「三陸は一つ」ブラスで奏でる、ルート45港町コンサート〜沿岸5団体、釜石の新ホールで熱演


2019/04/30
復興釜石新聞アーカイブ #文化・教育

5団体の合同ステージは圧巻。観客も出演者も音楽の素晴らしさを体感した

5団体の合同ステージは圧巻。観客も出演者も音楽の素晴らしさを体感した

 

 三陸沿岸5市の社会人吹奏楽団が一堂に会しての「ルート45港町コンサート」が21日、釜石市大町の市民ホールTETTOで開かれた。三陸縦貫自動車道の早期完成を願い、1997年、釜石を皮切りに始まったコンサートは今年で21回目。釜石開催は東日本大震災後初めてで、同道路の釜石区間全線開通、待望の新ホールでのコンサート実現に、会場内は大きな感動に包まれた。

 

 1部は4団体による単独ステージ。ぷなと音楽団(大船渡)の「恋はあせらず」など2曲で幕を開け、気仙沼市民吹奏楽団が「昭和歌謡コレクション」で盛り上げた。宮古吹奏楽団は「珍獣ハンターイモトのテーマ」など2曲、釜石市民吹奏楽団は「風の谷のナウシカ」から1曲を届け、変化に富んだ楽曲で観客を楽しませた。

 

 2部は陸前高田市民吹奏楽団が加わり、5団体145人の合同ステージ。「イーグルの翼にのって」、「風紋」、バレエ音楽「ガイーヌ」を奏でた。舞台上を埋めた団員らは練習で磨いた技術、表現力を存分に発揮。大迫力の音量の一方で、各楽器の美しい音色も際立ち、観客の心を震わせた。アンコールに応え、「ラデツキー行進曲」など2曲で締めくくった。

 

 北上市から訪れた多田昭則さん(57)は「沿岸を盛り上げようというパワーを感じる。道路や鉄道の開通で、まち同士のつながりも深まっている印象」と交通網の整備効果を実感。TETTOの催し物をチェックし足を運んでいるといい、「北上からも1時間ちょっとで来られる。楽しみが増えました」と声を弾ませた。

 

 釜石東中の吹奏楽部員、佐々木清子さん(1年)は「今まで聞いた中で一番人数が多く、きれいな音だった。大人の演奏はやっぱり違う。自分はフルートを始めたばかり。先輩たちみたいに上手になりたい」と刺激を受けていた。

 

 同コンサートは宮古、釜石、気仙沼の3団体が立ち上げ、毎年各地持ち回りで開催。2008年に大船渡が加わり順調に回を重ねていたが、11年の震災で2年間の休止を余儀なくされた。13年、再び気仙沼に集い、コンサートを復活。16年に活動を開始した陸前高田も今年から仲間入りした。

 

 12人で参加した陸前高田市吹の山本健太団長(33)は「こんなに大人数は初めて。心配もあったが、胸を借りる形で楽しんで演奏できた」と大喜び。「今後も他楽団との共演を通じ、技術向上を図りたい。大人になっても吹奏楽を続けられることを地元中・高生にも見せられたら」と意欲を示した。

 

 新年度から団長を務める釜石市吹の谷澤栄一さん(60)は「毎年、車で移動しながら練習を重ねる私たちにとって(三陸道開通による)移動時間の短縮は、練習率を向上させ、質の高い練習を可能にした。沿岸の音楽仲間の結束が一層強くなっているのも道路のおかげ」と感謝。これまでに育まれた友情や切磋琢磨(せっさたくま)が深化することを願いながら、「互いの行き来が飲食や観光の機会を増やし、経済交流にもつながれば」と期待した。

 

 復興道路としてかつてないスピードで整備が進む三陸道。宮古―気仙沼間は19年度中の全線開通が見込まれる。

 

(復興釜石新聞 2019年4月24日発行 第785号より)

 

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