自分でさばいてみよう!釜石の魚 サン・フィッシュ鮮魚店指導 魚食普及へ初の教室


2022/09/03
釜石新聞NewS #地域

サン・フィッシュ釜石で開かれた「魚のさばき方教室」

サン・フィッシュ釜石で開かれた「魚のさばき方教室」

 
 釜石市鈴子町の駅前橋上市場「サン・フィッシュ釜石」で8月22日、一般市民を対象とした魚のさばき方教室が開かれた。水産業の活性化に取り組む同市の担い手型地域おこし協力隊員、清原拓磨さん(24)が主催。地元の海で取れるものの、数量が少なく流通しにくい魚種の利用促進につなげようと初めて企画した。同市場の鮮魚店店主らが講師となり、未経験者らに魚のさばき方の基本を教えた。
 
 高校生から一般まで10人が参加した。用意されたのはこの日朝に地元で水揚げされた約10種で、アジやタナゴ、チダイのほか、タチウオ、シイラなど食卓にはあまりなじみのない魚も。参加者は好みの魚を選び、鮮魚店店主らから手ほどきを受けながら三枚おろしに挑戦した。さばいた魚は刺し身などにし、昼食で味わった。
 
サン・フィッシュの魚屋さん(左)が「三枚おろし」を教えた

サン・フィッシュの魚屋さん(左)が「三枚おろし」を教えた

 
 釜石商工高総合情報科の3年生6人は、授業の一環で地域課題解決に取り組む研究グループのメンバー。7月から同市場と連携した活動を進めていて、この日の教室が初の実地体験となった。リーダーの下形彩夏さんは普段から魚はよく食べるというが、自分でさばくのは初めて。「骨と身を分ける、包丁の入れ方の角度が難しかった。今日学んだことで家でもできそう」と手応えを実感。調理系学校への進学を希望しており、「いい経験になった」と喜んだ。
 
市場を運営する釜石駅前商業協同組合の八幡雪夫理事長から包丁の扱い方を学ぶ釜石商工高生"

市場を運営する釜石駅前商業協同組合の八幡雪夫理事長から包丁の扱い方を学ぶ釜石商工高生

 
教わった方法で魚をさばく岩手大の学生。手先に神経を集中

教わった方法で魚をさばく岩手大の学生。手先に神経を集中

 
 岩手大人文社会科学部3年の照内雄貴さん(20)は、震災復興に関わる活動を行うサークル、三陸委員会「ここより」の代表。メンバー3人で参加した。「生の魚に触るのも初めて。1匹目は苦戦したが、2匹目はある程度自分でもできた。大変だけど自分でさばいた分、愛着が湧く」と照内さん。大学の講義で魚食の衰退についても学び、「(魚食文化を)継承していくことが、地元水産業を守ることにもつながると思う」と話した。
 
 主催した清原さんは岩手大在学中に水産システム学コースを専攻。今年7月から着任した地域おこし協力隊では魚食普及コーディネーターとして水産振興分野を担う。特に注目するのが、水揚げ量は少ないが実はおいしいという地元の未利用魚の活用。「これまではイワシやサンマ、サケなど単一魚種を大量漁獲する漁業が主流だったが、近年の海洋環境の変化で水揚げ量は減少傾向。そうした変化に対応した魚の消費の仕方があるのでは」と、多様な魚種の持続的活用を提案する。
 
釜石の海で漁獲された多様な魚(左上)も紹介

釜石の海で漁獲された多様な魚(左上)も紹介

 
魚への包丁の入れ方を教える清原拓磨さん(右)

魚への包丁の入れ方を教える清原拓磨さん(右)

 
 構想実現への第一段階として企画した今回の教室。年内は月1回ペースでの定期開催を目指す。清原さんは「地元飲食店でもどんどん使ってほしい。地元の魚を出している飲食店の認証などで、外から来た人も“魚のまち”を実感できるようになれば」と夢を描く。
 
自分たちでさばいた魚の刺し身を前に笑顔を見せる釜石商工高生

自分たちでさばいた魚の刺し身を前に笑顔を見せる釜石商工高生

 
今年4月、市場内に設置された「みんなのキッチン」は誰でも利用可能。問い合わせは同管理事務所(TEL0193・31・3668)へ

今年4月、市場内に設置された「みんなのキッチン」は誰でも利用可能。問い合わせは同管理事務所(TEL0193・31・3668)へ

釜石新聞NewS

釜石新聞NewS

復興釜石新聞を前身とするWeb版釜石新聞です。専属記者2名が地域の出来事や暮らしに関する様々なNEWSをお届けします。

取材に関する情報提供など: 担当直通電話 090-5233-1373/FAX 0193-27-8331/問い合わせフォーム


釜石のイベント情報

もっと見る

釜石のイチ押し商品

商品一覧へ

釜石の注目トピックス