根浜海岸「ハマナス」群生地復活へ 震災から11年 育成プロジェクト本格化
「根浜ハマナスプロジェクト」始動=3月29日
東日本大震災の津波で多くの海浜植物が失われた釜石市鵜住居町の根浜海岸―。同所の原風景である「ハマナス」が咲き誇る海辺を取り戻そうと、市民有志によるプロジェクトが今年も始動した。16日の植樹祭を前に、3月29日、ハマナスの勉強会と種を植えるためのプランター作りが根浜レストハウスで行われ、市内の親子ら16人が参加した。
再生活動には、根浜ハマナスプロジェクト実行委(岩崎昭子代表)が昨春から取り組む。勉強会では、プロジェクトに協力する岩手県立大総合政策学部の島田直明准教授(植生学、景観生態学)から、ハマナスの特性、震災の津波がもたらした根浜海岸の砂浜や植生などの環境変化を学んだ。
ハマナスや根浜の海浜植生について震災前と比較しながら説明する島田准教授
今後植える予定のハマナスの種を観察する子ども
ハマナスはバラ科の落葉低木で、初夏に濃いピンク色の花を咲かせる。実はジャムや茶など食品に加工されるほか、花は香水の原料や漢方薬になる。震災前、約1・3キロの砂浜があった根浜海岸にはハマナスの群生が見られたが、津波で砂浜が流失。ハマナスやハマボウフウなど多くの海浜植物が失われた。
プロジェクトでは、津波に耐えたハマナスから採取した種を植えて育て、苗木を海辺に戻すことを目指して活動する。この日は勉強会のあと、種を植えるためのプランター作りも行われた。使われなくなったフォークリストの木製パレットを材料とし、電動ドリルで使う電気はバイオディーゼル燃料で発電。リサイクル、脱炭素と地球環境を意識した取り組みとなった。
不用になった木製パレットを再利用し、プランター作り
プランターはガスバーナーで焼き付け、仕上げた
弟、友人と参加した青木結惟さん(甲子小4年)は「釘とかドリルを使うのが難しかったけど、みんなで協力してうまくできた。ハマナスをたくさん植えて根浜をきれいな海辺に戻したい。花がいっぱい咲くのも見てみたい」と望んだ。
実行委の岩崎代表は根浜の旅館・宝来館のおかみで、同海岸の原風景を知る一人。震災後、白砂にハマナスが咲き誇る以前の海岸の姿を写真で目にし、「この風景に返りたい」との思いを強くした。「幅広い世代が集い、ハマナスを育てながら自分たちも成長していく。海岸を花でいっぱいにするだけでなく、みんなで育ち合う場になれば」と根浜の未来を描く。
16日午前11時からの植樹祭では、プランターへの種まきや育てた苗木の植樹に加え、飲食(テイクアウトのみ)やクラフトの出店などのイベントも予定される。根浜シーサイドのフェイスブックで、当日の内容、日程を見ることができる。
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