小野 航大 共同キャプテン プロフィール
1991.12.15生/170cm/82kg/福島県出身/東海大卒
釜石シーウェイブスRFC公式サイトプロフィールページ
インタビュー日:2020年11月18日(オンライン取材)
企画・編集:釜石まちづくり株式会社
取材・文:市川 香織(釜石まちづくり株式会社)
写真:西条 佳泰(株式会社Grafica)
個人的にはもうちょっと出来たかなというシーズンでした
2019.11.16 コカ・コーラレッドスパークス戦@釜石鵜住居復興スタジアム
ーー昨シーズンを振り返って。鵜住居復興スタジアム2連戦から開幕。初戦のコカ・コーラ戦を引分けるというスタートでした。
小野共同キャプテン:
引分けという結果については、僕たちがあのゲームに照準をあてて準備をしていたのと、コカ・コーラには夏のカップ戦で大敗していて、向こうが僕たちにフォーカスして来なかったということもあるとは思うんですけど、チームとしてはいい形でシーズンに入れましたし、「開幕の2戦がすごく大事だよ」という話はヘッドコーチからあったので、すごく手ごたえのあるゲームだったと思います。
ーーそのあとの九州電力戦は惜敗でしたね。
小野共同キャプテン:
あの試合も、チームとして機能していない部分はありましたけど、モチベーションは高かったと思います。やっぱり、ゲーム巧者が九州電力だったというか、強さとかそういう部分よりも、上手く相手のやりたいゲームを進められてしまったという感じでしたね。
2019.11.23 九州電力キューデンヴォルテクス戦@釜石鵜住居復興スタジアム
ーー九州電力からはいつも「釜石SWには絶対勝つんだ!」という気持ちがプレーから伝わってきますよね。
小野共同キャプテン:
九州電力がすごく苦手なんで・・・釜石は。僕が来てからまだ1回しか勝ってないですし、何となく上手くやられちゃうというか、いなされちゃうイメージがあって、勝ち切るイメージを持ち切れなかったというか・・・。勝たないといけないゲームを落としてしまったという印象はあります。
ーーやっぱり、対戦相手との“相性”のようなものってあるんですか?
小野共同キャプテン:
あると思います。何となくこう、試合中でもやられている感覚は無いっていうか、自分たちがどこでも行けるなっていうイメージを持てるくらいの感じなんですけど、結果的にスコアを取れずに、逆に相手に“サクッと”とられちゃう・・・。九州電力戦はいつもそういう感じで負けているんで、何となく嫌な感じはありますね。
ーー今シーズンはそこを払拭したいですね。
小野共同キャプテン:
そうですね、気持ちよくスパッと勝ちたいですね!
2019.11.16 コカ・コーラレッドスパークス戦@釜石鵜住居復興スタジアム
ーーそして、3勝3敗1分けで、目標としていたリーグ4位という成績になりました。この結果については?
小野共同キャプテン:
九州電力戦は負けましたけど、栗田工業や清水建設、あとマツダ戦も、今までは競ったゲームで勝ち切れないと言うのがチームの課題だったと思うんですけど、そこで勝ち切れたことが、チームとしてすごくよかった点かなというのがあります。
4位という目標は達成出来ましたけど、コカ・コーラや九州電力戦でもう少しいい形で勝ち点を取れていれば、もう少し上の順位に上がれていたんじゃないかなと思うので、順位以上に手ごたえのあるシーズンではあったと思います。
ーーファンが選ぶシーズンMVPに選ばれるご活躍でしたが、小野選手個人として収穫、得られたことは?
小野共同キャプテン:
個人的にはあまり納得のいくパフォーマンスが出来たシーズンではなかったと思うんですけど、結果的にチームは勝てましたし、シーズンが終了してファンの皆さんにMVPにも選んでいただきましたし、4位になれたというのもあって、何となくシーズンをやりきれたかなという感覚はありました。
ただ、最初に言ったように、個人的にはもうちょっと出来たかなという所が多々あったので、その分、今シーズン頑張りたいです。
“出来るだけポジティブに”
2020.9.5 ヤマハ発動機ジュビロ戦@釜石鵜住居復興スタジアム
ーー“コロナ禍”でのチーム練習について。ここまでどのように。
小野共同キャプテン:
春は緊急事態宣言もあって、やはりチーム全体での活動は出来なくて、少人数のグループでトレーニングをしたり、外でウエイトトレーニングをしたりと、個人練習の期間がずっと続いていました。ちゃんとチーム活動が始まったのが、7月くらいだったと思います。
まぁでも、どのチームも状況は一緒だったと思いますし、出来ない事にとらわれていてもしょうがないですし、“出来るだけポジティブに”と思ってやってきました。
ーーチームビルドについて
小野共同キャプテン:
コミュニケーションを取る時間もそれなりに持てていました。チームビルドの為のイベントとして、出来るメンバーで集まって、自転車に乗って仙人峠を登ったり、ジムトレーニングもしましたし。
ただ、ラグビーのトレーニングが出来なかったので、そこで「ラグビーをしたいな」というフラストレーションはありました。けど、それこそさっき言ったように、出来ない事を言ってもしょうがないので、なるべくフラストレーションを溜めずに、今出来る事にフォーカスしてやろうと。その辺は上手く切り替えてやれていたかなと思います。
外国人選手がついこの間揃ったばかりなので、そういう選手たちとの連携はまだまだかなぁという所はあるんですけど、例年と比べると新加入選手も多くないですし、段々と上手く溶け込んで来ているかなと思います。
ーー普段のシーズンと違う中で、キャプテンとして困ったり大変だった事は、そこまで無かった感じですか?
小野共同キャプテン:
そうですね、そんなには無いですね。まだ足並みが整わない時に、「目標がブレてしまわないかな」という心配はありましたけど、今シーズンの目標については坂下総監督からしっかりとお話があって、皆ブレずにここまで来られたかなと。
ーー今シーズン、トップチャレンジリーグ(TCL)を2位通過して、トップリーグ(TL)セカンドステージへ進出するという目標について。
小野共同キャプテン:
昨年4位でしたし、1戦目2戦目を取れていれば2位か3位もあったと思うので、チームとして不可能な目標ではないと感じました。より高見を目指すという意味で、良い目標設定だなと思います。
「チームとして、もう一つレベルアップしなければいけないよ」というメッセージだとも思うので、その意味を受け止めながら、チームとしてその目標に向かってブレずにやって行きたいと思います。
ーーこの期間、ラグビーや普段の生活通して、変化した事などは?
小野共同キャプテン:
全員揃っての夜のトレーニングが出来ず、時間的にもいつもとは違う生活リズムになっていたので、最初はちょっとフラストレーションがあったというか、違和感があるような感じでした。
でも、娘がいるので、毎晩一緒にご飯を食べることが出来て、それはちょっと新鮮な感じで良かったです。
ベクトルがどれだけ一方(同じ方向)を向くかという事が戦力に直結する
2020.9.5 ヤマハ発動機ジュビロ戦@釜石鵜住居復興スタジアム
ーー“コロナ禍”の中で、日本ラグビー界の中では、いち早く9月5日に「黄金の國、いわて プレゼンツ ともだちマッチ ヤマハ発動機ジュビロ」戦が有観客で行われました。
小野共同キャプテン:
ヤマハ戦は、あの状況で試合が出来るということだけでも素晴らしいというか、たくさんの方々の力を感じました。
この“コロナ禍”の中で観客が入って、しかも、東日本大震災後から毎年釜石に来て試合をしてくださっているという繋がりのあるヤマハさんとの試合だったので、チームとしては良いモチベーションで臨めましたし、あのゲームの意味をあらためてチーム内で共有出来た良いゲームだったと思います。
ーーそして、10月10日には、ラグビーワールドカップ2019岩手・釜石開催1周年記念イベント「いわて・かまいしメモリアルマッチ」クボタスピアーズ戦も有観客で行われました。あの試合については?
小野共同キャプテン:
あの試合は、ブレイクダウンとか一つ一つの接点で、チームとして戦わなければいけなかったけど戦えなくて、そこでずっと後手に回って常に相手のやりたいラグビーをさせてしまったかなという印象でした。
ゲーム中にどこを修正すると言うよりも、何て言うんですかね…難しいゲームではあったんですけど、振返ってみればチャンスは無かった訳ではなかったですし、自分たちの形を出せれば得点出来る場面もいくつかあったと思うので。ああいうプレッシャーの中で、自分たちのパフォーマンスをどれだけ出来るか?というのがこれからの課題だと思います。
目指す所は“あのレベルと戦えるチームになる”という事を、チームとして大前提に考えて行かなければならないということなので、その点で、スタンダードをあのレベルにしなければいけないという事を感じることが出来たゲームではあったのかなと思います。
2020.10.10 クボタスピアーズ戦@釜石鵜住居復興スタジアム
ーーやはり連携の部分はこれからという感じですか?
小野共同キャプテン:
そうですね。ある程度、新しく来た外国人選手がチームにとってはキーになると思いますし、その辺も上手く舵取りして行かないと、各々が好きな事をすると上手く行かないので、プレー一つ一つもそうですし、目標設定だったり、チームとしての一体感だったり、ベクトルがどれだけ一方(同じ方向)を向くかという事がチームの戦力に直結すると思うので、外国人選手もチームの目指す方向を向いてくれるように、まとめて行きたいです。
チームに必要とされるポジションでプレーを
2020.10.10 クボタスピアーズ戦@釜石鵜住居復興スタジアム
ーー今シーズン、スタッフ体制が変わった事がチームにとって大きいのかなと、外から見ていて感じています。
小野共同キャプテン:
やっぱり、坂下さんが総監督になられて、社員選手の待遇だったりとか、今までなかなか変えられなかった部分を変えて下さっていたりとか、そういう所が選手としては印象的で、より選手がラグビーに専念できるように環境を整えて下さっているのですごくありがたいです。
康夫さん(須田FWコーチ)は、僕はバックスなんで今の所は直接的なやり取りはあまりないんですけど、チームに康夫さんが帰って来たことで、大黒柱が戻って来たというか、何となく康夫さんがいてくれる“安心感がある”とみんな感じているんじゃないかなと思います。
ーー坂下さんにインタビューした時に、本当に細かい所、クラブハウスの照明等の設備を直したり新しくしたりとかの調整、手配もされているとお聞きしました。
小野共同キャプテン:
その辺の距離間も坂下さんが上手くやって下さっているというか、チームにもあまり介入し過ぎず、ちょろっと鶴の一声が入る感じで。だから、練習はいつもそっと外で見ていらっしゃいますね。
ーー今シーズン、小野選手はウィング以外での出場も見られていますが、選択肢として他のポジションもあるのでしょうか?
小野共同キャプテン:
そうですね、行けって言われたらどこでも行きます。センターだったりフルバックだったり、オプションとして無いわけではないと思います。
特にポジションにこだわりがあるわけではないですし、チームに必要とされるポジションでプレー出来れば良いと思っています。
ーー最後に、読者の皆さんへ
小野共同キャプテン:
コロナ禍ですけれども、僕たちがラグビーをすることで誰かに元気や勇気を届けられれば良いと思いますし、もちろん感染対策は大事ですけれども、こんな時だからこそ、会場に足を運んで応援して頂きたいなという想いはあります。
チームの目標達成というか、チームが勝つ事がファンの皆さんには一番だと思いますので、一つでも多く勝って、白熱した良いゲームをお見せできるように頑張りたいと思います。
チーム活動情報、リーグ戦日程等の最新情報は、先日リニューアルされた釜石SW公式サイトをご覧ください。
https://www.kamaishi-seawaves.com/