今年は満開の下で… 橋野鉄鉱山八重桜まつり 花観賞、世界遺産見学、餅まき… 楽しみ方いろいろ

満開の八重桜に囲まれ、お振る舞いの豚汁を味わう親子=10日、橋野鉄鉱山八重桜まつり
釜石市の桜シーズンを締めくくる催し「橋野鉄鉱山八重桜まつり」が10日、橋野町青ノ木の現地で開かれた。風はあったものの晴れの天候に恵まれ、濃桃色の花と青空、新緑が織り成す光景に来場者は感激。「きれいだねー」「気持ちいいねー」と山里の春を満喫した。地元の女性らが調理した春の山菜入りの豚汁も味わい、家族連れや友人同士で“満開”の笑顔を広げた。
同まつりは地元住民組織、橋野町振興協議会(菊池郁夫会長)と栗橋地区まちづくり会議(洞口政伸議長)が主催。両組織が地域の魅力を季節ごとに発信する「はしの四季まつり」のシーズン最初の行事として行われている。今年も市街地から無料送迎バス2台(大型、中型)が運行され、約60人が利用。マイカーも含め、新緑の中のドライブを楽しみながら来場した。
釜石観光ガイド会(瀬戸元会長)会員の案内で巡る世界遺産、高炉場跡の見学ツアーには20人余りが参加。満開の八重桜を愛でながら、史跡エリアに向かった。現存する国内最古の高炉の石組み3基を巡りながら、ガイドが江戸時代末期に始まった同所の製鉄の歴史、出銑の方法、操業規模などを説明。さまざまな裏話も飛び出し、参加者は興味をそそられながら遺産価値に理解を深めた。

釜石観光ガイド会員の案内で巡る高炉場跡の見学ツアー。興味深い話が聞ける

毎年大好評の餅まき。老若男女が手を伸ばして楽しんだ
来場者お待ちかねの餅まきは同鉄鉱山インフォメーションセンター駐車場で行われた。開始時刻が近づくと子どもから大人まで大集合。同振興協、菊池会長の歓迎のあいさつに続き、約1千個の紅白餅がトラックの荷台からまかれた。
先着300杯の豚汁のお振る舞いには今年も長蛇の列ができた。振興協女性部自慢の豚汁は定番の野菜に加え、春の山菜ワラビやウルイが入った具だくさん。12種の具材のうまみと地元の自家製みその味付けが融合し、橋野“ならでは”の味わいを生み出している。会場では地元産直「橋野どんぐり広場」の出張販売もあり、タケノコ、コゴミ、シドケ、ウドなど旬の山の幸を求める人たちでにぎわった。

山菜も入った具だくさんの豚汁を求めて大勢の人たちが列を作った

「あ~ん!」お口を広げて豚汁の豆腐をパクリ。いっぱい食べて大きくな~れ

橋野どんぐり広場の出張販売。旬の山菜はこの日も人気
4月末に長野県から訪れ、橋野町の一般社団法人三陸駒舎でホースセラピーなどの研修を行う清水蛍さん(40)は、同行している子ども4人と来場。「八重桜の並木が連なり、すてきな場所ですね。このまつりがなかったら来る機会がなかったかもしれないので、すごくうれしい」と声を弾ませた。長女の兎さん(8)も「桜、きれい。ハッピーな気分」と笑顔で豚汁の箸を進めた。蛍さんは豚汁のおいしさにも感激。「山菜入りは初めての味。長野では昔からサバ缶とタケノコのみそ汁はよく食べられているけど」と食文化の違いにも驚いた様子だった。
高炉場跡のガイドツアーに参加した甲子町の佐々木正美さん(62)は「世界遺産になったのは知っていたが、足を運ぶのは初めて。昔の人はすごいなあと思って…」と操業当時に想像をめぐらせながら見学。妻の誘いで、無料バスを利用して来場。「八重桜がこんなになっているのも知らなかった。きれいだね。散歩するにもいい場所」と新たな発見を喜んだ。

桜と新緑に囲まれた橋野鉄鉱山は今が一番いい季節。散策にもうってつけ

まつり会場の橋野鉄鉱山インフォメーションセンター駐車場。キッチンカーも出店した
同まつりへの交通手段としてはマイカーや主催者が運行する無料バスが一般的だが、今年はなんと自転車で訪れたつわものも。釜石東中3年の男子生徒3人組だ。橋野町在住の友人の誘いで、鵜住居町から自転車を走らせてきた菅原怜利さん(14)は「途中、足がしびれたりつったりして(自転車を)押しながらというのもあったが、何とか上がってきた」。満開の八重桜の出迎えに「来たかいがあった。ソメイヨシノとかとも違う美しさ」と感動。よくよく話を聞くと、3人は「時々、自転車で来ている。体力づくりと冒険を兼ねて」と口をそろえ、「このまつりは初めてだが、すてきなイベント。また来たい」と笑顔を重ねた。

マイ“自転車”で訪れた釜石東中生。フレッシュな笑顔で記念の一枚!
同まつりは地域活性化などを目的に2007年にスタート。東日本大震災があった11年は休止したが、12年からは世界遺産登録を後押ししようと、餅まきや豚汁の振る舞い、高炉場跡見学などを始めた。登録後の16年から名称に「橋野鉄鉱山」の冠が付き、認知度もさらに高まった。新型コロナ感染症の影響で20年から3年間、中止を余儀なくされたが、23年から復活させた。
同所の八重桜は1980年代に植えられた。世界遺産登録された2015年には新たな植樹も行われ、順調に花を咲かせている。近年は開花が早まる傾向にあるものの、その年の気温の推移や気象によって大きく変わるため、主催者はまつり日程を組むのに苦労する。25年のまつり当日(11日)は多くがつぼみ状態。24年(12日)は終盤、23年(14日)は桜吹雪の中での開催となった。

濃いピンク色の花が目にも鮮やかな八重桜並木。1980年代に釜石ライオンズクラブが植樹した

最高の天気の中で行われた今年のまつり。来場者は豊かな自然にも癒やされ、心地よい時間を過ごした
菊池会長によると今年の開花は4日。1週間かけて満開となり、まつりの日は近年にない最高の状態で迎えた。「何よりも天気が良かったのが一番。皆さんに楽しんでもらえたよう」と安堵する菊池会長。「振興協の会員が毎年、一生懸命準備してくれることにも感謝。長くまつりを続けていくために今後は次世代への継承にも取り組んでいきたい」と話した。

インフォメーションセンター周辺はツツジの花も咲き出し色彩の競演。橋野鉄鉱山の春景色はまだまだ楽しめる

釜石新聞NewS
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