「どんな野菜を育てようか」。ワクワクを高める親子

市民農園オープン 釜石・甲子地区 野菜を育て、収穫、味わう喜びを体験

「どんな野菜を育てようか」。ワクワクを高める親子

「どんな野菜を育てようか」。ワクワクを高める親子

 
 趣味や余暇に野菜作りを楽しんでもらおうと、釜石市が甲子町に整備した市民農園「甲子わくわく農園」が10日、開園した。市民が自然や農業に触れる機会を作り、就農の担い手対策、心身の健康維持・増進、遊休農地の解消につなげるのが狙い。市内全域から市民15人が利用を申し込んでおり、土に触れながら季節の野菜や果物を育て、思い思いの農業を満喫する。
 
 農園は道の駅釜石仙人峠そば、甲子川を挟んだ向かい側の釜石自動車道沿いの面積1746平方メートルの土地を活用し整備した。全55区画あり、1区画は9平方メートル(年額2000円の使用料が必要)。1人で3区画まで利用でき、8日までに26区画が埋まっている。
 
 シカやサルなどの侵入を防ぐため柵で囲み、高さ1・5メートルの部分には電気を通した。農機具用倉庫を設置し、移植こて、くわ、バケツ、一輪車などを用意。散水用タンク、仮設トイレ、駐車場(面積2038平方メートル)も備えた。
 
看板を除幕し、開園を喜ぶ菅原梨花さん(左)と野田武則市長

看板を除幕し、開園を喜ぶ菅原梨花さん(左)と野田武則市長

 
 10日は現地で開園式があり、利用者や土地を提供した甲子町の農業佐々木四郎さん、市関係者ら約50人が出席した。野田武則市長が「コロナ禍の中、外に出る人が少なくなった。子どもが農業に触れる機会も少なく、活性化したいと考えてきた。農業には育てる、収穫、食べるという喜びがある。農園が新たな農業の出発点になれば」とあいさつ。農園の名称を考案した菅原梨花(りんか)さん(甲子小5年)とともに看板を除幕した。
 
 式の後、利用者らは割り当てられた「個人農園」に設置するプレートづくりに取り組んだ。木製の板に名前や花のイラストを書き込むに人もいれば、「福来」と願いを込めた人も。いよいよ始まる農作業シーズンに、ワクワク感を高めていた。
 
「家族そろって土いじり」に期待を込め、プレートづくりに取り組む利用者

「家族そろって土いじり」に期待を込め、プレートづくりに取り組む利用者

 
割り当てられた区画にプレートを設置。本格的に始まる農作業に意欲を高めた

割り当てられた区画にプレートを設置。本格的に始まる農作業に意欲を高めた

 
 平田のムトウクマラナ・ワガラチゲ・マヒン・ラクシタさん(37)、雲南春香さん(35)夫妻は2区画を借り、プレートには長男リオン君(3)、次男シオン君(1)の名前を記した。トマトやスイカ、トウモロコシなど子どもたちが好きな野菜を育てる予定。「畑をやってみたいと思っていた。自然に触れながら植物を育てる大変さ、食べ物をいただいていることへの感謝など、家族で楽しく学んでいきたい」と笑顔を重ねた。
 
 市民農園の利用受け付けは、第1期分が15日で終了。今後、第2期分の準備を進める。隣接地には、国際姉妹都市フランスのディーニュ・レ・バン市で栽培が盛んなラベンダーの鑑賞を楽しめる観光農園の設置も予定。今夏に一部を開園し、3年後のフルオープンを目指している。

釜石市の中心市街地で自然観察の体験活動を行ったボーイスカウトの団員ら

自然の中で遊びまくれ!新団員獲得へ、ボーイスカウト体験活動 次回は4月23日「春を探そう」

釜石市の中心市街地で自然観察の体験活動を行ったボーイスカウトの団員ら

釜石市の中心市街地で自然観察の体験活動を行ったボーイスカウトの団員ら

 
 ボーイスカウト釜石第2団(菊地次雄育成会長、末永正志団委員長、約50人)の体験活動が9日、釜石市内で行われた。団員や入団に関心を持つ子どもや保護者ら約40人が参加し、自然観察をしながら街中を散策。ロープ結びなどの知識や観察力を確かめるクイズなどにも挑戦し、活動への理解を深めた。
 
 体験活動の発着点は、港町のホームセンター駐車場。子どもたちは2班に分かれ、大型ショッピングセンター内を通って大町広場へ。6人で協力し、ひもとゴムを使って空き缶を運び積み上げるゲームに挑んだ。「力いっぱい(ひもを)引っ張って」「そっと置いて」などと声を掛け合い、成功すると「よし!」とガッツポーズし喜びを表した。
 
大町広場では空き缶を運び積み上げるゲームに挑戦した

大町広場では空き缶を運び積み上げるゲームに挑戦した

 
 青葉公園(大只越町)に移動すると、「足元に注意。矢印を見つけて仙寿院へ」と指令を受けた子どもたち。矢印が示す方向に進んで高台にある仙寿院に着いたら、「階段は何段だった?」との質問が待ち受けていて、「途中まで数えていたけど…」などと思い悩む子どもたちの姿が見られた。
 
 一休みをした後は、石碑や津波避難場所を伝える看板などの写真でつくられた地図を手に、ゴールを目指して再び歩き出した。チェックポイントの釜石市役所本庁舎(只越町)前ではロープ結びに挑戦。高学年の児童や中学生メンバーが、「本」「はな」「8の字」「もやい」の4種の結び方を体験参加者、低学年の団員に教えた。
 
「疲れたー」と言いつつ、元気に階段を駆け上がる子どもたち

「疲れたー」と言いつつ、元気に階段を駆け上がる子どもたち

 
団員らは地図を手に、ゴールを目指して街中散策を楽しんだ

団員らは地図を手に、ゴールを目指して街中散策を楽しんだ

 
 入団を考えている菊地美有さん(白山小1年)は「いろんなところを歩いて楽しい」と感想。母礼美(ひろみ)さんは(49)は「自然を通した学びは考える力を養うことにつながり、いつか役に立つ。歩くことで新しい発見もある」と見守る。大槌町の藤原朋さん(37)はボーイスカウト出身で、長女ほのかさん(大槌学園小学部1年)に参加を提案。協調性を養い、世代交流、失敗と成功を繰り返す体験ができるといった利点に加え、「いろんな地区の子どもたちが集まり、コミュニティーが増えるのがいい」と勧める。
 
 班長を務めた阿部雅俊君(大槌学園中学部9年)は「日常生活とは違う、普段やらないことをたくさんできる。一緒にいろんな体験をしてほしい」と仲間が増えることを期待した。
 
ロープ結びに取り組む団員。野外活動を通じて安全、環境、防災などの知識とスキルを身に付ける

ロープ結びに取り組む団員。野外活動を通じて安全、環境、防災などの知識とスキルを身に付ける

 
 ボーイスカウトの活動は自然の中で集団活動しながら仲間たちとの友情と礼儀を身に付け、健全育成を図ることが目的。昨年創立60年を迎えた釜石2団では、ビーバー隊(小1、2)、カブ隊(小3~小5)、ボーイ隊(小6~中3)、ベンチャー隊(高校生)、ローバー隊(19~25歳)が活動する。近年は少子化や習い事の多様化などで会員が減少。こうした活動を知ってもらおうと、4~5月に希望者を交えた体験会を行っている。
  
 次回は23日に実施予定で、「春をさがそう」をテーマに自然観察ビンゴなど野外ゲームを楽しむ。現在、小学校1~3年生を対象に参加者を募集中。午前9時に甲子町大畑の「福祉の森」東屋(あずまや)に集合し、正午に現地解散となる。希望者は末永団委員長(電話090・7338・3043)に申し込みを。当日参加も可。未就学児も保護者同伴で参加できる。
 
 末永団委員長(72)は「自然の中での遊びを通じ、好きなことを見つけてもらえたら。仲間とともに楽しい思い出をつくり、釜石の良さを知ってほしい。自然の中で遊びまくれ」と呼び掛ける。

ラグビーリーグワン2部第10節 釜石シーウェイブス対花園近鉄ライナーズ=10日

釜石SWリーグ最終戦 花園の攻撃力に大敗 順位決定戦5月1日 ホームで広島と

ラグビーリーグワン2部第10節 釜石シーウェイブス対花園近鉄ライナーズ=10日

ラグビーリーグワン2部第10節 釜石シーウェイブス対花園近鉄ライナーズ=10日

 
 NTTジャパンラグビーリーグワン2部の釜石シーウェイブス(SW)RFCは10日、釜石市の釜石鵜住居復興スタジアムでレギュラーシーズン最終戦を迎え、花園近鉄ライナーズと対戦。12―98(前半0-46)の大差で敗れた。釜石は1勝9敗勝ち点7で5位となり、この後、下位3チームが総当たりで4~6位を決める順位決定戦に挑む。

 

 前後半で花園に15トライを奪われた釜石。攻守で厳しい戦いを強いられるきっかけとなったのは、反則による選手の退場。前半6分、ナンバー8サム・ヘンウッドのタックルが危険なプレー(ハイタックル)と判定され、レッドカードで一発退場処分に。1人少ない14人でのプレーが最後まで影響した。

 
 前半開始早々、日本代表CTBシオサイア・フィフィタがノーホイッスルトライで先制し、勢いに乗る花園。ヘンウッドの退場により14人で戦う釜石は、花園の強力な突破、正確で速いパス回しに苦戦し、前半終了までに8トライを献上。敵陣でのアタックチャンスをつかめないまま、0-46で折り返した。

 
CTB小野航大(左)、LO山田龍之介の気迫あふれるタックル=後半

CTB小野航大(左)、LO山田龍之介の気迫あふれるタックル=後半

 
 まずは1トライを返し、流れを変えたい釜石は後半2分、最初のラインアウトからフランカー河野良太がCTBヘルダス・ファンデルボルトにつなぎ、相手守備の弱い部分を突いて左隅にトライ。ゴールは失敗するも待望の得点を挙げ、5-46とした。しかし、数的不利は攻守への影響を避けられず、試合は再び花園ペースに。30分過ぎまでに6トライを奪われた。

 

 釜石最後の見せ場は33分。後半途中出場のプロップ高橋拓也が相手ディフェンスを引きつけたすきに、ファンデルボルトが後から走り込んできた河野にパス。高校時代はWTBという河野は、スピードに乗って相手をかわしながら中央を突破し、ゴール真下にトライ。ゴールも決まって12-88としたが、その後、花園にさらに1トライを許すなどし、12-98で完敗した。

 

後半33分、花園のタックルをかわし、インゴールまで走り抜いたフランカー河野良太(中央)

後半33分、花園のタックルをかわし、インゴールまで走り抜いたフランカー河野良太(中央)

 
釜石SWの2本目のトライに沸くスタンド=後半

釜石SWの2本目のトライに沸くスタンド=後半

 
 「すべてどこをとっても相手のほうが上だった」とCTB小野航大主将。須田康夫ヘッドコーチ(HC)は相手を止めきれなかったタックルについて「1つ1つ課題をつぶし、修正していく」と話した。ただ小野主将、須田HCともに、昨シーズンからの成長という部分ではフィジカルのレベルアップ、試合で通用する手応えを実感。「チャンスをもらって試合で活躍できた若手選手もいて、チームの底上げも図られている」とした。

 

 順位決定戦まで3週間。小野主将は「自分たちのやるべきことを整理することが大切。チームとしてできる準備をしたい」と前を向いた。釜石SWの順位決定戦は2試合とも釜石鵜住居復興スタジアムが会場。5月1日にマツダスカイアクティブズ広島(6位)と、8日に日野レッドドルフィンズ(4位)と対戦する。正午キックオフ。

img3594「SL銀河」今季の運行スタート=9日、釜石駅

2023年春、運行終了の「SL銀河」今季の運行開始 5月4日は釜石駅で車内公開

「SL銀河」今季の運行スタート=9日、釜石駅

「SL銀河」今季の運行スタート=9日、釜石駅

 
 JR釜石線(花巻―釜石間、90・2キロ)を走る蒸気機関車「SL銀河」が9日、9年目の運行を開始した。今季は初冬までの運行を予定。客車の老朽化に伴い、来春で運行を終了することになっている人気の列車が、鉄道ファンや沿線住民の熱い思いを乗せ、今季も力強い走りを見せる。新型コロナウイルス禍でしばらく開催を見合わせていた釜石駅での車内公開イベントは、大型連休中の5月4日に行われる。
 
 運行初日の9日は、午前10時36分に花巻駅を出発。停車駅では各地の郷土芸能や自治体のマスコットキャラクターがおもてなしをし、沿線では住民らが通過する列車に旗や手を振って歓迎した。
 
 午後3時10分の釜石駅到着を前に、ホームには観光関係者や地元住民らが集まり、お出迎えの準備。大漁旗、横断幕などを手に列車が入って来るのを待った。恒例の郷土芸能「虎舞」による歓迎は、鵜住居虎舞(鵜住居青年会)が担当。にぎやかなお囃子(はやし)で到着を盛り上げ、降り立った乗客に舞を披露した。
 
SLを出迎える鵜住居虎舞。今年もシーズン中、市内の虎舞団体が交替でおもてなしに協力

SLを出迎える鵜住居虎舞。今年もシーズン中、市内の虎舞団体が交替でおもてなしに協力

 
釜石駅に降り立った乗客は多彩な歓迎を受けた

釜石駅に降り立った乗客は多彩な歓迎を受けた

 
 翌10日にリーグワンのホーム戦を控えた地元ラグビーチーム「釜石シーウェイブス(SW)RFC」からは、選手の杣澤誠さん(27)、長田将大さん(23)、畠山克己さん(25)とチームスタッフが出向き、乗客を歓迎。記念撮影に応じるなど交流を図った。釜石観光物産協会は地元産の塩蔵ワカメと観光パンフレットを配り、釜石の魅力をアピールした。
 
運行初日、SLの釜石駅到着に駆け付けた釜石SWの選手とスタッフ

運行初日、SLの釜石駅到着に駆け付けた釜石SWの選手とスタッフ

 
 釜石駅に隣接する「ホテルフォルクローロ三陸釜石」で働きながら、SWでプレーする杣澤さんは入団3年目。SLのお出迎えも何回か経験してきた。「SLをきっかけに釜石に来てくれる人も多いと思う。(運行日に)ホテルの宿泊客が増えると、それだけ誘客に貢献していると実感する」。来春の運行終了に、「継続して乗っている人は寂しいだろう。終了までに存分に楽しんでもらえたら」と話した。
 
乗客と記念撮影し、旅の思い出作りに協力

乗客と記念撮影し、旅の思い出作りに協力

 
 東京都の会社員石川香里さん(39)は、夫経一さん(47)と乗車。先月の地震の影響で東北新幹線が一部不通のため、花巻まで車を走らせてきた。念願の初乗車に「宮沢賢治の世界観が表れていて、アンティーク調の車内も雰囲気が良かった」と大喜び。SLは蒸気や音、石炭で力強く走る姿に魅力を感じるという。仕事の関係で、この日はすぐに花巻まで戻ったが、「今度は釜石観光をゆっくり楽しみたい」と願った。
 
 SL銀河は土日祝日を中心に運行。今のところ9月までの運行日程が公表されている。乗車には乗車券と指定席券が必要で、指定席券は乗車日の1カ月前の午前10時から発売する。

釜石新聞NewSは1周年を迎えました

釜石新聞NewSは1周年を迎えました

釜石新聞NewSは1周年を迎えました
 

いつも釜石新聞NewSをご覧いただきありがとうございます。
 
おかげさまをもちまして、釜石新聞NewSは4月16日で業務開始から1周年を迎えました。
 
「復興釜石新聞」をWeb専門の形で引き継ぎ、コロナ禍の中で試行錯誤を重ねながら運営でしたが、地域のニュースを1年間無事にお届けすることが出来た事にホッとしています。
 
お祭りや学校行事など様々なイベントが中止となったり、施設や行事への訪問取材が難しいケースも多かったりと、多くの皆様の苦悩を目の当たりにしながらの1年でしたが、どんな状況下でも前向きに頑張るたくさんの方々の記事や、釜石の今をニュースとして発信し続けられたことが、人的交流の機会が減っている中での繋がりの維持や、地域の活力の増勢にいくらかでも貢献出来ていれば幸いです。
 
引続き皆様のご愛顧をよろしくお願いいたします。

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樹齢400年以上「上栗林のサクラ」今年も見事な花姿に 19日までライトアップ

12日からライトアップされている「上栗林のサクラ」=市指定文化財

12日からライトアップされている「上栗林のサクラ」=市指定文化財

 
 釜石市指定文化財(天然記念物)の巨木、栗林町の「上栗林のサクラ」が開花し、今年も圧巻の花姿で訪れる見物客を楽しませている。地元町内会「上栗林振興会」(三浦栄太郎会長)が行う夜のライトアップは10年目を迎え、市内外のファンが足を運ぶ。ライトアップは19日までを予定。点灯は午後6時半から午後9時半まで。
 
 市内最大とされる一本桜はエドヒガン種で、上栗林集会所に隣接する私有地に自生。地元では「種蒔(たねまき)桜」と呼ばれ、開花は農事の目安にされてきた。樹齢400年以上と推定され、2006年の市の調査では胸高幹周りが約4・9メートル。07年に市の文化財に指定された。古木ながら樹勢は衰えず、幹や枝は今も成長を続け、花のボリュームも変わらない。
 
 今年の開花時期は例年並み。4月としては異例の真夏日(同市の最高気温は30・3度)を記録した11日に開花すると一気に咲き進み、13日の時点で7分咲き。ライトアップ2日目の同日は、夕方から急な雨に見舞われたものの、家族連れなどが次々に訪れ、美しい光景を写真に収めた。

 
夜空に浮かび上がる花姿はライトアップならではの美しさ

夜空に浮かび上がる花姿はライトアップならではの美しさ

 
枝いっぱいに花をつけ、ボリューム満点!

枝いっぱいに花をつけ、ボリューム満点!

 
シダレザクラのように枝先が垂れた部分も

シダレザクラのように枝先が垂れた部分も

 
 毎年足を運ぶという鵜住居町の30代女性は、仕事終わりに直行。「雨だから迷ったが、自宅を通り過ぎて来てしまいました」と笑い、「やっぱり夜、見るのが最高。ちょっと車を走らせれば、こんな素晴らしい木がある。見る角度によって趣が違うのも魅力」と声を弾ませた。

 

 箱崎町の前川亜希さん(釜石高2年)は両親と来訪。「見に来るのは今年で3年目。1年に1回しか見られない姿なので貴重。大きいし、きれいだし本当に素晴らしい」と感激。「生命力を感じる」と話す父とうなずき合い、「まだ知らない人もいると思う。多くの人に見てほしい」と願った。

 
上栗林集会所(左側の建物)の広場から臨むサクラ

上栗林集会所(左側の建物)の広場から臨むサクラ

 
2色の照明が花の美しさを引き立たせる。

2色の照明が花の美しさを引き立たせる

 
 13年から始めたライトアップ。同振興会は花の色が美しく見えるよう光源の種類や数、角度など試行錯誤を重ね、16年ごろから現在の2色のLED照明によるスタイルを確立した。開始当初は、沿線の県道釜石遠野線を他県から来た震災復興工事従事者らが行き交い、仕事帰りに見に来る人たちも多数。交通整理をするほどのにぎわいを見せた。工事の終了、高速道路網の整備で同県道の通行車両が減ったこともあり、見物客は少なくはなったが、市民を中心に根強いファンが今も足しげく通う。

 

 「市の文化財とはいえ、あまり知られていなかった。ライトアップを始めてから市民の皆さんにも覚えてもらい、毎年期待の声をいただく。この桜もきっと喜んでいるだろう」と三浦会長(71)。日の目を見た“上栗林のシンボル”に誇りと愛着を新たにし、後世に引き継いでいくことを誓った。

 
桜の保全に意を強くする上栗林振興会の三浦栄太郎会長(左)と川崎悦三郎さん

桜の保全に意を強くする上栗林振興会の三浦栄太郎会長(左)と川崎悦三郎さん

 

栗林町砂子畑「明神かつら」入り口の桜 16日、地域交流会でライトアップ

 
ライトアップされる栗林町砂子畑、藤原信孝さん所有地のソメイヨシノ

ライトアップされる栗林町砂子畑、藤原信孝さん所有地のソメイヨシノ

 
 桜の宝庫・栗林町では、砂子畑地区の市指定文化財「明神かつら」の入り口にあるソメイヨシノも本日16日夜、1日限定でライトアップされる。地元町内会「砂子畑共正会」(栗澤陽一会長)が、2年ぶりに開催する地域交流会の一環で初めて企画。どんな夜桜風景が見られるか、住民も心待ちにする。

 

 ライトアップされるのは、同町19地割、藤原信孝さん(73)の所有地にあるソメイヨシノ。1985年ごろに藤原さんの弟啓二さん(故人)が植えたもので、根本から7本に分かれて幹を伸ばす姿が特徴的。背後の藤原さん宅の庭には、「ハナモモ」の木と皇后雅子さまのご成婚を記念して「プリンセス雅(みやび)」と名付けられ、現在は「雅桜」と呼ばれる品種の木があり、白から濃桃色の3色の花が競演する。

 
県道釜石遠野線から見た藤原さん方のサクラとハナモモ(中央)の木

県道釜石遠野線から見た藤原さん方のサクラとハナモモ(中央)の木

 
 藤原さんは「鵜住居川をはさんだ対岸からの景色もいい。(ライトアップで)どんな光景が広がるか楽しみ」と期待する。ライトアップは日没から午後9時までを予定。地元の鹿踊り、神楽、虎舞の3団体もお囃子(はやし)で盛り上げる。

お披露目された複合遊具で遊ぶ子どもたち

子どもたちの歓声響く 釜石・唐丹町、小白浜地区コミュニティ広場に遊具4台

お披露目された複合遊具で遊ぶ子どもたち

お披露目された複合遊具で遊ぶ子どもたち

 
 釜石市が唐丹町の「小白浜地区コミュニティ広場」に整備を進めていた遊具がこのほど完成し、6日、住民らにお披露目された。滑り台やうんてい、ロッククライムパネルなどが一体となった複合型の遊具などを設置。早速子どもたちが元気よく遊び回り、歓声を響かせた。
 
 同広場は東日本大震災後に造られた防潮堤内側の市有地に整備され、唐丹小中学校が建設中の時には仮設グラウンドなどとしても利用されてきた。仮設の役目を終えた後も地域住民から「広場を残してほしい」との声があり、市では活用法を検討。「子どもたちの遊び場をつくろう」「にぎわいが生まれる場に」と遊具の設置を決めた。
 
子どもたちは設置されたばかりの遊具で思い思いに遊ぶ

子どもたちは設置されたばかりの遊具で思い思いに遊ぶ

 
 設置されたのは、▽2つの滑り台に、登山用ロープを使った揺れるトンネルなどのアスレチック要素の高い遊びを組み合わせた児童向けの複合遊具▽ビー玉や鏡を使った感覚遊びのパネルを多く取り入れた3~6歳が対象のミニ滑り台▽子どもたちが大好きな揺れる遊具▽3連のうち一つに身体を背もたれに固定するサポートが付いているブランコ―の4種。事業費は約1000万円で、宝くじの助成金を活用した。
 
住民らはテープカットをして利用開始を喜んだ

住民らはテープカットをして利用開始を喜んだ

 
 6日は広場で遊具の利用開始セレモニーがあり、唐丹小の児童やグラウンドゴルフを楽しむ住民ら約60人が参加した。市の菊池公男市民生活部長は「いい場所にしようと地域みんなで考え、作り上げた。たくさん遊んで、広場を盛り上げてほしい」とあいさつ。参加者の代表がテープカットをして完成を祝った。
 
 子どもたちはお目当ての遊具に向かって駆け出し、思い思いの遊びを楽しんだ。齊藤瑛飛斗君(6年)は「遊具のある遊び場が近くにできて、うれしい。友達と一緒に来て、いっぱい遊びたい」と喜んだ。
 
プルルン!子どもたちは揺れる遊具が大好き

プルルン!子どもたちは揺れる遊具が大好き

 
遊具が設置された広場の脇にはグラウンドゴルフなどを楽しめるスペースも

遊具が設置された広場の脇にはグラウンドゴルフなどを楽しめるスペースも

 
 小白浜町内会の佐々木啓二会長(78)は「子どもたちの声を聞くだけで楽しい気持ちになる」と目を細める。遊具が設置された広場のすぐそばでは高齢者らがグラウンドゴルフを楽しんでいるといい、「子どもと高齢者の触れ合い、交流の場にもなればいい」と期待した。

広報かまいし2022年4月1日号(No.1782)

広報かまいし2022年4月15日号(No.1782)

広報かまいし2022年4月15日号(No.1782)
 

広報かまいし2022年4月15日号(No.1782)

広報かまいし2022年4月15日号(No.1782)

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【P1】
表紙
【P2-5】
令和4年度施政方針
【P6-7】
令和4年度予算のあらまし
市長のつぶや記
【P8】
新型コロナワクチン接種のお知らせ
【P9】
かまいしエール券取扱店募集
釜石市文化芸術振興事業補助金 対象募集
ワクチン接種会場へのタクシー料金無料
【P10-11】
震災から11年
【P12】
市民のひろば
【P13-15】
まちのお知らせ
【P16-17】
保健案内板
保健だより
【P18】
かまいし春祭り 他

この記事に関するお問い合わせ
釜石市 総務企画部 広聴広報課 広聴広報係
〒026-8686 岩手県釜石市只越町3丁目9番13号
電話:0193-27-8419 / Fax 0193-22-2686 / メール
元記事:https://www.city.kamaishi.iwate.jp/docs/2022032800050/
釜石市

釜石市

釜石市公式サイトと連携し、縁とらんすがピックアップした記事を掲載しています。記事の内容に関するお問い合わせは、各記事の担当窓口までお問い合わせください。
11日、異例の暑さで満開になった桜も=釜石市野田町、野田中央公園

最高気温30・3度 真夏日の釜石 暑さで各地の「桜」一気に開花

11日、異例の暑さで満開になった桜も=釜石市野田町、野田中央公園

11日、異例の暑さで満開になった桜も=釜石市野田町、野田中央公園

 
 11日、県内は太平洋側から張り出した高気圧の影響で、気温がぐんぐん上がり、沿岸部で今年全国初となる30度以上の真夏日を記録した。釜石市の最高気温は3番目に高い30・3度。春を通り越した夏の暑さで、足踏みしていた市内の桜は一気に開花した。早咲きの品種が満開になった場所もあり、異例の春到来となった。

 

 エドヒガン、ソメイヨシノ、シダレザクラの大木が連なる甲子町松倉の甲子川沿いの市道。10日前はつぼみが固く閉じた状態だったが、11日は満開に近い姿となった木もあり、ピンク色の花が春らんまんの光景を広げた。この後、全ての種類が咲きそろうと、見事な桜ロードが人々の目を楽しませる。

 
甲子町松倉、甲子川沿いの桜並木=11日

甲子町松倉、甲子川沿いの桜並木=11日

 
 野田町1丁目の野田中央公園の桜は、住宅地側のヤマザクラが満開に。枝いっぱいにたくさんの花をつけ、ボリューム満点。青空とのコントラストも美しく、地元住民や道行くドライバーの視線を集めている。

 
野田町1丁目、野田中央公園住宅地側のヤマザクラは満開

野田町1丁目、野田中央公園住宅地側のヤマザクラは満開

 
 小川町と桜木町の間を流れる小川川下流域の桜並木は、枝先が川面に垂れるソメイヨシノが美しい人気の花見スポット。11日はほとんどの木が咲き始めの状態だったが、気温の高い日が続けば、一気に咲き出すと見られる。

 
小川川下流域の桜並木は咲き始め=11日午後

小川川下流域の桜並木は咲き始め=11日午後

 
 大渡町の大渡橋のたもと・橋詰広場に立つ一本桜は、橋上市場があったころの名残を伝える自然遺産。11年前の東日本大震災で津波に襲われたが、樹勢は衰えず、今も力強く花開く。甲子川をはさんだ対岸には三陸鉄道の線路沿いに連なる桜並木もあり、トリコロールカラーの列車を背景に両岸の桜を写真に収めることもできる。11日時点では6~7分咲きで、満開も近い。

 
大渡町、橋詰広場の津波に耐えた一本桜。趣のある樹形が目を引く

大渡町、橋詰広場の津波に耐えた一本桜。趣のある樹形が目を引く

 
今年も津波被害の影響を感じさせない見事な花をつけた

今年も津波被害の影響を感じさせない見事な花をつけた

 
 中心市街地を一望できる大町の高台、薬師公園の桜は、頂上広場に向かう遊歩道でシダレヒガンザクラなど2種が満開。濃いピンク色の花と赤いツバキの花がコラボし、豊かな色彩風景を楽しめる。頂上広場のソメイヨシノは咲き始めたばかり。園内では17日までちょうちんの夜間点灯(日没~午後9時まで)が行われていて、夜桜も愛(め)でることができる。

 
大町、薬師公園頂上広場から見下ろす遊歩道の桜

大町、薬師公園頂上広場から見下ろす遊歩道の桜

 
赤とピンクの競演!青空に映える花々が美しい

赤とピンクの競演!青空に映える花々が美しい

 
 天気予報によると、県沿岸部は16日まで曇りや雨の予報で、最高気温も10度前後で推移する見込み。次の花見日和は17日以降になりそう。

甲子町の桜並木周辺で行われた清掃活動=2日

きれいな環境で花見を! 釜石・桜の名所で開花を前に市民らが清掃活動

 釜石市の桜の名所、甲子町松倉の甲子川沿いの市道と大町の薬師公園で2、3の両日、市民らによる清掃活動が行われた。ごみのないきれいな環境で花見を楽しんでもらおうと老若男女が汗を流し、美しい景観を整えた。9日から最高気温20度超えの日が続き、初夏の陽気となった市内。各地の桜の開花は一気に加速している。

 
甲子町の桜並木周辺で行われた清掃活動=2日

甲子町の桜並木周辺で行われた清掃活動=2日

 
 松倉の甲子川沿いの市道は、複数種の桜の大木が連なる並木道。2日の「お花見クリーンアップ」と銘打った同所の清掃活動は、環境保護活動団体「かまいし環境ネットワーク」(加藤直子代表)が市民に参加を呼び掛け、毎年実施している。今年は釜石市が後援し、市の広報で事前告知したこともあり、昨年より多い約70人が参加した。

 
 清掃範囲は県立釜石病院裏手から市球技場付近まで。3年目となる新型コロナウイルス感染症の流行を考慮し、今回も一斉参集は行わず、活動時間(午前9時半~10時半)内で自由参加、解散という形をとった。参加者はごみ袋を手に土手や河川敷、並木の下を歩き、さまざまなごみを拾い集めた。

 
甲子川沿いを歩き、ごみを拾う参加者。通行者のマナーアップを願う

甲子川沿いを歩き、ごみを拾う参加者。通行者のマナーアップを願う

 
 空き缶・瓶・ペットボトル、たばこの箱・吸い殻など後を絶たない“ポイ捨て”ごみに加え、金属、ガラス、プラスチック類など悪質な投棄ごみも見つかった。集積場所に持ち込まれたごみの重量は約110キロ。自主的に家庭に持ち帰った分も合わせるとさらに多いとみられる。

 

 祖母と参加した髙橋龍之助君(甲子小5年)は「ごみは思った以上に多かった。こうして捨てる人がいるのは残念」と心を痛めた。野鳥が好きで、甲子川にもよく足を運ぶ。自然環境を守るため、「自分もリサイクルとかを積極的にやって協力したい」と意欲を高めた。

 
この日、桜はまだつぼみの状態。今年も満開の美しい光景を期待

この日、桜はまだつぼみの状態。今年も満開の美しい光景を期待

 
清掃活動に励んだ市民ら。今年は企業など団体での参加もあった

清掃活動に励んだ市民ら。今年は企業など団体での参加もあった

 
 地球温暖化、海洋ごみ問題などが深刻化し、世界中で対策が進む昨今。国内では1日から「プラスチック資源循環促進法」が施行され、事業者がプラスチックごみ削減への取り組みを始めた。加藤代表は「これを機に環境への意識がさらに高まれば。ここでの活動は川から海へのごみの流出防止啓発も狙いの一つ。日常生活から気を付けてほしい」と願った。同ネットワークでは、春と秋の「海ごみゼロウィーク」にも活動を予定する。

 

 SDGs(持続可能な開発目標)への貢献も視野に、市内の企業や団体も環境問題解決への取り組みを活発化させる。今回の活動には新菱和運送の社員や女性奉仕団体「国際ソロプチミスト釜石はまぎく」のメンバーらが団体参加した。
 
大町3丁目の薬師公園で行われた清掃活動=3日

大町3丁目の薬師公園で行われた清掃活動=3日

 
 中心市街地の高台に位置する薬師公園の清掃活動は、みなとかまいし地区会議(事務局・釜石地区生活応援センター)が主催し、3日に行われた。大町、大渡町の住民を中心に約40人が参加。坂道の遊歩道から頂上広場までを清掃し、桜シーズンに備えた。同公園桜まつりとして、園内は紅白のちょうちんで彩られ、3日から夜の点灯(日没から午後9時まで)を開始した。17日まで実施予定。

 

 参加者は各所に散らばり、ごみのほか冬期間にたまった大量の落ち葉を回収。遊歩道の階段などは掃き清掃もしてきれいにした。人由来のごみは少なかったが、吹きだまりの枯れ葉が多く、約1時間の作業で大型ごみ袋約80袋がいっぱいになった。

 
歩行に支障がないよう遊歩道は掃き清掃も実施

歩行に支障がないよう遊歩道は掃き清掃も実施

 
大量の落ち葉も回収し、園内はすっきりとした景観を取り戻した

大量の落ち葉も回収し、園内はすっきりとした景観を取り戻した

 
 大渡町の山口トクさん(94)は今回の参加者の中で最高齢。頂上広場までの急坂も上り切り、作業に精を出した。「全く丈夫だから幸せ。こういう活動があると大体来ている。みんなの元気な顔を見て、若さをもらいたいから」とはつらつ。夫が会社勤めをしていたころは、薬師公園が花見宴会の会場。「家が近いから料理を差し入れたりしてね。楽しかったよ」と懐かしい思い出に浸った。

 
しっかりとした足取りで階段を上る山口トクさん(右)。現役時代は橋上市場で衣料品店を開いた

しっかりとした足取りで階段を上る山口トクさん(右)。現役時代は橋上市場で衣料品店を開いた

 

 同公園は震災後の2016年、復興支援で環境整備が行われ、寄付された桜の苗木が新たに植樹された。桜まつりは震災前、公園周辺の町内会、商店会で組織する「薬師公園愛護会」が続けていたが、震災後に組織は解体。以降は、釜石観光物産協会が協力し、継続してきた。今年は同協会のほか、同地区会議、東部地区事業者協議会の3者の主催でまつりを実施。ちょうちんのほか、コロナ感染対策をしながら桜見物を楽しんでもらうための注意看板を入り口に設置した。

 

 本年度着任した同応援センターの奥村謙治所長は「多くの方々に清掃に協力していただき、非常にうれしい。公園を訪れる人たちがより良い環境で楽しめるようになった。マナーを守り、快く利用していただければ」と話した。

創作への精進ぶりを公開した釜石市民絵画教室の会員たち

衰えぬ意欲、挑戦を作品に込め 釜石市民絵画教室、3年ぶりの作品展

創作への精進ぶりを公開した釜石市民絵画教室の会員たち

創作への精進ぶりを公開した釜石市民絵画教室の会員たち

 
 釜石市民絵画教室(小野寺豊喜会長、会員13人)の第41回「わたくしたちの絵画展」は1日から3日まで大町の市民ホールで開かれた。新型コロナウイルスの影響で、展示会開催は3年ぶり。会員と講師の菊池政時さんが83点を出品し、多くの絵画ファンや仲間が多様な表現を楽しんだ。
 
 作品は同教室で取り上げた花や魚の静物、スケッチ旅行で訪れた風景など共通したテーマのほか、個々の好み、挑戦するモチーフが並び変化に富んだ。画材も水彩、油彩、パステル、色鉛筆、ボールペンと、さまざま。小野寺会長(73)は「会員それぞれが継続してきた活動が実を結びつつあり、力のある作品を展示することができた。会員の高齢化は進むが、何を描きたいか目標や焦点を定めたり、大きい作品に挑戦しようと、創作する意欲、表現技術は高まっている」と充実感をにじませた。
 
植物や自然風景などを描いた作品が並んだ絵画展

動植物や自然風景などを描いた作品が並んだ絵画展

 
 甲子町の鈴木光幸さん(72)は、第74回岩手芸術祭で洋画部門賞を受けた「絵画展後のひと時」(F50号、水彩)、甲子川で仲むつまじく羽休めするマガモのつがいを描いた「春を待つ」など8点を並べた。退職後、「第2の人生は絵を生きがいに」と創作を始めて4年目。「まだ、いろいろ描いてみたい時期。人前で展示させてもらうことを考えていなかったが、少しでも良い絵にしたい。『いいね』と言ってくれる人もいて、描く楽しみが大きくなっている」と意欲を膨らませる。
 
会員は作品に込めた思いを伝えながら来場者と交流した

会員は作品に込めた思いを伝えながら来場者と交流した

 
 同教室は1978年度、市の社会教育講座としてスタート。その後自主活動グループに移行し、学習、作品発表を続ける。絵画展は、学習会場となる旧市民文化会館展示室で年度末に開いていた。2011年の東日本大震災は32回目の展示会期間中で、作品は津波にのみ込まれた。作品を回収し、泥を取り除いて修復した作品を加えた絵画展を12年に再開、教室継続の〝のろし〟をあげた。
 
 教室は毎月2回、隔週水曜日に青葉ビルで開く。合評会、スケッチ旅行(コロナ禍でここ数年は実施を見送る)を経て、絵画展で1年間の成果を示す。市芸文祭にも参加する。

「根浜ハマナスプロジェクト」始動=3月29日

根浜海岸「ハマナス」群生地復活へ 震災から11年 育成プロジェクト本格化

「根浜ハマナスプロジェクト」始動=3月29日

「根浜ハマナスプロジェクト」始動=3月29日

 
 東日本大震災の津波で多くの海浜植物が失われた釜石市鵜住居町の根浜海岸―。同所の原風景である「ハマナス」が咲き誇る海辺を取り戻そうと、市民有志によるプロジェクトが今年も始動した。16日の植樹祭を前に、3月29日、ハマナスの勉強会と種を植えるためのプランター作りが根浜レストハウスで行われ、市内の親子ら16人が参加した。

 

 再生活動には、根浜ハマナスプロジェクト実行委(岩崎昭子代表)が昨春から取り組む。勉強会では、プロジェクトに協力する岩手県立大総合政策学部の島田直明准教授(植生学、景観生態学)から、ハマナスの特性、震災の津波がもたらした根浜海岸の砂浜や植生などの環境変化を学んだ。

 
ハマナスや根浜の海浜植生について震災前と比較しながら説明する島田准教授

ハマナスや根浜の海浜植生について震災前と比較しながら説明する島田准教授

 
今後植える予定のハマナスの種を観察する子ども

今後植える予定のハマナスの種を観察する子ども

 
 ハマナスはバラ科の落葉低木で、初夏に濃いピンク色の花を咲かせる。実はジャムや茶など食品に加工されるほか、花は香水の原料や漢方薬になる。震災前、約1・3キロの砂浜があった根浜海岸にはハマナスの群生が見られたが、津波で砂浜が流失。ハマナスやハマボウフウなど多くの海浜植物が失われた。

 

 プロジェクトでは、津波に耐えたハマナスから採取した種を植えて育て、苗木を海辺に戻すことを目指して活動する。この日は勉強会のあと、種を植えるためのプランター作りも行われた。使われなくなったフォークリストの木製パレットを材料とし、電動ドリルで使う電気はバイオディーゼル燃料で発電。リサイクル、脱炭素と地球環境を意識した取り組みとなった。

 
不用になった木製パレットを再利用し、プランター作り

不用になった木製パレットを再利用し、プランター作り

 
プランターはガスバーナーで焼き付け、仕上げた

プランターはガスバーナーで焼き付け、仕上げた

 
 弟、友人と参加した青木結惟さん(甲子小4年)は「釘とかドリルを使うのが難しかったけど、みんなで協力してうまくできた。ハマナスをたくさん植えて根浜をきれいな海辺に戻したい。花がいっぱい咲くのも見てみたい」と望んだ。

 

 実行委の岩崎代表は根浜の旅館・宝来館のおかみで、同海岸の原風景を知る一人。震災後、白砂にハマナスが咲き誇る以前の海岸の姿を写真で目にし、「この風景に返りたい」との思いを強くした。「幅広い世代が集い、ハマナスを育てながら自分たちも成長していく。海岸を花でいっぱいにするだけでなく、みんなで育ち合う場になれば」と根浜の未来を描く。

 

 16日午前11時からの植樹祭では、プランターへの種まきや育てた苗木の植樹に加え、飲食(テイクアウトのみ)やクラフトの出店などのイベントも予定される。根浜シーサイドのフェイスブックで、当日の内容、日程を見ることができる。