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地域の米づくり学び46年 白山小児童が最後の田植え学習 講師の藤井さん「名残惜しい」

白山小伝統の稲作学習で田植えに挑戦した児童=26日、上小川

白山小伝統の稲作学習で田植えに挑戦した児童=26日、上小川

 
 釜石市の白山小(鈴木慎校長、児童27人)の3~6年生21人は26日、同校伝統の稲作学習で田植えを行った。本年度で閉校する同校にとって最後の体験学習。長年、苗や体験の場を提供し、児童らの学習を支えてきた農家の藤井茂さん(86)も「名残惜しいなー」としみじみ。児童らは貴重な体験を心に刻み、秋の豊作を期待した。11月に予定する収穫祭では、餅つきをして同学習を締めくくる予定。
 
 同校児童の体験学習の場は甲子町上小川、日向ダム下流域で農業を営む藤井さんの田んぼ。嬉石町の学校からバスで訪れた児童らは田んぼに入る準備を整えた後、藤井さんや、藤井さんとともに同校の学習をサポートしてきた大船渡農業改良普及センターの職員2人にあいさつした。
 
 今年、児童らが植えるのは本県オリジナル水稲品種の「どんぴしゃり」。稲が倒れにくく、冷害や病気に強い品種だ。苗を分けてもらった児童らはあぜ道から泥田に足を踏み入れた。同センター地域指導課の高橋勇気技師から「苗を3~4本取って3本指で植え付けて。奥まで入れないと根が張りにくくなってしまうので丁寧に」とアドバイスを受けた。
 
一列に並び、田植え開始。泥の感触も楽しみながら…

一列に並び、田植え開始。泥の感触も楽しみながら…

 
苗が倒れないように植え付けはしっかりと。「お米がたくさんとれるといいな」

苗が倒れないように植え付けはしっかりと。「お米がたくさんとれるといいな」

 
 児童らは藤井さんが付けてくれたます目の線に沿って苗を植え付けていった。経験を積んできた5、6年生は手慣れた様子で、徐々にスピードアップ。初めての3年生は泥に足を取られながらも懸命に作業し、約4アールの田んぼは予定時間より早く青苗で埋まった。
 
あぜ道から放られた追加の苗をキャッチ。手植えの楽しみの一つ

あぜ道から放られた追加の苗をキャッチ。手植えの楽しみの一つ

 
5、6年生はさすがの腕前!?。きれいな列の青苗が並ぶ

5、6年生はさすがの腕前!?。きれいな列の青苗が並ぶ

 
 3年の佐々木那海さんは「泥から足を抜くのが大変だった。でも、植えるの楽しい」とにっこり。農家の苦労も感じた様子で、「お米を育ててくれる人たちの気持ちも考えて大切に食べたい」と話す。同校での最初で最後の田植え体験となったが、「機会があったら、またやってみたい」と望んだ。4年の松本航汰さんは「昨年以上に楽しくできた」と2年目の余裕!?。「今年で終わるのはやっぱり寂しい。もっとやりたいな」と残念な気持ちも。農業にも興味が湧いたようで、「お米を育ててみたい」と関心を示した。
 
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新緑がまぶしい山々に囲まれた田んぼ。写真左上に見えるのが日向ダム

 
 同校の稲作学習は1979(昭和54)年にスタート。学校敷地内に“白山水田”を設け、田植えから収穫まで一連の作業を体験してきた。水の管理などが難しくなり、現6年生が3年時に学習を始めた年から藤井さん所有の田んぼに体験の場を移した。藤井さんは同校が現在地に移転する前から学習に協力。最初は苗の提供だけだったが、後に講師として招かれるようになり、田植えや稲刈り、脱穀などの実技指導を行ってきた。
 
白山小の稲作学習を支えてきた藤井茂さん(手前右)。人生の約半分を同校に協力

白山小の稲作学習を支えてきた藤井茂さん(手前右)。人生の約半分を同校に協力

 
 「40年以上もよく務まったなあと思ってね。早いもんだ」と藤井さん。学校にあった田んぼでやっていた時は「実った米をスズメに食べられて収穫できなかった年も。田んぼの水は水道で確保していたので苦労した」と振り返る。それでも子どもたちとの触れ合いは自身の元気の源にもなっていたようで、育んできた絆を宝物にする。「統合した学校でもこの伝統を引き継いでくれたらいいがねぇ」。ちょっぴり期待しつつ、まずは今秋の収穫までの栽培管理に力を注ぎたい考え、
 
 同センターの高橋技師は「地元農家の理解と協力があって続けてこられたのだと思う。農家の減少が続く中、こういう機会を通じて農業に関心を持つ人が少しでも増えれば」と願った。
 
田んぼで見つけたアカハライモリ(写真右下)を観察。田植えでは水辺の生き物との出会いも

田んぼで見つけたアカハライモリ(写真右下)を観察。田植えでは水辺の生き物との出会いも

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サイズ、脂のり手応え 「釜石はまゆりサクラマス」今季初水揚げ 養殖事業で活性化

釜石湾で養殖されたサクラマスを水揚げする泉澤水産の社員

釜石湾で養殖されたサクラマスを水揚げする泉澤水産の社員

 
 釜石市東前町の泉澤水産(泉澤宏代表取締役)は25日、釜石湾で養殖する「釜石はまゆりサクラマス」を今季初めて水揚げした。サイズ、脂のりも「よし」とPR。昨季の1.5倍以上となる約400トンの生産を見込み、地元水産業の活性化につなげる。
 
 午前5時頃、湾内に設置したいけすから約3トンを積み込んだ漁船が同市魚河岸の市魚市場に到着。同社の社員ら約20人が水揚げと選別作業を手早く進めた。体長50~60センチ、平均の重さは2キロ未満で、1キロ当たり700~880円で取引。地元の水産加工業者、県内外のスーパーやすし店に流通する。
 
漁船から釜石市魚市場に水揚げする社員

漁船から釜石市魚市場に水揚げする社員

 
仕分け作業は自動重量選別機を使って効率化

仕分け作業は自動重量選別機を使って効率化

 
 この日は魚の大きさなどを確かめる“プレ出荷”としての水揚げで、本格的にスタートするのは6月に入ってから。水温などを考慮しながら7月後半まで20回程度を予定する。
 
 「去年よりサイズが少し大きい」と感触を話したのは同社代表取締役の泉澤さん(64)。今季はいけす2基に稚魚約28万尾を入れ、密度を高めて育てている。「投入時、200グラムに満たないものだったから少し心配したが、いい誤算。高水温を見越して早めに出荷としたが、思っていたより水温は低め。低水温だと餌を食べないが、今年は食べた」と、手探りながらも順調な成育ぶりにほっとした様子。3キロほどに成熟した魚体もあり、本格化するシーズンに期待を高める。
 
市場を活気づけた釜石湾産の「はまゆりサクラマス」

市場を活気づけた釜石湾産の「はまゆりサクラマス」

 
 試食会もあり、刺し身で味わった関係者らは「うまい」「いくらでも食べられる」と評価。「脂が身全体にのっているのに、さらりとした味わいが特徴。いい仕上がり」とうなずく泉澤さん。釜石地域では「ママス」の名でなじみのある日本の在来種のサクラマスに「希少性」を見いだし、増産を計画する。将来的には500トンを目指すとし、「知名度が高まり、ニーズが広がってくれたら。刺し身でも焼いてもうまいサクラマスを全国の皆さんに食べてほしい」と話した。
 
水揚げ後に開かれた養殖サクラマスの試食会。刺し身で味わう

水揚げ後に開かれた養殖サクラマスの試食会。刺し身で味わう

 
「いい仕上がり」とPRする泉澤代表取締役(左)、小野共市長(中)ら

「いい仕上がり」とPRする泉澤代表取締役(左)、小野共市長(中)ら

 
 同社は市、岩手大などとコンソーシアムを構成し、2020年から試験養殖を開始し、22年に事業化。種苗生産を自社で賄い、安全供給を実現する。環境負荷の小さい養殖業に与えられる国際認証(ASC)も取得。水産物の高付加価値化に取り組む。
 
 小野共市長は「近年の水揚げ量はかなり厳しいと認識。そうした中で海面養殖は釜石、岩手県の漁業に弾みをつけるものだ。全力で応援、バックアップしたい」と強調した。

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風車建て替え11基で運転再開 ユーラス釜石広域ウインドファーム 現地で竣工式

風車を建て替え、3月から営業運転を開始した「ユーラス釜石広域ウインドファーム」の竣工を祝った関係企業、自治体の代表者ら

風車を建て替え、3月から営業運転を開始した「ユーラス釜石広域ウインドファーム」の竣工を祝った関係企業、自治体の代表者ら

 
 釜石、遠野、大槌2市1町にまたがる風力発電所「ユーラス釜石広域ウインドファーム」は、2023年8月から進めてきた風車の建て替えが完了し、本年3月から営業運転を開始している。1基あたりの出力が大きい風車を導入し、以前の43基から11基に集約。これまでと同規模の発電量を維持する。22日、新山展望台近くの6号機ヤードで、事業者のユーラスエナジーホールディングス(諏訪部哲也代表取締役社長、本社:東京都千代田区)による竣工式が行われた。
 
 関係者約120人が出席。神事で自治体や関係企業の代表が神前に玉串をささげ、新施設の安全操業を祈願した。事業者を代表し諏訪部社長は「単なる設備の更新ではなく、これまで築いてきた地域との信頼関係、風という貴重な資源を次の世代へ確実につなげていくための新たな一歩。今後も安全を最優先とした安定操業に努め、脱炭素社会の実現と地域の持続的な発展に貢献していきたい」とあいさつした。
 
竣工式の神事で発電所の安全操業を祈る出席者ら

竣工式の神事で発電所の安全操業を祈る出席者ら

 
あいさつしたユーラスエナジーホールディングスの諏訪部哲也社長(左上)、平野公三大槌町長(右上)

あいさつしたユーラスエナジーホールディングスの諏訪部哲也社長(左上)、平野公三大槌町長(右上)

 
 来賓の平野公三大槌町長は「自然災害に直面するたび、持続可能なエネルギー社会構築の必要性を強く実感する。本事業は再生可能エネルギー先進地域としての新たな可能性を示すもの。災害発生時にも安全、安定的に稼働するクリーンエネルギー施設の存在は、地域の回復力向上にも資する」と期待を述べた。
 
出席者は神職のお祝いの言葉の後、お神酒をいただいた

出席者は神職のお祝いの言葉の後、お神酒をいただいた

 
 同発電所は2004年12月から営業運転を開始。約20年が経過し、高経年化が進んだため、設備の全面的な更新(建て替え)を行うことになった。23年3月に営業運転を終了。既存の風車43基を撤去し、新たに大槌町側の東サイトに8基、釜石、遠野市側の西サイトに3基の計11基を建設する工事が行われた。
 
 新設風車はベスタス社(デンマーク)製で、1基あたりの出力は国内最大級となる4200キロワット(以前は1000キロワット)。ブレード(羽根)3枚が描く円の直径(ローター径)は117メートル。タワーの高さは84メートル。11基の総出力は以前と同じ4万2900キロワット。これは一般家庭約2万4000世帯の消費電力に相当する電力供給量で、年間約4万トンのCO2削減効果が見込まれる。風車の大型化と集約化で発電量の増加、メンテナンス効率の向上が期待される。売電先は東北電力ネットワーク。
 
以前より大型の風車で営業運転する釜石広域ウインドファーム(写真提供:ユーラスエナジーホールディングス)

以前より大型の風車で営業運転する釜石広域ウインドファーム(写真提供:ユーラスエナジーホールディングス)

 
8基の風車が稼働する東サイト(写真提供:ユーラスエナジーホールディングス)

8基の風車が稼働する東サイト(写真提供:ユーラスエナジーホールディングス)

 
 釜石市の小山田俊一産業振興部長は「当市は2050年までにCO2排出実質ゼロを目指す『ゼロカーボンシティ』への取り組みを進めている。本ウインドファームの稼働は脱炭素社会実現を大きく推進させる。更新した施設が地域のシンボルとして親しまれ、安定したエネルギー供給により、持続可能なまちづくりへの力強い原動力となることを願う」と述べた。
 
 地球温暖化の進行で再生可能エネルギー導入の必要性が一層高まる中、ユーラス社は3市町の高原地帯に風車を増設する計画も進めている。
 
釜石市の和山高原などに3基が設置された西サイト。稜線を走る通称「スリーグリーンライン」から圧巻の風車風景を臨める

釜石市の和山高原などに3基が設置された西サイト。稜線を走る通称「スリーグリーンライン」から圧巻の風車風景を臨める

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隣町からいち早く駆け付け民家延焼阻止 大槌町山林火災対応の釜石市消防団に日本消防協会から支援金

日本消防協会からの災害対策支援金の目録を釜石市消防団の菊池録郎団長(前列右)に手渡す岩手県消防協会の高橋信博会長(同左)

日本消防協会からの災害対策支援金の目録を釜石市消防団の菊池録郎団長(前列右)に手渡す岩手県消防協会の高橋信博会長(同左)

 
 4月22日に大槌町で発生した山林火災現場に駆け付け、消火活動に尽力した釜石市消防団(菊池録郎団長)に、公益財団法人日本消防協会(秋本敏文会長)から災害対策支援金100万円が贈られた。同火災対応の労をねぎらい、団活動を支援するのが目的。5月21日、同市鈴子町の釜石消防庁舎(釜石消防署)で交付式が行われた。
 
 同岩手県消防協会の高橋信博会長(日本消防協会理事、北上市消防団長)、上平久浩事務局長が来庁。釜石市消防団の菊池団長、佐藤秀富、佐々幸雄、岩﨑政夫3副団長が応対した。上平事務局長は、消火活動にあたった地元消防団への敬意と感謝、早期鎮火への願いを込めた日本協会秋本会長のメッセージを代読。高橋会長が菊池団長に支援金の目録を手渡した。
 
 大槌町小鎚、吉里吉里両地区で同日、発生した山林火災。2カ所目の吉里吉里での出火後、消火応援の要請を受けた隣町の釜石市消防団は、大槌に隣接する地域の第6分団(鵜住居町、片岸町など)が吉里吉里の現場に駆け付けた。さらに第7分団(栗林町、橋野町)も加勢し、大槌消防署、消防団とともに消火活動にあたった。現場は民家が近くにある場所で、住宅など建物への延焼を防ぐため、夜通し放水を続けた。
 
4月22日、大槌町吉里吉里地区に設けた現場本部で、消火活動の指示を受ける釜石市消防団の団員ら(写真提供:釜石消防署)

4月22日、大槌町吉里吉里地区に設けた現場本部で、消火活動の指示を受ける釜石市消防団の団員ら(写真提供:釜石消防署)

 
大槌町消防団とともに放水を行う釜石市の消防団員(写真提供:釜石市消防団第6分団)

大槌町消防団とともに放水を行う釜石市の消防団員(写真提供:釜石市消防団第6分団)

 
民家など建物への延焼を阻止するため、夜を徹して放水を続けた。第6分団は約70人が翌23日朝まで吉里吉里、赤浜地区で消火活動にあたった(写真提供:市消防団第6分団)

民家など建物への延焼を阻止するため、夜を徹して放水を続けた。第6分団は約70人が翌23日朝まで吉里吉里、赤浜地区で消火活動にあたった(写真提供:市消防団第6分団)

 
 翌日(4月23日)は第1~5分団が出動。火の勢いが増し、延焼が拡大する中、懸命な消火活動が続けられた。2日間で団員111人、消防車両18台が出動。県内の相互応援消防隊のほか、県外から緊急消防援助隊が続々と到着したことで、同市消防団は役目を終えた。
 
 菊池団長(74)は「風が強く延焼拡大の危険が迫る中、団員たちは必死に消火にあたった。近くの消火栓が使えず、離れた防火水槽から水を上げ、ホースを中継させるなど、水不足で苦労した。夜を徹して(延焼を)食い止めることで民家が守られたのは団としても誇りに思う」と団員の労をねぎらった。
 
20メートルのホースを何本もつなぎ、現場に水を送る(左)。燃え上がる炎で暗闇の中に浮かび上がる山林(右)。(写真提供:市消防団第6分団)

20メートルのホースを何本もつなぎ、現場に水を送る(左)。燃え上がる炎で暗闇の中に浮かび上がる山林(右)。(写真提供:市消防団第6分団)

 
支援金交付式の後、懇談する出席者。菊池団長らが当時の現場の状況を伝えた

支援金交付式の後、懇談する出席者。菊池団長らが当時の現場の状況を伝えた

 
 県協会の高橋会長(67)は「隣町という相互関係もあって、迅速な活動ができたことは県協会としても心強く思う。訓練も含め、日頃からの連携はとても大事」と話す。懇談では、昨年2月に大船渡市で発生した大規模山林火災の教訓がかなり生かされていることが話題となった。緊急援助隊にも大船渡での活動経験者が多数いたという。
 
 高橋会長と上平事務局長はこの日、釜石市から大槌町に向かい、大槌町消防団にも同額の支援金交付を行った。

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「違和感」で架空料金請求詐欺防ぐ 釜石警察署、セブンイレブン中妻町1丁目店に感謝状

釜石警察署の日山良則署長(右)から感謝状を受けたセブンイレブン釜石中妻町1丁目店の関係者ら

釜石警察署の日山良則署長(右)から感謝状を受けたセブンイレブン釜石中妻町1丁目店の関係者ら

 
 釜石警察署(日山良則署長)は19日、特殊詐欺被害を未然に防いだとして釜石市中妻町のコンビニ、セブンイレブン釜石中妻町1丁目店(中澤英樹オーナー)に署長感謝状を贈った。電子ギフトカードの購入金額が高額だったことに加え、常連客のいつもと違う買い物に「あれ?」と“違和感”を覚えたのが奏功。詐欺の手口が多様化する中、こうした店頭や窓口を通した異変への気づきが被害拡大の防止に貢献している。
 
 贈呈式は同店で行われ、当時対応した店員の真壁香利さん(32)に日山署長が感謝状を手渡した。日山署長は「的確な判断と迅速な声かけが水際の被害防止につながった。被害の恐れを把握するのは、警察だけでは難しい。これからも協力を」と期待した。
 
日山署長から感謝状を受け取る真壁香利さん(奥)

日山署長から感謝状を受け取る真壁香利さん(奥)

 
 同署によると、4月15日夜のはじめ頃、常連の50代男性が来店し、総額3万3000円分の電子ギフトカードを購入しようとした。特に慌てた様子もなく普段通りだったと振り返る真壁さん。「高額だし、カードを買うのを見たことがない」と不審に思った。
 
 扱い方も分からない様子だったことから使用目的を尋ねると、男性はスマートフォンに届いた「多額の支援金を受け取れる。そのためには手数料が必要」といった内容が記されたメールを見せたという。真壁さんは「これ絶対に危ない。詐欺だ」と疑いを強め通報した。
 
 同店に急行した署員が真壁さんと客とのやりとりを確認し、詐欺の疑いを説明。購入を思いとどまった男性からさらに詳細を聞き出し、捜査する中で、架空料金請求詐欺と判断した。
 
電子ギフトカードに触れながら当時の状況を振り返る真壁さん

電子ギフトカードに触れながら当時の状況を振り返る真壁さん

 
 真壁さんは「自分の力で防ぐことができ、安心できたなというのが正直な気持ち」と表情をやわらげた。日ごろの客との会話や交流が異変を察知するのにつながったと改めて感じたようで、「これからも勇気を出して声かけしたい」と背筋を伸ばした。
 
 今回の声がけ対応や通報の流れは店内ですでに共有している。同店ではこれまでも複数回、詐欺被害を阻止しているといい、中澤オーナーは「(詐欺は)コンビニで食い止めなきゃ。最後のとりでだと思って」と力を込めた。
 
レジ近くにも陳列されている電子ギフトカード(レジの左横)

レジ近くにも陳列されている電子ギフトカード(レジの左横)

 
なじみの客と言葉を交わす真壁さん。「気づきを大事にしたい」

なじみの客と言葉を交わす真壁さん。「気づきを大事にしたい」

 
 岩手県内でみると、今年の特殊詐欺認知件数は4月末現在で94件(前年同期比35件増)、被害額は6億1617万円(同比2億7023万円増)。SNSのやりとりで架空の投資話などに引き込む「SNS型投資詐欺」「SNS型ロマンス詐欺」、電子ギフトカードを使うケースも増えている。
 
 釜石署管内で今年認知された特殊詐欺の発生件数は1件(SNS型ロマンス詐欺被害)。また、「公共料金(電気代やガス代など)が安くなると勧誘された」といった相談は、詐欺の可能性があるものを含め日々寄せられているという。同署は「電話やメールでお金の話が出てきたら詐欺。一人で悩まず、不安な時は迷わず警察に相談を」と呼びかけている。

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釜石地方森林組合「大槌町林野火災相談室」開設中 被災した山林所有者の不安軽減へ対応

大槌町の2地区で発生した林野火災の被災状況を話す釜石地方森林組合の高橋幸男参事

大槌町の2地区で発生した林野火災の被災状況を話す釜石地方森林組合の高橋幸男参事

 
 釜石市と大槌町の山林所有者が加入する釜石地方森林組合(野田武則代表理事組合長、組合員1616人)は、4月22日に大槌町で発生した林野火災への対応として、被災した所有者らの相談を受け付けている。同市片岸町の組合事務所に相談室を開設。所有林の復旧に向けた手続きや被災の有無など、組合が把握する情報を提供し、所有者の不安軽減につなげたいとしている。組合員以外の相談も受け付けており、「まずは電話で問い合わせを」と呼びかける。同組合の電話番号は0193・28・4244。
 
「大槌町林野火災相談室」を開設している釜石地方森林組合の事務所(釜石市片岸町)

「大槌町林野火災相談室」を開設している釜石地方森林組合の事務所(釜石市片岸町)

 
 大槌町の林野火災は、小鎚、吉里吉里の2地区で発生し、焼損面積は約1600ヘクタールに及ぶとみられる。これは昨年2月に本県大船渡市で発生した林野火災(3370ヘクタール)に次ぐ、平成以降で国内2番目の被害規模。同組合の高橋幸男参事によると、被災したエリアは全体でみると民有林(町有、私有など)が多いという。私有林は広葉樹が多く人工林率は低めだが、「吉里吉里地区では、収入になる伐採時期を迎えた木が多く焼け、伐採後、新たに植林したばかりの木も被害を受けた」。
 
火災で焼けた大槌町吉里吉里地区の山林。葉が茶色になった木々が見える

火災で焼けた大槌町吉里吉里地区の山林。葉が茶色になった木々が見える

 
焼けて幹が黒く焦げたスギ林=小鎚地区(写真提供:釜石地方森林組合)

焼けて幹が黒く焦げたスギ林=小鎚地区(写真提供:釜石地方森林組合)

 
地表部から上部まで火に包まれたとみられる木々も=小鎚地区(写真提供:釜石地方森林組合)

地表部から上部まで火に包まれたとみられる木々も=小鎚地区(写真提供:釜石地方森林組合)

 
 民有林の復旧に向け、県、町、同組合は20日から焼損面積の確定や被災木(人工林)のデータ取得のための現地調査を始めた。期間は5月末までを見込む。高橋参事は「国土調査が終わっていないため、所有地の境界が明確でない場所がある。被災の有無や復旧の進め方など不安を抱える所有者のために、組合員に限らず、できるだけ相談に応じたい」と話す。
 
 組合による相談室は5月7日に設置。これまでに組合員以外の所有者を含め7件の相談があり、組合の保険手続きや復旧に対する助成の有無、「被災しているかもしれないが、どうすれば?」など、さまざまな相談が寄せられている。
 
組合では森林資源管理図(林相図)で被災した組合員らの特定を進めている

組合では森林資源管理図(林相図)で被災した組合員らの特定を進めている

 
 同火災が「局地激甚災害」指定を受けられれば、災害復旧事業に対する国の補助割合が通常より上乗せされる。高橋参事は「知らずに事業の申請が終わってしまうことのないよう、組合が知り得た情報は適時、所有者にお伝えしたい。正しく情報を得て考えをまとめ、方向性を決められるようなお手伝いができれば」と話す。今回の被災エリアは同組合員以外の所有が多いとみられる。被害規模が大きいため、復旧には長い期間を要するものと考えられ、組合では同災害指定の期限後も見据えた対応をしていく構え。「出前相談会」にも応じていて、希望する場合は組合に問い合わせてほしいとのこと。

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探る!一緒にできること 釜石市長と市民「ざっくばらんに」車座トーク 協働まちづくり推進

釜石市の小野共市長と市民が直接対話する「車座トーク」=19日

釜石市の小野共市長と市民が直接対話する「車座トーク」=19日

 
 釜石市は市民参加のまちづくりを推進するため、小野共市長が市民の声を直接聞く「市長と話そう!車座トーク」を始めた。19日夕、本庁地区(新浜町~駒木町)の住民を対象に初開催。住みやすい地域づくりを考える15人が参加し、困り事や解決へのアイデア、熱い思いを伝えた。小野市長は「地域の現状を知り、行政が一緒にできることは何かを考える時間になった」と好感触を実感。この日を皮切りに、7月まで各地区で順次開催する。
 
 車座トークは、小野市長の発案。「市民参加の協働によるまちづくり」を進めるため、地域に出向いて市民と対話し地域課題を把握するとともに、これからのまちづくりを考えるのを狙いにする。これまでも地域会議や市政懇談会など市民の意見を聞く機会は設けているが、開催に当たってはテーマが定まっている場合がほとんど。市の施策を伝えるのが主で、参加者からは「市長の考えをもっと聞きたい」などの声が寄せられていたという。小野市長も市民との距離を縮め「ざっくばらんに話したい」と考えており、車座トークを実践した。
 
 会場もこれまでとは違った場所を選んだ。初回は同市浜町にある企業の研修などを受け入れる人材育成拠点「ねまるポート」で開催。集まった市民に向かい、小野市長は、4月下旬に発生した大槌町の大規模山林火災への市職員派遣などの対応や、市長選で掲げた公約の実現に向けた動きを説明した。
 
市政のかじ取り役を担う小野市長が率直に思いを話す

市政のかじ取り役を担う小野市長が率直に思いを話す

 
 公約に関し▽県立釜石病院の新築とリハビリセンターの設置▽公共ふ頭の拡張▽三陸道釜石両石インターチェンジのフルインター化―の3点を挙げ、「地方の経済状況は厳しくなるが、付け焼き刃的ではない財政支援が必要。それは社会資本を整えること、商圏を拡大することだ」と強調。実現の手応えを得るもの、めどの見当も定まらないものもあるが、国や県などに対し繰り返し働きかける考えを明かした。
 
 市政への理解を深めてもらった後、「対話型まちづくり」に向けたトークがスタート。浜町や東前町の住民たちは高齢化する地域の状況を改めて伝えたうえで、2階にある集会所の利用のしやすさを考慮した修繕への支援、住民任せとなっている市有地の市による適正管理などを求めた。千鳥町で子育て世帯の居場所づくりに取り組む女性は市が進める子育て支援策の満足度を上げるための取り組みについて質問。子ども食堂の実施を検討していたり、空き家の活用のアイデアを出す人もいた。
 
「市長に会って直接話をしたかった」と思いを伝える参加者

「市長に会って直接話をしたかった」と思いを伝える参加者

 
 クマ出没に関し、追い払いのための爆竹使用に当たっての悩みを明かす人も。火花が散ることで山火事につながる可能性もあり、「代替策を教えて」と切実に訴えた。小野市長は、市街地への侵入を早期に察知するAI(人工知能)カメラを紹介。先行する花巻市の事例を調べているところだと話し、「クマ対策は県からの予算も付きやすい」と何かしらの手を打つ考えを示した。
 
 本町地区は東日本大震災の津波で被害を受けた地域。早めの生活再建にと地区外に転居した人もいて、「子どもたちの声が少なくなった。うるさいけど、やっぱり声があるのはいいね」と寂しそうに語り合う場面もあった。住み慣れた地区をよりよい地域にとできる範囲で取り組む浜町の50代女性は「地域の人がどんなことを話すか、興味本位で参加。人が集まればいろんな思いを聞けるし、要望できるのもいい」と歓迎した。
 
 トークが盛り上がり、予定時間を少し延長。小野市長は「(市政懇談会など)これまでとは違った顔ぶれ、発言していなかった皆さんが集まってくれた」と振り返り、「マイクを通した言葉ではなく、より近くで考えや思いを伝えられた。参加者同士、横断的なクロストークみたいになったのもよかった」と手応えを実感。「自分たちのまちを自分たちでつくり上げていくことを考える機会になったらいい」と、次の開催地へ気持ちを向けた。
 
「市民との距離を近く」「広く声を」と実施される車座トーク

「市民との距離を近く」「広く声を」と実施される車座トーク

 
 今後の車座トークの日程は次の通り。時間はいずれも午後6時~1時間程度。
【5月】
◆21日(木)中妻地区/昭和園クラブハウス◆26日(火)鵜住居地区/川目集会所◆29日(金)小佐野地区/上小川・中小川集会所
【6月】
◆1日(月)松原・平田地区/上平田集会所◆3日(水)栗橋地区/さんあいセンター◆30日(火)甲子地区/洞関地区コミュニティ消防センター
【7月】
◆3日(金)唐丹地区/本郷地区コミュニティ消防センター

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感謝、感動! 白山小76年の歴史胸に最後の運動会 閉校への1年を地域とともに…

白山小最後の運動会でかけがえのない思い出を作った27人の児童=16日 

白山小最後の運動会でかけがえのない思い出を作った27人の児童=16日

 
 釜石市嬉石町の白山小(鈴木慎校長、児童27人)で16日、運動会が開かれた。本年度で閉校する同校にとって最後の運動会。児童と保護者、教職員、卒業生、地域住民…。これまで同校に関わってきた多くの人たちが集い、思い出いっぱいの校庭で各種種目を楽しんだ。この日に向け、競技や応援練習に一生懸命取り組んできた児童らは、その成果を存分に発揮。自分たちのひたむきな姿で、支えてくれる人たちへ感謝の気持ちを表した。
 
 開会式で鈴木校長は「最後の運動会をこの場所でできることを幸せに思い、全力で競技、応援をしよう。『ありがとう』『がんばってね』と相手を思いやる言葉がたくさん飛び交う運動会に」と児童らに呼びかけた。紅白各組団長の佐々木莉愛さん(6年、赤)、藤井望夢さん(同、白)は「届け感謝! 27人の絆で すてきな思い出を」との児童会スローガンを示し、「一人一人が全力で競技に挑み、仲間と協力し本気で戦い抜く」と宣誓した。
 
1年生2人が開会のことば(左上)。紅白各組の団長(6年)が宣誓した(右上)。校舎の窓には「ありがとう白山小学校」の文字が掲げられた

1年生2人が開会のことば(左上)。紅白各組の団長(6年)が宣誓した(右上)。校舎の窓には「ありがとう白山小学校」の文字が掲げられた

 
両団長が応援団旗を交換し、互いの健闘を誓うエールを送り合った

両団長が応援団旗を交換し、互いの健闘を誓うエールを送り合った

 
 紅白のエール交換のあと、12の種目がスタート。徒競走は1、2年生が50メートル、3、4年生が80メートル、5、6年生が100メートルで競った。最後の運動会の思い出にと、初めて挑んだのが紅白対抗の“全校大縄跳び”。制限時間内に何回跳べるかを2回戦の合計で競うもので、1~6年生全員が心を一つに飛び跳ねた。結果は赤組58回、白組60回で白組の勝ち。
 
徒競走は50(1・2年)、80(3・4年)、100(5・6年)メートルで競い合った

徒競走は50(1・2年)、80(3・4年)、100(5・6年)メートルで競い合った

 
みんなで息を合わせ、大縄跳びに挑戦する赤組児童

みんなで息を合わせ、大縄跳びに挑戦する赤組児童

 
白組も負けじとジャンプ! 最後まで頑張り抜き、大縄跳び対決を制した

白組も負けじとジャンプ! 最後まで頑張り抜き、大縄跳び対決を制した

 
 過去の運動会で行われていた種目“チャンスレース”の復刻版もあった。「スパイミッション2026」と銘打ったのは、仮装と借り物レースを組み合わせた競技。スタート後、4種の服装(1年生、スポーツ選手、アイドル、ハンター)のどれかに早着替え。本部に集まった全員に指令が出され、お題に合った人を会場から探し出し、一緒にゴールするものだ。本部からは「○○に変装して」という、さらなる着替え指令も…。お題が出されると、会場にいる人たちが「こっち、こっち」とアピールし、児童と手をつないでゴールに駆け込んだ。
 
「スパイミッション2026」。最初の早着替えの後は本部前で記念写真も(左上)。その後、ミッションスタート!

「スパイミッション2026」。最初の早着替えの後は本部前で記念写真も(左上)。その後、ミッションスタート!

 
サングラス(眼鏡)をかけている人、白山小の卒業生、アイドルのようにすてきなお母さん、釜石SWの選手のようにかっこいいお父さん…などお題はさまざま

サングラス(眼鏡)をかけている人、白山小の卒業生、アイドルのようにすてきなお母さん、釜石SWの選手のようにかっこいいお父さん…などお題はさまざま

 
会場の人たちの協力で全員が無事ゴール。にぎやかな種目となった

会場の人たちの協力で全員が無事ゴール。にぎやかな種目となった

 
 今回の運動会では、しばらく歌われていなかった紅白の応援歌を復活させ、児童らが練習を重ねてきた。2回の応援合戦で応援歌やエール、三三七拍子を披露。声や動きの大きさ、態度を3人の審査員が評価し、勝った組の小旗を挙げた。応援歌復活には、同校卒業生らも記憶のすり合わせなどで協力。当日は、懐かしさを感じながら聞き入る姿もあった。
 
 全校で取り組んだ「白山ソーラン」では半てん姿の児童らが躍動した。2008年、同運動会にソーランを導入し、今回、児童の指導にもあたった元教員の髙橋道明さん(64)も駆け付けた。PTAの綱引き、地域住民や卒業生が参加しての玉入れ、パン食い競走も大盛り上がり。児童らの声援を受けながら、幅広い年代が楽しんだ。最後の全校リレーでは、各組の陣地で児童の父母らが旗を振り全力応援。接戦のレースと相まって会場の熱気は最高潮に達した。
 
地元「松原神社」の名前が入った半てんなどを身にまとい、「白山ソーラン」の演舞

地元「松原神社」の名前が入った半てんなどを身にまとい、「白山ソーラン」の演舞

 
これまでの練習の成果を発揮し、ダイナミックに踊る児童

これまでの練習の成果を発揮し、ダイナミックに踊る児童

 
PTA競技「魂の綱引き」。子どもたちに負けず全力で!

PTA競技「魂の綱引き」。子どもたちに負けず全力で!

 
地域住民参加の玉入れ。相手組の“鬼”が棒の先端の大きな手で、玉が籠に入るのをじゃまする

地域住民参加の玉入れ。相手組の“鬼”が棒の先端の大きな手で、玉が籠に入るのをじゃまする

 
 両組とも持てる力を十二分に発揮した運動会。総合得点は赤組258点、白組247点で赤組が優勝。閉会式では、互いの頑張りをたたえ合い、会場に集まった全員が同校の絆と誇りを再認識した。川﨑仁遥児童会長(6年)は「長い歴史の最後の運動会をみんなで楽しく終えることができた。今日まで支えてくれた皆さん、そして、たくさん走って泣いて笑ったこの校庭にも『ありがとう』を伝えたい」と感謝の思いを口にした。
 
 伊藤來嬉さん(5年)、喜來さん(4年)兄弟は同じ赤組で優勝し、喜びを分かち合った。兄來嬉さんは「応援歌はかなり時間を使って覚えたのでしっかり歌えた。楽しかったのはチャンスレース。いっぱい思い出ができた」とにっこり。弟喜來さんは得意の徒競走で1位に。「(兄と)同じ組で優勝できてうれしい。みんなの力が集まって応援もすごかったから勝てたと思う」と振り返った。
 
心のバトンもつなぐ全校リレー。各組陣地では父母らが旗を振って応援

心のバトンもつなぐ全校リレー。各組陣地では父母らが旗を振って応援

 
リレーは最後まで接戦。果たして勝敗の行方は?

リレーは最後まで接戦。果たして勝敗の行方は?

 
 1951(昭和26)年開校の白山小は本年度で76年の歴史を刻む。学区内には3世代が同校出身、在籍という家族も。息子2人(1、2年)が同校に通う花川由希子さん(42)は自身の小学校時代の記憶を重ねつつ、「母校がなくなるのは本当に寂しい。でも、最後に親も地域の人たちも一緒に(運動会が)でき、やり切った感がある」と充実の表情。次男蓮さん(6)は新1年生2人で「開会のことば」を担当。「練習を頑張った」という通り、暗唱で堂々の開会宣言をした。由希子さんの父與志樹さん(77)は55(昭30)年度の入学。市の人口増加期で「1学級40人、1学年3学級の時代」。運動会では地区対抗の種目があり、「あれが一番盛り上がった」と懐かしむ。閉校は「何とも言えない気持ち」と複雑な思いをにじませるが、残り1年、継続してきた児童の登下校の見守り活動で貢献していきたい考え。
 
 運動会にはさまざまな年代の卒業生も多数集まった。大平中1年の阿部琉芯さん(12)は「統合になるのは少し悲しい」と残念がるも、母校最後の運動会を盛り上げようと同級生らと足を運んだ。3種目に参加し、応援でも後輩たちを後押し。「みんな頑張っている。最後の1年、いろいろなことに挑戦し楽しんでほしい」とエールを送った。
 
卒業生も多数駆け付けた。“白山小愛”あふれる仲間たち

卒業生も多数駆け付けた。“白山小愛”あふれる仲間たち

 
校舎前には県キッチンカー協会から飲食の4台が出店。さまざまなメニューを味わいながら運動会の余韻に浸った

校舎前には県キッチンカー協会から飲食の4台が出店。さまざまなメニューを味わいながら運動会の余韻に浸った

 
 本年度、PTA会長を務める川﨑秀樹さん(40)は「子どもたちはいつもとは違う1年であることを自覚しつつ、各種活動に取り組んでいる。閉校自体は寂しいが、むしろ『こういう1年があって良かった』と(後で)思えるぐらい、楽しく充実した時を過ごしてほしい」と願う。自身も白山小出身。今回、運動会準備のため、同級生はじめOBと連絡を取り合う中で、母校への強い思いを改めて感じた。呼びかけに応え、当日、会に参加してくれた人たちもいたという。釜石を離れている同級生らにはグループLINEで運動会の様子をリアルタイムで伝え、喜ばれたとも。今後の閉校に向けた行事にも地域住民や出身者らの協力を得て取り組んでいきたいと望んだ。
 
輝く笑顔が見られた白山小運動会。思い出は一人一人の脳裏に刻まれる

輝く笑顔が見られた白山小運動会。思い出は一人一人の脳裏に刻まれる

 
 閉会式で「白山小の“閉校物語”はまだまだ続く。みんなで最高の1年にしていこう」と呼びかけた鈴木校長。校舎に掲げた「ありがとう 白山小学校」の言葉を胸に、同校最後の1年が動き出した。

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酒造り支える田んぼ(大槌)で挑戦 釜石・浜千鳥の体験塾 親子ら、田植えに歓声

浜千鳥酒造り体験塾で田植えに取り組む参加者

浜千鳥酒造り体験塾で田植えに取り組む参加者

 
 釜石市小川町の酒造会社、浜千鳥(新里進社長)は17日、大槌町大槌の田んぼで田植え体験会を開いた。地元の釜石や大槌のほか、盛岡、宮古、東京など岩手県内外から親子連れや学生ら約120人が参加。ぬかるむ泥の感触を楽しみつつ、酒造りの一端に触れた。
 
 体験の場は、同社に酒米を提供する佐々木重吾さん(69)の田んぼ(約7アール)。晴天の下、大人も子どもも泥まみれになりながら、酒米「吟ぎんが」の苗を横一列で手植えしていった。
 
参加者は横一列に並んで吟ぎんがの苗を植え付けた

参加者は横一列に並んで吟ぎんがの苗を植え付けた

 
 初めて体験した子どもたちは「気持ちいい」「ふにゅふにゅしてる」「ちょっとぬるい」などと、はしゃぎながら作業。大船渡市の小学生廣田千佳さん(8)は「天気がよくて気持ちいい。成長が楽しみ。おいしいお米ができたらいいな」とはにかんだ。父親の将さん(38)は「泥に触れる機会はめったになく、子どもたちの思い出になればと参加。人と触れる場でもあり、ずっと続いてほしい取り組み」と目を細めた。
 
青々とした苗を手に笑顔を見せる家族連れ

青々とした苗を手に笑顔を見せる家族連れ

 
幅広い世代が集結。苗の手植えに挑戦した

幅広い世代が集結。苗の手植えに挑戦した

 
子どもも大人も泥だらけになりながら作業を楽しむ

子どもも大人も泥だらけになりながら作業を楽しむ

 
 苗ができるだけ等間隔になるよう、スタッフが張ったロープに沿って植え付けるといった工夫も。釜石市内の銀行に勤める行員の佐藤碩人さん(24)は昨年に続いて2回目の参加で、「作業の大変さ、工夫あっての田植えを体験できるいい機会」と心地よい汗を流した。実は、日本酒に苦手意識があるというが、「浜千鳥は飲みやすい」とニヤリ。酒造りの一工程に携わったことで「より一層おいしく飲めそう」と心待ちにした。
 
 岩手大の学生団体「いわてi-Sakeプロジェクト」のメンバー5人も力を発揮した。農学部1年の桑野陽菜さん(19)、伊藤月野さん(18)は農業、米作りに関心があり、さらに酒造りの流れを知りたいと参加。「中腰の作業は腰が痛くなるし、泥に足をとられて大変だった。幅広い年代の人たちと関わりながら作業ができて楽しかった」と爽やかな笑顔を重ねた。それぞれ神奈川県横浜市、秋田県鹿角市の出身で、「いろんなことに挑戦したい」とあふれる意欲も共通。酒をたしなむのはまだ先だが、「いつか味わってみたい」と楽しみを残した。
 
手植えの大変さを実感。ひと休みして腰の筋肉を伸ばしたり

手植えの大変さを実感。ひと休みして腰の筋肉を伸ばしたり

 
力を合わせて7アールの田んぼに酒米の苗を植え付けた参加者

力を合わせて7アールの田んぼに酒米の苗を植え付けた参加者

 
 佐々木さんが会長を務める大槌酒米研究会では今年、6個人1法人が同社に供給する吟ぎんがを栽培。体験会の田んぼを含めて約20ヘクタールに作付けした。昨年より5日ほど早く進行。苗の出来もよく、「根づきが早いかも」との見立てだ。一方、今後の天候が読めない状況は例年通りのようで、佐々木さんは「やってみないと分からない」と笑う。
 
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苗の植え方を伝える佐々木重吾さん(右)。体験を通して農業や米作りへの理解が深まるのを願う

 
作業の安全や豊作を祈り行われた神事。新里進社長(右上)らが玉串をささげた

作業の安全や豊作を祈り行われた神事。新里進社長(右上)らが玉串をささげた

 
 地産地消の酒造りを目指す同社では、同研究会が栽培する吟ぎんがを使い「ゆめほなみ」などを醸造。今では同社が使うコメの半数を占める。そうした取り組みを理解してもらおうと、「酒造り体験塾」を展開。今後は稲刈りや仕込み体験も予定する。
 
 新里社長(68)は多世代の関わりについて「若い人のアルコール離れがある中で、日本の文化を見直す機会になるのでは。心強い。日本酒への親しみも感じてもらえるといい」と歓迎。「いい酒を届けたい」。これから始まる酒造りに腕まくりする。

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役割、やりがい、専門性…看護師の仕事 じかに 県立釜石病院で中高生が体験

患者に声をかけながら足浴に挑戦する生徒

患者に声をかけながら足浴に挑戦する生徒

 
 釜石市甲子町の県立釜石病院(阿部薫院長)は11、12の2日間、ふれあい看護体験を行った。医療、看護の道を志す近隣市町の中高生らが患者へのケアを通して先輩の姿勢を学んだ。
 
 11日は釜石中、甲子中から計12人が参加した。同病院の看護師と同じ白衣を身に着けた生徒たちはグループごとに病棟に分かれ、入院患者の手浴や足浴に挑戦。気さくに話しかける先輩看護師に倣い、「(湯は)熱くないですか?」「かゆい所はありますか?」などと声をかけながら丁寧に洗った。
 
力加減を気にしながら丁寧に手を洗う中学生

力加減を気にしながら丁寧に手を洗う中学生

 
先輩看護師に教わりながら足を拭く生徒たち

先輩看護師に教わりながら足を拭く生徒たち

 
 患者一人一人に合わせて用意される食事を運んだり、車椅子に患者を乗せて院内を移動する体験も。手術室での活動もあり、生徒たちは現場の雰囲気を肌で感じた。
 
 釜石中3年の伊藤碧泉さんは洗髪に挑み、「傷つけたりしないよう洗う時の力の入れ具合や声の大きさに気をつけた」と肩の力を抜いた。患者に接する際の先輩看護師の姿もよく“観察”したようで、「私も笑顔を大切にして患者さんと接することができるよう、コミュニケーション力を磨きたい。いろいろなことを勉強して、テキパキと動ける看護師になりたい」と刺激を受けていた。
 
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車椅子での院内散歩、食事の配膳なども行い患者と触れ合った

 
 医者を目指す甲子中3年の米澤悠真さんは、手術室で活動。手術で使用する器具に触れるといった貴重な体験に夢実現への思いは強まった。部活動などで自身がけがをした時や不調の家族らを快方へと導く医師の姿を目の当たりにし、「今後は自分が誰かを助けられようになりたい」と感化。たくさんの人と関わり、「一人一人の患者さんに寄り添える医者に」と思い描く。さらに「いつかは釜石に貢献したい」と、地域への愛着もにじませた。
 
 看護体験は職業として医療職を選択してもらう機会を提供するのが目的。なかでも看護の仕事はイメージと現実にギャップを感じる若手も多いといい、村上恵理子総看護師長は「実際の現場を見て、知って、興味をほしい。役割とやりがい、専門的な知識を持って仕事に臨んでいることを」と切望する。
 
先輩看護師(右)の動きをじっと見つめ看護の心を学ぶ生徒

先輩看護師(右)の動きをじっと見つめ看護の心を学ぶ生徒

 
体の動きに制約がある人を移動させる際のポイントなども教わった

体の動きに制約がある人を移動させる際のポイントなども教わった

 
 県立病院の特長として、チーム医療や教育サポートの充実を挙げた村上総看護師長。同病院には▽皮膚・排泄ケア▽感染管理▽認知症介護―など、専門性を発揮して活躍する認定看護師が5人おり、「看護の質を高めている」と強調した。また、近年は人口減や高齢化、医療従事者の不足などで同病院の機能が変化しているとし、「治療だけでなく、介助や介護といった視点も取り入れなければ」と、看護の力を深める必要性を認識。その上で、看護体験を通して地域医療を支える仲間が増えることを期待していた。
 
 12日の体験には釜石、釜石商工、遠野、大槌の4校から十数人が参加した。

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ゆる~く満喫!?音楽×キャンプ×脱炭素 釜石・根浜で環境配慮型イベント

根浜シーサイドキャンプ場で開かれたライブイベント

根浜シーサイドキャンプ場で開かれたライブイベント

 
 釜石市鵜住居町の根浜海岸にある観光施設「根浜シーサイド」のキャンプ場で10日、環境配慮型音楽イベント「NEBAMA MUSIC JAM ~脱炭素ライブ」が初開催された。釜石、大槌を中心に活動するバンド4組が出演。ライブで使用するアンプなど音響機材の電力供給には廃食油から精製されたバイオディーゼル燃料を採用し、CO2排出量削減に努めながら未来につながる取り組みに挑戦した。
 
 キャンプ場フリーサイトに、廃材を活用したステージがお目見え。50年近く活動するジャズバンド「トライデント」、アコースティックバンド「ブラック★かまリンズ」などジャンルを超えて独自に演奏活動を楽しむ地元ミュージシャンたちが熱い思いを音に乗せて聴かせた。
 
心地よいジャズの音色を響かせた「トライデント」

心地よいジャズの音色を響かせた「トライデント」

 
楽しい音を重ね合わせた「ブラック★かまリンズ」

楽しい音を重ね合わせた「ブラック★かまリンズ」

 
出演者も観客も開放的な空間で音楽を楽しむ

出演者も観客も開放的な空間で音楽を楽しむ

 
 来場者はリズムに乗って体を揺らし、歌ったり、手拍子を加えたりしながら楽しんだ。飲食もあり、ノンアルコール飲料を片手に耳を澄ます人も。テントを張って、楽な姿勢でゆったりとした時間を過ごす姿も見られた。
 
 小川町の団体職員新張英明さん(72)は「海が目の前に広がる根浜は夏のイメージだが、新緑を背景にした春も楽しめると思っていた。開放的で音楽を楽しむのにいい」と歓迎。自身もギターをたしなみ、「(出演者は)みんな仲間だから。次があれば、一緒にステージに立ちたいな」と笑顔を見せた。
 
野外で、芝生に座って、テントでゆったりと思い思いに楽しむ

野外で、芝生に座って、テントでゆったりと思い思いに楽しむ

 
 大槌町を拠点とするロックバンド「ムーミンズ」はイーグルスの「テイク・イット・イージー」や、東日本大震災をモチーフにしたオリジナル曲「幻の街にあの娘が」などを披露。バンドマスター(リーダー)の赤﨑潤さん(61)は「ちょっと風が強かったけど、ロケーションがよく、気持ちいい演奏ができた。天気もよくて、ピクニック気分を味わえた」と、サングラスの奥から満ち足りた雰囲気をのぞかせた。
 
春の日差しを浴びながらの演奏を楽しむ「ムーミンズ」

春の日差しを浴びながらの演奏を楽しむ「ムーミンズ」

 
他バントとの協演で熱唱する赤﨑潤さん(右から2人目)

他バントとの協演で熱唱する赤﨑潤さん(右から2人目)

 
 イベント出演の少し前に大槌で山林火災が発生した際、多くの人から心を寄せてもらったと感謝の気持ちも込めて演奏した赤﨑さん。「こうした空間で仲間と集える機会がずっと続くといい」。自身が営む喫茶店「夢宇民(ムーミン)」に集う、70年代の洋楽を愛するメンバーと結成したバンドの活動へ意欲を深めた。
 
大槌町林野火災支援の募金や飲食の販売、子どもの遊び場も用意 width=

大槌町林野火災支援の募金や飲食の販売、子どもの遊び場も用意

 
 キャンプ場で音出ししよう―。この呼びかけが、音楽イベント開催のきっかけとなった。“言い出しっぺ”は、軽音楽バンド「ザ・クロコダイル・ティアーズ」のドラマー木下義則さん(60)。「青空の下で、飲み会をやろうと思った。ミュージシャンだから合間に好きな曲演奏しながら」と、当初は仲間内で楽しむつもりだった。
 
エネルギッシュな演奏で魅せた「ザ・クロコダイル・ティアーズ」

エネルギッシュな演奏で魅せた「ザ・クロコダイル・ティアーズ」

 
野外音楽イベントにつながる企画を考えた木下義則さん(中)

野外音楽イベントにつながる企画を考えた木下義則さん(中)

 
 場所を貸してもらおうと施設を訪れると、管理・運営業務を行う観光地域づくり法人かまいしDMCのスタッフ佐藤奏子さん(47)から「イベントにしてほしい」と求められた。釜石市が環境省の「脱炭素先行地域」に選定され、同法人は推進会員として事業を展開。施設では地域から出る廃食油を回収しており、それを橋野町の一般社団法人ユナイテッドグリーン(山田周生代表理事)が燃料に精製して各種イベントで使う発電機の燃料に活用していた。
 
 佐藤さんがちょうど、キャンプ場と音楽を組み合わせた催しを構想していたのもあり、木下さんのやりたいことに“脱炭素”という要素をかけ合わせてイベント化した。会場ではバイオディーゼルカー(山田代表理事所有)の展示、太陽光発電による携帯充電ステーションの設置なども行い、来場者に「地球環境に優しいエネルギーで持続可能な社会を」という意識を持つ機会にしてもらった。
 
音響機材の電力源は廃食油を精製した燃料を使った発電機

音響機材の電力源は廃食油を精製した燃料を使った発電機

 
音楽を愛する仲間たちが集った「根浜ミュージックジャム」

音楽を愛する仲間たちが集った「根浜ミュージックジャム」

 
 所属バンドのほか、他の出演バンドのヘルプドラマーとしても盛り上げた木下さんは「やっぱり野外は心地いい。気持ちをラクにして演奏できる」と満喫。自然あふれる空間を共有する人たちを見つめ、「最近の世の中は嫌な話が多い。全部忘れて、好きなことをして過ごす時間もないとね」とうなずく。継続性については「気が向いたら。だって、飲み会だもん」。いたずらっぽく笑っていた。
 
 音楽イベントの前には、施設周辺に開設された「根浜ビオトープ」で生物観察会を開催。佐藤さんは「自然環境を守り、地域資源を生かす活動や使用済みの食用油から作ったエコ燃料で循環型社会につなげる取り組みを継続したい。その中で、地域で活動する人たちの応援もできたらいい」と展望した。

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2カ月後の成長に期待 釜石・鵜住居川、甲子川にアユの稚魚放流 解禁は7月5日

「元気に育て!」。鵜住居川へのアユの稚魚放流=10日

「元気に育て!」。鵜住居川へのアユの稚魚放流=10日

 
 県内外の釣り客に愛される釜石市の鵜住居川と甲子川に、今年もアユの稚魚が放流された。大船渡市の盛川漁協で中間育成された稚魚は体長6~8センチ。両河川の関係者が10、11日に放流した。両河川とも解禁日は7月5日。稚魚の繁殖保護のため、6月1日から解禁日前日まで全魚種が禁漁となる。(禁漁区域は現地の立て看板などを参照)
 
 10日の鵜住居川の放流は、鵜住居川漁業協同組合(川崎公夫代表理事組合長、組合員148人)が実施。組合員35人が2班に分かれて作業した。鵜住居町の日ノ神橋下流域から橋野町の産直、橋野どんぐり広場付近までの区間で、約20カ所のポイントに稚魚を放った。放流量は400キロ(約4万6500尾)。
 
鵜住居川漁協の組合員が放流にあたった=鵜住居町田郷

鵜住居川漁協の組合員が放流にあたった=鵜住居町田郷

 
放流された稚魚は1尾平均8.6グラム。解禁日には15センチ以上に成長

放流された稚魚は1尾平均8.6グラム。解禁日には15センチ以上に成長

 
 同組合によると、昨季のアユ釣りは釣果、型ともに良く、県内外から多くの釣り客が訪れた。遠くは関東方面から足を運ぶ人も。例年、シーズン前に組合員らが河川敷のごみ拾いや草刈りを行っていることもあり、釣り場環境の良さで人気を集める。県内の河川は昨年、異常渇水で後半は釣果が落ちた。今季は適度な雨量が欲しいところ。
 
 近年は飼料代や電気代の高騰で稚魚の価格が上昇。例年並みの放流量を維持するには遊漁券販売の売り上げ増が必須で、組合では多くの釣り客の来訪を願う。川崎組合長(76)は「沿岸地域の人口減に伴い、釣り客も減っている。県内陸部や県外の人にも、さらに足を運んでほしい。河川漁協の経営はどこも厳しさを増す。子どものうちから川に親しむ機会を増やし、将来の釣り人口拡大につなげていければ」と望んだ。
 
橋の上ではトラックの水槽からホースを垂らして放流=栗林町上栗林

橋の上ではトラックの水槽からホースを垂らして放流=栗林町上栗林

 
放流日は晴れて気温も上がり絶好のコンディション。新緑がまぶしい鵜住居川

放流日は晴れて気温も上がり絶好のコンディション。新緑がまぶしい鵜住居川

 
 鵜住居川漁協の組合員費は年間5000円。一般遊漁料は年券が7000円、日券が1500円。遊漁券は市内釣具店や赤いのぼり旗を掲げた流域の販売所で購入できる。スマホアプリ「フィッシュパス」での購入も可能。最近は同アプリの利用が増えているという。
 
 11日は甲子川でアユの稚魚の放流があった。甲子川鮎釣協力会(安久津吉延会長)、クボタ環境エンジニアリング、市水産農林課から約30人が参加。2班に分かれ、上流は甲子町砂子渡、下流は上中島町から放流を開始。それぞれ甲子町松倉まで各ポイントに稚魚を放った。放流量は250キロ(約2万7700尾)。
 
甲子川では甲子川鮎釣協力会の有志らが放流にあたった=11日

甲子川では甲子川鮎釣協力会の有志らが放流にあたった=11日

 
松倉橋上流での稚魚放流。この日も近年では最高の“放流日和”

松倉橋上流での稚魚放流。この日も近年では最高の“放流日和”

 
 甲子川には河川漁協がなく、入漁料を徴収しないため、稚魚の放流費は同協力会に寄せられる釣り人からの協力金や企業の寄付金などで賄われている。安久津会長(85)は「皆さんの協力で昨年並みに資金が集まり、今年も放流できた」と感謝。昨年は釣果が良く、市内の釣り人有志から寄付されたアユ約700匹を道の駅釜石仙人峠で2年ぶりに振る舞った。「甲子川のアユは味で全国一になるなど、おいしさには定評がある。水質がいいんですね。これからもみんなでこの川を守っていきたい」と話した。
 
放流稚魚は1尾平均9グラム。体長15センチぐらいになると縄張りを作る

放流稚魚は1尾平均9グラム。体長15センチぐらいになると縄張りを作る

 
クボタ環境エンジニアリング社員、市水産農林課職員も協力して作業

クボタ環境エンジニアリング社員、市水産農林課職員も協力して作業