい牛肉や海産物が食欲をそそる

 
 パース・スワンリバーと釜石を結んだバーベキューでは、オージー・ビーフの愛称で日本の食卓にも並ぶオーストラリア産牛肉、ラム肉などが提供された。三陸産のホタテやイカ焼き、刺し身などもお目見え。両地域の時差は1時間程度で、参加者は互いの様子を紹介し合い、雄大な景色を感じながら味わった。
 
 ジャズミュージシャンらによるオンラインライブがあり、イベントのために作った楽曲などを紹介。釜石会場では音楽家の小島ケイタニーラブさんが、NHKみんなのうた「毛布の日」、「荒城の月」などを歌った。パースにある天文台とつないだ星空交流も。北半球、南半球の星座の違いや星にまつわる物語を交換した。
 
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自然の中でおいしいもの味わいながら音楽も楽しんだ

 
 佐々木篠さん(小佐野小5年)は「外でご飯が食べられて楽しい。海も近くていい。いつか友達とキャンプしたり、花火がしたい」とにっこり。語学に関心があり、学校で英語の授業を楽しんでいるといい、「覚えた言葉で海外の人と交流してみたい」と目を輝かせた。
 
 22日は、オーストラリア各地の家庭を結んだ「朝ごはん(Brekkie)」紹介やシドニー在住のヨガ講師とつないで朝ヨガを体験。釜石シーウェイブス(SW)RFC選手らによるラグビー体験もあった。
 
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コロナ禍で参加者を限定して開催。交流を継続させる方法を模索する

 
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参加者はモニターに映された様子を見ながら交流を楽しんだ

  
 釜石市が同国を相手国に選んだのは、東日本大震災当時に釜石SWに所属していた同国出身のスコット・ファーディー選手が救援活動に尽力したり、震災後の海外派遣事業で中学生を受け入れるなど心を寄せていることに謝意を表すため。2017年11月のホストタウン登録以来、同国と青少年を中心とした交流活動を行ってきた。ここ数年はコロナの流行が続き、オンライン交流を企画。中学生らが動画メッセージをやり取りしたり、小学生はパラ選手から東京大会の様子などを聞き取ったりした。
 
 同キャンプは20年12月に続き、2回目の開催。市では「世界とつながるKAMAISHI―を目指し、継続的に釜石とオーストラリアの交流を深めるよう事業を展開していく」としている。

「オリジナル安否札」を手渡しながら防災を呼び掛けた「夢団」の活動

届け!「防災」の願い 釜高生 うのスタ震災伝承活動で「オリジナル安否札」配布

「オリジナル安否札」を手渡しながら防災を呼び掛けた「夢団」の活動

「オリジナル安否札」を手渡しながら防災を呼び掛けた「夢団」の活動

 
 釜石高の生徒有志で結成する防災・震災伝承グループ「夢団~未来へつなげるONE TEAM~」(30人)は8日、釜石市の釜石鵜住居復興スタジアムで防災啓発活動を行った。ジャパンラグビーリーグワン2部、釜石シーウェイブス(SW)RFCのホーム戦に合わせて実施。観戦客に東日本大震災の経験を伝え、新たに作成した「オリジナル安否札」の配布などで災害への備えの大切さを呼び掛けた。
 
 スタジアムでの試合開催時に伝承活動を続けている夢団。今季4回目の活動となったこの日は、12人が参加した。施設内に建つ震災の教訓を伝える祈念碑の前では、矢内舞さん、戸澤琉羽さん(ともに3年)が「語り部」活動。鵜住居で起こった当時の出来事などを伝え、命を守る行動、日ごろの備えの重要性を訴えた。
 
スタジアム内の祈念碑の前で行った震災伝承の「語り部」活動

スタジアム内の祈念碑の前で行った震災伝承の「語り部」活動

 
震災時、スタジアムの場所にあった鵜住居小、釜石東中の児童生徒の避難行動などを説明する戸澤琉羽さん。背後には高台移転した現校舎が見える

震災時、スタジアムの場所にあった鵜住居小、釜石東中の児童生徒の避難行動などを説明する戸澤琉羽さん。背後には高台移転した現校舎が見える

 
 メンバーの発案で作成したオリジナルデザインの安否札は、この日が初お披露目。災害避難時に玄関に掲示し、すでに避難したことを知らせる安否札は、家族や地域の犠牲を減らすことにつながる。B5判サイズで、表面には避難場所、裏面には連絡先や伝言を書き込める欄を設け、活用の仕方も記載した。メンバーは観戦客らに直接手渡し、防災意識を高めるのに一役買った。
 
安否札の使い方を説明する夢団メンバー(右)

安否札の使い方を説明する夢団メンバー(右)

 
 安否札を配った佐々木結咲さん(2年)は「初めて知った人もいるよう。今日は県外から来ている人も多く、震災の経験を伝えるにはいい機会。教訓を広め、防災を身近にしてもらい、これからの被害を少しでも小さくできたらいい」と願った。
 
 「夢団」は2019年12月に結成。同スタジアムが会場となったラグビーワールドカップ(W杯)開催時に、震災の教訓と復興支援への感謝を伝えようと活動した生徒らが、継続的な活動をしたいと団体を立ち上げた。生徒のアイデアで作成し、W杯来場者に配った「津波伝承うちわ」は団に受け継がれ、今も伝承活動で生かされる。これまでに6千枚を配り切り、今回の安否札作成に合わせて1千枚を増刷。2種のツールでさらなる防災力向上を促す。
 
この日は増刷した「津波伝承うちわ」も配られた

この日は増刷した「津波伝承うちわ」も配られた

 
 語り部を担当した矢内さんは震災時6歳。唐丹町の自宅が津波で全壊し、仮設住宅で7年間を過ごした。自身の経験も盛り込み、感じたことを伝える中で口にしたのは、多くの支援に対する感謝と助け合いの精神。「災害時は近隣はもちろん、見ず知らずの人でも助け合いや声掛けが重要」とし、「話を聞いた人が家庭や地域で広めてくれて、多くの人が防災知識を身に付けるきっかけになれば」と期待した。
 
自身の被災体験を交え、震災の教訓を伝えた矢内舞さん(右)

自身の被災体験を交え、震災の教訓を伝えた矢内舞さん(右)

 
 東京都の平木香織さん(38)は「当時、幼かった子たちが怖い思いをしながら逃げたこと。今、こうして自分たちの経験を次につなげようとする姿。話を聞いていると涙が出そうになった」と思いを共有。平木さんの母博美さん(65)=兵庫県神戸市在住=は、阪神・淡路大震災で実家が半壊した経験を持つ。「釜石の『津波てんでんこ』は有名。多くの子どもたちが助かったのは、家庭や地域で受け継がれてきたからなのだろう。率先して逃げられるのは(避難が)体に染みついている証拠」と地域の力を実感。全国で大規模災害が多発する現状に「重要なのは防災と減災。自然は止められないが、どう対処できるかを知っていることで被害を減らせることは確か」と話した。