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「三陸は一つ」ブラスで奏でる、ルート45港町コンサート〜沿岸5団体、釜石の新ホールで熱演

5団体の合同ステージは圧巻。観客も出演者も音楽の素晴らしさを体感した

5団体の合同ステージは圧巻。観客も出演者も音楽の素晴らしさを体感した

 

 三陸沿岸5市の社会人吹奏楽団が一堂に会しての「ルート45港町コンサート」が21日、釜石市大町の市民ホールTETTOで開かれた。三陸縦貫自動車道の早期完成を願い、1997年、釜石を皮切りに始まったコンサートは今年で21回目。釜石開催は東日本大震災後初めてで、同道路の釜石区間全線開通、待望の新ホールでのコンサート実現に、会場内は大きな感動に包まれた。

 

 1部は4団体による単独ステージ。ぷなと音楽団(大船渡)の「恋はあせらず」など2曲で幕を開け、気仙沼市民吹奏楽団が「昭和歌謡コレクション」で盛り上げた。宮古吹奏楽団は「珍獣ハンターイモトのテーマ」など2曲、釜石市民吹奏楽団は「風の谷のナウシカ」から1曲を届け、変化に富んだ楽曲で観客を楽しませた。

 

 2部は陸前高田市民吹奏楽団が加わり、5団体145人の合同ステージ。「イーグルの翼にのって」、「風紋」、バレエ音楽「ガイーヌ」を奏でた。舞台上を埋めた団員らは練習で磨いた技術、表現力を存分に発揮。大迫力の音量の一方で、各楽器の美しい音色も際立ち、観客の心を震わせた。アンコールに応え、「ラデツキー行進曲」など2曲で締めくくった。

 

 北上市から訪れた多田昭則さん(57)は「沿岸を盛り上げようというパワーを感じる。道路や鉄道の開通で、まち同士のつながりも深まっている印象」と交通網の整備効果を実感。TETTOの催し物をチェックし足を運んでいるといい、「北上からも1時間ちょっとで来られる。楽しみが増えました」と声を弾ませた。

 

 釜石東中の吹奏楽部員、佐々木清子さん(1年)は「今まで聞いた中で一番人数が多く、きれいな音だった。大人の演奏はやっぱり違う。自分はフルートを始めたばかり。先輩たちみたいに上手になりたい」と刺激を受けていた。

 

 同コンサートは宮古、釜石、気仙沼の3団体が立ち上げ、毎年各地持ち回りで開催。2008年に大船渡が加わり順調に回を重ねていたが、11年の震災で2年間の休止を余儀なくされた。13年、再び気仙沼に集い、コンサートを復活。16年に活動を開始した陸前高田も今年から仲間入りした。

 

 12人で参加した陸前高田市吹の山本健太団長(33)は「こんなに大人数は初めて。心配もあったが、胸を借りる形で楽しんで演奏できた」と大喜び。「今後も他楽団との共演を通じ、技術向上を図りたい。大人になっても吹奏楽を続けられることを地元中・高生にも見せられたら」と意欲を示した。

 

 新年度から団長を務める釜石市吹の谷澤栄一さん(60)は「毎年、車で移動しながら練習を重ねる私たちにとって(三陸道開通による)移動時間の短縮は、練習率を向上させ、質の高い練習を可能にした。沿岸の音楽仲間の結束が一層強くなっているのも道路のおかげ」と感謝。これまでに育まれた友情や切磋琢磨(せっさたくま)が深化することを願いながら、「互いの行き来が飲食や観光の機会を増やし、経済交流にもつながれば」と期待した。

 

 復興道路としてかつてないスピードで整備が進む三陸道。宮古―気仙沼間は19年度中の全線開通が見込まれる。

 

(復興釜石新聞 2019年4月24日発行 第785号より)

 

復興釜石新聞

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問い合わせ:0193-55-4713 〒026-0044 岩手県釜石市住吉町3-3

タブレット画面を注視しながら高い解説機能を確かめる参加者

橋野鉄鉱山ガイドアプリ完成、世界遺産ARで動画〜報道関係者に現地で公開、一般利用は4月20日から

タブレット画面を注視しながら高い解説機能を確かめる参加者

タブレット画面を注視しながら高い解説機能を確かめる参加者

 

 釜石市は、2017年にユネスコ世界遺産「明治日本の産業革命遺産」の構成要素として認定された釜石市橋野町青ノ木の「橋野鉄鉱山」の価値をより広く知ってもらおうと、アプリを整備。その説明会が16日、橋野高炉跡で行われた。釜石観光ガイド会(三浦達夫会長、30人)が参加し、報道関係者に公開した。一般の利用はきょう20日からスタートする。

 

 アプリに入力されたのは高炉のほか石切り場、種焼場(たねやきば)跡など11カ所。専用タブレット10台を受け取ったガイド会の会員は鉄鉱山の大門から一番高炉に向かい、二番、三番高炉を巡った。

 

 タブレット端末はGPS(全地球測位システム)機能を使い、訪れた史跡内の遺構を音声、文字、画像で解説する。中でも二番高炉跡は、県指定文化財の絵図(「紙本 両鉄鉱山御山内並高炉之図」)に基づき、VR(仮想現実)で復元し、操業当初(1860年代初頭)の高炉の仕組みや規模が体感できる。

 

操作の習得に集中するガイド

操作の習得に集中するガイド

 

 アプリで解説する11カ所をすべて巡ると、周辺環境と一体化させた画像のAR(拡張現実)がグレードアップ。10問のクイズに正解しても同じ上級機能が起動する。市内の製鉄関連10史跡ごとのARカードも作成。タブレットやスマートフォン(スマホ)をかざすと、3D(立体的)画像の高炉が浮かび上がり、史跡の訪問数やクイズの回答でグレードアップする。

 

 このガイドアプリの利用は、橋野鉄鉱山インフォメーションセンターでのタブレット貸し出し、スマホでもQRコードの読み取り(googleplay、Applestore)で可能だ。高炉の一番と三番は、県が整備した静止画像や文字での説明アプリが先行している。

 

 タブレットの利用は午前9時半~午後3時半、料金は1台300円で1時間使える。従来から提供する8個の音声ガイドペン(4カ国語対応)も継続する。

 

 説明会に参加した同ガイド会の川崎孝生さん(78)は「自由に使いこなすのは難しいが、勉強する。若い人や操作に慣れた人なら楽しめるだろう。最近は大震災の被災に関するガイドは少なくなり、橋野など文化財のガイドが多い。自分の言葉で、みなさんと直接やりとりする案内が主になる」と語った。

 

 市世界遺産課の森一欽課長補佐は「橋野鉄鉱山や製鉄について理解を容易にし、楽しむことで、(来訪者の)施設内、全市の回遊性を高めたい」と期待する。

 

 アプリの整備は国と県の助成を受け、昨年度に取り組んだ。総事業費は1300万円。

 

(復興釜石新聞 2019年4月20日発行 第784号より)

関連情報 by 縁とらんす
橋野鉄鉱山をVR・ARで体感しよう!!

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釜石の桜 一気に満開、待望の春を謳歌〜見事な花のアーチ、上栗林の桜ライトアップ

釜石の桜 一気に満開、待望の春を謳歌〜見事な花のアーチ、上栗林の桜ライトアップ

満開の桜の下で遊ぶピッコロ子ども倶楽部桜木園の園児ら

満開の桜の下で遊ぶピッコロ子ども倶楽部桜木園の園児ら

 

 好天と温かさが続き、釜石の桜は18日ごろ一気に満開を迎えた。ライトアップで人気を集める「上栗林の桜」も満開となり、訪れた多くの人が見事な花姿を愛(め)でている。

 

 釜石の最高気温は17日が22・2度、18日は23・9度まで上昇した。

 

 小川川の下流に当たる小川町や桜木町は、釜石製鉄所山神社を囲むように桜並木が広がる花見の名所。老木は今年も豊かな花姿を見せた。川沿いの桜の幹は道を覆い、枝先は川面に垂れる。

 

 買い物、散歩、ジョギングの男女、自転車や自動車も速度を落として花のアーチをくぐった。花に手が届く歩行者専用のつり橋にはカメラを構える人も訪れ、花と川の一体となったシーンを切り取った。

 

小川川の流れに枝を垂れる桜並木のアーチは格好の散策コース

小川川の流れに枝を垂れる桜並木のアーチは格好の散策コース

 

 18日、小川地区サポートセンター前の広場では、近くにあるピッコロ子ども倶楽部桜木園(千葉正子園長)の年中・年長児19人が輪投げなどの遊びを楽しんだ。園児らは満開となった桜の下で駆け回り、ベンチに座って春の陽気を楽しむお年寄りたちも目を細めながら見守った。

 

 市の文化財「上栗林の桜」は17日夜、地元や遠方から多くの見物客を迎えた。ライトアップは東日本大震災から立ち上がる市民を応援しようと、2013年から7年目。上栗林振興会(三浦栄太郎会長、31世帯)が引き継いでいる。全体の景観を迫力いっぱいに浮かび上がらせようと、今年は発光器を過去最多の13個に増やした。

 

上栗林の桜は明かりをパワーアップしてボリューム満点に=17日夜

上栗林の桜は明かりをパワーアップしてボリューム満点に=17日夜

 

 世話役の男性らは「八分咲き。一気に咲いた。雨風もなく、夜桜見物には最高の条件」と喜んだ。大槌町の若い男性は「仕事休みで通りかかった昼に、この大きい桜を見た。ライトアップと聞いたので、ばあちゃんを誘ってまた見に来た」と熱心にスマホで撮影した。宮古市からは若いカップルがドライブがてら訪れ、「大きくて、きれい」と声を上げた。

 

 近くに住む三浦モトさん(79)は「このごろは毎日、畑に通う途中に桜の下を通る。そろそろ、ジャガイモを植える。お姑(しゅうとめ)さんから、種まき桜だと教えられた。せっかくの夜桜も一度は見たい。いいですね」と満喫した。ライトアップは21日まで行う。

 

 この巨木はエドヒガン系で樹齢300年と推定される。過去の最大樹高23メートルで、胸高周りは4・9メートルもある。1997年に市文化財に指定された。

 

(復興釜石新聞 2019年4月20日発行 第784号より)

 

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ウィズ・ミューズシリーズ 第1回 宮下祥子 魅惑のクラシックギター

ウィズ・ミューズシリーズ 第1回 宮下祥子 魅惑のクラシックギター

ウィズ・ミューズシリーズ 第1回 宮下祥子 魅惑のクラシックギター

 

月に一度、気軽に楽しめるコンサートシリーズ “ウィズ・ミューズ シリーズ”
第一回目は宮下祥子さんが登場!エレガントな午後をお過ごしください。

 

ウィズ・ミューズシリーズ 第1回 宮下祥子 魅惑のクラシックギター – 釜石市民ホール TETTO 公式サイト

日時

2019年4月27日(土) 13:30〜15:00予定(開場13:00)

会場

釜石市民ホールTETTO ホールB

プログラム

F.タレガ:アルハンブラ宮殿の想い出
F.ソル:モーツァルトの「魔笛」の主題による変奏曲
藤井敬吾:羽衣伝説 ~沖縄の天女伝説と山入端博のはごろもの歌に基づく

※プログラムは変更になる場合がございます。

出演

宮下 祥子
 
宮下 祥子(みやした さちこ)
7歳より母親の勧めによりギターを始める。ギターを渋谷忠三、福田進一、P.シュタイドルに師事。音楽理論を作曲家の木村雅信、蛯子元に師事。クラシカルギターコンクール(東京)優勝。A・セゴビア国際ギターコンクール(スペイン)第2位。キジアーナ音楽院でO.ギリアに師事、最優秀ディブロマを授与される。
 
ヨーロッパ、南北米、東南アジアなど世界12ヶ国32都市で公演を行う。井上ひさし氏の指名により新国立劇場における朗読劇「少年口伝隊一九四五」にギター生演奏で出演、再演が続いている。NHKの朗読番組の音楽を数年に亘り担当するなどアナウンサーとの共演も多い。2011年、札幌交響楽団(梅田俊明・指揮)と「アランフェス協奏曲」を共演。
 
これまでに発売したCDは、「パッション」(『レコード芸術』特選盤)、「Virtuoso」(『レコード芸術』特選盤)、「ギフト」(『レコード芸術』準特選盤)、「旅立ち」Yahoo音楽ソフト器楽部門売れ筋ランキング第1位を記録、『レコード芸術』誌“特選盤”並びに“優秀録音盤”に選ばれ好評を得る。最新CDはメゾソプラノ(駒ヶ嶺ゆかり)と19世紀ギターによるシューベルト歌曲集「冬の旅」。今秋、6枚目のソロアルバムをリリース予定。釜石での公演は2度目。
 
札幌市民芸術祭大賞受賞、第20回道銀芸術文化奨励賞受賞。日本ギタリスト協会委員。北海道大学卒業。

料金

全席自由 一般 1,000円(友の会 800円)/高校生以下 500円(友の会 400円) 当日同じ/未就学児無料
※小さなお子様をお連れの際は、周りのお客様にご配慮下さいますようお願いいたします。
【友の会以外の割引】
シルバー割引:65歳以上証明書提示で一般チケット1枚が20%off
友の会チケット・各種割引は釜石市民ホールのみ取扱い

プレイガイド

【釜石】釜石市民ホール

お問い合わせ

釜石市民ホールTETTO 0193-22-2266

主催等

【主催】釜石市民ホール

 

釜石市民ホール TETTO

釜石市民ホール TETTO

問い合わせ: TEL 0193-22-2266 / FAX 0193-22-3809 / 公式サイト
〒026-0024 岩手県釜石市大町1-1-9

橋野鉄鉱山をVR・ARで体感しよう!!

橋野鉄鉱山をVR・ARで体感しよう!!

橋野鉄鉱山をVR・ARで体感しよう!!

 

世界遺産「明治日本の産業革命遺産」の構成資産である橋野鉄鉱山には、高炉3基をはじめ、それに関連した多くの遺構が残っていますが、現在の状態ではわかりづらい!!ことから、この度、その第1弾としてガイドアプリを開発しました。ぜひ下記からダウンロードしてください!!

 

平成31年4月20日から供用開始です!!
こちらからDLできます。

 

QRコード
 

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Google Play で手に入れよう

 

あわせて、スマートフォンなどをかざせば橋野高炉が3Dで見られる「橋野鉄鉱山ARカード」を配布します。市内10カ所デザインも10種類です。市内をめぐって全種類集めよう!!

 

ARカード

 
橋野鉄鉱山ガイドアプリマニュアル(2,456 KB pdfファイル)

この記事に関するお問い合わせ
釜石市 産業振興部 世界遺産課
〒026-8686 岩手県釜石市只越町3丁目9番13号
電話 0193-22-8846 / FAX 0193-22-2762 / メール
元記事:http://www.city.kamaishi.iwate.jp/tanoshimu/spot/hashino_tekkouzan/detail/1227541_3028.html
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サイン会で来場者と交流する柚月裕子さん

作家 柚月裕子さん(釜石出身)講演、三陸道・釜石道開通記念〜新しい道路が古里後押し

サイン会で来場者と交流する柚月裕子さん

サイン会で来場者と交流する柚月裕子さん

 

 三陸沿岸道路と東北横断自動車道釜石秋田線の釜石市内区間同時開通を記念した講演会(同事業実行委主催)が13日、大町の市民ホールTETTOで開かれた。釜石出身で釜石応援ふるさと大使を務める小説家・推理作家の柚月裕子さん(山形県在住)を招き、対談やパネルディスカッションを開催。来場した市民ら約350人が待望の高速交通網完成を祝い、道路を生かした地域振興へ決意を新たにした。

 

 対談形式で行われた1部は、柚月さんから作家人生の原点、執筆の信条、古里釜石への思いなどが語られた。読書好きの両親の元に育った柚月さん。小説にのめり込んだきっかけは“シャーロック・ホームズ”本との出会いで、自身の作品にも影響を与えているという。物語を書く上で気を付けるのは、登場人物の筋を通すこと。「自分と違う価値観でも、確固たる理由が分かれば、その相手を理解することにつながる」と、小説が豊かな人間関係や人生の一助にもなることを示した。また、「小説には意図しなくても作者の本心が出る。言い換えれば、自分の内面をさらけ出さないと小説は書けない」とも。

 

 デビュー10年となる柚月さんは、各賞を受賞した「検事の本懐」「孤狼の血」「盤上の向日葵」で注目を集め、映画やテレビドラマ化された作品も。来場者は柚月さんの素顔や釜石愛を直に感じながら、話に聞き入った。

 

 2部は柚月さんと市民3人を迎え、「命の道からかまいしの未来へ」と題しパネルディスカッション。東日本大震災復興のリーディングプロジェクトとして進められてきた両道路について、それぞれの立場から思いを述べ合った。

 

3月9日に開通した2道路について語るパネリスト

3月9日に開通した2道路について語るパネリストら

 

 青紀土木の青木健一社長は、がれき撤去や根浜への道路新設に携わった経験から、命をつなぐ道の重要性を実感。高速道路を動脈、地域内の道路を毛細血管に例え、「今後さらに血流も強くなる。物流や人的交流が促進する中で地域の魅力をどう高めていけるかが課題」と提言した。

 

 震災当日、来客を案内中に大地震に見舞われ、1週間前に開通したばかりの同沿岸道路(片岸―水海間)の通行で津波の難を逃れた福成菜穂子さんは「瞬時の判断が生死を分けた。私にとってはまさに命の道路。新町のインター建設で住み慣れた土地を離れたこともあり、今回の開通には特別な思いがある」と心境を明かした。

 

 鵜住居駅前の2施設、魚河岸テラスの管理運営を担うかまいしDMCの河東英宜事業部長は観光面の視点から「高速道で利便性が高まれば、日帰り客が増える可能性もある。宿泊してもらえるような仕掛けづくりが必要」と消費拡大に向けた関係者の連携強化を望んだ。

 

 柚月さんは、病を患った生母の最期をみとることができなかった。「当時、母が住む宮古市までは山形から(車で)7時間ぐらいかかった。新たな道路は、道に対するもどかしさを覚えていた方々にとって力強く、温かい道になると思う」と実感を込めた。

 

 アドバイザーとして登壇した国交省東北地方整備局南三陸国道事務所の折笠徹所長は、用地提供者、工事関係者、県・市の多大な協力に感謝。「道路は地域を良くするための道具。地元住民が誇りを持てるまちになるよう、道路を使ってほしい。隠れた情報をどんどん発信し、継続して人を呼び込めるようになれば」と期待した。

 

 講演会終了後は柚月さんの書籍販売やサイン会もあり、長蛇の列ができた。柚月さんは復興に役立ててほしいと、釜石市に寄付も行った。

 

(復興釜石新聞 2019年4月17日発行 第783号より)

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釜石の魅力を発信する新スポット「魚河岸テラス」

復興望む新たなスポットに〜魚河岸テラス開館、餅まきで完成祝う

釜石の魅力を発信する新スポット「魚河岸テラス」

釜石の魅力を発信する新スポット「魚河岸テラス」

 

 釜石市が整備を進めてきた釜石魚河岸にぎわい館「魚河岸テラス」が完成し、13日、現地で竣(しゅん)工式が行われた。地元の食材を生かした飲食店のほか、郷土芸能虎舞などの紹介スペース、キッチンスタジオなども整備。東日本大震災からの復興を目指すまちの新たな名所として「魚のまち釜石」を発信する。

 

 市が中心市街地・東部地区の復興に向けて進めるフロントプロジェクトの一つ。釜石港に面する魚河岸地区の敷地面積3871平方メートルの市有地に整備された。鉄骨造り2階建て、延べ床面積は1227平方メートル。1階にキッチンスタジオや会議室、物販、虎舞や地元で採れる魚の展示コーナーを配置。2階には飲食店4店舗が入居し、海を眺めながら食事が楽しめる。

 

 花火や曳(ひ)き船まつりを観覧できるテラス、朝市やイベントで活用できる広場も整備。事業費は約5億円で、復興交付金や過疎債を活用した。

 

 愛称「魚河岸テラス」は公募で決定。釜石出身で東京都在住の50代女性が「笑顔を絶やさない明るいテラスに。港とまちを結び付ける施設になってほしい」などの願いを込めて命名した。

 

 式には関係者ら約50人が出席した。野田武則市長は「まちの持つ力を発揮する拠点施設として整備。海を見ながら食事をできる場がやっと実現した。多くの人に愛され、親しまれ、末永く大事にされる施設になれば」とあいさつ。テープカットの後、尾崎青友会による虎舞、餅まきで完成を祝った。

 

テープカットで施設の完成を祝う関係者

テープカットで施設の完成を祝う関係者

 

 オープンすると、待ち構えた多くの人が建物内へ。釜石自動車道で花巻市から足を運んだ小瀬川正さん(76)は土産物を購入し、催しの毛ガニ釣りに挑戦、2匹を釣り上げた。「教員として赴任したこともあり、釜石には親しみがある。小規模だが、観光客が来れば復興のプラスになるだろう。カニも手に入り、いい思い出に。家に帰ってお酒飲みたいね」と喜んだ。

 

オープンを活気づける餅まきに歓声を上げる市民ら

オープンを活気づける餅まきに歓声を上げる市民ら

 

 嬉石町に自宅を再建した佐々木ミキさん(84)と大町復興住宅で暮らす山崎タイ子さん(77)は、仮設住宅生活で深めた親交を維持。人の多さに食事は諦めたが、「誘い合ってまた来ようね」と約束した。

 

 1階にはJFマリンバンクいわて県信漁連釜石大槌支店も入居。5月13日のオープンを予定する。

 

(復興釜石新聞 2019年4月17日発行 第783号より)

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佐藤釜石分駐隊長は隊員と共に安全への決意を表明

釜石道 事故抑止へ全力、県警高速隊釜石分駐隊活動開始〜釜石署で発足式、隊員19人 決意新たに

佐藤釜石分駐隊長は隊員と共に安全への決意を表明

佐藤釜石分駐隊長は隊員と共に安全への決意を表明

 

 県警(島村英本部長)は釜石周辺の高速道路網が整備されたことを受け、交通の安全を担う高速道路交通警察隊釜石分駐隊を編成。11日、釜石警察署で発足式を行った。島村本部長の激励を受け、佐藤喜博分駐隊長(警部)ら隊員19人は、東日本大震災からの復興を支える大動脈の交通事故抑止へ決意を新たにした。

 

 島村本部長は「三陸沿岸道路及び東北横断自動車道釜石秋田線は沿岸地域の『希望と命の道』といわれる。釜石分駐隊は治安確保、交通事故防止で復興の一助を担うよう願う。隊員は緊張感を持った高い士気の職務執行を」と激励した。

 

島村本部長(前列中央)ら幹部も隊員を激励

島村本部長(前列中央)ら幹部も隊員を激励

 

 釜石市の窪田優一副市長、南三陸国道事務所の折笠徹所長はそれぞれ、分駐隊への期待を述べた。高速道路交通警察隊の吉田孝夫隊長(警視)が謝辞。佐藤分駐隊長は「隊訓(融和団結、敏速確実、創意実行)を順守し、釜石秋田線、三陸沿岸道路の治安を確保し、事故防止に全力を尽くす」と決意を表明した。

 

 東北横断道釜石秋田線の釜石道は3月9日に釜石ジャンクションで三陸沿岸道と結節、全線が開通した。これを受け、県警は高速道路交通警察隊に釜石分駐隊を新設した。同警察隊は本隊のほか、北上、西根、一戸に釜石を加え4分駐隊で編成し、吉田隊長以下90人体制で活動する。

 

 釜石秋田線での活動は、花巻以東の延伸に応じ、2013年6月、本隊直轄隊釜石対策班を花巻市東和町に設置していた。釜石分駐隊の発足に伴い、同分駐隊東和分遣班に改称した。パトカー、事故処理車など合計9台を運用する。

 

 釜石分駐隊の管轄範囲は釜石市を中心に釜石道66・4キロ、三陸道は宮城県境から釜石北インターチェンジ(IC)まで約60キロ。大槌町内の整備に伴い、管轄区間はさらに伸びる。

 

 佐藤分駐隊長は「高速道路の安全確保が第一の職務。大動脈の交通障害は社会的な影響が大きい。利用者には、天候と路面状況に応じた速度、十分な車間距離に留意してほしい。動物の飛び出しによる衝突事故も散見される」と安全運転を呼び掛けた。

 

(復興釜石新聞 2019年4月10日発行 第781号より)

 

復興釜石新聞

復興釜石新聞(合同会社 釜石新聞社)

復興釜石新聞と連携し、各号紙面より数日の期間を設け記者のピックアップ記事を2〜3点掲載しています。

問い合わせ:0193-55-4713 〒026-0044 岩手県釜石市住吉町3-3

Oh!マチ Music Festa 2019

Oh!マチ Music Festa 2019

Oh!マチ Music Festa 2019

 

【同時開催】青葉マルシェ
フリーマーケットやキッチンカーも多数出店!

 

【同時開催】東部地区フォトラリー
会場となる釜石市東部地区を探索しながら名所や人を写真に収めましょう。条件をクリアすると、ドリンク無料券等プレゼント!参加無料

 

《スペシャルゲスト》
lecca
2006年4月ミニ・アルバム『Dreamer』にてメジャーデビュー。型にはまらないオリジナルなスタイルが注目を集めるシンガーソングライター。また、ジャンルを超えたコラボレーションで話題を呼んだ。2017年には東京都議会議員選挙に立候補し、当選。現在は都議会議員としても活躍している。

 

*はなおと*
岩手県花巻市出身の2人組。同郷の宮沢賢治を彷彿させるものや、東北弁を使用した楽曲もあり、どこか懐かしくも新開拓のポップ。

 

坂元昭二
アコースティック・ギタリスト。数々のミュージシャンのコンサートツアーやレコーディングに参加。「北の国から」のテーマ曲、挿入曲のギター奏者としても知られる。

日時

2019年5月3日(金・祝) 10:00〜18:00
フィナーレでは餅まきも開催!

場所

釜石市民ホール TETTO ホールB 広場側
岩手県釜石市大町1-1-9

タイムテーブル

《メインステージ》 釜石市民ホール ホールB 広場側
10:00- オープニング
10:10-10:40 釜石ベンチャーズ(釜石市)
11:05-11:35 PEKO the DIVA(花巻市)
12:00-12:30 GOONIES(埼玉県川口市)
12:55-13:25 the 迷奇(奥州市)
13:50-14:20 SOULMATE(陸前高田氏)
14:45-15:15 GTR BLUES BAND(埼玉県行田市)
15:40-16:10 《ゲスト》 *はなおと*
16:35-17:05 《ゲスト》 坂元昭二
17:20-17:50 《ゲスト》 lecca
17:50- フィナーレ(※餅まき)

 

《アコースティックステージ》 市民ホール南口入口前
10:40-11:05 アビシニアン(奥州市)
11:35-12:00 うらちゃんず(神奈川県横浜市)
12:30-13:55 麦田ゆに(宮古市)
13:25-14:50 束(大船渡市)
14:20-14:45 FLAT(盛岡市)
15:15-15:40 ブラック★かまリンズ(釜石市)
16:10-16:35 光(ひかる)(盛岡市)

 

主催

Oh!マチ Music Festa実行委員会
共催:釜石市大町商店街振興組合/釜石まちづくり株式会社
後援:釜石市、釜石商工会議所、釜石観光物産協会、釜石市芸術文化協会、釜石東部コミュニティ振興グループ
協賛:株式会社トヨタレンタリース岩手

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英語表記で釜石ラーメンマップ、訪日客見据えリニューアル〜ラグビーW杯へ釜石商議所、飲食店マップの製作も

英語表記で釜石ラーメンマップ、訪日客見据えリニューアル〜ラグビーW杯へ釜石商議所、飲食店マップの製作も

外国人来訪者を意識して英語表記を入れた「釜石ラーメンマップ」

外国人来訪者を意識して英語表記を入れた「釜石ラーメンマップ」

 

 釜石商工会議所(山崎長也会頭)は、釜石市内のラーメン店を英語表記入りで紹介する「釜石ラーメンマップ」を製作した。今秋のラグビーワールドカップ(W杯)や花巻空港の国際定期便の運航によるインバウンド(訪日外国人客)を見据えてリニューアル。釜石観光物産協会の協力も得て市内の公共、宿泊施設などで無料配布している。

 

 釜石ラーメンの特徴は極細の縮れ麺と、琥珀(こはく)色に透き通った、あっさりとしたしょうゆ味のスープ。マップはラーメンによる地域おこしを図るため、2014年に第1弾、掲載情報を更新し第2弾は18年に発行した。

 

 第3弾となる今回は、店名やラーメンの説明など従来の日本語表記に加え、英語も表記。掲載されているのは市内の飲食店でつくる任意団体「釜石ラーメンのれん会」の会員30店舗で、第2弾より10店舗多い。

 

 店ごとにラーメンのほか看板メニューも写真入りで紹介。自分好みの一杯を見つけることができる。

 

 釜石商議所中小企業相談所の土橋一志所長は「店によって少しずつ味が違う。選ぶ楽しさ、食べ比べを楽しみ、何度も地域に足を運んでもらうきっかけになれば」と期待する。

 

 高規格道路や鉄道の開通による人の往来や商圏の拡大も予想され、今後は市外の交通の要所にマップを置くことも検討。このほかW杯を見据えた取り組みとして、「用を済ませてもすぐに帰らず、ごはんを食べてもらう」との狙いで、ラーメンだけではない釜石の食を紹介する飲食店マップの製作も進める考えだ。

 

 マップの問い合わせは釜石商議所中小企業相談所(電話0193・22・2434)へ。

 

(復興釜石新聞 2019年4月10日発行 第781号より)

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「感動を伝えられるピアニストに」日本音楽コンクール1位の小井土文哉さん〜さらなる飛躍へ古里で演奏会

「感動を伝えられるピアニストに」日本音楽コンクール1位の小井土文哉さん〜さらなる飛躍へ古里で演奏会

地元釜石での初公演。思いを込めた演奏を披露する小井土さん

地元釜石での初公演。思いを込めた演奏を披露する小井土さん

 

 釜石市出身で桐朋学園大ソリスト・ディプロマコースの小井土文哉さん(23)=東京都在住=によるピアノ・リサイタルが6日、大町の市民ホールTETTOで開かれた。昨年10月の第87回日本音楽コンクールピアノ部門本選での1位受賞を記念し、地元での初公演。古里で奏でる喜びと感謝の思いを優美な音色に乗せ、詰め掛けた来場者約800人を魅了した。

 

 大只越町出身の小井土さんは、3歳でピアノを始めた。釜石小5年で東北ショパン学生ピアノコンクール小学生の部で金賞、進学した盛岡一高在学中に全日本学生音楽コンクール東京大会高校生の部で1位を受賞。桐朋学園大進学後も国内外の音楽コンクールで数々の賞を受賞している。

 

 同大を首席で卒業し、現在、同コース2年に在学中。昨年、若手演奏家の登竜門とも言われる第87回コンクールで最高の栄誉に輝いたのに続き、今年3月には英国の著名なピアノコンクールであるヘイスティングス国際ピアノコンチェルトコンペティションでも1位を獲得した。

 

 公演では、バッハの「フランス組曲第5番」やブラームスの「4つの小品Op.119」、最も好きな作曲家として挙げるロシア人のスクリャービン作曲「ソナタ第2番・幻想ソナタ」などアンコールを含めて7曲を演奏した。

 

公演終了後、感動を伝える観客らに笑顔で応える小井土さん

公演終了後、感動を伝える観客らに笑顔で応える小井土さん

 

 小学1年からピアノを続けている小佐野町の菊池莉歩さん(釜石高2年)は「好きな曲への思いが込められた素晴らしい演奏。表現力が卓越。好きなことを仕事にできるのがすごい。好きなことにまっすぐに取り組み、努力する姿勢を見習いたい」と力をもらった。

 

 小井土さんが音楽の道を志すきっかけとなったのは、高校進学直前に発生した東日本大震災。実家は幸いにも直接の被害を免れたが、音楽どころではなく、ピアノから遠ざかった。戻るきっかけとなったのが震災後に盛岡市で開かれた演奏会。「心に響いた。その感動を自分の演奏で届けたい」と道を定めた。

 

 道のりは平たんではなかったが、さまざまな自分を表現できるピアノを追求し、地元で演奏する喜びを選曲に込めた小井土さん。「びっくりするくらい多くの人に聴いていただいた。やりがいがあった」と充実感をにじませた。

 

 高校時代に地元を離れたが、「音楽活動の根本にあるのは釜石。古里の風景を思い浮かべて演奏することもある。続けられること、聴いてもらえることに感謝の気持ちでいっぱい」と小井土さん。演奏する楽しみをより深めた様子で、「感動を伝えられるピアニストに」と力を込めた。

 

(復興釜石新聞 2019年4月10日発行 第781号より)

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広報かまいし2019年4月15日号(No.1710)

広報かまいし2019年4月15日号(No.1710)

広報かまいし2019年4月15日号(No.1710)

 

広報かまいし2019年4月15日号(No.1710)

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【表紙】地域の真の復興を願って
【P2~3】祝開通 三陸沿岸道路・東北横断自動車道釜石秋田線、三陸鉄道リアス線
【P4~7】平成31年度施政方針/平成31年度当初予算/平成31年度の主要事業
【P8~11】釜石版地域包括ケアシステムの実現に向けて
【P12~13】ゴールデンウィーク中の休館情報などのお知らせ/まちのお知らせ
【P14~15】まちのお知らせ/5月休日当番医/各種相談
【P16~17】まちの話題/震災から8年鎮魂の祈り 忘れない いつまでも
【P18~19】保健案内板 高齢者肺炎球菌予防接種の助成を延長します/保健便り/ワンポイントアドバイス
【P20】やっぺし!ラグビーワルドカップ2019推進本部通信

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釜石市 総務企画部 広聴広報課 広報係
〒026-8686 岩手県釜石市只越町3丁目9番13号
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元記事:http://www.city.kamaishi.iwate.jp/shisei_joho/koho/backnumber/detail/1227440_2596.html
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