2023年春、運行終了の「SL銀河」今季の運行開始 5月4日は釜石駅で車内公開
「SL銀河」今季の運行スタート=9日、釜石駅
JR釜石線(花巻―釜石間、90・2キロ)を走る蒸気機関車「SL銀河」が9日、9年目の運行を開始した。今季は初冬までの運行を予定。客車の老朽化に伴い、来春で運行を終了することになっている人気の列車が、鉄道ファンや沿線住民の熱い思いを乗せ、今季も力強い走りを見せる。新型コロナウイルス禍でしばらく開催を見合わせていた釜石駅での車内公開イベントは、大型連休中の5月4日に行われる。
運行初日の9日は、午前10時36分に花巻駅を出発。停車駅では各地の郷土芸能や自治体のマスコットキャラクターがおもてなしをし、沿線では住民らが通過する列車に旗や手を振って歓迎した。
午後3時10分の釜石駅到着を前に、ホームには観光関係者や地元住民らが集まり、お出迎えの準備。大漁旗、横断幕などを手に列車が入って来るのを待った。恒例の郷土芸能「虎舞」による歓迎は、鵜住居虎舞(鵜住居青年会)が担当。にぎやかなお囃子(はやし)で到着を盛り上げ、降り立った乗客に舞を披露した。
SLを出迎える鵜住居虎舞。今年もシーズン中、市内の虎舞団体が交替でおもてなしに協力
釜石駅に降り立った乗客は多彩な歓迎を受けた
翌10日にリーグワンのホーム戦を控えた地元ラグビーチーム「釜石シーウェイブス(SW)RFC」からは、選手の杣澤誠さん(27)、長田将大さん(23)、畠山克己さん(25)とチームスタッフが出向き、乗客を歓迎。記念撮影に応じるなど交流を図った。釜石観光物産協会は地元産の塩蔵ワカメと観光パンフレットを配り、釜石の魅力をアピールした。
運行初日、SLの釜石駅到着に駆け付けた釜石SWの選手とスタッフ
釜石駅に隣接する「ホテルフォルクローロ三陸釜石」で働きながら、SWでプレーする杣澤さんは入団3年目。SLのお出迎えも何回か経験してきた。「SLをきっかけに釜石に来てくれる人も多いと思う。(運行日に)ホテルの宿泊客が増えると、それだけ誘客に貢献していると実感する」。来春の運行終了に、「継続して乗っている人は寂しいだろう。終了までに存分に楽しんでもらえたら」と話した。
乗客と記念撮影し、旅の思い出作りに協力
東京都の会社員石川香里さん(39)は、夫経一さん(47)と乗車。先月の地震の影響で東北新幹線が一部不通のため、花巻まで車を走らせてきた。念願の初乗車に「宮沢賢治の世界観が表れていて、アンティーク調の車内も雰囲気が良かった」と大喜び。SLは蒸気や音、石炭で力強く走る姿に魅力を感じるという。仕事の関係で、この日はすぐに花巻まで戻ったが、「今度は釜石観光をゆっくり楽しみたい」と願った。
SL銀河は土日祝日を中心に運行。今のところ9月までの運行日程が公表されている。乗車には乗車券と指定席券が必要で、指定席券は乗車日の1カ月前の午前10時から発売する。
釜石新聞NewS
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