指輪の完成を報告したポール・コステロさん(右から3人目)ら

アイルランドの世界的デザイナー「ポール・コステロ」さん、絆を表す指輪制作〜本県開発の合金を素材に、販売も開始

指輪の完成を報告したポール・コステロさん(右から3人目)ら

指輪の完成を報告したポール・コステロさん(右から3人目)ら

 

 今年は、日本とアイルランドの外交関係樹立60周年。これを記念し、アイルランドのイマジネーションと岩手の技術力が融合した指輪が生み出された。「クラダリング」という名称で世界中に親しまれているアイルランドの伝統的デザインをモチーフに、釜石市平田で金属製造を手掛けるエイワ(佐々木政治社長)が提供するコバルト合金「コバリオン」を素材に使用。指輪を監修したアイルランド人デザイナー、ポール・コステロさん(71)、佐々木社長(74)らが20日、野田武則市長を訪ね、完成した指輪を贈った。

 

 この指輪は、「ハート」を「両手」でつかみ、「王冠」を配したデザインが基本になっており、それぞれ「愛」「友情」「忠誠」を表す。コステロさんは独自の発想で指輪に波模様を施し、東日本大震災の被災地域が「津波を乗り越えて再生してほしい。東北とアイルランドを愛と友情で結ぼう」とのメッセージを込めた。

 

 素材として使われたコバリオンは次世代の新金属として注目されているもので、岩手県、釜石市が大学と連携し技術を開発、同社が国内唯一の生産・供給企業として事業化を進めている。当初、生体材料の医療用金属として開発されたが、▽固く傷が付きにくい▽温泉での着用でも変色しにくい▽ニッケルが原因となる金属アレルギーを起こしにくい▽磨くとプラチナと同等の輝きを放つ―などの特性から、宝飾用素材としての応用が期待されている。

 

 故ダイアナ妃の専属デザイナーを16年間務めたことでも知られるコステロさんに、同社がこの新素材を売り込んだことで指輪の制作が実現。大学、企業などでつくる「岩手とアイルランドを結ぶ指輪プロジェクト」を立ち上げ、専用サイト(https://www.costelloecobarion.com/)で販売を始める。女性用6万8千円(税込み)、男性用が8万6千円(同)で、木製ケース付き。

 

ポール・コステロ コバリオン製クラダリング

 

 市役所を訪れたコステロさんは「アイルランドの古いデザインに東北という新しい要素を加えたのがこの指輪。込められた意味を感じながら着けてほしい」と願った。野田市長は新素材開発の苦労などを話し、「世界に発信してもらいたい」と期待した。

 

 佐々木社長は「一人では力がないが、皆さんの後押しで進んでいける。報いるためにも、震災後の釜石の発展につながるよう精いっぱい頑張っていきたい」と話した。

 

 指輪に関する問い合わせはエイワ(電話0193・26・6880)へ。

 

(復興釜石新聞 2017年3月25日発行 第574号より)

復興釜石新聞

復興釜石新聞(合同会社 釜石新聞社)

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問い合わせ:0193-55-4713 〒026-0044 岩手県釜石市住吉町3-3

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“釜石の音”映像に重ねる 「エア・カマイシ」最優秀賞〜いわて動画コンテスト2016

受賞作「エア・カマイシ」の1シーン=平田漁港でピアノのエア演奏

受賞作「エア・カマイシ」の1シーン=平田漁港でピアノのエア演奏

 

「光陽写真」の菊池賢一さん初出品

 

 県主催の「いわて動画コンテスト2016」で、釜石市天神町で写真店「光陽写真」を経営する菊池賢一さん(46)が出品した「エア・カマイシ」が最優秀賞を受賞した。スチール写真が本業の菊池さんが動画撮影に挑戦したのは初めて。「楽しかった。受賞は思いがけなかったが、出演者の協力のおかげ」と菊池さんは喜ぶ。受賞作品はユーチューブの県公式サイト「いわて希望チャンネル」で公開されている。

 

 同コンテストは昨年に続いて2回目。岩手の魅力を発信する機運の醸成、情報発信力の向上を目的に、オリジナル動画作品を県民から募集した。今回は37編の応募があり、審査で「菊池監督」の作品が年度代表作と認められた。表彰式は2月25日に滝沢市で行われた。

 

 作品の制限時間は5分以内。「エア・カマイシ」は、4人の男女が太鼓で「釜石虎舞」、チェロで「釜石浜唄」、ピアノで「釜石小唄」、エレキベースで「釜石市民歌」を、文字通り楽器を持たずに演奏しているシーンを演じ、バックにそれぞれの音をかぶせた。

 

 背景には、建物がない只越町の造成地、根浜、平田漁港、駐車場の屋上などを用い、タイトルバックは港町の岸壁から望む晴れた日の釜石港とした。

 

 菊池さんは「誰でもふるさとの特別な場所はあるだろう。釜石の魅力を表現する手段に悩んだ。動画なら、音、音楽を入れることができることに思い至った。イメージができた。ただ、実際に楽器を運ぶことは難しい。とくにピアノ。それなら、と”エア演奏”に決めた」と制作過程の苦心をたどった。

 

いわて動画コンテストで最優秀賞を獲得した菊池賢一さん

いわて動画コンテストで最優秀賞を獲得した菊池賢一さん

 

 出演した4人のうち太鼓は菊池さんの長男賢介君(15)=釜石中3年=が担当した。

 

 「みんなの協力で作品ができた。何か創作するなら、ユーモアがあって楽しいほうがいい。編集の難しさとともに、映画監督気分を味わいました」と菊池さん。

 

 菊池さんは震災で只越町の店舗を流失。仮設住宅を経て復興公営住宅に住み、大只越町仮設商店街で写真店を続けている。

 

(復興釜石新聞 2017年3月25日発行 第574号より)

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新校舎の外観。左側に入る中学校と右側の小学校を中央の階段棟がつなぐ

釜石東中・鵜住居小、待望の新校舎公開〜高台から一望、復興のシンボルに

待ちに待った校舎の見学に訪れた大勢の地域住民。明るく広々とした教室に新生活への期待を膨らませた

待ちに待った校舎の見学に訪れた大勢の地域住民。明るく広々とした教室に新生活への期待を膨らませた

 

生徒・児童 仮設で6年 やっと本設へ

 

 東日本大震災で大きな被害を受けた釜石市の釜石東中と鵜住居小の新校舎、鵜住居幼稚園の新園舎が鵜住居町の高台にほぼ完成。4月からの授業開始を前に18日、地域住民に公開された。震災後、市内の小・中学校の間借り、仮設校舎での授業を続けて6年、やっと本設の校舎へ移る。高台から鵜住居の町並みを一望する校舎は、災害時の避難場所としての機能も併せ持ち、地域に開かれた復興のシンボルになるものと期待も大きい。引っ越し作業は23、24日に行われた。

 

子どもたちが登下校する姿を見てもらおうと作られた大階段

子どもたちが登下校する姿を見てもらおうと作られた大階段

 

 旧鵜住居駅近くにある山を切り崩し、海抜15~26メートルの位置に造成した約7万7千平方メートルの敷地に、鉄骨4階建て校舎や体育館、プール棟、木造平屋の園舎などを整備。緊急時の避難所になることから、炊き出しができるよう体育館のそばに調理室を配置したほか、食糧や毛布を収納する防災備蓄庫も設置。敷地のり面には8カ所の避難階段も設けた。造成工事を含めた事業費は約90億円。外構工事が残っているが、4月までに完成する予定だ。

 

 新校舎の公開には地域住民ら約350人が訪れ、木のぬくもりや開放感のある校舎を「きれい」「すごい」と喜びの声を上げながら見て回った。「自分の教室に行きたい」と駆け出す子どもたちは、大きな窓の明るい教室やカラフルなテーブルといすが置かれた広い廊下などに、にこにこ顔。「迷路だ。広すぎて迷う」と戸惑いも見えた大人たちだったが、校舎に響く子どもたちの声に「いいね」と笑顔が広がった。

 

白を基調とした空間にたくさんの本棚、カラフルないすが並んだ図書室

白を基調とした空間にたくさんの本棚、カラフルないすが並んだ図書室

 

 小笠原羽美佳さん(釜石東中1年)は「鉄骨がむき出しのままなのが面白い。広いし、海も見えてきれい」と喜んだ。町内の仮設住宅からスクールバスで仮設校舎に通っていたが、4月からは徒歩に。この日も歩いてきて疲れたというが、新しい生活が楽しみなようで「ま、いいか」と笑った。

 

 前川亜希さん(鵜住居小5年)は「たくさん勉強する」と待ち遠しそう。祖父母の公二さん(67)、みえ子さん(64)は「これまで狭い所で生活してきたので楽しんでほしい。広い校庭や体育館で運動不足の解消にもなる」と見守った。

 

新校舎の外観。左側に入る中学校と右側の小学校を中央の階段棟がつなぐ

新校舎の外観。左側に入る中学校と右側の小学校を中央の階段棟がつなぐ

 

 仮設校舎での卒業式を終えたばかりの櫻井ことみさん(釜石東中3年)、洞口留伊さん(同)は「仮設校舎には愛着があるが壊されてしまうので、やっぱり残る方で生活したかったとも思う。(後輩たちには)大切に使ってほしい」と願った。

 

 栗林町の仮設住宅で暮らす館鼻春雄さん(64)は仕事帰り、学校建設工事の明かりに安心感をもらってきたという。「立派過ぎなくらい。津波も大丈夫でしょうね。完成は、まちの活気にもなる」と話す一方、自宅の再建は土地の引き渡しが延びるなど、いまだめどが立たない状況。「早く戻りたい」との気持ちが強く、復興住宅の入居申し込みをすればよかったかと頭をよぎることもあると話した。

 

 目の前にある復興住宅に入居する釜石フクさん(82)、駒林トシ子さん(73)は「学校に行く子どもの元気な姿が楽しみだね」と顔を見合わせて笑った。

 

(復興釜石新聞 2017年3月25日発行 第574号より)

 

復興釜石新聞

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大勢の力で取り組んできた地域活性化の活動が評価され、笑顔を見せる藤井サヱ子さん

農家レストラン・こすもす公園、藤井さん 農水大臣賞を受賞〜農山漁村女性・シニア活動表彰

大勢の力で取り組んできた地域活性化の活動が評価され、笑顔を見せる藤井サヱ子さん

大勢の力で取り組んできた地域活性化の活動が評価され、笑顔を見せる藤井サヱ子さん

 

 釜石市甲子町の農家、藤井サヱ子さん(72)が、2016年度農山漁村女性・シニア活動表彰のシニア起業・地域活性化部門で最優秀賞の農林水産大臣賞を受け、17日、野田武則市長に受賞を報告した。

 

 同表彰は農山漁村男女共同参画推進協議会(事務局・東京都)が主催。農山漁村の活性化に優れた活動実績を持ち、積極的に活動する経験豊富な女性や高齢者の個人・団体をたたえるもの。藤井さんは甲子地区を元気にしようと産直や農家レストランの開設、休耕農地を利用した公園づくりなど地域活性化の取り組みが高く評価された。表彰式は7日に東京で行われた。

 

 藤井さんは2000年に両親の介護のため、盛岡市から実家のある釜石にUターン。実家の農地は遊休化していたが、田畑を荒らしたままにはできないと考え、地域の人を楽しませようとコスモス畑にして開放した。01年に近所の農業者と産直を創設。07年には「農家レストラン」を開設した。

 

 震災後には、遊び場を失った子どもたちが自由に遊べる空間にしてもらおうと、地域やボランティアの協力でレストラン前に「こすもす公園」を整備。遊具を設置するほか、周りには野菜や果樹なども植え、食育や知育、農業体験などもできるようにした。音楽コンサートなど各種イベントも開かれ、今では県内外から年間4万人が訪れているという。

 

 さらに、甲子地区を盛り上げようと15年に発足した同地区活性化協議会の会長として、地域の魅力満載のマップづくりや地域めぐりツアーを企画するなど積極的に活動。釜石の特産品「甲子柿」を使ったドレッシングやスイーツなどの商品開発も進めている。

 

 受賞報告で、藤井さんは「思いがけない賞。主人、地域の人、全国から来て交流してくれた人たちの協力で得たもので、無駄にしないよう活動していきたい。やりたいことはいろいろあるが、個人ではなく市全体で取り組めることを見つけたい。普段通りの生活を見て、釜石の良さを知ってもらう活動も続けたい」と意欲を伝えた。

 

 野田市長は「今後も地域の人に親しまれる場、全国から人が集う交流の拠点として大きく成長してほしい」と期待を述べた。

 

(復興釜石新聞 2017年3月22日発行 第573号より)

関連情報 by 縁とらんす
創作農家こすもす
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今後、釜石のまちづくりに必要なことは何かを考えたパネル討論

「オープンシティ釜石」実現へ、フォーラム〜絆をまちづくりのステップに

今後、釜石のまちづくりに必要なことは何かを考えたパネル討論

今後、釜石のまちづくりに必要なことは何かを考えたパネル討論

 

 釜石シティプロモーション推進委(柏﨑龍太郎委員長)主催の「Meetup Kamaishi(ミートアップ釜石)2017~釜石のお宝&鉄人発掘博覧会」は18日から3日間、市内各所で開催された。震災復興で育まれた市内外の人々の絆と地域資源をまちづくりの次のステップに生かそうと、フォーラムや観光体験プログラムを展開。市が掲げる「オープンシティ釜石」の実現へ官民が協働で取り組み、まちの未来像を探った。

 

 18日、大町の情報交流センター釜石PITでは、2015年9月に国連が採択した「持続可能な開発目標(SDGs)」をキーワードにオープンシティフォーラムが開かれた。SDGsは、全ての国連加盟国がより良き未来のために、30年をゴールとして取り組むべき17の目標と169のターゲットを定めたもの。繁栄、平和、暮らしの保障を目指し、経済、社会、環境を統合的に考え行動することが求められている。

 

 解説した法政大デザイン工学部建築学科専任講師の川久保俊さんは「この目標を自分事として捉えるため、国はまちづくりの枠組みでの実践を奨励。目標達成には世界に目を向けつつ、各地域が課題を認識し取り組む必要がある」とし、一人一人が主役であることを強調した。

 

 「持続可能な地域とは何か」をテーマとしたパネル討論には、市内外の法人の代表など5人が出演。これまでの活動を紹介し、今後の取り組みへ意見を交わした。

 

 地元事業者らが案内役を務める体験型プログラムを提供してきた三陸ひとつなぎ自然学校の伊藤聡代表理事は「地域が疲弊しない少人数の受け入れが持続性を生む。多様な人の協力、連携で実施できているのが今の釜石らしさ。次の世代に背中を見せていくことを意識していきたい」と決意を示した。

 

 就労意欲を持つ子育て中の女性と人材不足の事業者を超短時間勤務(プチ勤務)という形でマッチングさせてきたWillLabの小安美和代表取締役(市地方創生アドバイザー)は「まちを成長させていく人たちがどう在りたいか。外部の人をただ受け入れるだけでなく、議論ができていくと本当のオープンシティになっていくのでは」と助言した。

 

 @リアスNPOサポートセンターの鹿野順一代表理事は「釜石はいろいろなことが形になっていると言われるが、それをコーディネートする仕組みが無いと地域のものになっていかない」と指摘した。

 

 最後は、釜石の地域資源を活用し起業する「ローカルベンチャー」を志す6人が事業アイデアを発表。▽根浜海岸でのアクティビティー開発など観光事業で交流人口拡大を目指す▽観光客らに個人の車を有料で貸し出す「カーシェア」で移動格差をなくす▽恵まれた自然環境を使って子どもたちが自ら考え行動する姿勢を育てる―など、地域の課題解決につながる新ビジネスを提案した。起業支援を目的としたアイデア募集には27件の応募があり、今後、支援対象者を絞り込み、6月の事業開始を目指す。

 

(復興釜石新聞 2017年3月22日発行 第573号より)

関連情報 by 縁とらんす
Meetup Kamaishi 2017 | オープンシティ釜石
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新しい鵜住居駐在所と藤原所長

被災の鵜住居駐在所、移転新築〜心強い地域の明かり、4月に開所式

新しい鵜住居駐在所と藤原所長

新しい鵜住居駐在所と藤原所長

 

 県警本部は東日本大震災で損壊した釜石警察署・鵜住居駐在所を移転新築し、2月20日から運用を開始した。震災から6年を経て、「駐在さん」2人が地元に常駐している。唐丹駐在所も3月中に完成し、両駐在所の開所式は4月に行う予定だ。

 

 鵜住居駐在所は鵜住居町、両石町、箱崎町、片岸町を管轄する。旧駐在所は2011年3月の震災当時、同町寺前の国道45号に近い県道釜石遠野線沿いにあり、津波で全壊した。その後、担当警察官は仮庁舎の本署、15年度から大槌交番をベースに、復興に向かう管轄区域の治安を守ってきた。

 

 新しい駐在所の所在地は鵜住居町27の7の2。国道「恋の峠」から北へ約200メートルの市道沿いで、復旧工事が見込まれるJR山田線の間近。木造2階建て延べ床面積360平方メートルで、1階が職務室。トイレは車いすも利用できるバリアフリー、数台分の駐車スペースも確保した。電話番号は28・2505。

 

 勤務するのは所長の藤原健一巡査長と金野巧巡査長。2人は大槌交番に詰めていたが、駐在所の引き渡しに伴い常駐となった。

 

 管轄区域には現在、約1500世帯が暮らす。災害復興公営住宅や住宅再建が急ピッチで進み、さらに被災住民が戻って来ると見込まれる。

 

 藤原所長(38)は「公営住宅などで高齢者の一人暮らしもある。暮らしの安全と特殊詐欺犯罪などの被害防止のため巡回連絡に力を入れていく。復旧工事が続き、道路環境も変わる。交通安全にも注意を呼び掛ける」と決意を示した。また、「住民のみなさんが『駐在所の明かりが心強い』『ありがとう』と温かく迎えてくれた」と喜んだ。

 

 釜石警察署(阿部裕一署長)管内では大震災で2交番と、鵜住居など4駐在所が全壊などの被害を受けた。県警本部は19カ所の警察施設の移転・再建を目指し、14年12月、平田駐在所が最初に再開。大槌交番は16年12月に開所した。

 

(復興釜石新聞 2017年3月18日発行 第572号より)

 

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SL銀河

SL銀河運行情報

平成29年も4月29日(土)からSL銀河の運行が開始されます。
SL銀河が市内を通過するときは手を振って笑顔で歓迎・見送りましょう!
今年も元気を運んでくれるSL銀河を地域一丸となって応援しましょう。

 

イベントに関しては、決まり次第ご案内しますのでお待ちください。

 

SL銀河運行日程

SL銀河の運行日程や詳細については下記のリンク先をご覧ください。(他サイトに移動)

 

https://www.jr-morioka.com/noccha/train/slginga/

SL銀河:王国を走る列車たち:乗っちゃ王国 北東北|JR東日本:東日本旅客鉄道株式会社 盛岡支社

JR東日本旅客鉄道株式会社 盛岡支社オフィシャルページ
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釜石市 産業振興部 観光交流課
〒026-0031 岩手県釜石市鈴子町22-1(シープラザ釜石内)
電話:0193-22-2111(内線333) / Fax 0193-22-5003 / メール
元記事:https://www.city.kamaishi.iwate.jp/tanoshimu/kanko/detail/1192591_2430.html
釜石市

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(右から)松原コーチ、小村ヘッドコーチ、桜庭ゼネラルマネジャー、池田コーチ

釜石SW、新HCに小村淳氏〜「新リーグ王者」目標に掲げ

(右から)松原コーチ、小村ヘッドコーチ、桜庭ゼネラルマネジャー、池田コーチ

(右から)松原コーチ、小村ヘッドコーチ、桜庭ゼネラルマネジャー、池田コーチ

 

 今季から全国の8チームでスタートするラグビーの新リーグ、トップチャレンジ(TC)リーグに参入する釜石シーウェイブス(SW)RFCは14日、昨季で退任した三浦健博ヘッドコーチの後任に、元日本代表で昨季まで明大HCを務めた小村淳氏(46)が就任すると発表した。このほかFWコーチには、昨季までコーチ兼フッカーとして釜石SWをけん引した松原裕司氏(37)、バックスコーチには小村氏とともに明大のバックスコーチを務めた池田渉氏(41)が新たに就任する。桜庭吉彦ゼネラルマネジャー(GM)は「3人とも日本代表として国際試合の経験も豊富。釜石でもいい成果を」と期待する。

 

 小村HCは函館市出身で、函館大有斗高、明大から1992年に神戸製鋼入り。フランカーとして活躍し、日本代表キャップ4。02年に現役引退した後、日本代表AやキヤノンのFWコーチなどを経て、13年から4年にわたり母校明大のHCを務めた。

 

 小村氏のHC起用について、桜庭GMは「コーチング経歴が豊富で、個人に加えて組織的な強化も図ることができる。指導力、ポリシーもあり、選手を第一に考えるコーチとして明大FWを強化した実績もある」と説明した。

 

 釜石SWのクラブハウスで記者会見に応じた小村HCは「新リーグの初代王者を目標に掲げ、精進していきたい」とトップリーグ(TL)昇格を誓った。

 

 TCリーグではこれまで以上に厳しい試合が続くと予想されるが、「プロ選手から会社員もいる難しい環境の中で、チームが一つにまとまることが必要。クラブチームとして初めてTLに昇格し、日本のラグビー文化に新しい風を吹かせたい」と意気込みを示した。

 

 チームづくりについては「昨季は多く得点したが、失点も多かった。まずはしっかりとしたディフェンスを植え付けたい」とした上で、スクラムやラインアウトなどの改善もポイントに挙げた。

 

 2年後に開催されるラグビーワールドカップ(W杯)に向けては「釜石の選手が日本代表として一人でも出場することがSWの発展、未来につながる」とした。

 

 小村HCと同じく明大卒で日本代表キャップ23、昨季限りで現役を引退した松原FWコーチは「同じ明大出身者として気心はよく知っている。SWでこれまで2年間プレーしてきた経験をもとに全力でサポートしていきたい」と抱負を述べた。

 

 一方、池田バックスコーチは石巻市出身で、日本代表キャップ14。宮城水産高、流通経済大卒後、三洋電機(2000~07年)、リコー(08~14年)などでプレーした。

 

 強豪との対戦が続く新シーズンに向け、桜庭GMは「これまで以上にタフさが要求される」とし、新たに10人以上の選手を補強することも明らかにした。新加入選手は4月初めに発表される。

 

(復興釜石新聞 2017年3月18日発行 第572号より)

 

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通算5年間を過ごした仮設校舎から巣立った釜石東中卒業生

釜石東中、仮設校舎で最後の卒業式〜唐丹小中とともに4月から新校舎へ

通算5年間を過ごした仮設校舎から巣立った釜石東中卒業生

通算5年間を過ごした仮設校舎から巣立った釜石東中卒業生

 

 東日本大震災の津波で校舎が全壊した釜石東中(佐々木賢治校長)で15日、プレハブの仮設校舎で最後となる卒業式が行われた。今月中に新校舎が完成し、4月から授業を始める。

 

 卒業生47人(男子28人、女子19人)を前に佐々木校長は、学校行事や岩手国体の応援などで中心となった健闘をたたえ、「信頼される人間を目指し学び続けてほしい」と式辞。

 

 伊藤千尋さん(2年)の送辞に、卒業生代表の佐々木千芽さん(14)は「多くの支援、教えに感謝する気持ちを行動で示していく。在校生は新校舎でがんばってほしい」と答辞。在校生と合唱で歌声を交換し、学びやに別れを告げた。

 

 卒業生の大半は、震災時には鵜住居小の3年生。校舎3階まで押し寄せた大津波にも、校内にいた児童は避難して全員無事だった。1カ月後の新年度は、高学年が小佐野小、4年生以下は双葉小を間借りして授業を再開。小中同居の仮設校舎に移ったのは12年2月(小)と4月(中)。中学生の全期間を含む5年間を過ごした。

 

 学区内の被災地域では住宅再建が動き始めたが、新校舎への通学はしばらくバスに頼る。

 

 釜石市内の中学校5校では15日までに卒業式が行われ、合わせて280人が9年間の義務教育を修了した。小学校9校では18日までに240人が卒業。それぞれ新しい生活に向け巣立った。

 

 校舎が再建された唐丹小・中、鵜住居小・釜石東中では4月に新校舎の完成記念式典が予定される。

 

(復興釜石新聞 2017年3月18日発行 第572号より)

 

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宮澤賢治にまつわる話と演奏で復興を後押しした追悼公演

「賢治バイオリン」被災地癒す〜音で伝える「雨ニモマケズ」

宮澤賢治にまつわる話と演奏で復興を後押しした追悼公演

宮澤賢治にまつわる話と演奏で復興を後押しした追悼公演

 

 東日本大震災殉難者第七回忌追悼公演「宮澤賢治と奇跡の一本松~雨ニモマケズ」は12日、釜石市小川町の本門佛立宗慈念寺(尾形信欣住職)で開かれた。同宗東北北部布教区が主催。宮澤賢治の実弟・清六さんの孫にあたる宮澤和樹さん(花巻市)一家がトークライブを行い、約100人の観客の心を癒やした。

 

 和樹さん(51)、妻のやよいさん(49)、娘の香帆さん(22)が出演。和樹さんは、賢治の作品を世に出すことに尽力した祖父・清六さんから聞いた賢治の人物像、作品に込めた思いなどを明かした。

 

 ベートーベンやバッハの音楽を好んだ賢治はセロ(チェロ)を弾き、作詞作曲も手がけた。香帆さんは、陸前高田市の津波の流木などで作られたバイオリンと、賢治が所有していたバイオリンで賢治にちなんだ7曲を演奏。花巻農学校の教師だった時に作った応援歌や、有名な「星めぐりの歌」などを聞かせた。

 

 津波バイオリンは1千人の演奏を目指し、国内外の奏者が弾き継いでおり、香帆さんで502人目となった。やよいさんはピアノ伴奏で親子共演したほか、賢治の詩の朗読を披露した。

 

 和樹さんが賢治作品の特徴として示したのは、童話と詩の創作姿勢の違い。法華経に興味を持っていた賢治は、その教えを童話という形で伝えようとしたのに対し、詩は自分を表現する方法としていた。その考え方が最も表れているのが「銀河鉄道の夜」で、清六さんは「終着点のない旅が仏教でいう『求道(ぐどう)』そのものだ」と話していたという。

 

 誰もが知る「雨ニモマケズ」は賢治が結核で亡くなる2年前に、体が弱る中、自分の手帳にしたためたもの。「こう生きたいが生きられない」という気持ちから、最後の祈りを込め自分に向けて書いた言葉とされる。本文の後には「南無妙法蓮華経」と〝行〟の字が入った4菩薩の名前が記されており、これが「東二病気ノコドモアレバ〝行ッテ〟看病シテヤリ…」など東西南北で始まる一節に影響しているという。

 

 和樹さんは「震災後、雨ニモ―はいろいろな形で読まれているが、誰かに聞かせて一緒に頑張ろうというようなことではなく、あくまでも自分に向けた言葉として捉えてもらえば賢治さんも喜ぶのでは」と話した。

 

 この公演は、同宗本山のある京都府の京都佛立ミュージアムが縁をつなぎ実現。七回忌を機に法要だけではない心の安寧を願い、被災地では初の音楽公演を企画した。同ミュージアムのマネジャーを務める香川県高松市、妙泉寺僧侶の小野山淳鷲さんは「自分の価値観(大事なもの)にあらためて目を向けるには、こういう企画が必要。学ぶことも多いと思う。祈ることで力をもらい、できることを一歩ずつという法華経の精神は、賢治さんの生き方と通じる」と共感した。

 

(復興釜石新聞 2017年3月15日発行 第571号より)

 

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日比野克彦さん(前列左から3人目)や応援者らに囲まれ、笑顔を見せる寺崎幸季さん(中央)

新たな一歩へ仲間がエール、寺崎さん(釜石高)まちづくり模索し進学〜マグネットぬりえプロジェクト

日比野克彦さん(前列左から3人目)や応援者らに囲まれ、笑顔を見せる寺崎幸季さん(中央)

日比野克彦さん(前列左から3人目)や応援者らに囲まれ、笑顔を見せる寺崎幸季さん(中央)

 

 仮設住宅などの外壁を、ハートマークをあしらったカラフルなマグネット飾りで彩る「マグネットぬりえプロジェクト」。発案した釜石高3年の寺崎幸季さん(18)が今春、進学のため釜石を離れることから、これまでの活動を振り返る報告会が釜石市大町の釜石情報交流センターで開かれた。同プロジェクトに協力してきたアーティストの日比野克彦さん、市内の”寺崎応援団”も駆け付け、新たな歩みを進める寺崎さんにエールを送った。

 

 寺崎さんは2015年秋から日比野さんと仮設住宅の壁を、ハート模様のマグネットで飾る活動を展開。「仮設」を「家」と呼べる雰囲気を作り、愛着を持って暮らしてほしい―との思いに共感した有志からマグネットが寄せられるという全国的な取り組みに広がり、飾りは6千枚を超えた。

 

 仮設住宅の集約が始まり、役目を終えた飾りは市内を飛び出し、熊本地震の被災地でも活用。”まちを彩る”版として、同センターに隣接する釜石市民ホール建設工事の防護壁にも利用されている。

 

 報告会には約20人が参加。寺崎さんは協力者に感謝を伝え、「釜石のことを知り、気に掛けてくれる人が増えたことが何よりうれしい」と喜んだ。慶応大に進み、まちづくりを学ぶといい、「活動を通してあんなに嫌いだった釜石が大好きになった。外から釜石を客観視する機会をもらったので、この6年で見てきたものを見つめ直し、釜石で必要とされる新しい形を持って戻ってくる」と意気込みを話した。

 

 日比野さんは「寺崎さんは大災害に立ち向かい、アートという形で自分を表現した。一つの文化が生まれる現場に立ち会えた」とたたえた。寺崎さんの思いをくみ取り、活動を支えてきた三陸ひとつなぎ自然学校の伊藤聡代表理事も「若い世代が育っていることを心からうれしく思う。どんどんのし上がって」と激励した。

 

 同センターラウンジでは20日まで、同プロジェクトの活動を紹介するパネルや写真を展示。マグネットを寄せた全国の人たちのメッセージも紹介している。

 

(復興釜石新聞 2017年3月15日発行 第571号より)

 

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1200個の灯籠が川を下った=午後5時半ごろ、大渡町の甲子川

1200個の光、川面照らす〜大渡で灯籠流し

1200個の灯籠が川を下った=午後5時半ごろ、大渡町の甲子川

1200個の灯籠が川を下った=午後5時半ごろ、大渡町の甲子川

 

 震災犠牲者を慰霊する「七回忌灯籠流し」は11日、大渡町の甲子川で行われ、約1200個の光が川面を照らし、静かに、ゆっくりと下った。遺族ら約200人が河川敷や大渡橋から見守り、手を合わせた。

 

 灯籠流しは、宗派を超えて組織する釜石仏教会(大萱生修明会長、14カ寺)が釜石市と大槌町の3カ所で行った。それぞれの寺院で灯籠に犠牲者の名前を記し、釜石では犠牲者、行方不明者と震災関連死者約1200人を供養した。

 

 6年前の「あの日」を思わせる寒さ、小雪が舞う中を灯籠は風に乗って上流に戻り、川岸に集まり、円を描いた。流れに入って灯籠を見守った世話人は「(あの世に)戻りたくないのかな」とつぶやいた。

 

 津波で亡くなった近親者7人の灯籠を見送った大渡町の小笠原カツさん(75)は「3人(の遺体)は見つかっていない。切ない。時々落ち込むけど、これだけ多くの人が亡くなった。一緒に行くのを見送る」と手を合わせ続けた。

 

 同仏教会の尾形信欣副会長は「七回忌は死んだ人と生きる人の距離感を考える時。生き残った人は前に歩んでほしい」と願った。

 

(復興釜石新聞 2017年3月15日発行 第571号より)

 

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