文化祭を楽しむ釜石高の生徒ら=2日
県立釜石高(青木裕信校長、全日制422人、定時制12人)の「釜高祭」は2、3日、釜石市甲子町の同校で開かれた。釜石南と釜石北の両校の統合から15回目の学校祭。新型コロナウイルス感染症の影響が続き、3年連続で一般公開は見送った。制約が多い中でも「我等(われら)青春謳歌(おうか)隊」をテーマに、できる対策をとって生徒たちの「やりたいこと」を実現。催しやステージ発表で団結を示して特別な思い出を刻んだ。
同校では、感染症の流行で行事が規模縮小になったり部活動の大会が中止になったりと多くのことが制限されてきた。特に3年生は入学時からコロナ禍で過ごし、一番楽しい思い出づくりとなるはずの修学旅行が延期の末、中止された。同祭実行委員長の菊池瑞穂さん(3年)は「高校生は青春をもっとも楽しめる時期。青春を謳歌したい。制約はあるが、思い出をつくる場面、やりたいことは自分たちの手で実現させる」と準備。市内の感染状況を踏まえ非公開としたが、ステージ発表などはユーチューブでライブ配信し、保護者らに校内の雰囲気をアピールした。
化学の実験道具でスライム作りに挑む女子生徒=2日
男子生徒は対戦ゲームに熱中した=2日
模擬店担当の3年生は調理に大忙し=2日
初日は午後から各クラスの出し物を見て回った。1年生は段ボールで作った迷路やシューティングゲームなどの遊びを企画し、2年生はお化け屋敷を運営。3年生はフライドポテトやチョコバナナなどを売る模擬店で楽しい1日を演出した。文科系クラブは作品展示で活動成果を発表。文部科学省の指定を受けるスーパーサイエンスハイスクール(SSH)事業の探究活動について、グループ単位で研究成果をまとめたポスターも紹介された。
装飾フォトスポットで撮影を楽しむ生徒=2日
知的好奇心が光る探究活動の成果を紹介=2日
藤井魁都君(1年)は「親とかに見てもらえないのは残念だけど、中止せずに開催してもらい、うれしい。先輩の活動を見て、いいところを取り入れて、もっといい企画を作り上げられるようにしたい」と刺激を受けた。
バンド演奏などで文化祭を盛り上げた=3日
ステージ発表は3日に実施。体育館で有志によるダンスやバンド演奏があり、多彩な才能を見せた。音楽、吹奏楽部による演奏披露もあった。密になるのを防ぐため、前日に3年生だけで楽しむ機会が設けられた。
「銀河鉄道」をモチーフにした定時制の展示コーナー=3日
定時制の文化祭テーマは「歩協和音」。将棋の「歩(ふ)」からとり、「一人の力は小さいかもしれないが、みんなで一つのものを作り上げよう」との思いを込めた。展示は、体験学習で訪れた花巻市の宮沢賢治記念館などから着想を得て「銀河鉄道」をメインモチーフに。日ごろの学習や部活動の様子も掲示した。
「こすもっチ」を販売した定時制の生徒=3日
農業体験学習で育てたジャガイモを使った焼き菓子「こすもっチ」は3日、1日限定で販売した。「自分たちで育てたことで食材を大事にする気持ちを育むことができた」と生徒会長の佐々木遼(はる)君(3年)。生徒数は少ないが、一人ひとりが頑張りながら学習、生活を楽しんでいるといい、「学年間の壁をなくし、いろんな活動に協力して取り組んでいきたい」と気持ちを新たにした。