「どんな野菜を育てようか」。ワクワクを高める親子
趣味や余暇に野菜作りを楽しんでもらおうと、釜石市が甲子町に整備した市民農園「甲子わくわく農園」が10日、開園した。市民が自然や農業に触れる機会を作り、就農の担い手対策、心身の健康維持・増進、遊休農地の解消につなげるのが狙い。市内全域から市民15人が利用を申し込んでおり、土に触れながら季節の野菜や果物を育て、思い思いの農業を満喫する。
農園は道の駅釜石仙人峠そば、甲子川を挟んだ向かい側の釜石自動車道沿いの面積1746平方メートルの土地を活用し整備した。全55区画あり、1区画は9平方メートル(年額2000円の使用料が必要)。1人で3区画まで利用でき、8日までに26区画が埋まっている。
シカやサルなどの侵入を防ぐため柵で囲み、高さ1・5メートルの部分には電気を通した。農機具用倉庫を設置し、移植こて、くわ、バケツ、一輪車などを用意。散水用タンク、仮設トイレ、駐車場(面積2038平方メートル)も備えた。
看板を除幕し、開園を喜ぶ菅原梨花さん(左)と野田武則市長
10日は現地で開園式があり、利用者や土地を提供した甲子町の農業佐々木四郎さん、市関係者ら約50人が出席した。野田武則市長が「コロナ禍の中、外に出る人が少なくなった。子どもが農業に触れる機会も少なく、活性化したいと考えてきた。農業には育てる、収穫、食べるという喜びがある。農園が新たな農業の出発点になれば」とあいさつ。農園の名称を考案した菅原梨花(りんか)さん(甲子小5年)とともに看板を除幕した。
式の後、利用者らは割り当てられた「個人農園」に設置するプレートづくりに取り組んだ。木製の板に名前や花のイラストを書き込むに人もいれば、「福来」と願いを込めた人も。いよいよ始まる農作業シーズンに、ワクワク感を高めていた。
「家族そろって土いじり」に期待を込め、プレートづくりに取り組む利用者
割り当てられた区画にプレートを設置。本格的に始まる農作業に意欲を高めた
平田のムトウクマラナ・ワガラチゲ・マヒン・ラクシタさん(37)、雲南春香さん(35)夫妻は2区画を借り、プレートには長男リオン君(3)、次男シオン君(1)の名前を記した。トマトやスイカ、トウモロコシなど子どもたちが好きな野菜を育てる予定。「畑をやってみたいと思っていた。自然に触れながら植物を育てる大変さ、食べ物をいただいていることへの感謝など、家族で楽しく学んでいきたい」と笑顔を重ねた。
市民農園の利用受け付けは、第1期分が15日で終了。今後、第2期分の準備を進める。隣接地には、国際姉妹都市フランスのディーニュ・レ・バン市で栽培が盛んなラベンダーの鑑賞を楽しめる観光農園の設置も予定。今夏に一部を開園し、3年後のフルオープンを目指している。