タグ別アーカイブ: 文化・教育

kozantakara8032

太古の地球が生んだ鉱石に興味津々 釜石鉱山で親子らが“宝”探し!

鉱山(やま)の宝探し=釜石鉱山、7月30日

鉱山(やま)の宝探し=釜石鉱山、7月30日

 
 近代製鉄発祥の地「釜石鉱山」を楽しく学ぶイベントが7月30日、釜石市甲子町大橋の同鉱山周辺で開かれた。同市が主催する夏休み恒例の特別企画で、その名も「鉱山(やま)の宝探し」。市内の親子ら16人が参加し、日本最大の鉄鉱山として栄えた同鉱山の歴史や産出される鉱物について理解を深めた。
 
 関連資料を展示公開している旧釜石鉱山事務所で、市世界遺産課の森一欽課長補佐が鉱山の歴史を解説。釜石周辺は太古の大陸移動で別々の島が合体し隆起したことで険しい山ができ、マグマの上昇による熱変成で多様な岩石が生まれたという。同鉱山は1727(享保12)年に発見。後に南部藩士大島高任は同地に洋式高炉を築き、1858(安政4)年、日本初となる鉄鉱石を原料とした連続出銑に成功した。
 
 1880(明治13)年、現鈴子町に官営製鉄所が操業すると鉄道が開通。機関車で鉄鉱石を運んだ。製鉄所が民間経営となった後も供給は続き、“鉄のまち釜石”の繁栄を支えた。同鉱山からは銅鉱石、石灰石の採掘も行われたが、2000(平成12)年を最後に採掘を休止している。
 
旧釜石鉱山事務所鉱物室で同鉱山から採れる石を学ぶ参加者

旧釜石鉱山事務所鉱物室で同鉱山から採れる石を学ぶ参加者

 
 イベントでは座学に続き鉱物室を見学。同鉱山で見られる石を教えてもらった後、屋外のずり捨て場で鉱石探しに挑戦した。参加者は目を凝らし、色や形状、輝きなどを観察。手元の表と見比べ、名称を確認した。鉄鉱石は磁石を近づけて、引き寄せられるかどうかを見た。表面だけでは判断しにくい石は、職員にハンマーで割ってもらい内部を確認した。
 
積まれた石の山に目を凝らし“お宝”を探す

積まれた石の山に目を凝らし“お宝”を探す

 
「鉱石はどれかな?」じっくり見極めて…

「鉱石はどれかな?」じっくり見極めて…

 
お目当ての石を見つけようと子どもも大人も夢中

お目当ての石を見つけようと子どもも大人も夢中

 
 佐野海翔君(甲子小4年)は「鉱石の名前を覚えたい」と初めて参加。「鉄鉱石の他にもいろいろな石が見つかった。こんなに種類があるのはすごい」と驚いた様子。集めた石をどうするか聞くと、「磨いてピカピカにしたい」と目を輝かせた。
 
 菊池咲里さん(小佐野小1年)は、家族と訪れた鉄の歴史館で釜石の鉄づくりに興味を持ち、「(現地に)行ってみたい」と同イベントに参加。石で重くなった袋を両手に抱え、「いっぱい拾えて楽しかった。お家に持って帰って飾る」とにっこり。母孝子さんは「大人も楽しめるイベント。こういう体験はすごく貴重。市がいろいろ企画してくれるのはありがたい」と喜んだ。
 
見つけた「ざくろ石」を手に笑顔を輝かせる子ども。左下は「黄銅鉱」

見つけた「ざくろ石」を手に笑顔を輝かせる子ども。左下は「黄銅鉱」

 
 30分ほどの探索で、鉄鉱石、銅鉱石、石灰石のほか、ガーネットの結晶が見られる柘榴(ざくろ)石、黄緑がかった緑簾(りょくれん)石なども見つかった。集めた石は仕切りを施した箱に収め、名称を添えてオリジナルの鉱物標本を完成させた。
 
 参加者は同事務所裏の高台にあった小・中学校「釜石鉱山学園」跡地や山神社なども巡り、多くの労働者やその家族が暮らした往年の時代に思いをはせた。
 
ズリ堆積場(左上)と沢水を流す人工滝(右後)を背景に記念撮影

ズリ堆積場(左上)と沢水を流す人工滝(右後)を背景に記念撮影

 
釜石鉱山学園跡地から臨む堆積場。跡地案内看板の校舎写真(左下)と比べると山の谷間を埋め立てたのが分かる

釜石鉱山学園跡地から臨む堆積場。跡地案内看板の校舎写真(左下)と比べると山の谷間を埋め立てたのが分かる

innterhi_houkoku

晴れ舞台へ決意 全国に挑む釜石市内の児童生徒ら市長表敬 「悔いが残らないよう頑張る」

全国、東北大会での活躍を誓う釜石市内の小中高生

全国、東北大会での活躍を誓う釜石市内の小中高生

  
 スポーツの全国大会や東北大会に出場する釜石市内の小中学生、高校生らは7月29日、市役所を訪れ、野田武則市長らに晴れの舞台での活躍を誓った。野田市長は「懸命に取り組んできた分、得られものがある。持っている力を出し切って悔いのない大会に」と激励した。
  

インターハイ、高総祭、定通制大会へ釜石高生が意気込み

  
野田市長(左)に大会出場を報告した釜石高の選手代表ら

野田市長(左)に大会出場を報告した釜石高の選手代表ら

  
 四国4県を中心に開催中の2022年度全国高校総合体育大会(インターハイ)、東京都で行われる全国高等学校総合文化祭(高総祭)や全国高校定時制通信制体育大会に釜石高から9人が出場する。
   
 インターハイは空手道男子団体組手に7人が挑む。主将の佐藤蓮太君、岩間武蔵君(ともに3年)は個人組手にも出場。佐藤君は「練習してきたことを最大限出し切ってくる」、岩間君は「高校生活最後の大会。悔いが残らないよう全力を尽くす」と意欲を見せた。
  
 高総祭の弁論部門には千代川陽琉(はる)さん(2年)が参加。「『ガラスの壁』の向こうへ」と題し、ジェンダー平等への思いを発信する。「順位にこだわらず、自分の声を届けてきたい」と胸を張った。
  
 同校定時制の佐藤峻平君(1年)はバドミントン県代表選手団の一員として、個人戦に臨む。「これまで応援してくれた方の期待に応えられるようベストを尽くしたい」と抱負を語った。
 
全国大会に臨む決意を伝えた高校生を野田市長が激励

全国大会に臨む決意を伝えた高校生を野田市長が激励

   
佐藤君、岩間君を除いた空手道の出場者は次の通り。
▽男子団体組手=松田郷佑、坂本嘉之(2年)倉澤威琉、菊池遼誇、岩間瑛心(1年)
▽男子個人形=坂本嘉之
  

釜石、甲子中生は東北大会へ 全国切符を決めた釜石小児童の報告も

  
県大会の成績を手に市役所を訪れた小中学生

県大会の成績を手に市役所を訪れた小中学生

  
 東北各地で開かれる東北中学校体育大会には4競技に釜石中、甲子中から計25人が参加する。釜石中のバスケットボール男子(15人)は、県中総体の決勝で石鳥谷(花巻)と対戦し、延長までもつれる激闘を制して初優勝。キャプテンの鈴木琥太郎君(3年)は「感謝の気持ちを大事にしながら戦い、勝ちにいく」、小澤歩武君(同)は「目標のベスト4達成に向け頑張る」と闘志を燃やした。
  
 釜石中からは剣道男子団体に8人が参加。主将の山陰皇騎(おうき)君(同)は「応援されるチームを目標に最後まで全力でプレーする」と決意を語った。個人戦にも出る佐藤謙眞君(同)は既に全国切符を獲得。小学生の時にも全国大会に出場したが、1回戦で敗退していて、「今度は1回勝って、いい報告ができるようにしたい」と意気込む。柔道男子個人66キロ級に臨む佐々木孝一郎君(2年)は「初めての東北大会。負けないよう頑張る」と気合を入れた。
  
 甲子中の白岩優一朗君(2年)は水泳男子50メートル・100メートル自由形に出場。「練習は大変だけど、タイムが伸びるとうれしい。自己ベストで決勝に残れるよう頑張りたい」と背筋を伸ばした。
  
 7月に開催された県小学校陸上競技交流大会の男子5年100メートルで優勝した釜石小の志士富輝(しととみ・ひかる)君は、8月下旬に神奈川県で開かれる全国小学生陸上競技交流会への出場を報告。「ベスト8に残りたい」と目標を設定した。
  
大会出場に向けた意気込みを伝えた小中学生

大会出場に向けた意気込みを伝えた小中学生

  
出場報告に訪れた選手を除く東北大会参加者は次の通り。
▽バスケットボール=田村優空、小川裕輝、大瀧路羽、長谷川寛太、藤原大成、井上凰、小山多聞、押切康大(3年)川村惺雅、永澤泰雅、小原大空、川口竜馬、堀切奏汰(2年)
▽剣道=岩﨑暖、藤原悠生、宮本一輝(3年)菊池一颯(2年)山陰宗真、平松颯介(1年)

asaichi7138

中学生パワーで地域を元気に! 釜石東3年有志 朝市で販売活動&ソーラン

販売活動をした朝市でソーランを披露する釜石東中の3年生=鵜住居町

販売活動をした朝市でソーランを披露する釜石東中の3年生=鵜住居町

 
 釜石東中(佃拓生校長、生徒98人)の3年生35人は24日、学校近くの三陸鉄道鵜住居駅前で行われた「うのすまい・トモス朝市」に参加。海産物の販売や“東中ソーラン”の披露で、地域に活気をもたらした。総合的な学習の一環で本年度初の試み。積極的に取り組む生徒らの姿に来場者も笑顔を広げ、心温まる交流を繰り広げた。
 
 販売活動を行ったのは、NPOおはこざき市民会議(佐藤啓太理事長、箱崎町)のブース。生徒自らが芯抜き、袋詰めした塩蔵ワカメやホタテ焼き、ホヤの串焼きなどを販売した。この日に向け生徒らは、オリジナルの商品ラベル、販促ポップ、購入者へのメッセージカードとワカメ料理レシピを作成。販売開始前はテント設営から携わり、開店準備を整えた。
 
生徒らは手書きのワカメ料理レシピ、メッセージカードなどを作成した

生徒らは手書きのワカメ料理レシピ、メッセージカードなどを作成した

 
ホタテやホヤの炭火焼き担当は暑さと戦いながら懸命に準備

ホタテやホヤの炭火焼き担当は暑さと戦いながら懸命に準備

 
テントには自分たちで作った販促ポップを掲示

テントには自分たちで作った販促ポップを掲示

 
 午前9時、いよいよ販売開始。客の呼び込み、会計、炭火焼きなど作業を分担して取り組んだ。生徒の一部は、同時開催された「かまいし軽トラ市」のピーマン詰め放題コーナーをお手伝い。それぞれの役割をしっかり果たした。
 
「お買い上げありがとうございます!」

「お買い上げありがとうございます!」

 
会場内に出向いて、お客様にワカメ販売をPR!

会場内に出向いて、お客様にワカメ販売をPR!

 
生徒たちの呼びかけに多くの人たちが立ち寄った

生徒たちの呼びかけに多くの人たちが立ち寄った

 
 会場内では東中ソーランも披露。背中に「東魂」と書かれたそろいのはんてんを身にまとい、息の合ったパフォーマンスで来場者を楽しませた。会場を訪れた鵜住居町の70代女性は地域を盛り上げようと奮闘する生徒らの姿に「頼もしいねぇ~。ソーランも初めて見たがとても上手。子どもたちが頑張っているのを見るとこちらも元気になります」と顔をほころばせた。
 

 

 

 
 今回の取り組みは、地域貢献活動を考える中で生徒からアイデアを募って実現。昨年度、漁業体験学習で世話になった同NPOへの恩返しも兼ねて、販売活動を行うことになった。仕事に大切な心構えを学ぶとともに、地場産品への愛着、地域の一員としての自覚を高める狙いがある。
 
 佐々木里夏さんは「祖母からワカメ料理を教えてもらい、みんなでレシピにまとめた。お客さんを呼び込むのは難しかったが、買ってもらった時のうれしさは格別。(自分たちで生産した物を販売するのは)やりがいのある仕事だと思った」と実感を込めた。黒澤強優君は「コロナ禍でイベントが少なくなっていた。こういう場は地域のにぎわいにつながる。地元の産業を学ぶ機会にもなり、普段はできない販売体験も楽しかった」と声を弾ませた。
 
 2時間の朝市で生徒らが売り上げたワカメは59袋。最初に用意した分が1時間ほどで完売し、急きょ商品を補充するほどの盛況ぶりだった。

daiku1

師走恒例「かまいしの第九」へ再始動 3年ぶり開催、合唱メンバー「熱い歌声を」

年末の演奏会へ向けて合唱練習を始めた「かまいし第九の会」

年末の演奏会へ向けて合唱練習を始めた「かまいし第九の会」

  
 師走の釜石市を彩る響き、再び-。市民らがベートーベンの交響曲第9番(第九)を歌う「かまいしの第九」が12月11日、大町の市民ホールTETTOで3年ぶりに催される。新型コロナウイルス感染症の影響で中止が続いていたが、再び歴史を刻むべく、23日から「かまいし第九」実行委員会による合唱練習がスタート。合唱メンバーらは、一人でも多くの人に「熱い歌声」を届けようと練習に力を入れる。
   
 7月23日、小佐野コミュニティ会館(小佐野町)で「かまいし第九の会」の発会式があり、約30人が参加。実行委の川向修一会長(70)は「コロナの第7波が急拡大する中、荒波に向かって船をこぎ出す形となった。収束を願いつつ、とにかくスタートし、演奏会ができれば成功だと思う。12月に向かって頑張りましょう」と呼び掛けた。
  
小原さん(左)の指導で、マスクのまま練習するメンバー 

小原さん(左)の指導で、マスクのまま練習するメンバー

   
 式後、早速練習を開始。合唱指導を担当する小原一穂さんのリードで、第九の中でも最もよく知られた「歓喜の歌」などに挑んだ。久方ぶりの練習だが、思った以上に声が出て、「皆さん、待っていたかのよう」と小原さん。再開と再会を喜ぶメンバーらに「集まった人で歌声、思いを合わせるのが合唱の最大の楽しみ。役割分担しながら自分たちの第九を表現して」などと助言した。
  
 今回は、県内在住で第九を歌った経験がある人を中心に参加を呼び掛けた。野田町の石田昌玄さん(48)は15回目の参加。「2年のブランクが不安だったが、歌声を聴いたら、何十年もやってきた先輩たちの貯金があると感じた。音楽は体、心の中に残っている。コツコツと日々の練習を大事にし、みんなと一つのものを作り上げる楽しみを分かち合いたい」と熱を込める。知的な雰囲気に憧れて初参加した人も。平田の坂本和子さん(81)は「歌声がすてき。大変そうだけど、一員になれるよう挑戦したい。悔いのない人生にするために」と前向きだ。
  
練習の合間には笑顔も。みんなで歌う喜びを演奏に乗せる

練習の合間には笑顔も。みんなで歌う喜びを演奏に乗せる

   
 第九の合唱練習は主に土曜日の午後3時半~5時半、同館を使用する。合唱の定員は80人とし、8月6日まで参加申し込みを受け付ける。申し込み、問い合わせは事務局(電話090・6780・0434/メールkamaishinodaiku@yahoo.co.jp)へ。
   
 かまいしの第九は1978年に始まり、東日本大震災のあった2011年も休まず公演。19年まで42回の歴史を刻んできたが、コロナ禍が続き2年間は中止を余儀なくされた。43回目となる今年の演奏会は釜石市民ホールで、12月11日午後1時半の開演を予定する。

tetsutenrankai6826

美術工芸品で味わう「鉄のまち釜石」 鉄の歴史館 展覧会で各種31点公開

8月29日まで開催される絵画や鉄器などを集めた「鉄の展覧会Ⅱ」=鉄の歴史館

8月29日まで開催される絵画や鉄器などを集めた「鉄の展覧会Ⅱ」=鉄の歴史館

 
 釜石市大平町の鉄の歴史館は15日から、夏季特別企画展として「鉄の展覧会Ⅱ」を開催している。製鉄業で栄えた同市を象徴する絵画や工芸品、彫刻を見ることができるほか、釜石製鉄所の労働者の文化活動から波及した同市の絵画史などを通して、芸術文化発展の礎を知ることができる。8月29日まで行われる(火曜日休館)。
 
 同展は昨夏に続く第2弾の企画。普段は非公開の同館所蔵品と常設展示品、市郷土資料館などから借用した作品計31点を公開する。本会場の2階会議室を中心に“館内まるごと美術館”として楽しんでもらう仕掛け。
 
 絵画は17点(うち常設3)を公開。釜石製鉄所の高炉を描いた油彩作品を中心に集めた。作者は市内の絵画グループの活動でもその名を残してきた製鉄所OBなどのアマチュア画家ら。地元美術界をけん引してきた先達の貴重な作品が並ぶ。釜石で洋式高炉による連続出銑に成功した大島高任の肖像画などもある。
 
構図やタッチで趣を変える「高炉」の油彩画。作者:(左)及川久さん、(右)菅野幸夫さん

構図やタッチで趣を変える「高炉」の油彩画。作者:(左)及川久さん、(右)菅野幸夫さん

 
本会場内で最大サイズの佐々木由宣さんの作品(右)。2基の高炉が時代を物語る

本会場内で最大サイズの佐々木由宣さんの作品(右)。2基の高炉が時代を物語る

 
 釜石の絵画活動の歴史を語る上で欠かせないのが、1920(大正9)年に釜石製鉄所内で発足した「真道会」。労働者が体育・文化活動に親しむための組織で、美術部は32(昭和7)年ごろに結成。同時期、鉱山小学校でも絵画教室が始まり、46(昭和21)年の「釜石文化協会」結成へとつながっていく。戦後の芸術文化活動をリードした人たちが立ち上げた「美術集団サムディ45」や「釜石市民絵画教室」など、現在も複数のグループが精力的に活動を続ける。
 

 工芸品は釜石産の鉄で鋳造された鉄器類。大正から昭和初期の鉄瓶、火鉢、茶こぼし、花瓶が並ぶ。釜石製鉄所では明治期から鋳物造りが始まり、大正期の質の向上で用と美を兼ね備えた工芸的価値のあるものに発展した。会場では「釜石鉄山製」の銘が入ったものや、学校から受注した卒業記念品などが見られる。
 
さまざまな形、デザインが目を引く鉄瓶が並ぶ

さまざまな形、デザインが目を引く鉄瓶が並ぶ

 
 この他、92(平成4)年に釜石(平田埋立地)をメイン会場に開かれた「三陸・海の博覧会」から30周年となることを記念して、会場のデザイン画(郷土資料館所蔵)も展示されている。同博覧会は7~9月の75日間開催され、201万人が来場した。
 

三陸・海の博覧会の会場デザイン画も複数枚展示

三陸・海の博覧会の会場デザイン画も複数枚展示

 
 同館では「同じ高炉のモチーフでも見る角度や切り取り方によって受ける印象が違う。作者それぞれの表現を味わってもらえれば。この機会に釜石の美術史にも目を向けてほしい」と来館を呼び掛ける。見学時間は午前9時~午後5時まで(最終入館は午後4時まで)。

kagaku1

見て触れて学ぶ!科学の楽しさ、情報通信技術がもたらす未来 釜石でまるごと体感

kagaku1

人型ロボットとの対話を楽しむ親子連れ

  
 最先端の科学や情報通信技術(ICT)に触れる「いわてまるごと科学・情報館」は16日、釜石市大町の市民ホールTETTOで開かれた。県内の先端技術に関わる企業や研究機関が集まる、科学・情報の文化祭といえるイベント。子どもはもちろん、大人も楽しみながら最新技術がもたらす未来社会を体感した。
   
 県内企業や研究機関など12団体が展示・体験コーナーを用意。国際リニアコライダー(ILC)計画やブラックホール、バイオテクノロジーを使った研究などをパネルで紹介したほか、病気や障害などで外出が困難な人たちの社会参画を支える分身ロボット「オリヒメ」、人型ロボット「ペッパー」、コミュニケーションロボット「ソータ」などと対話を楽しむ体験が提供された。
  
kagaku2

子どもたちは分身ロボット「オリヒメ」の操作体験に夢中

 
kagaku3 

VRゴーグルを身に着け、仮想空間を楽しむ子どもたち

  
 仮想現実(VR)の映像技術などを用いた疑似体験も多数紹介された。来場者は、自転車に乗りながらスマートフォンを見たり操作したりする「ながらスマホ」の危険性や西和賀地区の美しい河川流域をめぐる楽しさなどを体感した。
  
 専用のVRゴーグルを装着して高さ約20メートルの鉄塔での作業を体験し、「落ちたー。リアルに怖い。ひざがガクガクする」と目を見開いていたのは大船渡市の熊谷陽向(ひなた)君(大船渡小5年)。将来の夢は「天文学者」でブラックホールに関する展示を目当てに足を運んだが、「いろんな体験ができて楽しい。プログラミングとかにも挑戦してみたい」と刺激を受けた。母あゆみさん(38)は、普段できない体験に目を輝かす愛息を見つめ「どんな夢でも応援したい」と笑みをこぼした。
  
kagaku4

「深海生物のフシギ」を紹介した藤倉さん(右から2人目)

 
kagaku5

深海生物の標本に子どもたちは興味津々

  
 特別セミナーとして、海洋研究開発機構(神奈川県横須賀市)の藤倉克則上席研究員が「深海にいるユニークな生き物」をテーマに講演。科学で解明してきた深海生物の生態について解説し、「まだまだ謎だらけ。変な形や巨大ということも面白い深海生物だが、生き方を知るのはもっと面白い。暗く冷たい、大きな水圧、食べ物が少ないなど人間から見たら過酷な環境で生きるためにいろいろ工夫している」と衰えない探究心を示した。「ミツクリエナガチョウチンアンコウ」「オオメンダコ」「ナギナタシロウリガイ」など日本近郊で採取した深海生物の標本なども紹介し、子どもたちの知的好奇心をくすぐった。
  
kagaku6

親子でさまざまな体験を楽しんだ

  
 県や大学、民間事業者などでつくるいわてまるごと科学館実行委員会、いわてSociety5.0実行委員会が主催。これまで別々に行っていた科学技術振興の普及啓発イベント「いわてまるごと科学館」と情報通信やICT利活用の利活用促進の普及啓発イベント「いわてICTフェア」を集約した。新型コロナウイルス感染症の影響で20年は各イベントをオンライン開催、集約して実施予定だった21年は中止しており、実地での開催は3年ぶりとなった。
  
 両実行委事務局を担う県ふるさと振興部化学・情報政策室の大橋真里菜主任(デジタル推進担当)は「科学、情報通信技術がもたらす未来を体感してもらい、これからの生活を考えるきっかけにしてもらえたら。大事な技術に関わる人材の育成にもつなげたい」と期待した。

musen1

災害対応の現場を知る!釜石商工高電気電子科 非常時につながる漁業無線 役割学ぶ

モールス信号を打ちながら震災時を振り返る東谷傳局長(右)

モールス信号を打ちながら震災時を振り返る東谷傳局長(右)

  
 東日本大震災発生時、「地域の命綱」として漁業無線が活躍した―。非常時につながる漁業無線の役割を学ぼうと、県立釜石商工高(伊東道夫校長、生徒201人)の電気電子科1年生(10人)は13日、釜石市大平町の釜石漁業用海岸局(通称・釜石漁業無線局)を見学した。釜石局は震災時に避難者を収容する一方、通信と中継機能を生かし、迅速で正確な情報発信を重ねて災害対応に貢献。東谷傳(つたえ)局長(67)は当時の緊迫した状況を振り返りながら、「通信障害がいつ起こるか分からない。あらゆる手段の想定を」と伝えた。
  
震災発生当日の無線局の対応を伝える東谷局長

震災発生当日の無線局の対応を伝える東谷局長

  
 「どう命を守るか、考えるきっかけにしてほしい」。大きな受信機が並ぶ通信室で東谷局長が講話した。当時の津波映像や釜石局が発した非常通信情報の音声記録を流し、モールス信号を打ちながら緊迫した状況を再現。「当時の電波法で、無線局同士の連絡はご法度。違法性の懸念を局員に指摘されたが、覚悟の通信だった」と振り返った。
  
 電話回線が不通となる中、国際遭難周波数を使い、千葉、茨城、青森、大船渡と連絡設定。千葉、茨城を通じて県庁との連絡手段を確保した。日没後、海抜70メートルの高台に位置する局舎には自家発電の明かりを頼りに住民らが避難。東谷局長は市内の状況を県に伝えた後、局の近くにある同校に残った生徒、教職員、住民らの名簿を確認し、他県の無線局を経由して安否情報などを県庁に送信した。
  
 1933(昭和8)年の三陸大津波の際も同様の通信が活躍したことも紹介し、「アナログの無線通信は、非常時に通信が途絶した際、その通信網を補完するために活用できる可能性がある」と強調。最近、発生した通信大手の大規模通信障害に触れ、「通信障害はいつ起こるか分からない。あらゆる手段の活用を想定し、日ごろから備えることが大切」と説いた。
 
メモを取りながら大震災の活動を学ぶ釜石商工高生

メモを取りながら大震災の活動を学ぶ釜石商工高生

  
大きな送信機が並ぶ局内も見学した

大きな送信機が並ぶ局内も見学した

  
 村上颯人君は「焦ったと思うが、しっかり情報を伝えられたのはすごい。災害時に使える無線はこれからも必要になる」と実感。震災当時は小さかったが、津波の怖さは感覚として残っているといい、「備える大切さを伝えたり、命を守るため自分たちにできることを考えたい」と意識を高めた。
  
 同校の復興教育の一環。地元で行われた災害対応について学び、地域の復興・発展を支える人材の育成を目的にする。電気や電子という専門分野に関する興味・関心、学習意欲を高めてもらう狙いも。14日には2年生(14人)が釜石局を見学した。
  
釜石漁業用海岸局の外観

釜石漁業用海岸局の外観

   
 釜石局は1929(昭和4)年に開局。釜石無線漁業協同組合が管理し、県知事と同組合の二重免許を受ける。職員は5人。主に釜石地域に所属する大型漁船(遠洋マグロ船など)40隻、小型漁船(イカ釣り船など)180隻と通信。漁船の動静確認などを毎日行っている。釜石局を示す信号符字は「JFT」。

aizen1

コロナ下、地域交流に一手 作品展示で老人ホームを元気に―あいぜんの里(釜石・平田)

あいぜんの里で開かれている小野寺浩さんの作品展「色を聴く」

あいぜんの里で開かれている小野寺浩さんの作品展「色を聴く」

 
 釜石市平田の特別養護老人ホームあいぜんの里(古川明良施設長、長期利用者50人、短期利用者20人)で、地元の美術集団「サムディ45」所属の小野寺浩(ゆたか)さん(62)=甲子町=が作品展「色を聴く」を開いている。新型コロナウイルス禍で外部との触れ合いを控えている施設利用者や職員たちに「元気を届けたい」と企画。動物や人物などの愛らしい表情を描いた色鉛筆画、パステル画約40点が並んでいる。
 
 同施設ではコロナ禍前から、利用者らの外出機会が減る冬期に「芸術で潤いを」と考え、別の絵画グループの作品展示を行ってきた。今回はサムディ事務局の橘内道子さん=平田=が、同級生の古川施設長に話を持ち掛け、実施が決まった。
 
 小野寺さんは5年ほど前、市内のパステル画教室に参加したのをきっかけに本格的に絵を描き始めた。もともと色鉛筆画に興味があったことから、画材を併用した作品づくりを開始。サムディのほか、陸前高田市や宮古市の美術団体にも所属し、精力的に制作活動を行っている。母親が別の施設を利用していて、感染症流行前には利用者に楽しんでもらおうと施設でパステル画講座を行ったことも。「世の中が落ち着いたら再開したい」と思っていたこともあり、橘内さんの提案を引き受けた。
 
施設職員と展示作業に取り組む小野寺さん(右)

施設職員と展示作業に取り組む小野寺さん(右)

 
動物や人物、静物などを描いた作品が並ぶ

動物や人物、静物などを描いた作品が並ぶ

 
 6月21日、小野寺さんが追加の作品を持ち込み、施設職員らと展示作業を進めた。窓辺でくつろぐ猫や飼い主になでられ目を細める犬などを描いた作品がお目見えし、離れた場所から作業の様子を見つめる利用者らは「まるでかわいい」「癒される」とにっこり。躍動感あふれる虎舞、凜とした舞妓(まいこ)の姿なども並び、「美術館みたいだ」と一味違う雰囲気を感じていた。
 
 「高齢者施設では塗り絵を楽しんでいる人もいて、色鉛筆はなじみがある。身近にあって気楽に描ける。好きな色を使うから、同じ絵柄でも違った作品になる」と小野寺さん。カリカリ、サラサラ、カツカツ、シャリシャリ…色や芯の太さで異なる「音を聴く」のも楽しみどころとして強調する。今回は「作品を見て会話のきっかけにしてほしい」と願う。
 
仕事の合間に美術鑑賞を楽しむ職員の姿も

仕事の合間に美術鑑賞を楽しむ職員の姿も

 
 同施設では人の出入りを制限してきたが、感染状況が落ち着く中、徐々に緩和。「外からの刺激は利用者の心身の健康に影響する」(古川施設長)といい、大型テレビを使ったインターネット中継で利用者と家族をつなぐなど工夫している。地域との交流も再開させたい考えで、その一手となるのが今回の作品展示。外部の活動を受け入れることで、利用者への刺激が増えることを期待する。
 
 ただ、外部の人との直接的な触れ合いはまだ先になりそう。今回も小野寺さんと利用者の交流や、作品鑑賞のための地域住民への告知は控えた。古川施設長は「IT技術の活用などポストコロナでできる仕掛けを作っていきたい」と思案中。橘内さんは市芸術文化協会の事務局も担っていて、「さまざまな団体の作品を四季折々展示できるようになれば。あいぜん美術館だ」と、古川施設長は夢を膨らませていた。今後、展示された作品を施設ホームページで紹介するという。
 
あいぜんの里で作品を展示している小野寺さん。近々テットでも作品展を開く

あいぜんの里で作品を展示している小野寺さん。近々テットでも作品展を開く

 
 あいぜんの里での展示は7月17日までを予定。小野寺さんの作品を見る機会はすぐにやってきて、29日からは大町の市民ホールTETTOギャラリーで楽しめる。地元のアーティストを紹介するホール主催の展示会「art at TETTO(アート アット テット)」の第5弾。「色を聴く」と題し、8月7日まで鑑賞できる。期間中の7月30日、31日にはワークショップ(有料)を実施。色鉛筆やパステル、クレヨンなど、さまざまな画材を使った塗り絵体験ができる。

enekouza1

電気やエネルギーをもっと知って! 釜石・小佐野小で出前講座 東北電力

手回し発電機を使った実験に取り組む小佐野小4年生

手回し発電機を使った実験に取り組む小佐野小4年生

 
 釜石市小佐野町の小佐野小(千葉裕之校長、児童288人)の4年生66人は22日、東北電力岩手支店(近藤一英支店長)のエネルギー出前講座を受け、電気の重要性や発電の仕組みなどについて理解を深めた。
 
クイズで振り返りながら進む講座に児童は積極的に参加した

クイズで振り返りながら進む講座に児童は積極的に参加した

 
 講座はクラスごとに行い、1組(34人)の授業では同支店の社員らが、電気が家庭に届くまでの工程や発電方法のメリットとデメリットを解説した。エネルギー資源を選ぶ時のポイントは、▽安定的に手に入る▽値段が安い▽地球環境への影響が少ない(発電するときに出す二酸化炭素の量など)―ことと説明。3つ全てが当てはまる完璧な資源はなく、安定供給にはさまざまな方法(火力・水力・原子力など)を組み合わせて発電する「エネルギーミックス」という考え方が大事になると伝えた。
 
火力発電の仕組みを見せる模型に子どもたちは興味津々

火力発電の仕組みを見せる模型に子どもたちは興味津々

 
「光った」。児童たちは力を合わせて豆電球を点灯させた

「光った」。児童たちは力を合わせて豆電球を点灯させた

 
 手回し発電機を使った実験にも挑戦。高山柑菜さんは「電気をつくるのはすごく大変だった。当たり前にあるものだと思っていたけど、大切に使わないといけないと思った。知ったことを家族にも伝えて、できるだけ節約するようにしたい」と意識を高めた。
 
 日本のエネルギー自給率は約10%で、多くを輸入していることを知った梅島貴春君は、輸入先(国)が気になった様子。「電気やエネルギーのことをもう少し勉強してみたい」とうなずいた。
 
電気の力やエネルギーの大切さを伝える東北電力の出前講座

電気の力やエネルギーの大切さを伝える東北電力の出前講座

 
 講座は同支店が2019年から県内小中学校を対象に開くエネルギーチャレンジ校の一環。出前講座、発電所など施設見学、学習成果発表会・サイエンスショーを組み合わせたプログラムで、子どもたちが電気やエネルギーについて関心を持ち、考えるきっかけにしてもらうのが狙い。本年度、釜石市内では同校のほか、栗林小でも実施し、すでに講座と施設見学を終えた。一関市の新沼小も実施校に選ばれている。

tyusotai4257

コロナ禍3年目 感染防止対策継続し8競技で熱戦~釜石大槌地区中総体~

釜石大槌地区中学校総合体育大会=18日

釜石大槌地区中学校総合体育大会=18日

 
 2022年度釜石大槌地区中学校総合体育大会(中総体)は18日、地区内の公共体育施設や学校施設で行われた。新型コロナウイルス禍での大会開催は今年で3年目。会場形態により一部競技は保護者の観戦制限が緩和されたが、各種対策の徹底は今も続く。入学時からコロナ対策をしながら部活動を続けてきた3年生。さまざまな苦労を乗り越えながら迎えた集大成の大会で、これまで培った技と力を存分に発揮した。
 
 少子化による生徒数の減少などで、団体競技は他校との合同チームでの出場が目立つ同大会。本大会は、サッカーで対戦のための人数がそろわず地区予選を断念。8競技での大会開催となった。
 
ソフトテニス男子は釜石、大槌の2校が県大会出場権をかけ対戦=大槌高

ソフトテニス男子は釜石、大槌の2校が県大会出場権をかけ対戦=大槌高

 
昨年の新人戦に続く優勝を目指す甲子女子ソフトテニス

昨年の新人戦に続く優勝を目指す甲子女子ソフトテニス

 
 釜石市の平田公園野球場で行われた軟式野球は出場4チーム中、2チームが合同チーム。1回戦の「大平・唐丹」対「釜石」の試合は規定の7回を終えた時点で1-1の同点。延長戦は無死1、2塁の状態から1イニングを行い、得点の多いチームを勝ちとする特別ルール(タイブレーク方式)で行われ、2点を追加した大平・唐丹が延長8回3-1で勝利した。
 
延長戦で追加点を上げる大平・唐丹合同チーム=平田公園野球場

延長戦で追加点を上げる大平・唐丹合同チーム=平田公園野球場

 
 スタンドでの保護者観戦が可能となり、初めて間近で次男快君(大平中3年)の雄姿を目にした金野悟さん(52)は喜びを口にし、「スポ少から一緒に頑張ってきたメンバーなので、最後に優勝できれば。今までの練習の成果を存分に発揮してほしい」と選手たちにエール。
 
 決勝は「大平・唐丹」と「大槌・吉里吉里・釜石東」の合同チーム対戦となり、10-0(5回コールド)で大平・唐丹が勝利。県大会出場を決めた。唐丹の野球部員4人は授業後、大平中に通い練習を重ねてきた。唯一の3年生岩澤優真君は「最後の中総体で県大会出場を決められてうれしい」と笑顔。スポ少時は捕手だったが、中学から投手に転向。「コントロールに苦戦したが、昨年の新人戦から改善して今回はいい形で終わることができた。県大会も優勝目指して頑張る」と意気込んだ。
 
昨年の新人戦に次ぐ優勝を収めた大平・唐丹合同チーム

昨年の新人戦に次ぐ優勝を収めた大平・唐丹合同チーム

 
選手の頑張りを拍手でたたえる保護者

選手の頑張りを拍手でたたえる保護者

 
 市民体育館を会場としていたバドミントンは、地震の影響で同館が使用できないため、本大会は男子が唐丹中、女子は大平中の体育館で試合が行われた。男子は3校、女子は5校が出場。団体戦(2複1単)は総当たりのリーグ戦、個人戦は単複ともトーナメント戦で優勝を競った。
 
 昨年の新人戦に続く優勝を狙う大平女子は団体の初戦で、緊張から動きに少し硬さが見られたものの、徐々に本領を発揮。堀内唯花キャプテン(3年)は「新人戦以降、個々の実力を上げられるよう基礎メニューを頑張った。もっと力を出せる」。松下怜桜愛(れおら)部長(同)は「一心不乱、ネバーギブアップをスローガンにやってきた。最後まであきらめない」と勝利への執念を見せた。結果は、大平が団体、個人(単・複)ともに優勝。県大会初戦突破を目標に掲げ、さらなる精進を誓った。
 
バドミントン女子は大平中体育館で熱戦を繰り広げた

バドミントン女子は大平中体育館で熱戦を繰り広げた

 
団体初戦のダブルスに挑む大平女子のペア

団体初戦のダブルスに挑む大平女子のペア

 
 バスケットボールは大槌学園体育館が会場。男子4校、女子3校が出場した。男子の注目は、昨年の新人戦で地区代表として県大会に進み、初優勝を成し遂げた釜石。本大会決勝は152-21の大差で大平を制し、安定の実力で県大会出場権を手にした。
 
 鈴木琥太郎キャプテン(3年)は「冬場はみんなで走り体力をつけた。持ち味のディフェンスの強度をさらに上げ、全員の攻撃力アップにも力を入れてきた」と昨秋からの成長ぶりを強調。小澤歩武主将(同)も「キャプテンを中心にまとまり、声を掛け合ってチームプレーができている」と仕上がりに自信をのぞかせる。次に狙うは2回目の県制覇。「県大会優勝。東北ベスト4」という目標達成に向け、「簡単ではないが、しっかり足元を固めて一戦一戦集中して戦っていきたい」と小澤主将。
 
バスケットボール男子決勝「釜石(白)―大平」=大槌学園

バスケットボール男子決勝「釜石(白)―大平」=大槌学園

 
次の目標「県大会優勝」へ士気を高める釜石中男子バスケットボール部

次の目標「県大会優勝」へ士気を高める釜石中男子バスケットボール部

 
 各競技の地区代表が出場する県中総体は7月16~18日に県内各会場で開催される。

seibutsu3167

小川川ワッカラ淵で水生生物調査 釜石小4年生が郷土の河川環境学ぶ

釜石小4年生が取り組んだ水生生物調査=13日

釜石小4年生が取り組んだ水生生物調査=13日

 
 釜石小(及川靖浩校長、児童92人)の4年生20人は13日、釜石市の小川川中流、ワッカラ淵で水生生物調査を行った。郷土の自然への理解を深め、環境保全意識を育むことなどを狙いとした総合的な学習の一環。児童らは水中にすむ小さな生き物を探し、見つかった種類から川の水質を判定する調査を体験した。
 
 調査学習には市生活環境課とまちづくり課の職員が協力。県環境アドバイザーの加藤直子さん(かまいし環境ネットワーク代表)が講師を務めた。児童らは5月に事前学習も行い、加藤さんから水辺にすむ生き物なども教わっている。
 
講師の加藤直子さんらが調査の仕方について説明

講師の加藤直子さんらが調査の仕方について説明

 
 この日は6班に分かれて生き物を採集。川底の石を拾い上げ目を凝らすと、さまざまな生き物が見つかった。児童らは普段あまり見かけない姿かたちをした生き物に興味津々。水を張ったバットに入れてじっくり観察した。
 
川に入り、生き物がくっ付いていそうな石を探す

川に入り、生き物がくっ付いていそうな石を探す

 
「何かいる~!」。発見した生き物は?

「何かいる~!」。発見した生き物は?

 
見つけた生き物を見せ合いっこ!

見つけた生き物を見せ合いっこ!

 
 約40分間、生き物探しを楽しんだ後は、班ごとに水生生物表と照らし合わせ、調査票に記入。最後に全員で確認した。水質階級は見つかった種類と数が多かった種類の合計で判定される。階級は▽きれいな水▽ややきれいな水▽きたない水▽とてもきたない水―の4つ。児童らが見つけたのはカワゲラ類、ヒラタカゲロウ類、ナガレトビケラ類など「きれいな水」にすむ生き物が多く、小川川は「きれいな川」であることが分かった。この日は、清流にすみ、美しい鳴き声が特徴のカジカガエルの声も確認。卵も見ることができた。
 
水生生物表の写真と見比べ、見つけた生物を特定

水生生物表の写真と見比べ、見つけた生物を特定

 
最後は各班から出された情報を基に水質判定

最後は各班から出された情報を基に水質判定

 
 中澤朋哉君は「初めて見る生き物がたくさんいた。地域の川がきれいだと聞いてうれしい。川を守るためにも、ごみはちゃんと決められた所に捨てたい」。藤元美和さんは「最初は水が濁っている感じがして汚いのかと思ったけど、(きれいな水にすむ)ヘビトンボ(幼虫)も見つけて、きれいな川だと分かった。環境のために自分でできることをしていきたい」と意識を高めた。
 
 「川には一生懸命生きている虫たちがいる。ワッカラ淵にはきれいな水でないと生きていけないホタルもいる。家に帰ったら、川を汚さないためにどうすべきか家族で話し合ってみて」と加藤さん。自然に親しみ、生き生きとした表情を見せる児童らを目の当たりにし、「生で本物に触れる大切さを常々感じていた。子どもたちにこういう機会をたくさん作ってあげてほしい」と願った。

urasenke1

手を取り学び合う「茶の友に」 裏千家茶道こども教室・釜石 稽古スタート

裏千家茶道こども教室がスタート。お茶のいただき方を教わった

裏千家茶道こども教室がスタート。お茶のいただき方を教わった

  
 2022年度釜石市裏千家茶道こども教室(同実行委員会主催)は4日、始まった。初めて受講する2人を含む小、中、高校生19人が参加。来年1月まで16回にわたり、礼儀作法からお点前まで茶道の知識や技を学び合う。
  
 この日、稽古場となる中妻町の昭和園クラブハウスで開講式が行われた。同実行委の菊池宗英会長が「素直な気持ちで稽古に臨んでほしい。失敗を重ね、反復することで学びが深まっていく。手を取り合っていきましょう」とあいさつ。受講生と講師が全員で「利休道歌」と教室の「誓いのことば」を唱和した。
   
開講式で教室の進め方などの説明に耳を傾ける受講者ら

開講式で教室の進め方などの説明に耳を傾ける受講者ら

   
 式終了後、講師による呈茶、模範点前として「平点前」が披露された。「和敬清寂」としたためられた掛け軸、ニッコウキスゲやヤマボウシなど季節の花が生けられた茶席を用意。茶道具に用いられた茶しゃくの銘は「茶の友」で、「みんな、お友達になってほしい」という願いを込めた。
  
講師の模範手前に目を注ぎつつ、お菓子をいただく子どもたち

講師の模範手前に目を注ぎつつ、お菓子をいただく子どもたち

  
「お先にいただきます」。子どもたちは茶道を通じ心遣いも学ぶ

「お先にいただきます」。子どもたちは茶道を通じ心遣いも学ぶ

  
 講師にもてなされた受講生たちは緊張したり、恥ずかしそうな様子が見られた。教室に連続参加する子どもたちは模範手前を真剣なまなざしで見つめ、自分たちとの違いを確認。初参加の2人には講師が寄り添い、お菓子とお茶のいただき方を教えた。
  
 習い始めの菊池咲里(さり)さん、前田瑛里(えり)さん(ともに小佐野小1年)は少し緊張気味だったが、「こども園でやったことがある。もっと上手になりたい。お茶はおいしくて好き」と、はにかみながら顔を見合わせた。5年目の参加となる小笠原統哉君(鵜住居小5年)は「盆点前を習っている。少しずつできることが増えるのがうれしい。人前でしっかりできるよう作法を身に付けたい」と背筋を伸ばした。
   
初参加の子は少し緊張した様子。講師は優しい笑顔でもてなした

初参加の子は少し緊張した様子。講師は優しい笑顔でもてなした

   
 同教室は2004年度に始まった。裏千家又新会を母体に組織した実行委の講師12人が子どもたちの習熟度に合わせて指導。歩き方や座り方、立ち居振る舞いなどの礼儀、茶のたて方のほか、茶道の楽しさも伝える。7月は岩手支部のチャリティー茶会が釜石で予定されており、子どもたちも参加する。教室の開催にあたり、文化庁の伝統文化親子教室事業の助成を受けた。
  
 現在、受講生を募集中。受講料は1人2000円。問い合わせは事務局の戸村宗妙さん(電話0193・23・8348)へ。